(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031607
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】建具構造および建具の改修方法
(51)【国際特許分類】
E06B 3/34 20060101AFI20230302BHJP
E06B 3/00 20060101ALI20230302BHJP
E06B 1/52 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
E06B3/34
E06B3/00 C
E06B1/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137201
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】須藤 勝仁
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
【Fターム(参考)】
2E011EB02
2E011ED03
2E011ED06
2E011EF02
2E014CA05
(57)【要約】
【課題】既存の親子ドアの枠部に袖パネル付きドアの扉体および袖パネルを設置することができる。
【解決手段】開口部11の縁部に設けられ開口部11を開閉する親扉および子扉が取り外された親子ドアの枠部21と、枠部21に開口部11を開閉可能に取り付けられる扉体32と、開口部11の一部を閉鎖する袖パネル4と、袖パネル4を枠部21に固定する第1袖パネル固定部5(袖パネル固定部)および第2袖パネル固定部6(袖パネル固定部)と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の縁部に設けられ前記開口部を開閉する親扉および子扉が取り外された親子ドアの枠部と、
前記枠部に前記開口部を開閉可能に取り付けられる扉体と、
前記開口部の一部を閉鎖する袖パネルと、
前記袖パネルを前記枠部に固定する袖パネル固定部と、を有する建具構造。
【請求項2】
前記袖パネル固定部は、
前記袖パネルを前記枠部の上枠および下枠の少なくとも一方に固定する第1袖パネル固定部と、
前記袖パネルを前記枠部の縦枠に固定する第2袖パネル固定部と、を有する請求項1に記載の建具構造。
【請求項3】
前記上枠および下枠の少なくとも一方には、前記子扉に設けられたフランス落としのロッドが挿入される枠孔部が形成され、
前記第1袖パネル固定部は、
前記枠孔部に挿入されるとともに前記袖パネルに取り付けられる枠孔挿入固定部を有する請求項2に記載の建具構造。
【請求項4】
前記第2袖パネル固定部は、
前記縦枠に取り付けられる枠側固定部と、
前記袖パネルにおける前記縦枠と対向する端面に取り付けられる袖側固定部と、を有し、
前記枠側固定部に前記袖側固定部が嵌め込まれる請求項2または3に記載の建具構造。
【請求項5】
開口部の縁部に設けられ前記開口部を開閉する親扉および子扉が取り外された親子ドアの枠部に前記開口部を開閉可能な扉体を取り付ける扉体設置工程と、
前記開口部の一部を閉鎖する袖パネルを袖パネル固定部で前記枠部に固定する袖パネル設置工程と、を有する建具の改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具構造および建具の改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の玄関などに設けられる建具として、常時開閉される親扉の隣に開閉可能な子扉が設けられた親子ドアや、常時開閉される扉の隣に枠部に固定された袖パネル(袖壁)が設けられた袖パネル付きドアが知られている(例えば、特許文献1参照)。親子ドアは、子扉を開放することで開口部を大きく確保することができる。袖パネル付きドアは、袖パネルに照明や電子錠、入退室の認証装置、収納などの機能を付加することで玄関空間の機能性を向上させることができる。袖パネル付きドアでは、ハンドルのラッチや鍵を袖パネルに取り付けることも可能となり、ドアに取り付けるハンドルや鍵の選択の幅を広げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リフォームなどの改修工事で親子ドアを袖パネル付きドアにする場合、親子ドアの枠部には、子扉を開閉可能に支持するヒンジや、子扉のフランス落としを受けるための受け金具などが設けられているため、扉のみでなく枠部も交換している。
