(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031477
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】フレキシブル基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20230302BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K1/03 670
H05K1/03 630H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136979
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】土谷 太一
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA02
5E338AA03
5E338AA12
5E338BB19
5E338BB51
5E338BB54
5E338BB61
5E338EE27
(57)【要約】
【課題】フレキシブル基板の曲げ部における断線や損傷を抑制することを目的とする。
【解決手段】フレキシブル基板100は、曲げ部4を有する基板部1と、曲げ部4の少なくとも一方の面に設けられた曲げ抑制部5と、を備え、曲げ抑制部5は、曲げ部4が曲がる方向に間隔をあけて設けられた複数の凸部51を有し、凸部51の高さhは、互いに隣接する凸部51の間隔bよりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ部を有する基板部と、
前記曲げ部の少なくとも一方の面に設けられた曲げ抑制部と、を備え、
前記曲げ抑制部は、前記曲げ部が曲がる方向に間隔をあけて設けられた複数の凸部を有し、
前記凸部の高さは、互いに隣接する前記凸部の間隔よりも大きい、フレキシブル基板。
【請求項2】
前記曲げ抑制部は、前記凸部の両側に凹部を有し、
前記凹部の幅の合計は、前記凸部の高さと円周率との積よりも大きい、請求項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項3】
前記曲げ抑制部は、前記凸部を3つ以上有する、請求項1または2に記載のフレキシブル基板。
【請求項4】
前記曲げ抑制部は、前記曲げ部の一方の面及び他方の面のそれぞれに設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項5】
前記基板部は、導体層と絶縁層が交互に積層された多層基板であり、
前記曲げ部は、前記曲げ部以外の部分よりも層数が少なくなった薄肉部を有し、
前記薄肉部に、前記曲げ抑制部が設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項6】
前記凸部は、前記曲がる方向と直交する幅方向から視た側面視で、方形である、請求項1~5のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項7】
前記凸部は、前記曲がる方向と直交する幅方向から視た側面視で、台形である、請求項1~5のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、基板部が、柔軟性を有した折曲部を介して折り曲げ自在に連設されたフレキシブル基板が開示されている。このフレキシブル基板は、基板部の幅方向両側に、折れ曲がり過ぎを防止する規制部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブル基板においては、折曲部の曲率が一定以上になると、曲げ伸ばされた外周側の材料が破断してしまうことがある。
上記従来技術の規制部は、折り重なる基板部の間隔を保つものであり、屈曲部自体の折り曲げを抑制するものではなかった。このため、屈曲部に外力が加わった場合、屈曲部において断線や損傷が生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、フレキシブル基板の曲げ部における断線や損傷を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るフレキシブル基板は、曲げ部を有する基板部と、前記曲げ部の少なくとも一方の面に設けられた曲げ抑制部と、を備え、前記曲げ抑制部は、前記曲げ部が曲がる方向に間隔をあけて設けられた複数の凸部を有し、前記凸部の高さは、互いに隣接する前記凸部の間隔よりも大きい。
【0007】
