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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031393
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/76 20060101AFI20230302BHJP
   E06B 3/62 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
E06B3/76
E06B3/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136836
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】井手 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 尊行
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016AA02
2E016BA00
2E016CA01
2E016CB01
2E016CB03
2E016CC02
2E016HA00
2E016JA11
2E016JC01
2E016KA07
2E016LA01
2E016LB03
2E016LB09
2E016LC02
2E016MA14
2E016NA07
2E016PA03
2E016QA09
(57)【要約】
【課題】簡易な構成でガラスパネルを保持することができる建具を提供する。
【解決手段】建具は、建具本体2は、鋼板で形成され、屋内外方向に対向して配置された一対の外面パネル22,23を有する本体パネル20と、本体パネル20に屋内外方向に貫通するように形成された採光開口部26に設けられたガラスパネル30と、外面パネル22,23とガラスパネル30の周縁端部との間の隙間s1に設けられたシール材40と、を有し、外面パネル22,23の端部21aには、ガラスパネル30側に折曲された折曲部27が形成され、シール材40には、外面パネル22,23の折曲部27が嵌め込まれる溝部45が形成され、ガラスパネル30の上下方向の長さL1が本体パネル20の上下方向の長さL11の1/2以上、及びガラスパネル30の幅方向の長さが本体パネル20の幅方向の長さの1/2以上のいずれか一方を満たす。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に形成された開口に開閉可能に設けられる建具本体を備える建具であって、
前記建具本体は、
鋼板で形成され、屋内外方向に対向して配置された一対の外面パネルを有する本体パネルと、
前記本体パネルに屋内外方向に貫通するように形成された採光開口部に設けられたガラスパネルと、
前記外面パネルと前記ガラスパネルの周縁端部との間の隙間に設けられたシール材と、を有し、
前記外面パネルの端部には、前記ガラスパネル側に折曲された折曲部が形成され、
前記シール材には、前記外面パネルの前記折曲部が嵌め込まれる溝部が形成され、
前記ガラスパネルの上下方向の長さが前記本体パネルの上下方向の長さの1/2以上、及び前記ガラスパネルの幅方向の長さが前記本体パネルの幅方向の長さの1/2以上のいずれか一方を満たす建具。
【請求項2】
前記シール材は、延在方向に沿って分割された部材どうし溶着されて構成されている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記採光開口部は、屋内外方向から見て矩形をし、
前記シール材は、前記採光開口部の角部に配置され、屋内外方向から見てL字状のシール部を有する請求項1または2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、枠体と、枠体の内部に開閉可能に設けられたドア本体と、を備えた玄関ドア等の建具が知られている。開口部が形成されたドア面部と、開口部に取り付けられたガラスパネルと、を有したドア本体が提案されている。ドア本体を閉じたままでも、ガラスパネルを通して採光が可能となっている(下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-177328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドア面部の開口部には額縁が設けられ、額縁に形成されたガラス溝の内周面にクッション材が設けられ、ガラスパネルの周縁端部がガラス溝に挿入されクッション材に接触する構成であり、ガラスを保持する構成が複雑であるという問題点がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、採光を確保しつつ、簡易な構成でガラスパネルを保持することができる建具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る建具は、枠体に形成された開口に開閉可能に設けられる建具本体を備える建具であって、前記建具本体は、鋼板で形成され、屋内外方向に対向して配置された一対の外面パネルを有する本体パネルと、前記本体パネルに屋内外方向に貫通するように形成された採光開口部に設けられたガラスパネルと、前記外面パネルと前記ガラスパネルの周縁端部との間の隙間に設けられたシール材と、を有し、前記外面パネルの端部には、前記ガラスパネル側に折曲された折曲部が形成され、前記シール材には、前記外面パネルの前記折曲部が嵌め込まれる溝部が形成され、前記ガラスパネルの上下方向の長さが前記本体パネルの上下方向の長さの1/2以上、及び前記ガラスパネルの幅方向の長さが前記本体パネルの幅方向の長さの1/2以上のいずれか一方を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る建具を屋内側から見た正面図。
