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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031580
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】目地カバー体脱着装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 19/00 20060101AFI20230302BHJP
   E04B 1/68 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B66C19/00 E
E04B1/68 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137153
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】592094243
【氏名又は名称】カネソウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健治
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DH31
2E001FA18
2E001FA51
2E001FA71
2E001GA12
2E001LA18
2E001PA04
2E001PA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】目地カバー装置の点検作業に要するコストを抑制できると共に、ユニック車を使用困難な比較的狭い場所であっても目地カバー体を脱着可能な目地カバー体脱着装置を提案する。
【解決手段】吊索51を介して目地カバー体を昇降動させる昇降手段3と、該昇降手段3が脱着可能に取り付けられる支持フレーム2とを備え、該支持フレーム2は、車輪5が配設された左右一対のフレーム側部体11a,11bと、両フレーム側部体11a,11bの下部に着脱可能に連結されて差し渡される下部保持梁13と、両フレーム側部体11a,11bの上部に着脱可能に連結されて差し渡される上部支持梁12とを備えたものである。そして、支持フレーム2は、左右のフレーム側部体11a,11bが前記下部保持梁13によって所定間隔で保持されると共に、前記上部支持梁12に設けられた取付部15に前記昇降手段3を着脱可能に取り付けできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する建造物の床相互間に設けられた目地を覆う目地カバー体を脱着させるための目地カバー体脱着装置であって、
複数の車輪を有し、該車輪により移動可能な支持フレームと、
前記支持フレームに着脱可能に取り付けられ、前記目地カバー体に係脱可能に係合された吊索を介して、該目地カバー体を昇降動させる昇降手段と
を備え、
前記支持フレームは、
前記車輪が配設され、前記目地カバー体の左右幅よりも長い所定間隔をおいて夫々配置される左右一対のフレーム側部体と、
両端が左右の前記フレーム側部体の下部に着脱可能に夫々連結されて、両フレーム側部体間に差し渡され、両フレーム側部体を前記間隔で保持する下部保持梁と、
前記昇降手段が着脱可能に取り付けられる取付部を有し、両端が左右の前記フレーム側部体の上部に着脱可能に連結されて、所定の高さ位置で両フレーム側部体間に差し渡される上部支持梁と
を備えたものであることを特徴とする目地カバー体脱着装置。
【請求項2】
上部支持梁は、
昇降手段が着脱可能に取り付けられる取付部が、長手方向に複数設けられたものであることを特徴とする請求項1に記載の目地カバー体脱着装置。
【請求項3】
フレーム側部体は、
車輪が配設された水平方向のフレーム基杆部と、該フレーム基杆部から立設された一又は複数のフレーム支杆部とを備え、
前記フレーム基杆部に、下部保持梁の端部を着脱可能に連結する梁連結部が設けられると共に、前記フレーム支杆部に、上部支持梁の端部を着脱可能に連結する梁連結部が設けられたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の目地カバー体脱着装置。
【請求項4】
左右のフレーム側部体は、
下部保持梁の端部を着脱可能に連結する梁連結部が、対向状に夫々突設されると共に、上部支持梁の端部を着脱可能に連結する梁連結部が、対向状に夫々突設されたものであり、
