(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031407
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
B66B 11/08 20060101AFI20230302BHJP
F16D 49/16 20060101ALI20230302BHJP
F16D 65/22 20060101ALI20230302BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20230302BHJP
F16D 121/22 20120101ALN20230302BHJP
【FI】
B66B11/08 H
F16D49/16 A
F16D65/22
F16F7/00 F
F16D121:22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136864
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 良輔
【テーマコード(参考)】
3F306
3J058
3J066
【Fターム(参考)】
3F306AA13
3F306BA09
3J058AA03
3J058AA06
3J058AA13
3J058AA17
3J058AA24
3J058AA29
3J058AA30
3J058AA34
3J058AA38
3J058BA21
3J058BA67
3J058CC07
3J058CC13
3J058CC72
3J058CC77
3J058CD19
3J058DD02
3J058DD05
3J058EA15
3J058FA37
3J066AA22
3J066BA01
3J066BB01
3J066BC01
3J066BD05
(57)【要約】
【課題】
ブレーキドラムとブレーキシューが衝突することによって発生する釈放音が過大になることを防止することは勿論、大型化することのないブレーキ装置を提供すること。
【解決手段】
本発明のブレーキ装置は、上記課題を解決するために、ブレーキシューを備えたアマチュアと、該アマチュアを吸引するための電磁力を発生させるコイルが内部に配置されたコアと、該コアから前記アマチュアを引き離す方向に力を付与する制動ばねとを備えたブレーキ装置であって、前記コアの外表面に一端が固定され、前記アマチュアの外表面に他端が固定された弾性体を備えていることを特徴とする。
【選択図】
図3(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキシューを備えたアマチュアと、該アマチュアを吸引するための電磁力を発生させるコイルが内部に配置されたコアと、該コアから前記アマチュアを引き離す方向に力を付与する制動ばねとを備えたブレーキ装置であって、
前記コアの外表面に一端が固定され、前記アマチュアの外表面に他端が固定された弾性体を備えていることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ装置であって、
前記弾性体は、前記コアの外表面に形成された凹部に一端が、前記アマチュアの外表面に形成された凹部に他端が挿入されて固定されていることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のブレーキ装置であって、
前記弾性体は、前記コアの上部外表面に形成された前記凹部にL字状に形成された一端が、前記アマチュアの下部外表面に形成された前記凹部にL字状に形成された他端が挿入されて固定されていることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のブレーキ装置であって、
前記弾性体は、前記コアの外表面に一端が、前記アマチュアの外表面に他端が、それぞれボルトにより固定されていることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のブレーキ装置であって、
前記弾性体は、平板状に形成されていることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のブレーキ装置であって、
前記弾性体は、ゴムバンドであることを特徴とするブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブレーキ装置に係り、特に、エレベーター装置の巻上機に設置されているものに好適なブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主索と駆動シーブとの間に摩擦力(トラクション)を利用して乗りかご及び釣り合い重りを昇降させるエレベーター装置には、通常、電磁力を利用した電磁ブレーキ装置が用いられている。
【0003】
エレベーター装置で発生する動作音、例えば、電磁ブレーキ装置の釈放時にブレーキドラムとブレーキシューが衝突することによって発生する過大な釈放音は、エレベーター装置の昇降路外の空間又は乗りかご内において聞こえないことが望ましい。
【0004】
そのため、電磁ブレーキ装置の過大な釈放音を低減する必要があり、この電磁ブレーキ装置の釈放音を低減する施策として、コアとアマチュア間に緩衝材となる弾性体を配置する手法が知られている。
【0005】
上記した電磁ブレーキ装置の過大な釈放音を低減する先行技術文献として、特許文献1に記載されたブレーキ装置を挙げることができる。
【0006】
この特許文献1に記載されたブレーキ装置には、温度条件による影響を受け難く、緩衝性能を安定させて釈放音を低減するために、ブレーキパッドを備えたアマチュアと、前記アマチュアを吸引する電磁力を発生させるコイルが内部に配置されたコアと、前記コアから前記アマチュアを引き離す方向に力を付与する制動ばねとを備えたブレーキ装置において、前記コアの前記アマチュアとの対向する面に座ぐり穴を設け、前記座ぐり穴の内部に温度が上昇すると膨張する樹脂と、前記座ぐり穴内部の前記樹脂と前記アマチュアの間に緩衝ゴムとを設け、前記緩衝ゴムは、前記コアの磁極面より所定寸法突出させたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のブレーキ装置では、過大な釈放音を低減するための静音構造(座ぐり穴の内部に温度が上昇すると膨張する樹脂と、座ぐり穴内部の樹脂とアマチュアの間に緩衝ゴム)がブレーキ装置の内部に設置されていると共に、磁極面上に配置され、しかも、上記した緩衝ゴムは、コアの磁極面より所定寸法突出させているため、ブレーキ装置が大型化してしまうという