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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031524
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ワイパ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/04 20060101AFI20230302BHJP
   B60S 1/24 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B60S1/04 820
B60S1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137054
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】為谷 秀紀
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AB01
3D225AC01
3D225AD02
3D225AE03
3D225AE04
3D225AE05
3D225AE21
3D225AE66
(57)【要約】
【課題】短時間で精度よく保持部材を組み付けすることが可能なワイパ装置を提供する。
【解決手段】ワイパアームが連結される第1のピボット軸及び第2のピボット軸2bと、第1のピボット軸を回転駆動させる駆動部と、第2のピボット軸と駆動部とに連結され、2つのピボット軸を同期して回転駆動させる連結部と、車体に各前ボット軸を固定するための第1の保持部材及び第2の保持部材12bと、を備える。第2の保持部材12bは、第2のピボット軸2bを回転自在に支持する本体部20と、本体部20から突出される3つの支持部21,22,23と、を備える。3つの支持部21,22,23のうちの第1の支持部22及び第3の支持部23は、ボルト105を介して固定される被固定部30と、被固定部30に設けられ、車体に係合される係合ピン38と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々ワイパアームが連結される2つのピボット軸と、
前記2つのピボット軸のうちの第1のピボット軸を回転駆動させる駆動部と、
前記2つのピボット軸のうちの第2のピボット軸と前記駆動部とに連結され、前記2つのピボット軸を同期して回転駆動させる連結部と、
車体に各前記ピボット軸を固定するための2つの保持部材と、
を備え、
前記2つの保持部材のうちの少なくともいずれか一方は、
前記ピボット軸を回転自在に支持する本体部と、
前記本体部から突出される複数の支持部と、
を備え、
前記複数の支持部のうちの少なくとも2つの前記支持部は、
前記車体に固定部材を介して固定される被固定部と、
前記被固定部に設けられ、前記車体に係合される係合爪と、
を備える
ことを特徴とするワイパ装置。
【請求項2】
前記駆動部は、
出力軸を有するモータと、
前記出力軸と前記第1のピボット軸とを連結し、前記出力軸の回転を前記第1のピボット軸に伝達する第1のリンク部材と、
を備え、
前記連結部は、
一端が前記第1のリンク部材に連結されたロッドと、
前記ロッドの他端と前記第2のピボット軸とを連結し、前記出力軸の回転を前記ロッドを介して前記第2のピボット軸に伝達する第2のリンク部材と、
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のワイパ装置。
【請求項3】
前記係合爪は、前記車体に形成された孔に挿入されるピン部を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイパ装置。
【請求項4】
前記被固定部は、前記本体部から前記ピボット軸の軸方向に交差する方向に沿って突出しており、
前記被固定部から前記ピボット軸の軸方向に交差する方向で外側に突出する脚部を有し、
前記係合爪は、前記脚部における前記外側の端部に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワイパ装置。
【請求項5】
前記2つの保持部材のうち、前記車体に前記第2のピボット軸を固定するための第2の保持部材に、前記係合爪を設けた
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイパ装置。
【請求項6】
前記複数の支持部は、前記本体部から前記ピボット軸の軸方向に交差する方向に沿って突出して設けられ、かつ前記本体部の周方向に沿って並ぶ3つの第1の支持部、第2の支持部及び第3の支持部からなり、
前記第1の支持部、前記第2の支持部、及び前記第3の支持部は、この順で並んで配置されており、
前記係合爪は、前記第1の支持部における前記被固定部の前記第2の支持部側の側面と、前記第3の支持部における前記被固定部の前記第2の支持部側の側面と、に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のワイパ装置。
【請求項7】
前記2つの保持部材のうち、前記車体に前記第2のピボット軸を固定するための第2の保持部材は樹脂により形成されており、
前記第2の保持部材は、
前記被固定部の前記本体部側端に形成された射出ゲート痕と、
前記被固定部の前記本体部とは反対側端に、前記本体部とは反対側に向かって突出形成された凸部と、
を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のワイパ装置。
【請求項8】
各々ワイパアームが連結される2つのピボット軸と、
前記2つのピボット軸のうちの第1のピボット軸を回転駆動させる駆動部と、
前記2つのピボット軸のうちの第2のピボット軸と前記駆動部とに連結され、前記2つのピボット軸を同期して回転駆動させる連結部と、
車体に各前記ピボット軸を固定するための2つの保持部材と、
を備え、
前記2つの保持部材のうちの少なくともいずれか一方は、
前記ピボット軸を回転自在に支持する本体部と、
前記本体部から突出される複数の支持部と、
を備え、
前記複数の支持部のうちの少なくとも2つの前記支持部は、前記本体部から前記ピボット軸の軸方向に交差する方向に沿って突出され、前記車体に固定部材を介して固定される被固定部を有し、
各前記被固定部には、それぞれ前記固定部材を挿入するための挿入孔が形成されており、
各前記挿入孔は、大きさが異なっている
ことを特徴とするワイパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に用いられるワイパ装置としては、ワイパモータと、ワイパモータの回転力を伝達するリンク機構と、一端にリンク機構が接続され、他端にワイパアームが固定されるピボット軸と、車体にピボット軸を固定するための保持部材と、を備えたものがある。ワイパアームは、運転席側と助手席側とに合計2つ配置されている場合が多い。これに対応して、ピボット軸、リンク機構、及び保持部材も運転席側と助手席側とに配置されている。
【0003】
2つのリンク機構は、ロッドによって連結されている。これにより、ロッド及び2つのリンク機構を介し、2つのピボット軸にワイパモータの回転力が伝達される。そして、運転席側のワイパアームと助手席側のワイパアームとが同期して駆動される。
ここで、2つのピボット軸をロッドとは別のパイプで連結し、2つのピボット軸を強固に一体化する場合がある。一方、パイプを廃止し、ロッドのみで2つのピボット軸を連結する場合がある。この場合、ワイパ装置の部品点数を削減できるとともに、軽量化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-179762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術のように、2つのピボット軸を連結するパイプを廃止した場合、車体に保持部材を組み付ける際に、ロッドに対して各保持部材が回転してしまう。このため、2つの保持部材のうちの一方を組み付けている間に他方の保持部材の位置が大きくずれてしまう可能性があった。よって、短時間で精度よく保持部材を組み付けすることが困難となる可能性があった。
