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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031330
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】熱交換素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20230302BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20230302BHJP
   F28F 21/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
F28F3/08 301A
F28F3/04 B
F28F21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136751
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】391033436
【氏名又は名称】大同紙工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井関 功
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 泰人
(57)【要約】
【課題】対向流路の流入側および排出側に分離流路を有する熱交換素子を、片面段ボール紙を使用して少ない工数で容易に製造する。
【解決手段】片面段ボール紙2を多段に重ねて一次側流路3と二次側流路4を交互に形成し、片面段ボール紙2は、ライナー材21と、ライナー材21の上に段を形成する波型状のしん材22を備え、しん材22の波型が形成する流路は、給気変向流路部24および排気変向流路部25を有するとともに、両側の変向流路部24、25の間に中間流路部26を有し、ライナー材21を介して隣り合う変向流路部24、25は互いに異なる方向に変向し、給気変向流路部24の給気口24aから排気変向流路部25の排気口25aに至るまでの全流路を、一枚のライナー材21に形成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面段ボール紙を多段に重ねて一次側流路と二次側流路を交互に形成し、
片面段ボール紙は、ライナー材と、ライナー材の上に段を形成する波型状のしん材を備え、
しん材の波型が形成する流路は、給気側および排気側に変向流路部を有するとともに、両側の変向流路部の間に中間流路部を有し、
ライナー材を介して隣り合う変向流路部は互いに異なる方向に変向し、
給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、一枚のライナー材上に形成したことを特徴とする熱交換素子。
【請求項2】
給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、一枚のしん材で形成したことを特徴とする請求項1に記載の熱交換素子。
【請求項3】
一枚のライナー材の上に、給気側の変向流路部を形成するしん材と、排気側の変向流路部を形成するしん材と、中間流路部を形成するしん材を配置して、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を形成したことを特徴とする請求項1に記載の熱交換素子。
【請求項4】
ライナー材の上に、段を形成する波型状のしん材を配置して片面段ボール紙を形成し、 しん材の波型で形成する流路の給気側および排気側に変向流路部を設けるとともに、両側の変向流路部の間に中間流路部を設け、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、一枚のライナー材上に形成し、
片面段ボール紙を断裁して枚葉の素子を形成し、
枚葉の素子を多段に重ね、かつライナー材を介して隣り合う変向流路部が互いに異なる方向に変向するように配置して、一次側流路と二次側流路を交互に形成したことを特徴とする熱交換素子の製造方法。
【請求項5】
一枚のしん材に、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、段ロールによるコルゲート加工で形成し、
段ロールは、軸心方向の全長にわたって連続する単一ロールからなり、ロール外周にしん材を波型に形成する歯を有し、
歯は、中間流路部に対応する中間部位の歯条が段ロールの軸心と平行をなし、給気側および排気側の変向流路部に対応する両側部位の歯条が段ロールの軸心に対してねじれ角を有することを特徴とする請求項4に記載の熱交換素子の製造方法。
【請求項6】
一枚のしん材に、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、段ロールによるコルゲート加工で形成し、
