(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031382
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】カードホルダー
(51)【国際特許分類】
G09F 1/10 20060101AFI20230302BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
G09F1/10 P
B65D25/20 P
G09F1/10 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136821
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】竹中 啓真
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AB07
3E062BA08
3E062BB02
3E062BB10
3E062DA02
3E062DA06
(57)【要約】
【課題】カードの挿入操作を容易に行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示のカードホルダー10は、コンテナ50の側面50Gに重ねられて、下端部を支点にして傾動する第1と第2のカード保持片20,30を有し、第1と第2のカード保持片20,30の後面とコンテナ50の側面50Gとの間に上方からカードを挿入可能になっている。そして、第2のカード保持片30に、下方から指を掛けて第2のカード保持片30を前傾させるように引っ張り操作可能な下向指掛け部39が備えられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送器具の側面に重ねられ、下端部を支点にして傾動するカード保持片を有し、前記カード保持片の後面と前記搬送器具の側面との間に上方からカードが挿入可能なカードホルダーであって、
前記カード保持片から前方に突出し、下方から指を掛けて前記カード保持片を前傾させるように引っ張り操作可能な下向指掛け部を備えるカードホルダー。
【請求項2】
前記下向指掛け部に下方から掛けた指先を上方から覆うカバー部を備える請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項3】
前記下向指掛け部には、前記カード保持片から前方に張り出す第1突壁と、前記第1突壁の先端から下方に屈曲する指先当接壁と、が備えられ、
前記第1突壁の真上には、前記カード保持片の最上端から斜め上前方に張り出す第2突壁が設けられている請求項1又は2に記載のカードホルダー。
【請求項4】
前記カード保持片から前方に突出し、前記第1突壁と前記第2突壁と前記指先当接壁とに交差する縦連絡壁を備える請求項3に記載のカードホルダー。
【請求項5】
前記カード保持片には、
下端部から上下方向の途中位置に亘って開口する下側開口を有する第1のカード保持片と、
前記第1のカード保持片の前記下側開口の内側に配置される第2のカード保持片と、が含まれ、
前記下向指掛け部は、少なくとも前記第2のカード保持片に備えられている請求項1から4の何れか1の請求項に記載のカードホルダー。
【請求項6】
前記第1のカード保持片のうち最上端部より下方に離れた位置から前方に突出すると共に、前記第2のカード保持片の前記下向指掛け部の真上に配置され、上方から指を掛けて前記第1のカード保持片を前傾させるように引っ張り操作可能な上向指掛け部を備える請求項5に記載のカードホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンテナ、パレット、台車等の搬送器具の側面との間にカードを挟んで保持するカードホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカードホルダーとして、コンテナ等の搬送器具の側面に重ねられるカード保持片を有し、そのカード保持片が下端部を支点にして傾動して、コンテナの側面との間に上方からカードを受容して保持するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登第3168375号(
図3,