とりわけ、車体が傾斜している場合、車体に2つの保持部材のうちの一方の保持部材を固定している間に他方の保持部材が自重で移動してしまう可能性があった。このため、より一層車体への保持部材の組み付けが困難になる可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、短時間で精度よく保持部材を組み付けすることが可能なワイパ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るワイパ装置は、各々ワイパアームが連結される2つのピボット軸と、前記2つのピボット軸のうちの第1のピボット軸を回転駆動させる駆動部と、前記2つのピボット軸のうちの第2のピボット軸と前記駆動部とに連結され、前記2つのピボット軸を同期して回転駆動させる連結部と、車体に各前記ピボット軸を固定するための2つの保持部材と、を備え、前記2つの保持部材のうちの少なくともいずれか一方は、前記ピボット軸を回転自在に支持する本体部と、前記本体部から突出される複数の支持部と、を備え、前記複数の支持部のうちの少なくとも2つの前記支持部は、前記車体に固定部材を介して固定される被固定部と、前記被固定部に設けられ、前記車体に係合される係合爪と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るワイパ装置は、各々ワイパアームが連結される2つのピボット軸と、前記2つのピボット軸のうちの第1のピボット軸を回転駆動させる駆動部と、前記2つのピボット軸のうちの第2のピボット軸と前記駆動部とに連結され、前記2つのピボット軸を同期して回転駆動させる連結部と、車体に各前記ピボット軸を固定するための2つの保持部材と、を備え、前記2つの保持部材のうちの少なくともいずれか一方は、前記ピボット軸を回転自在に支持する本体部と、前記本体部から突出される複数の支持部と、を備え、前記複数の支持部のうちの少なくとも2つの前記支持部は、前記本体部から前記ピボット軸の軸方向に交差する方向に沿って突出され、前記車体に固定部材を介して固定される被固定部を有し、各前記被固定部には、それぞれ前記固定部材を挿入するための挿入孔が形成されており、各前記挿入孔は、大きさが異なっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、固定部材によって車体に保持部材を固定する前に、車体に保持部材を仮固定させておくことができる。このため、車体に2つの保持部材のうちの一方を組み付けている間に、他方の保持部材の位置がずれてしまうことを防止できる。よって、ワイパ装置を短時間で精度よく保持部材を組み付けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態における車両を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態におけるワイパ装置を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態における第2の保持部材を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態における第2の保持部材を示し、軸方向に沿って上方からみた平面図である。
図5】本発明の実施形態における第2の保持部材、第2のピボット軸、及び連結部の一部を示す分解斜視図である。
図6】本発明の実施形態における固定筒の近傍の拡大斜視図である。
図7】本発明の実施形態における第2のピボットカバーを示す下方からみた平面図である。
図8】本発明の第1の変形例における第2の保持部材を示す斜視図である。
図9】本発明の第2の変形例における第2の保持部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
<車両>
図1は、ワイパ装置1を備えた車両100を示す正面図である。以下の説明において、重力方向上下を単に上方向、下方向と称して説明する場合がある。また、以下の車両100は、運転席が右側にあるものとする。
図1に示すように、車両100には、フロントガラス102を払拭するために、第1のワイパブレード103aと第2のワイパブレード103bとが設けられている。
【0013】
第1のワイパブレード103aは、第1のワイパアーム104aの先端に取り付けられている。第1のワイパブレード103aは、第1のワイパアーム104aに内装されている図示しないスプリングによって、フロントガラス102側に向かって付勢されている。
第2のワイパブレード103bは、第2のワイパアーム104bの先端に取り付けられている。第2のワイパブレード103bは、第2のワイパアーム104bに内装されている図示しないスプリングによって、フロントガラス102側に向かって付勢されている。
【0014】
各ワイパアーム104a,104bの基端は、車両100の車体101に固定されたワイパ装置1に取り付けられている。ワイパ装置1は、各ワイパアーム104a,104bを駆動することにより、これらワイパアーム104a,104bに払拭動作を行わせる。
ワイパ装置1の払拭パターンは、各ワイパアーム104a,104bを支持する後述の各ピボット軸2a,2bが、フロントガラス102の運転席側における車幅方向外側と、車幅方向中央(助手席側)と、に配置されるいわゆるタンデム式である。各ワイパアーム104a,104bは、ワイパ装置1により駆動されて上反転位置と下反転位置との間で同一方向に揺動してフロントガラス102を払拭する。
【0015】
<ワイパ装置>
図2は、ワイパ装置1を示す斜視図である。以下のワイパ装置1の説明において、上方(上側)又は下方(下側)と称する場合は、車体101にワイパ装置1を取り付けた状態での方向を指すものとする。
図2に示すように、ワイパ装置1は、各ワイパアーム104a,104bの基端が連結される第1のピボット軸2a及び第2のピボット軸2bと、第1のピボット軸2aを回転駆動させる駆動部3と、駆動部3と第2のピボット軸2bとを連結する連結部4と、車体101に各ピボット軸2a,2bを固定するための第1の保持部材12a及び第2の保持部材12bと、を備える。
【0016】
第1のピボット軸2aは、フロントガラス102の下方で、かつ運転席側の車幅方向外側に配置されている。第1のピボット軸2aの軸方向は、フロントガラス102の法線方向に沿っている。第1のピボット軸2aの軸方向車外側、つまり上側(図2における紙面手前側)である先端2cに、第1のワイパアーム104aの基端が連結される。
【0017】
第2のピボット軸2bは、フロントガラス102の下方で、かつ車幅方向中央(助手席側)に配置されている。第2のピボット軸2bの軸方向は、フロントガラス102の法線方向に沿っている。すなわち、第1のピボット軸2aと平行である。第2のピボット軸2bの軸方向車外側、つまり上側(図2における紙面手前側)である先端2dに、第2のワイパアーム104bの基端が連結される。
【0018】
<駆動部>
駆動部3は、出力軸5aを有する減速機付きモータ5と、出力軸5aと第1のピボット軸2aとを連結する第1のリンク部材6と、を備える。
減速機付きモータ5は、モータ部7と、モータ部7の回転を減速して出力する減速部8と、を備える。モータ部7は、例えばサーボモータが用いられる。
【0019】
減速部8は、例えばウォーム減速機構を有する。モータ部7の図示しないモータシャフトに、減速部8の図示しないウォームシャフトが連結されている。このウォームシャフトに噛合わさるように、図示しないウォームホイールが設けられている。ウォームホイールと同軸上に出力軸5aが設けられ、ウォームホイールと一体となって出力軸5aが回転される。出力軸5aの軸方向は、第1のピボット軸2aの軸方向と平行である。以下、これら出力軸5a、第1のピボット軸2a、及び第2のピボット軸2bの軸方向を単に軸方向と称する。
【0020】
第1のリンク部材6は、一端9aが第1のピボット軸2aに相対回転不能に連結された第1のリンクアーム9と、一端10aが減速機付きモータ5の出力軸5aに相対回転不能に連結された第2のリンクアーム10と、第1のリンクアーム9と第2のリンクアーム10とを連結する第3のリンクアーム11と、を備える。
【0021】
