(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031465
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】床下用排水部材
(51)【国際特許分類】
E04B 1/64 20060101AFI20230302BHJP
E03C 1/12 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
E04B1/64 B
E03C1/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136965
(22)【出願日】2021-08-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】591000506
【氏名又は名称】早川ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 一利
(72)【発明者】
【氏名】川上 剛史
【テーマコード(参考)】
2D061
2E001
【Fターム(参考)】
2D061AA05
2D061AB07
2E001DA02
2E001FA21
2E001GA65
2E001HD11
2E001LA10
(57)【要約】
【課題】仕上モルタルのはつり作業を不要にするとともに、仕上モルタルの見栄えを良好にしながら、基礎コンクリートの立ち上がり部に床下用排水部材を設けることができるようにする。
【解決手段】キャップ11を備えた床下用排水部材1において、筒状部材10及び筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた寸法は、基礎コンクリート200の立ち上がり部202の貫通方向の寸法に対応するように設定されている。キャップ11には、立ち上がり部202の外面に別途設けられる仕上モルタル204の厚みに対応する厚みを有する外付部材13が着脱可能に取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎コンクリートの立ち上がり部を厚み方向に貫通するように形成され、前記立ち上がり部で囲まれた空間に溜まった水を前記立ち上がり部の外方へ排水するための筒状部材と、当該筒状部材の外方の端部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備えた床下用排水部材において、
前記筒状部材及び当該筒状部材に取り付けられた前記キャップを合わせた前記貫通方向の寸法は、前記立ち上がり部の前記貫通方向の寸法に対応するように設定されており、
前記キャップには、前記立ち上がり部の外面に別途設けられる仕上モルタルの厚みに対応する厚みを有する外付部材が着脱可能に取り付けられている床下用排水部材。
【請求項2】
請求項1に記載の床下用排水部材において、
前記キャップの外面には、キャップ側係合部が設けられ、
前記外付部材における前記キャップ側の面には、前記キャップ側係合部に係合する外付部材側係合部が設けられている床下用排水部材。
【請求項3】
請求項2に記載の床下用排水部材において、
前記キャップ側係合部は、前記キャップの外面に形成された凹部で構成され、
前記外付部材側係合部は、前記外付部材における前記キャップ側の面から突出し、かつ、前記凹部に挿入される凸部で構成されている床下用排水部材。
【請求項4】
請求項3に記載の床下用排水部材において、
前記凹部は多角形断面を有し、
前記凸部は前記凹部に嵌合する多角形断面を有している床下用排水部材。
【請求項5】
請求項4に記載の床下用排水部材において、
前記キャップは、前記筒状部材の軸芯周りの回動動作によって当該筒状部材への取り付け及び当該筒状部材からの取り外しが可能に構成され、
前記外付部材は、前記軸芯を中心とした円形状である床下用排水部材。
【請求項6】
請求項5に記載の床下用排水部材において、
前記キャップの外形状は前記外付部材の外形状と同じまたは前記外付部材の外形状よりも小さく設定されている床下用排水部材。
【請求項7】
基礎コンクリートの立ち上がり部を厚み方向に貫通するように形成され、前記立ち上がり部で囲まれた空間に溜まった水を前記立ち上がり部の外方へ排水するための筒状部材と、当該筒状部材の外方の端部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備えた床下用排水部材において、
前記筒状部材の前記貫通方向の寸法は、前記立ち上がり部の前記貫通方向の寸法に対応するように設定されており、
前記筒状部材への取り付け状態における前記キャップの前記筒状部材からの突出寸法は、前記立ち上がり部の外面に別途設けられる仕上モルタルの厚みに対応している床下用排水部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば住宅等の基礎に設けられる床下用排水部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅の床下構造として、例えば布基礎工法やベタ基礎工法等によって形成された基礎コンクリートの立ち上がり部(立ち基礎ともいう)に排水管を設けた構造が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の排水管は、基礎コンクリートの立ち上がり部を貫通するように、当該立ち上がり部に埋め込まれた状態で保持されている。排水管の一端部は、基礎コンクリートの立ち上がり部で囲まれた空間に連通し、また、排水管の他端部は、基礎コンクリートの外面で開口している。
【0003】
このような排水管を設けておくことで、例えば基礎コンクリートの立ち上がり部で囲まれた空間に水が溜まった際に、その水を排水管によって外部へ排水することが可能になる。なお、通常時、排水管にはキャップを取り付けておくことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下、
図16~
図19に基づいて、床下用排水部材100の施工例について説明する。尚、符号GLは地面を示す。
図16は、床下用排水部材100が基礎コンクリート200の底盤部201から立ち上がる立ち上がり部202に設けられている場合を示している。施工時には、
図17に示すように、筒状部材101を保持した状態で立ち上がり部202のコンクリートを打設するための型枠203を設置する。このとき、筒状部材101にはキャップ102を取り付けておく。コンクリートが硬化すると型枠203を取り外し、立ち上がり部202の外面に仕上モルタル204を塗る(
図18参照)。キャップ102は仕上モルタル204によって覆われてしまい、必要時に筒状部材101を開放することができないので、
図19に示すように、仕上モルタル204の一部を「はつる」ことによって穴204aを形成し、その穴204aからキャップ102を露出させ、キャップ102の取り外しを可能にする。
【0006】
ところが、上述した方法では、仕上モルタル204を塗った後、穴204aを形成するべく、仕上モルタル204が硬化してから、はつり作業が必要になる。このとき、仕上モルタル204は外観に影響を与える部分なので、外観見栄えが悪化しないように、はつり作業を丁寧に行わなければならない。また、キャップ102が全て露出するようにはつり作業を行う必要もある。したがって、はつり作業は煩雑で時間がかかるので、このはつり作業を省略したいという要求があった。
【0007】
また、仕上モルタル204の一部をはつることで穴204aが開いてしまう。この穴204aが開くことで、外観見栄えが悪化するという問題もあった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、仕上モルタルのはつり作業を不要にするとともに、仕上モルタルの見栄えを良好にしながら、基礎コンクリートの立ち上がり部に床下用排水部材を設けることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の第1の側面では、基礎コンクリートの立ち上がり部を厚み方向に貫通するように形成され、前記立ち上がり部で囲まれた空間に溜まった水を前記立ち上がり部の外方へ排水するための筒状部材と、当該筒状部材の外方の端部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備えた床下用排水部材を前提とすることができる。前記筒状部材及び当該筒状部材に取り付けられた前記キャップを合わせた前記貫通方向の寸法は、前記立ち上がり部の前記貫通方向の寸法に対応するように設定されている。前記キャップには、前記立ち上がり部の外面に別途設けられる仕上モルタルの厚みに対応する厚みを有する外付部材が着脱可能に取り付けられている。
【0010】
すなわち、基礎コンクリートの立ち上がり部のコンクリートを打設する前に、キャップから外付部材を取り外した状態にして、筒状部材及び当該筒状部材に取り付けられたキャップを所定位置に設置することが可能になる。筒状部材及びキャップを設置したとき、筒状部材及び当該筒状部材に取り付けられたキャップを合わせた貫通方向の寸法は、立ち上がり部の貫通方向の寸法に対応するように設定されているので、筒状部材及びキャップが型枠内に収まる。型枠内にコンクリートを打設して固化させることで、筒状部材が厚み方向に貫通するように設けられた立ち上がり部が得られる。その後、キャップに外付部材を取り付ける。次いで、仕上モルタルを立ち上がり部の外面に塗る。このとき、外付部材の厚みが仕上モルタルの厚みに対応しているので、仕上モルタルをはつることなく、外付部材の外面が仕上モルタルから外方に臨むことになり、仕上モルタルに穴ができなくなる。また、立ち上がり部で囲まれた空間に溜まった水を排水する場合には、キャップが仕上モルタルで覆われていないので、キャップを容易に外すことができる。
【0011】
本開示の第2の側面では、前記キャップの外面には、キャップ側係合部が設けられている。前記外付部材における前記キャップ側の面には、前記キャップ側係合部に係合する外付部材側係合部が設けられている。
【0012】
この構成によれば、キャップ側係合部と外付部材側係合部とを係合させることで、外付部材がキャップから不用意に外れないように取り付けておくことができる。
【0013】
