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特開2023-31703消防ホース結合金具解除用治具及びそれを用いた解除方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031703
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】消防ホース結合金具解除用治具及びそれを用いた解除方法
(51)【国際特許分類】
   A62C 33/00 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
A62C33/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137360
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000240673
【氏名又は名称】ヨネ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000215822
【氏名又は名称】帝国繊維株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】紅山 佳一郎
(72)【発明者】
【氏名】篠本 和明
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189LA02
2E189LA09
(57)【要約】
【課題】一人で簡単かつ迅速に結合金具の結合を解除できるようにすること。
【解決手段】消防ホース結合金具解除用治具1は、消防ホースの結合金具2の結合を解除するときに、結合された各結合金具2に位置決めされる一対の軸部11,11’を備えている。消防ホース結合金具解除用治具1は、一対の軸部11,11’を支持する支持部13と、結合金具2のストッパー部26を係止するための係止部15と、一方の軸部11を中心に他方の軸部11’を回転するためのレバー部14と、を備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消防ホースの結合金具の結合を解除するときに、結合された各結合金具に位置決めされる一対の軸部と、
前記一対の軸部を支持する支持部と、
前記結合金具のストッパー部を係止するための係止部と、
一方の前記軸部を中心に他方の前記軸部を回転するためのレバー部と、を備える
ことを特徴とする消防ホース結合金具解除用治具。
【請求項2】
前記支持部及び前記レバー部が一体に形成された金属製部材からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の消防ホース結合金具解除用治具。
【請求項3】
前記レバー部は、前記一対の軸部を結ぶ仮想線に対して直角方向に延設されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の消防ホース結合金具解除用治具。
【請求項4】
前記係止部は、前記支持部と前記レバー部との間に形成された湾曲形状で構成されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の消防ホース結合金具解除用治具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の消防ホース結合金具解除用治具を用いて、前記結合金具の結合を解除する
ことを特徴とする解除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防ホース結合金具の結合を解除するための治具及びそれを用いた解除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消火作業で用いられる消防ホースは、その端部に結合金具を備えており、結合金具を結合及び解除することで、複数の消防ホースを連結及び分離できるよう構成されている。結合金具は、例えば特許文献1に開示されている。結合金具は、消火作業の迅速性及び確実性の観点から雄雌の区別なく同一構造からなる。
【0003】
結合金具は、端部の周方向に沿って設けられた複数の突起部及び嵌合部を備えている。各結合金具を結合するとき、一方の結合金具の突起部及び嵌合部が、他方の結合金具の突起部及び嵌合部に嵌め合わされると共に、先端面同士が当接される。
【0004】
さらに、各突起部は、結合金具の周方向に延設された凸部及び凹部を備えている。各結合金具の先端面同士が当接された状態で、各結合金具を周方向に正回転する(ねじる)ことで、各結合金具の突起部に設けられた凸部及び凹部が嵌め合わされて、各結合金具が軸方向に移動できなくなるよう構成されている。
【0005】
また、結合金具は、結合状態を維持するためのストッパー部を備えている。ストッパー部は、先端面同士が当接された各結合金具が周方向に逆回転しない(ねじられない)ように、回転を規制するよう構成されている。ストッパー部は、結合金具の嵌合部において、ロック位置と非ロック位置との間で移動可能に構成されている。そして、ストッパー部は、バネ等の付勢部材によって通常時においてロック位置になるよう付勢されている。
【0006】
