(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031708
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】異常状態検出回路、及び、電気機器
(51)【国際特許分類】
H02M 7/06 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
H02M7/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137365
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎一
(72)【発明者】
【氏名】ズル ハフィジ
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006AA05
5H006CA07
5H006CB01
5H006CC03
5H006DB01
5H006DC05
5H006FA00
(57)【要約】
【課題】コンデンサの直列回路の異常状態の検出に対する対応の高速化及び検出動作の安定度の向上を可能にする異常状態検出回路及び電気機器を提供する。
【解決手段】異常状態検出回路10は、2つのコンデンサC1,C2の直列回路13の両端間の第1電圧V1を検出し第1電圧V1を示す第1検出電圧を出力する第1電圧検出回路2と、2つのコンデンサC1,C2間の接続点P1の第2電圧V2を検出し第2電圧V2を示す第2検出電圧を出力する第2電圧検出回路3と、第1電圧検出回路2から出力される第1検出電圧が示す第1電圧V1と第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧が示す第2電圧V2との差分を所定の判定値と比較するコンパレータ41を有する電圧不平衡検出回路4と、差分が所定の判定値以上であると電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41が判断した場合に異常状態検出信号S3を出力する出力回路6とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのコンデンサの直列回路の両端間の第1電圧を検出し、前記第1電圧を示す第1検出電圧を出力する第1電圧検出回路と、
前記直列回路の2つのコンデンサ間の接続点の第2電圧を検出し、前記第2電圧を示す第2検出電圧を出力する第2電圧検出回路と、
前記第1電圧検出回路から出力される第1検出電圧が示す第1電圧と前記第2電圧検出回路から出力される第2検出電圧が示す第2電圧との差分を所定の判定値と比較するコンパレータを有する電圧不平衡検出回路と、
前記差分が前記所定の判定値以上であると前記電圧不平衡検出回路のコンパレータが判断した場合に異常状態検出信号を出力する出力回路と、
を備える、
異常状態検出回路。
【請求項2】
前記電圧不平衡検出回路のコンパレータの非反転入力端子には、前記第1電圧検出回路から出力される第1検出電圧が入力され、
前記電圧不平衡検出回路のコンパレータの反転入力端子には、前記第2電圧検出回路から出力される第2検出電圧に前記所定の判定値に対応する電圧が加算された電圧が入力される、
請求項1に記載の異常状態検出回路。
【請求項3】
前記第2電圧検出回路から出力される第2検出電圧が示す第2電圧を所定の閾値電圧と比較するコンパレータを有する過電圧検出回路を、さらに備え、
前記出力回路は、前記第2電圧が前記所定の閾値電圧以上であると前記過電圧検出回路のコンパレータが判断した場合に異常状態検出信号を出力するように構成される、
請求項1又は2に記載の異常状態検出回路。
【請求項4】
前記過電圧検出回路のコンパレータの反転入力端子には、前記第2電圧検出回路から出力される第2検出電圧が入力され、
前記過電圧検出回路のコンパレータの非反転入力端子には、前記所定の閾値電圧に対応する電圧が入力される、
請求項3に記載の異常状態検出回路。
【請求項5】
前記出力回路は、前記過電圧検出回路のコンパレータの出力端子に接続される第1端子と、グランドに接続される第2端子と、前記電圧不平衡検出回路のコンパレータの出力端子に接続される制御端子とを有し、前記制御端子に入力される電圧に応じて前記第1端子と前記第2端子との間が導通しないオフ状態と前記第1端子と前記第2端子との間が導通するオン状態とで切り替わるスイッチを有し、
前記出力回路は、前記電圧不平衡検出回路のコンパレータの出力端子から出力される信号がロウレベルの間は前記スイッチがオフ状態になり、前記過電圧検出回路のコンパレータの出力端子から出力されるロウレベルの信号を前記異常状態検出信号として出力し、
前記出力回路は、前記電圧不平衡検出回路のコンパレータの出力端子から出力される信号がハイレベルの間は、前記スイッチがオン状態になり、ロウレベルの信号を前記異常状態検出信号として出力する、
請求項3又は4に記載の異常状態検出回路。
【請求項6】
前記出力回路は、前記異常状態検出信号の出力を維持するラッチ回路を、さらに備える、
請求項5に記載の異常状態検出回路。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一つに記載の異常状態検出回路と、
前記2つのコンデンサの直列回路と、
電源からの電力に基づいて前記直列回路の両端間に所定の直流電圧を出力する直流電源回路と、
前記所定の直流電圧により動作する直流負荷と、
を備える、
電気機器。
【請求項8】
前記直流電源回路を制御するマイクロコンピュータを、さらに備え、
前記直流電源回路は、前記異常状態検出回路の出力回路から前記異常状態検出信号を受け取ると前記直流電源回路の動作を停止するように構成され、
前記マイクロコンピュータは、前記異常状態検出回路の出力回路から前記異常状態検出信号を受け取ると異常状態に対処する動作を実行する、
請求項7に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異常状態検出回路、及び、電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、空気調和器等の電気機器に利用される交流直流変換装置を開示する。特許文献1に開示された交流直流変換装置は、交流電源にリアクタを介して並列接続される第1および第2の整流器と、第1の整流器の直流負荷への出力端子間に直列に接続された2つのコンデンサと、第2の整流器の出力端子間に直列に接続され、該接続点が2つのコンデンサの接続点に接続された2つのスイッチング素子と、昇圧制御を行っている際の2つのコンデンサの各両端間電圧に基づいて、2つのスイッチング素子の故障判定を行い、2つのスイッチング素子のうちの一方が故障していると判定した場合に、2つのスイッチング素子をオフ制御して昇圧制御を停止すると共に、直流負荷を停止させる制御部とを備える。制御部は、マイクロコンピュータにて実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、コンデンサの直列回路の異常状態を利用して2つのスイッチング素子の故障判定を行う。この故障判定は、マイクロコンピュータである制御部が実行する。故障判定は、ソフトウェア処理により実現されており、故障判定の結果が出るまでに時間がかかる場合がある。また、マイクロコンピュータが暴走した場合には、故障判定自体が行えなくなってしまい、異常発生時でも正常に回路動作の停止ができない場合がある。