図2】一実施形態に係る建具を屋外側から見た正面図。
図3図1のIII-III線断面図。
図4図1のIV-IV線断面図。
図5図4のV部拡大図。
図6】シール材を屋内外方向から見た図。
図7】直線シール部と直角シール部とを溶着前を示す図。
図8】直線シール部と直角シール部とを溶着後を示す図。
図9図8のIX-IX線断面図。
図10】変形例に係る建具の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係る建具について、図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る建具100は、建物に形成された開口Wに固定される枠体1と、枠体1内に開閉可能に設けられるドア本体2と、を備えている。建具100は、例えば建物の玄関用として設置されるものであるが、設置箇所は限定されない。枠体1は四方枠や三方枠等の形状をし、内側に上下方向に長い略長方形の枠開口(開口)1sが形成されている。枠体1の枠開口1sに、ドア本体(建具本体)2が設けられている。
【0009】
以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向と称する。屋内外方向に直交し水平面に沿う方向を幅方向と称する。幅方向及び上下方向を総称して、見付け方向と称する。
【0010】
ドア本体2は、上下方向に長い略長方形の板状である。ドア本体2は、本体パネル20と、ガラスパネル30と、シール材40と、を有している。
【0011】
本体パネル20は、上下方向に長い略長方形の板状である。本体パネル20の板厚方向は、屋内外方向を向いている。
【0012】
図3及び図4に示すように、本体パネル20は、一対のパネル表面材(外面パネル)21,21と、パネル断熱材24と、を有している。
【0013】
一対のパネル表面材21,21は、屋内外方向に間隔をあけて対向して配置されている。パネル表面材21は、上下方向に長い略長方形の薄板状である。パネル表面材21の板厚方向は、屋内外方向を向いている。パネル表面材21は、鋼板で形成されている。パネル表面材21のうち屋外側に配置されるものを、屋外側パネル表面材(外面パネル)22と称することがある。パネル表面材21のうち屋内側に配置されるものを、屋内側パネル表面材(外面パネル)23と称することがある。
【0014】
パネル断熱材24は、一対のパネル表面材21,21の間に設けられている。パネル断熱材24は、例えば発泡ポリスチレン等の発泡材で形成されている。
【0015】
図1に示すように、本体パネル20には、屋内外方向に貫通する採光開口部26が形成されている。採光開口部26は、屋内外方向から見て上下方向に長い略長方形である。
【0016】
図5に示すように、パネル表面材21における採光開口部26側の端部21aは、パネル断熱材24よりも見付け方向の中央側に延出している。一対のパネル表面材21,21の端部21a,21a及びパネル断熱材24における見付け方向の中央側を向く面24aによって、ガラス溝25が形成されている。
【0017】
ガラスパネル30は、採光開口部26に設けられている。ガラスパネル30の周縁端部30aは、本体パネル20のガラス溝25に配置されている。
【0018】
図3に示すように、ガラスパネル30の上下方向の長さL1は、本体パネル20の上下方向の長さL11の1/2以上である。ガラスパネル30の幅方向の長さL2(図4参照)が、本体パネル20の幅方向の長さL12(図4参照)の1/2以上であってもよい。
【0019】
図5に示すように、パネル表面材21の端部21aには、折曲部27が設けられている。折曲部27は、パネル表面材21の端部21aからガラスパネル30側に向かって折曲されている。折曲部27の先端部は、ガラスパネル30と屋内外方向に間隔をあけて位置している。折曲部27は、後述するシール材40の溝部45に嵌め込まれている。
【0020】
シール材40は、パネル表面材21とガラスパネル30との間の隙間s1に設けられている。シール材40は、隙間s1を塞いでいる。シール材40は、例えば軟質の樹脂材料で形成されたガラスビートである。
【0021】
図6に示すように、シール材40は、屋内外方向から見て略長方形の四方枠状である。シール材40は、直線シール部41と、直角シール部42と、を有している。直線シール部41は、直線状に延びている。直角シール部42は、屋内外方向から見てL字状である。
【0022】
直角シール部42は、長方形である採光開口部26(図1参照)の4箇所の角部に配置されている。直角シール部42どうしの間に、直線シール部41が配置されている。直線シール部41は、採光開口部26の形状に対応した長さである。直線シール部41のうち上下方向に沿って配置されるものの長さは、直線シール部41のうち幅方向に沿って配置されるものの長さよりも長い。
【0023】
図7及び図8に示すように、直線シール部41及び直角シール部42は、延在方向に直交する断面形状が同一である。直線シール部41の端面41aと直角シール部42の端面42aとが溶着されている。シール材40は、四方枠に沿って直線シール部41と直角シール部42とに分割された複数の部材どうしが溶着されて構成されている。
【0024】
図5に示すように、シール材40は、延在方向に直交する断面形状が略矩形状である。シール材40におけるガラスパネル30側を向く面40aには、ガラスパネル30側に向かって延びる複数の突起部44が設けられている。突起部44の先端部は、ガラスパネル30に当たっている。