さらに、互いに対向する梁連結部同士を着脱可能に連結させるフレーム連結手段を備えたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の目地カバー体脱着装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する建造物の床相互間の目地に配設された目地カバー装置の、該目地を覆う目地カバー体を、脱着させるための目地カバー体脱着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震による被害を最小限に留めるために、緩衝機能を備えた免震装置によって下部を支持した建造物が多く建設されている。こうした免震構造の建造物間には、地震による変位を吸収し得る目地が形成されており、かかる目地を覆う目地カバー体を備えた目地カバー装置が配設されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-78064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した目地カバー装置は、敷設から経過した年数にしたがって点検を行う必要が生じている。目地カバー装置の点検作業は、目地カバー体を取り外して実施される場合があり、この場合には、重量物(200~400kg)の目地カバー体を取り外すために、ユニック車等が使用される。しかし、目地カバー装置の配設場所が比較的狭い場合には、前記ユニック車を用いることが難しく、また、目地カバー体の配設個数が少ない場所では、ユニック車の使用コストによって点検費用が割高になってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、目地カバー装置の点検作業に使用可能なものであり、該点検作業におけるコストを抑制し得ると共に、比較的狭い場所であっても目地カバー体を脱着し得る目地カバー体脱着装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、隣接する建造物の床相互間に設けられた目地を覆う目地カバー体を脱着させるための目地カバー体脱着装置であって、複数の車輪を有し、該車輪により移動可能な支持フレームと、前記支持フレームに着脱可能に取り付けられ、前記目地カバー体に係脱可能に係合された吊索を介して、該目地カバー体を昇降動させる昇降手段とを備え、前記支持フレームは、前記車輪が配設され、前記目地カバー体の左右幅よりも長い所定間隔をおいて夫々配置される左右一対のフレーム側部体と、両端が左右の前記フレーム側部体の下部に着脱可能に夫々連結されて、両フレーム側部体間に差し渡され、両フレーム側部体を前記間隔で保持する下部保持梁と、前記昇降手段が着脱可能に取り付けられる取付部を有し、両端が左右の前記フレーム側部体の上部に着脱可能に連結されて、所定の高さ位置で両フレーム側部体間に差し渡される上部支持梁とを備えたものであることを特徴とする目地カバー体脱着装置である。
【0007】
かかる構成によれば、目地カバー体上に支持フレームを配置して、昇降手段により該目地カバー体を吊り上げ、該目地カバー体を吊り上げた状態で移動させることにより、該目地カバー体を取り外すことができる。そして、このように目地カバー体を取り外すことで、点検作業を行うことができる。点検作業後は、目地カバー体を吊り上げた状態で所望位置に移動させて、昇降手段により当該目地カバー体を降ろすことで、該目地カバー体を設置できる。このように本発明の構成は、前記したユニック車を用いること無く、目地カバー体を脱着できることから、該ユニック車の使用にかかるコストを削減でき、該ユニック車を使用する場合に比して、目地カバー装置の点検作業に要する点検費用を大幅に低減することが可能である。さらに、前記ユニック車に比して極めてコンパクトな構造とできることから、前記したユニック車を使用困難な比較的狭い場所にあっても、目地カバー体を脱着することが可能である。そのため、目地カバー体の設置現場におけるスペースに関わらず、様々な設置現場で使用することができ、極めて高い汎用性を有している。
【0008】
また、本構成は、下部保持梁と上部支持梁とを左右のフレーム側部体から脱着可能であることから、これらを分離させることによってコンパクトに畳むことができる。この畳んだ状態で運搬および保管することによって、運搬に要する手間を軽減でき且つ運搬スペースを低減できるから、該運搬に要するコストを削減できる。さらに、保管スペースを低減できることから、保管に要するコストも削減可能である。
【0009】
前述した本発明の目地カバー体脱着装置にあって、上部支持梁は、昇降手段が着脱可能に取り付けられる取付部が、長手方向に複数設けられたものである構成が提案される。
【0010】
かかる構成にあっては、昇降させる目地カバー体に応じて、昇降手段を取り付ける取付部を選択できる。さらに、異なる複数の取付部に昇降手段を夫々取り付けて、複数の昇降手段により目地カバー体を昇降動させることもできる。このように目地カバー体に適した位置(取付部)で昇降手段を取り付けできることから、該目地カバー体の昇降動を安定して行うことができる。
【0011】
