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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031519
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】車両ボディ埋め込み型アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20230302BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20230302BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B60R11/02 A
H01Q1/22 B
H01Q1/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137049
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000165848
【氏名又は名称】原田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】石田 淳
(72)【発明者】
【氏名】岩田 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】上野 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】坂野 猛
【テーマコード(参考)】
3D020
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
3D020BA13
3D020BB01
3D020BC18
3D020BD01
3D020BD02
3D020BD05
5J046AA09
5J046AB06
5J046MA09
5J047AA09
5J047AB06
5J047EB01
(57)【要約】
【課題】車両の金属ボディを凹ませたところに埋め込むことが可能な車両ボディ埋め込み型アンテナ装置を提供する。
【解決手段】車両ボディ埋め込み型アンテナ装置は、板状アンテナエレメント10と、回路基板20と、固定導通部30とからなる。板状アンテナエレメント10は、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位で金属ボディ面に略平行に配置される。回路基板20は、バスタブ形状部1の内部で、上面視で板状アンテナエレメント10と重ならないように配置され、板状アンテナエレメント10が接続される給電部21を有する。固定導通部30は、回路基板20に電気的に導通すると共にバスタブ形状部1にも電気的に導通し、バスタブ形状部1の底部の取付孔2を介してバスタブ形状部1の底部に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の金属ボディを金属ボディ面から凹ませてなり底部に取付孔を有するバスタブ形状部に埋め込む車両ボディ埋め込み型アンテナ装置であって、該車両ボディ埋め込み型アンテナ装置は、
バスタブ形状部の内部で配置可能な最上位で金属ボディ面に略平行に配置される平面板状部を有する板状アンテナエレメントと、
バスタブ形状部の内部で、上面視で板状アンテナエレメントと重ならないように配置され、板状アンテナエレメントが接続される給電部を有する回路基板と、
前記回路基板に電気的に導通すると共にバスタブ形状部にも電気的に導通する固定導通部であって、バスタブ形状部の底部の取付孔を介してバスタブ形状部の底部に固定される、固定導通部と、
を具備することを特徴とする車両ボディ埋め込み型アンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置において、バスタブ形状部の底部は、深部と浅部の2つの深さを有し、
前記板状アンテナエレメントは、上面視で深部内に配置され、
前記回路基板は、上面視で浅部内に配置される、
ことを特徴とする車両ボディ埋め込み型アンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置であって、さらに、信号送受信用コネクタを具備し、該信号送受信用コネクタは、バスタブ形状部の浅部の裏面側に配置されることを特徴とする車両ボディ埋め込み型アンテナ装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置において、前記固定導通部は、回路基板の直下に配置され回路基板のグラウンドに電気的に導通するグラウンドベースと、バスタブ形状部の底部の取付孔を介してグラウンドベースに固定されバスタブ形状部に電気的に導通するキャプチャとを有することを特徴とする車両ボディ埋め込み型アンテナ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置であって、さらに、前記回路基板上に配置されるオングラウンドタイプアンテナエレメントを具備することを特徴とする車両ボディ埋め込み型アンテナ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置において、前記オングラウンドタイプアンテナエレメントは、バスタブ形状部の内部で配置可能な最上位に配置されることを特徴とする車両ボディ埋め込み型アンテナ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置であって、さらに、防水ケースを具備し、前記回路基板は、防水ケースにより覆われることを特徴とする車両ボディ埋め込み型アンテナ装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れかに記載の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置であって、さらに、バスタブ形状部の底部から板状アンテナエレメントの下面を支持する絶縁性基部を具備することを特徴とする車両ボディ埋め込み型アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ボディ埋め込み型アンテナ装置に関し、特に、車両のルーフ等の金属ボディ面内に埋め込まれる車両ボディ埋め込み型アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される複数の周波数帯に対応するアンテナ装置、例えば、AM/FM帯に対応するアンテナ装置には、ピラーアンテナやルーフマウントアンテナ、ガラスアンテナ等、種々のものが存在する。しかしながら、突出量の多いピラーアンテナは、接触等により折れ曲がる可能性が高いものである。また、ルーフマウントアンテナは、地上高が高くなるため立体駐車場や自動洗車機等において倒したり取り外したりする必要がある。そして、ガラスアンテナは車種毎に固有の開発が必要となり開発コスト等が高くなるといった問題もある。
【0003】
そして、近来では車両のデザイン性も重視されてきており、車両に搭載されるアンテナ装置は極力車両の美観を損ねないようなものが求められている。そこで、外観を損ねないようにスポイラに内蔵するアンテナ装置も種々開発されている(例えば特許文献1や特許文献2)。
【0004】
このようなスポイラ内蔵型アンテナ装置は、水平偏波特性は良好なものの、垂直偏波特性は優れたものではなかった。また、スポイラ内蔵型アンテナ装置は、金属ボディから離れたところに配置されるため、車両内部の電装品から放射されるノイズの対策も必要となっていた。
【0005】
そこで、水平・垂直偏波特性を改善しつつ車両のボディに埋め込むことが可能な車両ボディ埋め込み型アンテナ装置も開発されている(特許文献3)。これは、車両のボディ開口部内に配置される接地型のアンテナエレメントを有するものであり、給電部を有する回路基板が車両のピラーに直接接地される接地用ブラケットを用いたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-216661号公報
【特許文献2】特開2016-012915号公報
【特許文献3】特開2019-071548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置の場合、車両ボディ開口部に配置されるものであり、車両ボディをアンテナエレメントに合わせてくり抜く必要があるため、車両メーカによってはくり抜くことに積極的でない場合もあった。また車両内部の電装品から放射されるノイズの対策が必要な場合もあった。
【0008】
このため、車両ボディをくり抜く必要がなく、車両内部の電装品から放射されるノイズ対策も不要な車両ボディ埋め込み型アンテナの開発が望まれていた。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、車両の金属ボディを凹ませたところに埋め込むことが可能な車両ボディ埋め込み型アンテナ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による車両ボディ埋め込み型アンテナ装置は、バスタブ形状部の内部で配置可能な最上位で金属ボディ面に略平行に配置される平面板状部を有する板状アンテナエレメントと、バスタブ形状部の内部で、上面視で板状アンテナエレメントと重ならないように配置され、板状アンテナエレメントが接続される給電部を有する回路基板と、回路基板に電気的に導通すると共にバスタブ形状部にも電気的に導通する固定導通部であって、バスタブ形状部の底部の取付孔を介してバスタブ形状部の底部に固定される、固定導通部と、を具備するものである。
【0011】
ここで、バスタブ形状部の底部は、深部と浅部の2つの深さを有し、板状アンテナエレメントは、上面視で深部内に配置され、回路基板は、上面視で浅部内に配置される、ものであっても良い。
【0012】
さらに、信号送受信用コネクタを具備し、該信号送受信用コネクタは、バスタブ形状部の浅部の裏面側に配置されるものであれば良い。
【0013】
また、固定導通部は、回路基板の直下に配置され回路基板のグラウンドに電気的に導通するグラウンドベースと、バスタブ形状部の底部の取付孔を介してグラウンドベースに固定されバスタブ形状部に電気的に導通するキャプチャとを有するものであれば良い。