【0025】
シール材40における面40aと反対側の面40bには、面40a側に向かって凹む溝部45が形成されている。溝部45は、シール材40の延在方向の略全長にわたって形成されている。溝部45の内周面の一方側の面45aにおいて、溝部45の深さの中間に、内方に向かって突出する係止突起46が設けられている。溝部45の内周面の他方側の面45bにおいて、面40b側の入り口に、内方に向かって突出する係止突起47が設けられている。
【0026】
溝部45には、パネル表面材21の折曲部27が嵌め込まれている。折曲部27には、係止突起46,47が当たっている。折曲部27は、係止突起46,47によって両側から挟み込まれている。パネル表面材21の折曲部27が、シール材40の溝部45から抜けることが抑制されている。
【0027】
図9に示すように、直角シール部42の角部及び角部の近傍では、溝部45の面45aには係止突起46が形成されておらず、溝部45の面45bには係止突起47が形成されていない。パネル表面材21の折曲部27が、シール材40の溝部45に挿入する際にスムーズに挿入することができる。
【0028】
このように構成された建具100では、鋼板で形成されたパネル表面材21とガラスパネル30の周縁端部30aとの間の隙間s1に設けられたシール材40によって、ガラスパネル30は保持されている。シール材40の溝部45にパネル表面材21の折曲部27が嵌め込まれることで、シール材40はパネル表面材21に取り付けられているため、ガラスパネル30を保持する構成を簡易な構成とすることができる。
【0029】
建具100では、シール材40は延在方向に沿って分割された部材である直線シール部41と直角シール部42とが溶着されて構成されている。これによって、直線シール部41及び直角シール部42の収縮によって直線シール部41と直角シール部42との間に隙間が生じることが抑制され、屋内側への漏水が抑制される。
【0030】
一般的に、採光開口部26の角部でシール材の部材どうしを接合すると、シール材の収縮によって接合部分に隙間が生じやすい。本実施形態では、採光開口部26の角部には屋内外方向から見てL字状の直角シール部42が配置されているため、角部で隙間が生じて屋内側へ漏水することが抑制される。
【0031】
(変形例)
次に、変形例に係る建具について、主に図10を用いて説明する。下記に示す実施形態の説明において、前述した部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0032】
図10に示すように、屋外側パネル表面材22には、採光開口部26の周縁の上下方向に沿ってモール材29が設けられている。モール材29の長さは、本体パネル20Aの長さと略同一である。モール材29の少なくとも一部は、シール材40と屋内外方向に重なって配置されている。モール材29は、屋外側パネル表面材22の端部21aにクリップ等で挟み込まれる等して固定されている。
【0033】
このように構成された建具100Aでは、鋼板で形成されたパネル表面材21とガラスパネル30の周縁端部30aとの間の隙間s1に設けられたシール材40によって、ガラスパネル30は保持されている。シール材40の溝部45にパネル表面材21の折曲部27が嵌め込まれることで、シール材40はパネル表面材21に取り付けられているため、ガラスパネル30を保持する構成を簡易な構成とすることができる。
【0034】
建具100Aでは、本体パネル20Aの屋外側にはモール材29が設けられているため、外観を向上させることができる。
【0035】
建具100Aでは、モール材29の少なくとも一部がシール材40と屋内外方向に重なって配置されているため、屋外側からシール材40を視認しづらく、外観をより一層向上させることができる。
【0036】
上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0037】
上記に示す実施形態では、ドア本体2の屋外側及び屋内側の両側において、パネル表面材21の折曲部27がシール材40の溝部45に嵌め込まれる構成であるが、これに限られない。ドア本体2の屋外側及び屋内側のいずれか一方において、パネル表面材21の折曲部27がシール材40の溝部45に嵌め込まれる構成であればよい。
【0038】
上記に示す実施形態では、シール材40は、延在方向に沿って分割された部材どうし溶着される構成であるが、これに限られない。分割された部材どうしが溶着以外の方法で接合されていてもよい。
【0039】
上記に示す実施形態では、採光開口部26の角部には直角シール部42が配置されているが、これに限られない。直線シール部41の端部を斜め45度に切断して、角部で溶着してもよい。
【0040】
上記に示す実施形態では、シール材40の溝部45は、面40bから面40aに向かって凹んでいるが、これに限られない。シール材の溝部は見付け方向の中央側の面から見付け方向の端部側に向かって凹むように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…枠体
1s…枠開口(開口)
2…ドア本体(建具本体)
20,20A…本体パネル
21…パネル表面材(外面パネル)
22…屋外側パネル表面材(外面パネル)
23…屋内側パネル表面材(外面パネル)
26…採光開口部
27…折曲部
30…ガラスパネル
40…シール材
42…直角シール部
45…溝部
100,100A…建具
s1…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10