【0005】
本開示は、コンデンサの直列回路の異常状態の検出に対する対応の高速化及び安定度の向上を可能にする異常状態検出回路及び電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる異常状態検出回路は、第1電圧検出回路と、第2電圧検出回路と、電圧不平衡検出回路と、出力回路とを備える。第1電圧検出回路は、2つのコンデンサの直列回路の両端間の第1電圧を検出し、第1電圧を示す第1検出電圧を出力する。第2電圧検出回路は、直列回路の2つのコンデンサ間の接続点の第2電圧を検出し、第2電圧を示す第2検出電圧を出力する。電圧不平衡検出回路は、コンパレータを有する。コンパレータは、第1電圧検出回路から出力される第1検出電圧が示す第1電圧と第2電圧検出回路から出力される第2検出電圧が示す第2電圧との差分を所定の判定値と比較する。出力回路は、差分が所定の判定値以上であると電圧不平衡検出回路のコンパレータが判断した場合に異常状態検出信号を出力する。
【0007】
本開示の一態様にかかる電気機器は、上記の異常状態検出回路と、前記2つのコンデンサの直列回路と、電源からの電力に基づいて前記直列回路の両端間に所定の直流電圧を出力する直流電源回路と、前記所定の直流電圧により動作する直流負荷とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様は、コンデンサの直列回路の異常状態の検出に対する対応の高速化及び安定度の向上を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施の形態にかかる異常状態検出回路を備える電気機器の構成例の回路図
【
図2】
図1の電気機器の直流電源回路の構成例の回路図
【
図3】
図1の電気機器の異常状態検出回路の構成例の回路図
【
図4】
図1の電気機器のコンデンサの直列回路の両端間の第1電圧とコンデンサ間の接続点の第2電圧との差分と、第2電圧との関係を示すグラフ
【
図5】
図1の異常状態検出回路の電圧不平衡検出回路の動作の一例を示すタイミング図
【
図6】
図1の異常状態検出回路の過電圧検出回路の動作の一例を示すタイミング図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
本開示の回路構成において、「接続される」とは、接続端子及び/又は配線導体で直接接続される場合だけでなく、他の回路部品を介して電気的に接続される場合も含む。また、「A及びBの間に接続される」とは、A及びBの間でA及びBの両方に接続されることを意味する。
【0012】
[1.実施の形態]
[1.1 構成]
図1は、一実施の形態にかかる電気機器1の構成例のブロック図である。
図1の電気機器1は、直流負荷11と、直流電源回路12と、2つのコンデンサC1,C2の直列回路13と、マイクロコンピュータ14とを備える。
【0013】
直流負荷11は、所定の直流電圧により動作する。
図1の電気機器1では、所定の直流電圧は、直流電源回路12により直列回路13の両端間に出力される。直流負荷11は、例えば、電気機器1において所定の機能を実現する機械構造を有する。直流負荷11により実現される機能は、主に電気機器1の種類によって異なる。本実施の形態では、電気機器1はヒートポンプ式温水暖房機である。ヒートポンプ式温水暖房機は、例えば、空気熱交換機、圧縮機、水熱交換機、及び膨張弁を有し、水熱交換により冷媒の熱を、温水パネルヒータの循環液に伝えて暖房を行う。ヒートポンプ式温水暖房機では、直流負荷11は、例えば、圧縮機を含む。
【0014】
直流電源回路12は、電源20からの電力に基づいて直列回路13の両端間に所定の直流電圧を出力する。電源20は、例えば、交流電源である。交流電源としては、例えば、三相交流電源等の商用交流電源が挙げられる。直流電源回路12は、商用交流電源の実効値(例えば、200V)より高い直流電圧を生成して2つのコンデンサC1,C2の直列回路13に出力するように構成される。
【0015】
図2は、直流電源回路12の構成例の回路図である。
図2の直流電源回路12は、AC-DCコンバータと昇圧回路との機能を有し、力率改善回路として機能する。
図2の直流電源回路12は、2つのダイオードブリッジ121,122と、2つのスイッチング素子123,124と、4つのダイオード125a~125dと、コイル126とを有する。
【0016】
ダイオードブリッジ121の正極端121aと負極端121bとの間にはスイッチング素子123が接続される。ダイオードブリッジ121の正極端121aは、逆流素子用のダイオード125aを介して、直列回路13の高電位側の端子(コンデンサC11におけるコンデンサC12とは反対側の端子)に接続される。ダイオードブリッジ121の負極端121bは、逆流素子用のダイオード125bを介して、直列回路13の低電位側の端子(コンデンサC12におけるコンデンサC11とは反対側の端子)に接続される。ダイオードブリッジ121の第1交流端121cはコイル126を介して電源20の第1端に接続される。ダイオードブリッジ121の第2交流端121dはコンデンサC1,C2の接続点P1に接続される。
【0017】
ダイオードブリッジ122の正極端122aと負極端122bとの間にはスイッチング素子124が接続される。ダイオードブリッジ122の正極端122aは、逆流素子用のダイオード125cを介して、直列回路13の高電位側の端子に接続される。ダイオードブリッジ122の負極端122bは、逆流素子用のダイオード125dを介して、直列回路13の低電位側の端子に接続される。ダイオードブリッジ122の第1交流端122cは電源20の第2端に接続される。ダイオードブリッジ122の第2交流端122dはコンデンサC1,C2の接続点P1に接続される。
【0018】
直流電源回路12の動作について簡単に説明する。ダイオードブリッジ121の第1交流端121cの電位がダイオードブリッジ122の第1交流端122cの電位より高い第1の場合において、スイッチング素子123,124がそれぞれオン状態であると、電源20から、ダイオードブリッジ121の第1交流端121c、正極端121a、スイッチング素子123、負極端121b、第2交流端121d、ダイオードブリッジ122の第2交流端122d、正極端122a、スイッチング素子124、負極端122b、第1交流端122cを通る電流経路が形成される。この場合、コイル126にエネルギが蓄積される。スイッチング素子123がオン状態、スイッチング素子124がオフ状態であると、電源20から、ダイオードブリッジ121の第1交流端121c、正極端121a、スイッチング素子123、負極端121b、第2交流端121d、コンデンサC2、ダイオード125d、ダイオードブリッジ122の負極端122b、第1交流端122cを通る電流経路が形成される。この場合、コイル126からエネルギが放出されて、コンデンサC2が昇圧された電圧により充電される。スイッチング素子123がオフ状態、スイッチング素子124がオン状態であると、電源20から、ダイオードブリッジ121の第1交流端121c、正極端121a、ダイオード125a、コンデンサC1、ダイオードブリッジ122の第2交流端122d、正極端122a、スイッチング素子124、負極端122b、第1交流端122cを通る電流経路が形成される。この場合、コイル126からエネルギが放出されて、コンデンサC1が昇圧された電圧により充電される。スイッチング素子123,124がそれぞれオフ状態であると、電源20から、ダイオードブリッジ121の第1交流端121c、正極端121a、ダイオード125a、コンデンサC1,C2、ダイオード125d、ダイオードブリッジ122の負極端122b、第1交流端122cを通る電流経路が形成される。この場合、コイル126からエネルギが放出されて、コンデンサC1,C2が昇圧された電圧により充電される。
【0019】
ダイオードブリッジ121の第1交流端121cの電位がダイオードブリッジ122の第1交流端122cの電位より低い第2の場合において、スイッチング素子123,124がそれぞれオン状態であると、電源20から、ダイオードブリッジ122の第1交流端122c、正極端122a、スイッチング素子124、負極端122b、第2交流端122d、ダイオードブリッジ121の第2交流端121d、正極端121a、スイッチング素子123、負極端121b、第1交流端121cを通る電流経路が形成される。この場合、コイル126にエネルギが蓄積される。スイッチング素子123がオフ状態、スイッチング素子124がオン状態であると、電源20から、ダイオードブリッジ122の第1交流端122c、正極端122a、スイッチング素子124、負極端122b、第2交流端122d、コンデンサC2、ダイオード125b、ダイオードブリッジ121の負極端121b、第1交流端121cを通る電流経路が形成される。この場合、コイル126からエネルギが放出されて、コンデンサC2が昇圧された電圧により充電される。スイッチング素子123がオン状態、スイッチング素子124がオフ状態であると、電源20から、ダイオードブリッジ122の第1交流端121c、正極端121a、ダイオード125c、コンデンサC1、ダイオードブリッジ121の第2交流端121d、正極端121a、スイッチング素子123、負極端121b、第1交流端121cを通る電流経路が形成される。この場合、コイル126からエネルギが放出されて、コンデンサC1が昇圧された電圧により充電される。スイッチング素子123,124がそれぞれオフ状態であると、電源20から、ダイオードブリッジ122の第1交流端122c、正極端122a、ダイオード125c、コンデンサC1,C2、ダイオード125b、ダイオードブリッジ121の負極端121b、第1交流端121cを通る電流経路が形成される。この場合、コイル126からエネルギが放出されて、コンデンサC1,C2が昇圧された電圧により充電される。
【0020】
このように、直流電源回路12は、スイッチング素子123,124のスイッチング動作により、直列回路13の両端間に所定の直流電圧を出力する。スイッチング素子123,124のスイッチング動作は、マイクロコンピュータ14により制御される。
【0021】
図1の直列回路13は、直列接続された2つのコンデンサC1,C2を有する。
図1では、コンデンサC2はグランドに接続される。2つのコンデンサC1,C2は、例えば、電解コンデンサである。本実施の形態において、2つのコンデンサC1,C2の静電容量は互いに等しい。
【0022】
図1のマイクロコンピュータ14は、電気機器1の動作を制御する制御回路である。特に、マイクロコンピュータ14は、直流負荷11及び直流電源回路12を制御する。マイクロコンピュータ14は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラムを実行することで、電気機器1の動作を制御する機能が実現される。プログラムは、ここではマイクロコンピュータ14のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0023】
図1の電気機器1は、さらに、異常状態検出回路10を備える。異常状態検出回路10は、2つのコンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態の検出のために設けられる。
【0024】
図3は、異常状態検出回路10の構成例の回路図である。
図3の異常状態検出回路10は、第1電圧検出回路2と、第2電圧検出回路3と、電圧不平衡検出回路4と、過電圧検出回路5と、出力回路6とを備える。
【0025】
第1電圧検出回路2は、2つのコンデンサC1,C2の直列回路13の両端間の第1電圧V1を検出し、第1電圧V1を示す第1検出電圧を出力する。第1電圧検出回路2は、直列回路13に並列に接続され、第1電圧V1に比例する電圧を生じる分圧回路である。
図3において、第1電圧検出回路2は、3つの抵抗R21,R22,R23の直列回路で構成される。第1電圧検出回路2は、抵抗R22,R23間の接続点の電圧を第1検出電圧として出力する。
【0026】
第2電圧検出回路3は、直列回路13の2つのコンデンサC1,C2の接続点P1の第2電圧V2を検出し、第2電圧V2を示す第2検出電圧を出力する。第2電圧検出回路3は、直列回路13のコンデンサC2に並列に接続され、第2電圧V2に比例する電圧を生じる分圧回路である。
図3において、第2電圧検出回路3は、2つの抵抗R31,R32の直列回路で構成される。第2電圧検出回路3は、抵抗R21,R32間の接続点の電圧を第2検出電圧として出力する。
【0027】
電圧不平衡検出回路4は、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態を、コンデンサC1,C2の電圧が不平衡になったかどうかに基づいて検出するために設けられる。コンデンサC2の短絡等の異常によってコンデンサC2の両端間の電圧が低下した場合には、2つのコンデンサC1,C2の電圧の不平衡が生じていると考えられる。ただし、コンデンサC2の両端間の電圧の低下は、直流電源回路12から直列回路13に出力される所定の直流電圧自体が低下した場合にも起こり得る。そこで、電圧不平衡検出回路4は、第1電圧検出回路2から出力される第1検出電圧が示す第1電圧V1と第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧が示す第2電圧V2との差分を利用して、2つのコンデンサC1,C2の電圧の不平衡が生じているかどうかを判定する。
【0028】
図4は、コンデンサC1,C2の直列回路13の両端間の第1電圧V1とコンデンサC1,C2間の接続点P1の第2電圧V2との差分と、第2電圧V2との関係を示すグラフである。
図4において、G1は、コンデンサC1の両端間の電圧が最小値である場合のグラフである。G2は、コンデンサC1の両端間の電圧が代表的な値である場合のグラフである。G3は、コンデンサC1の両端間の電圧が最大値である場合のグラフである。
図4のグラフから明らかなように、第2電圧V2が減少すると、第1電圧V1と第2電圧V2との差分は増加する。第1電圧V1と第2電圧V2との差分が所定の判定値以上になったかどうかによって、第2電圧V2が所定値以上減少したかどうかを検出できる。