第1のリンクアーム9は、軸方向からみてV字状に形成された板部材である。第2のリンクアーム10及び第3のリンクアーム11は、軸方向からみて一方向に長い長方形状に形成された板部材である。このような構成のもと、第1のリンクアーム9の屈曲部9bに、第3のリンクアーム11の一端11aが支持ピン106を介して回転自在に連結されている。第3のリンクアーム11の他端11bは、第2のリンクアーム10の他端10bに支持ピン107を介して回転自在に連結されている。これにより、出力軸5aの回転が、第1のリンク部材6を介して第1のピボット軸2aに伝達される。
【0022】
<第1の保持部材>
第1の保持部材12aは、第1のピボット軸2aを支持する。また、第1の保持部材12aは、減速機付きモータ5を支持するベース部13を有する。ベース部13は、車体101と平行になるように車幅方向に長く延びた板部材である。ベース部13における第1のピボット軸2b側(車幅方向中央側)に、減速機付きモータ5が支持されている。減速機付きモータ5は、ベース部13の車体101側に配置されている。減速機付きモータ5の出力軸5aは、ベース部13を介して車体101とは反対側に向かって突出している。
【0023】
ベース部13における第1のピボット軸2bとは反対側には、図示しない円筒状の第1の本体部が軸方向に沿って設けられている。この本体部に、第1のピボット軸2bが回転自在に支持されている。第1の本体部から車体101とは反対側に向かって突出した箇所に、第1のリンクアーム9の一端が相対回転不能に連結されている。
【0024】
また、ベース部13の外周には、3つの支持部14a,14b,14c(第1の支持部14a、第2の支持部14b、第3の支持部14c)が一体成形されている。3つの支持部14a,14b,14cのうち、第1の支持部14aは、ベース部13における第1のピボット軸2b側(車幅方向中央側)に配置されている。
3つの支持部14a,14b,14cのうち、第2の支持部14b及び第3の支持部14cは、図示しない第1の本体部の外周面に配置されている。各支持部14a,14b,14cは、おおよそベース部13の面方向に沿ってベース部13の外周や第1の本体部の外周面から外方に向かって突出している。
【0025】
各支持部14a,14b,14cの先端部には、図示しないボルトが挿入されるボルト挿入孔15が形成されている。各ボルト挿入孔15に、マウントラバー16が装着されている。
車体101には、各支持部14a,14b,14cのボルト挿入孔15に対応する箇所に、図示しない雌ネジ部が形成されている。この雌ネジ部に、各支持部14a,14b,14cの上からボルト挿入孔15に挿入されたボルトを螺合する。これにより、車体101に第1の保持部材12aが締結固定される。
【0026】
第1の保持部材12aに回転自在に支持されている第1のピボット軸2aには、第1のリンクアーム9よりも先端2cに、第1のピボットカバー17が取り付けられている。第1のピボットカバー17は、円板状のカバー本体17aと、カバー本体17aの外周から車体101とは反対側に向かって立ち上がる壁部17bと、が一体成形されている。カバー本体17aの径方向中央に、第1のピボット軸2aが挿入される円筒状の挿入部17cが一体成形されている。
このような構成のもと、第1のピボットカバー17は、雨水等が第1のピボット軸2aを介してワイパ装置1内に侵入してしまうことを防止する。
【0027】
<第2の保持部材>
図3は、第2の保持部材12bを示す斜視図である。図4は、第2の保持部材12bを示し、軸方向に沿って上方からみた平面図である。図5は、第2の保持部材12b、第2のピボット軸2b、及び連結部4の一部を示す分解斜視図である。以下の第2の保持部材12bの説明では、単に径方向、周方向と称する場合は、それぞれ第2のピボット軸2bの径方向及び周方向を指すものとする。
【0028】
図3から図5に示すように、第2の保持部材12bは、第2のピボット軸2bを回転自在に支持する本体部20と、本体部20から径方向外側に向かって突出する3つの支持部21,22,23(第1の支持部21、第2の支持部22、第3の支持部23)と、が一体成形されている。第2の保持部材12bは樹脂製であり、例えば射出成形によって形成されている。
【0029】
本体部20は、第2のピボット軸2bを回転自在に支持する内円筒部24と、内円筒部24の周囲を取り囲むように形成された外円筒部25と、を有する。外円筒部25は、内円筒部24と同心円上に配置されている。外円筒部25の軸方向の長さは、内円筒部24の軸方向の長さよりも短い。外円筒部25の内周面25aには、この内周面25aと内円筒部24の外周面24aとに連結される複数(例えば本実施形態では9つ)のリブ26が一体成形されている。
【0030】
リブ26は、外円筒部25における内周面25aの軸方向全体に渡って形成されている。リブ26は、軸方向からみて径方向に沿う板部材である。複数のリブ26は、周方向に沿って等間隔に配置されている。また、外円筒部25の内周面25aには、軸方向中央に、この内周面25aと内円筒部24の外周面24aとに連結される中板27が一体成形されている。
【0031】
中板27は、全周に渡って形成されている。中板27によって、内円筒部24と外円筒部25との間の空間が仕切られる。中板27には、周方向で隣り合うリブ26の間の中央に、軸方向に貫通する排水孔28が形成されている。排水孔28は、内円筒部24と外円筒部25との間に侵入した雨水等を下方に向かって排水する。
【0032】
また、外円筒部25の外周面25bには、軸方向上部に、嵌合凸部29が形成されている。嵌合凸部29は、軸方向に長い直方体状に形成されている。嵌合凸部29は、後述の第2のピボットカバー40に嵌め合わされる。嵌合凸部29は、第2の保持部材12bに対して第2のピボットカバー40の位置決めを行う。
【0033】
3つの支持部21,22,23は、外円筒部25の外周面25bから径方向外側に向かって突出している。3つの支持部21,22,23は、第1の支持部21、第2の支持部22、及び第3の支持部23が周方向にこの順で、かつ嵌合凸部29を避けるようにして並んで配置されている。以下の3つの支持部21,22,23の説明では、説明を分かりやすくするために同一形状については同一符号を付して説明する。
【0034】
3つの支持部21,22,23は、外円筒部25の外周面25bから径方向に沿って突出する被固定部30を有する。被固定部30は、厚さ方向が軸方向と一致する板状のベース部30aを有する。ベース部30aは、径方向に長く形成されている。ベース部30aは、外円筒部25の外周面25bから径方向外側端に向かうに従って僅かに先細りに形成されている。
【0035】
3つの支持部21,22,23のうち、第1の支持部21の被固定部30と第3の支持部23の被固定部30とは、各々ベース部30aが本体部20を挟んで対向するように配置されている。第1の支持部21の被固定部30と第3の支持部23の被固定部30とは、長手方向が同一直線上となるように配置されている。
【0036】
3つの支持部21,22,23のうち、第2の支持部22の被固定部30は、本体部20を挟んで外円筒部25の嵌合凸部29と対向するように配置されている。第1の支持部21と第2の支持部22との周方向の間隔と、第2の支持部22と第3の支持部23との周方向の間隔とは同一である。
【0037】
ベース部30aの外円筒部25側端部には、周方向の中央に射出ゲート痕Gが形成されている。射出ゲート痕Gは、第2の保持部材12bの射出成形時に形成される樹脂の注入痕である。
ベース部30aの径方向側端には、円筒状の固定筒30bが下方に向かって突出形成されている。固定筒30bの軸方向は、第2のピボット軸2b(本体部20)の軸方向と一致している。
【0038】
ベース部30aの径方向外側端は、固定筒30bの形状に対応するように軸方向からみて円弧状に形成された円弧部30hを有している。ベース部30aには、固定筒30bに連通する挿入孔30cが形成されている。ベース部30aの上面(固定筒30bとは反対側の面)30dには、挿入孔30cの周囲に3つの突起30eが形成されている。3つの突起30eは、周方向に等間隔で配置されている。これら突起30eは、車体101に第2の保持部材12bを固定する際のガタツキを防止する役割を有する(詳細は後述する)。
【0039】
