(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031655
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】決済受付装置、読取装置、決済処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/20 20120101AFI20230302BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20230302BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
G06Q20/20
G07G1/00 311D
G07G1/12 331Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137277
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】竹添 大介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 邦彦
【テーマコード(参考)】
3E142
5L055
【Fターム(参考)】
3E142FA08
3E142GA35
3E142KA16
5L055AA42
(57)【要約】
【課題】電子決済に使用する読取装置や決済受付装置が故障した場合における違算障害の発生を少なくする。
【解決手段】決済受付装置に、少なくともカード型の記録媒体又は通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される接続部と、情報に基づいて電子決済情報を生成し、決済センターに送信する電子決済部と、読取装置における故障の発生を受け付ける故障受付部とを設ける。ここでの電子決済部は、読取装置が故障した場合、情報の少なくとも一部を含む利用明細書を読取装置から取得して精算処理を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともカード型の記録媒体又は通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される接続部と、
前記情報に基づいて電子決済情報を生成し、決済センターに送信する電子決済部と、
前記読取装置における故障の発生を受け付ける故障受付部と、
を有し、
前記電子決済部は、前記読取装置が故障した場合、前記情報の少なくとも一部を含む利用明細書を前記読取装置から取得して精算処理を実行する、
決済受付装置。
【請求項2】
特定の電子決済種別に関する読取ログを記憶する記憶部を更に有し、
前記電子決済部は、前記読取ログに基づいて、前記特定の電子決済種別に関する精算処理を実行する、
請求項1に記載の決済受付装置。
【請求項3】
前記精算処理は、前記利用明細書を、前記決済センターへ送信する処理を含む、
請求項1又は2に記載の決済受付装置。
【請求項4】
少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取部、又は、少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取装置と接続される接続部と、
前記情報に基づいて電子決済情報を生成し、決済センターに送信する電子決済部と、
前記情報の少なくとも一部を含む読取ログを記憶する記憶部と、
自装置における故障の発生を受け付ける故障受付部と、
を有し、
前記電子決済部は、自装置が故障した場合、前記読取ログを前記記憶部から取得して精算処理を実行する、
決済受付装置。
【請求項5】
前記精算処理は、前記読取ログから生成された利用明細書を、前記決済センターへ送信する処理を含む、
請求項4に記載の決済受付装置。
【請求項6】
自装置が故障した場合に、前記読取ログから生成した利用明細書を、外部装置に退避するデータ退避部、
を更に有し、
前記電子決済部は、自装置が、故障した装置と交換された新たな装置の場合、前記外部装置から前記利用明細書を取得して前記精算処理を実行する、
請求項4に記載の決済受付装置。
【請求項7】
決済センターに電子決済情報を送信する決済受付装置の一部として又は接続して使用される読取装置であって、
少なくともカード型の記録媒体又は通信端末から情報を読み取る読取部と、
前記情報の少なくとも一部を含む利用明細書を格納する格納部と、
自装置が故障した場合に、前記格納部に格納されている前記利用明細書を、前記決済受付装置に送信する送信部と、
を有する読取装置。
【請求項8】
少なくともカード型の記録媒体又は通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される決済受付装置において実行される決済処理方法であって、
前記情報を前記読取装置から取得する処理と、
取得した前記情報に基づいて電子決済情報を生成する処理と、
生成された前記電子決済情報を決済センターへ送信する処理と、
前記読取装置における故障の発生を受け付ける処理と、
前記故障の発生を受け付けた場合、前記情報の少なくとも一部を含む利用明細書を前記読取装置から取得して精算処理を実行する処理と、
を有する決済処理方法。
【請求項9】
少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取部を含む、又は、少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される決済受付装置において実行される決済処理方法であって、
前記情報に基づいて電子決済情報を生成し、決済センターに送信する処理と、
前記情報の少なくとも一部を含む読取ログを記憶部に記憶する処理と、
自装置における故障の発生を受け付ける処理と、
自装置が故障した場合、前記記憶部から前記読取ログを取得して精算処理を実行する処理と、
を有する決済処理方法。
【請求項10】
前記決済受付装置は、
自装置が故障した場合、前記読取ログから生成した利用明細書を、外部装置に退避する処理と、
自装置が、故障した装置と交換された新たな装置の場合、前記外部装置から前記利用明細書を取得して前記精算処理を実行する処理と、