この構成によれば、曲げ抑制部が設けられた曲げ部の一方の面側を内側になるように曲率を大きくしていくと、曲げ抑制部となる凸部同士が近接していく。ここで、凸部の高さは、互いに隣接する凸部の間隔よりも大きいため、曲げ部の曲率が一定以上になると、凸部同士が互いに接触する。このように凸部同士が接触すると、曲げ部におけるそれ以上の曲げが物理的に規制される。このため、曲げ部に外力が加わった場合であっても、断線や損傷を抑制できる。
【0008】
上記フレキシブル基板において、前記曲げ抑制部は、前記凸部の両側に凹部を有し、前記凹部の幅の合計は、前記凸部の高さと円周率との積よりも大きくてもよい。
【0009】
上記フレキシブル基板において、前記曲げ抑制部は、前記凸部を3つ以上有してもよい。
【0010】
上記フレキシブル基板において、前記曲げ抑制部は、前記曲げ部の一方の面及び他方の面のそれぞれに設けられていてもよい。
【0011】
上記フレキシブル基板において、前記基板部は、導体層と絶縁層が交互に積層された多層基板であり、前記曲げ部は、前記曲げ部以外の部分よりも層数が少なくなった薄肉部を有し、前記薄肉部に、前記曲げ抑制部が設けられていてもよい。
【0012】
上記フレキシブル基板において、前記凸部は、前記曲がる方向と直交する幅方向から視た側面視で、方形であってもよい。
【0013】
上記フレキシブル基板において、前記凸部は、前記曲がる方向と直交する幅方向から視た側面視で、台形であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の一態様によれば、フレキシブル基板の曲げ部における断線や損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係るフレキシブル基板を示す断面図である。
【
図2】一実施形態に係るフレキシブル基板を軽く曲げた状態を示す図である。
【
図3】一実施形態に係るフレキシブル基板をきつく曲げた状態を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る曲げ抑制部の第1条件を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る曲げ抑制部の第2条件を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る曲げ抑制部の第3条件を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る曲げ抑制部が凸部を1つだけ有する場合を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る曲げ抑制部を備えるフレキシブル基板をアンテナボックスに収容する様子を示す図である。
【
図9】比較例として曲げ抑制部を備えない従来のフレキシブル基板をアンテナボックスに収容する様子を示す図である。
【
図10】一実施形態に係る曲げ抑制部を備えるフレキシブル基板の製造方法の一例を示す斜視図である。
【
図11】
図10に示す製造方法で製造されたフレキシブル基板を示す斜視図である。
【
図12】一実施形態に係るフレキシブル基板の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、一実施形態に係るフレキシブル基板100を示す断面図である。
図1に示すフレキシブル基板100は、曲げ部4が設けられた可撓性を有する基板部1を備えている。この基板部1は、絶縁層11と導体層12とが交互に積層された多層基板である。
【0018】
本実施形態の基板部1は、接着層20を介して積層された3層の積層体10を備えている。基板部1の中央の積層体10は、絶縁層11の両面側に導体層12を備えている。中央の積層体10を挟む上下の積層体10は、それぞれ絶縁層11の片面側(中央の積層体10と反対側の面)に導体層12を備えている。
【0019】
基板部1は、厚肉部2と、薄肉部3と、を備えている。厚肉部2は、上述した3層の積層体10によって形成されている。薄肉部3は、上述した上下の積層体10の少なくとも一部が除去されることにより、厚肉部2よりも相対的に厚みが小さくなった部分である。本実施形態では、薄肉部3において、上下の積層体10は、絶縁層11の一部と、導体層12が除去されている。
【0020】
基板部1の曲げ部4は、薄肉部3に形成されている。基板部1は、厚肉部2において4層以上の導体層12を含む多層基板であって、薄肉部3(曲げ部4)の導体層12の層数は、少なくとも2層であり、且つ、厚肉部2(非曲げ部)に比べて少ない。この基板部1は、薄肉部3(曲げ部4)を介して複数の厚肉部2(非曲げ部)が折り重ね可能に連結されている。
