(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031342
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】プリンタ、情報処理方法、プリンタシステム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20230302BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20230302BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B41J29/38 701
B41J29/00 E
H04N1/00 127Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136773
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 有二
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061BB10
2C061CG01
2C061CG15
2C061HK11
2C061HN15
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC22
5C062AC34
5C062BA00
(57)【要約】
【課題】プリンタの設定を従来よりも容易に行う。
【解決手段】本発明のある態様は、他のプリンタと無線通信可能なプリンタである。このプリンタは、他のプリンタに対して無線通信が可能となる程度に近付いた場合、他のプリンタの設定情報を無線通信により取得する取得部と、取得部によって取得された他のプリンタの設定情報を基に自身の設定を行う設定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のプリンタと無線通信可能なプリンタであって、
前記他のプリンタに対して無線通信が可能となる程度に近付いた場合、前記他のプリンタの設定情報を無線通信により取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記他のプリンタの設定情報を基に自身の設定を行う設定部と、
を備えたプリンタ。
【請求項2】
前記設定部が前記他のプリンタの設定情報を基にして自身の設定を行うことを許可する第1モード、又は、前記設定部が前記他のプリンタの設定情報を基にして自身の設定を行うことを許可しない第2モードのいずれかを、ユーザの操作に応じて選択するモード選択部をさらに備えた、
請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記取得部は、無線通信によって受信した前記他のプリンタの製品情報が、自身のプリンタの製品情報と異なる場合には、前記他のプリンタの設定情報のうち製品情報に依存しない設定情報を取得する、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記製品情報に依存しない設定情報は、複数の製品に共通で用いられる設定情報を含む、
請求項3に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記取得部は、無線通信によって受信した前記他のプリンタの製品情報が、自身のプリンタの製品情報と同じである場合には、前記他のプリンタの設定情報のうち前記製品情報に依存しない設定情報及び前記製品情報に依存する設定情報を取得する、
請求項1又は2に記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記製品情報に依存する設定情報は、印字速度、印字濃度、言語設定、印字動作に関する設定情報のうち少なくともいずれかを含む
請求項5に記載されたプリンタ。
【請求項7】
前記設定部は、前記他のプリンタの設定情報を基にした設定が完了した後には、前記他のプリンタとは異なるプリンタの設定情報を基にした設定を禁止する、
請求項1から6のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項8】
前記無線通信は、通信プロトコルとしてBluetooth(登録商標)又はBluetooth(登録商標) Low Energyを利用する通信である、
請求項1から7のいずれか一項に記載されたプリンタ。
【請求項9】
第1プリンタと第2プリンタの間の情報処理方法であって、
第1プリンタと第2プリンタは、互いに無線通信を実行可能であり、
前記情報処理方法は、