【0029】
電圧不平衡検出回路4は、コンパレータ41を有する。コンパレータ41は、第1電圧検出回路2から出力される第1検出電圧が示す第1電圧V1と第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧が示す第2電圧V2との差分を所定の判定値と比較するために設けられる。所定の判定値の大きさは、コンデンサC1,C2の電圧の不平衡が発生したかどうかを判定するために適宜設定される。一例として、直流電源回路12が直列回路13に出力する所定の直流電圧が600Vである場合、直列回路13が異常状態でなければ、第1電圧V1と第2電圧V2の差分は300V程度になる。この例において、所定の判定値は、例えば、400Vに設定されてよい。
【0030】
コンパレータ41は、非反転入力端子に入力される電圧が反転入力端子に入力される電圧以上である場合に、出力端子からハイレベルの信号を出力する。コンパレータ41は、非反転入力端子に入力される電圧が反転入力端子に入力される電圧未満である場合に、出力端子からロウレベルの信号を出力する。
図3では、コンパレータ41の非反転入力端子は、抵抗R41を介して第1電圧検出回路2の抵抗R22,R23の接続点に接続される。コンパレータ41の反転入力端子は、抵抗R42を介して第2電圧検出回路3の抵抗R31,R32の接続点に接続される。コンパレータ41の反転入力端子は、内部電源Vccとグランドとの間に接続される抵抗R43,R44の直列回路に接続される。より詳細には、コンパレータ41の反転入力端子は、抵抗R45を介して、抵抗R43,R44の接続点に接続される。抵抗R43,R45,R42,R32の直列回路において、抵抗R44,R42間の接続点の電位が、コンパレータ41の反転入力端子に入力される。そのため、コンパレータ41の反転入力端子には、第2検出電圧(抵抗R31,R32間の接続点の電圧)よりも、抵抗R42の両端間の電圧だけ大きい電圧が入力される。抵抗R42~R45の抵抗値は、抵抗R42の両端間の電圧が、所定の判定値に対応する電圧になるように設定される。これによって、コンパレータ41の非反転入力端子には、第1電圧検出回路2から出力される第1検出電圧が入力される。コンパレータ41の反転入力端子には、第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧に所定の判定値に対応する電圧が加算された電圧が入力される。ここで、第1電圧V1の大きさをv1、第2電圧V2の大きさをv2、所定の判定値をvdとすると、コンパレータ41は、v1≧v2+vdを満たすかどうか、つまり、v1-v2≧vdを満たすかどうかを判定する。つまり、コンパレータ41は、第1電圧V1と第2電圧V2との差分を所定の判定値と比較することになる。コンパレータ41の非反転入力端子と出力端子との間には帰還抵抗R46が接続される。コンパレータ41の出力端子と内部電源Vccとの間にはプルアップ抵抗R47が接続される。
【0031】
図5は、電圧不平衡検出回路4の動作の一例を示すタイミング図である。
図5において、V11は、コンパレータ41の非反転入力端子の電圧を示す。コンパレータ41の非反転入力端子に入力される電圧は、第1電圧検出回路2で検出された第1電圧V1に対応する。
図5において、V12は、コンパレータ41の反転入力端子の電圧を示す。コンパレータ41の反転入力端子に入力される電圧は、第2電圧検出回路3で検出された第2電圧V2に所定の判定値に対応する電圧が加算された電圧に対応する。
図5において、V13は、コンパレータ41の出力端子の電圧を示す。
【0032】
図5において、時刻t10から時刻t11までの間は、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態ではない。この場合、第1電圧V1と第2電圧V2との差分が所定の判定値未満である。そのため、コンパレータ41の非反転入力端子の電圧V11がコンパレータ41の反転入力端子の電圧V12より小さい。これにより、コンパレータ41の出力端子の電圧V13はL(ロウレベル)となり、コンパレータ41からロウレベルの信号が出力される。
図5において、時刻t11で、コンデンサC2が短絡し、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態になったとする。この場合、時刻t11以降、第1電圧V1と第2電圧V2との差分が所定の判定値以上になる。これにより、コンパレータ41の非反転入力端子の電圧V11がコンパレータ41の反転入力端子の電圧V12以上になる。そのため、コンパレータ41の出力端子の電圧V13はH(ハイレベル)となり、コンパレータ41からハイレベルの信号が出力される。このように、電圧不平衡検出回路4では、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態である場合には、コンパレータ41からハイレベルの信号が出力され、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態でない場合には、コンパレータ41からロウレベルの信号が出力される。
【0033】
過電圧検出回路5は、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態を、コンデンサC1,C2間の接続点P1の電圧が過剰に上昇したかどうかに基づいて検出するために設けられる。コンデンサC1,C2間の接続点P1の電圧が過剰に上昇した状態は、例えば、コンデンサC1の短絡等の異常により、コンデンサC2に過剰な電圧が印加された状態である。過電圧検出回路5は、コンパレータ51を有する。コンパレータ51は、第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧が示す第2電圧V2と所定の閾値電圧と比較するために設けられる。所定の閾値電圧の大きさは、接続点P1の電圧の過剰な上昇が発生したかどうかを判定するために適宜設定される。一例として、直流電源回路12が直列回路13に出力する所定の直流電圧が600Vである場合、直列回路13が異常状態でなければ、第2電圧V2は300V程度になる。この例において、所定の閾値電圧は、例えば、400Vに設定されてよい。
【0034】
図3では、コンパレータ51の非反転入力端子は、内部電源Vccとグランドとの間に接続される抵抗R51,R52の直列回路に接続される。より詳細には、コンパレータ51の非反転入力端子は、抵抗R51,R52の接続点に接続される。抵抗R51,52の抵抗値は、抵抗R51,R52の接続点の電圧が、所定の閾値電圧に対応する電圧になるように設定される。コンパレータ51の反転入力端子は、第2電圧検出回路3の抵抗R31,R32の接続点に接続される。これによって、コンパレータ51の非反転入力端子には、所定の閾値電圧に対応する電圧が入力される。コンパレータ51の反転入力端子には、第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧が入力される。コンパレータ51の非反転入力端子と出力端子との間には帰還抵抗R53が接続される。