本開示の第3の側面では、前記キャップ側係合部は、前記キャップの外面に形成された凹部で構成されている。前記外付部材側係合部は、前記外付部材における前記キャップ側の面から突出し、かつ、前記凹部に挿入される凸部で構成されている。
【0014】
この構成によれば、外付部材の凸部をキャップの凹部に挿入することで確実に係合させることができる。
【0015】
本開示の第4の側面では、前記凹部は多角形断面を有しており、また、前記凸部は前記凹部に嵌合する多角形断面を有している。
【0016】
この構成によれば、例えば外付部材をキャップと一体化し、外付部材によってキャップを回動させることができるので、外付部材と一体化した状態でキャップを取り外したり、取り付けたりすることができる。
【0017】
本開示の第5の側面では、前記キャップは、前記筒状部材の軸芯周りの回動動作によって当該筒状部材への取り付け及び当該筒状部材からの取り外しが可能に構成されている。前記外付部材は、前記軸芯を中心とした円形状である。
【0018】
この構成によれば、外付部材を筒状部材の軸芯周りに回動させることによってキャップの筒状部材への取り付け及び筒状部材から取り外しが容易に行えるようになる。
【0019】
本開示の第6の側面では、前記キャップの外形状は前記外付部材の外形状と同じまたは前記外付部材の外形状よりも小さく設定されている。
【0020】
この構成よれば、外付部材を回動させてキャップも一緒に筒状部材から取り外すときに、キャップの形状が外付部材と同じまたは外付部材よりも小さいので、仕上モルタルに形成されている外付部材の跡の穴を通してキャップも取り外すことができる。キャップを筒状部材に取り付ける際も、仕上モルタルに形成されている外付部材の跡の穴を利用して取り付けることができる。
【0021】
本開示の第7の側面では、前記筒状部材の前記貫通方向の寸法は、前記立ち上がり部の前記貫通方向の寸法に対応するように設定されている。また、前記筒状部材への取り付け状態における前記キャップの前記筒状部材からの突出寸法は、前記立ち上がり部の外面に別途設けられる仕上モルタルの厚みに対応している。
【0022】
すなわち、基礎コンクリートの立ち上がり部のコンクリートを打設する前に、キャップを筒状部材から取り外した状態にして、当該筒状部材を所定位置に設置する。このとき、筒状部材の貫通方向の寸法は、立ち上がり部の貫通方向の寸法に対応するように設定されているので、筒状部材が型枠内に収まる。型枠内にコンクリートを打設して固化させることで、筒状部材が厚み方向に貫通するように設けられた立ち上がり部が得られる。その後、キャップを筒状部材に取り付ける。次いで、仕上モルタルを立ち上がり部の外面に塗る。このとき、キャップの筒状部材からの突出寸法が仕上モルタルの厚みに対応しているので、仕上モルタルをはつることなく、キャップの外面が仕上モルタルから外方に臨むことになり、仕上モルタルに穴ができなくなる。また、立ち上がり部で囲まれた空間に溜まった水を排水する場合には、キャップが仕上モルタルで覆われていないので、キャップを容易に外すことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、仕上モルタルのはつり作業を不要にすることができるとともに、仕上モルタルの見栄えを良好にしながら、基礎コンクリートの立ち上がり部に床下用排水部材を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態1に係る床下用排水部材を備えた基礎コンクリートの断面図である。
【
図7】型枠と筒状部材及びキャップとを設置した状態の
図6相当図である。
【
図8】立ち上がり部の形成が終了した状態の
図6相当図である
【
図9】外付部材をキャップに取り付けた状態の
図6相当図である。
【
図10】外付部材及びキャップを筒状部材から取り外した状態の
図6相当図である。
【
図11】本発明の実施形態2に係る床下用排水部材の断面図である。
【
図16】従来例に係る床下用排水構造の一例を示す断面図である。
【
図17】従来例に係る型枠を設置した状態を示す図である。
【
図18】従来例に係る仕上モルタルを塗った状態を示す図である。
【
図19】従来例に係る仕上モルタルの一部にはつり作業を行った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る床下用排水部材1を備えた建築物の基礎コンクリート200の断面図である。建築物は、図示しないが、例えば住宅、事務所、店舗等を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、どのような建物であってもよい。また、建物の構造や床面積も特に限定されるものではない。基礎コンクリート200によって建築物の基礎部分が構成されており、この基礎部分は、いわゆるベタ基礎である。
【0027】
基礎コンクリート200は、底盤部201と、底盤部201の周縁部から立ち上がる立ち上がり部202とを備えている。立ち上がり部202の外面には、仕上モルタル204が別途設けられる。仕上モルタル204の厚みは立ち上がり部202の厚みよりも薄く設定されている。
【0028】
立ち上がり部202は立ち基礎とも呼ばれる部分である。底盤部201は水平方向に延びており、当該底盤部201には、鉛直方向に延びる複数の主筋205の下側部分が埋設されている。複数の主筋205は、立ち上がり部202に対応する部分に埋設されており、水平方向に互いに間隔をあけて配置されている。主筋205の上側部分が立ち上がり部202に埋設されるようになっている。配筋206は水平方向に延びており、長手方向の各部が主筋205に固定されている。また、底盤部201の上面は、当該底盤部201における立ち上がり部202との界面201aである。
【0029】
立ち上がり部202は、平面視で枠状に形成することができるが、立ち上がり部202の形状は特に限定されるものではなく、建物の形状や構造に合わせて変更できる。立ち上がり部202が平面視で枠状に設けられることになるので、例えば豪雨の際には、立ち上がり部202で囲まれた空間に水が溜まることがある。この立ち上がり部202で囲まれた空間に溜まった水を排水するための構造が、床下用排水部材1を備えている床下用排水構造Aである。各図における「内」とは、立ち上がり部202で囲まれた空間内側のことであり、「外」とは立ち上がり部202の外側のことである。
【0030】
図2~
図4に示すように、床下用排水部材1は、立ち上がり部202で囲まれた空間に溜まった水を立ち上がり部の外方へ排水するための排水経路を構成する筒状部材10と、キャップ(蓋部材)11と、パッキン12と、外付部材13とを備えている。筒状部材10は、例えば樹脂材で構成されており、射出成形法を利用して製造することができる。筒状部材10は、基礎コンクリート200の立ち上がり部202を厚み方向に貫通するように形成されており、床下用排水管となる部材である。筒状部材10は、その軸芯X(
図3及び
図4に示す)が水平となるように設置される。
【0031】
筒状部材10は直管状に形成されている。筒状部材10の軸芯X方向の寸法は、基礎コンクリート200の立ち上がり部202の厚みを考慮して設定される。すなわち、立ち上がり部202の厚みは一定であるとは限らず、例えば住宅の規模や仕様、施工会社等によって異なっていることがあるが、施工前には決定されているので、その寸法を考慮し、立ち上がり部202を貫通する排水経路が当該立ち上がり部202に形成されるように、筒状部材10の軸芯X方向の寸法が設定される。
【0032】
筒状部材10を構成する樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよく、硬質塩化ビニル、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等を挙げることができる。また、筒状部材10は、硬質塩化ビニル、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等のうち、任意の1種若しくは任意の2種以上の樹脂を混合した樹脂材で構成されていてもよい。また、筒状部材10は、同じ樹脂材を2以上積層した部材で構成されていてもよい。筒状部材10の剛性及び強度は、後述するコンクリートの打設時の流動圧やコンクリートの重量によって変形しない程度であればよく、鋼製材や樹脂の種類の選定、厚みの設定によってそのような剛性及び強度を確保することができる。
【0033】
筒状部材10は、筒状に成形された鋼製材と、当該鋼製材を被覆する1種若しくは2種以上の樹脂、ゴム材料、エラストマー等からなる被覆部とを備えていてもよい。被覆部を構成する樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよく、塩化ビニル、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等を挙げることができる。被覆部は、硬質塩化ビニル、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等のうち、任意の1種若しくは任意の2種以上の樹脂を混合した樹脂材で構成されていてもよい。被覆部は、例えばエチレンプロピレンゴム(EPT)等のゴム材料で構成されていてもよい。また、被覆部は、任意の任意の1種若しくは任意の2種以上のゴムを混合したゴム材で構成されていてもよい。また、被覆部は、任意の任意の1種若しくは任意の2種以上のエラストマーを混合した材料で構成されていてもよい。被覆部は、鋼製材の内面と外面との一方のみまたは両方を被覆するように設けることができる。
【0034】
図3に示すように、筒状部材10の長手方向(軸芯X方向)一端部には、筒状部材10が立ち上がり部202に配設された状態で当該立ち上がり部202の外に向けて開口する略円形の排水口10aが形成されている。筒状部材10の一端部は立ち上がり部202への設置状態で、当該立ち上がり部202の外方に位置する端部であることから、外方の端部ということもできる。一方、筒状部材10の他端部は立ち上がり部202への設置状態で、当該立ち上がり部202の内方に位置する端部であることから、内方の端部ということもできる。
【0035】
排水口10aの中心は、軸芯X上に位置している。筒状部材10の一端部は、立ち上がり部202の外面と面一となるように配置されていてもよいし、立ち上がり部202の外面から窪むように配置されていてもよい。