第1プリンタが第2プリンタに対して無線通信が可能となる程度に近付いた場合、第1プリンタが、第2プリンタの設定情報を無線通信により取得し、
第1プリンタが、取得した第2プリンタの設定情報を基に自身の設定を行う、
情報処理方法。
【請求項10】
互いに無線通信を実行可能な第1プリンタと第2プリンタを含むプリンタシステムであって、
前記第1プリンタは、
前記第2プリンタに対して無線通信が可能となる程度に近付いた場合、前第2プリンタの設定情報を無線通信により取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記第2プリンタの設定情報を基に自身の設定を行う設定部と、を備えた、
プリンタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、情報処理方法、及び、プリンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
新たに導入、あるいは運用を開始するプリンタに対しては、複数の項目に対して運用環境に適した設定を行う必要があるが、この設定作業は面倒である。例えば、プリンタに備わっている入力手段を利用してユーザが入力操作を行う場合、例えばLAN接続のためのパラメータ入力には多くの入力が必要であり、手間が掛かる。また、プリンタでは、コンピュータ端末と異なり、入力キー等が小さい場合が多く、画面も比較的小さいため、誤入力が比較的発生し易い。さらに、小型のモバイルプリンタでは、入力手段が備わっていないために手入力による設定ができない場合がある。
【0003】
そこで、プリンタの設定を容易かつ確実に行うための手法が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、NFC通信端末を利用し、あるプリンタのプリンタ設定情報をコピーして他のプリンタの設定に反映させる手法が記載されている。この手法によれば、プリンタは、NFC通信端末との間で通信可能となったときにNFC通信端末の端末記憶部に記憶保持されたプリンタ設定情報を読み取ってプリンタの設定情報記憶部に記憶保持する情報取得設定動作を行う情報取得設定部を備えるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の手法は、プリンタ間での設定情報をコピーに対してNFC通信端末を媒介させる必要がある。すなわち、ユーザがプリンタの設定を行う場合、ユーザは、NFC通信端末を携帯しなければならず、また、いったんコピー元のプリンタの設定情報をNFC通信端末に記憶させる必要がある。したがって、プリンタの設定をさらに容易化させることが望まれる。
そこで、本発明の目的は、プリンタの設定を従来よりも容易に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、他のプリンタと無線通信可能なプリンタであって、
前記他のプリンタに対して無線通信が可能となる程度に近付いた場合、前記他のプリンタの設定情報を無線通信により取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記他のプリンタの設定情報を基に自身の設定を行う設定部と、
を備えたプリンタである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、プリンタの設定を従来よりも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態のプリンタシステムの機能を説明する図である。
【
図2】実施形態のプリンタシステムの機能ブロック図である。
【
図3】実施形態のプリンタシステムにおいて、設定情報を取得するプリンタの動作を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態のプリンタシステムの機能を説明する図である。
【
図5】別の実施形態のプリンタシステムにおいて、設定情報を取得するプリンタの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において「製品情報」とは、異なる製品を区別あるいは識別するための情報であり、例えば、製品型式、モデル名、製品コードなどである。
本開示において「設定情報」とは、製品であるプリンタに備わる機能を発揮させるために設定されるデータやパラメータなどの情報である。プリンタは、異なる機能に対応する複数の項目に対する複数の設定情報を有する。
