(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031383
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04014 20160101AFI20230302BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20230302BHJP
H01M 8/0606 20160101ALI20230302BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20230302BHJP
【FI】
H01M8/04014
H01M8/04 J
H01M8/0606
H01M8/04 Z
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136823
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】519322392
【氏名又は名称】森村SOFCテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤木 陽祐
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC06
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA34
5H127BB02
5H127BB19
5H127BB23
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE29
5H127EE30
(57)【要約】
【課題】燃料電池スタック内の温度分布のばらつきを抑制する。
【解決手段】燃料電池モジュールは、燃料電池スタックの外側の領域に位置する熱伝達機構であって、燃料電池スタックの熱を、燃料電池スタックに供給するガスと、燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達する熱伝達機構を備える。熱伝達機構は、少なくとも一部が第1出口側領域(燃料電池モジュールのうち、空気室と燃料室との一方に供給されたガスを排出するガス出口側の領域)に含まれる領域内に位置する受熱部であって、燃料電池スタックの第1出口側領域内の熱を受け取る受熱部を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層と、前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極と、を含む単セルをそれぞれ有する複数の発電単位が第1の方向に積層されてなる燃料電池スタックであって、各発電単位において、前記空気極が面する空気室と、前記燃料極が面する燃料室と、が形成された燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックの外側に位置するモジュール機能部であって、前記燃料電池スタックから排出されるガスを燃焼させる燃焼器と、前記燃料電池スタックに供給される原燃料ガスを改質する改質器と、前記燃焼器と前記改質器とを収容するモジュール容器と、を備えるモジュール機能部と、を備える燃料電池モジュールにおいて、
少なくとも一つの前記発電単位である特定発電単位は、前記空気室と前記燃料室との一方である第1ガス室にガスを供給する第1ガス入口と、前記第1ガス室に供給されたガスを排出する第1ガス出口と、を有し、
前記燃料電池モジュールのうち、前記第1ガス出口側の領域を第1出口側領域としたときに、
前記燃料電池モジュールは、更に、前記燃料電池スタックの外側の領域に位置する熱伝達機構であって、前記燃料電池スタックの熱を、前記燃料電池スタックに供給するガスと、前記燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達する熱伝達機構を備え、
前記熱伝達機構は、少なくとも一部が前記第1出口側領域に含まれる領域内に位置する受熱部であって、前記燃料電池スタックの前記第1出口側領域内の熱を受け取る受熱部を備える、
ることを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池モジュールであって、
前記熱伝達機構は、前記燃料電池スタックに供給されるガスを内部に流通させることにより、前記燃料電池スタックの前記第1出口側領域内の熱を、前記燃料電池スタックに供給されるガスに伝達する、熱交換器である、
ことを特徴とする、燃料電池モジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の燃料電池モジュールであって、
前記受熱部は、前記燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体としての前記改質器の原燃料ガスを改質するために利用される水蒸気を生成するための水が供給される蒸発器である、
ことを特徴とする、燃料電池モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の燃料電池モジュールであって、
前記受熱部は、前記燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体として原燃料ガスが供給される改質器であって、原燃料ガスを改質する改質器である、
ことを特徴とする、燃料電池モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の燃料電池モジュールであって、
前記燃料電池モジュールは、前記燃料電池スタックの外側の領域に位置する断熱材を備え、
前記受熱部は、少なくとも一部が前記断熱材により画定される特定空間であり、
前記熱伝達機構は、前記燃料電池スタックの前記第1出口側領域内の熱を、前記特定空間を通して、前記燃料電池スタックに供給するガスと、前記燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達する、
ことを特徴とする、燃料電池モジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の燃料電池モジュールであって、
前記燃料電池モジュールは、前記燃料電池スタックを覆う断熱材を備える、
ことを特徴とする、燃料電池モジュール。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の燃料電池モジュールであって、
前記特定発電単位において、前記空気室と前記燃料室との他方を第2ガス室としたときに、前記特定発電単位は、前記第2ガス室にガスを供給する第2ガス入口と、前記第2ガス室に供給されたガスを排出する第2ガス出口と、を有し、前記燃料電池モジュールのうち、前記第2ガス出口側の領域を第2出口側領域とし、前記第2出口側領域のうち、第1出口側領域と重なる領域を重複領域としたときに、
前記受熱部は、前記重複領域に含まれる領域内に位置する、
ことを特徴とする、燃料電池モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の燃料電池モジュールであって、
前記第1の方向視において、
前記燃料電池スタックの外形が略矩形であり、
前記外形を画定する互いに対向する一対の辺のうち、前記第1ガス入口と前記第2ガス入口とが前記燃料電池スタックの一方の辺側に形成され、前記第1ガス出口と前記第2ガス出口とが他方の辺側に形成されている、
ことを特徴とする、燃料電池モジュール。
【請求項9】
電解質層と、前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極と、を含む単セルをそれぞれ有する複数の発電単位が第1の方向に積層されてなる燃料電池スタックであって、各発電単位において、前記空気極が面する空気室と、前記燃料極が面する燃料室と、が形成された燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックの外側に位置するモジュール機能部であって、前記燃料電池スタックから排出されるガスを燃焼させる燃焼器と、前記燃料電池スタックに供給される原燃料ガスを改質する改質器と、前記燃焼器と前記改質器とを収容するモジュール容器と、を備えるモジュール機能部と、を備える燃料電池モジュールにおいて、
前記燃料電池モジュールは、更に、前記燃料電池スタックの熱を、前記燃料電池スタックに供給するガスと、前記燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達する熱伝達機構を備え、
前記熱伝達機構は、前記燃料電池スタックのうち、少なくとも、他の部分よりも高温である高温部の熱を受け取る受熱部を備える、
ることを特徴とする燃料電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という。)が知られている。SOFCは、例えば、燃料電池スタックと、燃料電池スタックの外側に位置するモジュール機能部とを備える燃料電池モジュールの形態で利用される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
燃料電池スタックは、複数の発電単位を備える構造体である。各発電単位は、電解質層と、電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極とを含む燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という。)を有する。モジュール機能部は、燃焼器と、改質器と、燃焼器と改質器とを収容するモジュール容器とを備える。
【0004】
燃料電池スタックに導入され、燃料電池スタックから排出されるガス(燃料オフガスおよび酸化剤オフガス)は、燃焼器に導入され、燃焼器内で燃焼される。また、原燃料ガスは、改質器に導入され、改質器において改質(水蒸気改質)され、その結果、水素リッチな燃料ガスが生成される。このように生成された燃料ガスが、燃料電池スタックに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の燃料電池モジュールにおいて、燃料電池スタックの運転の際などに、燃料電池スタック内の温度分布にばらつきが生じることがある。なお、このような課題は、SOFCに限らず、他のタイプの燃料電池の燃料電池モジュールにも共通の課題である。
【0007】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本明細書に開示される燃料電池モジュールは、電解質層と、前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極と、を含む単セルをそれぞれ有する複数の発電単位が第1の方向に積層されてなる燃料電池スタックであって、各発電単位において、前記空気極が面する空気室と、前記燃料極が面する燃料室と、が形成された燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックの外側に位置するモジュール機能部であって、前記燃料電池スタックから排出されるガスを燃焼させる燃焼器と、前記燃料電池スタックに供給される原燃料ガスを改質する改質器と、前記燃焼器と前記改質器とを収容するモジュール容器と、を備えるモジュール機能部と、を備える燃料電池モジュールにおいて、少なくとも一つの前記発電単位である特定発電単位は、前記空気室と前記燃料室との一方である第1ガス室にガスを供給する第1ガス入口と、前記第1ガス室に供給されたガスを排出する第1ガス出口と、を有し、前記燃料電池モジュールのうち、前記第1ガス出口側の領域を第1出口側領域としたときに、前記燃料電池モジュールは、更に、前記燃料電池スタックの外側の領域に位置する熱伝達機構であって、前記燃料電池スタックの熱を、前記燃料電池スタックに供給するガスと、前記燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達する熱伝達機構を備え、前記熱伝達機構は、少なくとも一部が前記第1出口側領域に含まれる領域内に位置する受熱部であって、前記燃料電池スタックの前記第1出口側領域内の熱を受け取る受熱部を備える。
