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特開2023-31650通信機器、通信機器の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031650
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】通信機器、通信機器の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20230302BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20230302BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
H04M11/00 303
H02J7/34 G
H02J9/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137271
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 賢二
(72)【発明者】
【氏名】大島 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 健了
(72)【発明者】
【氏名】花井 孝之
(72)【発明者】
【氏名】門野上 賢治
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
5K201
【Fターム(参考)】
5G015GB01
5G015JA52
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA05
5K201CC01
5K201CC08
5K201CC09
5K201EC03
5K201ED01
5K201ED07
5K201FA08
5K201FA10
(57)【要約】
【課題】
気象情報に基づき発生すると予想される故障から自身を保護することができる通信機器を提供する。
【解決手段】
バッテリを内蔵し、第1通信部が取得した雷発生情報が雷の発生を示す場合には、商用電源に代えてバッテリによる動作電圧を生成し、その後、第1通信部が取得した雷発生情報が雷の不発生を示す場合には、商用電源による動作電圧を生成する電源部が設けられ、電源部が商用電源による動作電圧の生成中には第1通信回線接続遮断部が第1通信回線と第1通信部との間を接続しかつ第2通信回線接続遮断部が第2通信回線と第2通信部との間を接続し、電源部がバッテリによる動作電圧の生成中には第1通信回線と第1通信部との間を遮断している時には第2通信回線と第2通信部との間を接続し、第1通信回線と第1通信部との間を接続している時には第2通信回線と第2通信部との間を遮断する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の電力供給線を介して供給される商用電源の交流電圧に基づいて動作電圧を生成し、前記動作電圧によって外部の第1通信回線又は第2通信回線を介して外部と通信を行う通信機器であって、
前記第1通信回線を介して通信を行う第1通信部と、
前記第2通信回線を介して通信を行う第2通信部と、
雷が発生しているか否かを示す雷発生情報を前記第1通信部に前記第1通信回線を介して取得させる制御部と、
前記第1通信回線と第1通信部との間を接続又は遮断する第1通信回線接続遮断部と、
前記第2通信回線と第2通信部との間を接続又は遮断する第2通信回線接続遮断部と、
バッテリを内蔵し、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の発生を示す場合には、前記商用電源に代えて前記バッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧を生成し、その後、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の不発生を示す場合には、前記バッテリに代えて前記商用電源の交流電圧に基づいて前記動作電圧を生成する電源部と、を含み、
前記電源部が前記商用電源の交流電圧に基づいた前記動作電圧の生成中には前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続しかつ前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続し、
前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中には前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を遮断している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続し、前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を遮断することを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記第1通信回線接続遮断部は、前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成を開始すると、前記第1通信回線と前記第1通信部との間を遮断し、前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中には一定時間毎に前記制御部が前記雷発生情報を取得するために前記第1通信回線と前記第1通信部との間を遮断状態から接続状態に切り替えることを特徴とする請求項1記載の通信機器。
【請求項3】
前記電源部は、前記商用電源の交流電圧に基づいた前記動作電圧の生成中には前記商用電源の交流電圧を用いて前記バッテリを充電させることを特徴とする請求項1又は2記載の通信機器。
【請求項4】