を更に有する請求項9に記載の決済処理方法。
【請求項11】
少なくともカード型の記録媒体又は通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される決済受付装置で動作するコンピュータに、
前記情報を前記読取装置から取得する機能と、
取得した前記情報に基づいて電子決済情報を生成する機能と、
生成された前記電子決済情報を決済センターへ送信する機能と、
前記読取装置における故障の発生を受け付ける機能と、
前記故障の発生を受け付けた場合、前記情報の少なくとも一部を含む利用明細書を前記読取装置から取得して精算処理を実行する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項12】
少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取部を含む、又は、少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される決済受付装置で動作するコンピュータに、
前記情報に基づいて電子決済情報を生成し、決済センターに送信する機能と、
前記情報の少なくとも一部を含む読取ログを記憶部に記憶する機能と、
自装置における故障の発生を受け付ける機能と、
自装置が故障した場合、前記記憶部から前記読取ログを取得して精算処理を実行する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済受付装置、読取装置、決済処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、決済には、様々な電子マネーが用いられている。電子マネーを用いる決済には、例えばクレジットカード系の電子マネーを用いる決済、交通系の電子マネーを用いる決済、流通系の電子マネーを用いる決済、プリペイド型の電子マネーを用いる決済、ポストペイ型の電子マネーを用いる決済、QRコード(登録商標)やバーコードを用いる電子マネーの決済、デビット型の電子マネーの決済がある。
電子マネーを用いた決済は、電子マネーの情報を読み取る決済端末と、決済を受け付ける機能を備えるPOS端末(=Point Of Sales)との連携により実行され、各電子マネーに対応するサーバ等との通信を経て精算処理が確定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
決済端末もPOS端末も機械である以上、故障することがある。故障した端末は、修理や交換が必要になる。故障した端末には、未精算の利用明細書等が残ることがあり、初期対応を誤らなければ、救済が可能なこともある。しかし、修理や交換を優先するあまり、未精算の利用明細書等が失われることがある。
加えて、利用明細書等の保存場所は、電子マネーにより異なるため、初期対応を誤り易い。
【0005】
本発明は、電子決済に使用する読取装置や決済受付装置が故障した場合における違算障害の発生を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、少なくともカード型の記録媒体又は通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される接続部と、前記情報に基づいて電子決済情報を生成し、決済センターに送信する電子決済部と、前記読取装置における故障の発生を受け付ける故障受付部と、を有し、前記電子決済部は、前記読取装置が故障した場合、前記情報の少なくとも一部を含む利用明細書を前記読取装置から取得して精算処理を実行する、決済受付装置である。
請求項2に記載の発明は、特定の電子決済種別に関する読取ログを記憶する記憶部を更に有し、前記電子決済部は、前記読取ログに基づいて、前記特定の電子決済種別に関する精算処理を実行する、請求項1に記載の決済受付装置である。
請求項3に記載の発明は、前記精算処理は、前記利用明細書を、前記決済センターへ送信する処理を含む、請求項1又は2に記載の決済受付装置である。
請求項4に記載の発明は、少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取部、又は、少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取装置と接続される接続部と、前記情報に基づいて電子決済情報を生成し、決済センターに送信する電子決済部と、前記情報の少なくとも一部を含む読取ログを記憶する記憶部と、自装置における故障の発生を受け付ける故障受付部と、を有し、前記電子決済部は、自装置が故障した場合、前記読取ログを前記記憶部から取得して精算処理を実行する、決済受付装置である。
請求項5に記載の発明は、前記精算処理は、前記読取ログから生成された利用明細書を、前記決済センターへ送信する処理を含む、請求項4に記載の決済受付装置である。
請求項6に記載の発明は、自装置が故障した場合に、前記読取ログから生成した利用明細書を、外部装置に退避するデータ退避部、を更に有し、前記電子決済部は、自装置が、故障した装置と交換された新たな装置の場合、前記外部装置から前記利用明細書を取得して前記精算処理を実行する、請求項4に記載の決済受付装置である。
請求項7に記載の発明は、決済センターに電子決済情報を送信する決済受付装置の一部として又は接続して使用される読取装置であって、少なくともカード型の記録媒体又は通信端末から情報を読み取る読取部と、前記情報の少なくとも一部を含む利用明細書を格納する格納部と、自装置が故障した場合に、前記格納部に格納されている前記利用明細書を、前記決済受付装置に送信する送信部と、を有する読取装置である。
請求項8に記載の発明は、少なくともカード型の記録媒体又は通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される決済受付装置において実行される決済処理方法であって、前記情報を前記読取装置から取得する処理と、取得した前記情報に基づいて電子決済情報を生成する処理と、生成された前記電子決済情報を決済センターへ送信する処理と、前記読取装置における故障の発生を受け付ける処理と、前記故障の発生を受け付けた場合、前記情報の少なくとも一部を含む利用明細書を前記読取装置から取得して精算処理を実行する処理と、を有する決済処理方法である。