ベース部30aの下面30fには、3つのリブ33が下方に向かって突出形成されている。3つのリブ33は、固定筒30bと外円筒部25の外周面25bとに跨っている。3つのリブ33のうちの2つは、ベース部30aの周方向の側縁に配置されている。これら2つのリブ33の間の中央に、残りの1つのリブ33が配置されている。
各リブ33の下端は、リブ33を周方向からみたとき固定筒30bに向かうに従って先細りとなるように円弧状に形成されている。各リブ33の固定筒30b側の端部における下端の位置は、固定筒30bの下端の位置と一致している。
【0040】
固定筒30bの外周面30gには、ベース部30aに形成された円弧部30hの周方向中央に対応する箇所(各支持部21,22,23の径方向最外側端)に、凸部34が形成されている。凸部34と射出ゲート痕Gとは、ベース部30aにおける径方向の両端に配置され、径方向で対向した状態になる。凸部34は、固定筒30bの軸方向全体に渡って形成されている。凸部34は、外円筒部25とは反対側に向かって突出している。凸部34は、第2の保持部材12bを射出成形する際のウェルドの発生を抑制する役割を有する(詳細は後述する)。
【0041】
図6は、第1の支持部21における固定筒30bの近傍の拡大斜視図である。
図3から図6に示すように、各被固定部30には、固定筒30bの内周面30iに、圧入リブ35が3つ形成されている。圧入リブ35は、固定筒30bの軸方向全体に渡って形成されている。圧入リブ35は、ベース部30aに形成された突起30eに対応するように、周方向に等間隔で配置されている。圧入リブ35は、固定筒30bに後述のカラー31を保持する。
【0042】
固定筒30bの内周面30iには、カラー31が圧入されている。カラー31は、ベース部30aの上面30dから僅かに突出されている。この突出高さは、ベース部30aに形成されている突起30eの突出高さとほぼ一致している。
カラー31に、ボルト(請求項における固定部材の一例)105が挿入される。ボルト105は、車体101に第2の保持部材12bを固定する。ボルト105の頭部105aとベース部30aとの間には、平ワッシャ32が介在される。
【0043】
3つの支持部21,22,23のうち、第1の支持部21の被固定部30及び第3の支持部23の被固定部30には、車体係合部36が一体成形されている。車体係合部36は、第1の支持部21の被固定部30において、最も第2の支持部22側に位置するリブ33(請求項における第2の支持部側の側面の一例)に配置されている。このリブ33の固定筒30b寄りに、車体係合部36が配置されている。
【0044】
また、車体係合部36は、第3の支持部23の被固定部30において、最も第2の支持部22側に位置するリブ33(請求項における第2の支持部側の側面の一例)に配置されている。このリブ33の固定筒30b寄りに、車体係合部36が配置されている。これら車体係合部36は、車体101に第2の保持部材12bを仮固定する。
【0045】
車体係合部36は、各々リブ33の固定筒30b寄りに一体成形された脚部37と、脚部37に一体成形された係合ピン(請求項における係合爪、ピン部の一例)38と、を有する。
脚部37は、各々リブ33の上部から第2の支持部22側に向かって突出している。係合ピン38は、脚部37の突出方向の端部である先端(請求項における外側の端部の一例)37aに一体成形されている。
【0046】
脚部37は、直方体状に形成されている。脚部37のリブ33からの突出方向はリブ33の法線方向に沿っており、軸方向に直交している。係合ピン38は、円柱状に形成されており、脚部37よりも下方に突出されている。また、係合ピン38は、第1の支持部21及び第3の支持部23の固定筒30bよりも下方に突出されている。
このように、第2の保持部材12bは、本体部20の径方向中央(第2のピボット軸2bの軸心)と、嵌合凸部29(第2の支持部22)の周方向中央とを結ぶ直線Lに対し、線対称に形成されている。
【0047】
車体101には、各支持部21,22,23の固定筒30bに対応する箇所に、図示しない雌ネジ部が形成されている。この雌ネジ部に、各支持部21,22,23の上から固定筒30b及び挿入孔30cに挿入されたボルト105を螺合する。これにより、車体101に第2の保持部材12bが締結固定される。
【0048】
車体101には、各車体係合部36に対応する箇所に、第1の係合孔(請求項における孔の一例)39a及び第2の係合孔(請求項における孔の一例)39bが形成されている。各係合孔39a,39bに、各車体係合部36の係合ピン38が挿入される。
第1の係合孔39aは、軸方向からみて円形状に形成されている。第1の係合孔39aの内径は、係合ピン38の軸径よりも若干大きい程度である。第2の係合孔39bは、車幅方向(径方向)に沿って長い長円形状に形成されている。これら係合孔39a,39bに各々係合ピン38を挿入することにより、車体101に対して第2の保持部材12bが係合され、仮固定される。この仮固定の作用についての詳細は後述する。
【0049】
<第2のピボットカバー>
図7は、第2のピボットカバー40を示す下方からみた平面図である。
図5図7に示すように、第2の保持部材12bには、上方から第2のピボットカバー40が装着されている。第2のピボットカバー40は、軸方向からみて円環状のカバー本体40aと、カバー本体40aの一側から延出形成されている排出板40bと、カバー本体40aの内周縁から上方に向かって立ち上がる段付き円筒状の挿入部40cと、カバー本体40a及び排出板40bの外周縁から上方に向かって立ち上がる壁部40dと、を主構成としている。
【0050】
挿入部40cは、カバー本体40aから立ち上がる第1の円筒部41と、第1の円筒部41の上端から段差部41aを介して縮径形成された第2の円筒部42と、が一体成形されている。第1の円筒部41は、第2の保持部材12bの外円筒部25の外周面に嵌合される。すなわち、第1の円筒部41の内径は、第2の保持部材12bの外円筒部25の外径とほぼ同一か若干大きい程度である。第1の円筒部41の軸方向の長さは、外円筒部25における各支持部21,22,23からの上方への突出高さとほぼ同一である。
【0051】
第1の円筒部41の内周面には、圧入リブ44が3つ形成されている。圧入リブ44は、第1の円筒部41の軸方向全体に渡って形成されており、周方向に等間隔で配置されている。圧入リブ35は、外円筒部25の外周面に第1の円筒部41を軽圧入して嵌合させる。
【0052】
第1の円筒部41には、第2の保持部材12bの嵌合凸部29に対応する箇所に、この嵌合凸部29に嵌め合わされる嵌合部43が一体成形されている。嵌合部43は、第1の円筒部41から下方に向かって突出されている。嵌合部43は、嵌合凸部29の形状に対応するように軸方向からみてC字状に形成されている。すなわち、嵌合部43は、周方向で対向する2つの側壁43aと、2つの側壁43aの径方向外側端同士を連結する端壁43bと、を有する。
【0053】
第2の保持部材12bに第2のピボットカバー40を装着する際、外円筒部25に第1の円筒部41が嵌合されると同時に、嵌合凸部29の3つの側面に対して嵌合部43が嵌め合わされる。これにより、第2の保持部材12bに第2のピボットカバー40が位置決め固定される。また、第1の円筒部41の内周面に圧入リブ44が形成されているので、外円筒部25の外周面に第1の円筒部41が軽圧入となる。このため、第2の保持部材12bに、第2のピボットカバー40がガタツキなく確実に固定される。
【0054】
第2の円筒部42は、第2の保持部材12bの内円筒部24の外周面に嵌合される。すなわち、第2の円筒部42の内径は、第2の保持部材12bの内円筒部24の外径とほぼ同一か若干大きい程度である。第2の円筒部42の軸方向の長さは、内円筒部24における外円筒部25からの上方への突出高さとほぼ同一である。
【0055】
排出板40bは、軸方向からみてカバー本体40aの周方向に長い長方形状に形成されている。壁部40dには、排出板40bのカバー本体40aとは反対側に、開口部40eが形成されている。
このような構成のもと、第2のピボットカバー40は、雨水等が第2のピボット軸2bを介してワイパ装置1内に侵入してしまうことを防止する。第2のピボットカバー40のカバー本体40aで受けた雨水等は、排出板40b及び開口部40eを介して外部に排出される。