前述した本発明の目地カバー体脱着装置にあって、フレーム側部体は、車輪が配設された水平方向のフレーム基杆部と、該フレーム基杆部から立設された一又は複数のフレーム支杆部とを備え、前記フレーム基杆部に、下部保持梁の端部を着脱可能に連結する梁連結部が設けられると共に、前記フレーム支杆部に、上部支持梁の端部を着脱可能に連結する梁連結部が設けられたものである構成が提案される。
【0012】
かかる構成にあっては、フレーム側部体がフレーム基杆部とフレーム支杆部とにより構成されるものであるから、重量物(200~400kg)の目地カバー体を昇降動させるために必要な剛性と強度とを有しつつ、支持フレームを軽量化できる。
【0013】
前述した本発明の目地カバー体脱着装置にあって、左右のフレーム側部体は、下部保持梁の端部を着脱可能に連結する梁連結部が、対向状に夫々突設されると共に、上部支持梁の端部を着脱可能に連結する梁連結部が、対向状に夫々突設されたものであり、さらに、互いに対向する梁連結部同士を着脱可能に連結させるフレーム連結手段を備えたものである構成が提案される。
【0014】
かかる構成にあっては、下部保持梁と上部支持梁とを取り外せば、左右のフレーム側部体を連結できることから、運搬や保管を一層容易に行うことができ、該運搬や保管に要する手間を一層軽減することが可能である。
【0015】
尚ここで、互いに対向する梁連結部同士をフレーム連結手段により連結させた状態で、左右のフレーム側部体間に、下部保持梁と上部支持梁とを収容可能な間隔が形成される構成が好適である。この構成によれば、左右のフレーム側部体、下部保持梁、および上部支持梁を一纏めにできるから、前記運搬や保管に要する手間を一層軽減できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の目地カバー体脱着装置によれば、前記ユニック車を使用する場合に比して、目地カバー装置の点検作業に要する点検費用を大幅に低減することができると共に、該ユニック車を使用困難な比較的狭い場所にあっても、目地カバー体を脱着することが可能である。さらに、左右のフレーム側部体、下部保持梁、および上部支持梁を分離させることでコンパクトに畳むことができるため、運搬や保管に要する手間とコストとを削減できるという優れた利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(A)レバーブロック(登録商標)3を省略して示す目地カバー体脱着装置1の平面図と、(B)該目地カバー体脱着装置1の正面図である。
図2】目地カバー体脱着装置1の側面図である。
図3】キャスタ5を省略して示す支持フレーム2の斜視図である。
図4】キャスタ5を省略して示す支持フレーム2の分解斜視図である。
図5】一方のフレーム側部体11aの、(A)正面図と、(B)側面図である。
図6】他方のフレーム側部体11bの、(A)正面図と、(B)側面図である。
図7】(A)上部支持梁12の正面図と、(B)上部支持梁12の側面図と、(C)下部保持梁13の正面図と、(D)下部保持梁13の側面図である。
図8】(A)左右のフレーム側部体11a,11bを連結させた状態の正面図と、(B)キャスタを省略して示す斜視図である。
図9】(A)支持フレーム2を畳んだ状態の正面図と、(B)側面図と、(C)キャスタを省略して示す斜視図である。
図10】目地カバー装置101の施工状態を示す断面図である。
図11】目地カバー体脱着装置1を、目地カバー体104の脱着作業させる位置に配置した状態を示す説明図である。
図12】目地カバー体脱着装置1により目地カバー体104を脱着させる作業態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明にかかる実施例を添付図面を用いて説明する。
先ず、目地カバー体104を有する目地カバー装置101について説明する。目地カバー装置101は、図10(および図11)に示すように、隣接する建造物81,82間に設けられた所定幅の目地83を覆うように配設されたものである。ここで、一方の建造物81は、緩衝機能を備えた免震装置(図示せず)によって下部が支持された免震構造の建造物であり、他方の建造物82は、前記建造物81の外側方に形成された人工地盤からなる建造物であり、建造物81と建造物82とが目地83を介して隣接している。
【0019】