請求項9に記載の発明は、少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取部を含む、又は、少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される決済受付装置において実行される決済処理方法であって、前記情報に基づいて電子決済情報を生成し、決済センターに送信する処理と、前記情報の少なくとも一部を含む読取ログを記憶部に記憶する処理と、自装置における故障の発生を受け付ける処理と、自装置が故障した場合、前記記憶部から前記読取ログを取得して精算処理を実行する処理と、を有する決済処理方法である。
請求項10に記載の発明は、前記決済受付装置は、自装置が故障した場合、前記読取ログから生成した利用明細書を、外部装置に退避する処理と、自装置が、故障した装置と交換された新たな装置の場合、前記外部装置から前記利用明細書を取得して前記精算処理を実行する処理と、を更に有する請求項9に記載の決済処理方法である。
請求項11に記載の発明は、少なくともカード型の記録媒体又は通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される決済受付装置で動作するコンピュータに、前記情報を前記読取装置から取得する機能と、取得した前記情報に基づいて電子決済情報を生成する機能と、生成された前記電子決済情報を決済センターへ送信する機能と、前記読取装置における故障の発生を受け付ける機能と、前記故障の発生を受け付けた場合、前記情報の少なくとも一部を含む利用明細書を前記読取装置から取得して精算処理を実行する機能と、を実現させるためのプログラムである。
請求項12に記載の発明は、少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取部を含む、又は、少なくともカード型の記録媒体若しくは通信端末から情報を読み取る読取装置に接続される決済受付装置で動作するコンピュータに、前記情報に基づいて電子決済情報を生成し、決済センターに送信する機能と、前記情報の少なくとも一部を含む読取ログを記憶部に記憶する機能と、自装置における故障の発生を受け付ける機能と、自装置が故障した場合、前記記憶部から前記読取ログを取得して精算処理を実行する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子決済に使用する読取装置や決済受付装置が故障した場合における違算障害の発生を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1で使用する電子マネー決済システムの概念構成例を説明する図である。
【
図2】実施の形態1で使用するPOS端末の構成例を説明する図である。(A)はPOS端末のハードウェア上の構成や機能上の構成を示し、(B)は電子決済部のサブ機能を示す。
【
図3】実施の形態1で使用する決済端末の構成例を示す図である。
【
図4】実施の形態1に示す電子マネー決済システムにおいて決済端末に障害が発生した場合の処理動作の一例を説明する図である。
【
図5】実施の形態1に示す電子マネー決済システムにおいて決済端末に障害が発生した場合の処理動作の他の例を説明する図である。
【
図6】実施の形態1に示す電子マネー決済システムにおいて決済端末に障害が発生した場合の処理動作の他の例を説明する図である。
【
図7】実施の形態2で使用するPOS端末の構成例を説明する図である。(A)はPOS端末のハードウェア上の構成や機能上の構成を示し、(B)は電子決済部のサブ機能を示す。
【
図8】実施の形態2で使用する決済端末の構成例を示す図である。
【
図9】実施の形態2に示す電子マネー決済システムにおいてPOS端末に障害が発生した場合の処理動作の一例を説明する図である。
【
図10】実施の形態2に示す電子マネー決済システムにおいてPOS端末に障害が発生した場合の処理動作の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
各実施の形態では、電子マネーを使用する決済システムについて説明する。因みに、電子マネーには、様々な種類があり、例えばカード会社が発行するクレジットカード、交通事業者が発行する電子マネー、流通事業者が発行する電子マネー、プリペイド型の電子マネー、ポストペイ型の電子マネー、決済時にQRコードやバーコードを使用する電子マネーに分類される。
【0010】
電子マネーの情報は、カード型の記録媒体や通信端末から読み出される。電子マネーの情報には、取引の特定に使用される管理番号も含まれる。
カード型の記録媒体には、例えばICカードがある。通信端末には、例えば電子マネーのサービスに適用するスマートフォンがある。
通信端末から読み出される電子マネーの情報には、無線通信の形式で読み出される情報の他、通信端末のディスプレイに表示されるQRコードやバーコードも含まれる。
【0011】
<実施の形態1>
<システムの構成>
図1は、実施の形態1で使用する電子マネー決済システム1の概念構成例を説明する図である。
図1に示す電子マネー決済システム1は、加盟店に設置されるPOS端末10と、POS端末10に連結される決済端末20と、加盟店と決済事業者との間で決済情報を中継する中継センター30と、決済事業者が運用する決済センター40とを有している。
【0012】
なお、POS端末10と中継センター30と決済センター40とは互いに決済ネットワーク50で接続されている。
図1では、加盟店のシステムを1つだけ表しているが、実際には、複数の加盟店のシステムが決済ネットワーク50に接続される。
また、
図1では、1つの加盟店に1台のPOS端末10が設けられているが、複数台のPOS端末10が設けられる場合もある。
【0013】
図1の場合、決済事業者は複数である。このため、複数の決済センター40を表している。もっとも、決済センター40は1つでもよい。なお、決済事業者は、電子マネーの発行者等である。