ストッパー部がロック位置に配置されると、嵌合部に嵌め合わされた突起部が移動できなくなって、結合金具が逆回転しない(ねじられない)ように構成されている。これによって、突起部に設けられた凸部及び凹部が嵌め合わされて、各結合金具が軸方向に移動できない状態に維持されて、結合金具の結合が解除できないようになり、その結果、消防ホースが分離されないようになっている。
【0007】
一方、ストッパー部が非ロック位置に配置されると、嵌合部に嵌め合わされた突起部の移動が可能となって、結合金具が逆回転する(ねじられる)ように構成されている。これによって、突起部に設けられた凸部及び凹部が分離されて、各結合金具が軸方向に移動できるようになって、結合金具の結合が解除できるようになり、その結果、消防ホースを分離することができるようになっている。
【0008】
このように、消防ホースを分離するとき、付勢部材でロック位置に付勢されたストッパー部を非ロック位置に配置して、ストッパー部を非ロック位置に配置した状態で結合金具を逆回転する(ねじる)必要があるため、二人がかりで作業しなければならず、作業に時間及び手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9-119577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、一人で簡単かつ迅速に結合金具の結合を解除できるように、消防ホース結合金具解除用治具及びそれを用いた解除方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る消防ホース結合金具解除用治具は、消防ホースの結合金具の結合を解除するときに、結合された各結合金具に位置決めされる一対の軸部を備えている。消防ホース結合金具解除用治具は、一対の軸部を支持する支持部と、結合金具のストッパー部を係止するための係止部と、一方の軸部を中心に他方の軸部を回転するためのレバー部と、を備えている。
【0012】
本発明に係る消防ホース結合金具解除用治具を用いることで、一人で簡単かつ迅速に結合金具の結合を解除して消防ホースを分離することができる。
【0013】
また、好ましくは、支持部及びレバー部が一体に形成された金属製部材からなる。
【0014】
そして、レバー部は、一対の軸部を結ぶ仮想線に対して直角方向に延設されていることが望ましい。
【0015】
さらに、係止部は、支持部とレバー部との間に形成された湾曲形状で構成されていてもよい。
【0016】
そして、本発明に係る結合金具の結合を解除する方法として、上記の消防ホース結合金具解除用治具を用いて、結合金具の結合を解除することが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る消防ホース結合金具解除用治具及びそれを用いた解除方法により、一人で簡単かつ迅速に結合金具の結合を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】分離された結合金具を示す斜視図。
図2】分離された結合金具を示す一部断面側面図。
図3】結合金具を示す正面図。
図4】ストッパー部を示し、図4Aは側面図、図4B図4Aの矢視Bから見た図、図4C図4Aの矢視Cから見た図。
図5】結合された結合金具を示す側面図。
図6】消防ホース結合金具解除用治具を示し、図6Aは側面図、図6Bは正面図。
図7】結合金具の結合を解除する方法を説明するための側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明に係る消防ホース結合金具解除用治具(以下、単に「治具」と言うことがある)及びそれを用いた解除方法の一実施形態を説明する。
【0020】
<結合金具>
図1図3に基づいて、消防ホースHの結合金具2について説明する。
結合金具2は、消防ホースHの先端に取り付けられており、2本の消防ホースHが、結合金具2を介して、結合及び分離されるように構成されている。結合金具2は、金属製部材で構成されており、消防ホースHの径と略同一径からなる円筒状の本体部20を備えている。
【0021】
結合金具2は、複数の突起部22を備えており、突起部22は、本体部20に一体に設けられている。突起部22は、本体部20の先端面部200から軸方向2aに突出すると共に、本体部20の周面部201から径方向2bに突出する形状で構成されており、本体部20の周方向2cに等間隔を置いて設けられている。オペレータが結合金具2を持って結合するときに、安全に作業することができるように、突起部22は、直方体の先端部及び基端部が先鋭形にならないよう傾斜面で構成されている。
【0022】
また、結合金具2は、複数の嵌合部23を備えており、嵌合部23は、本体部20に設けられた各突起部22の間で形成され、隣接する各突起部22の対向する端辺部220と本体部20の周面部201とによって構成される。そのため、嵌合部23は、本体部20の周方向2cに等間隔を置いて設けられる。
【0023】
嵌合部23の幅(各突起部22の間の距離)は、突起部22の幅よりも広く構成されており、各結合金具2が結合されるときに、一方の結合金具2の突起部22が他方の結合金具2の嵌合部23に嵌め合わされる。
【0024】
また、結合金具2は、複数の凸部24を備えている。凸部24は、直方体形状で構成されており、突起部22の一方側の端辺部220から本体部20の周方向2cに突出すると共に、本体部20の周面部201から径方向に2bに突出しており、本体部20の先端面部200から軸方向2aに突出しないよう構成されている。そのため、各突起部22に1つの凸部24が設けられている。
