(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031293
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】多孔質シースを備えたバスケットカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】40
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022131595
(22)【出願日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】63/236,135
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/274,334
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/887,201
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・トーマス・キース
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・ジョージ・リヒター
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK17
4C160KK27
4C160KK36
4C160KK38
4C160KK63
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】医療装置を提供すること。
【解決手段】医療装置は、患者の体腔内挿入するように構成された挿入管と、挿入管に遠位に接続され、かつ電極を備える、拡張可能アセンブリであって、電極が、体腔内の組織に電気エネルギーを印加するように構成されている、拡張可能アセンブリと、を備える。可撓性多孔質シースは、拡張可能アセンブリの上に嵌合されており、かつ電気エネルギーが電極からシースを通って組織に印加されるように、体腔内の組織に接触するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
患者の体腔内に挿入するように構成された挿入管と、
前記挿入管の遠位に接続され、かつ電極を備える、拡張可能アセンブリであって、前記電極が、前記体腔内の組織に電気エネルギーを印加するように構成されている、拡張可能アセンブリと、
可撓性多孔質シースであって、前記拡張可能アセンブリの上に嵌合されており、かつ前記電気エネルギーが前記電極から前記シースを通って前記組織に印加されるように、前記体腔内の前記組織に接触するように構成されている、可撓性多孔質シースと、を備える、装置。
【請求項2】
前記シースが、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シースが、編組ポリマー繊維を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記編組ポリマー繊維が、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記編組ポリマー繊維が、ポリアミドを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記シースは、直径が変化する管として編組されている、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記シースが、親水性コーティングを有するポリマー繊維を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記シースが、疎水性コーティングを有するポリマー繊維を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記拡張可能アセンブリが、1つ又は2つ以上の潅注出口を備え、前記潅注出口が、前記挿入管から前記シースを通して前記組織に潅注流体を輸送するように結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記シースは、血液が前記体腔から前記シースを通って内側に貫通することを阻止しながら、前記潅注流体が前記1つ又は2つ以上の潅注出口から前記シースを通って前記組織に外側に通過することを可能にするように選択された布を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記多孔質シースが、10μm2~100,000μm2のそれぞれの面積を有する細孔を備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記細孔の前記それぞれの面積が、100μm2~10,000μm2である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
潅注ポンプを備え、前記潅注ポンプが、前記潅注出口への輸送のために前記潅注流体を前記挿入管に供給するように結合されている、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記拡張可能アセンブリが、それぞれの近位先端及び遠位先端を有する複数の弾性スパインを備え、前記スパインの前記近位先端が、前記拡張可能アセンブリの近位端部で機械的に接合されており、前記スパインの前記遠位先端が、前記拡張可能アセンブリの遠位端部で機械的に接合されており、前記拡張可能アセンブリが前記体腔内で展開されると、前記スパインが半径方向外側に湾曲し、それによって前記シースを前記体腔内の前記組織と接触させる、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記スパインが、導電性材料を含み、前記導電性材料が、電極として機能するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記スパインは、前記装置が前記体腔内に挿入されている間、前記スパインが前記挿入管の軸に沿って整列されるように、半径方向内側に折り畳まれるように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