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カードが、カード保持片とコンテナとの間を押し広げるだけの剛性を有していない場合には、カード保持片が前傾するように操作(以下、「前傾操作」という)される。その場合、従来のカードホルダーでは、前傾操作する手によってカード保持片の上部が覆われてカードの挿入操作が困難になることが問題になっていた。そこで、本開示では、カードの挿入操作を容易に行うことが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、搬送器具の側面に重ねられ、下端部を支点にして傾動するカード保持片を有し、前記カード保持片の後面と前記搬送器具の側面との間に上方からカードが挿入可能なカードホルダーであって、前記カード保持片から前方に突出し、下方から指を掛けて前記カード保持片を前傾させるように引っ張り操作可能な下向指掛け部を備えるカードホルダーである。
【0006】
請求項2の発明は、前記下向指掛け部に下方から掛けた指先を上方から覆うカバー部を備える請求項1に記載のカードホルダーである。
【0007】
請求項3の発明は、前記下向指掛け部には、前記カード保持片から前方に張り出す第1突壁と、前記第1突壁の先端から下方に屈曲する指先当接壁と、が備えられ、前記第1突壁の真上には、前記カード保持片の最上端から斜め上前方に張り出す第2突壁が設けられている請求項1又は2に記載のカードホルダーである。
【0008】
請求項4の発明は、前記カード保持片から前方に突出し、前記第1突壁と前記第2突壁と前記指先当接壁とに交差する縦連絡壁を備える請求項3に記載のカードホルダーである。
【0009】
請求項5の発明は、前記カード保持片には、下端部から上下方向の途中位置に亘って開口する下側開口を有する第1のカード保持片と、前記第1のカード保持片の前記下側開口の内側に配置される第2のカード保持片と、が含まれ、前記下向指掛け部は、少なくとも前記第2のカード保持片に備えられている請求項1から4の何れか1の請求項に記載のカードホルダーである。
【0010】
請求項6の発明は、前記第1のカード保持片のうち最上端部より下方に離れた位置から前方に突出すると共に、前記第2のカード保持片の前記下向指掛け部の真上に配置され、上方から指を掛けて前記第1のカード保持片を前傾させるように引っ張り操作可能な上向指掛け部を備える請求項5に記載のカードホルダーである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のカードホルダーでは、カード保持片の下向指掛け部に下方から指を掛けて引っ張ることでカード保持片を前傾させることができる。これにより、前傾操作する手によってカード保持片が覆われなくなり、カードをカード保持片の上方から後側に挿入する操作を容易に行うことができる。
【0012】
請求項2のカードホルダーでは、下向指掛け部に下方から掛けた指先がカバー部により上方から覆われるので、指先が下向指掛け部に深く入り込み過ぎることが防がれる。
【0013】
請求項3のカードホルダーでは、第2突壁にてカードをカード保持片の後方に案内することができる。
【0014】
請求項4の構造によれば、下向指掛け部の強度が高くなり、下向指掛け部の引っ張り操作が安定する。
【0015】
請求項5の構成によれば、カードの大きさによって第1と第2のカード保持片という大小のカード保持片を使い分けることができ、安定したカードの保持が可能になる。
【0016】
請求項6のカードホルダーの第1のカード保持片には、上方から指を掛けて引っ張り操作可能な上向指掛け部が最上端部より下方に離れた位置に配置されているので、カードを第1のカード保持片の後方に挿入する際に、第1のカード保持片を引っ張る指が邪魔にならなくなり、カードの挿入操作を容易に行うことができる。その際、第1のカード保持片の上向指掛け部に上方から人差し指又は中指を掛け、第2のカード保持片の下向指掛け部に親指を下方から掛けることで、親指を支点にして第1のカード保持片の上向指掛け部を容易に引っ張ることもできる。さらには、第1のカード保持片の上向指掛け部に上方から親指を掛け、第2のカード保持片の上向指掛け部に人差し指又は中指を下方から掛けることで、第1と第2のカード保持片の両方とも一度に前傾させることもできる。これにより、第1と第2の両方のカード保持片の後側にカードを容易に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態に係るカードホルダーの前側斜視図
【
図5】コンテナに取り付けられたカードホルダーの正面図
【
図6】コンテナに取り付けられたカードホルダーの側断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1~
図6を参照して本開示の一実施形態に係るカードホルダー10について説明する。本実施形態のカードホルダー10は、樹脂の成形品であって、
