(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031482
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】太陽光パネル設置システム
(51)【国際特許分類】
H02S 20/22 20140101AFI20230302BHJP
H02S 20/32 20140101ALI20230302BHJP
H02S 20/30 20140101ALI20230302BHJP
【FI】
H02S20/22
H02S20/32
H02S20/30 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136992
(22)【出願日】2021-08-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】521081012
【氏名又は名称】株式会社リエール
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 博臣
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】保坂 新吾
(57)【要約】
【課題】複数の太陽光パネルを建築物の一の側面に近接する位置から他の側面に近接する位置に移動させることが可能な太陽光パネル設置システムの提供。
【解決手段】太陽光パネル設置システム1は、レール2と、レール2上を移動可能に設けられる支持台車3A,3B,3C,3Dと、芯柱と、巻取り機41,42とを備える。レール2は、建築物10の屋上RTに敷設されている。支持台車3A,3B,3C,3Dの一部は、レール2に載置された状態において建築物10の外側に突出する。芯柱は、4台の支持台車3A,3B,3C,3Dのうち建築物10の外側に突出した部分に支持される。巻取り機41,42は、4台の支持台車3A,3B,3C,3Dをレール2の長手方向に関して第一向き又は第二向きに移動させる。芯柱には、複数の太陽光パネル6が固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の屋上に敷設されたレールと、
前記レール上を移動可能に設けられ、前記レールに載置された状態において前記建築物の外側に一部が突出する支持台車と、
前記支持台車のうち前記建築物の外側に突出した部分に直接又は間接的に支持され、前記建築物の側面に沿って鉛直方向に延びる芯柱と、
前記レールの長手方向に関して第一向き又は前記第一向きとは反対の第二向きに前記支持台車を移動させる台車駆動部と、
を備え、
前記建築物は、第一側面と第二側面とを含み、
前記レールは、前記第一側面に沿って延在する直線状の第一部分と、前記第二側面に沿って延在する直線状の第二部分と、前記第一部分と前記第二部分とを連結するR形状のR部分とを含み、
前記台車駆動部は、
前記支持台車が前記第一部分に位置する場合には前記R部分を介して前記支持台車を前記第一部分から前記第二部分に移動させ、
前記支持台車が前記第二部分に位置する場合には前記R部分を介して前記支持台車を前記第二部分から前記第一部分に移動させ、
前記芯柱には、複数の太陽光パネルが固定されることを特徴とする太陽光パネル設置システム。
【請求項2】
前記台車駆動部は、前記支持台車が前記第一部分に位置する場合において、所定時刻になったことに応答して前記支持台車を前記第一部分から前記第二部分に移動させることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置システム。
【請求項3】
前記台車駆動部は、前記支持台車を前記第一向きに移動させる第一巻取り機と、前記支持台車を前記第二向きに移動させる第二巻取り機とを含み、
前記第一巻取り機は、前記支持台車のうち前記移動方向の一端側に接続される第一ワイヤーを巻き取って前記支持台車を前記第一向きに移動させ、
前記第二巻取り機は、前記支持台車のうち前記移動方向の他端側に接続される第二ワイヤーを巻き取って前記支持台車を前記第二向きに移動させることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置システム。
【請求項4】
前記移動方向において前記支持台車と間隙を隔てて前記レール上を移動可能に設けられる他の支持台車を含み、
前記支持台車と前記他の支持台車とは牽引用連結具によって連結され、
前記他の支持台車は、前記レールに載置された状態において前記建築物の外側に一部が突出し、
前記他の支持台車のうち前記建築物の外側に突出した部分には、前記建築物の側面に沿って鉛直方向に延びる他の芯柱が直接又は間接的に支持され、
前記他の芯柱には、複数の太陽光パネルが固定され、
前記台車駆動部は、