目地カバー装置101は、一方の建造物81の床85の側縁に設けられた連結受枠102と、他方の建造物82の床86の側縁に設けられた摺動受枠103と、該連結受枠102と該摺動受枠103との間に差し渡されて目地83を覆う略矩形状の目地カバー体104とを備える。連結受枠102および摺動受枠103は、目地83の長手方向(以下、目地長手方向という)に沿って設けられており、目地カバー体104は、目地長手方向に沿って複数並設される。目地カバー体104は、その一端に前記連結受枠102と連結される被連結端部111,111を備え、他端が自由端として前記前記摺動受枠103に摺動可能に乗載される。ここで、床85の連結受枠102は、断面略L形状をなし、その水平板部に連結杆115が立設されている。この連結杆115に、目地カバー体104の被連結端部111に開口された連結孔(図示せず)が揺動可能に外嵌されることによって、該目地カバー体104の被連結端部111が前記連結受枠102に連結される。こうした目地カバー体104は、鉛直上方へ昇動させることによって、前記連結受枠102との連結を解除できることから、脱着することが可能である。
【0020】
尚、目地カバー装置101は、従来から公知のものであることから、その詳細については省略する。
【0021】
次に、本発明にかかる目地カバー体脱着装置1について説明する。
目地カバー体脱着装置1は、図1~3に示すように、下部に複数(例えば四個)のキャスタ5が配設された支持フレーム2と、該支持フレーム2に着脱可能に取り付けられるレバーブロック(登録商標)3とを備える。ここで、キャスタ5は、一般的に知られているものを適用できることから、その詳細を省略する。また、レバーブロック3は、一般的に知られているものを適用できることから、その詳細を省略する。尚、本実施例にあって、キャスタ5が、本発明の車輪に相当し、レバーブロック3が、本発明の昇降手段に相当する。
【0022】
支持フレーム2は、左右一対のフレーム側部体11a,11bと、左右のフレーム側部体11a,11b間に差し渡された上部支持梁12および下部保持梁13,13とを備える。フレーム側部体11a,11bは、図3,4に示すように、水平方向に沿ったフレーム基杆部21と、該フレーム基杆部21の両端から斜め上方へ立設されたフレーム支杆部22,22とを備えており、両フレーム支杆部22,22の上端同士が固結され且つ両フレーム支杆部22,22の下端が前記フレーム基杆部21の両端に夫々固結された三角環状で形成されている。さらに、本実施例にあって、両フレーム支杆部22,22の上端同士が固結された部位には、左右両側から補強板25,25が夫々固結されると共に、フレーム支杆部22,22の下端とフレーム基杆部21の両端とが固結された部位には、左右両側から補強板26,26が夫々固結される(図5,6参照)。このようにフレーム基杆部21とフレーム支杆部22,22との固結部位が補強板25,26で補強されることにより、フレーム側部体11a,11bが、前記目地カバー体104の重量(200~400kg)に十分に耐え得る強度と剛性とを有するものとなっている。尚、本実施例にあって、フレーム基杆部21とフレーム支杆部22とは、金属製(例えば、鋼製)の角パイプにより夫々構成されている。
【0023】
左右のフレーム側部体11a,11bは、各フレーム基杆部21の両端下部に前記キャスタ5が夫々配設されている(図1,2参照)。
【0024】
また、左右のフレーム側部体11a,11bには、互いに対向する内側面に夫々配設された前記補強板25,25に、前記上部支持梁12を脱着可能に取り付ける第一梁連結部31aが夫々対向するように設けられると共に、前記内側面に夫々配設された前記補強板26,26に、前記下部保持梁13,13を脱着可能に取り付ける第二梁連結部31bが夫々対向するように設けられている(図4参照)。第一梁連結部31aと第二梁連結部31bとは、図5,6に示すように、同じ形状寸法で形成されており、平板状の底部32と、該底部32の両側縁から上方に立設された壁部33,33と、該壁部33,33の上縁から拡開された上縁部34,34とから構成されて上方と内方とに夫々開口されている。そして、各梁連結部31a,31bの壁部33,33には、夫々二個の透孔35,35が横方向に並んで開口形成されている。
【0025】
さらに、一方のフレーム側部体11aに配設された第一,第二梁連結部31bには、図5に示すように、両壁部33,33に、左右方向へ長尺な略矩形状の連結板36,36が夫々配設されている。連結板36は、長手方向(左右方向)の略中央よりもフレーム側部体11a側部位(以下、接合部位という)が前記壁部33に接合されており、残り部位(以下、突出部位という)が内方へ突出している。そして、連結板36の接合部位と突出部位とには、二個の挿通孔37,37が長手方向に並んで夫々開口形成されている。ここで、接合部位の二個の挿通孔37,37は、前記壁部33に接合された状態で、該壁部33に形成された二個の透孔35,35と夫々重なると共に、突出部位の二個の挿通孔37,37は、後述するように、両フレーム側部体11a,11bの互いに対向する第一梁連結部31a,31a同士および第二梁連結部31b,31b同士を付き合わせた状態で、他方のフレーム側部体11bの第一,第二梁連結部31a,31bに形成された透孔35,35(図6参照)と夫々重なる。
【0026】