【0025】
そして、結合金具2は、複数の凹部25を備えている。凹部25は、各突起部22に形成されており、後述するとおり、一方の結合金具2の凸部24が、他方の結合金具2の凹部25に嵌め込まれるように直方体形状で構成されている。そのため、各突起部22に対して1つの凹部25が設けられている。
【0026】
凸部24及び凹部25は、突起部22の一方側の端辺部220に設けられている。そして、凸部24及び凹部25は、各結合金具2が結合されるときに、互いに嵌合できる形状に構成されている。
【0027】
各結合金具2を結合するときに、一方の結合金具2の突起部22が他方の結合金具2の嵌合部23に嵌め合わされて、各結合金具2の先端面部200が当接する。その後、結合金具2を周方向2cに正回転して(ねじって)、一方の結合金具2の凸部24が他方の結合金具2の凹部25に嵌め込まれ、他方の結合金具2の凸部24が一方の結合金具2の凹部25に嵌め込まれる。その結果、凸部24及び凹部25が引っ掛かることで、結合された結合金具2が軸方向2aに移動されないよう構成されている。
【0028】
ここで、結合金具2を周方向2cに正回転するとは、結合金具2の凸部24と凹部25とが嵌め込まれる方向(図5の方向R1)に回転することをいい、一方、結合金具2を周方向2cに逆回転するとは、結合金具2の凸部24と凹部25とが離れる方向(図5の方向R2)に回転することをいう。
【0029】
<ストッパー部>
図2図4に基づいて、ストッパー部26について説明する。
結合された結合金具2は周方向2cに逆回転する(ねじる)と、結合金具2の凸部24及び凹部25の嵌合が解除されるので、結合された結合金具2が軸方向2aに移動可能となり分離されてしまう。そのため、結合された結合金具2が分離されないように、結合金具2はストッパー部26を備えており、ストッパー部26は、結合された結合金具2が周方向2cに逆回転される(ねじられる)ことを規制するように構成されている。本実施形態では、各結合金具2に1つのストッパー部26が設けられている。
【0030】
図4に示されるように、ストッパー部26は、突起部22に設けられて、凸部24が設けられた突起部22の端辺部220とは反対側の突起部22の端辺部220から突出するように構成されている。ストッパー部26は、付勢部材であるねじりバネを有する回転軸部260を備えている。そのため、ストッパー部26は、回転軸部260を中心に回転することで、ロック位置(図4の実線)と非ロック位置(図4の二点鎖線)との間を移動可能に構成されている。そして、ストッパー部26は、回転軸部260のねじりバネによって、通常時では、ロック位置に配置されるよう付勢されている。
【0031】
ストッパー部26は、L字型の金属部材で構成されており(図4A)、当接部261と、当接部261に連結された基部262とを備えており、基部262に回転軸部260が設けられている。当接部261は、突起部22の端辺部220から突出する一方、基部262は、突起部22の端辺部220から突出しないように構成されている。
【0032】
ストッパー部26は、基部262が回転軸部26を中心に回転することで、ロック位置(図4の実線)と非ロック位置(図4の二点鎖線)との間を移動するようになっている。一方の結合金具2のストッパー部26は、ロック位置において、当接部261が、他方の結合金具2の突起部22に当接するように配置されて、非ロック位置において、当接部261が、他方の結合金具2の突起部22に当接しないように配置される。
【0033】
図4Bの通り、当接部261は、本体部20の周面部201側において円弧状に湾曲された湾曲面で構成されており、結合金具2が結合されるときに、一方の結合金具2の突起部22が、他方の結合金具2に設けられたストッパー部26の当接部261の湾曲面に当接することで、ストッパー部26の回転軸部260のねじりバネの付勢力に対抗しながら、ストッパー部26を滑らかに非ロック位置に移動することができ、一方の結合金具2の突起部22を他方の結合金具2の嵌合部23に嵌め込むことができる。その後、結合金具2を正回転(図5の方向R1)する(ねじる)ことで、ストッパー部26がロック位置に戻る。
【0034】
また、後述するとおり、ストッパー部26がロック位置に配置されるとき、当接部261が突起部22の端面部200から突出して、嵌合部23に配置されるようになっている。これによって、図5に示されるように、一方の結合金具2の嵌合部23に嵌め込まれた他方の結合金具2’の突起部22’が、ストッパー部26の当接部261に当接することになり、結合金具2が逆回転(図5の方向R2)されない(ねじられない)ように規制される。
【0035】
一方、ストッパー部26が非ロック位置に配置されるとき、当接部261が突起部22から離れて、嵌合部23に配置されないようになっている。これによって、一方の結合金具2の嵌合部23に嵌め込まれた他方の結合金具2の突起部22が、ストッパー部26の当接部261に当接しないようになり、結合金具2が逆回転(図5の方向R2)される(ねじられる)ように構成されている。
【0036】
<消防ホース結合金具解除用治具>
図6に基づいて、消防ホース結合金具解除用治具1について説明する。