電気信号発生器を備え、前記電気信号発生器が、前記組織をアブレーションするのに十分な振幅で前記電極に電気エネルギーを印加するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記電気信号発生器は、前記電極から前記シースを通って印加される前記電気エネルギーが前記組織内に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすように、十分な振幅で前記電極に双極電気パルスを印加するように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記電気信号発生器は、前記電極から前記シースを通って印加される前記電気エネルギーが前記組織の熱的アブレーションを引き起こすように、十分な電力で前記電極に高周波(RF)電流を印加するように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記拡張可能アセンブリは、前記電極が上に配設された外面を有するバルーン膜を備え、前記複数の電極の各々が、前記挿入管を通って延びる少なくとも1つのそれぞれの導電性部材に電気的に接続されており、潅注細孔が、潅注流体を前記挿入管から前記潅注細孔を通して流すことを可能にするように前記バルーン膜を通って延びる、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
医療デバイスを製造するための方法であって、
患者の体腔内に挿入するように構成された挿入管を提供することと、
電極を備える拡張可能アセンブリを前記挿入管に遠位に接続することと、
前記挿入管が前記体腔内に挿入されたときに、可撓性多孔質シースが前記体腔内の組織に接触するように、前記拡張可能アセンブリの上に前記シースを嵌合させることと、を含む、方法。
【請求項22】
前記シースが、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記可撓性多孔質シースを嵌合させることが、ポリマー繊維を編組して、前記シースを形成することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマー繊維が、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマー繊維が、ポリアミドを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリマー繊維を編組することは、直径が変化する管を編組することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記管を編組することが、シャフトに沿って配設された複数の球状突起を含むマンドレルの上にポリマー繊維を編組することと、前記編組された管を切断して、複数のシースを形成することと、を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリマー繊維に親水性コーティングを適用することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマー繊維に疎水性コーティングを適用することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記多孔質シースが、10μm2~100,000μm2のそれぞれの面積を有する細孔を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記細孔の前記それぞれの面積が、100μm2~10,000μm2である、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記挿入管から前記シースを通して前記組織に潅注流体を輸送することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記シースは、血液が前記体腔から前記シースを通って内側に貫通することを阻止しながら、前記潅注流体が前記1つ又は2つ以上の潅注出口から前記シースを通って前記組織に外側に通過することを可能にするように選択された布を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記拡張可能アセンブリを接続することは、前記拡張可能アセンブリの近位端部で複数の弾性スパインのそれぞれの遠位先端を一緒に接合することと、前記拡張可能アセンブリの遠位端部で前記スパインのそれぞれの遠位先端を一緒に接合することと、を含み、その結果、前記拡張可能アセンブリが前記体腔内で展開されると、前記スパインが半径方向外側に湾曲し、それによって前記シースを前記体腔内の前記組織と接触させる、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記スパインが、導電性材料を含み、前記導電性材料が、電極として機能するように構成されている、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記スパインは、前記拡張可能アセンブリが前記体腔内に挿入されている間、前記スパインが前記挿入管の軸に沿って整列されるように、半径方向内側に折り畳まれる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記電極から前記シースを通して前記体腔内の前記組織に電気エネルギーを印加するために、電気信号発生器を結合することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項38】
前記電気信号発生器を結合することが、前記体腔内の前記組織をアブレーションするために、前記電気エネルギーを印加することを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記電気エネルギーを印加することは、前記電極から前記シースを通って印加される前記電気エネルギーが前記組織内に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすように、十分な振幅で前記電極に双極電気パルスを印加することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記電気エネルギーを印加することは、前記電極から前記シースを通って印加される前記電気エネルギーが前記組織の熱的アブレーションを引き起こすように、十分な電力で前記電極に高周波(RF)電流を印加することを含む、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年8月23日に出願された米国仮出願第63/236,135号及び2021年11月1日に出願された米国仮出願第63/274,334号の利益を主張する。