【0014】
さらに、回路基板上に配置されるオングラウンドタイプアンテナエレメントを具備するものであっても良い。
【0015】
また、オングラウンドタイプアンテナエレメントは、バスタブ形状部の内部で配置可能な最上位に配置されれば良い。
【0016】
さらに、防水ケースを具備し、回路基板は、防水ケースにより覆われても良い。
【0017】
さらに、バスタブ形状部の底部から板状アンテナエレメントの下面を支持する絶縁性基部を具備するものであっても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置には、車両の金属ボディを凹ませたところに埋め込んでもアンテナ性能の劣化を抑えることが可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置を説明するための概略斜視図である。
図2図2は、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置を説明するための概略側断面図である。
図3図3は、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置の他の例を説明するための概略斜視図である。
図4図4は、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置の他の例を説明するための概略側断面図である。
図5図5は、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置のさらに他の例を説明するための概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置を説明するための概略斜視図である。また、図2は、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置を説明するための概略側断面図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置は、車両の金属ボディを金属ボディ面から凹ませたところに埋め込むものである。本明細書中では、この凹ませたところをバスタブ形状部1と称する。車両の金属ボディは、例えばルーフやボンネット等であれば良い。また、車両のフレーム等の金属構造体であっても凹ませることが可能なものであれば良い。バスタブ形状部1は、車両の金属ボディを例えば絞り加工等の金属プレス加工により金属ボディ面から凹ませてなるものである。バスタブ形状部1は、その底部に取付孔2を有していれば良い。取付孔2は、車両ボディ埋め込み型アンテナ装置を固定すると共に、信号送受信用のケーブル等を挿通するために用いられる。バスタブ形状部1は、例えばルーフの一部を車両ボディ埋め込み型アンテナ装置の大きさに合わせて長方形状に凹ませたものであっても良いし、ルーフに設けられるビードやルーフレインフォースを適宜用いても良い。
【0021】
図示の通り、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置は、板状アンテナエレメント10と、回路基板20と、固定導通部30と、から主に構成されている。これらの構成要素が車両ボディのバスタブ形状部1に埋め込まれ、最終的には目隠しカバーやガラスカバー等のカバー3で覆われ、隠蔽アンテナ(インビジブルアンテナ)となる。
【0022】
板状アンテナエレメント10は、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位で金属ボディ面に略平行に配置される。バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位に板状アンテナエレメント10を配置可能なように、板状アンテナエレメント10は剥き出しの状態で、例えばルーフ面と面一となるように配置される。なお、図示のようにカバー3がはめ込み式の場合には、カバー3の厚み分だけルーフ面から下がることになる。バスタブ形状部1は、金属ボディを加工したものであるため、金属板からなるものである。したがって、板状アンテナエレメント10とバスタブ形状部1の底部とが近い場合には、板状アンテナエレメント10の平面板状部とバスタブ形状部1の底部とが容量結合してしまい、信号受信性能が劣化してしまう。このため、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置では、板状アンテナエレメント10を、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位に配置してる。このように、十分な信号受信性能が得られる程度にバスタブ形状部1の底部から離して配置している。逆にいえば、バスタブ形状部1の深さは、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位に板状アンテナエレメント10を配置した場合に十分な信号受信性能が得られる程度の深さであれば良い。なお、図示例では、板状アンテナエレメント10は、上面視でバスタブ形状部1の略中央に配置されている。これは、バスタブ形状部1の側壁も金属であるため、側壁との容量結合の影響がない程度に離すためである。