【0021】
曲げ部4には、曲げ抑制部5が設けられている。本実施形態の曲げ抑制部5は、曲げ部4における第1面4a、及び、第1面4aと反対側を向く第2面4bのそれぞれに設けられている。なお、曲げ抑制部5は、曲げ部4において曲がる方向が予め決まっている場合は、曲げ部4を曲げたときに内側(谷側)になる一方の面(例えば後述する
図2及び
図3に示す場合は第2面4b)にのみ設けてもよい。
【0022】
曲げ抑制部5は、曲げ部4が曲がる方向に間隔をあけて設けられた複数の凸部51を備えている。なお、曲げ部4が曲がる方向とは、曲げ部4を曲げたときに形成される谷の溝が延びる方向(
図2及び
図3の例では基板部1の幅方向)と直交する方向(
図2及び
図3の例では基板部1の長さ方向)である。複数の凸部51は、上下の積層体10の絶縁層11によって形成されている。この凸部51(絶縁層11)は、例えば、結晶ポリマーから形成されている。凸部51は、基板部1の幅方向から視た側面視で、方形に形成されている。
【0023】
本実施形態のフレキシブル基板100は、後述するアンテナボックス200(
図8参照)に収容される場合がある。このため、絶縁層11を成す樹脂の誘電正接は、1~100GHzにおいて、0.01以下であるとよい。また、曲げ部4に設けられた導体層12の一部は、グランドになっていてもよい。また、曲げ部4に設けられた導体層12の少なくとも一つは、線幅350μm以下のパターンであってもよい。
【0024】
図1に示すように、凸部51の高さhは、互いに隣接する凸部51の間隔bよりも大きくなっている。凸部51の高さhとは、曲げ部4の厚みの薄い部分から凸部51の先端までの長さである。なお、凸部51の高さhは、絶縁層11の厚みに比べて小さくてもよい。一例として、凸部51の高さhは、100μm以上、且つ、125μm以下である。つまり、凸部51の間隔bは、凸部51の高さhが100μmの場合は100μm未満、凸部51の高さhが125μmの場合は125μm未満となる。
【0025】
図2は、一実施形態に係るフレキシブル基板100を軽く曲げた状態を示す図である。
図3は、一実施形態に係るフレキシブル基板100をきつく曲げた状態を示す図である。
上記構成のフレキシブル基板100によれば、
図2に示すように、曲げ抑制部5が設けられた曲げ部4の一方の面(例えば第2面4b)側を内側になるように曲率を大きくしていくと、曲げ抑制部5の凸部51同士が近接していく。
【0026】
さらに、曲げ部4の曲率を大きくすると、
図3に示すように、凸部51同士が互いに接触する。つまり、凸部51の高さhは、互いに隣接する凸部51の間隔bよりも大きいため、曲げ部4の曲率が一定以上になると、凸部51同士が互いに接触する。このように凸部51同士が接触すると、曲げ部4におけるそれ以上の曲げが物理的に規制される。このため、曲げ部4に外力が加わった場合であっても、断線や損傷を抑制できる。
【0027】
次に、曲げ抑制部5の各種条件について、
図4~
図7を参照して説明する。なお、以下説明する各種条件のうち、
図4に示す第1条件は、必須条件であり、その他の図に示す条件は、任意条件である。
【0028】
図4は、一実施形態に係る曲げ抑制部5の第1条件を示す図である。
図4に示すように、曲げ抑制部5は、凸部51の両側に凹部52を有している。なお、
図4中の符号Lは、厚肉部2からもう一つの厚肉部2までの長さを示している。
曲げ抑制部5の第1条件は、凸部51の高さhが、凹部52の幅b
1~b
4よりも大きいというものである。凹部52の幅b
1~b
4が、仮に凸部51の高さhよりも大きいと、凸部51は、隣接する凸部51に接触しないことがある。なお、この第1条件は、凸部51とその凸部51に隣接する凹部52の個々に必要である。また、凹部52の幅b
1~b
4は、第1条件を満たしていれば、等間隔である必要はない。
【0029】
図5は、一実施形態に係る曲げ抑制部5の第2条件を示す図である。
図5に示す曲げ抑制部5の第2条件は、凹部52の幅b
1~b
4の合計は、凸部51の高さhと円周率との積よりも大きいというものである。つまり、凹部52の幅b
1~b
4の合計をBとしたとき、B>πhの関係を満たす。この第2条件を満たすことで、曲げ部4を180°折り返し、厚肉部2(多層部)を折り重ねることができる。凹部52は、円弧状に曲がるため、凹部52の幅b
1~b
4の合計は、曲げ後の円弧の長さとみなすことができる。なお、第2条件の前提として、接触による凸部51同士の変形量を無視している。また、第2条件の前提として、凸部51が反ることで生じる曲げ角度を無視している。