【0035】
コンパレータ51は、非反転入力端子に入力される電圧が反転入力端子に入力される電圧以上である場合に、出力端子からハイレベルの信号を出力する。コンパレータ51は、非反転入力端子に入力される電圧が反転入力端子に入力される電圧未満である場合に、出力端子からロウレベルの信号を出力する。
図3の場合、コンパレータ51の非反転入力端子に入力される電圧は、所定の閾値電圧に対応する。コンパレータ51の反転入力端子に入力される電圧は、第2電圧検出回路3で検出された第2電圧V2に対応する。そのため、コンパレータ51は、第2電圧V2を所定の閾値電圧と比較する。
【0036】
図6は、過電圧検出回路5の動作の一例を示すタイミング図である。
図6において、V21は、コンパレータ51の非反転入力端子の電圧を示す。コンパレータ51の非反転入力端子に入力される電圧は、所定の閾値電圧に対応する。
図6において、V22は、コンパレータ51の反転入力端子の電圧を示す。コンパレータ51の反転入力端子に入力される電圧は、第2電圧検出回路3で検出された第2電圧V2に対応する。
図6において、V23は、コンパレータ51の出力端子の電圧を示す。
【0037】
図6において、時刻t20から時刻t21までの間は、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態ではない。この場合、第2電圧V2が所定の閾値電圧未満である。そのため、コンパレータ51の非反転入力端子の電圧V21がコンパレータ51の反転入力端子の電圧V22より大きい。これにより、コンパレータ51の出力端子の電圧V23はH(ハイレベル)となり、コンパレータ51からハイレベルの信号が出力される。
図6において、時刻t21で、コンデンサC1が短絡し、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態になったとする。この場合、時刻t21以降、第2電圧V2が所定の閾値電圧以上になる。これにより、コンパレータ51の非反転入力端子の電圧V21がコンパレータ51の反転入力端子の電圧V22以下になる。そのため、コンパレータ51の出力端子の電圧V23はL(ロウレベル)となり、コンパレータ51からロウレベルの信号が出力される。このように、過電圧検出回路5では、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態である場合には、コンパレータ51からロウレベルの信号が出力され、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態でない場合には、コンパレータ51からハイレベルの信号が出力される。
【0038】
図3の過電圧検出回路5では、第2電圧V2が所定の閾値電圧以上である場合には、コンパレータ51からロウレベルの信号が出力される。
図3の過電圧検出回路5では、第2電圧V2が所定の閾値電圧未満である場合には、コンパレータ51からハイレベルの信号が出力される。つまり、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態である場合には、コンパレータ51からロウレベルの信号が出力され、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態でない場合には、コンパレータ51からハイレベルの信号が出力される。
【0039】
出力回路6は、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態の検出の結果を出力する。本実施の形態において、出力回路6は、第1電圧検出回路2から出力される第1検出電圧が示す第1電圧と第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧が示す第2電圧との差分が所定の判定値以上であると電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41が判断した場合に異常状態検出信号S1を出力する。出力回路6は、第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧が示す第2電圧が所定の閾値電圧以上であると過電圧検出回路5のコンパレータ51が判断した場合に異常状態検出信号S1を出力する。
【0040】
図3の出力回路6は、スイッチ61と、ラッチ回路62とを備える。
【0041】
スイッチ61は、第1端子と、第2端子と、制御端子とを有する。スイッチ61は、制御端子に入力される電圧に応じて、第1端子と第2端子との間が導通するオン状態と、第1端子と第2端子との間が導通しないオフ状態とが切り替わる。スイッチ61は、例えば、半導体スイッチである。本実施の形態において、スイッチ61は、NPNトランジスタである。スイッチ61の第1端子、第2端子、及び制御端子は、NPNトランジスタのコレクタ、エミッタ、及びベースにそれぞれ対応する。
図3では、スイッチ61の第1端子は、過電圧検出回路5のコンパレータ51の出力端子に接続される。スイッチ61の第1端子は、プルアップ抵抗R61を介して内部電源Vccに接続される。スイッチ61の第2端子はグランドに接続される。スイッチ61の制御端子は、電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41の出力端子に接続される。
【0042】
スイッチ61は、電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41からロウレベルの出力信号が出力されている間は、オフ状態となる。つまり、電圧不平衡検出回路4において直列回路13の異常状態が検出されていない場合は、スイッチ61はオフ状態であり、スイッチ61の第1端子はグランドに接続されない。この場合、スイッチ61の第1端子の電圧は、過電圧検出回路5のコンパレータ51の出力端子の電圧によって決まる。電圧不平衡検出回路4において直列回路13の異常状態が検出されていない場合は、過電圧検出回路5のコンパレータ51の出力端子から出力される信号はハイレベルであるから、スイッチ61の第1端子の電圧はハイレベルになる。電圧不平衡検出回路4において直列回路13の異常状態が検出された場合は、過電圧検出回路5のコンパレータ51の出力端子から出力される信号はロウレベルであるから、スイッチ61の第1端子の電圧はロウレベルになる。したがって、電圧不平衡検出回路4において直列回路13の異常状態が検出されていない場合、出力回路6は、過電圧検出回路5のコンパレータ51の出力端子から出力されるロウレベルの信号を異常状態検出信号S1として出力する。
【0043】
スイッチ61は、電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41からハイレベルの出力信号が出力されている間は、オン状態となる。つまり、電圧不平衡検出回路4において直列回路13の異常状態が検出されていない場合は、スイッチ61はオン状態であり、スイッチ61の第1端子はグランドに接続される。この場合、スイッチ61の第1端子の電圧はロウレベルになる。したがって、電圧不平衡検出回路4において直列回路13の異常状態が検出された場合、出力回路6は、ロウレベルの信号を異常状態検出信号S1として出力する。