図1に示すように第1と第2のカード保持片20,30とそれらを支持するベース部11とを備え、全体が左右対称な形状をなしている。以下、カードホルダー10の部位毎に形状を詳説する。
【0019】
ベース部11は、水平に延びる帯板状をなし、その板厚方向は上下方向を向いている。以下、ベース部11の長手方向を「横方向H1」といい、ベース部11の幅方向を「前後方向H2」といい、さらには幅方向を一方側を「前側」といい、その反対側を「後側」ということとする。また、カードホルダー10の各部位の向き、角度等の説明は、特記しない限り、カードホルダー10が搬送器具に取り付けられていない未使用状態での向き、角度等を意味する。
【0020】
ベース部11の横方向H1の中央には、後縁部に切り欠き12が形成されている。その切り欠き12は、上方から見て台形状になっている。ベース部11の下面には、1対の係止突起13が形成されている。それら1対の係止突起13は、ベース部11の横方向H1における中央と一端との間、及び、中央と他端との間に配置されている。また、各係止突起13は、
図3に示すように横方向H1から見ると下端側が窄んだ台形をなし、前面13Fが上下方向と平行で、後面13Rが上下方向に対して傾斜している。
【0021】
図1に示すように、第1のカード保持片20は、前方から見て横長のH形をなしている。そのH形の両縦辺に相当する第1のカード保持片20の1対の縦辺部21は、ベース部11の横方向H1の両端寄り位置における前後方向H2の中央から真上に立ち上がっている。そして、1対の縦辺部21は、
図3に示すように下端寄り位置で後側に僅かに倒れるように湾曲してから斜め後ろ上方に向かって上下方向の略中央となる位置まで延びた後、さらに僅かに後側に倒れるように屈曲して、斜め後ろ上方の上端寄り位置まで延びている。また、1対の縦辺部21は、上端寄り位置で今度は前側に倒れるように屈曲して上端まで延び、それら前側に倒れた部分が、カードを後方に案内するための1対の上端傾斜部29になっている。
【0022】
なお、
図1には、上述した1対の縦辺部21の湾曲部分の上下の両端の境界線L1,L2と、上下方向の略中央と上端寄り位置の折り曲げ線L3,L4とが概念的に示されている。
【0023】
図1に示すように、第1のカード保持片20の上部における横方向H1の両端角部には、1対の上端傾斜部29の上縁部と1対の縦辺部21の外側の側縁部とに連続する1対の円弧部28が形成されている。そして、それら1対の円弧部28の途中部分に、1対の上端傾斜部29の下端部が位置している。
【0024】
図3に示すように、第1のカード保持片20は、その下端寄り位置より上側全体がベース部11の後端より後方に位置し、その中でも第1のカード保持片20の上端寄り位置(上端傾斜部29の下端部)が最も後方に位置している。そして、後述するコンテナ50にベース部11が固定されると、第1のカード保持片20の上端寄り位置が、コンテナ50の側面50Gに押し付けられる。
【0025】
図1に示すように、第1のカード保持片20のうち前述のH形の横辺に相当する横辺部22は、第1のカード保持片20の上下方向の略中央に位置している。また、横辺部22より上方で、横辺部22と1対の縦辺部21とに三方を包囲された上側開口23は、下方に向かって幅狭になる台形状をなす一方、横辺部22より下方で、横辺部22と1対の縦辺部21とに三方を包囲された下側開口24は、下方に向かって幅広になる台形状をなしている。また、1対の縦辺部21の下端部からは、1対の三角形の突部21Aが横方向H1の中央側に張り出してベース部11に接続されている。
【0026】
なお、下側開口24の上辺は、上側開口23の下辺より長く、下側開口24の1対の斜辺の上下方向に対する傾斜角は、上側開口23の1対の斜辺の傾斜角より大きい。
【0027】
上側開口23の開口縁には、全体に亘って内縁傾斜部25が形成されている。内縁傾斜部25は、上側開口23の縦横の開口縁に沿って直線状に延びる帯状をなし、上側開口23を前方から覆うように上側開口23の開口縁から斜め前方に張り出している。また、内縁傾斜部25のうち上側開口23の下辺(即ち、横辺部22の上部)に位置する部位は、上から指を掛けることが可能な上向指掛け部38になっている。さらには、内縁傾斜部25のうち上側開口23の両側辺に位置する部分の上端は、前述の1対の上端傾斜部29に接続されている。なお、内縁傾斜部25の先端縁を含む第1のカード保持片20の外側輪郭部には、
図3に示すように、突条21Tが形成されている。突条21Tは、第1のカード保持片20の外側輪郭部となる壁部を前側に直角曲げしてなる。
【0028】