一方、前記した下部保持梁13は、図3,4および図7(C),(D)に示すように、金属製(例えば、鋼製)の角パイプにより構成されており、前記した目地カバー体104の目地幅方向の幅寸法よりも長い所定長さで形成されている(図11参照)。そして、下部保持梁13は、その長手方向と直交する水平方向の幅寸法が、前記第二梁連結部31bを構成する両壁部33,33の間隔よりも僅かに短く設定されている。これにより、下部保持梁13の両端部が前記第二梁連結部31bに着脱可能に内嵌できる。さらに、下部保持梁13の両端部には、長手方向と直交する水平方向に貫通する二個の貫通孔41,41が、長手方向に並んで夫々開口形成されている。この両端部に夫々形成された二個の貫通孔41,41は、前記第二梁連結部31bに内嵌された状態で、該第二梁連結部31bの両壁部33,33に夫々開口形成された二個の透孔35,35と重なり合うように設けられている。
【0027】
こうした下部保持梁13が、左右のフレーム側部体11a,11bに夫々設けられた第二梁連結部31b,31bに取り付けられることによって、両フレーム側部材11a,11bが、該下部保持梁13の長さに相当する間隔で保持される。すなわち、下部保持梁13の両端部が、左右のフレーム側部体11a,11bの下部に対設された第二梁連結部31b,31bに内嵌される。そして、下部保持梁13の一方の端部は、フレーム側部体11aに設けられた第二梁連結部31bの透孔35,35、該第二梁連結部31bに固結された連結板36,36の各挿通孔37,37、および該上部支持梁12の貫通孔41に挿通された取付ボルト(図示せず)と、該取付ボルトに螺合されるナット(図示せず)とが締結されることによって、該フレーム側部体11aに固定される。同様に、下部保持梁13の他方の端部は、フレーム側部体11bに設けられた第二梁連結部31bの透孔35,35および該下部保持梁13の貫通孔41に挿通された取付ボルト(図示せず)と、該取付ボルトに螺合されるナット(図示せず)とが締結されることによって、該フレーム側部体11bに固定される。このように二個の下部保持梁13,13が左右のフレーム側部体11a,11bに固定されることにより、両フレーム側部体11a,11bが前記目地カバー体104の幅よりも長い前記間隔で保持される(図11参照)。
【0028】
また、前記上部支持梁12は、図3,4および図7(A),(B)に示すように、前記下部保持梁13と同じ形状寸法の金属製の角パイプにより構成されている。そして、上部支持梁12には、左右のフレーム側部体11a,11bの各第一梁連結部31a,31aに内嵌される両端部を除く部位の下面に、下方へ突出する板状の取付板部14が設けられている。この取付板部14は、上部支持梁12に一体的に設けられており、該上部支持梁12の長手方向に所定間隔をおいて複数の取付孔15が開口形成されている。この取付孔15は、前記したレバーブロック3に設けられたフック部3aを着脱可能に係合でき、該フック部3aが係合されることによって、該レバーブロック3を上部支持梁12に吊持できる。尚、この取付板部14の取付孔15が、本発明の取付部に相当する。
【0029】
こうした上部支持梁12は、左右のフレーム側部体11a,11bの上部に夫々設けられた第一梁連結部31a,31aに取り付けられることによって、両フレーム側部体11a,11b間に差し渡される。すなわち、上部支持梁12の両端部が、左右のフレーム側部体11a,11bの上部に対設された第一梁連結部31a,31aに内嵌される。そして、上部支持梁12の一方の端部は、フレーム側部体11aに設けられた第一梁連結部31aの透孔35,35、該第一梁連結部31aに固結された連結板36,36の各挿通孔37,37、および該上部支持梁12の貫通孔41に挿通された取付ボルト(図示せず)と、該取付ボルトに螺合されるナット(図示せず)とが締結されることによって、該フレーム側部体11aに固定される。同様に、上部支持梁12の他方の端部は、フレーム側部体11bに設けられた第一梁連結部31aの透孔35,35および該上部支持梁12の貫通孔41に挿通された取付ボルト(図示せず)と、該取付ボルトに螺合されるナット(図示せず)とが締結されることによって、該フレーム側部体11bに固定される。このように左右のフレーム側部体11a,11bに固定された上部支持梁12には、前記した取付板部14の各取付孔15にレバーブロック3を係合できる。さらに、上部支持梁12は、前記した下部保持梁13,13と同様に、両フレーム側部体11a,11bを前記目地カバー体104の幅よりも長い前記間隔で保持する。
【0030】
次に、本実施例の目地カバー体脱着装置1の使用態様について説明する。