前記電源部は、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の発生を示す場合に前記バッテリの端子間電圧が既定値より低い時には、前記バッテリの充電によって前記バッテリの端子間電圧が前記既定値以上になった後に前記商用電源に代えて前記バッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧を生成することを特徴とする請求項3記載の通信機器。
【請求項5】
前記第1通信回線接続遮断部による前記第1通信回線と第1通信部との間の接続と遮断との切り替え、前記第2通信回線接続遮断部による前記第2通信回線と第2通信部との間の接続と遮断との切り替え、及び前記電源部の前記動作電圧の生成のための前記商用電源と前記バッテリとの切り替えは前記制御部によって制御されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1記載の通信機器。
【請求項6】
前記第2通信回線は電話回線からなり、
前記第2通信回線接続遮断部は、前記電話回線と前記第2通信部との間を遮断している時には直通電話機が接続された専用回線と前記電話回線との間を接続することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1記載の通信機器。
【請求項7】
前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の発生を示す場合に、時刻が予め設定された所定の時間帯以外であるならば、前記電源部は前記商用電源の交流電圧に基づいた前記動作電圧を生成し続け、前記第1通信回線接続遮断部は前記第1通信回線と前記第1通信部との間を遮断し、前記第2通信回線接続遮断部は、前記第電話回線と前記第2通信部との間を遮断し、前記専用回線と前記電話回線との間を接続することを特徴とする請求項6記載の通信機器。
【請求項8】
外部の第1通信回線を介して外部と通信を行う第1通信部と、
外部の第2通信回線を介して外部と通信を行う第2通信部と、
前記第1通信回線と第1通信部との間を接続又は遮断する第1通信回線接続遮断部と、
前記第2通信回線と第2通信部との間を接続又は遮断する第2通信回線接続遮断部と、
外部の電力供給線を介して供給される商用電源の交流電圧に基づいて外部と通信を行うための動作電圧を生成する電源部と、を含む通信機器の制御方法であって、
雷が発生しているか否かを示す雷発生情報を前記外部から前記第1通信回線を介して前記第1通信部が取得するステップと、
前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の発生を示す場合には、前記商用電源に代えてバッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧を生成するステップと、
前記バッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧の生成後、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の不発生を示す場合には、前記バッテリに代えて前記商用電源の交流電圧に基づいて前記動作電圧を生成するステップと、
前記電源部が前記商用電源の交流電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続しかつ前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続するステップと、
前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を遮断している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続するステップと、
前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を遮断するステップと、を含むことを特徴とする通信機器の制御方法。
【請求項9】
外部の第1通信回線を介して外部と通信を行う第1通信部と、
外部の第2通信回線を介して外部と通信を行う第2通信部と、
前記第1通信回線と第1通信部との間を接続又は遮断する第1通信回線接続遮断部と、
前記第2通信回線と第2通信部との間を接続又は遮断する第2通信回線接続遮断部と、
外部の電力供給線を介して供給される商用電源の交流電圧に基づいて外部と通信を行うための動作電圧を生成する電源部と、を含む通信機器の制御方法のためのプログラムであって、コンピュータに、
雷が発生しているか否かを示す雷発生情報を前記外部から前記第1通信回線を介して前記第1通信部が取得するステップと、
前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の発生を示す場合には、前記商用電源に代えてバッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧を生成するステップと、
前記バッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧の生成後、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の不発生を示す場合には、前記バッテリに代えて前記商用電源の交流電圧に基づいて前記動作電圧を生成するステップと、
前記電源部が前記商用電源の交流電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続しかつ前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続するステップと、
前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を遮断している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続するステップと、