中継センター30は、加盟店側に配置されたPOS端末10と決済センター40との通信を中継する情報処理センターである。
因みに、中継センター30を使用しない電子マネー決済システム1も可能である。その場合、POS端末10は、決済に使用する電子マネーに対応する決済センター40と直接接続される。
【0014】
POS端末10は、決済の対象である商品やサービスの登録に使用される端末である。紙幣や硬貨(すなわち「貨幣」)による商品代金の支払いも可能な場合、POS端末10には、不図示の釣り銭機も接続される。
POS端末10は、電子決済の都度、又は、締め処理のタイミング時に、電子決済情報を中継センター30に送信する。本実施の形態の場合、電子決済情報は、電子マネーの種類毎に生成される。
電子決済情報には、例えば取引の情報が含まれる。取引の情報には、例えば取引日時、取引を特定する番号、取引金額、加盟店コード、取引対象の商品やサービスの内容が含まれる。
POS端末10は、特許請求の範囲における決済受付装置の一例である。
【0015】
決済端末20は、カード型の媒体やスマートフォン等から電子マネーの情報を読み取ってPOS端末10に送信する装置である。
本実施の形態で使用する決済端末20は、複数種類の電子マネーに対応する。このため、1つの決済端末20で、複数種類の電子マネーの決済が可能である。
決済端末20は、特許請求の範囲における読取装置の一例である。
なお、本実施の形態で説明する電子マネー決済システム1は、交通系の電子マネーや一部のプリペイド型の電子マネーを想定する。これらの電子マネーの利用明細書22A(
図3参照)は、決済端末20内に保存される。なお、利用明細書22Aを、決済端末20とPOS端末10の両方に保存することは可能であるが、POS端末10にのみ保存されることはない。
【0016】
<各装置の構成>
<POS端末10の構成>
図2は、実施の形態1で使用するPOS端末10の構成例を説明する図である。(A)はPOS端末10のハードウェア上の構成や機能上の構成を示し、(B)は電子決済部112Cのサブ機能を示す。
図2に示すPOS端末10は、端末全体の動作を制御する制御部11と、データ等の記憶に用いられる記憶部12と、操作の受付や情報の提示に使用される操作表示部13と、決済の明細であるレシートを出力するレシート出力部14と、決済端末20や中継センター30との通信に用いられる通信部15とを備えている。
【0017】
制御部11は、CPU(=Central Processing Unit)と、ROM(=Read Only Memory)と、RAM(=Random Access Memory)とで構成される。すなわち、制御部11は、コンピュータを構成する。
ROMには、BIOS(=Basic Input Output System)や各種の設定等が記憶されている。CPUは、RAMを作業エリアとして使用してプログラムを実行する。
本実施の形態における制御部11は、プログラムの実行を通じ、例えば決済に関する処理を実行するPOSアプリ部111と、決済端末20(
図1参照)との連携を実現するOCX(=OLE Control Extension)部112として機能する。
【0018】
POSアプリ部111は、POS端末10が正常に動作している場合(以下「通常動作時」ともいう)、通信部15を通じて、電子決済情報を中継センター30に送信する。
交通系の電子マネーや一部のプリペイド型の電子マネーに対応する電子決済情報は、個々の取引時ではなく精算時に、中継センター30に送信される。精算(以下「締め処理」ともいう)は、例えば1又は複数の営業日の売上を締める場合(例えば閉店時)に実行される。
【0019】
OCX部112は、POS端末10に接続される決済端末20毎に用意される。
本実施の形態におけるOCX部112には、決済端末20における故障の発生を受け付ける故障受付部112Aと、決済端末20における故障の発生をPOSアプリ部111に通知する故障通知部112Bと、電子マネーを用いた決済を処理する電子決済部112Cが用意されている。
【0020】
故障受付部112Aは、決済端末20との通信を通じて、決済端末20の故障を自動的に検知する、又は、POS端末10を操作する操作者からの故障の入力を検知する機能部である。故障の入力には、操作表示部13の他、専用のボタンや専用のスイッチ等が用いられる。
決済端末20の故障には、例えばカード型の記録媒体や通信端末からの電子マネーの読み取り不良、落下や衝撃等による構造的な破損、POS端末10との通信不良がある。
【0021】
故障通知部112Bは、故障受付部112Aにおける故障の発生をPOSアプリ部111に通知する機能部である。
電子決済部112Cは、決済センター40との間で電子決済を実行する機能部である。電子決済情報を構成するデータは、送信の対象である電子マネーの種類毎に定められる。
電子決済部112Cは、複数のサブ機能を有している。本実施の形態の場合、サブ機能として、利用明細取得部112C1と、利用明細生成部112C2と、締め処理部112C3と、リストファイル生成部112C4が用意されている。
【0022】
利用明細取得部112C1は、決済端末20との通信が可能な場合に、決済端末20に保存されている利用明細書22A(
図3参照)を取得するサブ機能である。利用明細書22Aは、決済端末20が読み取った電子マネーの履歴であり、電子マネーによる取引の度に内容が更新される。利用明細書22Aには、例えば電子マネーの種類、POS端末の識別コード、決済端末20の識別コード、取引の情報が含まれる。
本実施の形態における決済端末20は、複数種類の電子マネーに対応するので、利用明細書22Aには、複数種類の電子マネーの情報が含まれる。
【0023】
利用明細生成部112C2は、決済端末20から利用明細書22Aを取得できない場合に、記憶部12に記憶されている読取ログ12Aから利用明細書22Aを生成するサブ機能である。読取ログ12Aは、POS端末10が外部装置から読み取った情報の記録である。従って、読取ログ12Aには、取引の度に決済端末20から読み取られる情報も含まれる。なお、決済端末20から読み出される情報には、利用明細書22Aを構成する情報が含まれている。