これらの関連出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、侵襲的医療機器に関し、具体的には、体内の組織をアブレーションするための装置及びそのような装置を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓不整脈は一般的に、催不整脈性の電気経路を遮断するために、心筋組織のアブレーションによって治療される。この目的のために、カテーテルが患者の血管系を通して心臓の室に挿入され、カテーテルの遠位端部にある電極が、アブレーションされる組織と接触される。場合によっては、組織を熱的にアブレーションするために、高電力高周波(radio-frequency、RF)電気エネルギーが電極に印加される。代替的に、不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)によって組織をアブレーションするために、高電圧パルスが電極に印加されてもよい。
【0004】
一部のアブレーション処置では、バスケットカテーテルが使用され、ここでは複数の電極が、カテーテルの遠位端部にある拡張可能アセンブリのスパインに沿って配列される。スパインは外側に屈曲し、バスケット様形状を形成し、体腔内の組織を接触させる。例えば、米国特許出願公開第2020/0289197号は、エレクトロポレーションアブレーション治療のためのデバイス及び方法を記載しており、デバイスは、医療用アブレーション治療のためのカテーテルに結合されたスパインのセットを含む。スプラインのセットの各スパインは、そのスパイン上に形成された電極のセットを含んでもよい。スパインのセットは、並進して第1の構成と第2の構成との間を移行するように構成されてもよい。
【0005】
以下の本開示の実施例の詳細な説明を図面と一緒に読むことで、本開示のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態による、心臓アブレーションのためのシステムを示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による、多孔質シースを備えたカテーテル拡張可能アセンブリの概略側面図である。
【
図3A】本発明の実施形態による、それぞれ、折り畳み構成及び拡張構成にある
図2のカテーテル拡張可能アセンブリの概略断面図である。
【
図3B】本発明の実施形態による、それぞれ、折り畳み構成及び拡張構成にある
図2のカテーテル拡張可能アセンブリの概略断面図である。
【
図4】本発明の実施形態による、カテーテル拡張可能アセンブリのためのシースを製造するための方法を概略的に示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態による、カテーテルバスケットアセンブリのシースを製造するためのシステムの概略側面図である。
【
図6】本発明の実施形態による、
図5のシステムを使用して生産された編組された管の概略側面図である。
【
図7B】
図6の編組された管から製造されたシースとともに使用することができる更に別の拡張可能部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
バスケットカテーテルなどの拡張可能アセンブリを有するカテーテルは、バスケットカテーテルのスパイン(ひいてはスパイン上の電極)が同時に複数の場所で組織に接触し、アブレーションすることができることから、アブレーション処置を迅速かつ効率的に実行するのに有用である。しかしながら、スパイン自体が血流に引き起こす障害、及び特にIREによるアブレーションにおけるスパイン間のアーク放電に起因して、アブレーション中に危険な血栓を発生させる可能性がある。更に、スパインは、処置中に組織内に埋め込まれることがあり、これは局所的な過熱につながる可能性があり、結果として、炭化及び/又は他の外傷をもたらすことがある。滑らかで丸みを帯びた外形を有するスパインの使用は、これらの効果を軽減するのに役立つが、それ自体が凝固及び組織損傷の問題を排除しない。
【0008】
本明細書に記載される本開示の例は、多孔質シースで拡張可能アセンブリを覆うことによって、これらの問題に対処する。(本明細書で使用される場合、「シース」という用語は、「外側カバー」又は「膜」を含むことが意図される)。シースは、スパインと組織との間の直接接触を阻止し、一方で、なおも電極からシースを通して組織に電気エネルギーを印加することを可能にする。シースの材料のタイプ及び厚さは、カテーテルを通して拡張可能アセンブリに送達される潅注流体がシースを通って組織に外側に通過することができるように選択され得、一方で、血液が体腔からシースを通って内側に貫通することを阻止する。したがって、シースは、凝固及び組織損傷の両方を阻止するのに有用である。
【0009】
これらの原理に基づいて、開示された実施例は、患者の体腔内に挿入するための挿入管と、挿入管に遠位に接続された拡張可能アセンブリと、を備える医療装置を提供する。可撓性多孔質シースは、シースが体腔内の組織に接触するように、拡張可能アセンブリの上に嵌合される。拡張可能アセンブリは、シースを通して体腔内の組織に電気エネルギーを印加する電極を備える。以下に記載される例は、特に心臓内アブレーションのためのバスケットカテーテルに関するものであるが、本開示の原理は、電気エネルギーが生体組織に印加される他の種類の処置における使用に適合され得る。
【0010】
いくつかの例では、電気信号発生器は、スパインが接触する組織をアブレーションするのに十分な振幅で、拡張可能アセンブリ上の電極に電気エネルギーを印加する。一例では、電気信号発生器は、電極からシースを通して印加される電気エネルギーが組織内に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすように、十分な振幅で電極に双極電気パルスを印加する。追加的又は代替的に、電気信号発生器は、電極からシースを通って印加される電気エネルギーが組織の熱的アブレーションを引き起こすように、十分な電力を有する電極に高周波(RF)電流を印加する。
【0011】