前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を遮断するステップと、を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、気象に応じて消費電力を抑制する電気機器の制御方法が開示されている。この制御方法は、ユーザが携帯する端末の移動経路を算出する経路算出ステップと、移動経路上の気象に関する情報を含む気象情報を取得する取得ステップと、取得ステップで取得した気象情報を経路算出ステップで算出した移動経路に沿って累積することで累積気象情報を算出する累積ステップと、累積気象情報に基づいてユーザが気象から受けた影響の大きさを算出し、算出した大きさに応じて電気機器を制御するための設定を電気機器に行う機器設定ステップとを含んでいる。この制御方法では、気象から受ける影響を小さくすることにより電気機器の消費電力をより大きく抑制させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/050067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された電気機器の制御方法では、気象情報に基づき電気機器の消費電力を抑える制御を行っているだけであり、電気機器の故障に繋がるような情報を入手しても電気機器の故障の発生自体を保護できるものではなかった。電気機器の中でも特に、通信機器のように電力供給線の他に通信回線と外線への接続が必要な場合において雷の発生時にサージ電流が通信回線及び外線を介して混入することから機器を保護する必要があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、このような課題に着目し、気象情報に基づき発生すると予想される故障から自身を保護することができる通信機器、通信機器の制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の通信機器は、外部の電力供給線を介して供給される商用電源の交流電圧に基づいて動作電圧を生成し、前記動作電圧によって外部の第1通信回線又は第2通信回線を介して外部と通信を行う通信機器であって、前記第1通信回線を介して通信を行う第1通信部と、前記第2通信回線を介して通信を行う第2通信部と、雷が発生しているか否かを示す雷発生情報を前記第1通信部に前記第1通信回線を介して取得させる制御部と、前記第1通信回線と第1通信部との間を接続又は遮断する第1通信回線接続遮断部と、前記第2通信回線と第2通信部との間を接続又は遮断する第2通信回線接続遮断部と、バッテリを内蔵し、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の発生を示す場合には、前記商用電源に代えて前記バッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧を生成し、その後、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の不発生を示す場合には、前記バッテリに代えて前記商用電源の交流電圧に基づいて前記動作電圧を生成する電源部と、を含み、前記電源部が前記商用電源の交流電圧に基づいた前記動作電圧の生成中には前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続しかつ前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続し、前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中には前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を遮断している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続し、前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を遮断することを特徴としている。
【0007】
本発明の通信機器の制御方法は、外部の第1通信回線を介して外部と通信を行う第1通信部と、外部の第2通信回線を介して外部と通信を行う第2通信部と、前記第1通信回線と第1通信部との間を接続又は遮断する第1通信回線接続遮断部と、前記第2通信回線と第2通信部との間を接続又は遮断する第2通信回線接続遮断部と、外部の電力供給線を介して供給される商用電源の交流電圧に基づいて外部と通信を行うための動作電圧を生成する電源部と、を含む通信機器の制御方法であって、雷が発生しているか否かを示す雷発生情報を前記外部から前記第1通信回線を介して前記第1通信部が取得するステップと、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の発生を示す場合には、前記商用電源に代えてバッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧を生成するステップと、前記バッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧の生成後、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の不発生を示す場合には、前記バッテリに代えて前記商用電源の交流電圧に基づいて前記動作電圧を生成するステップと、前記電源部が前記商用電源の交流電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続しかつ前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続するステップと、前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を遮断している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続するステップと、前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を遮断するステップと、を含むことを特徴としている。