【0010】
熱伝達機構を備えていない従来の燃料電池モジュールでは、燃料電池スタックの運転中などにおいて、燃料電池スタック内の温度分布にばらつきが生じることがある。この温度分布の態様は、燃料電池スタック内の構成や外部の構成(断熱構造など)等によって様々であるが、上述したように、基本的には、第1ガス室にガスを供給する第1ガス入口側と比較して、第1ガス室に供給されたガスを排出する第1ガス出口側が高温となりやすい。つまり、燃料電池スタックのうち、第1出口側領域内の領域(第1ガス出口側の領域)は、燃料電池スタックの高温部となりやすい。
【0011】
本燃料電池モジュールにおいては、上記熱伝達機構を備えることにより、第1出口側領域に含まれる領域内に位置する受熱部によって燃料電池スタックの高温部となりやすい第1出口側領域内の熱が受け取られ、燃料電池スタックに供給するガスと、燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達される。そのため、燃料電池スタックにおいて高温部となりやすい第1出口側領域内の温度を低下させることができ、ひいては燃料電池スタックの温度分布にばらつきが抑制することができる。
【0012】
ところで、仮に燃料電池スタックの第1出口側領域から放出された熱が上記燃料電池モジュールの外部に放出される構成においては、燃料電池スタックの発電効率が著しく低下することとなる。
【0013】
これに対し、本燃料電池モジュールにおいては、上記従来の燃料電池モジュールと比較して、燃料電池スタックの第1出口側領域から放出された熱は、上記燃料電池モジュールの外部に放出されずに、燃料電池スタックに供給するガスの加熱や、燃料電池スタックに供給するガスを生成するために利用されるため、燃料電池スタックの発電効率の低下を抑制することができる。
【0014】
(2)上記燃料電池モジュールにおいて、前記熱伝達機構は、前記燃料電池スタックに供給されるガスを内部に流通させることにより、前記燃料電池スタックの前記第1出口側領域内の熱を、前記燃料電池スタックに供給されるガスに伝達する、熱交換器である、構成としてもよい。本燃料電池モジュールによれば、簡易な構成により、燃料電池スタックの第1出口側領域内の熱を、燃料電池スタックに供給されるガスに伝達する熱伝達機構を実現することができる。更に、熱伝達媒体としての空気を用いることにより、特に効率的に、燃料電池スタックの第1出口側領域内の熱を、燃料電池スタックに供給されるガスに伝達することができる。
【0015】
(3)上記燃料電池モジュールにおいて、前記受熱部は、前記燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体としての前記改質器の原燃料ガスを改質するために利用される水蒸気を生成するための水が供給される蒸発器である、構成としてもよい。本燃料電池モジュールにおいては、受熱部における水の気化熱による吸熱により、燃料電池スタックの第1出口側領域の熱を特に効率的に受け取ることができる。そのため、本燃料電池モジュールによれば、特に効率的に、燃料電池スタックの第1出口側領域内の熱を、燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体に伝達することができる。
【0016】
(4)上記燃料電池モジュールにおいて、前記受熱部は、前記燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体として原燃料ガスが供給される改質器であって、原燃料ガスを改質する改質器である、構成としてもよい。本燃料電池モジュールによれば、特に効率的に、燃料電池スタックの第1出口側領域内の熱を、燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体に伝達することができる。
【0017】
(5)上記燃料電池モジュールにおいて、前記燃料電池モジュールは、前記燃料電池スタックの外側の領域に位置する断熱材を備え、前記受熱部は、少なくとも一部が前記断熱材により画定される特定空間であり、前記熱伝達機構は、前記燃料電池スタックの前記第1出口側領域内の熱を、前記特定空間を通して、前記燃料電池スタックに供給するガスと、前記燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達する、構成としてもよい。本燃料電池モジュールによれば、簡易な構成により、燃料電池スタックの第1出口側領域内の熱を、燃料電池スタックに供給するガスと、燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達する熱伝達機構を実現することができる。
【0018】
(6)上記燃料電池モジュールにおいて、前記燃料電池モジュールは、前記燃料電池スタックを覆う断熱材を備える、構成としてもよい。本燃料電池モジュールにおいては、断熱材を備えることにより、燃料電池スタック内の温度分布のばらつきがより顕著となる。そのため、このような構成において、上述したように熱伝達機構により燃料電池スタックの温度分布のばらつきを抑制することは、特に効果的である。
【0019】
(7)上記燃料電池モジュールにおいて、前記特定発電単位において、前記空気室と前記燃料室との他方を第2ガス室としたときに、前記特定発電単位は、前記第2ガス室にガスを供給する第2ガス入口と、前記第2ガス室に供給されたガスを排出する第2ガス出口と、を有し、前記燃料電池モジュールのうち、前記第2ガス出口側の領域を第2出口側領域とし、前記第2出口側領域のうち、第1出口側領域と重なる領域を重複領域としたときに、前記受熱部は、前記重複領域に含まれる領域内に位置する、構成としてもよい。本燃料電池モジュールによれば、特に効果的に、燃料電池スタックの発電効率の低下を抑制することができる。
【0020】
(8)上記燃料電池モジュールにおいて、前記第1の方向視において、前記燃料電池スタックの外形が略矩形であり、前記外形を画定する互いに対向する一対の辺のうち、前記第1ガス入口と前記第2ガス入口とが前記燃料電池スタックの一方の辺側に形成され、前記第1ガス出口と前記第2ガス出口とが他方の辺側に形成されている、構成としてもよい。本燃料電池モジュールにおいては、高温となりやすい第1ガス出口と第2ガス出口とが比較的密集する。そのため、燃料電池スタック内の温度分布のばらつきがより顕著となりやすい。そのため、このような構成において、上述したように熱伝達機構により燃料電池スタックの温度分布のばらつきを抑制することは、特に効果的である。
【0021】
(9)本明細書に開示される燃料電池モジュールは、電解質層と、前記電解質層を挟んで互いに対向する空気極および燃料極と、を含む単セルをそれぞれ有する複数の発電単位が第1の方向に積層されてなる燃料電池スタックであって、各発電単位において、前記空気極が面する空気室と、前記燃料極が面する燃料室と、が形成された燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックの外側に位置するモジュール機能部であって、前記燃料電池スタックから排出されるガスを燃焼させる燃焼器と、前記燃料電池スタックに供給される原燃料ガスを改質する改質器と、前記燃焼器と前記改質器とを収容するモジュール容器と、を備えるモジュール機能部と、を備える燃料電池モジュールにおいて、前記燃料電池モジュールは、更に、前記燃料電池スタックの熱を、前記燃料電池スタックに供給するガスと、前記燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達する熱伝達機構を備え、前記熱伝達機構は、前記燃料電池スタックのうち、少なくとも、他の部分よりも高温である高温部の熱を受け取る受熱部を備える。本燃料電池モジュールにおいては、熱伝達機構(特に受熱部)を備えることにより、燃料電池スタックの高温部の熱が、燃料電池スタックに供給するガスと、燃料電池スタックに供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達される。そのため、燃料電池スタックの高温部の温度を低下させることができ、ひいては燃料電池スタックの温度分布のばらつきを抑制することができる。
【0022】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池モジュールおよびその製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態における燃料電池モジュール10の構成を模式的に示す説明図
【
図2】
図1に示す燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図
【
図3】
図2のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図
【
図4】
図2のIV-IVの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図
【
図5】
図2のV-Vの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図
【
図6】
図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図
【
図7】
図4に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図
【
図8】
図1に示す燃料電池モジュール10の燃料電池スタック100(
図6および
図7のVIII-VIIIの位置における発電単位102のXY断面)周辺の構成を模式的に示す説明図
【
図9】
図1に示す燃料電池モジュール10の燃料電池スタック100(
図6および
図7のIX-IXの位置における発電単位102のXY断面)周辺の構成を模式的に示す説明図
【
図10】第2実施形態における燃料電池モジュール10aの構成を模式的に示す説明図
【
図11】
図10に示す燃料電池モジュール10aの燃料電池スタック100(
図8と同様の位置における発電単位102のXY断面)周辺の構成を模式的に示す説明図
【
図12】
図10に示す燃料電池モジュール10aの燃料電池スタック100(
図9と同様の位置における発電単位102のXY断面)周辺の構成を模式的に示す説明図
【
図13】第3実施形態における燃料電池モジュール10bの構成を模式的に示す説明図
【
図14】
図13に示す燃料電池モジュール10bのXY断面構成を模式的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
A.第1実施形態:
A-1.燃料電池モジュール10の構成:
図1は、第1実施形態における燃料電池モジュール10の構成を模式的に示す説明図である。燃料電池モジュール10は、燃料電池スタック100と、その他の装置(後述する改質・加熱器330や熱伝達機構400等)とを備える。以下では、まず燃料電池スタック100の構成について説明し、その後、燃料電池モジュール10を構成する他の装置の構成について説明する。
【0025】
A-2.燃料電池スタック100の構成:
図2は、
図1に示す燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。
図3は、
図2のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。
図4は、
図2のIV-IVの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。
図5は、
図2のV-Vの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている(
図6以降においても同様)。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。なお、燃料電池モジュール10の設置向きや燃料電池スタック100以外の装置の設置向きを変えずに燃料電池スタック100の設置向きを変えてもよい(例えば、発電単位102の配列方向をY軸方向とする)。
【0026】
図2から
図5に示すように、燃料電池スタック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に積層されてなる複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という。)102と、下端用セパレータ189と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106のうちの一方(以下、「上側エンドプレート104」という。)は、7つの発電単位102からなる発電ブロック103と下端用セパレータ189とから構成される集合体の上側に配置されており、一対のエンドプレート104,106のうちの他の(以下、「下側エンドプレート106」という。)は、発電ブロック103の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106は、発電ブロック103を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
【0027】
燃料電池スタック100を構成する各層(上側エンドプレート104、各発電単位102、下端用セパレータ189)のZ軸方向回りの外周の4つの角部付近には、各層を上下方向に貫通する孔が形成されており、下側エンドプレート106のZ軸方向回りの外周の4つの角部付近における上側の表面には、孔(ネジ孔)が形成されている。これらの各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、上下方向に延びるボルト孔109を構成している。以下の説明では、ボルト孔109を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、ボルト孔109と呼ぶ場合がある。
【0028】
各ボルト孔109にはボルト22が挿入されている。各ボルト22の下端部は下側エンドプレート106に形成されたネジ孔に螺号しており、各ボルト22の上端部にはナット24が嵌められている。ナット24の下側の表面は、絶縁シート26を介してエンドプレート104の上側の表面に当接している。このような構成のボルト22およびナット24により、燃料電池スタック100の各層が一体に締結されている。なお、絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
【0029】
また、
図2から
図4に示すように、燃料電池スタック100を構成する各層(各発電単位102、下端用セパレータ189、下側エンドプレート106)のZ軸方向回りの周縁部には、各層を上下方向に貫通する4つの孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、最上部の発電単位102から下側エンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
【0030】
図2および
図3に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周を構成する1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の付近に位置する1つの連通孔108は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102の後述する空気室166に供給するガス流路である空気極側供給マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の付近に位置する1つの連通孔108は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へ排出するガス流路である空気極側排出マニホールド162として機能する。酸化剤ガスOGとしては、例えば空気が使用される。なお、空気室166は、特許請求の範囲における第1ガス室の一例である。
【0031】
また、
図2および
図4に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周を構成する辺の内、上述した空気極側供給マニホールド161として機能する連通孔108に最も近い辺の付近に位置する他の1つの連通孔108は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102の後述する燃料室176に供給するガス流路である燃料極側供給マニホールド171として機能し、上述した空気極側排出マニホールド162として機能する連通孔108に最も近い辺の付近に位置する他の1つの連通孔108は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へ排出するガス流路である燃料極側排出マニホールド172として機能する。燃料ガスFGとしては、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。なお、燃料室176は、特許請求の範囲における第2ガス室の一例である。
【0032】
図3および
図4に示すように、燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。
図3に示すように、空気極側供給マニホールド161の位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、空気極側供給マニホールド161に連通しており、空気極側排出マニホールド162の位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、空気極側排出マニホールド162に連通している。また、
図4に示すように、燃料極側供給マニホールド171の位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料極側供給マニホールド171に連通しており、燃料極側排出マニホールド172の位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料極側排出マニホールド172に連通している。なお、各ガス通路部材27と下側エンドプレート106の表面との間には、絶縁シート26が介在している。
【0033】
(エンドプレート104,106の構成)
図3から
図5に示すように、一対のエンドプレート104,106は、Z軸方向視での外形が略矩形の平板状の部材であり、例えばステンレス等の導電材料により形成されている。一対のエンドプレート104,106の中央付近には、それぞれ、Z軸方向に貫通する孔32,34が形成されている。Z軸方向視で、一対のエンドプレート104,106のそれぞれに形成された孔32,34の内周線は、後述する各単セル110を内包している。そのため、各ボルト22およびナット24による締結によって生じるZ軸方向の圧縮力は、主として各発電単位102の周縁部(後述する各単セル110より外周側の部分)に作用する。また、本実施形態では、上側エンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側エンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
【0034】
(下端用セパレータ189の構成)
図3から
図5に示すように、下端用セパレータ189は、Z軸方向視での外形が略矩形の平板状の部材であり、例えば金属により形成されている。下端用セパレータ189の周縁部は、発電ブロック103と下側エンドプレート106との間に挟み込まれた状態で、下側エンドプレート106と例えば溶接により接合されており、下側エンドプレート106と電気的に接続されている。
【0035】
(発電単位102の構成)
図6は、
図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、
図7は、
図4に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図である。
【0036】
図6および
図7に示すように、発電単位102は、燃料電池単セル(以下、「単セル」という。)110と、単セル用セパレータ120と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ190と、インターコネクタ用セパレータ191と、空気極側フレーム130と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電部144と、を備えている。単セル用セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ用セパレータ191におけるZ軸方向回りの周縁部には、各マニホールド161,162,171,172として機能する各連通孔108を構成する孔と、各ボルト孔109を構成する孔とが形成されている。
【0037】
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んでZ軸方向に互いに対向する空気極114および燃料極116と、電解質層112と空気極114との間に配置された反応防止層118とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で単セル110を構成する他の層(電解質層112、空気極114、反応防止層118)を支持する燃料極支持形の単セルである。
【0038】