図1は、本開示の実施例による、アブレーション処置で使用されるシステム20の概略図である。システム20の要素は、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,California)製のCARTO(登録商標)システムの構成要素に基づくものであってよい。
【0012】
医師30は、患者28の血管系を通してカテーテル22を患者の心臓26の室の中へとナビゲートし、次いで、バスケットアセンブリ40などの拡張可能アセンブリを配備し、その上に(
図2及び
図3A/Bに詳細に示される)可撓性多孔質シースをカテーテルの遠位端に嵌合させる。バスケットアセンブリ40の近位端部は挿入チューブ25の遠位端部に接続され、これを医師30が、カテーテル22の近位端部の近くでマニピュレータ32を使用して操縦する。バスケットアセンブリ40は、折り畳み構成において管状送達シース23を通して挿入され、これが、患者28の血管系を通過して、アブレーション処置が実行されることになる心室の中に入る。心室に挿入されると、バスケットアセンブリ40が、管状シースから配備され、室内で拡張される。カテーテル22は、その近位端部において制御コンソール24に接続される。コンソール24上のディスプレイ27は、アブレーション処置の標的存在位置にバスケットアセンブリ40を位置決めする上で医師30を支援するために、バスケットアセンブリの存在位置を示すアイコンとともに、心室のマップ31又は他の画像を提示し得る。
【0013】
バスケットアセンブリ40が心臓26内に適切に配設及び位置決めされると、医師30は、コンソール24内の電気信号発生器38を作動させて、プロセッサ36の制御下でバスケットアセンブリ上の電極に電気エネルギー(IREパルス又はRF波形など)を印加する。電気エネルギーは、双極性モードにおいて、バスケットアセンブリ40上の電極対の間に、又は単極性モードにおいて、バスケットアセンブリ40上の電極と、別個の共通電極、例えば、患者の皮膚に適用される導電性バックパッチ41との間に適用され得る。アブレーション処置中、潅注ポンプ34が、通常の食塩水溶液などの潅注流体を、挿入管25を通してバスケットアセンブリ40に送達する。
【0014】
典型的には、カテーテル22は、バスケットアセンブリ40の位置(存在位置及び配向)を示す位置信号を出力する1つ又は2つ以上の位置センサ(図示せず)を備える。例えば、バスケットアセンブリ40は、適用された磁場に応答して電気信号を出力する1つ又は2つ以上の磁気センサを組み込み得る。プロセッサ36は、当該技術分野で知られており、例えば、上述のCARTOシステムに実装される技術を用いて、バスケットアセンブリ40の存在位置及び配向の座標を見つけるために、信号を受信及び処理する。それに代わって、あるいはそれに加えて、システム20は、バスケットアセンブリ40の座標を見けるために、他の位置感知技術を適用してもよい。例えば、プロセッサ36は、バスケットアセンブリ40上の電極と、患者28の胸部に適用される体表面電極39との間のインピーダンスを感知し得、また、同様に当該技術分野で知られている技術を用いて、インピーダンスを存在位置の座標に変換し得る。いずれの場合でも、プロセッサ36は、マップ31上にバスケットアセンブリ40の存在位置を表示する際に座標を使用する。
【0015】
それに代わって、本明細書に記載されるカテーテル22及びアブレーション技術は、位置感知の恩恵を受けることなく用いられ得る。そのような実施例では、心臓26内のバスケットアセンブリ40の存在位置を確認するために、例えば、蛍光透視法及び/又は他の撮像技術が使用され得る。
【0016】
図1に示されるシステム構成は、本開示の実施例の動作を理解する際に概念を明確にするための例として提示されるものである。簡潔にするために、
図1は、システム20のうちの、バスケットアセンブリ40などの拡張可能アセンブリ及びそのバスケットアセンブリを使用するアブレーション処置に特に関連する要素のみを示す。(本開示の原理が適用され得る他の拡張可能アセンブリは、
図7A及び7Bを参照して以下に説明される。)システムの残りの要素は、本開示の原理が、他の構成要素を使用して、他の医療治療システムにおいて実施され得ることは、当業者であれば同様に理解するであろうことは明らかであろう。全てのこのような代替的な実装は、本開示の範囲内であると考えられる。
【0017】
ここで、本開示の一例による、可撓性の多孔質シース60によって覆われたバスケットアセンブリ40の詳細を概略的に示す
図2、
図3A、及び
図3Bを参照する。
図2は、バスケットアセンブリ40の、その拡張状態における断面図であり、
図3A及び3Bは、それぞれ折り畳まれた状態及び拡張状態のバスケットアセンブリを示す断面図である。
【0018】
バスケットアセンブリ40は、遠位端部48と、近位端部50と、を有し、近位端部50は、挿入チューブ25の遠位端部52に接続される。バスケットアセンブリは複数のスパイン44を備え、それらの近位端部は近位端部50で接合され、またそれらの遠位端部は遠位端部48で接合される。1つ又は2つ以上の電極54が、スパイン44の各々に外方に配設されている。あるいは、スパイン44は、固体伝導材料を含み得、したがって、例えば、2020年4月7日に出願された米国特許出願第16/842,648号に記載されているように、電極自体として機能することができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
スパイン44内の潅注出口56は、スパイン内を流れる潅注流体が、電極54の近傍で流出し、また組織に潅注することを可能にする。代替的又は追加的に、潅注出口は、バスケットアセンブリ内の他の場所、例えば、バスケットアセンブリ(図示せず)の内部に収容されている潅注マニホールド上に位置し得る。
【0020】
シース60はバスケットアセンブリ40の上に嵌合され、したがってバスケットアセンブリが拡張され、組織に対して前進されるときに心臓26内の組織に接触する。シース60は、スパイン44と心臓組織との間の直接接触を阻止する。したがって、電極54に適用される電気エネルギーは、シース60を通過する。一例では、シース60は、例えば、約70μmの厚さを有する、発泡ポリテトラフルオロエチレン(expanded polytetrafluoroethylene、ePTFE)を含む。ePTFEシースは、潤滑性、滑らかさ、強度、及び生体適合性を有し、スパイン44が心臓組織に埋め込まれるのを阻止する際に有利である。
【0021】