段ロールは、軸心方向に連接して一体に回転する複数ロールからなり、各ロールのロール外周にしん材を波型に形成する歯を有し、
歯は、中間流路部に対応する中間部ロールの歯条が段ロールの軸心と平行をなし、給気側および排気側の変向流路部に対応する両側部ロールの歯条が段ロールの軸心に対してねじれ角を有することを特徴とする請求項4に記載の熱交換素子の製造方法。
【請求項7】
一枚のしん材に、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、一対の段ロールによるコルゲート加工で形成し、
双方の段ロールは、軸心方向に連接して一体に回転する複数ロールからなり、各ロールのロール外周にしん材を波型に形成する歯を有し、
歯は、中間流路部に対応する中間部ロールの歯条が段ロールの軸心と平行をなし、給気側および排気側の変向流路部に対応する両側部ロールの歯条が段ロールの軸心に対してねじれ角を有し、
すべての側部ロールの歯条は、同じねじれ角を有し、しん材を介して相対向する側部ロールにおいて歯条のねじれ方向が相反し、中間部ロールの両側にある側部ロールにおいて歯条のねじれ方向が相反し、
一対の段ロールをしん材の排出側から見て、しん材を介して相対向する側部ロールの歯条が、段ロールの軸心方向外側に向けてしん材に近づく方向に伸びることを特徴とする請求項4に記載の熱交換素子の製造方法。
【請求項8】
しん材が、給気側の変向流路部を形成するしん材と、給気側の変向流路部を形成するしん材と、中間流路部を形成するしん材からなり、それぞれのしん材を別途の段ロールでコルゲート加工して、一枚のライナー材の上に貼り付けて、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を形成したことを特徴とする請求項4に記載の熱交換素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片面段ボール紙からなる熱交換素子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の熱交換素子には、例えば特許文献1に記載するものがある。これは、透湿性のある紙で作られたライナーと、透湿性のあるクレープ紙で作られた波板とからなり、双方を接着剤で接合し、片面段ボール状のフィルターを形成し、この片面段ボールを多数枚積層接着したものであり、上下方向に隣り合うフィルターの段目の方向が互いに直交する方向に向いている。
【0003】
また、特許文献2の熱交換素子は、仕切板と、断面が波形状を呈する間隔板とを交互に積層して、対向流路部と第1の分離流路部および第2の分離流路部を形成している。対向流路部は、仕切板および間隔板の積層方向に沿った方向において、第1流路と第2流路とが仕切板を挟んで交互に形成されており、仕切板を介して隣り合う間隔板同士は互いの波形状の段頂を平行にして配置されている。
【0004】
第1の分離流路部および第2の分離流路部は、第1流路を流れる空気と第2流路を流れる空気を異なる方向に分離する。対向流路部の各仕切板と第1の分離流路部の各仕切板がテープで接合され、対向流路部の各仕切板と第2の分離流路部の各仕切板とがテープで接合される。
【0005】
特許文献3は、所定間隔で離隔して積層した複数の伝熱板間のそれぞれに通風路を形成し、各通風路に1段おきに一次気流と二次気流を交互に流通させて一次気流と二次気流の間で熱交換する熱交換器であり、伝熱板の一部に凸部または凹部のどちらか一方、あるいは凹凸部を形成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-64357
【特許文献2】WO2016-147359
【特許文献3】特開2009-210235
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の一般的な片面段ボール紙は、ライナーが平板であり、中芯が波型状をなして段を形成しており、段は段頂が直線状に伸びている。
【0008】
この片面段ボール紙を使用して熱交換素子を形成する場合、基本的に一次側流路および二次側流路は流路形状が直線状をなす。
【0009】
この結果、熱交換素子において対向流路の流入側および排出側に分離流路を設ける場合に、対向流路と分離流路は連続した一つの部材では形成することができず、それぞれ別々の片面段ボール紙から切り出した部材で対向流路部分と、分離流路部分のそれぞれを形成した後に、双方を接続することで、連続した流路を形成している。
【0010】
このように、対向流路の流入側および排出側に、対向流路の軸心方向とは異なる方向に向けて分離流路を形成する場合には、制作工程が複雑で工数の多い作業となる問題があった。
【0011】