「製品情報に依存しない設定情報」とは、プリンタが有する複数の設定情報のうち、製品情報が異なる複数のプリンタに共通に用いられる設定情報である。製品情報に依存しない設定情報の一例として、無線LAN(Local Area Network)に接続するための接続情報(SSID(Service Set Identifier)など)である。なお、製品情報に依存しない設定情報には、ユーザの個人パスワードやユーザ名称等、ユーザの個人情報は含まれない。
「製品情報に依存する設定情報」とは、プリンタが有する複数の設定情報のうち、製品情報に依存しない設定情報を除く設定情報である。別の観点では、製品情報に依存する設定情報とは、同じ製品情報のプリンタのみに共通に設定可能な設定情報であり、例えば、印字速度、濃度調整などが挙げられる。
【0010】
一実施形態のプリンタシステムでは、2つのプリンタを近接させた場合に一方のプリンタの設定情報を他方のプリンタが取得し、当該他方のプリンタが取得した設定情報を基に自身の設定を行う。このプリンタシステムでは、設定情報の授受を行う2つのプリンタが互いに無線通信を実行可能である。そして、2つのプリンタを互いに無線通信が可能となる程度に近付けた場合、2つのプリンタの間で通信が確立し、一方のプリンタの設定情報が他方のプリンタに送信される。
すなわち、一実施形態のプリンタシステムでは、プリンタ間で設定情報をコピーする際に別の通信端末を媒介させる必要がなく、プリンタの設定を従来よりも容易に行うことが可能である。
【0011】
図1を参照すると、一実施形態に係るプリンタシステム1は、プリンタ2Aとプリンタ2Bを含む。一実施形態では、プリンタ2Aとプリンタ2Bは、短距離無線通信を行うことができるように構成される。
図1では、同機種のプリンタ2Aとプリンタ2Bで無線通信が行われる場合と、それぞれ別機種のプリンタ2Aとプリンタ2Bとで無線通信が行われる場合とが示される。ここで、プリンタ2Aとプリンタ2Bが同機種であることは、プリンタ2Aの製品情報とプリンタ2Bの製品情報が同一であることを意味する。プリンタ2Aとプリンタ2Bが別機種であることは、プリンタ2Aの製品情報とプリンタ2Bの製品情報が異なることを意味する。
【0012】
短距離無線通信に使用される通信プロトコルは限定しないが、例えば、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) Low Energy、NFC(Near Field Communication)等が挙げられる。これらの中で、Bluetooth(登録商標)やBluetooth(登録商標) Low Energyは、低消費電力での通信が可能であるため好ましい。なお、無線通信可能な範囲(つまり、短距離の範囲)は限定されない。
以下の説明では、プリンタ2Aとプリンタ2BがBluetooth(登録商標)によって通信を行う場合を例にして説明する。
なお、以下の説明では、プリンタ2Aとプリンタ2Bにおいて共通した事項に言及するときには、総称して「プリンタ2」と表記することがある。
【0013】
図1において、プリンタ2Aを設定情報のコピー元製品とし、プリンタ2Bを設定情報のコピー先製品とした場合、プリンタ2Aをプリンタ2Bに近付ける、又は、プリンタ2Bをプリンタ2Aに近付けることでプリンタ2Aとプリンタ2BがBluetooth(登録商標)による通信を確立する。通信が確立すると、プリンタ2Aは、自身が記憶している設定情報をプリンタ2Bに送信する。プリンタ2Bは、設定情報を受信すると、受信した設定情報に基づいて自身を設定する。
【0014】
プリンタ2Aとプリンタ2Bが同機種である場合、プリンタ2Aは、製品情報に依存する設定情報と製品情報に依存しない設定情報の両方をプリンタ2Bに送信する。この場合、プリンタ2Aとプリンタ2Bは例えば同一の型式の製品であるため、製品情報に依存しない設定情報だけでなく、プリンタ2Aの型式に特有の設定情報(つまり、製品情報に依存する設定情報)をもプリンタ2Bにコピーすることが好ましい。
製品情報に依存する設定情報の限定しない例として、以下の項目の設定情報が挙げられる。
【0015】
(項目)
印字速度、印字濃度レベル、印字濃度、縦ラベルサイズ、横ラベルサイズ、ピッチ補正、縦基点補正、横基点補正、動作モード自動選択、印字動作、剥離動作(バックフィード動作)、カッタ動作、台紙無しラベル動作(バックフィード動作)、ティアオフ時のオフセット調整、カッタのオフセット調整、剥離オフセット調整、印字方式、センサ種、ペーパーエンドセンサ種、排出カット設定、用紙飛びチェック、ヘッドチェック、ヘッドチェックモード、ヘッドチェック枚数、言語設定、タイムゾーン、カレンダ設定(日付、時刻)、表示言語アイコン、パワーセーブ設定、ブザー音量、プリンタ電源オフ音、画面用オフセット調整、オートオンライン、初期フィード、オンラインフィード、光センサ調整(受光、発光)、リボンニアエンド検出、優先設定、印字有効エリア移動、濃度調整、オプションフィード量、総発行枚数表示、16進ダンプモードの有効/無効、アプリケーションモード、カレンダチェック、再印字、バーコードチェック結果のホスト通知、バーコード数指定方法、通信プロトコル、シリアル通信の接続、ログ採取、自動用紙長測定、用紙長測定回数