【0008】
本発明のプログラムは、外部の第1通信回線を介して外部と通信を行う第1通信部と、
外部の第2通信回線を介して外部と通信を行う第2通信部と、前記第1通信回線と第1通信部との間を接続又は遮断する第1通信回線接続遮断部と、前記第2通信回線と第2通信部との間を接続又は遮断する第2通信回線接続遮断部と、外部の電力供給線を介して供給される商用電源の交流電圧に基づいて外部と通信を行うための動作電圧を生成する電源部と、を含む通信機器の制御方法のためのプログラムであって、コンピュータに、雷が発生しているか否かを示す雷発生情報を前記外部から前記第1通信回線を介して前記第1通信部が取得するステップと、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の発生を示す場合には、前記商用電源に代えてバッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧を生成するステップと、前記バッテリの端子間電圧に基づいて前記動作電圧の生成後、前記第1通信部が取得した前記雷発生情報が雷の不発生を示す場合には、前記バッテリに代えて前記商用電源の交流電圧に基づいて前記動作電圧を生成するステップと、前記電源部が前記商用電源の交流電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続しかつ前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続するステップと、前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を遮断している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を接続するステップと、前記電源部が前記バッテリの端子間電圧に基づいた前記動作電圧の生成中に前記第1通信回線接続遮断部が前記第1通信回線と前記第1通信部との間を接続している時には前記第2通信回線接続遮断部が前記第2通信回線と前記第2通信部との間を遮断するステップと、を実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の通信機器、通信機器の制御方法及びプログラムによれば、気象情報として雷発生情報に基づいて雷発生時には外部とは最小限接続にした保護動作中となるので、通信機器内への外部からサージ電流の侵入の防止を図ることができ、予想される故障から通信機器を保護することができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の通信機器を含む通信システムの基本構成を示すブロック図である。
図2図1のシステム中の気象情報サーバから得られる雷ナウキャスト情報が示す活発度と雷の状況を示す図
図3図1のシステム中の通信機器の構成を示すブロック図である。
図4図3の通信機器内の制御部がソフトウエアの実行により形成する構成を示すブロック図である。
図5A図3の通信機器内の制御部の動作例を示すフローチャートである。
図5B図5Aのフローチャートの続き部分を示すである。
図6A図3の通信機器内の制御部の動作の別例を示すフローチャートである。
図6B図6Aのフローチャートの続き部分を示すである。
図6C図6Aのフローチャートの続き部分を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明が適用された通信機器10を含む通信システムの基本構成を示している。かかる通信システムは、通信機器10の他に、PC(パーソナルコンピュータ)11及び気象情報サーバ12を有している。通信機器10とPC11とはLAN(ローカルエリアネットワーク)回線21(第1通信回線)に接続され、LAN回線21を介して互いに通信可能にされている。PC11と気象情報サーバ12とはインターネット回線22に接続され、インターネット回線22を介して互いに通信可能にされている。
【0013】
通信機器10は、図3に示されるように、LAN回線21の他に、電話回線23(第2通信回線)及び専用回線24に接続されている。電話回線23は公衆電話回線と言われる固定電話用の有線電話回線、及び携帯電話用の無線電話回線を含む。専用回線24には非常時用の直通電話機48が接続された回線であり、電話回線23から独立した回線である。また、通信機器10には商用の交流電力が外部から電力供給線25によって供給される。例えば、通信システムは会社内の通信システムであり、通信機器10は、会社内の設備であるボタン電話装置や構内交換機であってもよい。
【0014】
PC11は通信機器10の制御サーバであり、通信機器10とインターネット回線22上の通信装置との間の通信を制御する。通信装置には気象情報サーバ12の他、通信端末が含まれる。
【0015】
気象情報サーバ12は本実施例では、気象庁の雷ナウキャスト情報(雷発生情報)を提供するサーバとする。雷ナウキャスト情報は領域毎に1~4の活動度で表される。図2に示すように、活動度1では雷は発生していないが、雷の可能性があり、活動度2では雷あり、活動度3ではやや激しい雷、活動度4では激しい雷を表している。
【0016】
なお、本発明では気象情報サーバ12を気象庁のサーバに限定せず、例えば、民間の気象情報提供会社のサーバでも良い。
【0017】
通信機器10は、図3に示されるように、制御部31、通信部32(第1通信部)、ROM(リードオンリメモリ)33、RAM(ランダムアクセスメモリ)34、記憶部35、タイマ36、RTC(Real-Time Clock:リアルタイムクロック)37、外線インタフェース(I/F)回路38(第2通信部)、LAN遮断回路39(第1通信回線接続遮断部)、電話切替回路40(第2通信回線接続遮断部)、及び電源部41を有している。制御部31、通信部32、ROM33、RAM34、記憶部35、タイマ36、RTC37、外線I/F回路38、LAN遮断回路39、電話切替回路40、及び電源部41内の電源切替回路45はバス47に接続され、バス47を介して指令やデータを交換することができる。