例えば、前記した目地カバー装置101のメンテナンス作業等で目地カバー体104を取り外す場合に、図11,12に示すように、目地カバー体脱着装置1を、取り外す対象である目地カバー体104上に配置させる。目地カバー体脱着装置1には、上部支持梁12の取付孔15に、レバーブロック3が取り付けられて吊持される。ここで、前述したように、上部支持梁12の取付板部14には複数の取付孔15が設けられていることから、目地カバー体104の幅寸法に応じて適宜選択した取付孔15にレバーブロック3を取り付ける。本実施例では、図12に示すように、二個のレバーブロック3,3が左右両端寄りに位置する所定の取付孔15,15に夫々吊持される。
【0031】
このように支持フレーム2の上部支持梁12に吊持された各レバーブロック3,3には、下端にシャックル54を有する吊索51,51が吊持される。吊索51は、図1(B)および図2に示すように、レバーブロック3に設けられた吊持フック部3bに引っ掛けられるチェーンフック52と、該チェーンフック52に上端部が引っ掛けられた二本のチェーン53,53と、各チェーン53,53の下端に夫々取り付けられた前記シャックル54とから構成されている。
【0032】
一方、前記目地カバー体104には、図9~11に示すように、一端の両側部に設けられた被連結端部111,111と他端の両側部とに、雌ネジが開口形成された取付ナット109が夫々固結されており、該目地カバー体104の脱着作業をする際に、各取付ナット109にアイボルト110が夫々螺合されて取り付けられる。
【0033】
こうして目地カバー体104に取り付けられた各アイボルト110に、図12(A)に示すように、前記したレバーブロック3,3に吊持された吊索51,51の各シャックル54が夫々引っ掛けられる。このように吊索51,51を介して各レバーブロック3,3に目地カバー体104が連結された状態で、各レバーブロック3,3を作業者が操作することによって、図12(B)に示すように、当該目地カバー体104を吊り上げて、当該目地カバー体104を前記連結受枠102および摺動受枠103から分離させる。このように目地カバー体104を吊り上げた状態で、支持フレーム2を移動させることで、目地カバー体104を取り外すことができる。さらに、こうして取り外した目地カバー体104を目地83近隣の所定場所に置いてシャックル54を解除することで、本実施例の目地カバー体脱着装置1を用いて他の目地カバー体104を同様に取り外すことができる。そして、複数の目地カバー体104を取り外すことにより、目地83を開放できることから、所望の点検作業を実施できる。
【0034】
さらに、目地83や目地カバー装置101(前記連結受枠102および摺動受枠103)に対する点検作業を終えた後には、目地カバー体脱着装置1を用いて目地カバー体104を取り付けることができる。この取付作業は、前述した取り外し作業と同様に、目地カバー体脱着装置1により目地カバー体104を吊り上げ、この状態で支持フレーム2を該目地カバー体104の設置場所に移動させて、レバーブロック3,3の操作により該目地カバー体104を降動させる。こうして目地カバー体104を、前記連結受枠102および摺動受枠103に取り付ける。
【0035】
また、目地カバー体脱着装置1の支持フレーム2は、レバーブロック3を取り付けて目地カバー体104の脱着作動に使用できる使用形態(図1~3参照)と、運搬や保管に適した非使用形態とに変換することができる。詳述すると、支持フレーム2は、前述したように、左右のフレーム側部体11a,11bと上部支持梁12および下部保持梁13,13とが前記取付ボルトおよびナットにより連結されたものであるから、これら取付ボルトとナットとの該締結を解除することによって該上部支持梁12、下部保持梁13,13、および左右のフレーム側部体11a,11bを分離できる(図4参照)。そして、前記分離後に、左右のフレーム側部体11a,11bに夫々設けられた第一梁連結部31a同士を突き合わせ且つ夫々の第二梁連結部31b同士と突き合わせる。これにより、一方のフレーム側部体11aの第一梁連結部31aおよび第二梁連結部31b,31bに夫々固結された連結板36,36間に、他方のフレーム側部体11bの第一梁連結部31aおよび第二梁連結部31b,31bを内嵌させる。そして、他方のフレーム側部体11bの第一梁連結部31aに設けられた透孔35,35と、一方のフレーム側部体11aの第一梁連結部31aに固結された連結板36,36の各挿通孔37,37とに、前記取付ボルトを夫々挿通させて前記ナットを締結させることによって、図8に示すように、左右のフレーム側部体11a,11bの第一梁連結部31a,31a同士を連結させる。同様に、他方のフレーム側部体11bの第二梁連結部31bに設けられた透孔35,35と、一方のフレーム側部体11aの第二梁連結部31bに固結された連結板36,36の各挿通孔37,37とに、前記取付ボルトを夫々挿通させて前記ナットを締結させることによって、左右のフレーム側部体11a,11bの第二梁連結部31b,31b同士を連結させる。こうして左右のフレーム側部体11a,11bを連結させることができ、さらに、図9に示すように、この連結状態の左右のフレーム側部体11a,11b間に、上部支持梁12および下部保持梁13を配置させることによって、これらを一纏めにした前記非使用形態とすることができる。このように支持フレーム2を非使用形態とすることによって、運搬作業に要する手間を軽減できると共に、運搬スペースや保管スペースを小さくすることができる。尚、このように左右のフレーム側部体11a,11bを連結させる連結板36(および、取付ボルトとナット)により、本発明にかかるフレーム連結手段が構成されている。