電解質層112は、Z軸方向視で略矩形の平板形状部材であり、固体酸化物(例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア))を含むように構成されている。すなわち、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極114は、Z軸方向視で電解質層112より小さい略矩形の平板形状部材であり、例えばペロブスカイト型酸化物(例えば、LSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物))を含むように構成されている。燃料極116は、Z軸方向視で電解質層112と略同じ大きさの略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。反応防止層118は、Z軸方向視で空気極114と略同じ大きさの略矩形の平板形状部材であり、例えばGDC(ガドリニウムドープセリア)とYSZとを含むように構成されている。反応防止層118は、空気極114から拡散した元素(例えば、Sr)が電解質層112に含まれる元素(例えば、Zr)と反応して高抵抗な物質(例えば、SrZrO3)が生成されることを抑制する機能を有する。
【0039】
単セル用セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の貫通孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。単セル用セパレータ120における貫通孔121を取り囲む部分(以下、「貫通孔周囲部」という。)は、単セル110(電解質層112)の周縁部における上側の表面に対向している。単セル用セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、単セル110(電解質層112)と接合(接続)されている。単セル用セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリーク(クロスリーク)が抑制される。
【0040】
単セル用セパレータ120における貫通孔121付近には、ガラスを含むガラスシール部125が配置されている。ガラスシール部125は、接合部124に対して空気室166側に位置しており、単セル用セパレータ120の貫通孔周囲部の表面と、単セル110(本実施形態では電解質層112)の表面との両方に接触するように形成されている。ガラスシール部125により、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリーク(クロスリーク)が効果的に抑制される。
【0041】
インターコネクタ190は、略矩形の平板形状の平板部150と、平板部150から空気極114側に突出した複数の略柱状の空気極側集電部134と、を有する導電性の部材であり、金属(例えば、フェライト系ステンレス)により形成されている。本実施形態では、インターコネクタ190の表面(空気室166に面する表面)に、例えばスピネル型酸化物により構成された導電性の被覆層194が形成されている。以下では、被覆層194に覆われたインターコネクタ190を、単にインターコネクタ190という。各発電単位102において、上側のインターコネクタ190は、単セル110に対して空気室166を挟んで上側(空気極114に対してZ軸方向の電解質層112とは反対側)に配置されている。上側のインターコネクタ190(の各空気極側集電部134)は、例えばスピネル型酸化物により構成された導電性接合材196を介して、単セル110の空気極114に接合されており、これにより単セル110の空気極114に電気的に接続されている。また、各発電単位102において、下側のインターコネクタ190は、単セル110に対して燃料室176を挟んで下側に配置されており、後述する燃料極側集電部144を介して、単セル110の燃料極116に電気的に接続されている。インターコネクタ190は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を抑制する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ190は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ190は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ190と同一部材である。また、燃料電池スタック100は下端用セパレータ189を備えているため、燃料電池スタック100において最も下側に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ190を備えていない(
図3から
図5参照)。
【0042】
インターコネクタ用セパレータ191は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の貫通孔181が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。インターコネクタ用セパレータ191における貫通孔181を取り囲む部分(以下、「貫通孔周囲部」という。)は、インターコネクタ190の周縁部における上側の表面に例えば溶接により接合されている。ある発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ用セパレータ191のうち、上側のインターコネクタ用セパレータ191は、該発電単位102の空気室166と、該発電単位102に対して上側に隣り合う他の発電単位102の燃料室176とを区画する。また、ある発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ用セパレータ191のうち、下側のインターコネクタ用セパレータ191は、該発電単位102の燃料室176と、該発電単位102に対して下側に隣り合う他の発電単位102の空気室166とを区画する。このように、インターコネクタ用セパレータ191により、発電単位102の周縁部における発電単位102間のガスのリークが抑制される。なお、燃料電池スタック100において最も上側に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ190に接合されたインターコネクタ用セパレータ191は、上側エンドプレート104に電気的に接続されている。
【0043】
空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、単セル用セパレータ120の周縁部における上側の表面と、上側のインターコネクタ用セパレータ191の周縁部における下側の表面とに接触しており、両者の間のガスシール性(すなわち、空気室166のガスシール性)を確保するシール部材として機能する。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ用セパレータ191間(すなわち、一対のインターコネクタ190間)間が電気的に絶縁される。空気極側フレーム130には、空気極側供給マニホールド161と空気室166とを連通する空気極側供給連通流路132と、空気室166と空気極側排出マニホールド162とを連通する空気極側排出連通流路133とが形成されている。なお、空気極側供給連通流路132は、特許請求の範囲における第1ガス入口の一例である。空気極側排出連通流路133は、特許請求の範囲における第1ガス出口の一例である。
【0044】
燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、単セル用セパレータ120の周縁部における下側の表面と、下側のインターコネクタ用セパレータ191の周縁部における上側の表面とに接触している。燃料極側フレーム140には、燃料極側供給マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料極側供給連通流路142と、燃料室176と燃料極側排出マニホールド172とを連通する燃料極側排出連通流路143とが形成されている。なお、燃料極側供給連通流路142は、特許請求の範囲における第2ガス入口の一例である。燃料極側排出連通流路143は、特許請求の範囲における第2ガス出口の一例である。
【0045】
燃料極側集電部144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電部144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116の下側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ190の上側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下側に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ190を備えていないため、該発電単位102における燃料極側集電部144のインターコネクタ対向部146は、下端用セパレータ189に接触している。燃料極側集電部144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ190(または下端用セパレータ189)とを電気的に接続する。なお、燃料極側集電部144の電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電部144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電部144を介した燃料極116とインターコネクタ190(または下端用セパレータ189)との電気的接続が良好に維持される。
【0046】
A-3.燃料電池モジュール10における燃料電池スタック100以外の装置の構成:
次に、燃料電池モジュール10における燃料電池スタック100以外の装置の構成について説明する。
図1に示すように、燃料電池モジュール10は、蒸発器310および改質・加熱器330を含む補助器300と、熱伝達機構400と、各装置間を結ぶ各種流路とを備える。各装置は、燃料電池スタック100の外側に位置している。各装置(燃料電池スタック100、蒸発器310、改質・加熱器330、熱伝達機構400)は、断熱材350によって囲まれた断熱空間351に収容されている。なお、
図1では、便宜的に、断熱材350は全装置の周囲を覆う単純な四角形状をなすものとしてあるが、実際には、全装置の周囲を覆い、かつ、各装置の周囲を覆っている。なお、
図1では、便宜的に、燃料極側のガス(原燃料ガスRFG、燃料ガスFG、および燃料オフガスFOGを含む)の流れを一点鎖線で示し、空気極側のガス(酸化剤ガスOGおよび酸化剤オフガスOOGを含む)の流れを実線で示し、排ガスEGの流れを破線で示し、水の流れを二点鎖線で示している。
【0047】
蒸発器310は、内部に空間が形成された箱形部材であり、例えば金属により形成されている。蒸発器310は、水WAを蒸発させて水蒸気を生成するための装置である。蒸発器310には、水WAを導入するための純水導入流路251が接続されている。純水導入流路251は、主として配管により構成されており、純水導入流路251上には、イオン交換樹脂(図示無し)と、浄水タンク・フロート(図示無し)と、流量制御機構(図示無し)とが設けられている。給水源から純水導入流路251に供給された水WAは、イオン交換樹脂においてカルシウムイオン等の除去が行われ、浄水タンク・フロートにおいて浄化・貯留され、流量制御機構により制御された流量で、純水として蒸発器310に導入される。
【0048】
また、蒸発器310には、原燃料ガスRFGを導入するための原燃料ガス導入流路261が接続されている。原燃料ガス導入流路261は、主として配管により構成されており、原燃料ガス導入流路261上には、流量制御機構(図示無し)と、水素添加脱硫器(図示無し)とが設けられている。ガス源から原燃料ガス導入流路261に供給された原燃料ガスRFGは、水素添加脱硫器において硫黄成分を除去された状態で、流量制御機構により制御された流量で蒸発器310に導入される。