【0036】
通常時、即ち非排水時には、排水口10aが
図2~
図4に示すような形状のキャップ11によって閉塞される。すなわち、
図4に示すように、筒状部材10の一端部寄りの内周面には、キャップ11が嵌まる一端側段部10eが形成されている。筒状部材10の内周面における一端側段部10eの近傍には、径方向内方へ突出する突起部10gが形成されている。
図5に示すように、突起部10gは複数設けることができ、突起部10gが複数設けられている場合には、筒状部材10の周方向に互いに間隔をあけて配置される。筒状部材10の排水口10aが形成されている部分から突起部10gが形成されている部分に亘る断面形状(軸芯Xに直交する方向の断面形状)は、軸芯Xを中心とした円形状である。
【0037】
一方、
図4に示すように、キャップ11は、筒状部材10の外方の端部に着脱可能に取り付けられる部材であり、閉塞板部11aと、筒状部11bとを備えている。これら閉塞板部11a及び筒状部11bは例えば射出成形法によって一体成形されているが、別部材で構成されていてもよい。閉塞板部11aは、筒状部材10の排水口10aを覆って閉塞することが可能な大きさの円形板状に成形されている。よって、閉塞板部11aの中心は、軸芯X上に位置している。また、閉塞板部11aの外径は、筒状部材10の排水口10aの内径よりも僅かに小さく設定されており、閉塞板部11aを筒状部材10の排水口10a内に挿入し易くしている。尚、閉塞板部11aの外径と、筒状部材10の排水口10aの内径との差は僅かであるため、閉塞板部11aの外周面と筒状部材10の排水口10aの内周面との間には極めて小さな隙間(例えば1.0mm以下の隙間)しか形成されない。
【0038】
閉塞板部11aの内面(筒状部材10の内部に臨む面)には、筒状部11bが筒状部材10の内部へ向けて突出するように設けられている。筒状部11bの断面形状は円形状であり、筒状部11bの軸芯の延長線上に閉塞板部11aの中心が位置している。つまり、筒状部11bの軸芯と、閉塞板部11aの中心と、筒状部11bの軸芯とは同一直線上に位置している。
【0039】
筒状部11bの軸芯方向の寸法は、閉塞板部11aの厚み方向の寸法よりも長く設定されている。具体的には、キャップ11を筒状部材10に取り付けた状態で、筒状部11bの先端部が、筒状部材10の一端側段部10e及び突起部10gよりも奥に達するようになっている。筒状部11bの外側には、弾性材からなる環状のパッキン12が配設されている。パッキン12は、閉塞板部11aの内面と筒状部材10の一端側段部10eとによって押圧されて弾性変形し、閉塞板部11aの内面と筒状部材10の排水口10aの内周面とに接触するようになっている。このパッキン12により、閉塞板部11aの内面と筒状部材10の排水口10aの内周面との間がシールされる。
【0040】
筒状部11bには、筒状部材10の突起部10gが挿入される溝部11cが形成されている。溝部11cの数は、突起部10gの数と同じであり、また、溝部11cの位置は突起部10gの位置に対応している。溝部11cは、筒状部11bの先端部において開放されており、この開放部分から軸芯方向に沿って筒状部11bの基端側へ向けて延びた後、筒状部11bの周方向に延びるように屈曲した形状になっている。
【0041】
キャップ11で筒状部材10の排水口10aを閉塞する場合には、まず、キャップ11の筒状部11bを筒状部材10に差し込むとともに、筒状部材10の突起部10gを溝部11cに挿入する。筒状部材10の突起部10gが溝部11cに所定量挿入されるまでキャップ11の筒状部11bを筒状部材10に差し込むと、パッキン12が筒状部材10の一端側段部10eに当たり、一端側段部10eと閉塞板部11aの内面とによって押圧された状態になる。そして、キャップ11を軸芯周りに回動させることにより、筒状部材10の突起部10gを溝部11cの奥側(周方向に延びる部分の奥側)に配置する。これにより、筒状部材10の突起部10gが溝部11cの周縁部に係合してキャップ11が筒状部材10に取り付けられた状態で保持される。一方、キャップ11を筒状部材10から取り外す際には、キャップ11を取付時とは反対方向に回動させればよい。
【0042】
図5に示すように、筒状部材10の断面形状は、排水口10a側が略円形状であるのに対し、その反対側は下部が直線状をなす形状となっており、排水口10a側からその反対側へ向かって断面形状が徐々に変化している。筒状部材10の排水口10a側とは反対側、即ち、筒状部材10の長手方向他端部には、当該筒状部材10を延長するための筒状の延長部材(図示せず)が接続可能に構成されていてもよい。
【0043】
筒状部材10の下部は、水平方向に延びるように形成された底板部10fで構成されている。底板部10fは水平方向に延びる形状でなくてもよく、図示しないが、底板部10fの外面が下方へ膨出するように形成されていてもよい。例えば、底板部10fの外面が湾曲面で構成されている場合、幅方向の中央部が最も下に位置し、その中央部から両端に近づくにつれて上に位置するように湾曲させることができる。また、底板部10fの外面が傾斜面で構成されている場合、幅方向の中央部が最も下に位置し、その中央部から両端に近づくにつれて上に位置するように傾斜させることができる。
【0044】
図3に示すように、この実施形態では、キャップ11を筒状部材10に取り付けた状態で、キャップ11の外面は筒状部材10の一端面と同一平面上に位置するか、キャップ11の外面が筒状部材10の一端面よりも当該筒状部材10の内方に位置付けられるように、キャップ11が形成されている。筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた長手方向の寸法L1は、筒状部材10の長手方向の寸法と一致することになる。上記長手方向は、筒状部材10が立ち上がり部202を貫通する方向(貫通方向)であるため、筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた貫通方向の寸法L1は、立ち上がり部202の貫通方向の寸法L2(
図1に示す)に対応するように設定されている。具体的には、寸法L1と寸法L2とが同じである。これにより、筒状部材10の一端面は、立ち上がり部202の外面と同一平面上に位置することになり、また、筒状部材10の他端面は、立ち上がり部202の内面と同一平面上に位置することになる。
【0045】
尚、キャップ11を筒状部材10に取り付けた状態で、キャップ11の外面が筒状部材10の一端面から外方へ突出していてもよい。この場合、筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた貫通方向の寸法L1は、キャップ11の外面が突出している分、筒状部材10の長手方向の寸法よりも長くなるが、寸法L1は寸法L2に対応するように設定する。
【0046】
(止水用シート)
図4等に示すように、筒状部材10の外周面には止水用のゴムからなるシート14を全周に渡って巻き付けておくことができる。このシート14は、基礎コンクリート200の立ち上がり部202に埋設されるように配置しておく。シート14には、防蟻剤としてのホウ酸またはホウ酸誘導体(ホウ酸銅、ホウ酸亜鉛、ホウ砂等)が配合されており、これにより防蟻処理を施すことができる。防蟻剤の配合量は、特に限定されるものではないが、例えば0.1質量%以上5質量%以下の範囲で設定することができる。シート14は、例えば、ブチル再生ゴム等で構成することができ、これ単独もしくは天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等を混合したものであってもよい。シート14を構成する材料には、補強剤、充填剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、粘着剤、加工助剤、着色剤、架橋剤等を適宜配合してもよい。
【0047】
また、シート14は、コンクリートへの接着能を有するブチルゴム製であってもよい。シート14の材料としては、例えばブチル再生ゴムを用いた非加硫型粘着塑性体(粘弾性体)を適用でき、より具体的には、早川ゴム株式会社製のスパンシール(登録商標)を適用できる。このスパンシールは、セメント中に含まれる金属酸化物(CaO)と、スパンシールの有する活性基(カルボキシル基)がイオン反応して化学的に結合することにより、コンクリートへの接着能を示すものである。尚、シート14の材料は、上記スパンシールに限られるものではなく、筒状部材10への接着能と、コンクリートへの接着能とを示す材料であればよい。
【0048】
(外付部材)
キャップ11には、外付部材13が着脱可能に取り付けられている。すなわち、キャップ11の閉塞板部11aの外面には、キャップ側係合部11dが設けられている。キャップ側係合部11dは、閉塞板部11aの外面に形成された凹部で構成されており、外方に開放され、後述する外付部材側係合部13cの挿入が可能になっている。キャップ側係合部11dは、閉塞板部11aの中心部に位置している。よって、キャップ側係合部11dの中心線は、筒状部材10の軸芯X上において当該軸芯Xに沿って延びている。
【0049】
キャップ側係合部11dは多角形断面を有している。具体的には、キャップ側係合部11dの中心線に直交する方向の断面形状は、例えば正三角形、正四角形、正五角形、正六角形等の多角形である。キャップ側係合部11dが凹部で構成されているので、閉塞板部11aの内面にはその凹部の形状に対応した膨出部11eが形成されている。尚、膨出部11eはキャップ側係合部11dの形状、深さ等に応じて設けることができ、省略可能な場合には省略してもよい。
【0050】
外付部材13は、キャップ11と同様な樹脂材で構成することができ、この実施形態では、筒状部材10の軸芯Xを中心とした円形の板状をなしている。よって、外付部材13とキャップ11とは同芯上に配置された状態で互いに一体化する。キャップ11の外形状と外付部材13の外形状とは同じに設定されている。また、キャップ11の外形状は、外付部材13の外形状よりも小さく設定されていてもよい。
【0051】