【0023】
板状アンテナエレメント10は、例えば、車両のルーフ面に略平行な平面板状部を有するものであれば良い。板状アンテナエレメント10は、平面形状を有する接地型アンテナであり、例えばモノポールアンテナのように機能すれば良い。例えば板状アンテナエレメント10は、ラジオのAM帯等に対応する容量アンテナとして機能するようなアンテナ容量を有する。本発明の板状アンテナエレメント10は、容量アンテナとして機能するように、平面板状部がAM帯を受信可能な程度のアンテナ容量を有するようにその面積が決定されれば良い。板状アンテナエレメント10は、例えば金属板を加工することにより形成されれば良い。即ち、金属板をカットすることで、例えば長方形状の平面板状部が形成されれば良い。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば板状アンテナエレメント10をプリント基板又はフレキシブルプリント基板の導体箔を加工することにより形成しても良い。さらに、板状アンテナエレメント10の平面板状部は、AM帯に対応する容量アンテナとして機能するようなアンテナ容量を有するものであれば良いため、平面板状部と略等価なアンテナ容量を有するように構成されたメアンダ状のエレメントであっても良い。また、板状アンテナエレメント10には、給電線11が設けられている。給電線11は、例えば平面板状部の端部を折り曲げ加工等してピン状に形成されれば良い。
【0024】
さらに、板状アンテナエレメント10は、その平面板状部がバスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位で金属ボディ面に略平行に配置されれば良いため、エレメント長やアンテナ容量を増やすために、平面板状部からさらに折り曲げ加工等により下方等に延在する部位があっても良い。また、板状アンテナエレメント10は、図示例では1つの板状アンテナエレメントを示したが、本発明はこれに限定されず、他の周波数帯用の板状アンテナエレメントを複数配置しても良い。この場合でも、他の周波数帯用の板状アンテナエレメントの平面板状部が、バスタブ形状部の内部で配置可能な最上位で金属ボディ面に略平行に配置されれば良い。
【0025】
回路基板20は、バスタブ形状部1の内部で、上面視で板状アンテナエレメント10と重ならないように配置される。即ち回路基板20の上部に板状アンテナエレメント10が被さらないように配置されている。なお、給電線11近傍が回路基板20上に若干被る程度は許容される。また、回路基板20は、板状アンテナエレメント10が接続される給電部21を有する。即ち、板状アンテナエレメント10の給電線11が、給電部21に接続されている。回路基板20は、例えば一般的なプリント基板であれば良い。回路基板20には、コイルや、アンプ回路等が載置される。また、回路基板20には、車内に設けられるチューナ等に接続される信号ケーブルが電気的に接続される。回路基板20のグラウンドを安定させるためには、金属ボディの近くに回路基板20を配置するのが好ましい。即ち、回路基板20は、バスタブ形状部1の底部近傍に配置されることが好ましい。
【0026】
固定導通部30は、回路基板20に電気的に導通すると共にバスタブ形状部1にも電気的に導通するものである。そして、固定導通部30は、バスタブ形状部1の底部の取付孔2を介してバスタブ形状部1の底部に固定されるものである。即ち、固定導通部30を介して、回路基板20とアンテナエレメントのグラウンドとなるバスタブ形状部1(金属ボディ)が電気的に導通することになる。また、固定導通部30は取付孔2を介してバスタブ形状部1の底部に固定されるため、固定導通部30に回路基板20が固定されれば、車両ボディ埋め込み型アンテナ装置が車両ボディに固定されることになる。固定導通部30は、具体的には、例えばグラウンドベース31と、キャプチャ32とからなるものであれば良い。グラウンドベース31は、回路基板20の直下に配置され回路基板20のグラウンドに電気的に導通するものである。キャプチャ32は、バスタブ形状部1の底部の取付孔2を介してグラウンドベース31に固定されバスタブ形状部1に電気的に導通するものである。キャプチャ32は、ボルト33を用いてグラウンドベース31に締結固定される。グラウンドベース31には、ボルト33が締結されるねじボスが設けられており、ねじボスがバスタブ形状部1の底部の取付孔2に位置合わせされている。キャプチャ32は、例えば脚付きワッシャ構造を有しており、脚の先端の爪がバスタブ形状部1の底部に食い込むことで、金属ボディに電気的に導通するように構成される。なお、グラウンドベースは、樹脂ベースとしても良い。樹脂ベースの場合であっても、回路基板20のグラウンドに電気的に導通するように構成される固定導通部を用いれば良い。また、単に、回路基板20と歯付きワッシャ等で金属ボディを挟むようにしてボルトとナットで固定するように構成されても良い。
【0027】