前記支持台車及び前記他の支持台車が前記第一部分に位置する場合には前記R部分を介して前記支持台車及び前記他の支持台車を前記第一部分から前記第二部分に移動させ、
前記支持台車及び前記他の支持台車が前記第二部分に位置する場合には前記R部分を介して前記支持台車及び前記他の支持台車を前記第二部分から前記第一部分に移動させることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル設置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネル設置システムに関し、より詳細には、一の側面に設置された複数の太陽光パネルを他の側面に移動させることが可能な太陽光パネル設置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
先般、本願の発明者は、中・高層ビルディングなどの建築物において側面(例えば、ベランダ側の側面)全体を覆うように複数の太陽光パネルを設置する太陽光パネル設置システム(特許文献1参照)を発明した。当該発明については、既に特許権(特許第6896948号)が取得されている。
【0003】
特許文献1に記載の特許発明において、太陽光パネル設置システム(1)は、梁部材(3)とベース部材(4)とワイヤー(5)と芯柱(6)と芯柱(6)に固定される従動ギア(61)と従動ギア(61)を回動させるモーター(8)とを備えている(特許文献1の
図2)。
【0004】
梁部材(3)は、建築物(10)の屋上に固定され、建築物(10)の側面から先端側が突出する。芯柱(6)は、ベース部材(4)に載置され、内部にワイヤー(5)を挿通した状態でベース部材(4)から梁部材(3)に向かって延伸する。そして、芯柱(6)には、パネル面を垂直に立てた縦置きの状態で複数の太陽光パネル(7)が鉛直方向に関して連続的に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係る特許権を取得した後、本願の発明者は、太陽の動きに応じて建築物の一の側面(例えば、南側の側面)に近接する位置から他の側面(例えば、西側の側面)に近接する位置に複数の太陽光パネル(7)を移動させることで発電効率が向上することを発見した。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の太陽光パネル設置システムにおいて、複数の太陽光パネルを建築物の一の側面に近接する位置から他の側面に近接する位置に移動させることは構造上不可能であった。
【0008】
そこで、本発明は、複数の太陽光パネルを建築物の一の側面に近接する位置から他の側面に近接する位置に移動させることが可能な太陽光パネル設置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、建築物の屋上に敷設されたレールと、前記レール上を移動可能に設けられ、前記レールに載置された状態において前記建築物の外側に一部が突出する支持台車と、前記支持台車のうち前記建築物の外側に突出した部分に直接又は間接的に支持され、前記建築物の側面に沿って鉛直方向に延びる芯柱と、前記レールの長手方向に関して第一向き又は前記第一向きとは反対の第二向きに前記支持台車を移動させる台車駆動部と、を備え、前記建築物は、第一側面と第二側面とを含み、前記レールは、前記第一側面に沿って延在する直線状の第一部分と、前記第二側面に沿って延在する直線状の第二部分と、前記第一部分と前記第二部分とを連結するR形状のR部分とを含み、前記台車駆動部は、前記支持台車が前記第一部分に位置する場合には前記R部分を介して前記支持台車を前記第一部分から前記第二部分に移動させ、前記支持台車が前記第二部分に位置する場合には前記R部分を介して前記支持台車を前記第二部分から前記第一部分に移動させ、前記芯柱には、複数の太陽光パネルが固定されることを特徴とする太陽光パネル設置システムを提供している。
【0010】
ここで、前記台車駆動部は、前記支持台車が前記第一部分に位置する場合において、所定時刻になったことに応答して前記支持台車を前記第一部分から前記第二部分に移動させるのが好ましい。
【0011】
また、前記台車駆動部は、前記支持台車を前記第一向きに移動させる第一巻取り機と、前記支持台車を前記第二向きに移動させる第二巻取り機とを含み、前記第一巻取り機は、前記支持台車のうち前記移動方向の一端側に接続される第一ワイヤーを巻き取って前記支持台車を前記第一向きに移動させ、前記第二巻取り機は、前記支持台車のうち前記移動方向の他端側に接続される第二ワイヤーを巻き取って前記支持台車を前記第二向きに移動させるのが好ましい。
【0012】