課題があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、ブレーキドラムとブレーキシューが衝突することによって発生する釈放音が過大になることを防止することは勿論、大型化することのないブレーキ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のブレーキ装置は、上記目的を達成するために、ブレーキシューを備えたアマチュアと、該アマチュアを吸引するための電磁力を発生させるコイルが内部に配置されたコアと、該コアから前記アマチュアを引き離す方向に力を付与する制動ばねとを備えたブレーキ装置であって、前記コアの外表面に一端が固定され、前記アマチュアの外表面に他端が固定された弾性体を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ブレーキドラムとブレーキシューが衝突することによって発生する釈放音が過大になることを防止することは勿論、大型化することのないブレーキ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のブレーキ装置が採用されるエレベーター装置の概略構成を示す正面図である。
【
図2】
図1のエレベーター装置に用いられる巻上機の概略構成を示す正面図である。
【
図3(a)】本発明のブレーキ装置の実施例1を示す正面図である。
【
図4(a)】本発明のブレーキ装置の実施例2を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図示した実施例に基づいて本発明のブレーキ装置について説明する。なお、各図において、同一構成部品は同符号を使用する。
【実施例0014】
図1に、本発明のブレーキ装置が採用されるエレベーター装置の概略構成を示す。
【0015】
図1に示すように、エレベーター装置1は、建築物に設置された昇降路内において、乗りかご3及び釣り合い重り4がガイドレール5に沿って移動するように構成されている。乗りかご3及び釣り合い重り4は主索6によって繋がっており、昇降路内に設置された巻上機2の駆動力を主索6に伝達することで、乗りかご3及び釣り合い重り4を移動させることができる。
【0016】
なお、
図1において、7は乗りかご緩衝器、8は釣り合い重り緩衝器、9は乗客が乗りかご3に乗り降りする乗場戸、10は調速機である。
【0017】
図2に、上記したエレベーター装置1に用いられる巻上機2の概略構成を示す。
【0018】
図2に示すように、巻上機2のモータフレーム12にはモータ15、ブレーキドラム13とブレーキ装置11が取り付けられている。ブレーキドラム13には綱車14が取り付けられており、モータ15によって綱車14とブレーキドラム13は一体となって回転する。
【0019】
そして、上記綱車14に主索6が巻き掛けられており、乗りかご3及び釣り合い重り4を停止させる時、綱車14及びブレーキドラム13には乗りかご3と釣り合い重り4の重量の不釣合いによってトルクがかかるため、ブレーキ装置11の制動力によって綱車14及びブレーキドラム13の回転を防ぎ、乗りかご3及び釣り合い重り4の昇降を防いでいる。
【0020】
図3(a)及び
図3(b)に、本発明のブレーキ装置の実施例1を示す。
【0021】
該図に示すように、巻上機2のモータフレーム12に取付ボルト18によって取り付けられた本実施例のブレーキ装置11Aは、コア16の内部に挿入されたコイル20に通電することでアマチュア17及びブレーキシュー21をコア16側に引き付け制動力を無くす構造である。
【0022】
また、ブレーキ装置11Aは、コイル20の通電を遮断することでコア16のアマチュア17及びブレーキシュー21を吸引する力を無くし、コア16の内部に設けられた制動ばね19によって、アマチュア17を介しブレーキシュー21をブレーキドラム13にブレーキライニング22を介して押し付けることで制動力を発生させる構造である。
【0023】
そして、本実施例のブレーキ装置11Aは、コア16の外表面に一端が固定され、アマチュア17の外表面に他端が固定された弾性体であるゴムバンド23を備えている。
【0024】
上記したゴムバンド23は、
図3(a)に示すように、コア16の側面側の外表面とアマチュア17の側面側の外表面に跨って4箇所設置されており(
図3(b)参照)、しかも、ゴムバンド23は、コア16の上部外表面に形成された凹部16aにL字状に形成された一端23aが、アマチュア17の下部外表面に形成された凹部17aにL字状に形成された他端23bが挿入されて固定されている。
【0025】
このような本実施例の構成によれば、ブレーキ装置11Aは、過大な釈放音を低減するための静音構造であるゴムバンド23が、コア16とアマチュア17の外表面に設置されているため、静音構造がブレーキ装置の内部に設置されていた従来の構成に比べて、ブレーキ装置11Aの巨大化を防ぐことができる。
【0026】
また、本実施例のブレーキ装置11Aは、コア16とアマチュア17の外表面に静音構造であるゴムバンド23を設けることによって、ブレーキ装置11Aのオーバーホール無しで、ゴムバンド23を容易に交換可能である。
【0027】
更に、本実施例のブレーキ装置11Aは、ゴムバンド23がブレーキ装置11Aの内部に設置されていないので、従来のような座ぐり穴が形成する必要がなく、その分、ブレーキ装置11Aを小型化することが可能である。
【0028】
従って、本実施例のような構成とすることにより、釈放時にブレーキドラム13とブレーキシュー21が衝突することによって発生する釈放音が過大になることを防止することは勿論、大型化することのないブレーキ装置11Aを得ることができる。
該図に示す本実施例のブレーキ装置11Bは、実施例1と同様な構成であるが、本実施例では、コア16の外表面に一端が固定され、アマチュア17の外表面に他端が固定された弾性体である平板状のゴムバンド24を備えている。
このような本実施例の構成であっても、その効果は実施例1と同様であるが、平板状のゴムバンド24を、コア16とアマチュア17の外表面にボルト25で固定しているため、実施例1に比べてゴムバンド24の交換がし易くなる効果がある。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換える事が可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加える事も可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をする事が可能である。