【0056】
第2の保持部材12bに回転自在に支持されている第2のピボット軸2bの先端2dは、内円筒部24から上方に向かって突出されている。この上方に向かって突出された部位に、図2図5に示すように、菊座45が取り付けられている。菊座45は、内円筒部24に対する第2のピボット軸2bの軸方向への移動を規制する。
一方、第2のピボット軸2bの基端2eは、内円筒部24から下方に向かって突出されている。この下方に向かって突出された部位に、連結部4が連結されている。
【0057】
<連結部>
図2図3図5に示すように、連結部4は、一端51aが第1のリンクアーム9の他端9cに支持ピン108を介して回転自在に連結されたロッド51と、ロッド51の他端51bと第2のピボット軸2bの基端2eとを連結する第2のリンク部材52と、を備える。ロッド51は、車体101の車幅方向に長い板部材である。より詳しくは、ロッド51の長手方向中央の大部分は、上下方向に沿う断面形状がU字状に形成されている。ロッド51の両端51a,51bは、第1のリンクアーム9の他端9cと平行な板状に形成されている。
【0058】
第2のリンク部材52は、軸方向からみて一方向に長い長方形状に形成された板部材である。ロッド51の他端51bに、支持ピン109を介して第2のリンク部材52の一端52aが回転自在に支持されている。第2のピボット軸2bの基端2eに、第2のリンク部材52の他端52bが、相対回転不能に連結されている。
第2のピボット軸2bの基端2eに形成されたフランジ部2fによって、第2のピボット軸2bからの第2のリンク部材52の抜けが防止される。このような構成のもと、減速機付きモータ5の出力軸5aの回転が、第1のリンク部材6、ロッド51及び第2のリンク部材52を介して第2のピボット軸2bに伝達される。
【0059】
<第2の保持部材の射出成形について>
次に、図4に基づいて、第2の保持部材12bの射出成形について説明する。
第2の保持部材12bは、図示しない金型に溶融樹脂を注入することにより形成される。この際、金型に設けられたゲートより溶融樹脂が注入され、硬化後に金型より第2の保持部材12bが取り出される。金型のゲートの位置が、第2の保持部材12bに痕(樹脂の注入痕)となって残る。この後が射出ゲート痕Gである。
【0060】
図4に示すように、ゲートから注入された溶融樹脂は、金型内に拡散していく。この際、各支持部21,22,23を成形する溶融樹脂は、固定筒30bの内周面30i孔及びベース部30aの挿入孔30cの周囲から回り込むようにして各支持部21,22,23の径方向外側端(先端)に流れ込む。そして、支持部21,22,23の径方向外側端で溶融樹脂が合流される(矢印Y1参照)。この合流される各支持部21,22,23の径方向最外側端(固定筒30bの外周面30g、及びベース部30aに形成された円弧部30hの周方向中央)に、凸部34が形成されている。
【0061】
ここで、各支持部21,22,23の径方向最外側端に凸部34が形成されていない場合、各支持部21,22,23の径方向最外側端で合流された溶融樹脂は、行き場を失い溶融樹脂の流れが悪くなる。このため、支持部21,22,23の径方向最外側端の隅々まで溶融樹脂が行き渡りにくく、ウェルドが発生してしまう可能性がある。
しかしながら、各支持部21,22,23の径方向最外側端に凸部34が形成されることにより、各支持部21,22,23の径方向最外側端での樹脂の流れを向上させることができる(矢印Y2参照)。これにより、支持部21,22,23の径方向最外側端の隅々まで溶融樹脂が行き渡り、ウェルドの発生が抑制される。
【0062】
また、本体部20は、第2のピボット軸2bを回転自在に支持する内円筒部24と、内円筒部24の周囲を取り囲むように形成された外円筒部25と、外円筒部25の内周面25aと内円筒部24の外周面24aとに連結される複数のリブ26と、を一体成形している。このため、本体部20全体として肉厚となる箇所を形成せずに、本体部20の機械的強度を十分確保できる。本体部20の肉厚箇所が無いので、この本体部20の樹脂成形時に熱ヒケを抑制でき、本体部20の成形精度が向上される。
【0063】
<ワイパ装置の組み付け方法>
次に、図1図2図4に基づいて、ワイパ装置1の組み付け方法について説明する。
図1図2図4に示すように、まず車体101に形成されている第1の係合孔39aに、第2の保持部材12bにおける第1の支持部21の係合ピン38を挿入する。車体101に形成されている第2の係合孔39bに、第2の保持部材12bにおける第3の支持部23の係合ピン38を挿入する。これにより、車体101に対して第2の保持部材12bが係合され、仮固定される。
【0064】
ここで、各係合ピン38は、第1の支持部21及び第3の支持部23のリブ33から突出する脚部37の先端37aに一体成形されている。このため、車体101の各係合孔39a,39bに係合ピン38を挿入する際、各支持部21,23が作業者の目視の邪魔になることもなく、係合ピン38の位置を視認しやすい。よって、各係合孔39a,39bに、係合ピン38を挿入しやすい。
【0065】
車体101に第2の保持部材12bを仮固定した状態で、図示しないボルトによって、車体101に第1の保持部材12aを締結固定する。具体的には、第1の保持部材12aのボルト挿入孔15の上から図示しないボルトを挿入する。そして、車体101に形成された図示しない雌ネジ部に、ボルトを螺合する。これにより、車体101に第1の保持部材12aが締結固定される。
【0066】
この第1の保持部材12aを締結固定する際のボルトの締結作業は、振動として連結部4を介して第2の保持部材12bに伝達される。このとき、第2の保持部材12bは車体101に仮固定されているので、第2の保持部材12bの位置がずれることがない。また、作業者は、第2の保持部材12bの位置がずれてしまうことを気にしながら、車体101への第1の保持部材12aの締結作業を行う必要がない。
【0067】
ここで、第2の保持部材12bは、車体101に対して2つの係合ピン38によって係合されている。このため、車体101の各係合孔39a,39bにそれぞれ係合ピン38を挿入するだけでありながら、第2の保持部材12bが係合ピン38を中心に回転しまう等の位置ずれを確実に防止できる。
【0068】
続いて、ボルト105によって、車体101に第2の保持部材12bを締結固定する。具体的には、第2の保持部材12bにおける各支持部21,22,23の固定筒30b及び挿入孔30cの上からボルト105を挿入する。そして、車体101に形成された図示しない雌ネジ部に、ボルト105を螺合する。
【0069】
車体101の各係合孔39a,39bのうち、第1の係合孔39aは、軸方向からみて円形状に形成されている。第1の係合孔39aの内径は、係合ピン38の軸径よりも若干大きい程度である。一方、第2の係合孔39bは、車幅方向に長い長円形状に形成されている。このため、第1の係合孔39aを基準孔とし、第2の係合孔39bによって、車体101やワイパ装置1の製造誤差を吸収できる。
【0070】
ここで、車体101にボルト105を締め付ける際、カラー31や第2の保持部材12bの製造誤差は、平ワッシャ32によって突起30eを座屈変形させることにより吸収される。これにより、車体101に第2の保持部材12bを締結固定する際のガタツキが防止される。
以上により、車体101に第2の保持部材12bが締結固定され、車体101へのワイパ装置1の組み付けが完了する。
【0071】
<ワイパ装置の動作>
次に、ワイパ装置1の動作について説明する。
減速機付きモータ5を駆動させることにより、出力軸5aが回転される。この出力軸5aの回転は、第1のリンク部材6を介して第1のピボット軸2aに伝達される。これにより、第1のピボット軸2aが所定の回転角の範囲で正逆転するように回転される。
第1のリンク部材6には、連結部4を介して第2のピボット軸2bも連結されている。このため、出力軸5aの回転は、第1のリンク部材6、ロッド51及び第2のリンク部材52を介して第2のピボット軸2bにも伝達される。これにより、第2のピボット軸2bが所定の回転角の範囲で正逆転するように回転される。
【0072】