【0005】
本開示は、既存の親子ドアの枠部に袖パネル付きドアの扉体および袖パネルを設置することができる建具構造および建具の改修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る建具構造は、開口部の縁部に設けられ前記開口部を開閉する親扉および子扉が取り外された親子ドアの枠部と、前記枠部に前記開口部を開閉可能に取り付けられる扉体と、前記開口部の一部を閉鎖する袖パネルと、前記袖パネルを前記枠部に固定する袖パネル固定部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】扉体を省略した袖パネル付きドアの斜視図である。
【
図7】下枠に固定されている下枠固定部を示す斜視図である。
【
図8】下枠を省略した下枠固定部を示す斜視図である。
【
図10】上枠に固定されている上枠固定部を示す斜視図である。
【
図11】上枠を省略した上枠固定部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態による建具構造および建具の改修方法は、リフォームなどで
図1に示す袖パネル付きドア1(建具構造)を設置するための建具構造および建具の改修方法である。本実施形態では、建具の改修を行う前には、
図2に示すような親子ドア2が設けられおり、既存の親子ドア2の枠部21を利用して新設の袖パネル付きドア1(
図1参照)を設置する。既存の親子ドア2および新設の袖パネル付きドア1は、例えば、室内外を仕切る玄関ドアとして設けられている。親子ドア2および袖パネル付きドア1が設けられる壁部12に沿った水平方向を建具幅方向(図面の矢印Xの方向)とし、建具幅方向に直交する水平方向、すなわち壁部12に直交する方向を室内外方向(図面の矢印Yの方向)とする。図面では、上下方向を矢印Zで示す。
【0009】
図2に示す親子ドア2は、開口部11に設けられた枠部21と、枠部21に開口部11を開閉可能に支持された親扉22および子扉23と、を有している。親扉22および子扉23は、建具幅方向に並んで配置される。親扉22は枠部21内の建具幅方向の一方側に配置されている。子扉23は枠部21内の建具幅方向の他方側に配置されている。親扉22は、通常の出入りの際に開口部11を開放する。子扉23は、通常時は枠部21に固定され、大型の家具を搬入する時など開口部11を広く開放させる際に、親扉22とともに開口部11を開放する。
【0010】
枠部21は、下枠24と、上枠25と、第1縦枠26と、第2縦枠27と、を有している。第1縦枠26は建具幅方向の一方側に配置されている。第2縦枠27は建具幅方向の他方側に配置されている。
図2に示す親子ドア2の親扉22は、幅方向の一方側の第1縦枠26にヒンジ221を介して取り付けられるとともに、上枠25にドアクローザー(不図示)を介して取り付けられている。子扉23は、幅方向の他方側の第2縦枠27にヒンジ231を介して取り付けられている。
【0011】
子扉23には、建具幅方向の一方側の縁部、すなわち戸先側の縁部の上端部分および下端部分それぞれにフランス落としが取り付けられている。
図3に示すように、下枠24には、フランス落としのロッドが挿入される枠孔部241が形成された受け金具242が設けられている。
図4に示すように、上枠25には、上側フランス落としのロッドが挿入される枠孔部251が形成された受け金具252が設けられている。
【0012】
図1に示す袖パネル付きドア1は、開口部11に設けられた枠部21と、枠部21に開口部11を開閉可能に支持された扉体32と、開口部11の一部を閉鎖する袖パネル4と、袖パネル4を枠部21に固定する第1袖パネル固定部5(袖パネル固定部)および第2袖パネル固定部6(袖パネル固定部)と、を有している。枠部21は、
図2に示す既存の親子ドア2の親扉22および子扉23を撤去したものである。扉体32は、開口部11における親扉22が設けられていた位置、すなわち枠部21内の建具幅方向の一方側に設けられる。袖パネル4は、開口部11における子扉23が設けられていた位置、すなわち枠部21内の建具幅方向の他方側に設けられる。袖パネル4は、子扉23が設けられていた領域を閉鎖する。
【0013】
袖パネル4には、入退室の認証装置43、シリンダー錠44,45が設けられている。袖パネル4には、照明や電子錠、収納などの各種機能を付加することができる。扉体32には、ハンドルのラッチが設けられている。袖パネル4には、ラッチ受けが設けられている。
【0014】