【0049】
また、蒸発器310には、改質・加熱器330のハウジング335(後述)から蒸発器310へ排ガスEGを送り出すための排ガス中継流路226と、蒸発器310から改質・加熱器330の改質器331(後述)へ混合ガスを送り出すための混合ガス流路228と、蒸発器310から排ガスEGを排出するための排ガス排出流路(図示無し)とが接続されている。これらの流路は、主として配管により構成されている。
【0050】
改質・加熱器330は、改質器331と、燃焼器333と、ハウジング335とを備える。ハウジング335は、例えば金属により形成された密閉型の容器であり、改質器331と燃焼器333とを収容している。ハウジング335は、内壁336と外壁337とを有する二重壁構造に構成されており、内壁336と外壁337との間に形成された空気流路338には、伝熱用フィン339が配置されている。なお、
図1では、便宜的に、伝熱用フィン339の一部の図示を省略している。ハウジング335には、酸化剤ガスOG(空気)を導入するための空気導入流路である熱伝達機構400が接続されている。空気導入流路である熱伝達機構400は、主として配管により構成されており、熱伝達機構400上には流量制御機構(図示無し)が設けられている。熱伝達機構400に供給された酸化剤ガスOGは、流量制御機構により制御された流量でハウジング335の空気流路338に導入される。また、ハウジング335には、燃料電池スタック100の空気極側供給マニホールド161(後述)に向けて酸化剤ガスOGを送り出すための空気極側ガス供給流路61が接続されている。空気極側ガス供給流路61は、主として配管により構成されている。なお、改質・加熱器330は、特許請求の範囲におけるモジュール機能部の一例である。ハウジング335は、特許請求の範囲におけるモジュール容器の一例である。
【0051】
改質器331は、内部に空間が形成された箱形部材であり、例えば金属により形成されている。改質器331は、原燃料ガスRFGを改質(水蒸気改質)して燃料ガスFGを生成するための装置である。改質器331内には、改質反応を促進させる触媒が配置されている。上述したように、改質器331には、蒸発器310から改質器331へ混合ガスを送り出すための混合ガス流路228が接続されている。また、改質器331には、燃料電池スタック100の燃料極側供給マニホールド171(後述)に向けて燃料ガスFGを送り出すための燃料極側ガス供給流路71が接続されている。燃料極側ガス供給流路71は、主として配管により構成されている。
【0052】
燃焼器333は、内部に空間が形成された箱形部材であり、例えば金属により形成されている。燃焼器333は、酸化剤オフガスOOGおよび燃料オフガスFOGを燃焼させるための装置である。燃焼器333内には、酸化剤オフガスOOGおよび燃料オフガスFOGの燃焼を促進させる触媒が配置されていてもよい。燃焼器333には、燃料電池スタック100の空気極側排出マニホールド162から酸化剤オフガスOOGが送り出される空気極側ガス排出流路240と、燃料電池スタック100の燃料極側排出マニホールド172から燃料オフガスFOGが送り出される燃料極側ガス排出流路230とが接続されている。これらの流路は、主として配管により構成されている。
【0053】
熱伝達機構400は、燃料電池スタック100の熱を、燃料電池スタック100に供給するガスである酸化剤ガスOGに伝達する装置である。本実施形態の熱伝達機構400は、上述したように改質・加熱器330のハウジング335に酸化剤ガスOG(空気)を導入するための空気導入流路である。熱伝達機構400は、燃料電池スタック100のうち、少なくとも、他の部分よりも高温である高温部(本実施形態では、後述する第1出口側領域EX1や第2出口側領域EX2)の熱を受け取る受熱部410を含んでいる。
【0054】
A-4.熱伝達機構400およびその周辺の詳細構成:
次に、熱伝達機構400およびその周辺の構成について説明する。
図8および
図9は、
図1に示す燃料電池モジュール10の燃料電池スタック100周辺の構成を模式的に示す説明図である。
図8および
図9には、熱伝達機構400の受熱部410および燃料電池スタック100の構成が示されている。
図8には、
図6および
図7のVIII-VIIIにおける発電単位102のXY断面が示され、
図9には、
図6および
図7のIX-IXの位置における発電単位102のXY断面が示されている。
【0055】
なお、
図8および
図9に示すように、Z軸方向視において、燃料電池スタック100の外形FSは略矩形である。燃料電池スタック100の外形FSを画定する互いに対向する一対の辺sd1,sd2のうち、空気極側供給連通流路132と燃料極側供給連通流路142とが燃料電池スタック100の一方の辺sd2側に形成され、空気極側排出連通流路133と燃料極側排出連通流路143とが他方の辺sd1側に形成されている。
【0056】
上述したように、熱伝達機構400は、燃料電池スタック100の熱を、燃料電池スタック100に供給するガスである酸化剤ガスOGに伝達する装置であり、本実施形態の熱伝達機構400は、改質・加熱器330のハウジング335に酸化剤ガスOG(空気)を導入するための空気導入流路である。従って、本実施形態の熱伝達機構400は、改質・加熱器330のハウジング335に連通している(
図1参照)。
【0057】
また、上述したように、熱伝達機構400は、燃料電池スタック100のうち、少なくとも、他の部分よりも高温である高温部(本実施形態では、後述する第1出口側領域EX1や第2出口側領域EX2)の熱を受け取る受熱部410を備えている。また、熱伝達機構400は、燃料電池スタック100の外側の領域に位置している。換言すれば、熱伝達機構400は、燃料電池スタック100に内包されておらず、燃料電池スタック100を内包してもいない。
【0058】
図8および
図9に示すように、本実施形態の熱伝達機構400の受熱部410は、空気導入流路である熱伝達機構400の一部(空気流路)であって、燃料電池スタック100の近傍に位置している。
【0059】
図8に示すように、熱伝達機構400の受熱部410は、燃料電池モジュール10のうち、空気極側排出連通流路133側の領域(以下、「第1出口側領域」という。)EX1に位置している。
【0060】
本実施形態の第1出口側領域EX1は、以下のように定義される。すなわち、第1出口側領域EX1は、Z軸方向視において、空気極側供給連通流路132と空気極側排出連通流路133とを結ぶ線分LP1の垂直二等分線L1を境界として分けられた2つの領域EX1、IN1のうち、空気極側排出連通流路133側の領域である。
【0061】
また、
図9に示すように、熱伝達機構400の受熱部410は、燃料電池モジュール10のうち、燃料極側排出連通流路143側の領域(以下、「第2出口側領域」という。)EX2に位置している。
【0062】
本実施形態の第2出口側領域EX2は、以下のように定義される。すなわち、第2出口側領域EX2は、Z軸方向視において、燃料極側供給連通流路142と燃料極側排出連通流路143とを結ぶ線分LP2の垂直二等分線L2を境界として分けられた2つの領域EX2、IN2のうち、燃料極側排出連通流路143側の領域である。
【0063】
特に本実施形態では、熱伝達機構400の受熱部410は、燃料電池モジュール10のうち、第2出口側領域EX2のうち、第1出口側領域EX1と重なる領域(以下、「重複領域RF」という。)に位置している。
【0064】
上述した領域(第1出口側領域EX1、第2出口側領域EX2、重複領域RF)に位置する受熱部410を通る酸化剤ガスOGに、燃料電池スタック100の熱が移動し、熱を受け取った酸化剤ガスOGは熱伝達機構400を通って改質・加熱器330のハウジング335まで流れ、酸化剤ガスOGの熱が改質・加熱器330のハウジング335に移動する。
【0065】
A-5.燃料電池モジュール10の動作:
次に、燃料電池モジュール10の動作について説明する。
図1に示すように、酸化剤ガスOGは、空気導入流路である熱伝達機構400を流れ、改質・加熱器330のハウジング335に形成された空気流路338内に導入される。熱伝達機構400を流れる酸化剤ガスOGは、受熱部410にて燃料電池スタック100の少なくとも高温部(本実施形態では第1出口側領域EX1や第2出口側領域EX2)の熱を受け取る。燃料電池スタック100の高温部の熱を受け取り、空気流路338内に導入された酸化剤ガスOGは、燃焼器333によって生成された燃焼熱(排ガスEG)によって加熱されつつ空気流路338内を流れ、空気極側ガス供給流路61を介して燃料電池スタック100の空気極側供給マニホールド161に供給される。
図3および
図5に示すように、空気極側供給マニホールド161に供給された酸化剤ガスOGは、空気極側供給マニホールド161から、各発電単位102の空気極側供給連通流路132を介して空気室166に供給される。また、
図1に示すように、原燃料ガス導入流路261を介して蒸発器310に原燃料ガスRFGが供給されると共に、純水導入流路251を介して蒸発器310に水WAが供給されると、蒸発器310において、排ガス中継流路226を介して導入された排ガスEGの熱を利用して水WAを蒸発させることにより水蒸気が生成されると共に、この水蒸気が原燃料ガスRFGと混合される。水蒸気と混合された原燃料ガスRFGは、混合ガス流路228を介して蒸発器310から改質器331に導入され、改質器331において水蒸気改質され、その結果、水素リッチな燃料ガスFGが生成される。生成された燃料ガスFGは、燃料極側ガス供給流路71を介して燃料電池スタック100の燃料極側供給マニホールド171に供給される。
図4および
図6に示すように、燃料極側供給マニホールド171に供給された燃料ガスFGは、燃料極側供給マニホールド171から、各発電単位102の燃料極側供給連通流路142を介して燃料室176に供給される。
【0066】
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、各発電単位102の単セル110において酸化剤ガスOGに含まれる酸素と燃料ガスFGに含まれる水素との電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電部134を介して一方のインターコネクタ190に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電部144を介して他方のインターコネクタ190に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われる。
【0067】
図1、
図3および
図6に示すように、各発電単位102の空気室166から空気極側排出連通流路133を介して空気極側排出マニホールド162に排出された酸化剤オフガスOOGは、空気極側ガス排出流路240を介して燃焼器333に導入される。また、
図1、
図4および
図7に示すように、各発電単位102の燃料室176から燃料極側排出連通流路143を介して燃料極側排出マニホールド172に排出された燃料オフガスFOGは、燃料極側ガス排出流路230を介して燃焼器333に導入される。燃焼器333に導入された酸化剤オフガスOOGおよび燃料オフガスFOGは、燃焼器333において混合されて燃焼され、その後、排ガスEGとして排ガス中継流路226を介して蒸発器310へと排出される。なお、燃焼器333において発生する熱により、改質器331における改質反応が促進されると共に、燃料電池スタック100が加熱される。