このように、第1のリンク部材6及び連結部4によって、2つのピボット軸2a,2bに出力軸5aの回転が同時に伝達される。このため、2つのピボット軸2a,2bは、同期して回転駆動される。
また、減速機付きモータ5が支持されている第1の保持部材12aは、マウントラバー16を介して車体101上に配置されている。このため、車体101に減速機付きモータ5を駆動する際の振動が伝達されにくい。
【0073】
2つのピボット軸2a,2bが回転されると、これらピボット軸2a,2bの先端2c,2dにそれぞれ連結されている各ワイパアーム104a,104bは、フロントガラス102上を同期して所定範囲内を揺動運動する。これにより、各ワイパアーム104a,104bに取り付けられている各ワイパブレード103a,103bでフロントガラス102を払拭する。
【0074】
このように、上述のワイパ装置1は、2つのピボット軸2a,2bと、第1のピボット軸2aを回転駆動させる駆動部3と、駆動部3と第2のピボット軸2bとに連結され、2つのピボット軸2a,2bを同期して回転駆動させる連結部4と、2つの保持部材12a,12bと、を備える。上述のワイパ装置1は、従来ように2つの保持部材12a,12b同士を連結する連結部4のロッド51とは別のパイプを備えていない。
【0075】
このような構成のもと、2つの保持部材12a,12bのうちの第2の保持部材12bは、3つの被固定部30(第1の支持部21、第2の支持部22、第3の支持部23)を有する。3つの支持部21,22,23のうち、第1の支持部21及び第3の支持部23には、車体係合部36が設けられている。車体係合部36によって、車体101に第2の保持部材12bが係合される。
【0076】
このため、ボルトによって車体101に2つの保持部材12a,12bを締結固定する前に、車体係合部36によって車体101に第2の保持部材12bを仮固定させておくことができる。このため、最初に車体101への第1の保持部材12aの締結作業を行うことで、この締結作業の間に第2の保持部材12bの位置がずれしてしまうことを防止できる。よって、短時間で精度よくワイパ装置1の保持部材12a,12bを組み付けすることができる。
【0077】
第2の保持部材12bには、2つの係合ピン38が設けられている。これら2つの係合ピン38によって、車体101に第2の保持部材12bが係合されている。このため、車体101の各係合孔39a,39bにそれぞれ係合ピン38を挿入するだけでありながら、第2の保持部材12bが係合ピン38を中心に回転しまう等の位置ずれを確実に防止できる。よって、短時間で精度よくワイパ装置1の保持部材12a,12bを組み付けすることができる。
【0078】
車体101に、短時間で精度よくワイパ装置1を組み付けることができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」、及び目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る」に貢献することが可能となる。
【0079】
駆動部3は、減速機付きモータ5と、第1のピボット軸2aに減速機付きモータ5の出力軸5aの回転を伝達する第1のリンク部材6と、を備える。連結部4は、第1のリンク部材6に連結されるロッド51と、ロッド51と第2のピボット軸2bとを連結する第2のリンク部材52と、を備える。このため、駆動部3の回転を効率よく2つのピボット軸2a,2bに伝達できる。また、2つのピボット軸2a,2bを精度よく同期して回転駆動させることができる。
【0080】
2つのピボット軸2a,2bを精度よく同期して回転駆動させることができるので、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」に貢献することが可能となる。
【0081】
車体101に第2の保持部材12bを係合させる手段(係合爪)として、係合ピン38を用いている。このため、車体101の各係合孔39a,39bにそれぞれ係合ピン38を挿入するたけで、車体101に第2の保持部材12bを容易に係合させることができる。
【0082】
第2の保持部材12bの被固定部30は、本体部20から径方向に沿って突出している。第2の保持部材12bの車体係合部36は、リブ33に一体成形された脚部37と、脚部37の先端37aに一体形成された係合ピン38と、を有する。脚部37は、リブ33の法線方向に沿って、かつ第2の支持部22側に向かって突出する。このように、被固定部30から軸方向に交差する方向で外側に脚部37が突出されている。
【0083】
この結果、車体101に第2の保持部材12bを取り付けるべく軸方向上方から第2の保持部材を目視した際、係合ピン38を視認しやすくできる。このため、車体101への第2の保持部材12bの係合をよりスムーズに行うことができる。よって、ワイパ装置1をさらに短時間で精度よく組み付けすることができる。
【0084】
係合ピン38は、駆動部3が設けられている第1の保持部材12aではなく、第2の保持部材12bに設けられている。このため、駆動部3が設けられている第1のピボット軸2a側である第1の保持部材12aを先行して固定し、第1のピボット軸2a側と比較して重量の軽い第2のピボット軸2b側を仮固定させておくことができる。よって、第1の保持部材12aと比較して容易に第2の保持部材12bを仮固定することができるので、さらにワイパ装置1を短時間で精度よく組み付けすることができる。
【0085】
第2の保持部材12bは、3つの支持部21,22,23を備えている。これら3つの支持部21,22,23のうち、第1の支持部21及び第3の支持部23の第2の支持部22側の側面(リブ33)に、係合ピン38が設けられている。第1の支持部21と第2の支持部22との間、及び第2の支持部22と第3の支持部23との間のスペースは、車体101に第2の保持部材12bを取り付けるための占有スペースになってしまう。
この占有スペースを有効活用して係合ピン38を配置することにより、第2の保持部材12bを取り付けるための占有スペースが係合ピン38によってさらに大型化してしまうことを防止できる。できる限り省スペースに、第2の保持部材12bを配置することができる。
【0086】
第2の保持部材12bは、樹脂により例えば射出成形されている。そして、各支持部21,22,23には、ベース部30aの外円筒部25側端部に、射出ゲート痕Gが形成されている。一方、各支持部21,22,23の径方向最外側端に、凸部34が形成されている。このため、各支持部21,22,23において、外円筒部25側端部から注入された溶融樹脂の径方向最外側端での流れを向上させることができる。よって、支持部21,22,23の径方向最外側端の隅々まで溶融樹脂が行き渡り、ウェルドの発生を抑制できる。
【0087】
第2の保持部材12bは、本体部20の径方向中央(第2のピボット軸2bの軸心)と、嵌合凸部29(第2の支持部22)の周方向中央とを結ぶ直線Lに対し、線対称に形成されている。このため、例えば運転席が左側の車両100であって、ワイパ装置1を車体101の車幅方向中央を中心に線対称に配置するような場合であっても第2の保持部材12bを流用することができる。よって、汎用性の高い第2の保持部材12bを提供できる。
【0088】
第2の保持部材12bに嵌合凸部29を形成する一方、第2のピボットカバー40に嵌合凸部29に嵌め合わされる嵌合部43を形成している。このため、第2の保持部材12bに第2のピボットカバー40を装着する際、外円筒部25に第1の円筒部41が嵌合されると同時に、嵌合凸部29の3つの側面に対して嵌合部43が嵌め合わされる。よって、第2の保持部材12bに第2のピボットカバー40を容易に位置決め固定できる。
【0089】
また、第2のピボットカバー40には、第1の円筒部41の内周面に、圧入リブ44が形成されている。このため、第2の保持部材12bにおける外円筒部25の外周面に、第1の円筒部41を軽圧入できる。よって、第2の保持部材12bに、第2のピボットカバー40がガタツキなく確実に固定できる。
【0090】
第2の保持部材12bには、ベース部30aの挿入孔30cの周囲に、3つの突起30eが形成されている。このため、ボルト105によって車体101に第2の保持部材12bを締結固定する際、第2の保持部材12bに取り付けられているカラー31や第2の保持部材12b自体の製造誤差を、ボルト105とともに締め付けられる平ワッシャ32によって突起30eを座屈変形させることにより吸収できる。よって、車体101に第2の保持部材12bを締結固定する際のガタツキを防止できる。