図1に示すように、下側開口24の開口縁には、両側部の下端部を除く全体に亘って内縁傾斜部26が形成されている。内縁傾斜部26は、上側開口23の内縁傾斜部25より幅狭な板状をなして下側開口24を前方から覆うように下側開口24の開口縁から斜め前方に張り出している。また、内縁傾斜部26の両下端部は、前述の1対の縦辺部21における下端寄り位置の湾曲部分(
図1の符号L1,L2参照)より上方に位置している。
【0029】
なお、
図1に示すように、内縁傾斜部26の下端部は、下端の手前から下端に向かうに従って徐々に突出量が小さくなっている。また、
図3に示すように、内縁傾斜部26の先端面26Sは、縦辺部21及び横辺部22の内外面と略平行になっている。
【0030】
図1に示すように、第2のカード保持片30は、1対の縦辺部31の上端部の間を上端傾斜部32等で連絡した構造をなしている。また、第2のカード保持片30全体は、第1のカード保持片20の下側開口24内に配置され、1対の縦辺部31が、ベース部11の前後方向H2の中央から真上に立ち上がっている。そして、
図3に示すように、1対の縦辺部31は、下端寄り位置で後側に僅かに倒れるように湾曲してから斜め後ろ上方の上端まで延びている。なお、
図1には、上述した1対の縦辺部31の湾曲部分の上下の両端の境界線L5,L6が概念的に示されている。
【0031】
上端傾斜部32は、特許請求の範囲の「第2突壁」に相当し、第2のカード保持片30の横方向H1の全体に亘って帯板状に延び、1対の縦辺部31の上端から斜め前に屈曲している。また、
図3に示すように、上端傾斜部32の前後方向H2の幅は、前述の第1のカード保持片20の内縁傾斜部25より大きい。さらに、第1のカード保持片20の内縁傾斜部25が横辺部22から前側に屈曲している角度より、上端傾斜部32が縦辺部31から前側に屈曲している角度の方が大きくなっている。また、上端傾斜部32は、先端に極めて近い位置で水平に近くなるように屈曲し、上端傾斜部32の先端面32Sは、上下方向と平行になっている。なお、
図1に示すように上端傾斜部32のうち横方向H1の両端の縁部には、下方に僅かに突出する1対の突条32Tが備えられている。
【0032】
1対の縦辺部31の外側の1対の側縁部は、下方に向かって徐々に離れるように上下方向に対して傾斜している。また、それら1対の側縁部の下端部からは、側方に1対の三角形の突部31Aが張り出してベース部11に接続されている。
【0033】
1対の縦辺部31の内側の1対の側縁部は、上下方向に略平行になっていて、それら内側の1対の側縁部から前方に1対のサイドリブ33が張り出している。1対のサイドリブ33の上端は、上端傾斜部32に接続され、下端は、前述した1対の縦辺部31の下端寄り位置の湾曲部分(
図1の符号L5,L6参照)より僅かに上方に位置している。また、
図3に示すように、1対のサイドリブ33の下端面33Kは、上端傾斜部32と略平行になって1対の縦辺部31の前面から斜め上方に延び、1対のサイドリブ33の先端面33Sは、縦辺部31の前面と平行に近い状態になっている。詳細には、縦辺部31の先端面33Sの上端は、上端傾斜部32の先端寄りの屈曲部分に位置し、上端から上下方向の中間位置に向かうに従って縦辺部31から徐々に僅かに離れるよう延びてから、僅かに屈曲して下方に向かうに従って縦辺部31に徐々に僅かに接近するよう延びている。
【0034】
1対のサイドリブ33の間には、上下方向の途中位置にカバー部35が差し渡されている。カバー部35は、水平な平板状をなし、その後端と上端傾斜部32の後端との間が1対の縦辺部31から延長された帯板状の連絡部34で連絡され、その連絡部34の横方向H1の両端部は、1対のサイドリブ33に接続されている。また、カバー部35の前端は、サイドリブ33の先端面33Sにおける屈曲部分に位置し、そのカバー部35の前端から指先当接壁36が下方に屈曲している。指先当接壁36は、1対のサイドリブ33の先端部の間に差し渡された平板状をなし、その前面は1対のサイドリブ33の先端面33Sと面一に配置されている。また、指先当接壁36の下端部は、1対のサイドリブ33の下端面33Kより僅かに上方に位置している。さらには、指先当接壁36の後面の下端縁からは、断面形状が扁平な矩形の後面突条36Tが突出している。そして、カバー部35と指先当接壁36と1対のサイドリブ33とを主要部として下向指掛け部39が形成され、そこに下方から指を掛けることができるようになっている。
【0035】
なお、カバー部35は、特許請求の範囲の「カバー部」に相当すると共に「第1突壁」にも相当し、1対のサイドリブ33は、特許請求の範囲の「縦連絡壁」に相当する。
【0036】
図2に示すように1対の縦辺部31の後面における連絡部34の両横部分からは、1対の後部突条37が突出している。それら1対の後部突条37は、縦辺部31の上端から上端寄り位置まで延びている。また、