【0044】
出力回路6から出力される異常状態検出信号S1は、電圧不平衡検出回路4において直列回路13の異常状態が検出された場合か過電圧検出回路5において直列回路13の異常状態が検出された場合かにかかわらず、ロウレベルの信号である。
【0045】
ラッチ回路62は、異常状態検出信号S1の出力を維持するために設けられる。
図3のラッチ回路62は、第1~第4NAND回路62a,62b,62c,62dを有する。第1NAND回路62aの第1入力端子は、スイッチ61の第1端子に抵抗R62を介して接続される。第1NAND回路62aの出力端子は、第2NAND回路62bの第1入力端子に接続される。第2NAND回路62bの出力端子は、第1NAND回路62aの第2入力端子及び第4NAND回路62dの第1入力端子に接続される。第3NAND回路62cの第1及び第2入力端子は、抵抗R63,R64を介して内部電源Vccに接続される。抵抗R63,R64の接続点は、マイクロコンピュータ14に接続される。第3NAND回路62cの出力端子は、第2NAND回路62bの第2入力端子及び第4NAND回路62dの第2入力端子に接続される。ラッチ回路62では、第1NAND回路62aの第1入力端子がラッチ回路62のセット端子である。第3NAND回路62cの第1及び第2入力端子が、ラッチ回路62のリセット端子である。第4NAND回路62dの出力端子が、ラッチ回路62の出力端子である。
【0046】
ラッチ回路62のリセット端子には、通常はマイクロコンピュータ14からロウレベルの信号が入力される。この状態でラッチ回路62のセット端子にロウレベルの信号が入力されると、ラッチ回路62の出力端子からロウレベルの信号が出力される。ラッチ回路62からのロウレベルの信号が異常状態検出信号S1として用いられる。この後に、ラッチ回路62のセット端子にハイレベルの信号が入力されても、ラッチ回路62の出力端子からロウレベルの信号が出力された状態、つまり、異常状態検出信号S1が出力された状態が維持される。ラッチ回路62は、ラッチ回路62のリセット端子にマイクロコンピュータ14からハイレベルの信号が入力されることで、リセットされ、異常状態検出信号S1の出力が停止される。
【0047】
図3に示すように、出力回路6は、異常状態検出信号S1を、直流電源回路12及びマイクロコンピュータ14に出力する。
図3では、出力回路6のスイッチ61の第1端が、マイクロコンピュータ14に接続される。出力回路6のラッチ回路62の出力端子が、マイクロコンピュータ14及び直流電源回路12に接続される。
【0048】
直流電源回路12は、異常状態検出回路10の出力回路6から異常状態検出信号S1を受け取ると直流電源回路12の動作を停止するように構成される。つまり、マイクロコンピュータ14が直流電源回路12を制御しなくても、直流電源回路12は、異常状態検出信号S1を受け取ることによって、動作を停止する。これによって、マイクロコンピュータ14が故障等した場合でも、直流電源回路12は、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態に対応して動作を停止することができる。
【0049】
マイクロコンピュータ14は、異常状態検出回路10の出力回路6から異常状態検出信号S1を受け取ると異常状態に対処する動作を実行する。特に、本実施の形態において、マイクロコンピュータ14は、異常状態検出回路10の出力回路6のスイッチ61の第1端から異常状態検出信号S1を受け取ると、異常状態に対処する動作を実行する。異常状態に対処する動作は、例えば、異常状態が生じたことを外部回路に報知する動作、直流負荷11を停止させる動作、マイクロコンピュータ14が自身の動作を停止する動作が挙げられる。マイクロコンピュータ14は、出力回路6のラッチ回路62の出力端子からの異常状態検出信号S1の有無によりラッチ回路62のラッチ状態を確認できる。マイクロコンピュータ14は、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態が解消された場合には、ラッチ回路62のリセット端子にハイレベルの信号を出力して、ラッチ回路62をリセットする。
【0050】
図1の電気機器1では、異常状態検出回路10が、直列回路13のコンデンサC1,C2の異常状態を検出する。異常状態検出回路10は、マイクロコンピュータ14を利用せずに、電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41、過電圧検出回路5のコンパレータ51、及び、出力回路6のスイッチ61及びラッチ回路62で構成される回路を利用して、コンデンサC1,C2の異常状態の検出を実行する。つまり、異常状態検出回路10は、異常状態の発生の判定を、マイクロコンピュータ14でのソフトウェア処理ではなく、コンパレータ41,51を含む回路を利用したハードウェア処理により行う。そのため、マイクロコンピュータ14を用いる場合と比較して、異常状態の検出から異常状態に対する対応(例えば、直流電源回路12の動作の停止等)までにかかる時間を短縮できる。これは、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態の検出に対する対応の高速化を可能にする。よって、電気機器1の回路部品等の破壊を未然に防ぐことが可能になる。さらに、異常状態検出回路10は、マイクロコンピュータ14を利用していないため、マイクロコンピュータの暴走等によって異常状態の検出ができなくなることがない。これは、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態の検出動作の安定度の向上を可能にする。特に、電気機器1では、異常状態検出回路10からの異常状態検出信号S1がマイクロコンピュータ14を経ずに直流電源回路12に入力されるから、マイクロコンピュータ14が暴走等して正常に動作しない場合でも、直流電源回路12の動作の停止が可能となる。
【0051】
[1.2 効果等]
以上述べたように、異常状態検出回路10は、2つのコンデンサC1,C2の直列回路13の両端間の第1電圧V1を検出し、第1電圧V1を示す第1検出電圧を出力する第1電圧検出回路2と、直列回路13の2つのコンデンサC1,C2間の接続点P1の第2電圧V2を検出し、第2電圧V2を示す第2検出電圧を出力する第2電圧検出回路3と、第1電圧検出回路2から出力される第1検出電圧が示す第1電圧V1と第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧が示す第2電圧V2との差分を所定の判定値と比較するコンパレータ41を有する電圧不平衡検出回路4と、差分が所定の判定値以上であると電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41が判断した場合に異常状態検出信号S1を出力する出力回路6とを備える。この構成は、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態の検出に対する対応の高速化及び検出動作の安定度の向上を可能にする。