あるいは、シース60は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)又はポリアミド(ナイロン)糸などの好適なポリマー繊維を編組することによって作製された管を備える。管は、配備されたバスケット形状により良好に適合するように、可変直径で編組され得る。具体的には、管の近位の直径は、バスケットの近位のネックに嵌合するように作製され得、遠位直径は、可能な限り小さくなり得る。遠位端は、ゆるい糸を接着剤で留めること、糸を一緒に溶融すること、又は任意の他の好適な封止方法によって封止することができる。平坦な形状ではなく管状形状で布を利用する利点は、材料がバスケット形状により良好に適合し、ひだが回避又は最小化されることである。ひだの回避は、シース60の折り畳み直径を低減するのに役立ち、また、材料の折り畳みにおいて血液が凝固する可能性も低減する。この種の編組シースを製造するためのプロセスは、
図4~
図6を参照して以下で更に説明される。
【0022】
更に別の例では、シース60は、可撓性、非多孔質材料のシートから作製され、所望のサイズの細孔は、例えばレーザー穿孔によって材料を通して穿孔される。更なる例では、シース60は、より小さい管状部材をブロー成形してバルーン膜を形成することによって形成することができ、その後、細孔は、レーザー穿孔によってバルーン膜を通して形成される。
【0023】
シース60内の細孔は、潅注流体が潅注出口56からシース60を通って外側に通過して心臓組織を潅注することを可能にする一方で、血液が心室からシースを通って内側に貫通することを阻止するのに十分な大きさである。本発明者らは、この目的のために、シース内の細孔が、10μm2~100,000μm2の面積を有することを有利に見出した。最良の結果は、100μm2~10,000μm2の面積を有する細孔を使用して得られた。これらの細孔面積の範囲はまた、組織をアブレーションするために、電極54からの電気エネルギーがシース60を通って隣接する組織に自由に通過することを確実にするのに有用である。具体的には、これらの細孔面積の範囲は、潅注流体(導電性である)が、シース60の内側から細孔を通ってシースの外側の組織に流れることができることを確実にする。
【0024】
PET及びナイロン繊維などのシース60を製造する際に使用されるポリマー繊維は、本質的に絶縁体である。しかしながら、PET及びナイロンの両方は吸湿性であり、繊維が水(又は潅注流体)を吸収すると、それらはより導電性になり、電極54によって出力される電気エネルギーが、シース60を通って標的組織までより自由に通過することを可能にする。この点におけるシース60の性能を高めるために、一例では、ポリマー繊維は親水性材料でコーティングされる。親水性コーティングは、繊維の中に水を引き付けるため、シース60はより導電性になり、したがって効率的なアブレーションを容易にする。コーティングはまた、シースをより潤滑性にし、バスケットを折り畳むのに必要な力を低減する。
【0025】
代替例では、疎水性コーティングがシースのポリマー繊維に適用される。疎水性コーティングは、シースを通して潅注流体を流すために、シースを加圧する必要がある。この正圧は、潅注が低流量であっても、血液がシースに入ることを阻止する。
【0026】
図3Aの折り畳み状態では、心臓26へのバスケットアセンブリ40の挿入を容易にするために、スパイン44は直線状であり、挿入管25の長手方向軸42に平行に整列される。この状態では、シース60は、スパイン44と一緒に内側に折り畳まれる。シース60がバスケットアセンブリ40で折り畳むことを確実にするために、シース60は、バルーンアセンブリ40の遠位端部48及び近位端部50に接合される。アクチュエータ46が延びると、遠位端部48を近位端部50から分離するために、シース60及びスパイン44の両方が
図3Aの管状外形に圧縮される。アクチュエータ46を近位端部50に向かって後退させると、スパイン44及びシース60は、
図3Bに示される球形のような構成に拡張する。
図3Bの拡張状態では、スパイン44は径方向外側に湾曲し、シース60を拡張させて心臓内の組織と接触させる。
【0027】
一実施例では、スパイン44は、バスケットアセンブリ40の安定状態が
図3Aの折り畳み状態であるように製造される。この場合、バスケットアセンブリ40は、シースから押し出されると、好適なワイヤなどのアクチュエータ46を挿入管25を通じて近位方向に引っ張ることによって拡張される。アクチュエータ46を解放することは、バスケットアセンブリ40をその折り畳み状態へと折り畳んで戻すことを可能にする。
【0028】
別の実施例では、スパイン44は、バスケットアセンブリ40の安定状態が
図3Bの拡張状態となるように生産される。この場合、バスケットアセンブリ40は、シースから押し出されたときに拡張状態へと開放され、また、アクチュエータ46は可撓性プッシャーロッドと交換されて、バスケットアセンブリをシース内に引き戻す前に、スパイン44を直線状にしてもよい。
【0029】
ここで、本開示の一例による、カテーテルバスケットアセンブリのシース60を製造するための方法を概略的に示す
図4~
図6を参照する。
図4は、方法におけるステップを示すフローチャートであり、
図5は、シースを製造するためのシステム80の概略側面図である。
図6は、
図5のシステムを使用して製造された編組された管100の概略側面図である。
【0030】
予備工程として、シースの製造に使用される繊維88の直径及びシース内に形成される細孔のサイズが、繊維選択工程70で選択される。例えば、約25~100デニールのPET又はナイロン繊維を使用することができ、上記のように、シース内の細孔は、約10μm2~約100,000μm2の面積を有していてもよい。必要に応じて、親水性又は疎水性コーティングを、コーティング工程72で繊維に適用してもよい。
【0031】
繊維80は、好適なマンドレル90の上で編組されて、編組工程74で、直径が変化する管100を形成する。
図5に示すように、マンドレル90は、シャフト82に沿って配設された複数の球状突起84を備える。一例では、球状突起84は、所望の形状に膨張したバルーン部材を備えることができ、それにより、繊維の編組のための基礎支持構造体として機能する。当技術分野で知られているように、編組機86は、マンドレル90上の編組繊維88である。結果として生じる管100は、
図6に示されるように、その間に狭いネック104を有する所望のサイズの球状部102を備える。バルブ102はバスケットアセンブリ40の上に嵌合するようにサイズ決めされているが、ネック104は挿入管25の遠位端の上にぴったりと嵌合する(