外付部材13の外面13aは、仕上モルタル204から外方へ臨む面であり、略平坦に形成されている。外付部材13の内面13bは、キャップ11側の面であり、閉塞板部11aの外面を覆うとともに閉塞板部11aの外面に当接するように形成されている。外付部材13の内面13bには、キャップ側係合部11dに係合する外付部材側係合部13cが設けられている。外付部材側係合部13cは、外付部材13の内面13bから突出し、かつ、キャップ側係合部11dに挿入される凸部で構成されている。外付部材側係合部13cは、外付部材13の中心部に位置している。よって、外付部材側係合部13cの突出方向に延びる中心線は、筒状部材10の軸芯X上において当該軸芯Xに沿って延びている。
【0052】
外付部材側係合部13cは、キャップ側係合部11dに嵌合する多角形断面を有する柱状をなしている。具体的には、外付部材側係合部13cの中心線に直交する方向の断面形状は、キャップ側係合部11dの形状と同じであり、外付部材側係合部13cのキャップ側係合部11dへの挿入が可能となるように、外付部材側係合部13cの方が僅かに小さくなっている。例えば、キャップ側係合部11dの断面形状が正六角形の場合、外付部材側係合部13cの断面形状も正六角形である。このように外付部材側係合部13c及びキャップ側係合部11dが多角形断面を有していることで、外付部材側係合部13cの外面の少なくとも一部と、キャップ側係合部11dの内面の少なくとも一部とが互いに接触するように配置された時、外付部材13の回動力が外面を介してキャップ側係合部11dの内面に伝達可能になる。
【0053】
つまり、外付部材13の回動力がキャップ11に伝達されて当該キャップ11を回動させることができるように、キャップ側係合部11d及び外付部材側係合部13cの断面形状が設定されている。また、図示しないが、例えばキャップ側係合部11dをキャップ11の中心周りに複数設け、外付部材側係合部13cも外付部材13の中心周りに複数設けてもよい。これにより、キャップ側係合部11d及び外付部材側係合部13cの断面形状が多角形状でなくても、外付部材13の回動力をキャップ11に伝達することができる。尚、図示しないが、外付部材13をキャップ11に対して、ネジやボルト、ビスのような締結部材によって締結してもよい。
【0054】
外付部材13の厚みは、立ち上がり部202の外面に別途設けられる仕上モルタル204の厚みに対応している。すなわち、外付部材13の厚みと、仕上モルタル204の厚みとは同じに設定されている。これにより、外付部材13の外面13aは、仕上モルタル204の外面と同一平面上に位置することになる。
【0055】
また、外付部材13には工具係合部13dが設けられている。すなわち、キャップ11を取り外す際には外付部材13を回動させる必要があるが、外付部材13を回動させる際には、例えば六角レンチのような工具を使用する。工具係合部13dは、工具を差し込んで当該工具と係合させる部分であり、工具が六角レンチの場合には、工具係合部13dは断面が六角形の孔部で構成される。工具は六角レンチに限られるものではなく、例えばプラスドライバーやマイナスドライバー等であってもよく、この場合には工具係合部13dはプラス型の凹部やマイナス型の凹部とすることができる。
【0056】
工具係合部13dを構成している孔部の中心線は、外付部材側係合部13cの中心線と一致している。また、工具係合部13dを構成している孔部は、外付部材13を厚み方向に貫通するように形成されている。
【0057】
(床下用排水部材1の設置方法)
次に、上記のように構成された床下用排水部材1を基礎コンクリート200の立ち上がり部202に設置する方法について説明する。まず、
図6に示すように、基礎コンクリート200の底盤部201を打設するとともに、主筋205及び配筋206を設置しておく。さらに、外側の型枠203を底盤部201の外面に沿って上方へ延びるように設置しておく。
【0058】
その後、
図7に示すようにキャップ11を取り付けた筒状部材10を底盤部201の界面201aに載置する。このとき、外付部材13はキャップ11から取り外しておく。また、内側の型枠203も設置する。外側の型枠203の内面及び内側の型枠203内面の間隔L3は、基礎コンクリート200の立ち上がり部202の厚みと同じである。よって、
図3に示す筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた貫通方向の寸法L1と、外側の型枠203の内面及び内側の型枠203内面との間隔L3と同じになる。したがって、筒状部材10の一端面には外側の型枠203の内面が当接し、筒状部材10の他端面には内側の型枠203の内面が当接する。筒状部材10は、例えば主筋205や配筋206に対して番線やブラケットによって固定しておく。
【0059】
次いで、
図8に示すように、基礎コンクリート200の立ち上がり部202を打設してから型枠203を取り外す。これにより、筒状部材10が立ち上がり部202に埋設される。キャップ11の外面は、立ち上がり部202の外面から外方へ臨んでいる。その後、
図9に示すように、キャップ11に外付部材13を取り付けると、外付部材13が立ち上がり部202の外面から外方へ突出した状態で保持される。
【0060】
しかる後、立ち上がり部202の外面に仕上モルタル204を塗ると、
図1に示すように床下用排水構造Aが完成する。仕上モルタル204を塗る際、外付部材13の立ち上がり部202からの突出寸法が仕上モルタル204の厚みと同じになっているので、外付部材13の外面が仕上モルタル204によって覆われることはなく、外付部材13の外面を仕上モルタル204の外面から外方へ臨ませておくことができる。これにより、仕上モルタル204の一部にはつり作業を行う必要がなくなる。
【0061】
図10は、外付部材13及びキャップ11を筒状部材10から取り外した状態を示している。外付部材13及びキャップ11を筒状部材10から取り外すことで、仕上モルタル204には、外付部材13の跡の穴204aができるとともに、この穴204aを介して排水経路が外方に開放されるので、立ち上がり部202で囲まれた空間に溜まった水を排水することができる。排水が終われば、外付部材13及びキャップ11を筒状部材10に取り付けることができる。
【0062】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、基礎コンクリート200の立ち上がり部202のコンクリートを打設する前に、キャップ11から外付部材13を取り外した状態にして、筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を所定位置に設置することができる。このとき、筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた貫通方向の寸法L1は、立ち上がり部202の貫通方向の寸法L2に対応するように設定されているので、筒状部材10及びキャップ11が型枠203、203内に収まる。その後、コンクリートを打設して固化させることで、筒状部材10が厚み方向に貫通するように設けられた立ち上がり部202が得られる。そして、キャップ11に外付部材13を取り付けた後、仕上モルタル204を立ち上がり部202の外面に塗ると、外付部材13の厚みが仕上モルタル204の厚みに対応しているので、仕上モルタル204をはつることなく、外付部材13の外面が仕上モルタル204から外方に臨むことになり、仕上モルタル204の外面が略面一になって見栄えが良好になる。また、キャップ11及び外付部材13が仕上モルタル204で覆われていないので、排水時にはキャップ11及び外付部材13を容易に外すことができる。
【0063】
また、外付部材13を回動させてキャップ11も一緒に筒状部材10から取り外すことができる。このとき、キャップ11の形状が外付部材13と同じまたは外付部材13よりも小さいので、仕上モルタル204に形成されている外付部材13の跡の穴204aを通してキャップ11も取り外すことができる。キャップ11を筒状部材10に取り付ける際も、仕上モルタル204に形成されている外付部材13の跡の穴204aを利用して取り付けることができる。
【0064】
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2に係る床下用排水部材1の断面図である。この実施形態2では、外付部材を備えておらず、キャップ11が筒状部材10の一端面から突出するように形成されている点で実施形態1と異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0065】
実施形態2のキャップ11は、実施形態1のキャップ11よりも厚く形成されており、筒状部材10の一端面から軸芯X方向外方へ突出する突出部11fを有している。突出部11fの突出方向先端面(外面)11gは、仕上モルタル204から外方へ臨む面であり、略平坦に形成されている。また、突出部11fの筒状部材10からの突出寸法L4は、立ち上がり部202の外面に別途設けられる仕上モルタル204の厚みに対応している。具体的には、寸法L4と仕上モルタル204の厚みとが同じである。これにより、突出部11fの外面11gは、仕上モルタル204の外面と同一平面上に位置することになる。また、キャップ11には、実施形態1の工具係合部13dと同様な工具係合部11hが設けられている。
【0066】
実施形態2の筒状部材10の前記貫通方向の寸法L1は、立ち上がり部202の前記貫通方向の寸法に対応するように設定されている。具体的には、
図11に示す寸法L1が立ち上がり部202の厚みと同じである。
【0067】
次に、実施形態2に係る床下用排水部材1の設置方法について説明する。床下用排水部材1を底盤部201の界面201aに載置して固定した後、
図12に示すように、型枠203、203を設置する。筒状部材10の寸法L1が立ち上がり部202の厚みと同じであるため、筒状部材10の一端面には外側の型枠203の内面が当接し、筒状部材10の他端面には内側の型枠203の内面が当接する。
【0068】
次いで、
図13に示すように、基礎コンクリート200の立ち上がり部202を打設してから型枠203を取り外す。これにより、筒状部材10が立ち上がり部202に埋設される。この時点では筒状部材10の排水口10aが開放されている。
【0069】
その後、
図14に示すようにキャップ11を筒状部材10に取り付ける。次いで、仕上モルタル204を立ち上がり部202の外面に塗る。このとき、キャップ11の筒状部材10からの突出寸法が仕上モルタル204の厚みに対応しているので、仕上モルタル204をはつることなく、キャップ11の外面が仕上モルタル204から外方に臨むことになる(