【0018】
制御部31は、CPU(中央処理装置)を含むコンピュータであり、ROM33に予め書き込まれたプログラムを実行することにより動作する。図4に示すように、制御部31にはプログラムの実行により、制御情報受信部51、制御情報記憶部52、アプリケーション部53、制御指示部54、システム制御部55、時間管理部56、AC/バッテリ切替制御部57、AC電力遮断制御部58、LAN通信遮断制御部59、及び外線通信遮断制御部60が形成される。
【0019】
通信部32は制御部31の制御によってLAN回線21を介して通信を行う。気象情報サーバ12が提供する雷ナウキャスト情報はインターネット回線22、PC11、そしてLAN回線21を介して得られる。
【0020】
外線I/F回路38は制御部31の制御によって電話回線23を介した通信を行う。後述するように、通信部32とLAN回線21との間にはLAN遮断回路39が配置され、外線I/F回路38と電話回線23との間には電話切替回路40が配置されている。
【0021】
LAN遮断回路39は、通信部32のLAN端子に接続されると共に、LAN回線21に接続されている。LAN遮断回路39は制御部31の指令に応じて通信部32とLAN回線21との接続を遮断する。通信部32は通常運用状態下ではLAN遮断回路39を介してLAN回線21に通信可能に接続されているが、LAN遮断回路39が遮断動作すると通信部32とLAN回線21との接続が遮断される。LAN遮断回路39は例えば、オンオフスイッチ回路でも良い。
【0022】
電話切替回路40は、外線I/F回路38の外線端子に接続されると共に、電話回線23及び専用回線24の各々に接続されている。電話切替回路40は制御部31の指令に応じて電話回線23を外線I/F回路38の接続回線と専用回線24とのいずれか一方に切り替える。すなわち、電話切替回路40は、電話回線23を外線I/F回路38に接続した状態において制御部31の指令に応じて電話回線23の接続先を外線I/F回路38から専用回線24に切り替え、電話回線23を専用回線24に接続した状態において制御部31の指令に応じて電話回線23の接続先を専用回線24から外線I/F回路38に切り替える。専用回線24に切り替えられた状態では電話回線23の外線I/F回路38への接続が遮断される。
【0023】
電源部41は、通信機器10内の制御部31、通信部32、ROM33、RAM34、記憶部35、タイマ36、RTC37、外線I/F回路38、LAN切替回路39、及び電話切替回路40の各々に動作電圧を供給する。
【0024】
電源部41は、AC電源回路42、DC電源回路43、バッテリ44、電源切替回路45、及び電圧検出回路46を有している。AC電源回路42は電源切替回路45に接続されており、交流電力を電源切替回路45から受け入れ、変圧及び整流して出力する。AC電源回路42の出力にはDC電源回路43が接続されている。DC電源回路43は、定電圧回路であり、DC出力端子を有すると共にバッテリ44に接続されている。DC出力端子は、図示しないが、上記した通信機器10内の制御部31、通信部32、ROM33、RAM34、記憶部35、タイマ36、RTC37、外線I/F回路38、LAN切替回路39、及び電話切替回路40の各々の電源入力端に接続されている。DC電源回路43は、AC運転時にはAC電源回路42の出力直流電圧を定電圧化して動作電圧としてDC出力端子から出力する一方、その直流電圧をバッテリ44に供給してバッテリ44を充電させる。また、DC電源回路43は、バッテリ運転時にはバッテリ44の正負端子間の電圧であるバッテリ電圧を定電圧化してDC出力端子から出力する。AC運転及びバッテリ運転は制御部31の指令によっていずれかに選択的に設定される。電源切替回路45は、制御部31の指令を受けてAC運転の運転モード時には電力供給線25を介して供給される交流電力をAC電源回路42に中継供給し、バッテリ運転の運転モード時に交流電力のAC電源回路42への供給を遮断する。また、電源切替回路45は、バッテリ運転時にはDC電源回路43に対してバッテリ44の充電を中止させ、バッテリ44の出力電圧を受け入れてそれを定電圧化させて動作電圧としてDC出力端子から出力させる。
【0025】
電圧検出回路46はバッテリ44のバッテリ電圧を検出する。バッテリ電圧は、制御部31によって電圧検出回路46から読み出し可能にされており、ディジタルデータとしてバス47を介して制御部31に供給される。
【0026】
次に、かかる構成の通信システムにおいて通信機器10内のLAN遮断回路39、電話切替回路40及び電源切替回路45に対する制御部31の制御動作を、図5A及び図5Bに示した制御部31の動作フローチャートに従って説明する。
【0027】
先ず、通常運用時にはLAN遮断回路39はLAN回線21の通信部32への接続状態(LAN接続状態)にあり、電話切替回路40は電話回線23の外線I/F回路38への接続状態(外線接続状態)にあり、電源切替回路45は電力供給線25のAC電源回路42への接続状態(AC運転状態)にある(ステップS11)。通信機器10ではLAN接続状態にはPC11及びインターネット回線22を介してインターネット回線22に接続された気象情報サーバ12を含む通信装置と通信可能である。外線接続状態には電話回線23を使用した通話を含む外線通信が可能となる。
【0028】
AC運転状態は、通信機器10の運転モードを表している。AC運転ではAC電源回路42に交流電源の交流電圧が電源切替回路45を介して供給されるので、AC電源回路42は入力交流電圧を変圧及び整流してDC電源回路43に供給し、DC電源回路43はAC電源回路42の出力直流電圧を定電圧化してDC出力端子から通信機器10内の各部へ供給する。
【0029】