本発明は上記した課題を解決するものであり、対向流路の流入側および排出側に分離流路を有する熱交換素子を、片面段ボール紙を使用して少ない工数で容易に製造することができる熱交換素子および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明の熱交換素子は、片面段ボール紙を多段に重ねて一次側流路と二次側流路を交互に形成し、片面段ボール紙は、ライナー材と、ライナー材の上に段を形成する波型状のしん材を備え、しん材の波型が形成する流路は、給気側および排気側に変向流路部を有するとともに、両側の変向流路部の間に中間流路部を有し、ライナー材を介して隣り合う変向流路部は互いに異なる方向に変向し、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、一枚のライナー材上に形成したことを特徴とする。
【0013】
本発明の熱交換素子において、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、一枚のしん材で形成したことを特徴とする。
【0014】
本発明の熱交換素子において、一枚のライナー材の上に、給気側の変向流路部を形成するしん材と、排気側の変向流路部を形成するしん材と、中間流路部を形成するしん材を配置して、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を形成したことを特徴とする。
【0015】
本発明の熱交換素子の製造方法は、ライナー材の上に、段を形成する波型状のしん材を配置して片面段ボール紙を形成し、しん材の波型で形成する流路の給気側および排気側に変向流路部を設けるとともに、両側の変向流路部の間に中間流路部を設け、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、一枚のライナー材上に形成し、片面段ボール紙を断裁して枚葉の素子を形成し、枚葉の素子を多段に重ね、かつライナー材を介して隣り合う変向流路部が互いに異なる方向に変向するように配置して、一次側流路と二次側流路を交互に形成したことを特徴とする。
【0016】
本発明の熱交換素子の製造方法において、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、一枚のしん材を単一の段ロールでコルゲート加工して形成したことを特徴とする。
【0017】
本発明の熱交換素子の製造方法において、一枚のしん材に、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、段ロールによるコルゲート加工で形成し、段ロールは、軸心方向の全長にわたって連続する単一ロールからなり、ロール外周にしん材を波型に形成する歯を有し、歯は、中間流路部に対応する中間部位の歯条が段ロールの軸心と平行をなし、給気側および排気側の変向流路部に対応する両側部位の歯条が段ロールの軸心に対してねじれ角を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の熱交換素子の製造方法において、一枚のしん材に、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、段ロールによるコルゲート加工で形成し、段ロールは、軸心方向に連接して一体に回転する複数ロールからなり、各ロールのロール外周にしん材を波型に形成する歯を有し、歯は、中間流路部に対応する中間部ロールの歯条が段ロールの軸心と平行をなし、給気側および排気側の変向流路部に対応する両側部ロールの歯条が段ロールの軸心に対してねじれ角を有することを特徴とする。
【0019】
本発明の熱交換素子の製造方法において、一枚のしん材に、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を、一対の段ロールによるコルゲート加工で形成し、双方の段ロールは、軸心方向に連接して一体に回転する複数ロールからなり、各ロールのロール外周にしん材を波型に形成する歯を有し、歯は、中間流路部に対応する中間部ロールの歯条が段ロールの軸心と平行をなし、給気側および排気側の変向流路部に対応する両側部ロールの歯条が段ロールの軸心に対してねじれ角を有し、すべての側部ロールの歯条は、同じねじれ角を有し、しん材を介して相対向する側部ロールにおいて歯条のねじれ方向が相反し、中間部ロールの両側にある側部ロールにおいて歯条のねじれ方向が相反し、一対の段ロールをしん材の排出側から見て、しん材を介して相対向する側部ロールの歯条が、段ロールの軸心方向外側に向けてしん材に近づく方向に伸びることを特徴とする。
【0020】
本発明の熱交換素子の製造方法において、しん材が、給気側の変向流路部を形成するしん材と、給気側の変向流路部を形成するしん材と、中間流路部を形成するしん材からなり、それぞれのしん材を別途の段ロールでコルゲート加工して、一枚のライナー材の上に貼り付けて、給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
上記構成において、片面段ボール紙の段の波型が形成する流路、つまり給気側の変向流路部の給気口から排気側の変向流路部の排気口に至るまでの全流路を一枚のライナー上に形成しているので、片面段ボール紙を断裁して枚葉の素子を形成し、枚葉の素子を多段に重ねるだけで、対向流路の流入側および排出側に分離流路を有する熱交換素子を、少ない工数で容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態にかかる片面段ボール紙を示す模式図