【0030】
図6は、一実施形態に係る曲げ抑制部5の第3条件を示す図である。
図7は、一実施形態に係る曲げ抑制部5が凸部51を1つだけ有する場合を示す図である。
図6に示す曲げ抑制部5の第3条件は、凸部51を2つ以上有するというものである。基板部1の厚肉部2(多層部)のなす角度は、凸部51は厚く曲がりにくい前提で、複数の凹部52の曲げ角度(凸部51同士が接触した状態)の合計と一致する。したがって、凸部51の数が多いほど、凸部51の間隔、つまり凹部52の1つにおける曲げ角度は小さくできる。なお、凹部52の1つにおける曲げ角度が90°を超えると、その曲げ歪に対し曲げ部4の材料が追従できなくなり、断線や損傷が生じるおそれがある。
【0031】
具体的に、凸部51が無い場合(従来の構造の場合)、凹部52は1つとなり、凹部52の1つにおける曲げ角度が90°を超える(例えば180°になる)。この場合、曲げ部4に断線や損傷が生じるおそれがある。凸部51が1つの場合、凹部52の1つにおける曲げ角度が90°以下になる。しかしながら、この場合では、接触した凸部51と厚肉部2は90度を成していて、厚肉部2同士を近づけようとする向きの外力と凸部51は垂直になって、接触部分で十分に力を受けきれない。例えば
図7において矢印で示すような外力が一定以上加わった場合には、凸部51と厚肉部2の接触がずれて、
図7のように曲げ部4が必要以上に曲がり、断線や損傷が生じてしまうおそれがある。
【0032】
一方、
図6に示すように、凸部51が2つの場合、凹部52の1つにおける曲げ角度が60°以下となる。凸部51が2つの場合、曲げ部4を曲げる力(
図7において矢印で示す向きの外力)を受けても、凸部51同士の接触がずれる可能性は少なくなる。また、凸部51が3つの場合、凹部52の1つにおける曲げ角度が45°以下となる。凸部51が3つの場合、曲げ部4を曲げる力(
図7において矢印で示す向きの外力)を受けても、凸部51同士の接触がずれる可能性はさらに少なくなる。このため、曲げ抑制部5は、凸部51を2つ以上有するとよい。
【0033】
なお、基板部1を180°折り曲げる(このとき、厚肉部2(多層部)が平行になる)ことを前提とし、上述した第1条件(凸部51間の間隔bより凸部51の高さhが大きい)を満たす場合、1つの凹部52(凸部51の間)では、約57°曲がったところで接触して曲がらなくなる場合がある。このため、基板部1を180°折り曲げるためには、凹部は4つ以上あるとよい。すなわち、曲げ抑制部5は、凸部51を3つ以上有するとよい。なお、基板部1を180°未満の角度で折り曲げる場合は、この限りではない。
【0034】
また、凸部51の幅は、曲げ後の厚肉部2(多層部)同士の隙間寸法に影響する。凸部51の幅が広い(狭い)と、曲げ後の厚肉部2同士の隙間も広(狭)くなる。
また、凹部52の幅は、凸部51同士が物理的に接触するときの曲げ角度に影響する。すなわち、凹部52の幅を調整することによって、曲げ部4の曲率を制御できる。
【0035】
図8は、一実施形態に係る曲げ抑制部5を備えるフレキシブル基板100をアンテナボックス200に収容する様子を示す図である。
図9は、比較例として曲げ抑制部5を備えない従来のフレキシブル基板100Aをアンテナボックス200に収容する様子を示す図である。
図8に示すように、折り畳んだフレキシブル基板100を手で持ってアンテナボックス200に収容する場合、手で掴まれる部分に外力が加わる。
【0036】
つまり、折り畳まれたフレキシブル基板100の隙間は、理想的には均一であるが、実際には、フレキシブル基板100の手で掴まれる部分の隙間は、手で掴まれない部分よりも狭くなる。このような場合、
図9に示す従来のフレキシブル基板100Aには、手で掴まれる部分側の曲げ部4に過剰に曲げが加わり、曲げ部4において断線や損傷が生じるおそれがある。一方、
図8に示す本実施形態のフレキシブル基板100には、曲げ抑制部5が設けられているため、手で掴まれる部分側の曲げ部4の過剰な曲げを抑制できる。また、曲げ抑制部5が設けられた曲げ部4は、外力を受けても問題ないため、アンテナボックス200から露出していても構わない。
【0037】
図10は、一実施形態に係る曲げ抑制部5を備えるフレキシブル基板100の製造方法の一例を示す斜視図である。
図11は、
図10に示す製造方法で製造されたフレキシブル基板100を示す斜視図である。
図10に示す製造方法では、中央の積層体10に貼り合わせる上下の積層体10に予め凹部52となるスリット13を形成しておく。