本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置では、このようにバスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位に板状アンテナエレメント10を配置することで、板状アンテナエレメント10の信号受信性能の劣化を抑えることが可能となる。さらに、バスタブ形状部1の内部に配置されるため、車両内部の電装品から放射されるノイズも遮蔽されるので、別途ノイズ対策等を行う必要もない。
【0028】
次に、図3及び図4を用いて本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置の他の例について説明する。図3は、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置の他の例を説明するための概略斜視図である。また、図4は、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置の他の例を説明するための概略側断面図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。この例は、バスタブ形状部1の底部が、深部1aと浅部1bの2つの深さを有しているものに埋め込む車両ボディ埋め込み型アンテナ装置の例である。図示の通り、バスタブ形状部1は、底部が深い深部1aと、浅い浅部1bとを有するように加工されている。このように2つの深さを有するバスタブ形状部1も、上述と同様に、車両の金属ボディを例えば絞り加工等の金属プレス加工により金属ボディ面から凹ませて形成されれば良い。また、底部の取付孔2は、浅部1bの底部に設けられれば良い。
【0029】
そして、板状アンテナエレメント10は、上面視で深部1a内に配置されている。この例でも、板状アンテナエレメント10は、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位で金属ボディ面に略平行に配置される。即ち、深部1aの底部から離し、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位に配置してる。これにより、板状アンテナエレメント10の信号受信性能の劣化を最小限に抑えることが可能となる。
【0030】
一方、回路基板20は、上面視で浅部1b内に配置されれば良い。回路基板20については、グラウンドとなる車両の金属ボディに近いほうが好ましいため、バスタブ形状部1の浅部1b内に配置されれば良い。
【0031】
図示の通り、バスタブ形状部1の底部が深部1aと浅部1bの2段構造となっていると、浅部1bの裏面側(車両室内側)の空間が空くことになる。そこで、図示例の本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置では、信号送受信用コネクタ40を、バスタブ形状部1の浅部1bの裏面側に配置している。このように、浅部1bの裏面側に信号送受信用コネクタ40を配置することで、信号送受信用コネクタ40の分の高さを車両室内側に突出させることなく、バスタブ形状部1を含め全体的な厚さを抑えることが可能となる。なお、信号送受信用コネクタ40は、所謂ピッグテールタイプのものであっても勿論良い。
【0032】
また、図示の通り、固定導通部30についても、キャプチャ32を浅部1bの裏面側に配置することが可能となる。したがって、固定導通部30も車両室内側に突出せず、この点においてもバスタブ形状部1を含め全体的な厚さを抑えることが可能となる。
【0033】
ここで、図示例の回路基板20上には、オングラウンドタイプアンテナエレメント50が配置されている例を示した。オングラウンドタイプアンテナエレメント50は、回路基板や金属ボディ等のグラウンド上に載置可能なアンテナエレメントである。より具体的には、GNSS(Global Navigation Satellite System)や衛星デジタルラジオ用等のパッチアンテナエレメントや、WiFi用等の逆Fアンテナエレメント、V2X(Vehicle-to-Everything)用等の高周波帯向けのモノポールアンテナエレメント等である。このようなオングラウンドタイプアンテナエレメント50が適宜回路基板20上に配置されても良い。
【0034】
例えば回路基板20上にオングラウンドタイプアンテナエレメントが配置される場合、オングラウンドタイプアンテナエレメントは、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位に配置されることが好ましい。これは、例えばオングラウンドタイプアンテナエレメントとしてパッチアンテナエレメントを用いた場合、その指向性の内側に金属体が入ると受信性能に影響を及ぼすためである。具体的には、パッチアンテナエレメントの水平面から30度の角度より内側に金属体があると受信性能に影響を及ぼし得る。ここで、金属体には、バスタブ形状部1の側壁や、板状アンテナエレメント10も当然に含まれる。即ち、低い位置にパッチアンテナエレメントが配置されると、バスタブ形状部1の側壁や板状アンテナエレメント10が指向性の内側に入ってしまう可能性がある。したがって、これらの金属体が指向性の内側に入らない程度に、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位に配置されれば良い。