図3に示すように、1対の後部突条37の先端面は、上下方向の両端部を除く全体が1対の縦辺部31の後面と平行な平坦面37Aをなし、上端部は平坦面37Aに連続する円弧面37Bをなし、さらに、下端部は、平坦面37Aから屈曲した傾斜面37Cになっている。また、円弧面37Bは、上端傾斜部32の後面に連続している。
【0037】
図4には、カードホルダー10が取り付けられる搬送器具の一例であるコンテナ50が示されている。このコンテナ50は、上面が開放した直方体状をなし、平面形状が長方形になっている。また、コンテナ50の上端及び下端からはフランジ51,52が側方に張り出し、それらフランジ51,52の間が複数の縦リブ53によって連絡されている。
【0038】
詳細には、縦リブ53は、コンテナ50の平面形状である長方形の1対の短辺に位置する1対の短側壁58においては、その横方向の両端寄り位置に配置され、1対の長辺に位置する1対の長側壁59においては、その横方向の両端寄り位置とそれらより中央寄り位置の計4箇所に配置されている。そして、各短側壁58の1対の縦リブ53の間と、各長側壁59の中央寄りの1対の縦リブ53の間とが、カードホルダー10が取り付け可能なホルダー装着部60になっている。
【0039】
なお、縦リブ53は、短側壁58と長側壁59との角部にも配置されている。また、各長側壁59の上端寄り位置からは横リブ54が側方に張り出し、横リブ54の両端部は1対の短側壁58の縦リブ53に接続されている。さらには、上端のフランジ51のうち各短側壁58の1対の縦リブ53の間に挟まれた部分は、先端寄り位置で下方に屈曲して指掛け部55になっている。
【0040】
各ホルダー装着部60の両側の1対の縦リブ53の間隔は、カードホルダー10のベース部11の全長と略同一になっていて、それら1対の縦リブ53の対向面の下端寄り位置からは1対の係止突片61が突出している。また、コンテナ50の側面50Gの下端寄り位置にも、各ホルダー装着部60の横方向の両端部に1対の係止突片62が設けられ、隣合う係止突片61,62同士が接続されている。
【0041】
また、コンテナ50の側面50Gの下端寄り位置には、各ホルダー装着部60の横方向の中央部に係止突起63が設けられている。係止突起63は、横方向から見たが形状が直角三角形になっていて、下端に水平面、上側に斜面を備える。また、下端のフランジ52と、係止突片61,62及び係止突起63との間隔は、カードホルダー10のベース部11の厚さと略同一になっている。さらには、係止突起63の横幅はカードホルダー10のベース部11における切り欠き12の横幅より僅かに小さくなっている。また、下端のフランジ52には、係止突起63と1対の係止突片62との間となる2位置に、カードホルダー10の1対の係止突起13に対応する四角形の係合孔64が穿孔されている。
【0042】
なお、係止突片62のうち縦リブ53から離れた側の端部の上面には三角形の補強リブ62Lが接続されている。また、係止突片61のうちコンテナ50の側面50Gから離れた端部は、斜めにカットされて先細りになっている。
【0043】
カードホルダー10は、以下のようにしてコンテナ50の任意のホルダー装着部60に取り付けられる。カードホルダー10を、コンテナ50に取り付けるために、カードホルダー10のベース部11をコンテナ50のフランジ52に接近させると、ベース部11がフランジ52に到達する前に第1のカード保持片20の上端寄り位置がコンテナ50の側面50Gに当接する。そこから第1のカード保持片20を撓ませながらベース部11をフランジ52にまで移動して、ホルダー装着部60の1対の係止突片61とフランジ52との間にベース部11の両端部を挿入していくと、第2のカード保持片30の上端寄り位置がコンテナ50の側面50Gに当接する。そこから第1と第2のカード保持片20,30を撓ませながらベース部11をさらに挿入していくと、ベース部11の下面における1対の係止突起13の後面13Rがフランジ52の先端に摺接し、ベース部11の横方向H1の中央部が上方に膨らむように変形する。そして、ベース部11が、1対の係止突片61とフランジ52との間の奥まで挿入されると、1対の係止突起13がフランジ52の1対の係合孔64に収まってベース部11が弾性復帰し、ベース部11の後縁部が、係止突片62及び係止突起63とフランジ52との間に受容される。これにより、カードホルダー10のコンテナ50への取り付けが完了し、
図6に示すように第1及び第2のカード保持片20,30は、それらの上端寄り位置のみがコンテナ50の側面50Gに押し付けられた状態になる。
【0044】