袖パネル付きドア1の扉体32は、親子ドア2の親扉22と同様に第1縦枠26にヒンジ321を介して取り付けられるとともに、上枠25にドアクローザー(不図示)を介して取り付けられている。
図5、
図6に示すように、袖パネル4は、第1袖パネル固定部5(枠孔挿入固定部)によって下枠24および上枠25に固定され、第2袖パネル固定部6によって第2縦枠27に固定される。袖パネル4の建具幅方向の一方側の端面、すなわち扉体32側の端面を第1端面41とし、建具幅方向の他方側の端面、すなわち第2縦枠27側の端面を第2端面42とする。
【0015】
第1袖パネル固定部5は、袖パネル4を下枠24に固定する下枠固定部材51と、袖パネル4を上枠25に固定する上枠固定部材52と、を有している。下枠固定部材51は、袖パネル4の第1端面41の下端部分に固定され、下枠24の枠孔部241に挿入される。上枠固定部材52は、袖パネル4の第1端面41の上端部分に固定され、上枠25の枠孔部251に挿入される。
【0016】
図7から
図9に示すように、下枠固定部材51は、金属製のL字形部材53と、樹脂製のカバー部材54と、を有している。L字形部材53は、L字形を構成する一方の片で袖パネル4に固定される固定片531と、他方の片となる突出片532と、を有している。固定片531は、長尺の板状である。突出片532は、板状である。L字形部材53は、固定片531が袖パネル4の第1端面41に沿って上下方向に延び、固定片531の板面が建具幅方向を向き、かつ、突出片532が固定片531の下端部から建具幅方向の一方側に突出し、突出片532の板面が水平面となる向きで袖パネル4に固定される。
【0017】
固定片531は、上部側が袖パネル4に固定され、下部側が袖パネル4の下端部よりも下方に突出している。突出片532は、固定片531の下端部から建具幅方向の一方側に突出している。L字形部材53における袖パネル4の下端部よりも下方となる部分は、下枠24の枠孔部241(
図7参照)に挿入される。
【0018】
図9に示すように、固定片531は、ネジ55で袖パネル4に固定される。固定片531には、2つのネジ孔533が上下方向に間隔をあけて形成されている。袖パネル4の第1端面41の下端部分には、4つのネジ孔411が上下方向に間隔をあけて形成されている。袖パネル4の4つのネジ孔411は、4つのネジ孔411が形成された金具が袖パネル4の第1端面41に取り付けられることで形成されている。L字形部材53は、固定片531の2つのネジ孔533が袖パネル4の4つのネジ孔411のうちの連続する2つのネジ孔411と重ねられ、重なったネジ孔411,533にネジ55が締結されることで袖パネル4に固定される。固定片531の2つのネジ孔533は、上下方向に延びる長孔である。固定片531のネジ孔533の長孔の長さ範囲で、L字形部材53を袖パネル4に固定する高さを調整可能である。
【0019】
L字形部材53は、突出片532が下枠24の枠孔部241の底部と接触または近接する高さで袖パネル4に固定される。上述しているように、袖パネル4には上下方向に間隔をあけて4つのネジ孔411が設けられ、これらのネジ孔411のうちの固定片531のネジ孔533と高さが合うネジ孔411にネジ55を締結できるとともに、固定片531のネジ孔533の長孔の長さ範囲でL字形部材53の高さを調整することができる。これにより、枠孔部241の深さに関わらず、L字形部材53を突出片532が下枠24の枠孔部241の底部と接触または近接する高さに配置することができる。
図7に示すように、L字形部材53の突出片532は、枠孔部241の底部にネジ56で固定される。
【0020】
カバー部材54は、袖パネル4に固定されたL字形部材53の袖パネル4の下端部よりも上側の部分を建具幅方向の一方側から覆っている。カバー部材54は、袖パネル4の第1端面41の下端部分にはめ込まれる。
【0021】
図10から
図12に示すように、上枠固定部材52は、下枠固定部材51と同じ構成で、下枠固定部材51と上下対称となる向きで袖パネル4の第1端面41の上端部分に固定される。
図10から
図12では、上枠固定部材52のL字形部材53およびカバー部材54を下枠固定部材51のL字形部材53およびカバー部材54と同じ符号で示す。上枠固定部材52のL字形部材53は、固定片531の下部側が袖パネル4に固定され、固定片531の上部側および突出片532が袖パネル4の上端部よりも上方に突出している。固定片531の上部側および突出片532は、上枠25の枠孔部251に挿入される。
【0022】