締め処理部112C3は、決済端末20等から取得した利用明細書22A、又は、読取ログ12Aから生成した利用明細書22Aを、中継センター30(
図1参照)に送信するサブ機能である。
【0024】
リストファイル生成部112C4は、POS端末10を操作する操作者から外部記憶媒体への書き出しが指示された場合に、記憶部12に記憶されている利用明細書22Aの全部又は一部からリストファイルを生成する機能である。外部記憶媒体への書き出しの指示は、利用明細書22Aの取得の依頼として、POSアプリ部111からリストファイル生成部112C4に与えられる。
外部記憶媒体には、例えばUSBメモリその他の半導体メモリ、HDD(=Hard Disk Drive)、SSD(=Solid State Drive)が用いられる。
リストファイル生成部112C4は、バックアップとしての利用明細書22Aが記憶部12に記憶される場合に用いるオプション機能である。
【0025】
記憶部12は、半導体メモリやハードディスク装置で構成される。記憶部12には、電子マネーによる取引の度、取引で使用された電子マネーの情報等が読取ログ12Aとして記憶される。
操作表示部13は、例えばタッチパネルで構成される。タッチパネルは、操作画面を表示するディスプレイと、透明度の高いフィルムセンサとで構成される。ディスプレイには、例えば液晶ディスプレイや有機EL(=Electro Luminescence)ディスプレイが用いられる。フィルムセンサには、静電容量式や抵抗膜式のセンサが用いられる。
レシート出力部14は、決済の明細であるレシートの出力に用いられる。
通信部15は、外部装置との通信に用いられる通信モジュールである。外部装置には、例えば決済端末20、中継センター30がある。通信部15は、特許請求の範囲における接続部の一例である。
【0026】
<決済端末20の構成>
図3は、実施の形態1で使用する決済端末20の構成例を示す図である。
図3に示す決済端末20は、端末の動作を制御する制御部21と、データ等の記憶に用いられる記憶部22と、操作の受付や情報の提示に使用される操作表示部23と、カード型の記録媒体や通信端末から電子マネーの情報を読み取る情報読取部24と、カード型の記録媒体がクレジットカードの場合に認証コードの入力に用いられるPIN受付部25と、外部装置との通信に用いられる通信部26とを備えている。
【0027】
制御部21は、CPUと、ROMと、RAMとで構成される。ROMには、BIOSや各種の設定等が記憶されている。CPUは、RAMを作業エリアとして使用し、ROMや記憶部22から読み出されるプログラムを実行する。
制御部21は、プログラムの実行を通じ、例えば情報送信部211として機能する。
情報送信部211は、電子マネーから読み取った情報や利用明細書22Aを、POS端末10に送信する機能部である。情報送信部211は、特許請求の範囲における送信部の一例である。
【0028】
記憶部22は、例えば半導体メモリで構成される。本実施の形態の場合、記憶部22には、交通系の電子マネーや一部のプリペイド型の電子マネーから読み取った情報等が利用明細書22Aとして保存されている。記憶部22は、特許請求の範囲における格納部の一例である。
操作表示部23は、例えばタッチパネルで構成される。
情報読取部24は、カード型の記録媒体や通信端末から電子マネーの情報を読み取るデバイスであり、情報の読取りには、例えば通信距離が10cm程度の近距離無線通信技術が用いられる。なお、QRコードやバーコードを通信端末から読み取る場合には、例えば不図示のカメラやスキャナで撮像された画像が情報読取部24に入力される。情報読取部24は、特許請求の範囲における読取部の一例である。
【0029】
PIN受付部25は、PIN(=Personal Identification Number)コードの受け付けに使用されるデバイスである。PINコードは、クレジットカードの利用時に要求される。もっとも、本実施の形態の場合、クレジットカードの利用は想定していない。
通信部26は、外部装置との通信に用いられる通信モジュールである。外部装置には、POS端末10(
図1参照)や中継センター30(
図1参照)がある。もっとも、QRコードやバーコードの撮像に使用するカメラやスキャナも外部装置に含まれる。通信部26は、特許請求の範囲における送信部の一例である。
【0030】
<端末に障害が発生した場合の処理動作>
<処理動作1>
図4は、実施の形態1に示す電子マネー決済システム1において決済端末20に障害が発生した場合の処理動作の一例を説明する図である。なお、図中に示す符号のSは、ステップを意味する。
前述したように、本実施の形態の場合、決済端末20には、交通系の電子マネーや一部のプリペイド型の電子マネーに関する利用明細書22A(
図3参照)が保存されている。
【0031】
決済端末20が故障すると、POS端末10のOCX部112が、決済端末20の故障を受け付ける(ステップ1)。ステップ1の処理は、OCX部112が故障を自動的に検知することで開始する場合と、決済端末20の故障に気づいた操作者による操作がOCX部112に与えられることで開始する場合がある。
決済端末20の故障を受け付けたOCX部112は、POSアプリ部111に対し、決済端末20の故障を通知する(ステップ2)。
【0032】
通知を受け付けたPOSアプリ部111は、OCX部112に対し、精算の実行を依頼する(ステップ3)。精算の実行の依頼は、例えば操作者が操作表示部13(
図2参照)等に対する操作を通じて指示した場合に、又は、故障時の自動処理として設定されている場合に実行される。
精算の実行を受け付けたOCX部112は、決済端末20に対し、利用明細書22A(
図3参照)を要求する(ステップ4)。
【0033】
図4の場合、OCX112と決済端末20とは通信が可能であり、決済端末20に保存されている利用明細書22Aの読み出しも可能である。このため、決済端末20は、利用明細書22Aを記憶部22(
図3参照)から読み出し、OCX部112に応答する(ステップ5)。利用明細書22Aには、故障の直前までの電子マネーによる取引の情報が含まれている。