【0068】
上記のように、熱伝達機構400により、受熱部410にて燃料電池スタック100の高温部の熱を受け取ったガス(酸化剤ガスOG)が燃料電池スタック100に供給され、これにより燃料電池スタック100の高温部の熱が燃料電池スタック100の運転(発電)に再利用される。
【0069】
なお、上記のように、空気極側供給連通流路132から空気室166に供給されたガス(酸化剤ガスOG)は、空気極114において行われる発電反応に伴って加熱されてから空気極側排出連通流路133から排出される。このことから、燃料電池スタック100の温度分布は、基本的には、空気室166にガス(酸化剤ガスOG)を供給する空気極側供給連通流路132側と比較して、空気室166に供給されたガス(酸化剤ガスOG)を排出する空気極側排出連通流路133側が高温となりやすい。このことから、本実施形態の燃料電池スタック100のうち、空気極側排出連通流路133側の領域(第1出口側領域EX1内の領域)は、燃料電池スタック100の高温部であるといえる。
【0070】
同様に、燃料極側供給連通流路142から燃料室176に供給されたガス(燃料ガスFG)は、燃料極116において行われる発電反応に伴って加熱されてから燃料極側排出連通流路143から排出される。このことから、燃料電池スタック100の温度分布は、基本的には、燃料室176にガス(燃料ガスFG)を供給する燃料極側供給連通流路142側と比較して、燃料室176に供給されたガス(燃料ガスFG)を排出する燃料極側排出連通流路143側が高温となりやすい。このことから、本実施形態の燃料電池スタック100のうち、燃料極側排出連通流路143側の領域(第2出口側領域EX2内の領域)は、燃料電池スタック100の高温部であるといえる。
【0071】
上記のことから、本実施形態の熱伝達機構400は、燃料電池スタック100に供給されるガス(酸化剤ガスOG、燃料ガスFG)を内部に流通させることにより、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の熱、および第2出口側領域EX2内の熱を、燃料電池スタック100に供給されるガス(酸化剤ガスOG、燃料ガスFG)に伝達する熱交換器であるといえる。
【0072】
A-6.第1実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池モジュール10は、燃料電池スタック100を備える。燃料電池スタック100は、Z軸方向に積層されてなる複数の発電単位102を備える。各発電単位102は、電解質層112と、電解質層112を挟んで互いに対向する空気極114および燃料極116と、を含む単セル110をそれぞれ有する。各発電単位102において、空気極114が面する空気室166と、燃料極116が面する燃料室176とが形成されている。燃料電池モジュール10は、燃料電池スタック100の外側に位置する改質・加熱器330を備える。改質・加熱器330は、燃料電池スタック100から排出されるガス(酸化剤オフガスOOG、燃料オフガスFOG)を燃焼させる燃焼器333と、燃料電池スタック100に供給されるガス(原燃料ガスRFG)を改質する改質器331と、燃焼器333と改質器331とを収容するハウジング335とを備える。各発電単位102は、空気室166にガス(酸化剤ガスOG)を供給する空気極側供給連通流路132と、空気室166に供給されたガス(酸化剤ガスOG)を排出する空気極側排出連通流路133とを有する。
【0073】
燃料電池モジュール10は、更に、燃料電池スタック100の外側の領域に位置する熱伝達機構400を備える。熱伝達機構400は、燃料電池スタック100の熱を、燃料電池スタック100に供給するガス(酸化剤ガスOG)に伝達する。燃料電池モジュール10のうち、空気極側排出連通流路133側の領域を第1出口側領域EX1としたときに、熱伝達機構400は、少なくとも一部が第1出口側領域EX1に含まれる領域内に位置する受熱部410を備える。受熱部410は、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の熱を受け取る部分である。
【0074】
ところで、熱伝達機構400を備えていない従来の燃料電池モジュールでは、燃料電池スタック100の運転中などにおいて、燃料電池スタック100内の温度分布にばらつきが生じることがある。この温度分布の態様は、燃料電池スタック100内の構成や外部の構成(断熱構造など)等によって様々であるが、上述したように、基本的には、空気室166にガス(酸化剤ガスOG)を供給する空気極側供給連通流路132側と比較して、空気室166に供給されたガス(酸化剤ガスOG)を排出する空気極側排出連通流路133側が高温となりやすい。つまり、燃料電池スタック100のうち、第1出口側領域EX1内の領域(空気極側排出連通流路133側の領域)は、燃料電池スタック100の高温部となりやすい。
【0075】
本実施形態の燃料電池モジュール10においては、熱伝達機構400を備えることにより、第1出口側領域EX1に含まれる領域内に位置する受熱部410によって燃料電池スタック100の高温部となりやすい第1出口側領域EX1内の熱が受け取られ、燃料電池スタック100に供給するガス(酸化剤ガスOG)に伝達される。そのため、燃料電池スタック100において高温部となりやすい第1出口側領域EX1内の領域の温度を低下させることができ、ひいては燃料電池スタック100の温度分布にばらつきが抑制することができる。
【0076】
ところで、仮に燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の領域から放出された熱が燃料電池モジュール10の外部に放出される構成においては、燃料電池スタック100の発電効率が著しく低下することとなる。
【0077】
これに対し、本実施形態の燃料電池モジュール10においては、上記従来の燃料電池モジュールと比較して、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の領域から放出された熱は、燃料電池モジュール10の外部に放出されずに、燃料電池スタック100に供給するガス(酸化剤ガスOG)を生成するために利用されるため、燃料電池スタック100の発電効率の低下を抑制することができる。
【0078】
なお、本実施形態の燃料電池モジュール10においては、上述したように、改質器331と、燃焼器333と改質器331とを収容するハウジング335と、を備える改質・加熱器330を備える。このように燃焼器333と改質器331とがハウジング335に収容されていることにより、燃焼器333と改質器331とにおける熱効率が良好なものとなる。
【0079】
本実施形態の燃料電池モジュール10では、熱伝達機構400は、燃料電池スタック100に供給されるガス(酸化剤ガスOG)を内部に流通させることにより、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の熱を、燃料電池スタック100に供給されるガス(酸化剤ガスOG)に伝達する熱交換器である。そのため、本実施形態の燃料電池モジュール10によれば、簡易な構成により、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の熱を、燃料電池スタック100に供給されるガス(酸化剤ガスOG)に伝達する熱伝達機構400を実現することができる。更に、熱伝達媒体としての酸化剤ガスOG(空気)を用いることにより、特に効率的に、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の熱を、燃料電池スタック100に供給されるガス(酸化剤ガスOG)に伝達することができる。
【0080】
本実施形態の燃料電池モジュール10は、燃料電池スタック100を覆う断熱材350を備える。本実施形態の燃料電池モジュール10においては、断熱材350を備えることにより、燃料電池スタック100内の温度分布のばらつきがより顕著となる。そのため、このような構成において、上述したように熱伝達機構400により燃料電池スタック100の温度分布のばらつきを抑制することは、特に効果的である。
【0081】
本実施形態の燃料電池モジュール10では、各発電単位102は、燃料室176にガス(燃料ガスFG)を供給する燃料極側供給連通流路142と、燃料室176に供給されたガス(燃料ガスFG)を排出する燃料極側排出連通流路143とを有する。燃料電池モジュール10のうち、燃料極側排出連通流路143側の領域を第2出口側領域EX2とし、第2出口側領域EX2のうち、第1出口側領域EX1と重なる領域を重複領域RFとしたときに、受熱部410は、重複領域RFに含まれる領域内に位置する。そのため、本実施形態の燃料電池モジュール10によれば、特に効果的に、燃料電池スタック100の発電効率の低下を抑制することができる。
【0082】
本実施形態の燃料電池モジュール10では、Z軸方向視において、燃料電池スタック100の外形FSが略矩形である。燃料電池スタック100の外形FSを画定する互いに対向する一対の辺sd1,sd2のうち、空気極側供給連通流路132と燃料極側供給連通流路142とが燃料電池スタック100の一方の辺sd2側に形成され、空気極側排出連通流路133と燃料極側排出連通流路143とが他方の辺sd1側に形成されている。そのため、本実施形態の燃料電池モジュール10においては、高温となりや空気極側排出連通流路133と燃料極側排出連通流路143とが比較的密集する。そのため、燃料電池スタック100内の温度分布のばらつきがより顕著となりやすい。そのため、このような構成において、上述したように熱伝達機構400により燃料電池スタック100の温度分布のばらつきを抑制することは、特に効果的である。
【0083】
本実施形態の燃料電池モジュール10は、上述したように、燃料電池スタック100の熱を、燃料電池スタック100に供給するガス(酸化剤ガスOG)に伝達する熱伝達機構400を備える。熱伝達機構400は、燃料電池スタック100のうち、少なくとも、他の部分よりも高温である高温部の熱を受け取る受熱部410を備える。熱伝達機構400(特に受熱部410)を備えることにより、燃料電池スタック100の高温部の熱が燃料電池スタック100に供給するガス(酸化剤ガスOG)に伝達される。そのため、燃料電池スタック100の高温部の温度を低下させることができ、ひいては燃料電池スタック100の温度分布のばらつきを抑制することができる。
【0084】
B.第2実施形態:
図10は、第2実施形態における燃料電池モジュール10aの構成を模式的に示す説明図である。
図11および
図12は、
図10に示す燃料電池モジュール10aの燃料電池スタック100周辺の構成を模式的に示す説明図である。
図11には、燃料電池スタック100の断面として、
図8と同様の位置における発電単位102のXY断面が示され、
図12には、燃料電池スタック100の断面として、
図9と同様の位置における発電単位102のXY断面が示されている。
【0085】
B-1.燃料電池モジュール10aの構成:
以下では、第2実施形態の燃料電池モジュール10aの構成のうち、上述した第1実施形態の燃料電池モジュール10と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0086】