図5、
図6および
図13に示すように、第2袖パネル固定部6は、第2縦枠27に固定される枠側固定部61と、袖パネル4に固定される袖側固定部62と、を有している。第2袖パネル固定部6は、第2縦枠27に固定された枠側固定部61に袖パネル4に固定された袖側固定部62が嵌め込まれることで、袖パネル4を第2縦枠27に固定している。
【0023】
図6、
図13および
図14枠側固定部61は、長尺の形材である。枠側固定部61は、上下方向に延びる向きで第2縦枠27(
図6および
図13参照)の建具幅方向の一方側の面(以下、袖パネル固定面271と表記する)に固定される。枠側固定部61の長さ寸法(上下方向の寸法)は、第2縦枠27の上下方向の寸法と略同じである。枠側固定部61は、第2縦枠27の上下方向の略全体にわたって設けられる。枠側固定部61は、室内外方向に対称となる形状である。
図13および
図14に示すように、枠側固定部61は、第2縦枠27に固定される枠側固定板部63と、枠側固定板部63から突出する第1外側突出板部64、第2外側突出板部65、第1内側突出板部66および第2内側突出板部67と、を有している。
【0024】
枠側固定板部63は、長尺の平板状である。枠側固定板部63は、上下方向に延びて板面が建具幅方向を向き、第2縦枠27の袖パネル固定面271に沿う姿勢で第2縦枠27に固定される。枠側固定板部63は、ネジ631で第2縦枠27に固定される。
【0025】
第1外側突出板部64は、枠側固定板部63の室外側の縁部から建具幅方向の一方側に突出している。第2外側突出板部65は、枠側固定板部63の室内側の縁部から建具幅方向の一方側に突出している。第1外側突出板部64と、第2外側突出板部65とは、室内外方向に対称な形状である。第1内側突出板部66および第2内側突出板部67は、それぞれ枠側固定板部63の室外側の中間部から建具幅方向の一方側に突出している。第1内側突出板部66は、第2内側突出板部67よりも室外側に間隔をあけて配置されている。第1内側突出板部66と、第2内側突出板部67とは、室内外方向に対称な形状である。第1内側突出板部66および第2内側突出板部67は、第1外側突出板部64および第2外側突出板部65よりも建具幅方向の一方側に突出している。
【0026】
図6、
図13および
図15に示すように、袖側固定部62は、第1袖側固定部7と、複数の第2袖側固定部8と、を有している。第1袖側固定部7および第2袖側固定部8は、ネジ621で袖パネル4に固定されている(
図13参照)。第1袖側固定部7は、長尺の形材である。第1袖側固定部7は、上下方向に延びる向きで袖パネル4の第2端面42に固定される。第1袖側固定部7の長さ寸法(上下方向の寸法)は、袖パネル4の上下方向の寸法と略同じである。第1袖側固定部7は、室内外方向に対称となる形状である。第1袖側固定部7は、袖パネル4に固定される第1袖側固定板部71と、それぞれ第1袖側固定板部71から突出する第1突出部72および第2突出部73と、を有している。
【0027】
第1袖側固定板部71は、長尺の平板状である。第1袖側固定板部71は、上下方向に延びて板面が建具幅方向を向き、袖パネル4の第2端面42に沿う姿勢で袖パネル4に固定される。
【0028】
第1突出部72は、第1袖側固定板部71の室外側の端部から建具幅方向の他方側(第2縦枠27側)に向かって突出している。第2突出部73は、第1袖側固定板部71の室内側の端部から建具幅方向の他方側に向かって突出している。第1突出部72と第2突出部73とは、室内外方向に対称である。第1突出部72は、第1袖側固定板部71の室外側の端部から建具幅方向の一方側に突出する第1突出板部721と、第1突出板部721の先端部から室内側に延びる第1見込み板部722と、第1見込み板部722の室内側の端部から建具幅方向の一方側に突出する第1爪部723と、を有している。第1爪部723の先端部(建具幅方向の一方側の端部)は、第1袖側固定板部71と離れている。
【0029】
第2突出部73は、第1突出部72の第1突出板部721、第1見込み板部722および第1爪部723と室内外方向に対称となる第2突出板部731、第2見込み板部732および第2爪部733を有している。
【0030】
複数の第2袖側固定部8は、第1突出板部721と第2突出板部731との間に上下方向に間隔をあけて嵌め込まれている。第2袖側固定部8は、袖パネル4に固定される第2袖側固定板部81と、それぞれ第2袖側固定板部81から突出する第3突出部82および第4突出部83と、を有している。