利用明細書22Aを取得すると、OCX部112は、中継センター30に対し、取得した利用明細書22Aを送信する。すなわち、OCX部112は、締め処理を実行する(ステップ6)。
【0034】
締め処理後に、決済端末20の交換作業が開始され、新しい決済端末20が既存のPOS端末10に接続されると、交換後の決済端末20を用いた運用を開始するための処理が、既存のPOS端末10と新たな決済端末20との間で実行される。
処理が終了すると、通常の運用が再開される。
この処理動作例の場合、利用明細書22Aを保存する決済端末20の故障時に、その交換に先立って、故障直前までの利用明細書22Aが中継センター30経由で決済センター40(
図1参照)に送信されるので、加盟店が精算できない障害(すなわち違算障害)が少なくなる。
【0035】
<処理動作2>
図5は、実施の形態1に示す電子マネー決済システム1において決済端末20に障害が発生した場合の処理動作の他の例を説明する図である。
図5には、
図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
処理動作1の場合、故障した決済端末20から利用明細書の取得が可能であったが、例えばPOS端末10との通信系の部分が故障した場合、POS端末10は、決済端末20から利用明細書22A(
図3参照)を取得できないことがある。
図5に示す処理動作は、このような場合を想定している。
【0036】
図5の場合、OCX部112による決済端末20に対する利用明細書22Aの要求に対し、決済端末20からの応答がない。すなわち、利用明細書22Aの取得が失敗する。
このため、
図5におけるOCX部112は、自端末の記憶部12(
図2参照)に記憶されている読取ログ12A(
図2参照)から利用明細書22Aを生成する(ステップ5A)。読取ログ12Aは、ログデータであるので、利用明細書22Aを構成する情報が含まれている。このため、OCX部112は、読取ログから利用明細書22Aを生成することが可能である。
【0037】
ステップ5A以降の処理動作は、
図4に示す処理動作1と同じであるので説明を省略する。
この処理動作例の場合も、利用明細書を保存する決済端末20の故障時に、その交換に先立って、故障直前までの利用明細書が中継センター30経由で決済センター40(
図1参照)に送信されるので、加盟店が精算できない障害(すなわち違算障害)が少なくなる。
【0038】
<処理動作3>
図6は、実施の形態1に示す電子マネー決済システム1において決済端末20に障害が発生した場合の処理動作の他の例を説明する図である。
図6には、
図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
この処理動作は、POS端末10の記憶部12(
図2参照)に利用明細書22A(
図3参照)がバックアップされている場合に実行が可能である。記憶部12に記憶される利用明細書22Aは、決済端末20からコピーしたデータでもよいし、読取ログ12Aから生成したデータでもよい。
【0039】
この処理動作の場合、POSアプリ部111は、決済端末20の故障の通知をOCX部112から受け付けた際に、OCX部112に対し、自端末内の利用明細書22Aの取得を依頼する(ステップ3A)。利用明細書22Aの取得の依頼は、例えば操作者が操作を通じて指示した場合に、又は、故障の通知に対する自動処理として設定されている場合に実行される。
自端末内の利用明細書22Aの取得の依頼を受信したOCX部112は、POSアプリ部111に対し、利用明細書22Aを要求する(ステップ4A)。
利用を受け付けたPOSアプリ部111は、記憶部12から利用明細書22Aを読み出し、OCX部112に応答する(ステップ5B)。記憶部12に記憶されている利用明細書22Aには、故障の直前までの取引の情報が含まれている。
【0040】
自端末内の利用明細書22Aを取得したOCX部112は、取得した利用明細書22Aからリストファイルを生成して外部記憶媒体に出力する(ステップ6A)。リストファイルは、例えば利用明細書22Aを電子マネーの種類別に整理したデータファイルで構成される。
この処理動作の場合、外部記憶媒体へのリストファイルの出力後に、決済端末20の交換作業が開始される。
そして、新しい決済端末20が既存のPOS端末10(
図1参照)に接続されると、交換後の決済端末20を用いた運用を開始するための処理が既存のPOS端末10と新たな決済端末20との間で実行される。
処理が終了すると、通常の運用が再開される。
【0041】
この処理動作例では、故障した決済端末20から利用明細書22Aを取得できない場合でも、決済端末20の交換に先立って、自端末内に保存されている故障直前までの利用明細書22Aから生成したリストファイルを外部記憶媒体に出力されるので、精算に必要な情報が失われずに済む。
また、加盟店は、リストファイルが書き込まれた外部記憶媒体を電子マネーの決済事業者に送付等することで精算できるので、違算障害が少なくなる。
【0042】
<処理動作4>
因みに、決済端末20は正常であるが、POS端末10が故障する場合も考えられる。この場合には、POS端末10が交換の対象となり、新しいPOS端末10に既存の決済端末20が取り付けられることになる。
ただし、既存の決済端末20には、利用明細書22Aが保存されている。このため、新しいPOS端末10に交換した後も、既存の決済端末20に保存されている利用明細書22Aを用いた精算が可能である。
【0043】
<実施の形態2>
本実施の形態では、実施の形態1とは異なり、利用明細書12B(
図7参照)がPOS端末10(
図1参照)に保存される電子マネーを取り扱う場合について説明する。
具体的には、クレジットカード系の電子マネー、流通系の電子マネー、プリペイド型の一部の電子マネー、ポストペイ型の電子マネー、デビット型の電子マネーを想定する。
なお、本実施の形態で想定する電子マネー決済システム1(
図1参照)の構成は、実施の形態1と同じである。
以下では、本実施の形態で使用するPOS端末10と決済端末20の構成を説明する。
【0044】
<各装置の構成>
<POS端末10の構成>