図2に示される)。編組機86の編組パラメータは、球状部102が所望のサイズ(例えば、所望の直径又は面積)の開口部(細孔103)を収容するように設定される。
【0032】
バスケットアセンブリ40などのシース60と拡張可能アセンブリとの間の堅固な接触を確実にするために、シース60は、拡張可能アセンブリよりもわずかに小さくなるようにサイズ決めすることができる。例えば、各球状部102(シース60の内径を定義する)は、球状部102の最大外径が、それが嵌合する拡張可能アセンブリの最大外径(OD)よりも約5%~20%小さくなるようにサイズ決定することができる。拡張可能アセンブリの最大ODは、拡張可能アセンブリの半径方向の最も外側の点(例えば、1つの電極から直径方向に対向する電極まで、又は1つのスパインから直径方向に対向するスパインまで)から測定することができる。
【0033】
管100内のネック104を切断して、管を複数の別個の球状部102に分離し、その各々がシース分離ステップ76でシース60になる。球状部102を個々のシース60に分離する前に、下にある球状突起84を収縮させ(先に膨張した場合)、管100を通して引き抜く。あるいは、球状突起84は、球状部102を別個の片に分離した後に引き抜かれ得る。前述のように、球状部102の遠位端は、繊維88のゆるやかな端部を接着剤で一緒に留め、端部を一緒に溶融すること、又は任意の他の好適な封止方法によって、切断後に閉じられる。次いで、シース60をバスケットアセンブリ40の上に嵌合させる。
【0034】
図7A及び7Bは、それぞれ、上述した編組された管から製造されたシースとともに使用することができる、それぞれ、例示的な拡張可能部材40及び40’の側面図である。シース60(直前の球状部102)は、拡張可能アセンブリ40(
図7A)又は拡張可能アセンブリ40’(
図7B)を圧縮することによって拡張可能アセンブリ40又は40’上に嵌合されているため、アセンブリ40又は40’がシース60のより小さな管状部分(例えば、ネック104)内に嵌合される。
【0035】
図7Bの例では、拡張可能アセンブリ40’は、挿入管25の遠位端に結合されたバルーン膜70の形態である。複数の電極54’は、膜70の外面上に配設されたそれぞれの基板55上に配設することができる。導電性部材72を使用して、電気エネルギーをそれぞれの電極54’に送達することができる。導電性部材72は、電気トレースの形態で膜70の内側又は外側に配設することができる。あるいは、導電性部材72は、バルーン膜70によって画定される内部容積内に配設されたワイヤであり得る。導電性部材72は、挿入管25を通ってコンソール24までずっと延びることができる。潅注細孔74は、バルーン膜70を通って延びて、挿入管25から送達された潅注流体が膜70を通って、シース60の細孔103を通って流れることを可能にする。アクチュエータ46(破線で示される)は、アクチュエータ46が遠位端48に固定されるように、膜70の内側に取り付けることができ、挿入管25に対する遠位端48の伸長(すなわち、膜70をより小さな外側外形に圧縮する)又は挿入管25に対する遠位端48の後退(すなわち、膜70をより大きい外形に拡張させる)を可能にする。膜70は、典型的には、多孔質コーティング60よりも可撓性の低い材料で作製される。
【0036】
拡張可能部材40’の組み立ては、膜70を収縮させ、部材40’をシース60のより小さな管(例えば、ネック104)に挿入することによって完了することができる。その後、部材40’を膨張させることができ、シース60の端部は、膜70の近位端及び遠位端で接合することができる。この種の拡張可能な部材40’の詳細は、米国特許出願公開第2021/0169567号に記載されており、これは、本明細書に記載されているように参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例0037】
実施例1:医療装置(20)であって、患者の体腔内に挿入するように構成された挿入管(25)と、挿入管の遠位に接続され、かつ電極(54)を備える、拡張可能アセンブリ(40)であって、電極が、体腔内の組織に電気エネルギーを印加するように構成されている、拡張可能アセンブリ(40)と、を備える、医療装置(20)。可撓性多孔質シース(60)は、拡張可能アセンブリの上に嵌合されており、かつ電気エネルギーが電極からシースを通って組織に印加されるように、体腔内の組織に接触するように構成されている。
実施例2:シースが、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、実施例1に記載の装置。
実施例3.シースが、編組ポリマー繊維を含む、実施例1に記載の装置。
実施例4.編組ポリマー繊維が、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、実施例3に記載の装置。
実施例5:編組ポリマー繊維が、ポリアミドを含む、実施例3に記載の装置。
実施例6:シースは、直径が変化する管として編組されている、実施例3に記載の装置。
実施例7:シースが、親水性コーティングを有するポリマー繊維を含む、実施例1に記載の装置。
実施例8:シースが、疎水性コーティングを有するポリマー繊維を含む、実施例1に記載の装置。
実施例9:拡張可能アセンブリが、1つ又は2つ以上の潅注出口を備え、前記潅注出口が、挿入管からシースを通して組織に潅注流体を輸送するように結合されている、実施例1に記載の装置。
実施例10:シースは、血液が体腔からシースを通って内側に貫通することを阻止しながら、潅注流体が1つ又は2つ以上の潅注出口からシースを通って組織に外側に通過することを可能にするように選択された布を含む、実施例9に記載の装置。
実施例11:多孔質シースが、10μm2~100,000μm2のそれぞれの面積を有する細孔を備える、実施例10に記載の装置。
実施例12:細孔のそれぞれの面積が、100μm2~10,000μm2である、実施例11に記載の装置。
実施例13:潅注ポンプを備え、潅注ポンプが、潅注出口への輸送のために潅注流体を挿入管に供給するように結合されている、実施例9に記載の装置。
実施例14:拡張可能アセンブリが、それぞれの近位先端及び遠位先端を有する複数の弾性スパインを備え、スパインの近位先端が、拡張可能アセンブリの近位端部で機械的に接合されており、スパインの遠位先端が、拡張可能アセンブリの遠位端部で機械的に接合されており、拡張可能アセンブリが体腔内で展開されると、スパインが半径方向外側に湾曲し、それによってシースを体腔内の組織と接触させる、実施例1に記載の装置。