【0031】
第2袖側固定板部81は、平板状である。第2袖側固定板部81は、板面が建具幅方向を向き、第1袖側固定板部71の建具幅方向の他方側の面に重なって袖パネル4に固定される。第2袖側固定板部81の室外側の端部は、第1袖側固定板部71と第1突出板部721の角部74に接触している。第2袖側固定板部81の室内側の端部は、第1袖側固定板部71と第2突出板部731の角部75に接触している。
【0032】
第3突出部82は、第2袖側固定板部81の室外側の端部よりもやや室内側となる位置から建具幅方向の他方側に向かって突出している。第4突出部83は、第2袖側固定板部81の室内側の端部よりもやや室外側となる位置から建具幅方向の他方側に向かって突出している。第3突出部82と第4突出部83とは、室内外方向に対称である。第3突出部82は、第2袖側固定板部81の室外側の端部よりもやや室内側となる位置から建具幅方向の他方側に向かって突出する第3突出板部821と、第3突出板部821の建具幅方向の中間部から室内側に延びる第3爪部822と、を有している。第3突出板部821は、基端側が建具幅方向に延び、先端側が建具幅方向の他方側に向かって漸次室外側に向かうように斜め延びている。第3突出板部821の先端部は、第1突出板部721と第1見込み板部722との角部724に内側(建具幅方向の一方側)から接触している。
【0033】
第4突出部83は、第3突出部82の第3突出板部821および第3爪部822と室内外方向に対称となる第4突出板部831および第4爪部832を有している。第4突出板部831は、基端側が建具幅方向に延び、先端側が建具幅方向の他方側に向かって漸次室外側に向かうように斜め延びている。第4突出板部831の先端部は、第2突出板部731と第2見込み板部732との角部725に内側(建具幅方向の一方側)から接触している。
【0034】
第3爪部822と第4爪部832とは、室内外方向に間隔をあけて配置される。第3爪部822は、第1爪部723の建具幅方向の一方側に間隔をあけて配置されている。第4爪部832は、第2爪部733の建具幅方向の一方側に間隔をあけて配置されている。
【0035】
第2縦枠27に固定された枠側固定部61と、袖パネル4に固定された袖側固定部62とは、第2袖パネル固定部6の第1突出部72および第3突出部82と、第2突出部73および第4突出部83との間に、枠側固定部61の第1内側突出板部66および第2内側突出板部67を挿入させて嵌め込むことで固定される。枠側固定部61と袖側固定部62とが固定されると、第2袖パネル固定部6の第1爪部723および第3爪部822が枠側固定部61の第1内側突出板部66と接触し、袖パネル固定部の第2爪部733および第4爪部832が枠側固定部61の第2内側突出板部67と接触する。枠側固定部61の第1内側突出板部66および第2内側突出板部67の先端部が第2袖側固定板部81と接触する。枠側固定部61の第1外側突出板部64の先端部は、第1突出板部721と第1見込み板部722との角部724に外側(建具幅方向の他方側)から接触している。第2外側突出板部65の先端部は、第2突出板部731と第2見込み板部732との角部725に外側(建具幅方向の他方側)から接触している。
【0036】
親子ドア2をその枠部21を残したまま袖パネル付きドア1に改修する建具の改修方法について説明する。親子ドア2の親扉22および子扉23を枠部21から取り外す。親扉22が設けられていた位置に袖パネル付きドア1の扉体32を設置する(扉体設置工程)。扉体32は、ヒンジ321を介して第1縦枠26に固定するとともに、ドアクローザーを介して上枠25に固定する。
【0037】
子扉23が設けられていた位置に袖パネル4を設置する(袖パネル設置工程)。袖パネル4の第2端面42に袖側固定部62を固定する。第2縦枠27に枠側固定部61を固定する。袖パネル4を枠部21の内部に配置し、袖側固定部62と枠側固定部61とを嵌め合わせる。これにより、袖パネル4が第2縦枠27に固定される。
【0038】
下枠24の枠孔部241に下枠固定部材51のL字形部材53の下端部分を挿入するとともに、L字形部材53を袖パネル4の第1端面41の下端部分に固定する。L字形部材53の突出片532が枠孔部241の底部に固定できる高さにL字形部材53を配置する。下枠固定部材51の固定片531を袖パネル4に固定する。突出片532を枠孔部241の底部に固定する。L字形部材53の上部側を覆うようにカバー部材54を第1端面41に取り付ける。
【0039】