図15参照)。
【0070】
したがって、実施形態2においても、実施形態1と同様に、仕上モルタル204のはつり作業を不要にすることができるとともに、仕上モルタル204の見栄えを良好にしながら、基礎コンクリート200の立ち上がり部202に床下用排水部材1を設けることができる。また、外付部材が無いので、実施形態1のものに比べて部品点数を削減できる。
【0071】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明に係る床下用排水部材は、例えば住宅等の基礎の立ち上がり部に設けることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 床下用排水部材
10 筒状部材
11 キャップ
11d キャップ側係合部
13 外付部材
13c 外付部材側係合部
200 基礎コンクリート
202 立ち上がり部
204 仕上モルタル
【手続補正書】
【提出日】2022-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば住宅等の基礎に設けられる床下用排水部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅の床下構造として、例えば布基礎工法やベタ基礎工法等によって形成された基礎コンクリートの立ち上がり部(立ち基礎ともいう)に排水管を設けた構造が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の排水管は、基礎コンクリートの立ち上がり部を貫通するように、当該立ち上がり部に埋め込まれた状態で保持されている。排水管の一端部は、基礎コンクリートの立ち上がり部で囲まれた空間に連通し、また、排水管の他端部は、基礎コンクリートの外面で開口している。
【0003】
このような排水管を設けておくことで、例えば基礎コンクリートの立ち上がり部で囲まれた空間に水が溜まった際に、その水を排水管によって外部へ排水することが可能になる。なお、通常時、排水管にはキャップを取り付けておくことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下、
図16~
図19に基づいて、床下用排水部材100の施工例について説明する。尚、符号GLは地面を示す。
図16は、床下用排水部材100が基礎コンクリート200の底盤部201から立ち上がる立ち上がり部202に設けられている場合を示している。施工時には、
図17に示すように、筒状部材101を保持した状態で立ち上がり部202のコンクリートを打設するための型枠203を設置する。このとき、筒状部材101にはキャップ102を取り付けておく。コンクリートが硬化すると型枠203を取り外し、立ち上がり部202の外面に仕上モルタル204を塗る(
図18参照)。キャップ102は仕上モルタル204によって覆われてしまい、必要時に筒状部材101を開放することができないので、
図19に示すように、仕上モルタル204の一部を「はつる」ことによって穴204aを形成し、その穴204aからキャップ102を露出させ、キャップ102の取り外しを可能にする。
【0006】
ところが、上述した方法では、仕上モルタル204を塗った後、穴204aを形成するべく、仕上モルタル204が硬化してから、はつり作業が必要になる。このとき、仕上モルタル204は外観に影響を与える部分なので、外観見栄えが悪化しないように、はつり作業を丁寧に行わなければならない。また、キャップ102が全て露出するようにはつり作業を行う必要もある。したがって、はつり作業は煩雑で時間がかかるので、このはつり作業を省略したいという要求があった。
【0007】
また、仕上モルタル204の一部をはつることで穴204aが開いてしまう。この穴204aが開くことで、外観見栄えが悪化するという問題もあった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、仕上モルタルのはつり作業を不要にするとともに、仕上モルタルの見栄えを良好にしながら、基礎コンクリートの立ち上がり部に床下用排水部材を設けることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の第1の側面では、基礎コンクリートの立ち上がり部を厚み方向に貫通するように形成され、前記立ち上がり部で囲まれた空間に溜まった水を前記立ち上がり部の外方へ排水するための筒状部材と、当該筒状部材の外方の端部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備えた床下用排水部材を前提とすることができる。前記筒状部材及び当該筒状部材に取り付けられた前記キャップを合わせた前記貫通方向の寸法は、前記立ち上がり部の前記貫通方向の寸法に対応するように設定されている。前記キャップには、前記立ち上がり部の外面に別途設けられる仕上モルタルの厚みに対応する厚みを有する外付部材が着脱可能に取り付けられている。
【0010】
すなわち、基礎コンクリートの立ち上がり部のコンクリートを打設する前に、キャップから外付部材を取り外した状態にして、筒状部材及び当該筒状部材に取り付けられたキャップを所定位置に設置することが可能になる。筒状部材及びキャップを設置したとき、筒状部材及び当該筒状部材に取り付けられたキャップを合わせた貫通方向の寸法は、立ち上がり部の貫通方向の寸法に対応するように設定されているので、筒状部材及びキャップが型枠内に収まる。型枠内にコンクリートを打設して固化させることで、筒状部材が厚み方向に貫通するように設けられた立ち上がり部が得られる。その後、キャップに外付部材を取り付ける。次いで、仕上モルタルを立ち上がり部の外面に塗る。このとき、外付部材の厚みが仕上モルタルの厚みに対応しているので、仕上モルタルをはつることなく、外付部材の外面が仕上モルタルから外方に臨むことになり、仕上モルタルに穴ができなくなる。また、立ち上がり部で囲まれた空間に溜まった水を排水する場合には、キャップが仕上モルタルで覆われていないので、キャップを容易に外すことができる。
【0011】
本開示の第2の側面では、前記キャップの外面には、キャップ側係合部が設けられている。前記外付部材における前記キャップ側の面には、前記キャップ側係合部に係合する外付部材側係合部が設けられている。
【0012】
この構成によれば、キャップ側係合部と外付部材側係合部とを係合させることで、外付部材がキャップから不用意に外れないように取り付けておくことができる。
【0013】
本開示の第3の側面では、前記キャップ側係合部は、前記キャップの外面に形成された凹部で構成されている。前記外付部材側係合部は、前記外付部材における前記キャップ側の面から突出し、かつ、前記凹部に挿入される凸部で構成されている。
【0014】
この構成によれば、外付部材の凸部をキャップの凹部に挿入することで確実に係合させることができる。
【0015】
本開示の第4の側面では、前記凹部は多角形断面を有しており、また、前記凸部は前記凹部に嵌合する多角形断面を有している。
【0016】
この構成によれば、例えば外付部材をキャップと一体化し、外付部材によってキャップを回動させることができるので、外付部材と一体化した状態でキャップを取り外したり、取り付けたりすることができる。
【0017】
本開示の第5の側面では、前記キャップは、前記筒状部材の軸芯周りの回動動作によって当該筒状部材への取り付け及び当該筒状部材からの取り外しが可能に構成されている。前記外付部材は、前記軸芯を中心とした円形状である。
【0018】
この構成によれば、外付部材を筒状部材の軸芯周りに回動させることによってキャップの筒状部材への取り付け及び筒状部材から取り外しが容易に行えるようになる。
【0019】
本開示の第6の側面では、前記キャップの外形状は前記外付部材の外形状と同じまたは前記外付部材の外形状よりも小さく設定されている。
【0020】
この構成よれば、外付部材を回動させてキャップも一緒に筒状部材から取り外すときに、キャップの形状が外付部材と同じまたは外付部材よりも小さいので、仕上モルタルに形成されている外付部材の跡の穴を通してキャップも取り外すことができる。キャップを筒状部材に取り付ける際も、仕上モルタルに形成されている外付部材の跡の穴を利用して取り付けることができる。
【0021】
本開示の第7の側面では、前記筒状部材の前記貫通方向の寸法は、前記立ち上がり部の前記貫通方向の寸法と同じに設定されている。また、前記筒状部材への取り付け状態における前記キャップの前記筒状部材からの突出寸法は、前記立ち上がり部の外面に別途設けられる仕上モルタルの厚みと同じである。
【0022】
すなわち、基礎コンクリートの立ち上がり部のコンクリートを打設する前に、キャップを筒状部材から取り外した状態にして、当該筒状部材を所定位置に設置する。このとき、筒状部材の貫通方向の寸法は、立ち上がり部の貫通方向の寸法に対応するように設定されているので、筒状部材が型枠内に収まる。型枠内にコンクリートを打設して固化させることで、筒状部材が厚み方向に貫通するように設けられた立ち上がり部が得られる。その後、キャップを筒状部材に取り付ける。次いで、仕上モルタルを立ち上がり部の外面に塗る。このとき、キャップの筒状部材からの突出寸法が仕上モルタルの厚みに対応しているので、仕上モルタルをはつることなく、キャップの外面が仕上モルタルから外方に臨むことになり、仕上モルタルに穴ができなくなる。また、立ち上がり部で囲まれた空間に溜まった水を排水する場合には、キャップが仕上モルタルで覆われていないので、キャップを容易に外すことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、仕上モルタルのはつり作業を不要にすることができるとともに、仕上モルタルの見栄えを良好にしながら、基礎コンクリートの立ち上がり部に床下用排水部材を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態1に係る床下用排水部材を備えた基礎コンクリートの断面図である。
【
図7】型枠と筒状部材及びキャップとを設置した状態の
図6相当図である。
【
図8】立ち上がり部の形成が終了した状態の
図6相当図である
【
図9】外付部材をキャップに取り付けた状態の