実施例15:スパインが、導電性材料を含み、導電性材料が、電極として機能するように構成されている、実施例14に記載の装置。
実施例16:スパインは、装置が体腔内に挿入されている間、スパインが挿入管の軸に沿って整列されるように、半径方向内側に折り畳まれるように構成されている、実施例14に記載の装置。
実施例17:電気信号発生器を備え、電気信号発生器が、組織をアブレーションするのに十分な振幅で電極に電気エネルギーを印加するように構成されている、実施例1に記載の装置。
実施例18:電気信号発生器は、電極からシースを通して印加される電気エネルギーが組織内に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすように、十分な振幅で電極に双極電気パルスを印加するように構成されている、実施例17に記載の装置。
実施例19:電気信号発生器は、電極からシースを通して印加される電気エネルギーが組織の熱的アブレーションを引き起こすように、十分な電力で電極に高周波(RF)電流を印加するように構成されている、実施例17に記載の装置。
実施例20:拡張可能アセンブリは、電極が配設された外面を有するバルーン膜を備え、複数の電極の各々が、挿入管を通って延びる少なくとも1つのそれぞれの導電性部材に電気的に接続されており、潅注細孔が、潅注流体を挿入管から潅注細孔を通して流すことを可能にするようにバルーン膜を通って延びる、実施例1に記載の装置。
実施例21:医療デバイスを製造するための方法は、患者の体腔内に挿入するように構成された挿入管(25)を提供することと、電極(54)を備える拡張可能アセンブリ(40)を挿入管に遠位に接続することと、を含む。可撓性多孔質シース(60)は、挿入管が体腔内に挿入されたときに、シースが体腔内の組織に接触するように、拡張可能アセンブリの上に嵌合される。
実施例22:可撓性多孔質シースを嵌合させることが、ポリマー繊維を編組してシースを形成することを含む、実施例21に記載の方法。
実施例23:ポリマー繊維を編組することは、直径が変化する管を編組することを含む、実施例22に記載の方法。
実施例24:管を編組することが、シャフトに沿って配設された複数の球状突起を含むマンドレルの上にポリマー繊維を編組することと、編組された管を切断して、複数のシースを形成することと、を含む、実施例23に記載の方法。
実施例25:親水性コーティングをポリマー繊維に適用することを含む、実施例22に記載の方法。
実施例26:疎水性コーティングをポリマー繊維に適用することを含む、実施例22に記載の方法。
【0038】
本開示の様々な特徴が、明確性のために別個の実施例の文脈において記載されているが、これらはまた、単一の実施例に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施例の文脈において記載されている本開示の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0039】
上に記載される実施例は例として挙げたものであり、本開示は本明細書の上記で具体的に図示及び記載されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本開示の範囲は、本明細書の上記した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者に着想されるであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) 医療装置であって、
患者の体腔内に挿入するように構成された挿入管と、
前記挿入管の遠位に接続され、かつ電極を備える、拡張可能アセンブリであって、前記電極が、前記体腔内の組織に電気エネルギーを印加するように構成されている、拡張可能アセンブリと、
可撓性多孔質シースであって、前記拡張可能アセンブリの上に嵌合されており、かつ前記電気エネルギーが前記電極から前記シースを通って前記組織に印加されるように、前記体腔内の前記組織に接触するように構成されている、可撓性多孔質シースと、を備える、装置。
(2) 前記シースが、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記シースが、編組ポリマー繊維を含む、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記編組ポリマー繊維が、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記編組ポリマー繊維が、ポリアミドを含む、実施態様3に記載の装置。
【0041】
(6) 前記シースは、直径が変化する管として編組されている、実施態様3に記載の装置。
(7) 前記シースが、親水性コーティングを有するポリマー繊維を含む、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記シースが、疎水性コーティングを有するポリマー繊維を含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記拡張可能アセンブリが、1つ又は2つ以上の潅注出口を備え、前記潅注出口が、前記挿入管から前記シースを通して前記組織に潅注流体を輸送するように結合されている、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記シースは、血液が前記体腔から前記シースを通って内側に貫通することを阻止しながら、前記潅注流体が前記1つ又は2つ以上の潅注出口から前記シースを通って前記組織に外側に通過することを可能にするように選択された布を含む、実施態様9に記載の装置。
【0042】
(11) 前記多孔質シースが、10μm2~100,000μm2のそれぞれの面積を有する細孔を備える、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記細孔の前記それぞれの面積が、100μm2~10,000μm2である、実施態様11に記載の装置。
(13) 潅注ポンプを備え、前記潅注ポンプが、前記潅注出口への輸送のために前記潅注流体を前記挿入管に供給するように結合されている、実施態様9に記載の装置。