本実施形態のカードホルダー10の構造及びコンテナ50に取り付けられた状態の説明は以上である。次に、コンテナ50に取り付けられたカードホルダー10の作用効果について説明する。
【0045】
カードが樹脂製又は金属製であったり、ハードケースに収容されている場合、つまり、カードの剛性が高い場合は、カードをカードホルダー10とコンテナ50との間に上方から押し込んでカードホルダー10に保持させることができる。そして、剛性が高いカードの横幅が、第1のカード保持片20の上側開口23の横幅より大きい場合は、カードを第1のカード保持片20の上方からその後方に押し込めばよい。そして、カードが上方から押し込まれると、第1のカード保持片20が、上端傾斜部29とカードとの摺接により前方に傾動してコンテナ50の側面50Gから離れ、カードが挿入されていく。
【0046】
また、カードの下端が第2のカード保持片30に当接したら、その状態のままとしてもよいし、そこからカードを更に押し下げることで、第2のカード保持片30をカードと上端傾斜部32との摺接により前方に傾動させて、カードを第2のカード保持片30の後側にまで挿入してもよい。これらにより、カードは、第1又は第2のカード保持片20,30の弾発力によりコンテナ50との間に挟まれて保持される。
【0047】
また、剛性が高いカードの横幅が、第1のカード保持片20の上側開口23の横幅より小さい場合には、その上側開口23から第1のカード保持片20の横辺部22の後方を通してカードを第2のカード保持片30とコンテナ50との間に上方から押し込めばよい。これにより、そのカードは、第2のカード保持片30の弾発力によりコンテナ50との間に挟まれて保持される。
【0048】
カードが、例えば、紙製であるように剛性が低く、上述の如く、カードをカードホルダー10の上方からコンテナ50との間に押し込むことができない場合は、カードホルダー10の第1及び第2のカード保持片20,30をコンテナ50から離間させるように前傾操作が行われて、カードが第1及び第2のカード保持片20,30の後方に挿入される。なお、カードをカードホルダー10とコンテナ50との間に押し込むことができる場合であっても、第1及び第2のカード保持片20,30を前傾操作してからカードを挿入してもよい。
【0049】
第2のカード保持片30を前傾操作するには、掌を上に向け、例えば人差し指又は中指の先端を下向指掛け部39に下方から挿入して、指先当接壁36の後面に宛がい、手前に引けばよい。ここで、指先当接壁36の後面の下端からは後面突条36Tが突出しているので、指先の滑りが抑えられ、容易に第2のカード保持片30の前傾操作を行うことができる。また、下向指掛け部39に備えたカバー部35により、下向指掛け部39に過度に深く指先が挿入されることが規制されるので、必要に応じて下向指掛け部39から指先を容易に抜くことができる。
【0050】
そして、第2のカード保持片30を手前に引いた状態を維持して第1のカード保持片20の上側開口23から横辺部22の後側を通して、カードを第2のカード保持片30の後側に挿入すればよい。このとき、第2のカード保持片30を前傾操作している手は、下向指掛け部39に下方から指を掛けることで、第2のカード保持片30の上端部から離れた下方に位置しているので、カードの挿入操作の邪魔になることはない。これにより、第2のカード保持片30の後方へのカードの挿入操作を容易に行うことができる。
【0051】
一方、第1のカード保持片20を前傾操作するには、例えば、掌を下に向けて、人差し指又は中指の先端を、第1のカード保持片20の上向指掛け部38(横辺部22の上方の内縁傾斜部25)に宛がい、手前に引けばよい。このとき、第1のカード保持片20の上向指掛け部38に人差し指又は中指の先端を掛けた手の親指を、第2のカード保持片30の下向指掛け部39における指先当接壁36の下端に掛け、その指先当接壁36の下端を支点にして内縁傾斜部25に掛けた人差し指又は中指を手前に引くか折り畳むようにして、第1のカード保持片20を引くこともできる。さらには、手が小さい場合には、親指を第2のカード保持片30の上端傾斜部32の下面に宛がうか連絡部34の前面に押し付けるようにして同様の操作を行うこともできる。上述した何れの前傾操作を行っても、第1のカード保持片20のうち指が掛けられる上向指掛け部38は、第1のカード保持片20の上端より下方に離れた位置に配置されているので前傾操作している手がカードの挿入操作の邪魔になることはなく、第1のカード保持片20の後方へのカードの挿入操作も容易に行うことができる。なお、上向指掛け部38のうち指の腹が宛がわれる内縁傾斜部25の先端は、直角な角部になっているので滑り止め効果も得られる。
【0052】