図6相当図である。
【
図10】外付部材及びキャップを筒状部材から取り外した状態の
図6相当図である。
【
図11】本発明の実施形態2に係る床下用排水部材の断面図である。
【
図16】従来例に係る床下用排水構造の一例を示す断面図である。
【
図17】従来例に係る型枠を設置した状態を示す図である。
【
図18】従来例に係る仕上モルタルを塗った状態を示す図である。
【
図19】従来例に係る仕上モルタルの一部にはつり作業を行った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る床下用排水部材1を備えた建築物の基礎コンクリート200の断面図である。建築物は、図示しないが、例えば住宅、事務所、店舗等を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、どのような建物であってもよい。また、建物の構造や床面積も特に限定されるものではない。基礎コンクリート200によって建築物の基礎部分が構成されており、この基礎部分は、いわゆるベタ基礎である。
【0027】
基礎コンクリート200は、底盤部201と、底盤部201の周縁部から立ち上がる立ち上がり部202とを備えている。立ち上がり部202の外面には、仕上モルタル204が別途設けられる。仕上モルタル204の厚みは立ち上がり部202の厚みよりも薄く設定されている。
【0028】
立ち上がり部202は立ち基礎とも呼ばれる部分である。底盤部201は水平方向に延びており、当該底盤部201には、鉛直方向に延びる複数の主筋205の下側部分が埋設されている。複数の主筋205は、立ち上がり部202に対応する部分に埋設されており、水平方向に互いに間隔をあけて配置されている。主筋205の上側部分が立ち上がり部202に埋設されるようになっている。配筋206は水平方向に延びており、長手方向の各部が主筋205に固定されている。また、底盤部201の上面は、当該底盤部201における立ち上がり部202との界面201aである。
【0029】
立ち上がり部202は、平面視で枠状に形成することができるが、立ち上がり部202の形状は特に限定されるものではなく、建物の形状や構造に合わせて変更できる。立ち上がり部202が平面視で枠状に設けられることになるので、例えば豪雨の際には、立ち上がり部202で囲まれた空間に水が溜まることがある。この立ち上がり部202で囲まれた空間に溜まった水を排水するための構造が、床下用排水部材1を備えている床下用排水構造Aである。各図における「内」とは、立ち上がり部202で囲まれた空間内側のことであり、「外」とは立ち上がり部202の外側のことである。
【0030】
図2~
図4に示すように、床下用排水部材1は、立ち上がり部202で囲まれた空間に溜まった水を立ち上がり部の外方へ排水するための排水経路を構成する筒状部材10と、キャップ(蓋部材)11と、パッキン12と、外付部材13とを備えている。筒状部材10は、例えば樹脂材で構成されており、射出成形法を利用して製造することができる。筒状部材10は、基礎コンクリート200の立ち上がり部202を厚み方向に貫通するように形成されており、床下用排水管となる部材である。筒状部材10は、その軸芯X(
図3及び
図4に示す)が水平となるように設置される。
【0031】
筒状部材10は直管状に形成されている。筒状部材10の軸芯X方向の寸法は、基礎コンクリート200の立ち上がり部202の厚みを考慮して設定される。すなわち、立ち上がり部202の厚みは一定であるとは限らず、例えば住宅の規模や仕様、施工会社等によって異なっていることがあるが、施工前には決定されているので、その寸法を考慮し、立ち上がり部202を貫通する排水経路が当該立ち上がり部202に形成されるように、筒状部材10の軸芯X方向の寸法が設定される。
【0032】
筒状部材10を構成する樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよく、硬質塩化ビニル、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等を挙げることができる。また、筒状部材10は、硬質塩化ビニル、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等のうち、任意の1種若しくは任意の2種以上の樹脂を混合した樹脂材で構成されていてもよい。また、筒状部材10は、同じ樹脂材を2以上積層した部材で構成されていてもよい。筒状部材10の剛性及び強度は、後述するコンクリートの打設時の流動圧やコンクリートの重量によって変形しない程度であればよく、鋼製材や樹脂の種類の選定、厚みの設定によってそのような剛性及び強度を確保することができる。
【0033】
筒状部材10は、筒状に成形された鋼製材と、当該鋼製材を被覆する1種若しくは2種以上の樹脂、ゴム材料、エラストマー等からなる被覆部とを備えていてもよい。被覆部を構成する樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよく、塩化ビニル、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等を挙げることができる。被覆部は、硬質塩化ビニル、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン等のうち、任意の1種若しくは任意の2種以上の樹脂を混合した樹脂材で構成されていてもよい。被覆部は、例えばエチレンプロピレンゴム(EPT)等のゴム材料で構成されていてもよい。また、被覆部は、任意の任意の1種若しくは任意の2種以上のゴムを混合したゴム材で構成されていてもよい。また、被覆部は、任意の任意の1種若しくは任意の2種以上のエラストマーを混合した材料で構成されていてもよい。被覆部は、鋼製材の内面と外面との一方のみまたは両方を被覆するように設けることができる。
【0034】
図3に示すように、筒状部材10の長手方向(軸芯X方向)一端部には、筒状部材10が立ち上がり部202に配設された状態で当該立ち上がり部202の外に向けて開口する略円形の排水口10aが形成されている。筒状部材10の一端部は立ち上がり部202への設置状態で、当該立ち上がり部202の外方に位置する端部であることから、外方の端部ということもできる。一方、筒状部材10の他端部は立ち上がり部202への設置状態で、当該立ち上がり部202の内方に位置する端部であることから、内方の端部ということもできる。
【0035】
排水口10aの中心は、軸芯X上に位置している。筒状部材10の一端部は、立ち上がり部202の外面と面一となるように配置されていてもよいし、立ち上がり部202の外面から窪むように配置されていてもよい。
【0036】
通常時、即ち非排水時には、排水口10aが
図2~
図4に示すような形状のキャップ11によって閉塞される。すなわち、
図4に示すように、筒状部材10の一端部寄りの内周面には、キャップ11が嵌まる一端側段部10eが形成されている。筒状部材10の内周面における一端側段部10eの近傍には、径方向内方へ突出する突起部10gが形成されている。
図5に示すように、突起部10gは複数設けることができ、突起部10gが複数設けられている場合には、筒状部材10の周方向に互いに間隔をあけて配置される。筒状部材10の排水口10aが形成されている部分から突起部10gが形成されている部分に亘る断面形状(軸芯Xに直交する方向の断面形状)は、軸芯Xを中心とした円形状である。
【0037】
一方、
図4に示すように、キャップ11は、筒状部材10の外方の端部に着脱可能に取り付けられる部材であり、閉塞板部11aと、筒状部11bとを備えている。これら閉塞板部11a及び筒状部11bは例えば射出成形法によって一体成形されているが、別部材で構成されていてもよい。閉塞板部11aは、筒状部材10の排水口10aを覆って閉塞することが可能な大きさの円形板状に成形されている。よって、閉塞板部11aの中心は、軸芯X上に位置している。また、閉塞板部11aの外径は、筒状部材10の排水口10aの内径よりも僅かに小さく設定されており、閉塞板部11aを筒状部材10の排水口10a内に挿入し易くしている。尚、閉塞板部11aの外径と、筒状部材10の排水口10aの内径との差は僅かであるため、閉塞板部11aの外周面と筒状部材10の排水口10aの内周面との間には極めて小さな隙間(例えば1.0mm以下の隙間)しか形成されない。
【0038】
閉塞板部11aの内面(筒状部材10の内部に臨む面)には、筒状部11bが筒状部材10の内部へ向けて突出するように設けられている。筒状部11bの断面形状は円形状であり、筒状部11bの軸芯の延長線上に閉塞板部11aの中心が位置している。つまり、筒状部11bの軸芯と、閉塞板部11aの中心と、筒状部11bの軸芯とは同一直線上に位置している。
【0039】
筒状部11bの軸芯方向の寸法は、閉塞板部11aの厚み方向の寸法よりも長く設定されている。具体的には、キャップ11を筒状部材10に取り付けた状態で、筒状部11bの先端部が、筒状部材10の一端側段部10e及び突起部10gよりも奥に達するようになっている。筒状部11bの外側には、弾性材からなる環状のパッキン12が配設されている。パッキン12は、閉塞板部11aの内面と筒状部材10の一端側段部10eとによって押圧されて弾性変形し、閉塞板部11aの内面と筒状部材10の排水口10aの内周面とに接触するようになっている。このパッキン12により、閉塞板部11aの内面と筒状部材10の排水口10aの内周面との間がシールされる。
【0040】
筒状部11bには、筒状部材10の突起部10gが挿入される溝部11cが形成されている。溝部11cの数は、突起部10gの数と同じであり、また、溝部11cの位置は突起部10gの位置に対応している。溝部11cは、筒状部11bの先端部において開放されており、この開放部分から軸芯方向に沿って筒状部11bの基端側へ向けて延びた後、筒状部11bの周方向に延びるように屈曲した形状になっている。
【0041】