(14) 前記拡張可能アセンブリが、それぞれの近位先端及び遠位先端を有する複数の弾性スパインを備え、前記スパインの前記近位先端が、前記拡張可能アセンブリの近位端部で機械的に接合されており、前記スパインの前記遠位先端が、前記拡張可能アセンブリの遠位端部で機械的に接合されており、前記拡張可能アセンブリが前記体腔内で展開されると、前記スパインが半径方向外側に湾曲し、それによって前記シースを前記体腔内の前記組織と接触させる、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記スパインが、導電性材料を含み、前記導電性材料が、電極として機能するように構成されている、実施態様14に記載の装置。
【0043】
(16) 前記スパインは、前記装置が前記体腔内に挿入されている間、前記スパインが前記挿入管の軸に沿って整列されるように、半径方向内側に折り畳まれるように構成されている、実施態様14に記載の装置。
(17) 電気信号発生器を備え、前記電気信号発生器が、前記組織をアブレーションするのに十分な振幅で前記電極に電気エネルギーを印加するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(18) 前記電気信号発生器は、前記電極から前記シースを通って印加される前記電気エネルギーが前記組織内に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすように、十分な振幅で前記電極に双極電気パルスを印加するように構成されている、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記電気信号発生器は、前記電極から前記シースを通って印加される前記電気エネルギーが前記組織の熱的アブレーションを引き起こすように、十分な電力で前記電極に高周波(RF)電流を印加するように構成されている、実施態様17に記載の装置。
(20) 前記拡張可能アセンブリは、前記電極が上に配設された外面を有するバルーン膜を備え、前記複数の電極の各々が、前記挿入管を通って延びる少なくとも1つのそれぞれの導電性部材に電気的に接続されており、潅注細孔が、潅注流体を前記挿入管から前記潅注細孔を通して流すことを可能にするように前記バルーン膜を通って延びる、実施態様1に記載の装置。
【0044】
(21) 医療デバイスを製造するための方法であって、
患者の体腔内に挿入するように構成された挿入管を提供することと、
電極を備える拡張可能アセンブリを前記挿入管に遠位に接続することと、
前記挿入管が前記体腔内に挿入されたときに、可撓性多孔質シースが前記体腔内の組織に接触するように、前記拡張可能アセンブリの上に前記シースを嵌合させることと、を含む、方法。
(22) 前記シースが、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記可撓性多孔質シースを嵌合させることが、ポリマー繊維を編組して、前記シースを形成することを含む、実施態様21に記載の方法。
(24) 前記ポリマー繊維が、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、実施態様23に記載の方法。
(25) 前記ポリマー繊維が、ポリアミドを含む、実施態様23に記載の方法。
【0045】
(26) 前記ポリマー繊維を編組することは、直径が変化する管を編組することを含む、実施態様23に記載の方法。
(27) 前記管を編組することが、シャフトに沿って配設された複数の球状突起を含むマンドレルの上にポリマー繊維を編組することと、前記編組された管を切断して、複数のシースを形成することと、を含む、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記ポリマー繊維に親水性コーティングを適用することを含む、実施態様23に記載の方法。
(29) 前記ポリマー繊維に疎水性コーティングを適用することを含む、実施態様23に記載の方法。
(30) 前記多孔質シースが、10μm2~100,000μm2のそれぞれの面積を有する細孔を備える、実施態様21に記載の方法。
【0046】
(31) 前記細孔の前記それぞれの面積が、100μm2~10,000μm2である、実施態様21に記載の方法。
(32) 前記挿入管から前記シースを通して前記組織に潅注流体を輸送することを含む、実施態様21に記載の方法。
(33) 前記シースは、血液が前記体腔から前記シースを通って内側に貫通することを阻止しながら、前記潅注流体が前記1つ又は2つ以上の潅注出口から前記シースを通って前記組織に外側に通過することを可能にするように選択された布を含む、実施態様32に記載の方法。
(34) 前記拡張可能アセンブリを接続することは、前記拡張可能アセンブリの近位端部で複数の弾性スパインのそれぞれの遠位先端を一緒に接合することと、前記拡張可能アセンブリの遠位端部で前記スパインのそれぞれの遠位先端を一緒に接合することと、を含み、その結果、前記拡張可能アセンブリが前記体腔内で展開されると、前記スパインが半径方向外側に湾曲し、それによって前記シースを前記体腔内の前記組織と接触させる、実施態様21に記載の方法。
(35) 前記スパインが、導電性材料を含み、前記導電性材料が、電極として機能するように構成されている、実施態様34に記載の方法。
【0047】
(36) 前記スパインは、前記拡張可能アセンブリが前記体腔内に挿入されている間、前記スパインが前記挿入管の軸に沿って整列されるように、半径方向内側に折り畳まれる、実施態様34に記載の方法。
(37) 前記電極から前記シースを通して前記体腔内の前記組織に電気エネルギーを印加するために、電気信号発生器を結合することを含む、実施態様21に記載の方法。
(38) 前記電気信号発生器を結合することが、前記体腔内の前記組織をアブレーションするために、前記電気エネルギーを印加することを含む、実施態様37に記載の方法。
(39) 前記電気エネルギーを印加することは、前記電極から前記シースを通って印加される前記電気エネルギーが前記組織内に不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を引き起こすように、十分な振幅で前記電極に双極電気パルスを印加することを含む、実施態様38に記載の方法。
(40) 前記電気エネルギーを印加することは、前記電極から前記シースを通って印加される前記電気エネルギーが前記組織の熱的アブレーションを引き起こすように、十分な電力で前記電極に高周波(RF)電流を印加することを含む、実施態様38に記載の方法。