【0091】
第2の保持部材12bにおける本体部20は、第2のピボット軸2bを回転自在に支持する内円筒部24と、内円筒部24の周囲を取り囲むように形成された外円筒部25と、外円筒部25の内周面25aと内円筒部24の外周面24aとに連結される複数のリブ26と、を一体成形している。このため、本体部20全体として肉厚となる箇所を形成せずに、本体部20の機械的強度を十分確保できる。本体部20の肉厚箇所が無いので、この本体部20の樹脂成形時に熱ヒケを抑制でき、本体部20の成形精度を向上できる。
【0092】
車体101の各係合孔39a,39bのうち、第1の係合孔39aは、軸方向からみて円形状に形成されている。第1の係合孔39aの内径は、係合ピン38の軸径よりも若干大きい程度である。一方、第2の係合孔39bは、車幅方向に長い長円形状に形成されている。このため、第1の係合孔39aを基準孔とし、第2の係合孔39bによって、車体101やワイパ装置1の製造誤差を吸収できる。
【0093】
[第1の変形例]
<第2の保持部材>
次に、図8に基づいて、第1の変形例における第2の保持部材12bについて説明する。以下の第1の変形例及び第2の変形例の説明では、上述の実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
図8は、第1の変形例における第2の保持部材12bを示す斜視図である。
上述の実施形態では、第2の保持部材12bにおける第1の支持部21及び第3の支持部23のうち、リブ33から第2の支持部22に向かって車体係合部36(脚部37及び係合ピン38)を突出形成した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、図8に示すように、第1の支持部21及び第3の支持部23の径方向最外側端、つまり、凸部34の延長線上に、車体係合部36を形成してもよい。
【0094】
より具体的には、車体係合部36の脚部37は、凸部34の径方向外側端から径方向外側に向かって突出されている。このような脚部37の先端(径方向外側端)に、係合ピンが一体成形されている。
したがって、上述の第1の変形例によれば、前述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0095】
[第2の変形例]
<第2の保持部材>
次に、図9に基づいて、第2の変形例における第2の保持部材12bについて説明する。
図9は、第2の変形例における第2の保持部材12bを示す斜視図である。
上述の実施形態では、第2の保持部材12bにおける第1の支持部21及び第3の支持部23のうち、リブ33から第2の支持部22に向かって車体係合部36(脚部37及び係合ピン38)を突出形成した場合について説明した。これら車体係合部36の係合ピン38を、それぞれ車体101の係合孔39a,39bに挿入することにより、車体101に第2の保持部材12bを仮固定する場合について説明した。
【0096】
しかしながらこれに限られるものではなく、図9に示すように、各支持部21,22,23に車体係合部36を形成しなくてもよい。これに代わって、各支持部21,22,23に形成される固定筒231a,231b,231c及び各固定筒231a,231b,231cに連通されるベース部30aの挿入孔232a,232b,232cの大きさを異ならせてもよい。
【0097】
より具体的には、第1の支持部21における第1の固定筒231aは、円筒状に形成されている。第1の支持部21におけるベース部30aの第1の挿入孔232aは、軸方向からみて円形状に形成されている。第1の固定筒231aの内径、及び第1の挿入孔232aの内径は、これら第1の固定筒231a及び第1の挿入孔232aに挿入されるボルト105(図3参照)の軸径よりも若干大きい程度である。
【0098】
第2の支持部22における第2の固定筒231bは、円筒状に形成されている。第2の支持部22におけるベース部30aの第2の挿入孔232bは、軸方向からみて円形状に形成されている。第2の固定筒231bの内径、及び第2の挿入孔232bの内径は、第1の固定筒231aの内径、及び第1の挿入孔232aの内径よりも大きい。
【0099】
第3の支持部23における第3の固定筒231cは、軸方向からみて車幅方向(径方向)に沿って長い長円形の筒状に形成されている。第3の支持部23におけるベース部30aの第3の挿入孔232cは、軸方向からみて車幅方向(径方向)に沿って長い長円形状に形成されている。
【0100】
各固定筒213a,231b,231cに圧入されるカラー233a,233b,233cは、各々圧入される固定筒213a,231b,231cの形状に対応して形成されている。
このような構成のもと、3つの固定筒231a,213b,231c及び3つの挿入孔232a,232b,232cのうち、第1の固定筒231a及び第1の挿入孔232aを、車体101に第2の保持部材12bを締結固定する際の基準孔として用いる。以下、詳述する。
【0101】
<ワイパ装置の組み付け方法>
次に、図1を援用し、図9に基づいて、第2の変形例におけるワイパ装置1の組み付け方法について説明する。
図1図9に示すように、まず第2の保持部材12bにおける第1の固定筒231a及び第1の挿入孔232aの上からボルト105を挿入し、このボルト105を車体101に形成されている図示しない雌ネジ部に螺合する。このとき、ボルト105は仮締めとし、このボルト105を中心に第2の保持部材12bが若干動く程度にしておく。これにより車体101に対して第2の保持部材12bが仮固定される。
【0102】
車体101に第2の保持部材12bを仮固定した状態で、図示しないボルトによって、車体101に第1の保持部材12aを締結固定する。具体的には、第1の保持部材12aのボルト挿入孔15の上から図示しないボルトを挿入する。そして、車体101に形成された図示しない雌ネジ部に、ボルトを螺合する。これにより、車体101に第1の保持部材12aが締結固定される。
【0103】
この第1の保持部材12aを締結固定する際のボルトの締結作業は、振動として連結部4を介して第2の保持部材12bに伝達される。このとき、第2の保持部材12bは車体101に仮固定されているので、第2の保持部材12bの位置が大きくずれることがない。また、作業者は、第2の保持部材12bの位置がずれてしまうことを気にしながら、車体101への第1の保持部材12aの締結作業を行う必要がない。
【0104】
車体101に第1の保持部材12aを締結固定した状態で生じる車体101やワイパ装置1の製造誤差は、第2の保持部材12bにおける第2、第3の固定筒231b,231c及び第2、第3の挿入孔232b,232cによって吸収される。すなわち、車体101やワイパ装置1の製造誤差によって、第1の固定筒231a及び第1の挿入孔232aに挿入されたボルト105を中心に、第2の保持部材12bが回動される。これによって、車体101やワイパ装置1の製造誤差が第2の保持部材12bで吸収される。
【0105】
このように、第1の固定筒231a及び第1の挿入孔232aは、車体101に第2の保持部材12bを締結固定する際の基準孔となる。第1の固定筒231aの内径、及び第1の挿入孔232aの内径は、ボルト105の軸径よりも若干大きい程度であるので、ボルト105に対するガタツキも小さい。
【0106】
第2の固定筒231bの内径、及び第2の挿入孔232bの内径は、第1の固定筒231aの内径、及び第1の挿入孔232aの内径よりも大きい。また、第3の支持部23におけるベース部30aの第3の挿入孔232cは、軸方向からみて車幅方向(径方向)に沿って長い長円形状に形成されている。このため、第2の保持部材12bが定位置から若干回動された位置で各固定筒231b,231c及び各挿入孔232b,232cにボルト105を挿入し、このボルト105を車体101に形成されている図示しない雌ネジ部に螺合することが可能である。この際、3つのボルト105の全てを増し締めする。
【0107】
以上により、車体101に第2の保持部材12bが締結固定され、車体101へのワイパ装置1の組み付けが完了する。