図7は、実施の形態2で使用するPOS端末10の構成例を説明する図である。(A)はPOS端末10のハードウェア上の構成や機能上の構成を示し、(B)は電子決済部のサブ機能を示す。
図7には、
図2との対応部分に対応する符号を付している。
本実施の形態で使用するPOS端末10のハードウェア構成は、実施の形態1と同じである。すなわち、POS端末10は、制御部11と、記憶部12と、操作表示部13と、レシート出力部14と、通信部15とを備えている。
【0045】
相違点は、POSアプリ部111が有するサブ機能と、OCX部112が有するサブ機能である。
図7に示すPOSアプリ部111には、自端末の故障の発生をOCX部112に通知する故障受付部111Aと、自端末で保存する利用明細書の中継センター30(
図1参照)への移管又は退避を依頼する移管依頼部111Bが設けられている。
故障受付部111Aは、自端末(すなわちPOS端末10)の故障を自動的に検知する、又は、自端末を操作する操作者からの故障の入力を検知する機能部である。
故障の入力には、操作表示部13の他、不図示の専用のボタンや専用のスイッチ等が用いられる。
【0046】
自端末(すなわち、POS端末10)の故障には、例えば操作表示部13やレシート出力部14の故障、決済端末20その他の外部装置との通信に関する故障、データの破損がある。
もっとも、本実施の形態で説明する機能は、POS端末10の故障時にも、POSアプリ部111とOCX部112が正常に動作して中継センター30との通信も可能である場合を想定する。
このため、本実施の形態では、POS端末10の故障として、例えばレシート出力部14の故障や決済端末20との通信に関する故障を想定する。
【0047】
移管依頼部111Bは、自端末における故障の発生時に、自端末で保存されている利用明細書12Bの中継センター30(
図1参照)への移管又は退避を、OCX部112に依頼する機能部である。
なお、移管依頼部111Bは、自端末が故障したPOS端末10と交換された後継端末である場合に、中継センター30に移管又は退避してある利用明細書12Bの取得をOCX部112に依頼する機能、OCX部112を通じて取得された利用明細書12Bを記憶部12に書き込む機能も有している。ここでの移管依頼部111Bは、特許請求の範囲におけるデータ退避部の一例である。
【0048】
OCX部112は、POS端末10に接続される決済端末20毎に用意される。
図7に示すOCX部112には、電子マネーに関する決済処理に関する各種の処理を実行する電子決済部112Cが用意されている。
電子決済部112Cは、電子決済情報を中継センター30に送信する機能部である。電子決済情報を構成するデータは、送信の対象である電子マネーの種類毎に定められる。
電子決済部112Cは、複数のサブ機能を有している。本実施の形態の場合、サブ機能として、利用明細取得部112C1と、締め処理部112C3と、利用明細移管部112C5が用意されている。
【0049】
利用明細取得部112C1は、自端末の記憶部12に記憶されている利用明細書12Bを、POSアプリ部111との通信を通じて取得するサブ機能である。
本実施の形態における決済端末20も複数種類の電子マネーに対応するので、利用明細書12Bには、複数種類の電子マネーの情報が含まれている。
締め処理部112C3は、自端末の記憶部12から取得した利用明細書12Bを中継センター30(
図1参照)に送信するサブ機能である。
利用明細移管部112C5は、故障したPOS端末10の交換のために、自端末に保存されている利用明細書を一時的に中継センター30に移管する又は退避する機能部である。
【0050】
<決済端末20の構成>
図8は、実施の形態2で使用する決済端末20の構成例を示す図である。
図8には、
図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
本実施の形態で使用する決済端末20のハードウェア構成は、実施の形態1と同じである。すなわち、決済端末20は、制御部21と、記憶部22と、操作表示部23と、情報読取部24と、PIN受付部25と、通信部26とを備えている。
相違点は、利用明細書22A(
図3参照)が記憶部22に保存されていない点である。本実施の形態で想定する電子マネーの利用明細書12B(
図7参照)は、いずれもPOS端末10の記憶部12(
図7参照)に保存されるためである。
【0051】
<端末に障害が発生した場合の処理動作>
<処理動作1>
図9は、実施の形態2に示す電子マネー決済システム1においてPOS端末10に障害が発生した場合の処理動作の一例を説明する図である。
本実施の形態におけるPOS端末10には、クレジットカード系の電子マネー、流通系の電子マネー、プリペイド型の一部の電子マネー、ポストペイ型の電子マネー、デビット型の電子マネーに関する利用明細書12Bが保存されている。
【0052】
本実施の形態の場合、POSアプリ部111は、自端末(すなわちPOS端末10)の故障を受け付ける(ステップ11)。ステップ11の処理は、POSアプリ部111が自端末の故障を自動的に検知することで開始する場合と、自端末の故障に気づいた操作者による操作をPOSアプリ部111が受け付けることで開始する場合がある。
自端末の故障を受け付けると、POSアプリ部111は、OCX部112に対し、自端末内の利用明細書12B(
図7参照)の取得を依頼する(ステップ12)。
依頼を受け付けたOCX部112は、POSアプリ部111に対し、記憶部12(
図7参照)に記憶されている利用明細書12Bを要求する(ステップ13)。
【0053】
要求を受け付けたPOSアプリ部111は、利用明細書12Bを記憶部12から読み出し、OCX部112に応答する(ステップ14)。利用明細書12Bには、故障の直前までの電子マネーによる取引の情報が含まれている。読み出された利用明細書12Bは、例えば決済端末20の記憶部22(
図8参照)に記憶される。
次に、POSアプリ部111は、OCX部112に対し、精算の実行を依頼する(ステップ15)。精算の実行の依頼は、例えば操作者が操作を通じて指示した場合に、又は、故障時の処理として設定されている場合に実行される。
続いて、OCX部112は、中継センター30に対し、決済端末20に記憶した利用明細書12Bを送信する。すなわち、OCX部112は、締め処理を実行する(ステップ16)。