図2】同実施の形態にかかる片面段ボール紙を枚葉に裁断し、さらに六角形の素子に裁断する場合を示す模式図
図3】同実施の形態にかかる片面段ボール紙を枚葉に裁断した後に、紙面に垂直な軸廻りに180度回転させた状態を示し、その後に六角形の素子に裁断する場合を示す模式図
図4】同実施の形態にかかる枚葉に裁断した片面段ボール紙の素子を多段に重ねた状態を示す模式図
図5】同実施の形態にかかる片面段ボール紙をコルゲート加工する段ロールを示す模式図
図6】他の実施の形態にかかる片面段ボール紙をコルゲート加工する段ロールを示す模式図
図7】同実施の形態にかかる片面段ボール紙をコルゲート加工する一対の段ロールの模式図を示し、段ロールの軸心方向から見た側面図
図8】同実施の形態にかかる片面段ボール紙をコルゲート加工する一対の段ロールの模式図を示し、しん材の供給側から見た正面図
図9】同実施の形態にかかる片面段ボール紙をコルゲート加工する一対の段ロールの模式図を示し、しん材の排出側から見た正面図
図10】本発明の他の実施の形態にかかる片面段ボール紙を示し、ライナー材上に形成する段のパターンが対称形をなす2種類の片面段ボール紙を示す模式図
図11】同実施の形態にかかる一方の片面段ボール紙を枚葉に裁断し、さらに六角形の素子に裁断する場合を示す模式図
図12】同実施の形態にかかる他方の片面段ボール紙を枚葉に裁断し、さらに六角形の素子に裁断する場合を示す模式図
図13】同実施の形態にかかる枚葉に裁断した片面段ボール紙の素子を多段に重ねた状態を示す模式図
図14】本発明の他の実施の形態にかかる片面段ボール紙を示し、給気側の変向流路部を形成するしん材と、給気側の変向流路部を形成するしん材と、中間流路部を形成するしん材のそれぞれを別途の段ロールでコルゲート加工して、一枚のライナー材の上に貼り付けた片面段ボール紙を示す模式図
図15】同実施の形態にかかる片面段ボール紙をコルゲート加工する段ロールを示す模式図
図16】同実施の形態にかかる片面段ボール紙を枚葉に裁断した素子を示す模式図
図17】本発明の他の実施の形態にかかる片面段ボール紙を示す模式図
図18】同実施の形態にかかる片面段ボール紙を枚葉に裁断してなる矩形の素子を多段に重ねた熱交換素子に、給気口部および排気口部を装着した状態を示し、一次側流路の素子を示す平面図
図19】同実施の形態にかかる片面段ボール紙を枚葉に裁断してなる矩形の素子を多段に重ねた熱交換素子に、給気口部および排気口部を装着した状態を示し、二次側流路の素子を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施例1)
図1から図4において、本実施の形態にかかる熱交換素子1は、全熱交換器に使用するものであり、片面段ボール紙2を多段に重ねて一次側流路3と二次側流路4を交互に形成したものである。
【0024】
片面段ボール紙2は、図1に示すように、連続紙のライナー材21の上に、連続紙を波型状にコルゲート加工したしん材22を配置して段を形成し、その後に矩形状の枚葉の素子2aに裁断したものである。本実施の形態では、さらに所定形状、ここでは6角形の素子2bに裁断している。
【0025】
そして、図2に示すように、正方向に向けて配置した6角形の素子2bと、図3に示すように、図面の紙面上において180度回転させた6角形の素子2bを、交互に多段に重ねて、図4に示す熱交換素子1を形成する。
【0026】
片面段ボール紙2を形成するライナー材21とライナー材21の上に段を形成する波型状のしん材22は透湿性と伝熱性を備えている。しん材22には強度の強い材料、例えば不織布、坪量の大きい紙を使用する。
【0027】
しん材22は波型で流路23を形成しており、しん材22の波型が形成する流路23が熱交換素子1の一次側流路3もしくは二次側流路4となる。しん材22の流路23は、給気側に給気変向流路部(分離流路)24を有し、排気側に排気変向流路部(分離流路)25を有するとともに、両側の変向流路部24、25の間に中間流路部(対向流路)26を有しており、給気変向流路部24の給気口24aから排気変向流路部25の排気口25aに至るまでの全流路を、一枚のライナー材21上に、一枚の心材22で形成している。
【0028】
本実施の形態では、給気変向流路部24の給気口24aと排気変向流路部25の排気口25aは、六角形の素子2bに裁断する前の矩形状の素子2aにおいて、同じ一辺側に向けて開口している。
【0029】
そして、片面段ボール紙2の素子2bを多段に重ねた熱交換素子1は、ライナー材21を介して上下の流路23の給気変向流路部24と排気変向流路部25が隣り合い、給気変向流路部24と排気変向流路部25が互いに異なる方向に変向し、熱交換素子1の一次側流路3と二次側流路4が交互に形成されている。
【0030】