【0035】
なお、バスタブ形状部1の側壁の高さは、車両の進行方向の前後で異なるものであっても良い。例えばバスタブ形状部1が車両のルーフの後ろ側に配置される場合には、進行方向前方側の側壁よりも進行方向後方側の側壁のほうが低くなるのが一般的である。この場合、回路基板20上に配置される例えばV2X用アンテナエレメントは、より側壁の影響の少ない、側壁が低い側に配置されることで受信性能が良好となる。
【0036】
さらに、図5を用いて本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置のさらに他の例について説明する。図5は、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置のさらに他の例を説明するための概略側断面図である。図中、図4と同一の符号を付した部分は同一物を表している。この例も、バスタブ形状部1の底部が、深部1aと浅部1bの2つの深さを有しているものに埋め込む車両ボディ埋め込み型アンテナ装置の例である。本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置は、バスタブ形状部1に埋め込まれた後、最終的には目隠しカバーやガラスカバー等のカバー3で覆われる。この際に、完全に防水・防塵されれば問題ないが、カバー3と金属ボディとの間の隙間から浸水する可能性もある。
【0037】
そこで、図5に示される例は、防水ケース60を用いたものである。但し、板状アンテナエレメント10自体は剥き出しであっても問題ないため、回路基板20のみを防水ケース60により覆っている。回路基板20には、アンプ回路等が載置されるため防水処理を施すことが好ましい。防水ケース60は、回路基板20の全体を覆うように構成されれば良い。また、固定導通部30にグラウンドベース31を用いる場合には、グラウンドベース31も含め全体を覆うように構成されれば良い。そして、防水ケース60のボルト33が締結されるねじボスに対応する位置に開孔が設けられ、その周辺部分を適宜パッキン等で防水・防塵すれば良い。
【0038】
図示の通り、この例では板状アンテナエレメント10に対しては防水ケース60で覆っていない。仮に防水ケース60で板状アンテナエレメント10を覆ってしまうと、防水ケース60の上面側の厚み分、板状アンテナエレメント10をバスタブ形状部1の底部に近付けることになってしまう。したがって、剥き出しであっても問題のない板状アンテナエレメント10については防水ケース60で覆わず、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位に配置している。なお、バスタブ形状部1の深さが十分な場合には、板状アンテナエレメントを適宜防水ケースで覆っても良い。
【0039】
また、防水ケース60には、板状アンテナエレメント10が接続される給電部21が適宜インサート成形されれば良い。給電部21が防水ケース60の外に露出するように構成されることで、防水性能を保ったまま、板状アンテナエレメント10の給電線11を回路基板20に接続することが可能となる。
【0040】
さらに、板状アンテナエレメント10を、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位に固定するために、適宜基部を設けても良い。図5では、バスタブ形状部1の底部から板状アンテナエレメント10の下面を支持する絶縁性基部70を用いるものを示した。絶縁性基部70は、板状アンテナエレメント10を下面から支持するものであり、上面には何ら影響を及ぼさない。即ち、絶縁性基部70を用いたとしても、バスタブ形状部1の内部で配置可能な最上位に板状アンテナエレメント10を配置可能である。
【0041】
ここで、防水ケース60及び絶縁性基部70は共に樹脂等で構成可能であるため、一体的に構成しても良い。防水ケース60の下面側と絶縁性基部70を同一ピースで構成し、別体で構成した上面側の防水ケース60を用いて回路基板20に蓋をするように構成すれば良い。
【0042】
このように、図示例の本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置は、回路基板20側の防水エリアと、板状アンテナエレメント10側の非防水エリアに分けて構成することが可能である。
【0043】
また、絶縁性基部70の裏面側は、バスタブ形状部1に直接触れると振動等により音が出る可能性があるため、適宜クッション材等を介在させれば良い。
【0044】
なお、本発明の車両ボディ埋め込み型アンテナ装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
1 バスタブ形状部
1a 深部
1b 浅部
2 取付孔
3 カバー
10 板状アンテナエレメント
11 給電線
20 回路基板
21 給電部
30 固定導通部
31 グラウンドベース
32 キャプチャ
33 ボルト
40 信号送受信用コネクタ
50 オングラウンドタイプアンテナエレメント
60 防水ケース
70 絶縁性基部
図1
図2
図3
図4
図5