治具1は、結合金具2の結合を解除するときに、各結合金具2に位置決めされる一対の軸部11,11’を備えている。軸部11,11’が位置決めされる位置決め部27は、本実施形態では、突起部22に形成された切欠き部27(図5)で構成されており、切欠き部27に軸部11,11’が嵌め込まれて位置決めされる。切欠き部27は、ストッパー部26とは反対側の突起部22の端辺部220が切り欠けられて窪むように構成されている。軸部11,11’は、ボルト等の金属製部材で構成されている。
【0037】
治具1は、各軸部11,11’を支持する支持部13と、支持部13に連結されたレバー部14とを備えている。本実施形態では、支持部13及びレバー部14は、一体に形成された金属製部材で構成されており、その結果、支持部13及びレバー部14について、合理的な設計を可能として、容易に製作することができ、製造コストを低減することができるようになっている。
【0038】
また、レバー部14は、一対の軸部11,11’を結ぶ仮想線11aに対して直角方向14aに延設されている。その結果、後述するとおり、結合金具2の結合を解除するときに、一方の軸部11を中心に他方の軸部11’を回転するが、その際に、一方の軸部11が支点となって他方の軸部11’が作用点となるので、レバー部14からの回転力が効果的に軸部11,11’に伝達されるようになっている。
【0039】
治具1は、結合金具2のストッパー部26を係止して非ロック位置に保持する係止部15を備えている。本実施形態では、係止部15は、支持部13とレバー部14とが連結される部分からなり、この部分でストッパー部26を係止するようになっている。支持部13の幅W1がレバー部14の幅W2より大きく構成されて、支持部13とレバー部14とが連結される部分で係止部15が形成されている。係止部15は湾曲形状で構成されており、その結果、レバー部14を回転する間、ストッパー部26が係止部15に係止した状態で滑らかに移動できるようになっている。
【0040】
<結合金具2の解除方法>
図7に基づいて、結合金具2の解除方法について説明する。なお、図7において、結合金具2,2’と治具1との位置関係が理解しやすいように、治具1が二点鎖線で表され、結合金具2,2’が実線で表されている。
【0041】
図7に示されるように、オペレータは、治具1の一対の軸部11,11’を、結合された各結合金具2,2’の位置決め部27,27’に位置決めする。位置決め部27,27’は、ストッパー部26,26’を有する突起部22,22’に設けられており、突起部22,22’の端辺部220が切り欠けられて形成された切欠き部27,27’で構成されている。
【0042】
切欠き部27,27’は、ストッパー部26,26’が設けられた突起部22,22’の端辺部220とは反対側の突起部22,22’の端辺部220が切り欠けられて形成されている。そのため、結合金具2,2’が結合されて、各結合金具2,2’の突起部22,22’同士が当接された状態では、一方の結合金具2の突起部22に設けられた切欠き部27の開口が、他方の結合金具2’の突起部22’の端辺部220に対向するようになっている。そして、治具1の一対の軸部11,11’が、それぞれの結合金具2,2’の切欠き部27,27’に嵌め込まれる。このとき、治具1は第1位置1Aに配置されている。
【0043】
また、オペレータは、一方の手で、一方の結合金具2のストッパー部26をロック位置から非ロック位置にする。そして、オペレータは、他方の手で持っている治具1の係止部15にストッパー部26を引っ掛けて係止することで、ストッパー部26が回転軸部260のねじりバネでロック位置に戻ろうとしても、ストッパー部26を非ロック位置に保持することができる。これにより、オペレータは、ストッパー部26を非ロック位置に維持した状態で、一方の結合金具2のストッパー部26から一方の手を離すことができる。
【0044】
その後、オペレータは、一方の手で、他方の結合金具2’のストッパー部26’をロック位置から非ロック位置にする。このとき、オペレータが、他方の手で持っている治具1の係止部15によって、一方の結合金具2のストッパー部26は非ロック位置に保持される。これにより、双方の結合金具2,2’のストッパー部26,26’が非ロック位置に配置されている。
【0045】
この状態で、オペレータは、他方の手で、治具1の一方の軸部11を中心にして、治具1を第1位置1Aから第2位置1Bになるように、治具1のレバー部14を回転する。このとき、治具1の係止部15で保持されたストッパー部26に向かう方向に治具1を回転することで、ストッパー部26を非ロック位置に維持しながら、治具1を第1位置1Aから第2位置1Bにすることができる。
【0046】
その結果、治具1の一方の軸部11が支点となり、治具1の他方の軸部11’が作用点となることで、軸部11が突起部22の切欠き部27の開口を通じて突起部22’を押すと共に、軸部11’が突起部22’の切欠き部27’の開口を通じて突起部22を押すようになっている。このように、各ストッパー部26,26’が非ロック位置に維持された状態で、軸部11,11’が突起部22,22’を押すことで、結合金具2,2’が逆回転(図5の方向R2)して(ねじられて)、各凸部24が各凹部25から離れて、各結合金具2,2’が軸方向2aに移動可能となり、消防ホースHを分離することができるようになっている。