【0054】
締め処理後に、POS端末10の交換作業が開始され、新しいPOS端末10が決済端末20に接続されると、交換後のPOS端末10を用いた運用を開始するための処理が新たなPOS端末10と既存の決済端末20との間で実行される。
処理が終了すると、通常の運用が再開される。
この処理動作例の場合、利用明細書12Bを保存するPOS端末10の故障時に、その交換に先立って、故障直前までの利用明細書12Bが中継センター30経由で決済センター40(
図1参照)に送信されるので、加盟店が精算できない障害(すなわち違算障害)が少なくなる。
【0055】
<処理動作2>
図10は、実施の形態2に示す電子マネー決済システム1においてPOS端末10に障害が発生した場合の処理動作の他の例を説明する図である。
図10には、
図9との対応部分に対応する符号を付して示している。
処理動作1の場合、故障したPOS端末10の交換前に精算(すなわち締め処理)を実行しているが、
図10に示す処理動作では、故障したPOS端末10を新しいPOS端末10に交換した後に精算(すなわち締め処理)を実行する。
【0056】
図10に示すOCX部112は、POSアプリ部111から応答として利用明細書12B(
図7参照)を取得すると、中継センター30に対し、利用明細書12Bを移管する(ステップ17)。ここでの中継センター30は、特許請求の範囲における外部装置の一例である。
利用明細書12Bの移管先となった中継センター30は、精算時とは異なり、受信した利用明細書12Bを決済センター40(
図1参照)に転送せずに保管する。以下では、中継センター30が保管する利用明細書12Bを「移管明細書」という。なお、利用明細書12Bの退避先は、決済端末20でもよい。
【0057】
利用明細書12Bの退避の完了後に、POS端末10の交換作業が開始され、新しいPOS端末10が既存の決済端末20に接続されると、交換後のPOS端末10を用いた運用を開始するための処理が、新たなPOS端末10と既存の決済端末20との間で実行される。
運用開始のための処理の終了を検知すると、POSアプリ部111は、OCX部112に対し、移管明細書の取得を依頼する(ステップ18)。運用開始のための処理の終了の検出には、自装置が故障した装置と交換された新たな装置であることの検出も含まれる。自装置が故障した装置と交換された新たな装置であることは、例えば運用を開始するための処理の実行時に、交換作業に従事する作業者等により入力される。
依頼を受け付けたOCX部112は、退避先である中継センター30に対し、移管明細書を要求する(ステップ19)。
【0058】
移管明細書を要求された中継センター30は、OCX部112に対し、保管中の移管明細書を送信する(すなわち応答する)(ステップ20)。
中継センター30から移管明細書を取得したOCX部112は、POSアプリ部111に対し、移管明細書を通知する(ステップ21)。
移管明細書の通知を受けたPOSアプリ部111は、受け付けた移管明細書を利用明細書12Bとして記憶部12(
図7参照)に書き込み、書き込んだ利用明細書12Bを用いた締め処理を実行する(ステップ22)。
締め処理が完了すると、通常の運用が再開される。
【0059】
この処理動作例の場合には、利用明細書12Bを保存するPOS端末10の故障時に、その交換に先立って、故障直前までの利用明細書12Bが中継センター30に移管されるので、故障したPOS端末10の交換の際に精算が済んでいない利用明細書12Bが失われずに済む。
また、この処理動作例では、POS端末10の交換後に、移管明細書を利用明細書12Bとして新たなPOS端末10に書き込み、運用を再開する前に、締め処理を完了する。このため、加盟店が精算できない障害(すなわち違算障害)が少なくなる。
【0060】
<処理動作3>
因みに、POS端末10は正常であるが、決済端末20が故障する場合も考えられる。この場合には、決済端末20が交換の対象となり、新しい決済端末20が既存のPOS端末10に取り付けられることになる。
ただし、既存のPOS端末10には、利用明細書12Bが保存されたままである。このため、決済端末20の交換後も、支障なく電子マネーを用いた取引の精算が可能である。
【0061】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0062】
前述の実施の形態では、電子マネーの利用明細書の保存場所の違いによる処理動作の違いを説明するため、実施の形態1の場合と実施の形態2の場合で、電子マネー決済システム1が取り扱う電子マネーの種類を限定した。
しかし、利用明細書をPOS端末10に保存する電子マネーと決済端末20に保存する電子マネーの両方を取り扱ってもよい。
その場合でも、実施の形態1又は2のいずれかの処理動作が実行されることにより、いずれの端末が故障しても、違算障害を少なくすることができる。
【0063】
また、前述の実施の形態では、
図1に示すように、加盟店側の担当者が操作するPOS端末10に対して決済端末20が接続される形態を想定したが、例えば自動販売機、自動券売機、診療費支払機、セルフレジ、ターミナルロッカーのように、カード型の記録媒体又は通信端末から電子マネーの情報を読み取る決済端末20と、決済センター40(中継センター30を経由する場合を含む)に電子決済情報等を送信する電子決済部112Cとが一体化された装置構成でもよい。2つの機能が一体化された装置は、決済受付装置の一例であり、この装置の一部として用いられる情報読取部24(
図3等参照)は、特許請求の範囲における読取部の一例である。
【符号の説明】
【0064】
1…電子マネー決済システム、10…POS端末、12A…読取ログ、12B、22A…利用明細書、20…決済端末、30…中継センター、40…決済センター、50…決済ネットワーク、111…POSアプリ部、111A、112A…故障受付部、111B…移管依頼部、112…OCX部、112B…故障通知部、112C…電子決済部、112C1…利用明細取得部、112C2…利用明細生成部、112C3…締め処理部、112C4…リストファイル生成部、112C5…利用明細移管部