【0038】
次に、中央の積層体10に、スリット13を形成した上下の積層体10を貼り合わせる。そして、スリット13の両端よりも僅かに幅方向内側を通るカットラインCに沿って基板部1の幅方向両端部を切り落とす。これにより、
図11に示す凸部51及び凹部52を有する曲げ抑制部5を形成することができる。
なお、他の製造方法として、3つの積層体10を貼り合わせた後、上下の積層体10をレーザー加工やルーター加工によって、適切な幅及び深さの凹部52を形成してもよい。
【0039】
図12は、一実施形態に係るフレキシブル基板100の変形例を示す断面図である。
図12に示すフレキシブル基板100は、曲がる方向と直交する幅方向から視た側面視で台形の凸部51を有する曲げ抑制部5を備えている。この凸部51(凹部52)は、例えば、上述したレーザー加工やルーター加工によって形成することができる。なお、
図12では、凹部52が鋭角な三角形の溝になっているが、丸みを帯びていてもよい。なお、凸部51の間隔(凹部52の幅)は、方形の凸部51であれば高さ方向の中点でとればよいが、凹部52がV字溝やU字溝であれば、開口部付近(凸部51の上端部付近)でとってもよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係るフレキシブル基板100は、曲げ部4を有する基板部1と、曲げ部4の少なくとも一方の面(第2面4b)に設けられた曲げ抑制部5と、を備え、曲げ抑制部5は、曲げ部4が曲がる方向に間隔をあけて設けられた複数の凸部51を有し、凸部51の高さhは、互いに隣接する凸部51の間隔bよりも大きい。この構成によれば、曲げ抑制部5が設けられた曲げ部4の一方の面側を内側になるように曲率を大きくしていくと、曲げ抑制部5となる凸部51同士が近接していく。ここで、凸部51の高さhは、互いに隣接する凸部51の間隔bよりも大きいため、曲げ部4の曲率が一定以上になると、凸部51同士が互いに接触する。このように凸部51同士が接触すると、曲げ部4におけるそれ以上の曲げが物理的に規制される。このため、曲げ部4に外力が加わった場合であっても、断線や損傷を抑制できる。
【0041】
また、本実施形態において、曲げ抑制部5は、凸部51の両側に凹部52を有し、凹部52の幅の合計は、凸部51の高さhと円周率との積よりも大きい。この構成によれば、曲げ部4を180°折り返し、厚肉部2(多層部)を折り重ねることができる。
【0042】
また、本実施形態において、曲げ抑制部5は、凸部51を3つ以上有する。この構成によれば、基板部1を180°折り曲げることを前提として、曲げ部4に対し厚肉部2同士を閉じる方向に力が加わった場合であっても、凸部51同士の接触のずれを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態において、曲げ抑制部5は、曲げ部4の一方の面(第2面4b)及び他方の面(第1面4a)のそれぞれに設けられている。この構成によれば、曲げ部4が曲がる方向が予め決まっていない場合であっても、曲げ部4における断線や損傷を抑制できる。
【0044】
また、本実施形態において、基板部1は、絶縁層11と導体層12が交互に積層された多層基板であり、曲げ部4は、曲げ部4以外の部分よりも層数が少なくなった薄肉部3を有し、薄肉部3に、曲げ抑制部5が設けられている。この構成によれば、積層体10の一部を除去することで曲げ抑制部5を形成することができる。
【0045】
また、本実施形態において、凸部51は、
図4等に示すように、曲がる方向と直交する幅方向から視た側面視で、方形である。この構成によれば、計算・設計が容易になり、曲げ抑制部5の各種条件を設定し易くなる。
【0046】
また、本実施形態において、凸部51が、
図12に示すように、曲がる方向と直交する幅方向から視た側面視で、台形である。この構成によれば、曲げ部4が曲げられた際に、凸部51の側面同士が面で接触するため、凸部51同士の接触のずれが生じ難くなる。
【0047】
このように、上述した本実施形態によれば、フレキシブル基板100の曲げ部4における断線や損傷を抑制することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0049】
1…基板部、2…厚肉部、3…薄肉部、4…曲げ部、4a…第1面(他方の面)、4b…第2面(一方の面)、5…曲げ抑制部、10…積層体、11…絶縁層、12…導体層、13…スリット、20…接着層、51…凸部、52…凹部、100…フレキシブル基板、200…アンテナボックス、b…互いに隣接する凸部の間隔、C…カットライン