【0047】
このように、オペレータは、一方の手で治具1のレバー部14を持って、結合された結合金具2,2’のそれぞれに一対の軸部11,11’を位置決めすると共に、治具1の係止部15でストッパー部26をロック位置に保持する。そして、オペレータは、他方の手でストッパー部26を非ロック位置にして、その状態で、一方の軸部11を中心に他方の軸部11’が回転するように、一方の手で持っているレバー部14を回転する。その結果、ストッパー部26,26’を非ロック位置に維持した状態で、結合金具2,2’を逆回転(図5の方向R2)する(ねじる)ことができるので、一人で簡単かつ迅速に結合金具2,2’の結合を解除して消防ホースHを分離することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構成はこれらの実施形態に限定されない。例えば、以下のように変更することもできる。
【0049】
本実施形態では、ストッパー部26は、当接部261がねじりバネによって付勢された回転機構で構成されているが、例えば、当接部261がスライド可能であってコイルバネで付勢されたスライド機構で構成されてもよい。
【0050】
消防ホース結合金具解除用治具1の係止部15は、ストッパー部26を係止できる構成であればよく、例えば、レバー部14を回転するときに、ストッパー部26が係止部15から離れてしまう可能性を小さくできるように、支持部13又はレバー部14から突出する突出部等で構成されてもよい。
【0051】
消防ホース結合金具解除用治具1の支持部13及びレバー部14が別部材で構成されてもよく、例えば、レバー部14を回転しやすいように支持部13に対して着脱できるように構成されていてもよい。
【0052】
レバー部14は、例えば、ストッパー部26を係止しやすいように、ストッパー部26の位置に応じて一対の軸部11,11’に対して任意の方向に延設することができる。
【0053】
本実施形態では、消防ホース結合金具解除用治具1は、一対の軸部11,11’が円柱形状で構成されているが、この形状に限定される必要はなく、一方の軸部を中心にして他方の軸部を回転できればよいので、例えば、先端が半球形状、全体が円球形状で構成されていてもよい。
【0054】
本実施形態では、消防ホース結合金具解除用治具1は、一対の軸部が各結合金具2,2’に位置決めされるとき、結合金具2,2’の突起部22,22’に設けられた切欠き部27,27’に嵌め込まれるが、例えば、結合金具2,2’の本体部20,20’に設けられた窪み部や突出部等でもよい。
【0055】
次に、本発明の効果について説明する。
【0056】
本発明に係る消防ホース結合金具解除用治具は、結合金具の結合を解除するときに、結合された結合金具のそれぞれに位置決めされる一対の軸部を備えている。さらに、治具は、一対の軸部を支持する支持部と、結合金具のストッパー部を係止するための係止部と、一方の軸部を中心に他方の軸部を回転するためのレバー部と、を備えている。
【0057】
そのため、オペレータは、一方の手でレバー部を持って、結合された結合金具のそれぞれに一対の軸部を位置決めすると共に、係止部でストッパー部を係止する。そして、他方の手で別のストッパー部を非ロック位置にして、係止部でストッパー部を非ロック位置に保持することができる。その状態で、オペレータは、一方の軸部を中心に他方の軸部が回転するように、一方の手で持っているレバー部を回転する。その結果、2つのストッパー部を非ロックに維持したまま、結合金具を逆回転する(ねじる)ことができるので、一人で簡単かつ迅速に結合金具の結合を解除して消防ホースを分離することができる。
【0058】
さらに、このときに、他方の手が自由に使えるので、結合された結合金具のストッパー部が2個ある場合でも、治具の係止部で一方のストッパー部を非ロック位置に保持して、他方の手で他方のストッパー部を非ロック位置に維持することができるので、一人で結合金具の結合を解除することができる。
【0059】
また、治具は、支持部及びレバー部が一体に形成された金属製部材からなることが望ましい。支持部及びレバー部を金属製部材で一体に形成することで、合理的な設計を可能として、容易に製作することができ、製造コストを低減することができる。
【0060】
また、一方の軸部を中心に他方の軸部を回転するときに、一方の軸部が支点となって他方の軸部が作用点となるので、レバー部からの回転力が効果的に軸部に伝達されるように、レバー部は、一対の軸部を結ぶ仮想線に対して直角方向に延設されていることが望ましい。
【0061】
また、係止部は、支持部とレバー部との間に形成された湾曲形状で構成されているので、レバー部を回転するとき、ストッパー部と係止部とは係止したまま滑らかに移動することができる。
【0062】
本発明に係る消防ホース結合解除用器具を用いて、結合金具の結合を解除することで、一人で簡単かつ迅速に結合金具の結合を解除して消防ホースを分離することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 消防ホース結合金具解除用治具
11,11’ 軸部
13 支持部
14 レバー部
15 係止部
2,2’ 結合金具
26,26’ ストッパー部
H 消防ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7