【0036】
本実施例の目地カバー体脱着装置1は、前述したように、目地カバー装置101の目地カバー体104を吊り上げて移動させることができるため、目地83と目地カバー装置101との点検作業に用いることができる。この目地カバー体脱着装置1を用いることにより、ユニック車を用いること無く、重量物(200~400kg)の目地カバー体104を取り外す作業と取り付ける作業とを実施できるから、該ユニック車の使用にかかるコストを削減でき、目地カバー装置101や目地83の点検作業に要する費用を大幅に低減することができる。さらに、目地カバー体脱着装置1は、前記ユニック車に比してコンパクトであることから、該ユニック車を使用困難な比較的狭い場所であっても前記点検作業を行うことが可能である。
【0037】
また、目地カバー体脱着装置1の支持フレーム2は、左右のフレーム側部体11a,11b、上部支持梁12、および下部保持梁13,13を連結させることで前記使用形態に組み立てられ、これらを分離させて畳むことで運搬や保管に適した前記非使用形態に変換できる。そして、こうした使用形態と非使用形態とへの変換を、前記取付ボルトとナットとの締結および締結解除により行うことができるから、前記点検作業の現場で支持フレーム2を変換する作業を比較的容易に行うことができる。これにより、点検作業を行う現場への運搬作業に要する手間を軽減できる。さらに、前述した支持フレーム2を畳んで非使用形態とすることで、運搬スペースを低減できると共に、保管スペースも低減することができる。而して、運搬にかかるコストと保管にかかるコストとを削減可能である。
【0038】
さらに、本実施例の目地カバー体脱着装置1は、前述したように、レバーブロック3を着脱可能な取付孔15が左右方向に複数設けられており、目地カバー体104に応じて適宜選択してレバーブロック3を取り付けることができる。これにより、様々なサイズの目地カバー体104を昇動させる作業に適用することができる。
【0039】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、前述した実施例では、レバーブロック3を用いたが、これに限らず、チェーンブロックを適用することも可能である。
【0040】
また、実施例では、二個のレバーブロック3,3を用いたが、レバーブロック3の取り付け個数は適宜変更可能である。例えば、一個のレバーブロック3を取り付けて用いることも可能であるし、三個や四個のレバーブロック3を用いることも可能である。
【0041】
また、実施例では、吊索51がチェーン53を用いた構成であるが、これに限らず、チェーン53に換えてワイヤーを用いた構成であっても良い。
【0042】
また、実施例では、左右のフレーム側部体11a,11bが三角環形状のものとしたが、これに限らず、四角環形状、逆T形状、H形状などとすることもできる。さらには、平板状のフレーム側部体であっても良いし、平板部材と杆体とからなる構成のフレーム側部体であっても良い。さらに、実施例では、二個の下部保持梁13を備えた構成であるが、これに限らず、下部保持梁の配設個数は適宜変更可能である。同様に、上部支持梁の配設個数も適宜変更可能である。尚、下部保持梁と上部支持梁との各配設個数は、前記したフレーム側部体の形態に応じて設定することが好ましい。
【符号の説明】
【0043】
1 目地カバー装置
2 支持フレーム
3 レバーブロック(昇降手段)
3a フック部
3b 吊持フック部
5 キャスタ(車輪)
11a,11b フレーム側部体
12 上部支持梁
13 下部保持梁
14 取付板部
15 取付孔(取付部)
21 フレーム基杆部
22 フレーム支杆部
25,26 補強板
31a 第一梁連結部(梁連結部)
31b 第二梁連結部(梁連結部)
32 底部
33 壁部
34 上縁部
35 透孔
36 連結板(フレーム連結手段)
37 挿通孔
41 貫通孔
51 吊索
52 チェーンフック
53 チェーン
54 シャックル
81,82 建造物
83 目地
85,86 床
101 目地カバー装置
102 連結受枠
103 摺動受枠
104 目地カバー体
109 取付ナット
110 アイボルト
111 被連結端部
115 連結杆

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12