また、上述した第1のカード保持片20の前傾操作の際に第2のカード保持片30の下向指掛け部39に宛がった指も手前に引くことで第1と第2のカード保持片20,30を同時に前傾操作することもできる。また、それとは別に第1と第2のカード保持片20,30を同時に前傾操作する方法として、掌を上に向け、第1のカード保持片20の上向指掛け部38に親指の腹を宛がい、それと同じ手の人差し指又は中指の先端の腹を第2のカード保持片30の下向指掛け部39における指先当接壁36の下端に掛けて、第1と第2のカード保持片20,30の両方を手前に引いてもよい。以上の前傾操作により、剛性が低いカードも容易に第1及び第2のカード保持片20,30の後側に挿入することができる。
【0053】
なお、カードが、第1及び第2のカード保持片20,30の上端寄り位置を通過して、コンテナ50との間で挟持されずに、第1及び第2のカード保持片30とコンテナ50との間の空間に収まっても、その空間は、ホルダー装着部60の両横の1対の縦リブ53(
図5参照)にて閉塞されているので、カードが第1及び第2のカード保持片30とコンテナ50との間から抜け落ちることはない。
【0054】
上述したように本実施形態のカードホルダー10では、カードの大きさによって第1と第2のカード保持片20,30という大小のカード保持片20,30を使い分けることができ、安定したカードの保持が可能になる。そして、第1及び第2のカード保持片20,30の前傾操作を、それらカード保持片20,30の上端に手を掛けずに行えるので前傾操作を行っている手が邪魔にならず、カードの挿入操作を容易に行うことができる。
【0055】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態では、カードホルダー10が取り付けられる搬送器具としてコンテナ50を例示したが、パレット、台車等の搬送器具に取り付けられるカードホルダーに、上述した上向指掛け部や下向指掛け部を備えてもよい。
【0056】
(2)前記実施形態では、コンテナ50にカードホルダー10を固定するためのベース部11がカードホルダー10の下端部に配置されていたが、ベース部はカードホルダーの上端部又は両端部に配置されてもよい。具体的には、上述したコンテナ50の上端のフランジ51の下面にベース部を固定すると共に、カードホルダーの上端部にベース部を配置し、そのベース部の横方向の両端部から垂下される1対の垂下部材の下端部間に梁を差し渡して、その梁から第1及び第2のカード保持片が上方に起立した構造としてもよい。
【0057】
(3)前記実施形態のカードホルダー10は、第1及び第2のカード保持片20,30のうち小さい側の第2のカード保持片30のみに下向指掛け部39が設けられていたが、大きい側の第1のカード保持片のみに下向指掛け部を備えてもよいし、第1及び第2の大小のカード保持片の両方に下向指掛け部を備えてもよい。また、下向指掛け部を設けず、上向指掛け部のみを第1及び第2の大小のカード保持片の両方、又は一方に設けてもよい。上向指掛け部の構造としては、カード保持片の上端から下方に離れていてかつ上方から指を掛けることができるものであれば、どのようなものでもよく、例えば、第1のカード保持片20に上側開口23を設けず、下向指掛け部39の上下を逆転させた構造の上向指掛け部を第1のカード保持片20の上下方向の中間部に備えてもよい。
【0058】
(4)前記実施形態のカードホルダー10は、第1及び第2のカード保持片20,30の2つのカード保持片を備えていたが、カード保持片は、1つのみでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0059】
(5)前記実施形態のカードホルダー10の下向指掛け部39は、両側部に1対のサイドリブ33を有していたが、1対のサイドリブ33を有さず、カバー部35が片持ち梁状に張り出していてもよい。但し、1対のサイドリブ33を有した構造とする方が、下向指掛け部39の強度が高くなり、前傾操作が安定する。また、カバー部35を有さず、1対のサイドリブ33の間に指先当接壁36が差し渡された構造としてもよい。但し、カバー部35を備えた構造とすれば、前述したように下向指掛け部39に指が深く入りすぎることを防ぐことができ、前傾操作が安定する。
【0060】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0061】
10 カードホルダー
20 第1のカード保持片
30 第2のカード保持片
32 上端傾斜部(第2突壁)
33 サイドリブ(縦連絡壁)
35 カバー部(カバー部、第1突壁)
36 指先当接壁
38 上向指掛け部
39 下向指掛け部
50 コンテナ(搬送器具)
50G 側面