なお、図5に示された各ステップの実行時点において外部との接続を要する、AC運転状態にあるならば「AC」、LAN接続状態にあるならば「LAN」、外線接続状態ときには「外線」と括弧書きで示されている。
【0030】
制御部31は所定の時間(例えば、10分)毎に気象情報サーバ12から通信機器10が位置する領域(地域)の雷ナウキャスト情報を受信し、受信した雷ナウキャスト情報から2以上の活動度であるか否かを判別する(ステップS12)。ステップS12は例えば、制御情報受信部51及び制御情報記憶部52によって行われる。通常運用時にはLAN接続状態であるので、雷ナウキャスト情報は気象情報サーバ12へアクセスすることにより得られる。上述したように、雷ナウキャスト情報には活動度が含まれている。ステップS12において雷ナウキャスト情報から得られた活動度が1以下であるならば、制御部31はステップS12を繰り返し実行する。
【0031】
一方、雷ナウキャスト情報から得られた活動度が2以上であるならば、現在、既に雷が発生しており落雷の可能性がある。この場合には制御部31はバッテリ電圧が既定値以上であるか否かを判別する(ステップS13)。バッテリ電圧は電圧検出回路46から得られる。既定値は本通信機器10のバッテリ運転が可能な電圧値である。バッテリ電圧が既定値以上であるならば、制御部31は、電源切替回路45に対して運転モードのAC運転からバッテリ運転への切替えを指令し(ステップS14)、更に、LAN遮断回路39に対してLAN回線21の接続遮断を指令する(ステップS15)。例えば、ステップS14は制御指示部54、AC/バッテリ切替制御部57及びAC電力遮断制御部58によって実行され、ステップS15は制御指示部54、LAN通信遮断制御部59によって実行される。
【0032】
ステップS14では、制御部31のバッテリ運転への切替指令に応答して電源切替回路45が、交流電力のAC電源回路42への供給を遮断し、DC電源回路43に対してバッテリ44の充電を中止させ、バッテリ44の出力電圧を受け入れてそれを定電圧化させてDC出力端子から出力させる。よって、通信機器10はバッテリ運転状態となる。
【0033】
ステップS15では、制御部31のLAN回線遮断指令に応答してLAN遮断回路39が、通信部32のLAN回線21への接続を遮断する。よって、通信機器10はバッテリ運転下の外線接続状態だけの保護動作中となる。このような保護動作中にはLAN回線21との接続遮断は気象情報サーバ12へのアクセスができなくなるので、新規の雷ナウキャスト情報を受信することができなくなる。この時点では電話回線23を用いる通信だけは可能である。
【0034】
制御部31は、ステップS15の実行後、雷ナウキャスト情報を受信できない状態のままで一定時間(例えば、10分)が経過したか否かを判別する(ステップS16)。例えば、ステップS16は時間管理部56によってタイマ36を利用して実行される。タイマ36の計測により一定時間が経過したならば、制御部31は、電話切替回路40に対して専用回線24への接続先の切替えを指令し、LAN遮断回路39に対してLAN回線21との接続復旧を指令する(ステップS17)。例えば、ステップS17は外線通信遮断制御部60及びLAN通信遮断制御部59によって実行される。電話切替回路40は専用回線24への接続先の切替指令に応答して電話回線23の接続先を外線I/F回路38から専用回線24、すなわち直通電話機48に切り替え、LAN遮断回路39は制御部31のLAN回線復旧指令に応答して通信部32のLAN回線21への接続(LAN接続状態)を復旧させる。よって、通信機器10では電話回線23を使用した通話を含む外線通信が不可能とされ、専用回線24を使用した直通電話機48による通話だけが可能となる。また、LAN回線21との接続復旧は気象情報サーバ12へのアクセスを可能にする。
【0035】
制御部31は、上記したステップS13においてバッテリ電圧が既定値より低いと判別した場合には、LAN遮断回路39に対してLAN回線21の接続遮断を指令する(ステップS25)。このステップS25はステップS15と同一であり、LAN遮断回路39が通信部32のLAN回線21への接続を遮断する。ステップS25の実行後、制御部31は外線通信の不使用中であるか否かを判別する(ステップS26)。通信機器10は外線接続状態にあるので、外線I/F回路38が送受信動作中であれば、外線通信の使用中である。制御部31は外線通信の使用中であれば、外線通信が不使用中になるまでステップS26を繰り返し判別する。一方、制御部31は外線通信の不使用中であれば、電話切替回路40に対して専用回線24への接続先の切替えを指令する(ステップS27)。電話切替回路40は接続先切替指令に応答して電話回線23の接続先を外線I/F回路38から専用回線24に切り替える。よって、専用回線24を使用した直通電話機48による外線通話だけが可能となる。この段階では通信機器10はAC運転状態である。
【0036】
制御部31は、ステップS27の実行後、バッテリ電圧が既定値以上であるか否かを判別する(ステップS28)。電圧検出回路46から得られるバッテリ電圧が既定値以上であるならば、制御部31は、電源切替回路45に対して運転モードのAC運転からバッテリ運転への切替えを指令し(ステップS29)、更に、電話切替回路40に対して電話回線23の接続先の外線I/F回路38への切替えを指令する(ステップS30)。ステップS29はステップS14と同一である。ステップS30の接続先切替指令に応答して電話切替回路40は電話回線23の接続先を専用回線24から外線I/F回路38に切り替え、これにより通信機器10の電話接続は外線接続状態に復旧する。ステップS30の電話回線23への切替後、制御部31はステップS16の判別に移行する。このようにバッテリ電圧が既定値より低いと判別した場合には通信機器10は、バッテリ44の充電によりバッテリ電圧が既定値以上となることを待ってバッテリ運転下の外線接続状態だけの保護動作中となる。
【0037】
なお、ステップS28において電圧検出回路46から得られるバッテリ電圧が既定値より低い場合には、バッテリ44の充電が進むことによりバッテリ電圧が既定値以上となるまでステップS28の判別が繰り返される。