【0016】
製品情報に依存しない設定情報の限定しない例として、前述した無線LANの接続情報が挙げられる。
【0017】
プリンタ2Aとプリンタ2Bが別機種である場合、プリンタ2Aは、製品情報に依存しない設定情報のみをプリンタ2Bに送信する。この場合、例えば、ある型式の製品であるプリンタ2Aに特有の設定情報を、別の型式の製品であるプリンタ2Bにコピーするのは適切ではないためである。そのため、プリンタ2Aは、製品情報に依存する設定情報をプリンタ2Bに送信しないように制御される。
【0018】
次に、プリンタ2の内部構成について
図2を参照して説明する。
図2に示すように、プリンタ2Aは、制御部21A、ストレージ22A、操作入力部23A、表示部24A、搬送部25A、印字部26A、LAN通信部27A、及び、短距離通信部28Aを備える。
プリンタ2Bは、制御部21B、ストレージ22B、操作入力部23B、表示部24B、搬送部25B、印字部26B、LAN通信部27B、及び、短距離通信部28Bを備える。
プリンタ2A及びプリンタ2Bにおいて、対応する各部が共通する事項について以下で説明する。例えば、搬送部25A及び搬送部25Bにおいて共通する事項について言及するときには、搬送部25と表記する。他の構成部分についても同様である。
【0019】
制御部21は、マイクロプロセッサ及びメモリ(ROM及びRAM)を主体として構成され、プリンタの全体を制御する。
ストレージ22は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)である。ストレージ22は、印字動作及び搬送動作のためのファームウェアのほか、設定情報コピーアプリケーションプログラム(以下、「設定情報コピーアプリ」と略記する。)を格納する。
ストレージ22はまた、複数の設定情報を格納する。設定情報は、プリンタ2A又はプリンタ2Bに備わる機能を発揮させるために設定されるデータやパラメータなどの情報である。複数の設定情報は、異なる機能に対応する複数の項目に対する設定情報である。
【0020】
操作入力部23は、例えば表示部24の表示パネルに実装されるタッチパネル入力機構を備えるが、物理的な入力ボタンを備えてもよい。
表示部24は、例えばLCD等の表示パネルと表示駆動回路を含み、例えば、ファームウェアや設定情報コピーアプリの実行結果を表示する。
【0021】
制御部21は、ファームウェアを実行することで、印字データに基づく描画データ、ラインデータ(描画データのライン毎のデータ)の生成、搬送部25や印字部26に対する制御信号の生成等を行う。印字データは、例えばホストコンピュータ(図示せず)からLAN通信部27を介して受信される。制御部21は、ラインデータを順次、印字部26へ送出する。
搬送部25は、プラテンローラ(図示せず)、及び、図示しないモータ駆動回路及びモータを含み、プリンタ内の連続紙の搬送を行う。連続紙は、例えば帯状の台紙に複数枚のラベルが仮着された状態の用紙でもよく、帯状の台紙なしラベルでもよい。ファームウェアによる搬送要求に基づき、モータ駆動回路が、プラテンローラの回転を制御するモータを駆動することによって、連続紙を搬送させる。
印字部26は、サーマルヘッド及びヘッド駆動回路(共に図示せず)を含む。ヘッド駆動回路は、ラインデータに基づきサーマルヘッドの各発熱素子に選択的に電流を流すことで、連続紙のラベル上に印字を行う。
【0022】
制御部21は、設定情報コピーアプリを実行すること取得部及び設定部として機能する。
ここで、取得部は、他のプリンタに対してBluetooth(登録商標)による無線通信が可能となる程度に近付いた場合、当該他のプリンタの設定情報を無線通信により取得する。
設定部は、取得部によって取得された他のプリンタの設定情報を基に自身の設定を行う。
【0023】
LAN通信部27は、ホストコンピュータ(図示せず)との間で通信を行う通信インタフェースである。
短距離通信部28は、Bluetooth(登録商標)によって比較的近くにある他のプリンタと通信を行うための通信インタフェースである。なお、Bluetooth(登録商標)の動作の有効/無効(ON又はOFF)を手動又は自動で切り替えられるようにしてもよい。