上枠25の枠孔部251に上枠固定部材52のL字形部材53の上端部分を挿入するとともに、L字形部材53を袖パネル4の第1端面41の上端部分に固定する。L字形部材53の突出片532が枠孔部251の底部に固定できる高さにL字形部材53を配置する。上枠固定部材52の固定片531を袖パネル4に固定する。突出片532を枠孔部251の底部に固定する。L字形部材53の下部側を覆うようにカバー部材54を第1端面41に取り付ける。このようにして袖パネル4が枠部21に固定され、既存の親子ドア2の枠部21に袖パネル付きドア1が設置される。
【0040】
上記の実施形態による建具構造および建具の改修方法は、第1袖パネル固定部5および第2袖パネル固定部6で袖パネル4を枠部21に固定する構成であるため、既存の親子ドア2の枠部21に袖パネル付きドア1の扉体32および袖パネル4を設置することができる。すなわち、リフォームなどで親子ドア2を袖パネル付きドア1に改修することができる。袖パネル4には、照明や収納などの各種機能部材を取り付け可能である。袖パネル4には、照明や電子錠、入退室の認証装置、収納の各種機能を付加することができる。このため、袖パネル4が設けられた玄関空間の機能性を向上させることができる。袖パネル4には、ハンドルのラッチや鍵なども取り付け可能であるため、袖パネル付きドア1に取り付けるハンドルや鍵の選択の幅を広げることができる。
【0041】
上記の実施形態による建具構造では、下枠24および上枠25には、それぞれ子扉23に設けられたフランス落としのロッドが挿入される枠孔部241,251が形成された受け金具242,252が設けられている。袖パネル付きドア1は、枠孔部241,251に挿入されるとともに袖パネル4に取り付けられる第1袖パネル固定部5を有している。このような構成とすることにより、下枠24および上枠25の枠孔部241,251を利用して袖パネル4を枠部21に容易にかつ確実に固定することができる。
【0042】
上記の実施形態による建具構造では、第2袖パネル固定部6は、第2縦枠27に取り付けられる枠側固定部61と、袖パネル4の第2端面42に設けられ枠側固定部61と固定される袖側固定部62と、を有する。このような構成とすることにより、袖パネル4を枠部21に容易に固定することができる。
【0043】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、袖パネル4を下枠24および上枠25に固定する袖パネル固定部の形態は、上記以外であってもよい。
【0044】
上記の実施形態では、袖パネル付きドア1は、第2縦枠27に取り付けられる枠側固定部61と、袖パネル4の第2端面42に設けられ枠側固定部61と固定される袖側固定部62と、が嵌り合う第2袖パネル固定部6を有している。第2袖パネル固定部6が袖パネル4を第2縦枠27に固定している。袖パネル4を第2縦枠27に固定する袖パネル固定部の形態は、上記以外であってもよい。
【0045】
上記の実施形態では、袖パネル4には、入退室の認証装置43、シリンダー錠44,45が設けられ、照明や電子錠、収納などの各種機能を付加することができる。袖パネル4に設けられる部材や、付加可能な機能は、上記以外であってもよい。袖パネル4が必ずしも上記のような機能を有していなくてもよい。
【0046】
上記の実施形態では、扉体32にハンドルのラッチが設けられ、袖パネル4にラッチ受けが設けられている。これに対し、袖パネル付きドア1をラッチの無い構成とすることもできる。一般的なラッチはハンドルの開閉操作と連動するため、扉体32にラッチを設けると、自動的にハンドルの位置も決まる。一方、フリーラッチと称されるラッチは、ハンドルの開閉操作と連動しない。扉体32および袖パネル4のいずれかにフリーラッチを設けるようにしてもよい。このようにすることにより、ハンドルの位置を自由に選択することができ、袖パネル付きドア1の意匠性を向上させることができる。
【0047】
上記の実施形態では、第2袖パネル固定部6の袖側固定部62は、第1袖側固定部7と複数の第2袖側固定部8とを有している。袖側固定部62は、1つの部材で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 袖パネル付きドア(建具構造)、2 親子ドア、4 袖パネル、5 第1袖パネル固定部(袖パネル固定部、枠孔挿入固定部)、6 第2袖パネル固定部(袖パネル固定部)、11 開口部、21 枠部、22 親扉、23 子扉、32 扉体、61 枠側固定部、62 袖側固定部、241,251 枠孔部