【0038】
制御部31は、ステップS17の実行後、気象情報サーバ12から通信機器10が位置する領域(地域)の雷ナウキャスト情報を受信し、受信した雷ナウキャスト情報から1以下の活動度であるか否かを判別する(ステップS18)。ステップS18の実行時にはLAN接続状態であるので、雷ナウキャスト情報は気象情報サーバ12へアクセスすることにより得られる。ステップS18において受信した雷ナウキャスト情報から得られた活動度が1以下であるならば、制御部31は電話切替回路40に対して電話回線23の接続先の切替えを指令する(ステップS19)。電話切替回路40は電話回線23の接続先の切替指令に応答して電話回線23の接続先を専用回線24から外線I/F回路38に切り替え、これにより通信機器10は外線接続状態に復旧する。
【0039】
また、制御部31は電源切替回路45に対して電力供給線25の遮断解除を指令し(ステップS20)、交流電源電圧が一定期間検出されたか否かを判別する(ステップS21)。ステップS20では、制御部31の電力供給線遮断解除指令に応答して電源切替回路45が、電力供給線25の遮断解除を行い、ステップS21では電力供給線25から交流電源電圧を一定時間に亘って検出した場合には交流電源電圧の入力を示す応答信号を制御部31に供給し、電力供給線25から交流電源電圧を一定時間に亘って検出しなかった場合には交流電源電圧の非入力を示す応答信号を制御部31に供給する。なお、電源切替回路45は交流電源電圧の有無を検出するために交流検出素子(図示せず)を内蔵する。
【0040】
制御部31は交流電源電圧が一定期間検出されたことを示す応答信号に応じて電源切替回路45に対して運転モードをバッテリ運転からAC運転への切替えを指令する(ステップS22)。ステップS22の実行により電源切替回路45は電力供給線25からの交流電力によりAC電源回路42を動作させ、それによりDC電源回路43にはAC電源回路42の出力電圧が供給されるので、DC電源回路43は、バッテリ4によるバッテリ電圧に代えてAC電源回路42の出力直流電圧を定電圧化してDC出力端子から出力する。AC電源回路42の出力直流電圧はバッテリ44に供給され、バッテリ44を充電させる。よって、ステップS22の実行後、通信機器10は通常運用に戻り、AC運転状態、外線接続状態、LAN接続状態となり、制御部31の動作はステップS11に移行する。
【0041】
一方、制御部31は、ステップS21において交流電力が一定期間検出されなかったことを示す応答信号を受け取った場合には電源切替回路45に対してバッテリ運転の継続を指令し(ステップS23)、ステップS21に戻って交流電力が一定期間検出されたか否かを判別する。
【0042】
ステップS18の判別において、受信した雷ナウキャスト情報から1以下の活動度でない場合、すなわち、雷が発生して以来、活動度が低下せず、未だ2以上である場合には、バッテリ運用中のためバッテリ電圧が過放電電圧以下まで低下したか否かを判別する(ステップS31)。過放電電圧はバッテリ44の蓄電電荷の減少によりバッテリ44の出力電圧では通信機器10を動作させることが不可能な電圧レベルである。バッテリ電圧が過放電電圧より高い場合には、制御部31は、LAN遮断回路39に対してLAN回線21の接続遮断を指令し、電話切替回路40に対して電話回線23の接続先の外線I/F回路38への切替えを指令する(ステップS32)。ステップS32の実行によりLAN遮断回路39が通信部32のLAN回線21への接続を遮断し、電話切替回路40は電話回線23の接続先を専用回線24から外線I/F回路38へ切り替え、これにより通信機器10は外線接続状態に復旧する。
【0043】
ステップS32においてバッテリ電圧が過放電電圧以下であると判別した場合には、制御部31は、LAN遮断回路39に対してLAN回線21の接続遮断を指令し(ステップS33)、電源切替回路45に対して運転モードをバッテリ運転からAC運転への切替えを指令する(ステップS34)。ステップS33の実行により通信機器10はLAN接続状態ではなくなるので、雷ナウキャスト情報を受信できない状態である。ステップS34の実行により電源切替回路45は電力供給線25からの交流電力によりAC電源回路42を動作させ、それによりDC電源回路43にはAC電源回路42の出力電圧が供給されるので、DC電源回路43は、バッテリ44によるバッテリ電圧に代えてAC電源回路42の出力直流電圧を定電圧化してDC出力端子から出力する。AC電源回路42の出力直流電圧はバッテリ44に供給され、バッテリ44を充電させる。よって、ステップS34の実行後、通信機器10はAC運転状態となる。
【0044】
制御部31はAC運転状態下で、雷ナウキャスト情報を受信できない状態で一定時間が経過したか否かを判別する(ステップS35)。一定時間が経過したならば、制御部31は、バッテリ電圧が動作可能電圧以上まで上昇したか否かを判別する(ステップS36)。動作可能電圧は例えば、既定値より低く、過放電電圧より高い電圧である。バッテリ電圧が動作可能電圧より低いならば、バッテリ電圧が動作可能電圧以上となるまで制御部31はステップS36を繰り返し実行する。一方、バッテリ電圧が動作可能電圧より低いならば、制御部31は電源切替回路45に対して運転モードのAC運転からバッテリ運転への切替えを指令し(ステップS37)、更に、LAN遮断回路39に対してLAN回線21との接続の復旧を指令する(ステップS38)。
【0045】
ステップS37では、制御部31のバッテリ運転への切替指令に応答して電源切替回路45が、交流電力のAC電源回路42への供給を遮断し、DC電源回路43に対してバッテリ44の充電を中止させ、バッテリ44の出力電圧を受け入れてそれを定電圧化させてDC出力端子から出力させる。よって、通信機器10はバッテリ運転状態となる。ステップS38では、LAN遮断回路39は制御部31のLAN回線復旧指令に応答して通信部32のLAN回線21への接続(LAN接続状態)を復旧させる。LAN回線21との接続復旧は気象情報サーバ12へのアクセスを可能にする。制御部31はステップS38の実行後、ステップS18の判別に移行する。