【0052】
異常状態検出回路10において、電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41の非反転入力端子には、第1電圧検出回路2から出力される第1検出電圧が入力される。電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41の反転入力端子には、第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧に所定の判定値に対応する電圧が加算された電圧が入力される。この構成は、異常状態検出回路10の回路構成の簡素化を可能にする。
【0053】
異常状態検出回路10は、第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧が示す第2電圧V2を所定の閾値電圧と比較するコンパレータ51を有する過電圧検出回路5を、さらに備える。出力回路6は、第2電圧V2が所定の閾値電圧以上であると過電圧検出回路5のコンパレータ51が判断した場合に異常状態検出信号S1を出力するように構成される。この構成は、コンデンサC1,C2間の接続点の電圧の過剰な上昇を、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態として検出できる。
【0054】
異常状態検出回路10において、過電圧検出回路5のコンパレータ51の反転入力端子には、第2電圧検出回路3から出力される第2検出電圧が入力される。過電圧検出回路5のコンパレータ51の非反転入力端子には、所定の閾値電圧に対応する電圧が入力される。この構成は、異常状態検出回路10の回路構成の簡素化を可能にする。
【0055】
異常状態検出回路10において、出力回路6は、スイッチ61を有する。スイッチ61は、過電圧検出回路5のコンパレータ51の出力端子に接続される第1端子と、グランドに接続される第2端子と、電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41の出力端子に接続される制御端子とを有する。スイッチ61は、制御端子に入力される電圧に応じて、第1端子と第2端子との間が導通しないオフ状態と第1端子と第2端子との間が導通するオン状態とで切り替わる。出力回路6は、電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41の出力端子から出力される信号がロウレベルの間はスイッチ61がオフ状態になり、過電圧検出回路5のコンパレータ51の出力端子から出力されるロウレベルの信号を異常状態検出信号S1として出力する。出力回路6は、電圧不平衡検出回路4のコンパレータ41の出力端子から出力される信号がハイレベルの間は、スイッチ61がオン状態になり、ロウレベルの信号を異常状態検出信号S1として出力する。この構成は、異常状態検出回路10の回路構成の簡素化を可能にする。
【0056】
異常状態検出回路10において、出力回路6は、異常状態検出信号S1の出力を維持するラッチ回路62を、さらに備える。この構成は、コンデンサC1,C2の直列回路13が異常状態であることの通知の確実性を向上できる。
【0057】
以上述べた電気機器1は、異常状態検出回路10と、2つのコンデンサC1,C2の直列回路13と、電源20からの電力に基づいて直列回路13の両端間に所定の直流電圧を出力する直流電源回路12と、所定の直流電圧により動作する直流負荷11とを備える。この構成は、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態の検出に対する対応の高速化及び検出動作の安定度の向上を可能にする。
【0058】
電気機器1において、直流電源回路12は、異常状態検出回路10の出力回路6から異常状態検出信号S1を受け取ると直流電源回路12の動作を停止するように構成される。マイクロコンピュータ14は、異常状態検出回路10の出力回路6から異常状態検出信号S1を受け取ると異常状態に対処する動作を実行する。この構成は、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態の検出に対する対応の高速化及び検出動作の安定度の向上を可能にする。
【0059】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0060】
一変形例において、第1電圧検出回路2及び第2電圧検出回路3は、上記の実施の形態の構成とは異なる構成を有してよい。第1電圧検出回路2及び第2電圧検出回路3の構成は、従来周知の構成であってよい。
【0061】
一変形例において、電圧不平衡検出回路4は、上記の実施の形態の構成とは異なる構成を有してよい。電圧不平衡検出回路4は、異常状態の検出時にハイレベルの信号ではなくロウレベルの信号を出力回路6に出力してよい。ハイレベルの信号とロウレベルの信号のいずれを、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態を示す信号として利用するかは、出力回路6の構成等に応じて適宜決定されればよい。
【0062】
一変形例において、過電圧検出回路5は、上記の実施の形態の構成とは異なる構成を有してよい。過電圧検出回路5は、異常状態の検出時にロウレベルの信号ではなくハイレベルの信号を出力回路6に出力してよい。ハイレベルの信号とロウレベルの信号のいずれを、コンデンサC1,C2の直列回路13の異常状態を示す信号として利用するかは、出力回路6の構成等に応じて適宜決定されればよい。異常状態検出回路10は、過電圧検出回路5を有していなくてもよい。
【0063】
一変形例において、出力回路6は、上記の実施の形態の構成とは異なる構成を有してよい。出力回路6は、電圧不平衡検出回路4が異常状態を検出した場合と過電圧検出回路5が異常状態を検出した場合とで同じ異常状態検出信号S1を出力する必要はない。出力回路6は、電圧不平衡検出回路4が異常状態を検出した場合と過電圧検出回路5が異常状態を検出した場合とで個別に異常状態検出信号S1を出力してよい。異常状態検出回路10が過電圧検出回路5を有していない場合、出力回路6はスイッチ61を有していなくてもよい。出力回路6は、ラッチ回路62を有していなくてもよい。出力回路6は、電圧不平衡検出回路4からの出力を外部回路に入力するための端子又は配線等であってよい。つまり、出力回路6は、必ずしも能動素子を有していなくてもよい。
【0064】
一変形例において、電気機器1は、ヒートポンプ式温水暖房機に限定されない。電気機器1の例としては、センサ関連機器、空調関連機器、住宅・設備関連機器、調理・家事関連機器、健康管理関連機器、管理・操作関連機器、AV関連機器が挙げられる。センサ関連機器の例としては、火災センサ、人体検出センサ、温度センサ、CO2センサ、電流量センサが挙げられる。空調関連機器の例としては、エアコン、扇風機、換気扇、空気清浄機、ホットカーペット、石油ファンヒータ、ヒートポンプ式温水暖房機が挙げられる。住宅・設備関連機器の例としては、電動ブラインド、電動カーテン、温水器、電気錠、スマートメーター、太陽光発電設備、蓄電池、燃料電池、一般照明、単機能照明、非常灯が挙げられる。調理・家事関連機器の例としては、電子レンジ、食器洗い機、食器乾燥機、洗濯機、衣類乾燥機、自動掃除機が挙げられる。健康管理関連機器の例としては、体重計、体脂肪計、体温計、血圧計、血糖値計が挙げられる。管理・操作関連機器の例としては、コントローラ、スイッチ(HA機器)が挙げられる。AV関連機器の例としては、TV、ディスプレイが挙げられる。