本実施形態の燃料電池モジュール10aは、熱伝達機構400a(および熱伝達機構400aに関連する部分)の構成が第1実施形態の熱伝達機構400(および熱伝達機構400に関連する部分)の構成と異なっている。具体的には、本実施形態の熱伝達機構400aは、受熱部410aを構成する蒸発器411aおよびプレ改質器412aと、混合ガス流路413a,414aとを備える。
【0087】
本実施形態の受熱部410aを構成する蒸発器411aは、水WAを蒸発させて水蒸気を生成するための装置であり、その材質等の基本的構成は、蒸発器310の基本的構成と同様である。蒸発器411aは、燃料電池スタック100の周辺に配置されている。具体的には、
図11および
図12に示すように、蒸発器411aは、燃料電池スタック100に対してZ軸方向側に位置している。本実施形態の受熱部410aを構成するプレ改質器412aは、原燃料ガスRFGを改質(水蒸気改質)して燃料ガスFGを生成するための装置であり、その材質等の基本的構成は、改質器331の基本的構成と同様である。プレ改質器412aは、燃料電池スタック100の周辺に配置されている。具体的には、
図11および
図12に示すように、蒸発器411aおよびプレ改質器412aは、燃料電池スタック100に対してZ軸方向側に位置している。なお、受熱部410aを構成する蒸発器411aやプレ改質器412aは、燃料電池スタック100に接していてもよいが、燃料電池スタック100のうち、他の部分よりも高温である高温部(本実施形態では第1出口側領域EX1や第2出口側領域EX2)の熱を受け取ることが可能な位置であれば、燃料電池スタック100に接していなくてもよい。
【0088】
本実施形態では、蒸発器411aに、純水導入流路251、原燃料ガス導入流路261、混合ガス流路413aが接続されており、第1実施形態の蒸発器310は排されている。
【0089】
混合ガス流路413aは、蒸発器411aから改質・加熱器330の改質器331(後述)へ混合ガスを送り出すためのガス流路であり、蒸発器411aとプレ改質器412aとに接続されている。混合ガス流路414aは、プレ改質器412aから改質・加熱器330の改質器331へ混合ガスを送り出すためのガス流路であり、プレ改質器412aと改質器331とに接続されている。
【0090】
本実施形態の燃料電池モジュール10aは、第1実施形態の熱伝達機構400(空気導入流路)の代わりに、改質・加熱器330のハウジング335に酸化剤ガスOG(空気)を導入するための空気導入流路271を備える。空気導入流路271は、ハウジング335に接続されている。空気導入流路271は、主として配管により構成されており、空気導入流路271上には流量制御機構(図示無し)が設けられている。空気導入流路271に供給された酸化剤ガスOGは、流量制御機構により制御された流量でハウジング335の空気流路338に導入される。
【0091】
B-2.燃料電池モジュール10aの動作:
第2実施形態の燃料電池モジュール10aの動作は、基本的には第1実施形態の燃料電池モジュール10の動作と同様であるが、熱伝達機構400aに関する部分が異なっている。以下では、その異なっている部分についてのみ説明する。
【0092】
図10に示すように、空気導入流路271を介して改質・加熱器330のハウジング335に形成された空気流路338内に導入された酸化剤ガスOGは、燃焼器333によって生成された燃焼熱(排ガスEG)によって加熱されつつ空気流路338内を流れ、空気極側ガス供給流路61を介して燃料電池スタック100の空気極側供給マニホールド161に供給される。
【0093】
原燃料ガス導入流路261を介して蒸発器411aに原燃料ガスRFGが供給されると共に、純水導入流路251を介して蒸発器411aに水WAが供給されると、蒸発器411aにおいて、燃料電池スタック100の熱を利用して水WAを蒸発させることにより水蒸気が生成されると共に、この水蒸気が原燃料ガスRFGと混合される。受熱部410aを構成する蒸発器411aを流れる混合ガス(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)は、蒸発器411aにて燃料電池スタック100の少なくとも高温部(本実施形態では第1出口側領域EX1や第2出口側領域EX2)の熱を受け取る。燃料電池スタック100の高温部の熱を受け取った混合ガスは、混合ガス流路413aを介して蒸発器411aからプレ改質器412aに導入され、プレ改質器412aにおいて水蒸気改質され、その結果、水素リッチな燃料ガスFGが生成される。受熱部410aを構成するプレ改質器412aを流れる混合ガス(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)は、プレ改質器412aにて燃料電池スタック100の少なくとも高温部(本実施形態では第1出口側領域EX1や第2出口側領域EX2)の熱を受け取る。プレ改質器412aにて生成された燃料ガスFGは、混合ガス流路414aを介してプレ改質器412aから改質器331に導入され、改質器331において更に水蒸気改質され、燃料ガスFGの水素成分が更に増加される。プレ改質器412aおよび改質器331における水蒸気改質の際に、熱伝達機構400aの受熱部410にてガス(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)が受け取った燃料電池スタック100の高温部の熱が利用される。プレ改質器412aおよび改質器331において水蒸気改質されることにより生成された燃料ガスFGは、燃料極側ガス供給流路71を介して燃料電池スタック100の燃料極側供給マニホールド171に供給される。
【0094】
上記のように、熱伝達機構400aにより、受熱部410を構成する蒸発器411aにて燃料電池スタック100の高温部の熱を受け取ったガス(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)がプレ改質器412aに供給される。更に、熱伝達機構400aにより、受熱部410aを構成するプレ改質器412aにて燃料電池スタック100の高温部の熱を受け取ったガス(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)が改質器331に供給される。そして、プレ改質器412aおよび改質器331にて混合ガス(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)が水蒸気改質されることにより生成されるガス(燃料ガスFG)が燃料電池スタック100に供給される。以上のように、燃料電池スタック100の高温部の熱が燃料電池スタック100の運転(発電)に再利用される。
【0095】
なお、上記のように、本実施形態ではプレ改質器412aと改質器331とにより水蒸気改質を行うため、仮にプレ改質器412aの改質能力が不十分であっても、その不足を改質器331における改質により補完することができる。また、プレ改質器412aによる改質を行うため、改質器331による改質のみを行う構成と比較して改質器331の改質能力(ひいては改質器331のサイズ)を小さくすることができる。
【0096】
なお、本実施形態において、熱伝達機構400aの受熱部410aは、蒸発器411aとプレ改質器412aとの一方のみにより構成されるとしてもよい。熱伝達機構400aの受熱部410aはプレ改質器412aであるとする際には、燃料電池モジュール10aは第1実施形態のように蒸発器310等を備えるとすればよい。
【0097】
B-3.第2実施形態の効果:
第2実施形態の燃料電池モジュール10aにおいても、第1実施形態と共通する構成を備えることにより、第1実施形態の燃料電池モジュール10と同様の上記効果を得ることができる。例えば、本実施形態の燃料電池モジュール10aにおいては、熱伝達機構400aを備えることにより、第1出口側領域EX1に含まれる領域内に位置する受熱部410aによって燃料電池スタック100の高温部となりやすい第1出口側領域EX1内の熱が受け取られ、燃料電池スタック100に供給するガス(燃料ガスFG)を生成するための流体(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)に伝達される。そのため、燃料電池スタック100において高温部となりやすい第1出口側領域EX1内の領域の温度を低下させることができ、ひいては燃料電池スタック100の温度分布のばらつきを抑制することができる。更に、本実施形態の燃料電池モジュール10aにおいては、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の領域から放出された熱は、燃料電池モジュール10aの外部に放出されずに、燃料電池スタック100に供給するガス(燃料ガスFG)を生成するための流体(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)を生成するために利用されるため、燃料電池スタック100の発電効率の低下を抑制することができる。
【0098】
更に、第2実施形態の燃料電池モジュール10aでは、熱伝達機構400の受熱部410aは、燃料電池スタック100に供給するガス(燃料ガスFG)を生成するための流体(原燃料ガスRFG)を改質するために利用される水蒸気を生成するための水WAが供給される蒸発器411aである。そのため、受熱部410a(蒸発器411a)における水WAの気化熱による吸熱により、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1(高温部)の熱を特に効率的に受け取ることができる。そのため、本実施形態の燃料電池モジュール10aによれば、特に効率的に、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の熱を、燃料電池スタック100に供給するガス(燃料ガスFG)を生成するための流体(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)に伝達することができる。
【0099】
第2実施形態の燃料電池モジュール10aでは、熱伝達機構400の受熱部410aは、燃料電池スタック100に供給するガス(燃料ガスFG)を生成するための流体(原燃料ガスRFG)が供給される改質器であるプレ改質器412aである。そのため、本実施形態の燃料電池モジュール10aによれば、特に効率的に、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の熱を、燃料電池スタック100に供給するガス(燃料ガスFG)を生成するための流体(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)に伝達することができる。
【0100】
C.第3実施形態:
図13は、第3実施形態における燃料電池モジュール10bの構成を模式的に示す説明図である。
図14は、
図13に示す燃料電池モジュール10bのXY断面構成を模式的に示す説明図である。
【0101】
C-1.燃料電池モジュール10bの構成:
以下では、第3実施形態の燃料電池モジュール10bの構成のうち、上述した第1実施形態の燃料電池モジュール10と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0102】