熱交換素子1を全熱交換器に装着する際には、全熱交換器の所定の枠内に熱交換素子1を配置するとともに、枠と熱交換素子1の間にシリコン樹脂を充填し、枠と熱交換素子1を接着するとともに、空気の漏れを遮断する。
【0031】
上記の構成によれば、片面段ボール紙の段の波型が形成する流路、つまり給気変向流路部24の給気口24aから排気変向流路部25の排気口25aに至るまでの全流路を一枚のライナー材21の上に形成しているので、片面段ボール紙2を断裁して枚葉の素子2a、2bを形成し、枚葉の素子2a、2bを多段に重ねるだけで、対向流路の流入側および排出側に分離流路を有する熱交換素子1を、少ない工数で容易に製造することができる。
(段ロール)
本実施の形態では、しん材22のコルゲート加工に、図5に示す、単一の段ロール61を使用している。段ロール61は上下に一対を配して使用する。
【0032】
段ロール61は、軸心方向の全長にわたって連続する単一ロールからなり、ロール外周面にはしん材22に波型の段を形成するための凸条をなす複数の歯81と、隣り合う歯1の間の凹状をなす溝82を有している。歯81および溝82は段ロール61の軸心方向の全長にわたって伸びている。
【0033】
歯81は、中間流路部26に対応する中間部位の歯条81aが段ロール61の軸心と平行をなし、給気側および排気側の変向流路部24、25に対応する両側部位の歯条81b、81cが段ロール61の軸心に対してねじれ角を有する。
【0034】
この段ロール61によるコルゲート加工により、一枚のしん材22に、給気変向流路部24の給気口24aから排気変向流路部25の排気口25aに至るまでの全流路が形成される。
【0035】
本実施の形態では、単一の段ロール61を使用したが、図6から図9に示すように、複数ロールからなる一対の段ロール71、72を使用することもできる。この段ロール71、72は、軸心方向に連接する中間部ロール71a、72aと両側部ロール71b、71c、72b、72cの複数ロールからなる。中間部ロール71a、72aと両側部ロール71b、71c、72b、72cはそれぞれの軸71d、72dにキー73によって軸心周りに固定し、中間部ロール71a、72aと両側部ロール71b、71c、72b、72cが一体に回転する。
【0036】
中間部ロール71a、72aは、単数もしく複数とすることができ、あるいは中間部ロール71a、72aをなくして両側部ロール71b、71c、72b、72cのみとすることも可能である。
【0037】
各ロール71a、72a、71b、71c、72b、72cは、ロール外周にしん材22を波型に形成する歯81を有している。
【0038】
歯81は、中間流路部26に対応する中間部ロール71a、72aの歯条81aが段ロール71、72の軸心と平行な平歯状をなし、給気側および排気側の変向流路部24、25に対応する両側部ロール71b、71c、72b、72cの歯条81b、81cが段ロール71の軸心に対してねじれ角を有するはす歯状をなす。
【0039】
図7に示すように、一対の段ロール71、72は上下に配しており、しん材22の供給側にはしん材22の浮き上がりを抑える一対のローラ74を配している。ローラ74に替えて板状の部材により形成するスリット構造とすることも可能である。
【0040】
双方の段ロール71、72のすべての側部ロール71b、71c、72b、72cの歯条は、同じねじれ角を有する。そして、しん材22を介して相対向する側部ロール71bと側部ロール72b、および側部ロール71cと側部ロール72cにおいて歯条81b、81cのねじれ方向が相反する。また、中間部ロール71a、72aの両側にある側部ロール71bと側部ロール71c、および側部ロール72bと側部ロール72cにおいて歯条81b、81cのねじれ方向が相反している。
【0041】
図8に示すように、一対の段ロール71、72をしん材22の供給側から見て、しん材22を介して相対向する側部ロール71bと側部ロール72b、および側部ロール71cと側部ロール72cの歯条81b、81cが、段ロール71、72の軸心方向外側に向けてしん材22から離隔する方向に伸びている。
【0042】
しん材22が一対の段ロール71、72の間に入り込む時、中間部ロール71a、72aの両側にある側部ロール71bと側部ロール71cの間、および側部ロール72bと側部ロール72cの間に挟まれるしん材22には、段ロール71、72の軸心方向の外側に向けて力Fが作用するとともに、段ロール71、72の軸心に対する角度が異なる歯条81aと歯条81b、81cの間でしん材が浮き上がり、その状態のまま皺になりつつ段を形成する場合がある。このため、一対のローラ74の供給側においてローラ74でしん材22の浮き上がりを抑えることで皺の発生を防止する。この効果は、先に述べたようにスリット構造で代替することも可能である。
【0043】
図9に示すように、一対の段ロール71、72をしん材22の排出側から見て、しん材22を介して相対向する側部ロール71bと側部ロール72b、および側部ロール71cと側部ロール72cの歯条81b、81cが、段ロール71、72の軸心方向外側に向けてしん材22に近づく方向に伸びている。