図2に示すように、プリンタ2Aの短距離通信部28Aとプリンタ2Bの短距離通信部28Bが通信を行うことにより、設定情報の授受が行われる。
【0024】
一実施形態では、プリンタ2は、製造後の工場出荷時においてスレーブ(設定情報を受信する側)の設定となっており、既に設定が完了済みのプリンタ2はマスタ(設定情報を送信する側)の設定となるように制御される。そのため、一実施形態では、通信が確立した際に、コピー元製品のプリンタ2Aがマスタであり、コピー先製品のプリンタ2Bがスレーブであることを両者が認識した上で、設定情報の授受が行われる。
別の実施形態では、プリンタ2がマスタであるかスレーブであるか設定メニュー上でユーザが設定できるようにしてもよい(手動設定)。その場合、ユーザは、コピー元製品のプリンタ2Aがマスタとなり、コピー先製品のプリンタ2Bがスレーブとなるように、各プリンタの設定メニュー上で設定する。
【0025】
次に、一実施形態のプリンタシステム1の動作について、
図3を参照して説明する。
図3は、コピー元製品であるプリンタ2A(第2プリンタの一例)をコピー先製品であるプリンタ2B(第1プリンタの一例)に近付けた場合の、プリンタ2Bの動作を示すフローチャートである。このフローチャートは、プリンタ2Bの設定情報コピーアプリによって実行される。
なお、プリンタ2Bをプリンタ2Aに近付けた場合も同じ動作となる。
【0026】
図3のフローチャートでは、プリンタ2A,2BのBluetooth(登録商標)がON(有効)に設定された場合を想定する(ステップS2)。例えば、設定情報コピーアプリは、マスタに設定されたプリンタ2Aの電源ON後に所定時間(例えば3~8分間;典型的には5分間)の間、Bluetooth(登録商標)の設定をONにするように構成される。その場合、スレーブに設定されているプリンタ2Bを最初に電源ONし、次いでプリンタ2Aを電源ONする操作を行う。なお、上記所定時間内に
図3の一連の処理が完了する場合には、いずれのプリンタを先に電源ONしてもよい。
設定情報コピーアプリ上で、ユーザがBluetooth(登録商標)の設定を手動でONにするように構成してもよい。この場合には、時間的制約はないため、いずれのプリンタを先に電源ONしても構わない。
【0027】
Bluetooth(登録商標)が動作可能な状態では、プリンタ2Bは、通信プロトコルに従ってアドバタイジングパケットを送信し、周辺のBluetooth(登録商標)機器を検索する(ステップS4)。近くにあるプリンタ2Aがアドバタイジングパケットに対してプリンタ2Bに応答する(ステップS6:YES)。ここで、プリンタ2Aが特定の製造者の機器である場合に(ステップS8:YES)、プリンタ2Aとプリンタ2Bのペアリングが確立するように構成することが好ましい(ステップS10)。ここで、「特定の製造者」とは、例えばプリンタ2Bと同一の製造者である場合、あるいは、プリンタ2Bと同一仕様の(あるいは互換性のある)プリンタを製造する製造者である場合が挙げられる。一実施形態では、プリンタ2Aが自身の製造者を特定するための製造者コードをプリンタ2Bに送信し、プリンタ2Bが受信した製造者コードが特定の製造者コードであるか検証する。
【0028】
プリンタ2Aが特定の製造者の機器であることを確認することで、プリンタ2Bの近くに2以上のBluetooth(登録商標)機器が存在する場合に、コピー元製品であるプリンタ2Aを正しい通信相手として特定することができる。
なお、別の実施形態では、プリンタ2Aが特定の製造者の機器であることの確認が、ペアリング確立後に行われてもよい。ペアリング確立後にプリンタ2Aが特定の製造者の機器でないと確認された場合には、プリンタ2Bは、いったん確立したプリンタ2Aとのペアリングを解消する。
【0029】
ペアリングが確立した後、プリンタ2Bは、プリンタ2Aからプリンタ2Aの機種コード(あるいはシリアル番号)を取得し、プリンタ2Aが自身と同一機種であるか別機種であるか判断する。(ステップS12)。プリンタ2Aが同一機種である場合、プリンタ2Bは、プリンタ2Aからすべての設定情報を取得する(ステップS14)。ここで取得される設定情報には、製品情報に依存する設定情報と製品情報に依存しない設定情報の両方が含まれる。
プリンタ2Aが別機種である場合、プリンタ2Bは、プリンタ2Aから一部の設定情報、すなわち、製品情報に依存しない設定情報を取得する(ステップS16)。
プリンタ2Bは、設定情報を受信すると、受信した設定情報を基に自身に対する設定処理を行う(ステップS18)。設定処理が完了すると、プリンタ2Bは、自身をマスタ(設定情報を送信する側)の設定とする。
【0030】