本実施形態の燃料電池モジュール10bでは、熱伝達機構400b(および熱伝達機構400bに関連する部分)の構成が第1実施形態の熱伝達機構400(および熱伝達機構400に関連する部分)の構成と異なっている。
【0103】
図14に示すように、本実施形態の熱伝達機構400bの受熱部410bは、燃料電池モジュール10bの周辺から蒸発器310の周辺まで連通する空間(以下、「特定空間」という。)SSである。本実施形態の断熱材350bは、第1実施形態の断熱材350とは形状が異なっており、燃料電池モジュール10bや補助器300との間に特定空間SSが形成される形状をなしている。特定空間SSは、燃料電池モジュール10bの周辺から蒸発器310の周辺まで連通している。特定空間SSは、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1(高温部)内の熱を、熱対流HFにより蒸発器310まで伝達する機能を果たす。なお、特定空間SSは、燃料電池スタック100に接していてもよいが、燃料電池スタック100のうち、他の部分よりも高温である高温部(本実施形態では第1出口側領域EX1や第2出口側領域EX2)の熱を受け取ることが可能な位置であれば、燃料電池スタック100に接していなくてもよい。
【0104】
図13に示すように、本実施形態の燃料電池モジュール10bは、第1実施形態の熱伝達機構400(空気導入流路)の代わりに、改質・加熱器330のハウジング335に酸化剤ガスOG(空気)を導入するための空気導入流路271を備える。空気導入流路271は、ハウジング335に接続されている。空気導入流路271は、主として配管により構成されており、空気導入流路271上には流量制御機構(図示無し)が設けられている。空気導入流路271に供給された酸化剤ガスOGは、流量制御機構により制御された流量でハウジング335の空気流路338に導入される。
【0105】
C-2.燃料電池モジュール10bの動作:
本実施形態の燃料電池モジュール10bの動作については、基本的には第1実施形態と同様であり、異なるのは、酸化剤ガスOGが空気導入流路271を介して改質・加熱器330のハウジング335に形成された空気流路338内に導入される点のみである。
【0106】
C-3.第3実施形態の効果:
第3実施形態の燃料電池モジュール10bにおいても、第1実施形態と共通する構成を備えることにより、第1実施形態の燃料電池モジュール10と同様の上記効果を得ることができる。例えば、本実施形態の燃料電池モジュール10bにおいては、熱伝達機構400bを備えることにより、第1出口側領域EX1に含まれる領域内に位置する受熱部410bによって燃料電池スタック100の高温部となりやすい第1出口側領域EX1内の熱が受け取られ、燃料電池スタック100に供給するガス(燃料ガスFG)を生成するための流体(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)に伝達される。そのため、燃料電池スタック100において高温部となりやすい第1出口側領域EX1内の領域の温度を低下させることができ、ひいては燃料電池スタック100の温度分布のばらつきを抑制することができる。更に、本実施形態の燃料電池モジュール10bにおいては、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の領域から放出された熱は、燃料電池モジュール10bの外部に放出されずに、燃料電池スタック100に供給するガス(燃料ガスFG)を生成するための流体(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)を生成するために利用されるため、燃料電池スタック100の発電効率の低下を抑制することができる。
【0107】
更に、第3実施形態の燃料電池モジュール10bは、以下の構成である。すなわち、燃料電池モジュール10bは、燃料電池スタック100の外側の領域に位置する断熱材350bを備える。熱伝達機構400bの受熱部410bは、少なくとも一部が断熱材350bにより画定される特定空間SSである。熱伝達機構400bは、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の熱を、特定空間SSを通して、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1(高温部)内の熱を、特定空間SSを通して、燃料電池スタック100に供給するガス(燃料ガスFG)を生成するための流体(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)に伝達する。本実施形態の燃料電池モジュール10bによれば、簡易な構成により、燃料電池スタック100の第1出口側領域EX1内の熱を、燃料電池スタック100に供給するガス(燃料ガスFG)を生成するための流体(原燃料ガスRFGおよび水WAの混合ガス)に伝達する熱伝達機構400bを実現することができる。
【0108】
D.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0109】
上記実施形態における燃料電池モジュール10の構成や燃料電池モジュール10を構成する各部分の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
【0110】
熱伝達機構400、400a、400bは、燃料電池スタック100の熱を、燃料電池スタック100に供給するガスと、燃料電池スタック100に供給するガスを生成するための流体との少なくとも一方に伝達することが可能なものであれば、その構成は特に限定されるものではない。また、熱伝達機構400、400a、400bの受熱部410、410a、410bは、第1出口側領域EX1内の熱や第2出口側領域EX2内の熱を受け取ることが可能なものであれば、その構成は特に限定されるものではない。例えば、熱伝達機構400、400a、400bは、燃料電池モジュール10、10a、10bを構成する他の補助器(例えば水素添加脱硫器)であってもよい。
【0111】
上記実施形態(または変形例、以下同様)では、熱伝達機構400、400a、400bの受熱部410、410a、410bは、第1出口側領域EX1に含まれる領域内に位置し(換言すれば、第1出口側領域EX1内の熱を受け取る)、かつ、第2出口側領域EX2に含まれる領域内に位置する(換言すれば、第2出口側領域EX2内の熱を受け取る)構成であるが、第1出口側領域EX1と第2出口側領域EX2との一方のみに含まれる領域内に位置する構成であってもよい。なお、上述したように、燃料電池スタック100のうち、他の部分よりも高温である高温部(上記実施形態では、第1出口側領域EX1、第2出口側領域EX2)の位置は、燃料電池スタック100内の構成や外部の構成(断熱構造など)等によって変化しうる。従って、高温部は、第1出口側領域EX1、第2出口側領域EX2とは限らない。従って、熱伝達機構400、400a、400bの受熱部410、410a、410bの位置は、燃料電池スタック100の高温部の位置に応じて、適宜、設定されることがより好ましい。
【0112】
なお、燃料電池スタック100の高温部を、ガス入口(空気極側供給連通流路132、空気極側排出連通流路133)や(燃料極側供給連通流路142、燃料極側排出連通流路143)の位置に基づいて特定する際には、燃料電池スタック100が備える複数の発電単位102のいずれかにおけるガス入口やガス出口との関係に基づいてガス入口側の領域やガス出口側の領域を特定すればよい。
【0113】
上記実施形態では、燃料電池スタック100の外形FSが略矩形であるが、燃料電池スタック100の外形FSは特に限定されるものではない。例えば、燃料電池スタック100の外形FSが円形であってもよい。
【0114】
上記実施形態では、燃料電池スタック100の外形FSを画定する互いに対向する一対の辺sd1,sd2のうち、空気極側供給連通流路132と燃料極側供給連通流路142とが燃料電池スタック100の一方の辺sd2側に形成され、空気極側排出連通流路133と燃料極側排出連通流路143とが他方の辺sd1側に形成されているが、空気極側供給連通流路132や燃料極側供給連通流路142の配置は特に限定されるものではない。例えば、空気極側排出連通流路133と燃料極側排出連通流路143との一方が、上記の一対の辺sd1,sd2を除いた残りの一対の辺の一方に位置し、空気極側排出連通流路133と燃料極側排出連通流路143との他方が上記の一対の辺sd1,sd2を除いた残りの一対の辺の他方に位置していてもよい。
【0115】
上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本明細書に開示される技術は、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池にも適用可能である。
【符号の説明】
【0116】
10:燃料電池モジュール 10a:燃料電池モジュール 10b:燃料電池モジュール 22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 32,34:孔 61:空気極側ガス供給流路 71:燃料極側ガス供給流路 100:燃料電池スタック 102:発電単位 103:発電ブロック 104:エンドプレート(上側エンドプレート) 106:エンドプレート(下側エンドプレート) 108:連通孔 109:ボルト孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 118:反応防止層 120:単セル用セパレータ 121:貫通孔 124:接合部 125:ガラスシール部 130:空気極側フレーム 131:孔 132:酸化剤ガス供給連通流路 133:酸化剤ガス排出連通流路 134:空気極側集電部 140:燃料極側フレーム 141:孔 142:燃料ガス供給連通流路 143:燃料ガス排出連通流路 144:燃料極側集電部 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 149:スペーサー 150:平板部 161:マニホールド(空気極側供給マニホールド) 162:マニホールド(空気極側排出マニホールド) 166:空気室 171:マニホールド(燃料極側供給マニホールド) 172:マニホールド(燃料極側排出マニホールド) 176:燃料室 181:貫通孔 189:下端用セパレータ 190:インターコネクタ 191:インターコネクタ用セパレータ 194:被覆層 196:導電性接合材 226:排ガス中継流路 228:混合ガス流路 230:燃料極側ガス排出流路 240:空気極側ガス排出流路 251:純水導入流路 261:原燃料ガス導入流路 271:空気導入流路 300:補助器 310:蒸発器 330:改質・加熱器 331:改質器 333:燃焼器 335:ハウジング 336:内壁 337:外壁 338:空気流路 339:伝熱用フィン 350:断熱材 350a:断熱材 350b:断熱材 351:断熱空間 400:熱伝達機構 400a:熱伝達機構 400b:熱伝達機構 410:受熱部 410a:受熱部 410b:受熱部 411a:蒸発器 412a:プレ改質器 413a:混合ガス流路 414a:混合ガス流路 EG:排ガス EX1:第1出口側領域 EX2:第2出口側領域 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス OG:酸化剤ガス OOG:酸化剤オフガス RF:重複領域 RFG:原燃料ガス SS:特定空間 WA:水