キャップ11で筒状部材10の排水口10aを閉塞する場合には、まず、キャップ11の筒状部11bを筒状部材10に差し込むとともに、筒状部材10の突起部10gを溝部11cに挿入する。筒状部材10の突起部10gが溝部11cに所定量挿入されるまでキャップ11の筒状部11bを筒状部材10に差し込むと、パッキン12が筒状部材10の一端側段部10eに当たり、一端側段部10eと閉塞板部11aの内面とによって押圧された状態になる。そして、キャップ11を軸芯周りに回動させることにより、筒状部材10の突起部10gを溝部11cの奥側(周方向に延びる部分の奥側)に配置する。これにより、筒状部材10の突起部10gが溝部11cの周縁部に係合してキャップ11が筒状部材10に取り付けられた状態で保持される。一方、キャップ11を筒状部材10から取り外す際には、キャップ11を取付時とは反対方向に回動させればよい。
【0042】
図5に示すように、筒状部材10の断面形状は、排水口10a側が略円形状であるのに対し、その反対側は下部が直線状をなす形状となっており、排水口10a側からその反対側へ向かって断面形状が徐々に変化している。筒状部材10の排水口10a側とは反対側、即ち、筒状部材10の長手方向他端部には、当該筒状部材10を延長するための筒状の延長部材(図示せず)が接続可能に構成されていてもよい。
【0043】
筒状部材10の下部は、水平方向に延びるように形成された底板部10fで構成されている。底板部10fは水平方向に延びる形状でなくてもよく、図示しないが、底板部10fの外面が下方へ膨出するように形成されていてもよい。例えば、底板部10fの外面が湾曲面で構成されている場合、幅方向の中央部が最も下に位置し、その中央部から両端に近づくにつれて上に位置するように湾曲させることができる。また、底板部10fの外面が傾斜面で構成されている場合、幅方向の中央部が最も下に位置し、その中央部から両端に近づくにつれて上に位置するように傾斜させることができる。
【0044】
図3に示すように、この実施形態では、キャップ11を筒状部材10に取り付けた状態で、キャップ11の外面は筒状部材10の一端面と同一平面上に位置するか、キャップ11の外面が筒状部材10の一端面よりも当該筒状部材10の内方に位置付けられるように、キャップ11が形成されている。筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた長手方向の寸法L1は、筒状部材10の長手方向の寸法と一致することになる。上記長手方向は、筒状部材10が立ち上がり部202を貫通する方向(貫通方向)であるため、筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた貫通方向の寸法L1は、立ち上がり部202の貫通方向の寸法L2(
図1に示す)に対応するように設定されている。具体的には、寸法L1と寸法L2とが同じである。これにより、筒状部材10の一端面は、立ち上がり部202の外面と同一平面上に位置することになり、また、筒状部材10の他端面は、立ち上がり部202の内面と同一平面上に位置することになる。
【0045】
尚、キャップ11を筒状部材10に取り付けた状態で、キャップ11の外面が筒状部材10の一端面から外方へ突出していてもよい。この場合、筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた貫通方向の寸法L1は、キャップ11の外面が突出している分、筒状部材10の長手方向の寸法よりも長くなるが、寸法L1は寸法L2に対応するように設定する。
【0046】
(止水用シート)
図4等に示すように、筒状部材10の外周面には止水用のゴムからなるシート14を全周に渡って巻き付けておくことができる。このシート14は、基礎コンクリート200の立ち上がり部202に埋設されるように配置しておく。シート14には、防蟻剤としてのホウ酸またはホウ酸誘導体(ホウ酸銅、ホウ酸亜鉛、ホウ砂等)が配合されており、これにより防蟻処理を施すことができる。防蟻剤の配合量は、特に限定されるものではないが、例えば0.1質量%以上5質量%以下の範囲で設定することができる。シート14は、例えば、ブチル再生ゴム等で構成することができ、これ単独もしくは天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等を混合したものであってもよい。シート14を構成する材料には、補強剤、充填剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、粘着剤、加工助剤、着色剤、架橋剤等を適宜配合してもよい。
【0047】
また、シート14は、コンクリートへの接着能を有するブチルゴム製であってもよい。シート14の材料としては、例えばブチル再生ゴムを用いた非加硫型粘着塑性体(粘弾性体)を適用でき、より具体的には、早川ゴム株式会社製のスパンシール(登録商標)を適用できる。このスパンシールは、セメント中に含まれる金属酸化物(CaO)と、スパンシールの有する活性基(カルボキシル基)がイオン反応して化学的に結合することにより、コンクリートへの接着能を示すものである。尚、シート14の材料は、上記スパンシールに限られるものではなく、筒状部材10への接着能と、コンクリートへの接着能とを示す材料であればよい。
【0048】
(外付部材)
キャップ11には、外付部材13が着脱可能に取り付けられている。すなわち、キャップ11の閉塞板部11aの外面には、キャップ側係合部11dが設けられている。キャップ側係合部11dは、閉塞板部11aの外面に形成された凹部で構成されており、外方に開放され、後述する外付部材側係合部13cの挿入が可能になっている。キャップ側係合部11dは、閉塞板部11aの中心部に位置している。よって、キャップ側係合部11dの中心線は、筒状部材10の軸芯X上において当該軸芯Xに沿って延びている。
【0049】
キャップ側係合部11dは多角形断面を有している。具体的には、キャップ側係合部11dの中心線に直交する方向の断面形状は、例えば正三角形、正四角形、正五角形、正六角形等の多角形である。キャップ側係合部11dが凹部で構成されているので、閉塞板部11aの内面にはその凹部の形状に対応した膨出部11eが形成されている。尚、膨出部11eはキャップ側係合部11dの形状、深さ等に応じて設けることができ、省略可能な場合には省略してもよい。
【0050】
外付部材13は、キャップ11と同様な樹脂材で構成することができ、この実施形態では、筒状部材10の軸芯Xを中心とした円形の板状をなしている。よって、外付部材13とキャップ11とは同芯上に配置された状態で互いに一体化する。キャップ11の外形状と外付部材13の外形状とは同じに設定されている。また、キャップ11の外形状は、外付部材13の外形状よりも小さく設定されていてもよい。
【0051】
外付部材13の外面13aは、仕上モルタル204から外方へ臨む面であり、略平坦に形成されている。外付部材13の内面13bは、キャップ11側の面であり、閉塞板部11aの外面を覆うとともに閉塞板部11aの外面に当接するように形成されている。外付部材13の内面13bには、キャップ側係合部11dに係合する外付部材側係合部13cが設けられている。外付部材側係合部13cは、外付部材13の内面13bから突出し、かつ、キャップ側係合部11dに挿入される凸部で構成されている。外付部材側係合部13cは、外付部材13の中心部に位置している。よって、外付部材側係合部13cの突出方向に延びる中心線は、筒状部材10の軸芯X上において当該軸芯Xに沿って延びている。
【0052】
外付部材側係合部13cは、キャップ側係合部11dに嵌合する多角形断面を有する柱状をなしている。具体的には、外付部材側係合部13cの中心線に直交する方向の断面形状は、キャップ側係合部11dの形状と同じであり、外付部材側係合部13cのキャップ側係合部11dへの挿入が可能となるように、外付部材側係合部13cの方が僅かに小さくなっている。例えば、キャップ側係合部11dの断面形状が正六角形の場合、外付部材側係合部13cの断面形状も正六角形である。このように外付部材側係合部13c及びキャップ側係合部11dが多角形断面を有していることで、外付部材側係合部13cの外面の少なくとも一部と、キャップ側係合部11dの内面の少なくとも一部とが互いに接触するように配置された時、外付部材13の回動力が外面を介してキャップ側係合部11dの内面に伝達可能になる。
【0053】
つまり、外付部材13の回動力がキャップ11に伝達されて当該キャップ11を回動させることができるように、キャップ側係合部11d及び外付部材側係合部13cの断面形状が設定されている。また、図示しないが、例えばキャップ側係合部11dをキャップ11の中心周りに複数設け、外付部材側係合部13cも外付部材13の中心周りに複数設けてもよい。これにより、キャップ側係合部11d及び外付部材側係合部13cの断面形状が多角形状でなくても、外付部材13の回動力をキャップ11に伝達することができる。尚、図示しないが、外付部材13をキャップ11に対して、ネジやボルト、ビスのような締結部材によって締結してもよい。
【0054】
外付部材13の厚みは、立ち上がり部202の外面に別途設けられる仕上モルタル204の厚みに対応している。すなわち、外付部材13の厚みと、仕上モルタル204の厚みとは同じに設定されている。これにより、外付部材13の外面13aは、仕上モルタル204の外面と同一平面上に位置することになる。
【0055】
また、外付部材13には工具係合部13dが設けられている。すなわち、キャップ11を取り外す際には外付部材13を回動させる必要があるが、外付部材13を回動させる際には、例えば六角レンチのような工具を使用する。工具係合部13dは、工具を差し込んで当該工具と係合させる部分であり、工具が六角レンチの場合には、工具係合部13dは断面が六角形の孔部で構成される。工具は六角レンチに限られるものではなく、例えばプラスドライバーやマイナスドライバー等であってもよく、この場合には工具係合部13dはプラス型の凹部やマイナス型の凹部とすることができる。
【0056】
工具係合部13dを構成している孔部の中心線は、外付部材側係合部13cの中心線と一致している。また、工具係合部13dを構成している孔部は、外付部材13を厚み方向に貫通するように形成されている。
【0057】
(床下用排水部材1の設置方法)
次に、上記のように構成された床下用排水部材1を基礎コンクリート200の立ち上がり部202に設置する方法について説明する。まず、
図6に示すように、基礎コンクリート200の底盤部201を打設するとともに、主筋205及び配筋206を設置しておく。さらに、外側の型枠203を底盤部201の外面に沿って上方へ延びるように設置しておく。
【0058】
その後、