更に、前記移動方向において前記支持台車と間隙を隔てて前記レール上を移動可能に設けられる他の支持台車を含み、前記支持台車と前記他の支持台車とは牽引用連結具によって連結され、前記他の支持台車は、前記レールに載置された状態において前記建築物の外側に一部が突出し、前記他の支持台車のうち前記建築物の外側に突出した部分には、前記建築物の側面に沿って鉛直方向に延びる他の芯柱が直接又は間接的に支持され、前記他の芯柱には、複数の太陽光パネルが固定され、前記台車駆動部は、前記支持台車及び前記他の支持台車が前記第一部分に位置する場合には前記R部分を介して前記支持台車及び前記他の支持台車を前記第一部分から前記第二部分に移動させ、前記支持台車及び前記他の支持台車が前記第二部分に位置する場合には前記R部分を介して前記支持台車及び前記他の支持台車を前記第二部分から前記第一部分に移動させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の太陽光パネルが固定された芯柱が支持台車のうち建築物の外側に突出した部分に直接又は間接的に支持される。そして、支持台車が台車駆動部によってレール上を長手方向に移動する。その結果、支持台車に支持された芯柱を、建築物の第一側面に近接する位置から第二側面に近接する位置に移動させると共に、第二側面に近接する位置から第一側面に近接する位置に移動させることが可能である。すなわち、太陽光パネル設置システムによれば、複数の太陽光パネルを、建築物の一の側面に近接する位置から他の側面に近接する位置に移動させることが可能である。
【0014】
なお、本発明による太陽光パネル設置システムのように、建築物の屋上に敷設されたレール上を移動可能に設けられる支持台車及び当該支持台車を移動させる台車駆動部は、上述した特許文献1には全く記載されていない。また、複数の太陽光パネルが固定された芯柱が支持台車のうち建築物の外側に突出する部分に直接又は間接的に支持され、当該支持台車が台車駆動部によってレール上を移動することも、上述した特許文献1には全く記載されていない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】建築物の屋上に設けられた太陽光パネル設置システムを示す平面図。
【
図4】支持台車同士を連結する牽引用連結具を示す概略斜視図。
【
図5】複数の支持台車が西側に移動した状態を示す平面図。
【
図6】複数の支持台車が北側に移動した状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<1.実施形態>
本発明の実施形態による太陽光パネル設置システムについて
図1から
図6に基づいて説明する。以下では、太陽光パネル設置システムの一例として、建築物10(中・高層ビルなど)の側面に設置される太陽光パネル設置システム1(
図1参照)を例示する。
【0017】
図1に示すように、太陽光パネル設置システム1は、建築物10の屋上RTに敷設されたレール2と、4台の支持台車3A,3B,3C,3Dと、巻取り機41,42とを備えて構成される。
【0018】
図1に示すように、建築物10は、東側の側面ESと、西側の側面WSと、南側の側面SSと、北側の側面NSとを備えた中・高層ビルである。
【0019】
レール2は、建築物の屋上RTにおいて側面ES、側面WS、側面SS、側面NSに沿って環状に敷設されている。
【0020】
図3に示すように、レール2は、直線部21と、カーブ部21Rと、直線部22と、カーブ部22Rと、直線部23と、カーブ部23Rと、直線部24とを有している。
【0021】
直線部21は、南側の側面SSに沿って延在する直線状の領域であり、本発明に係る第一部分の一例である。
【0022】
直線部22は、西側の側面WSに沿って延在する直線状の領域であり、本発明に係る第二部分の一例である。
【0023】
カーブ部21Rは、直線部21と直線部22とを連結するR形状の領域であり、本発明に係るR部分の一例である。
【0024】
また、直線部23は北側の側面NSに沿って延在する直線状の領域であり、直線部24は東側の側面ESに沿って延在する直線状の領域である。カーブ部23Rは、直線部23と直線部24とを連結するR形状の領域である。
【0025】
レール2には、4台の支持台車3A,3B,3C,3Dが移動可能に載置される。4台の支持台車3A,3B,3C,3Dは、移動方向(レール2の長手方向)において互いに間隙を隔てた状態でレール2に載置されている。
【0026】
なお、以下では、説明の便宜上、支持台車3Aを先頭車、支持台車3Dを最後尾車として定義する。
【0027】
図1に示すように、支持台車3Aの一部は、建築物10の側面SSから外側(南側)に突出している。同様に、支持台車3Bの一部、支持台車3Cの一部、支持台車3Dの一部も、建築物10の側面SSから外側(南側)に突出している。
【0028】
図2に示すように、支持台車3Aのうち建築物10の側面SSから外側に突出した部分には、南側の側面SS(