【0046】
このように、通信機器10が通常運用時に、受信した雷ナウキャスト情報が2以上の活動度を示す場合にはバッテリ電圧が既定値以上であれば、通信機器10はバッテリ運転となり、ステップS15のようにLAN回線21を遮断することにより外部とは電話回線23との外線接続状態だけとなる。よって、通信機器10は活動度2以上では外部とは外線接続状態だけの最小限接続にした保護動作中となるので、通信機器10内への外部からサージ電流の侵入の防止を図ることができる。
【0047】
しかしながら、この外線接続状態だけでは、雷ナウキャスト情報を受信することができないので、一定時間が経過する毎に、ステップS17のように外線I/F回路38の電話回線23との接続を遮断し専用回線24による直通電話機48の利用とし、通信機器10はLAN接続状態だけのとして、雷ナウキャスト情報をLAN回線21を介して受信することが行われる。よって、保護動作中の雷ナウキャスト情報のチェックの際にも外部とはLAN接続状態だけの最小限接続にした保護動作中となるので、通信機器10内への外部からサージ電流の侵入の防止を図ることができる。
【0048】
保護動作中に受信した雷ナウキャスト情報から得られた活動度が1以下である場合には、ステップS19のように直通電話機48の利用を止めて電話回線23による外線接続状態が復旧することが行われ、また、電力供給線25からの交流電力が得られるならば、直ちに通信機器10はバッテリ運転からAC運転に復旧して通常運用に戻ることができる。
【0049】
上記した実施例においては、通常運用時に保護動作への移行を勤務時間中(予め設定された所定の時間帯)に限定しても良い。通信機器10が構内交換機の場合、勤務時間、休日、祝日等の設定が可能であり、勤務時間、つまり就業時間を予め所定の時間帯として設定しておくことができる。例えば、図6A図6Cに示すように、ステップS12において受信した雷ナウキャスト情報が2以上の活動度を示す場合に、制御部31は現時刻が勤務時間内であるか否かを判別し(ステップS51)、RTC37から得られる現時刻が勤務時間内(予め設定された所定の時間帯)の時刻であるならば、ステップS13以降を実行して保護動作にするようにしても良い。なお、図6A図6Cの各ステップにおいて図5A及び図5Bのステップと同一動作部分については同一符号が付されている。図5AのステップS17においては、図6Aでは制御部31は外線通信の不使用中であるか否かを判別し(ステップS17a)、外線通信の不使用中であれば、電話切替回路40に対して専用回線24への接続先の切替えを指令し(ステップS17b)、LAN遮断回路39に対してLAN回線21との接続復旧を指令する(ステップS17c)ことが行われる。
【0050】
制御部31は、ステップS51において現時刻が勤務時間外(予め設定された所定の時間帯以外)であるならば、図6Cに示すように、LAN遮断回路39に対してLAN回線21の接続遮断を指令し(ステップS52)、電話回線23による外線通信の不使用中であるか否かを判別し(ステップS53)、外線通信の不使用中であれば、電話回線23の接続先を外線I/F回路38から専用回線24への切替えを指令し(ステップS54)、その後、現時刻が勤務時間内であるか否かを判別する(ステップS55)。例えば、RTC37から得られる現時刻が勤務時間内の時刻であるならば、制御部31は、バッテリ電圧が既定値以上であるか否かを判別し(ステップS56)、バッテリ電圧が既定値以上であるならば、電源切替回路45に対して運転モードのAC運転からバッテリ運転への切替えを指令し(ステップS57)、ステップS17cに移行する。このように現時刻が勤務時間外であるならば、LAN回線21を直ちに遮断する一方、そのとき電話回線23を使用中の場合には不使用状態になってから電話回線23の遮断が実行される。ただし、ステップS55のように現時刻が勤務時間外である限りAC運転は維持される。
【0051】
こうすることにより、勤務時間前、つまり就業開始前の朝方に雷発生が検出された場合に、バッテリ充電を優先することで、終業開始後も雷発生が継続して検出された場合に、バッテリでの運用時間を延ばすことになり、朝方の勤務時間では外線通話が通常運用できる時間を確保することもできる。
【0052】
なお、通信システムは宅内の通信システムであり、通信機器10としては、LAN端子等の外部通信端子を有するテレビ装置等のAV(オーディオビジュアル)機器又は家電機器、更にはパーソナルコンピュータやホームゲートウェイ等のその周辺機器でも良い。
【0053】
通信システムが宅内の通信システムであり、通信機器10がホームゲートウェイ等の場合も同様に、予め所定の時間帯を設定し、現時刻が予め設定された所定の時間帯であるか、予め設定された所定の時間帯以外であるかを判別できるような機能を設け、予め所定の時間帯として起床時間帯を設定することにより、通常運用時に保護動作への移行を起床中(予め設定された所定の時間帯)に限定しても良い。
【符号の説明】
【0054】
10 通信機器
11 PC
12 気象情報サーバ
21 LAN回線
22 インターネット回線
23 電話回線
24 専用回線
25 電力供給線
31 制御部
32 通信部
33 ROM
34 RAM
35 記憶部
36 タイマ
37 RTC
38 外線I/F回路
39 LAN遮断回路
40 電話切替回路
41 電源部
42 AC電源回路
43 DC電源回路
44 バッテリ
45 電源切替回路
46 電圧検出回路
47 バス
48 直通電話機
51 制御情報受信部
52 制御情報記憶部
53 アプリケーション部
54 制御指示部
55 システム制御部
56 時間管理部
57 AC/バッテリ切替制御部
58 AC回路遮断制御部
59 LAN通信遮断制御部
60 外線通信遮断制御部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C