したがって、上述の第2の変形例によれば、前述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0108】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、車両100は、運転席が右側にあるものとする場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、運転席が左側にある車両100にも、上述のワイパ装置1を好適に用いることができる。
【0109】
上述の実施形態では、駆動部3の駆動源として減速機付きモータ5を使用した場合について説明した。減速機付きモータ5のモータ部7は、例えばサーボモータが用いられる場合について説明した。しかしながらこれに限れるものではなく、各ピボット軸2a,2bを回転駆動させるものであればよい。例えば、減速部8を省いて単にモータ部7のみとしてもよいし、モータ部7としてサーボモータに代わってさまざまなブラシレスモータを用いてよい。
【0110】
上述の実施形態では、2つの保持部材12a,12bのうち、第2の保持部材12bのみに3つの支持部21,22,23の構成を用いた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第1の保持部材12aにも3つの支持部21,22,23の構成を用いてもよい。第2の保持部材12bに代わって第1の保持部材12aのみに3つの支持部21,22,23の構成を用いてもよい。
【0111】
上述の実施形態では、第2の保持部材12bには、3つの支持部21,22,23が設けられている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第2の保持部材12bに少なくとも2つの支持部が設けられていればよい。また、第2の保持部材12bに3つ以上の支持部21,22,23が設けられてもよい。支持部が2つの場合は、これら2つの支持部に係合ピン38を設ければよい。支持部が3つ以上の場合、少なくとも2つの支持部に被固定部30及び係合ピン38の構成を採用すればよい。
【0112】
上述の実施形態では、第2の保持部材12bの3つの支持部21,22,23は、第2のピボット軸2bを回転自在に支持する本体部20から径方向外側に向かって突出している場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、3つの支持部21,22,23は、第2のピボット軸2bの軸方向に交差する方向に延びていればよい。
【0113】
上述の実施形態では、第2の保持部材12bの3つの支持部21,22,23には、ベース部30aに突起30eが3つ形成されている場合について説明した。3つの支持部21,22,23の固定筒30bには、内周面30iに、圧入リブ35が3つ形成されている場合について説明した。第2のピボットカバー40には、圧入リブ44が3つ形成されている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、突起30eや各圧入リブ35,44の個数は任意に設定することができる。
【0114】
上述の実施形態では、車体101に第2の保持部材12bを係合させる手段として、係合ピン38を用いた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、車体101に第2の保持部材12bを係合可能な構成を、この第2の保持部材12bに設ければよい。例えば係合ピン38に代わって鉤型の爪等を用いてもよい。
【0115】
上述の実施形態では、車体101への各保持部材12a,12bの固定部材としてボルト105等を用いた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、固定部材は、車体101に各保持部材12a,12bを固定できるものであればよい。例えばボルト105に代わってリベット等を用いてもよい。
【0116】
上述の実施形態では、第1の保持部材12aと第1のピボットカバー17とが別体である場合について説明した。第2の保持部材12bと第2のピボットカバー40とが別体である場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、各保持部材12a,12bと対応するピボットカバー17,40とを一体成形してもよい。
【0117】
上述の実施形態では、駆動部3は、減速機付きモータ5と、第1のピボット軸2aに減速機付きモータ5の出力軸5aの回転を伝達する第1のリンク部材6と、を備える場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、駆動部3は、第1のピボット軸2aを駆動させる構成であればよい。
【0118】
上述の実施形態では、連結部4は、第1のリンク部材6に連結されるロッド51と、ロッド51と第2のピボット軸2bとを連結する第2のリンク部材52と、を備える場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、駆動部3と第2のピボット軸2bとに連結され、2つのピボット軸2a,2bを同期して回転駆動させる構成であればよい。
【0119】
上述の実施形態では、脚部37と係合ピン38とを有する車体係合部36は、第1の支持部21及び第3の支持部23の第2の支持部22側の側面(リブ33)に設けられている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、第2の保持部材12bの占有スペース等を考慮しない場合等、車体係合部36の配置箇所を任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0120】
1…ワイパ装置、2a…第1のピボット軸、2b…第2のピボット軸、2c,2d…先端、2e…基端、2f…フランジ部、3…駆動部、4…連結部、5…減速機付きモータ(モータ)、5a…出力軸、6…第1のリンク部材、7…モータ部(モータ)、8…減速部、9…第1のリンクアーム、9a…一端、9b…屈曲部、9c…他端、10…第2のリンクアーム、10a…一端、10b…他端、11…第3のリンクアーム、11a…一端、11b…他端、12a…第1の保持部材、12b…第2の保持部材、13…ベース部、14a…第1の支持部、14b…第2の支持部、14c…第3の支持部、15…ボルト挿入孔、16…マウントラバー、17…第1のピボットカバー、17a…カバー本体、17b…壁部、17c…挿入部、20…本体部、21…第1の支持部、22…第2の支持部、23…第3の支持部、24…内円筒部、24a…外周面、25…外円筒部、25a…内周面、25b…外周面、26…リブ、27…中板、28…排水孔、29…嵌合凸部、30…被固定部、30a…ベース部、30b…固定筒、30c…挿入孔、30d…上面、30d…上面、30e…突起、30f…下面、30g…外周面、30h…円弧部、30i…内周面、31…カラー、32…平ワッシャ、33…リブ(側面)、34…凸部、35…圧入リブ、36…車体係合部、37…脚部、37a…先端(外側の端部)、38…係合ピン(係合爪、ピン部)、39a…第1の係合孔(孔)、39b…第2の係合孔(孔)、40…第2のピボットカバー、40a…カバー本体、40b…排出板、40c…挿入部、40d…壁部、40e…開口部、41…第1の円筒部、41a…段差部、42…第2の円筒部、43…嵌合部、43a,43b…側壁、44…圧入リブ、45…菊座、51…ロッド、51a…一端、51b…他端、52…第2のリンク部材、52a…一端、52b…他端、100…車両、101…車体、102…フロントガラス、103a…第1のワイパブレード、103b…第2のワイパブレード、104a…第1のワイパアーム、104b…第2のワイパアーム、105…ボルト(固定部材)、105a…頭部、106,107,108,109…支持ピン、231a…第1の固定筒、231b…第2の固定筒、231c…第3の固定筒、232a…第1の挿入孔、232b…第2の挿入孔、232c…第3の挿入孔、233a,233b,233c…カラー
図1
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