図1参照)に沿って鉛直方向に延びる芯柱5の上端が接続されている。芯柱5には、複数の太陽光パネル6が鉛直方向に所定の間隔で配設されている。なお、複数の太陽光パネル6は、いずれも、上端側を軸として回動可能に構成されている(
図2の破線参照)。
【0029】
なお、図示を省略するが、支持台車3B,3C,3Dのうち建築物10の側面SSから外側に突出した部分も同様の構成になっている。
【0030】
また、
図1に示すように、支持台車3A及び支持台車3Bは、牽引用連結具31Aによって連結されている。同様に、支持台車3B及び支持台車3Cは牽引用連結具31Bによって連結され、支持台車3C及び支持台車3Dは牽引用連結具31Cによって連結されている。
【0031】
図4に示すように、牽引用連結具31Aは、円柱部材311Aと、U字部材312Aと、連結プレート313Aと、回動軸314Aとを備えて構成される。
【0032】
円柱部材311Aは、先頭車である支持台車3Aの後端側において長手方向が鉛直方向と一致するように設けられている。
【0033】
U字部材312Aは、連結プレート313Aの前端に固定される部材である。支持台車3A及び支持台車3Bの連結時において、U字部材312AのU字内側には、円柱部材311Aが挿通する。
【0034】
連結プレート313Aは、支持台車3Aの後端側と支持台車3Bの前端側とを繋ぐ板状の部材である。
【0035】
回動軸314Aは、支持台車3Bの前端に設けられ、連結プレート313Aを上下方向に回動させるための軸として機能する。
【0036】
図4に示す状態において、回動軸314Aを軸として連結プレート313Aを上方に持ち上げると、U字部材312Aを円柱部材311Aから取り外すことができる。これにより、支持台車3Aと支持台車3Bとの連結が解除される。
【0037】
なお、牽引用連結具31B,31Cは、上記で説明した牽引用連結具31Aと全く同じ構成である。よって、牽引用連結具31B,31Cについては説明を省略する。
【0038】
牽引用連結具31A,31B,31Cを用いることで、4台の支持台車3A~3Dが連結した状態のままでカーブ部21R,22R,23Rを曲がることができる。
【0039】
再度
図1を参照し、巻取り機41,42について説明する。巻取り機41,42は、本発明に係る台車駆動部の一例であり、4台の支持台車3A,3B,3C,3Dを一体的に移動させるための装置である。
【0040】
巻取り機41は、ワイヤー41Wを巻き取る装置である。巻取り機41は、ワイヤー41Wをレール2に沿って反時計回りに送り出す一方、レール2に沿って時計周りに巻き取ることが可能である。なお、ワイヤー41Wの先端は、先頭車である支持台車3Aの先端30Aに接続されている。
【0041】
巻取り機42は、ワイヤー42Wを巻き取る装置である。巻取り機42は、ワイヤー42Wをレール2に沿って時計回りに送り出す一方、レール2に沿って反時計周りに巻き取ることが可能である。なお、ワイヤー42Wの先端は、最後尾車である支持台車3Dの後端30Dに接続されている。
【0042】
例えば、
図1に示すように、4台の支持台車3A~3Dがレール2の直線部21(
図2)に位置する場合に、巻取り機41によるワイヤー41Wの巻取りを実行すると、4台の支持台車3A~3Dがレール2上を時計回りに移動し始める。その際、巻取り機42は、ワイヤー42Wを時計周りに送り出す。
【0043】
そして、4台の支持台車3A~3Dは、レール2のカーブ部21R(
図2)を介してレール2の直線部22(
図2)に移動し、
図5に示す状態となる。
図5に示すように、4台の支持台車3A~3Dが直線部22(
図2)に移動すると、4台の支持台車3A~3Dに支持された4本の芯柱5(及びそれに固定された複数の太陽光パネル6)は、西側の側面WSに近接する位置に移動する。
【0044】
図5に示す状態において、巻取り機41によってワイヤー41Wが更に巻き取られると、4台の支持台車3A~3Dは、レール2のカーブ部22R(
図2)を介してレール2の直線部23(
図2)に移動し、
図6に示す状態となる。
【0045】
4台の支持台車3A~3Dが直線部23(
図2)に移動すると、4台の支持台車3A~3Dに支持された4本の芯柱5(及びそれに固定された複数の太陽光パネル6)が北側の側面NSに近接する位置に移動する。
【0046】
一方、
図6に示すように、4台の支持台車3A~3Dがレール2の直線部23(
図2)に位置する場合に、巻取り機42によるワイヤー42Wの巻取りを実行すると、4台の支持台車3A~3Dがレール2上を反時計回りに移動し始める。その際、巻取り機41は、ワイヤー41Wを反時計周りに送り出す。
【0047】
そして、4台の支持台車3A~3Dは、レール2のカーブ部22R(
図2)を介してレール2の直線部22(