【0065】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。なお、文章の見やすさを考慮して2回目以降の括弧付きの符号の記載を省略する場合がある。
【0066】
第1の態様は、異常状態検出回路(10)であって、2つのコンデンサ(C1,C2)の直列回路(13)の両端間の第1電圧(V1)を検出し、前記第1電圧(V1)を示す第1検出電圧を出力する第1電圧検出回路(2)と、前記直列回路(13)の2つのコンデンサ(C1,C2)間の接続点(P1)の第2電圧(V2)を検出し、前記第2電圧(V2)を示す第2検出電圧を出力する第2電圧検出回路(3)と、前記第1電圧検出回路2)から出力される第1検出電圧が示す第1電圧(V1)と前記第2電圧検出回路(3)から出力される第2検出電圧が示す第2電圧(V2)との差分を所定の判定値と比較するコンパレータ(41)を有する電圧不平衡検出回路(4)と、前記差分が前記所定の判定値以上であると前記電圧不平衡検出回路(4)のコンパレータ(41)が判断した場合に異常状態検出信号(S1)を出力する出力回路(6)とを備える。この態様は、コンデンサ(C1,C2)の直列回路(13)の異常状態の検出に対する対応の高速化及び検出動作の安定度の向上を可能にする。
【0067】
第2の態様は、第1の態様に基づく異常状態検出回路(10)である。第2の態様において、前記電圧不平衡検出回路(4)のコンパレータ(41)の非反転入力端子には、前記第1電圧検出回路(2)から出力される第1検出電圧が入力される。前記電圧不平衡検出回路(4)のコンパレータ(41)の反転入力端子には、前記第2電圧検出回路(3)から出力される第2検出電圧に前記所定の判定値に対応する電圧が加算された電圧が入力される。この態様は、異常状態検出回路(10)の回路構成の簡素化を可能にする。
【0068】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づく異常状態検出回路(10)である。第3の態様において、前記異常状態検出回路(10)は、前記第2電圧検出回路(3)から出力される第2検出電圧が示す第2電圧(V2)を所定の閾値電圧と比較するコンパレータ(51)を有する過電圧検出回路(5)を、さらに備える。前記出力回路(6)は、前記第2電圧(V2)が前記所定の閾値電圧以上であると前記過電圧検出回路(5)のコンパレータ(51)が判断した場合に異常状態検出信号(S1)を出力するように構成される。この態様は、コンデンサ(C1,C2)間の接続点の電圧の過剰な上昇を、コンデンサ(C1,C2)の直列回路(13)の異常状態として検出できる。
【0069】
第4の態様は、第3の態様に基づく異常状態検出回路(10)である。第4の態様において、前記過電圧検出回路(5)のコンパレータ(51)の反転入力端子には、前記第2電圧検出回路(3)から出力される第2検出電圧が入力される。前記過電圧検出回路(5)のコンパレータ(51)の非反転入力端子には、前記所定の閾値電圧に対応する電圧が入力される。この態様は、異常状態検出回路(10)の回路構成の簡素化を可能にする。
【0070】
第5の態様は、第3又は第4の態様に基づく異常状態検出回路(10)である。第5の態様において、前記出力回路(6)は、スイッチ(61)を有する。前記スイッチ(61)は、前記過電圧検出回路(5)のコンパレータ(51)の出力端子に接続される第1端子と、グランドに接続される第2端子と、前記電圧不平衡検出回路(4)のコンパレータ(41)の出力端子に接続される制御端子とを有する。前記スイッチ(61)は、前記制御端子に入力される電圧に応じて、前記第1端子と前記第2端子との間が導通しないオフ状態と前記第1端子と前記第2端子との間が導通するオン状態とで切り替わる。前記出力回路(6)は、前記電圧不平衡検出回路(4)のコンパレータ(41)の出力端子から出力される信号がロウレベルの間は前記スイッチ(61)がオフ状態になり、前記過電圧検出回路(5)のコンパレータ(51)の出力端子から出力されるロウレベルの信号を前記異常状態検出信号(S1)として出力する。前記出力回路(6)は、前記電圧不平衡検出回路(4)のコンパレータ(41)の出力端子から出力される信号がハイレベルの間は、前記スイッチ(61)がオン状態になり、ロウレベルの信号を前記異常状態検出信号(S1)として出力する。この態様は、異常状態検出回路(10)の回路構成の簡素化を可能にする。
【0071】
第6の態様は、第5の態様に基づく異常状態検出回路(10)である。第6の態様において、前記出力回路(6)は、前記異常状態検出信号(S1)の出力を維持するラッチ回路(62)を、さらに備える。この態様は、コンデンサ(C1,C2)の直列回路(13)が異常状態であることの通知の確実性を向上できる。
【0072】
第7の態様は、電気機器(1)であって、第1~第6の態様のいずれか一つに基づく異常状態検出回路(10)と、前記2つのコンデンサ(C1,C2)の直列回路(13)と、電源(20)からの電力に基づいて前記直列回路(13)の両端間に所定の直流電圧を出力する直流電源回路(12)と、前記所定の直流電圧により動作する直流負荷(11)とを備える。この態様は、コンデンサ(C1,C2)の直列回路(13)の異常状態の検出に対する対応の高速化及び検出動作の安定度の向上を可能にする。
【0073】
第8の態様は、第7の態様に基づく電気機器(1)である。第8の態様において、前記直流電源回路(12)は、前記異常状態検出回路(10)の出力回路(6)から前記異常状態検出信号(S1)を受け取ると前記直流電源回路(12)の動作を停止するように構成される。前記マイクロコンピュータ(14)は、前記異常状態検出回路(10)の出力回路(6)から前記異常状態検出信号(S1)を受け取ると異常状態に対処する動作を実行する。この態様は、コンデンサ(C1,C2)の直列回路(13)の異常状態の検出に対する対応の高速化及び検出動作の安定度の向上を可能にする。
【0074】
上記の第2~第6及び第8の態様は必須ではない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示は、異常状態検出回路及び電気機器に適用可能である。具体的には、コンデンサの直列回路の異常状態の検出のための異常状態検出回路及び異常状態検出回路を備える電気機器に、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 電気機器
10 異常状態検出回路
2 第1電圧検出回路
3 第2電圧検出回路
4 電圧不平衡検出回路
41 コンパレータ
5 過電圧検出回路
51 コンパレータ
6 出力回路
61 スイッチ
62 ラッチ回路
11 直流負荷
12 直流電源回路
13 直列回路
C1,C2 コンデンサ
P1 接続点
14 マイクロコンピュータ
V1 第1電圧
V2 第2電圧
S1 異常状態検出信号