図7に示すようにキャップ11を取り付けた筒状部材10を底盤部201の界面201aに載置する。このとき、外付部材13はキャップ11から取り外しておく。また、内側の型枠203も設置する。外側の型枠203の内面及び内側の型枠203内面の間隔L3は、基礎コンクリート200の立ち上がり部202の厚みと同じである。よって、
図3に示す筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた貫通方向の寸法L1と、外側の型枠203の内面及び内側の型枠203内面との間隔L3と同じになる。したがって、筒状部材10の一端面には外側の型枠203の内面が当接し、筒状部材10の他端面には内側の型枠203の内面が当接する。筒状部材10は、例えば主筋205や配筋206に対して番線やブラケットによって固定しておく。
【0059】
次いで、
図8に示すように、基礎コンクリート200の立ち上がり部202を打設してから型枠203を取り外す。これにより、筒状部材10が立ち上がり部202に埋設される。キャップ11の外面は、立ち上がり部202の外面から外方へ臨んでいる。その後、
図9に示すように、キャップ11に外付部材13を取り付けると、外付部材13が立ち上がり部202の外面から外方へ突出した状態で保持される。
【0060】
しかる後、立ち上がり部202の外面に仕上モルタル204を塗ると、
図1に示すように床下用排水構造Aが完成する。仕上モルタル204を塗る際、外付部材13の立ち上がり部202からの突出寸法が仕上モルタル204の厚みと同じになっているので、外付部材13の外面が仕上モルタル204によって覆われることはなく、外付部材13の外面を仕上モルタル204の外面から外方へ臨ませておくことができる。これにより、仕上モルタル204の一部にはつり作業を行う必要がなくなる。
【0061】
図10は、外付部材13及びキャップ11を筒状部材10から取り外した状態を示している。外付部材13及びキャップ11を筒状部材10から取り外すことで、仕上モルタル204には、外付部材13の跡の穴204aができるとともに、この穴204aを介して排水経路が外方に開放されるので、立ち上がり部202で囲まれた空間に溜まった水を排水することができる。排水が終われば、外付部材13及びキャップ11を筒状部材10に取り付けることができる。
【0062】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、基礎コンクリート200の立ち上がり部202のコンクリートを打設する前に、キャップ11から外付部材13を取り外した状態にして、筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を所定位置に設置することができる。このとき、筒状部材10及び当該筒状部材10に取り付けられたキャップ11を合わせた貫通方向の寸法L1は、立ち上がり部202の貫通方向の寸法L2に対応するように設定されているので、筒状部材10及びキャップ11が型枠203、203内に収まる。その後、コンクリートを打設して固化させることで、筒状部材10が厚み方向に貫通するように設けられた立ち上がり部202が得られる。そして、キャップ11に外付部材13を取り付けた後、仕上モルタル204を立ち上がり部202の外面に塗ると、外付部材13の厚みが仕上モルタル204の厚みに対応しているので、仕上モルタル204をはつることなく、外付部材13の外面が仕上モルタル204から外方に臨むことになり、仕上モルタル204の外面が略面一になって見栄えが良好になる。また、キャップ11及び外付部材13が仕上モルタル204で覆われていないので、排水時にはキャップ11及び外付部材13を容易に外すことができる。
【0063】
また、外付部材13を回動させてキャップ11も一緒に筒状部材10から取り外すことができる。このとき、キャップ11の形状が外付部材13と同じまたは外付部材13よりも小さいので、仕上モルタル204に形成されている外付部材13の跡の穴204aを通してキャップ11も取り外すことができる。キャップ11を筒状部材10に取り付ける際も、仕上モルタル204に形成されている外付部材13の跡の穴204aを利用して取り付けることができる。
【0064】
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2に係る床下用排水部材1の断面図である。この実施形態2では、外付部材を備えておらず、キャップ11が筒状部材10の一端面から突出するように形成されている点で実施形態1と異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0065】
実施形態2のキャップ11は、実施形態1のキャップ11よりも厚く形成されており、筒状部材10の一端面から軸芯X方向外方へ突出する突出部11fを有している。突出部11fの突出方向先端面(外面)11gは、仕上モルタル204から外方へ臨む面であり、略平坦に形成されている。また、突出部11fの筒状部材10からの突出寸法L4は、立ち上がり部202の外面に別途設けられる仕上モルタル204の厚みに対応している。具体的には、寸法L4と仕上モルタル204の厚みとが同じである。これにより、突出部11fの外面11gは、仕上モルタル204の外面と同一平面上に位置することになる。また、キャップ11には、実施形態1の工具係合部13dと同様な工具係合部11hが設けられている。
【0066】
実施形態2の筒状部材10の前記貫通方向の寸法L1は、立ち上がり部202の前記貫通方向の寸法に対応するように設定されている。具体的には、
図11に示す寸法L1が立ち上がり部202の厚みと同じである。
【0067】
次に、実施形態2に係る床下用排水部材1の設置方法について説明する。床下用排水部材1を底盤部201の界面201aに載置して固定した後、
図12に示すように、型枠203、203を設置する。筒状部材10の寸法L1が立ち上がり部202の厚みと同じであるため、筒状部材10の一端面には外側の型枠203の内面が当接し、筒状部材10の他端面には内側の型枠203の内面が当接する。
【0068】
次いで、
図13に示すように、基礎コンクリート200の立ち上がり部202を打設してから型枠203を取り外す。これにより、筒状部材10が立ち上がり部202に埋設される。この時点では筒状部材10の排水口10aが開放されている。
【0069】
その後、
図14に示すようにキャップ11を筒状部材10に取り付ける。次いで、仕上モルタル204を立ち上がり部202の外面に塗る。このとき、キャップ11の筒状部材10からの突出寸法が仕上モルタル204の厚みに対応しているので、仕上モルタル204をはつることなく、キャップ11の外面が仕上モルタル204から外方に臨むことになる(
図15参照)。
【0070】
したがって、実施形態2においても、実施形態1と同様に、仕上モルタル204のはつり作業を不要にすることができるとともに、仕上モルタル204の見栄えを良好にしながら、基礎コンクリート200の立ち上がり部202に床下用排水部材1を設けることができる。また、外付部材が無いので、実施形態1のものに比べて部品点数を削減できる。
【0071】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明に係る床下用排水部材は、例えば住宅等の基礎の立ち上がり部に設けることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 床下用排水部材
10 筒状部材
11 キャップ
11d キャップ側係合部
13 外付部材
13c 外付部材側係合部
200 基礎コンクリート
202 立ち上がり部
204 仕上モルタル
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎コンクリートの立ち上がり部を厚み方向に貫通するように形成され、前記立ち上がり部で囲まれた空間に溜まった水を前記立ち上がり部の外方へ排水するための筒状部材と、当該筒状部材の外方の端部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備えた床下用排水部材において、
前記筒状部材及び当該筒状部材に取り付けられた前記キャップを合わせた前記貫通方向の寸法は、前記立ち上がり部の前記貫通方向の寸法に対応するように設定されており、
前記キャップには、前記立ち上がり部の外面に別途設けられる仕上モルタルの厚みに対応する厚みを有する外付部材が着脱可能に取り付けられている床下用排水部材。
【請求項2】
請求項1に記載の床下用排水部材において、
前記キャップの外面には、キャップ側係合部が設けられ、
前記外付部材における前記キャップ側の面には、前記キャップ側係合部に係合する外付部材側係合部が設けられている床下用排水部材。
【請求項3】
請求項2に記載の床下用排水部材において、
前記キャップ側係合部は、前記キャップの外面に形成された凹部で構成され、
前記外付部材側係合部は、前記外付部材における前記キャップ側の面から突出し、かつ、前記凹部に挿入される凸部で構成されている床下用排水部材。
【請求項4】
請求項3に記載の床下用排水部材において、
前記凹部は多角形断面を有し、
前記凸部は前記凹部に嵌合する多角形断面を有している床下用排水部材。
【請求項5】
請求項4に記載の床下用排水部材において、
前記キャップは、前記筒状部材の軸芯周りの回動動作によって当該筒状部材への取り付け及び当該筒状部材からの取り外しが可能に構成され、
前記外付部材は、前記軸芯を中心とした円形状である床下用排水部材。
【請求項6】
請求項5に記載の床下用排水部材において、
前記キャップの外形状は前記外付部材の外形状と同じまたは前記外付部材の外形状よりも小さく設定されている床下用排水部材。
【請求項7】
基礎コンクリートの立ち上がり部を厚み方向に貫通するように形成され、前記立ち上がり部で囲まれた空間に溜まった水を前記立ち上がり部の外方へ排水するための筒状部材と、当該筒状部材の外方の端部に着脱可能に取り付けられるキャップとを備えた床下用排水部材において、
前記筒状部材の前記貫通方向の寸法は、前記立ち上がり部の前記貫通方向の寸法と同じに設定されており、
前記筒状部材への取り付け状態における前記キャップの前記筒状部材からの突出寸法は、前記立ち上がり部の外面に別途設けられる仕上モルタルの厚みと同じである床下用排水部材。