図2)に移動し、
図5に示す状態となる。4台の支持台車3A~3Dが直線部22(
図2)に移動すると、4台の支持台車3A~3Dに支持された4本の芯柱5(及びそれに固定された複数の太陽光パネル6)が西側の側面WSに近接する位置に移動する。
【0048】
図5に示す状態において、巻取り機42によってワイヤー42Wが更に巻き取られると、4台の支持台車3A~3Dは、レール2のカーブ部21R(
図2)を介してレール2の直線部21(
図2)に移動し、
図1に示す状態となる。
【0049】
4台の支持台車3A~3Dが直線部21(
図2)に移動すると、4台の支持台車3A~3Dに支持された4本の芯柱5(及びそれに固定された複数の太陽光パネル6)が南側の側面SSに近接する位置に移動する。
【0050】
なお、巻取り機41,42による巻取り又は送り出しは、太陽の動きに応じて制御するようにすればよい。例えば、複数の太陽光パネル6を西側の側面WSに配置した場合の発電量が複数の太陽光パネル6を南側の側面SSに配置した場合の発電よりも高くなるタイミング(時刻)を事前に特定する。そして、当該時刻に、4台の支持台車3A~3Dがレール2の直線部21から直線部22に移動するように、巻取り機41,42を制御するようにすればよい。他の側面に移動させる場合も同様である。
【0051】
上述した実施形態によれば、複数の太陽光パネル6が固定された芯柱5が4台の支持台車3A~3Dのうち建築物10の外側に突出した部分に支持されている。そして、4台の支持台車3A~3Dが巻取り機41,42によってレール2上を長手方向に移動する。
【0052】
その結果、4台の支持台車3A~3Dに支持された4本の芯柱5を、建築物10の南側の側面SSに近接する位置と、西側の側面WSに近接する位置と、北側の側面NSに近接する位置と、東側の側面ESに近接する位置とのいずれかに移動させることが可能である。すなわち、太陽光パネル設置システム1によれば、複数の太陽光パネル6を、建築物10の南側の側面SSに近接する位置と、西側の側面WSに近接する位置と、北側の側面NSに近接する位置と、東側の側面ESに近接する位置とのいずれかに移動させることが可能である。
【0053】
また、上述した実施形態によれば、支持台車3A及び支持台車3Bが牽引用連結具31Aによって連結されている。同様に、支持台車3B及び支持台車3Cは牽引用連結具31Bによって連結され、支持台車3C及び支持台車3Dは牽引用連結具31Cによって連結されている。そのため、レール2上に複数(4台)の支持台車3A~3Dを移動可能に設置することが可能である。
【0054】
<2.変形例>
本発明による太陽光パネル設置システムは上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0055】
例えば、上述した実施形態では、
図2に示すように、支持台車3Aのうち建築物10の外側に突出した部分に芯柱5の上端が接続されている場合を例示したが、これに限定されない。特許文献1に記載の太陽光パネル設置システムのように、ベース部材と、ワイヤーと、芯柱と、当該芯柱に固定される従動ギアと、当該従動ギアを回動させるモーターとを備えるようにしてもよい。
【0056】
具体的には、支持台車3Aのうち建築物10の外側に突出した部分(
図2)の下側に特許文献1に記載の支持プレートを設け、当該支持プレートにワイヤーの上端側が固定されるようにすればよい。そして、芯柱が、ベース部材に載置され、内部にワイヤーを挿通した状態でベース部材から支持プレートに向かって延伸するようにすればよい。すなわち、芯柱が支持台車3Aに間接的に支持されるようにしてもよい。
【0057】
かかる変形例によれば、特許文献1と同様に、鉛直方向を軸として芯柱を回動させることが可能である。
【0058】
また、上述した実施形態では、本発明に係る台車駆動部の一例として巻取り機41,42を例示したが、これに限定されない。例えば、先頭車の支持台車3A及び最後尾車の支持台車3Dをバッテリー式のモーター自走車として構成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように本発明による太陽光パネル設置システムは、比較的階数の多い中・高層マンションにおいて太陽光パネルを設置するのに適している。
【符号の説明】
【0060】
1 太陽光パネル設置システム
2 レール
3A,3B,3C,3D 支持台車
5 芯柱
6 太陽光パネル
10 建築物
21,22,23,24 直線部
21R,22R,23R カーブ部
31A,31B,31C 牽引用連結具
41,42 巻取り機
41W,42W ワイヤー
311A 円柱部材
312A U字部材
313A 連結プレート
314A 回動軸
ES 東側の側面
NS 北側の側面
RT 屋上
SS 南側の側面
WS 西側の側面