【0044】
しん材22が一対の段ロール71、72の間から排出される時、中間部ロール71a、72aの両側にある側部ロール71bと側部ロール71cの間、および側部ロール72bと側部ロール72cの間から排出されるしん材22には、段ロール71、72の軸心方向の外側に向けて力Fが作用する
この構造により、一対の段ロール71、72のしん材22の排出側では、歯条81b、81cがしん材22を段ロール71、72の軸心方向外側に向けて広げるように作用し、しん材22のしわの発生を防止する。
【0045】
この段ロール71、72によるコルゲート加工により、一枚のしん材22に、給気変向流路部24の給気口24aから排気変向流路部25の排気口25aに至るまでの全流路が形成される。
(実施例2)
上記の実施例1では、熱交換素子1の一次側流路3と二次側流路4を形成する六角形の素子2bは、一つの連続紙をなす片面段ボール紙2から切り出した同一の流路形状を有するものであり、同じ流路形状を有する矩形状の枚葉の片面段ボール紙2を図面の紙面上において180度回転させることで、給気変向流路部24および排気変向流路部25を異なる方向に向かせた。この場合、給気変向流路部24の給気口24aと排気変向流路部25の排気口25aは、六角形の素子2bに裁断する前の片面段ボール紙2において、同じ一辺側に向けて開口している。
【0046】
しかし、図9に示すように、2種類の片面段ボール紙51、52を形成することも可能である。すなわち、図9に示すように、2つの連続紙のライナー材21の上に、それぞれ異なる波型状にコルゲート加工したしん材22a、22bを配置して段を形成する。
【0047】
この場合に、各片面段ボール紙51、52を裁断した矩形状の枚葉の素子51a、52aは、給気変向流路部24の給気口24aと排気変向流路部25の排気口25aとが、それぞれ矩形状の枚葉の素子51a、52aの相反する辺側に向けて開口している。
【0048】
そして、この矩形状の枚葉の素子51a、52aを裁断することで、図10に示す正方向の6角形の素子52bと、図11に示す逆方向の6角形の素子51bの2種類の素子51b、52bを形成する。
【0049】
そして、図12に示すように、2種類の素子51b、52bを、交互に多段に重ねて熱交換素子1を形成する。
(実施例3)
上記の実施例1および実施例2では、しん材22、22a、22bは単一の段ロールでコルゲート加工している。
【0050】
しかし、図13から図14に示すように、給気変向流路部24を形成するしん材22cと、排気変向流路部25を形成するしん材22dと、中間流路部26を形成するしん材22eをそれぞれ別途に、一枚のライナー材21の上に貼り付けて、給気変向流路部24の給気口24aから排気変向流路部25の排気口25aに至るまでの全流路を形成した片面段ボール紙61および矩形状の素子61aとすることも可能である。
【0051】
この場合には、図14に示すように、段ロール91は、それぞれのしん材22c、22d、22eをコルゲート加工する複数のロール91a、91b、91cを1本の軸91dの上に間隔をあけて装着してコルゲート加工する。
(実施例4)
上記の各実施例では、六角形に裁断した素子2b、素子51b、52bで熱交換素子1を形成した。しかし、図16から図18に示すように、矩形状に裁断した素子2aで熱交換素子1を形成し、熱交換素子1を全熱交換器の矩形の枠8の内部に配置することも可能である。ここでは、実施例1で説明した素子2aを例示したが、実施例2、3で説明した素子51a、52a、61aで熱交換素子1を形成することも可能である。
【0052】
また、上記の各実施例では、給気変向流路部24と排気変向流路部25の間の中間流路部26が直線状流路として説明したが、中間流路部26は曲線状流路に形成することも可能である。
【0053】
さらに、上記の各実施例では、しん材22、22a~22eはコルゲート加工材であるが、プレス成型材を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 熱交換素子
2、51、52、61 片面段ボール紙
2a、51a、52a、61a 矩形状の枚葉の素子
2b、51b、52b 6角形の素子
3 一次側流路
4 二次側流路
8 枠
21 ライナー材
22、22a、22b、22c、22d、22e しん材
23 流路
24 給気変向流路部
24a 給気口
25 排気変向流路部
25a 排気口
26 中間流路部
61、71、72 段ロール
71a、72a 中間部ロール
71b、71c、72b、72c 側部ロール
71d、72d 軸
73 キー
74 ロール
81 歯
82 溝
81a、81b、81c 歯条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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