以上説明したように、プリンタシステム1では、コピー元製品であるプリンタ2Aをコピー先製品であるプリンタ2Bに近付けた場合、又は、プリンタ2Bをプリンタ2Aに近付けた場合、プリンタ2Aの設定情報がプリンタ2Bにコピーされる。そのため、プリンタ間で設定情報をコピーする際に別の通信端末を媒介させる必要がなく、プリンタの設定を従来よりも容易に行うことが可能である。
【0031】
上述した設定情報のコピー方法は、例えばキッティングセンター、倉庫や大規模店舗等で新たに導入した多数のプリンタ2を同一の設定情報とする場合に特に有効である。
図4は、多数のプリンタ2の設定情報を順次コピーする場合を示している。
図4では、プリンタ2Aがコピー元製品であり、プリンタ2Aに格納されている設定情報が順次、他の多くのプリンタ2に対してコピーされている例が示される。このとき、プリンタ2は、自身がコピー先製品となって設定情報を受信した後、次は、自身がコピー元製品となって別のプリンタ(コピー先製品)に設定情報を送信する。すなわち、マスタに設定されているプリンタ2Aが1つあれば、順次他のプリンタを同一の設定とすることでマスタとなるプリンタを増やしていくことができるため、比較的短時間で、多数のプリンタ2を同一の設定情報に基づいて設定することが可能となる。
【0032】
一実施形態では、既に設定が完了したプリンタに対して新たに設定情報を受信できないように構成される。すなわち、上記設定部は、他のプリンタの設定情報を基にした設定が完了した後には、当該他のプリンタとは異なるプリンタの設定情報を基にした設定を禁止する。それによって、いったん設定が完了したプリンタに対して別のプリンタの設定がコピーされないようになり、確実な設定作業を行うことが可能となる。
【0033】
既に設定が完了したプリンタに対して新たに設定情報を受信できないようにするためのフローチャートの例を
図5に示す。この場合も
図3と同様に、コピー元製品であるプリンタ2Aをコピー先製品であるプリンタ2Bに近付けた場合の、プリンタ2Bの動作を示している。
図5のフローチャートにおいて、設定情報取得フラグは、既に設定情報を取得(受信)済みである場合に「1」となり、設定情報が未取得である場合には「0」となる。工場出荷時の設定情報取得フラグの初期値は「0」である。
【0034】
プリンタ2Aをプリンタ2Bに近付けた場合、プリンタ2Bの設定情報取得フラグが「0」となっている場合には(ステップS20:NO)、
図3に示す一連の処理(設定制御処理)を実行し(ステップS22)、プリンタ2Aから受信した設定情報を基に自身の設定を行う(ステップS22)。次いでプリンタ2Bは、設定情報取得フラグを「1」(取得済み)とする(ステップS24)。
その後に、プリンタ2Bに対してプリンタ2A以外の別のプリンタを近付けた場合、設定情報取得フラグが「1」であるため(ステップS20:YES)、新たな設定制御処理は行われない。
【0035】
一実施形態では、プリンタ2の制御部21は、設定情報コピーアプリを実行することで第1モード又は第2モードのいずれかを、ユーザの操作に応じて選択するモード選択部として機能してもよい。ここで、第1モードは、上記設定部が他のプリンタの設定情報を基にして自身の設定を行うことを許可するモードである。第2モードは、上記設定部が他のプリンタの設定情報を基にして自身の設定を行うことを許可しないモードである。ユーザの操作は、例えば、操作入力部23を通してプリンタ2の設定メニュー上で行われる。
他のプリンタの設定情報を基にしてプリンタの設定を行うか否かについて当該プリンタのユーザが選択できるようにすることで、設定情報のコピー作業を柔軟に行うことができる。例えば、新たに導入するプリンタであってキッティングセンター以外の場所で既に設定を済ませたプリンタに対しては、キッティングセンターでの設定を行わないように予めユーザが設定することができる。
【0036】
以上、本発明のプリンタ、情報処理方法、及び、プリンタシステムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、上述した実施形態及び各変形例に記載した個々の技術的特徴は、技術的矛盾がない限り、適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…プリンタシステム
2(2A,2B)…プリンタ
21(21A、21B)…制御部
22(22A,22B)…ストレージ
23(23A,23B)…操作入力部
24(24A,24B)…表示部
25(25A,25B)…搬送部
26(26A,26B)…印字部
27(27A,27B)…LAN通信部
28(28A,28B)…短距離通信部