(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003172
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】細胞培養装置検証用模擬細胞、細胞培養装置検証用模擬細胞分散液及び細胞培養装置検証方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20221228BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20221228BHJP
C12N 5/071 20100101ALN20221228BHJP
【FI】
C12M1/34 A
C12Q1/02
C12N5/071
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104185
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】阿部 公揮
(72)【発明者】
【氏名】栗原 隆
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB11
4B029BB20
4B029CC01
4B029FA15
4B063QA05
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4B063QR45
4B063QR66
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4B063QS39
4B063QX01
4B065AA99X
4B065CA46
(57)【要約】
【課題】細胞に近似した比重、表面特性及び強度を有する細胞培養装置検証用模擬細胞及び細胞培養装置検証方法を提供する。
【解決手段】脂質二重膜1と内水相2とを有するリポソーム100からなり、脂質二重膜1は少なくとも1種の第1の色素3を含み、内水相2は第1の色素3とは異なる少なくとも1種の第2の色素4を含む、細胞培養装置検証用模擬細胞。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂質二重膜と内水相とを有するリポソームからなり、
前記脂質二重膜は少なくとも1種の第1の色素を含み、
前記内水相は前記第1の色素とは異なる少なくとも1種の第2の色素を含む、
細胞培養装置検証用模擬細胞。
【請求項2】
前記リポソームの粒子径が1~100μmである、請求項1に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
【請求項3】
前記第1の色素及び前記第2の色素がいずれも蛍光色素である、請求項1又は2に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
【請求項4】
前記第1の色素及び前記第2の色素の一方の蛍光波長が570~820nmであり、他方の蛍光波長が420~540nmである、請求項3に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
【請求項5】
前記第1の色素及び前記第2の色素の一方の励起波長が550~800nmであり、他方の励起波長が400~520nmである、請求項3に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
【請求項6】
前記第1の色素がローダミン又はローダミン誘導体であり、前記第2の色素がFITC又はFITC誘導体である、請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
【請求項7】
前記脂質二重膜がリン脂質二重膜である、請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
【請求項8】
前記リポソームが多層小胞型、小型単層小胞型、大型単層小胞型又は渦巻型である、請求項1~7のいずれか1項に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞と分散媒とを含む細胞培養装置検証用模擬細胞分散液。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞を培養対象の細胞の代わりに用いる細胞培養装置検証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養装置検証用模擬細胞、細胞培養装置検証用模擬細胞分散液及び細胞培養装置検証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓冠動脈や末梢動脈の閉塞疾患に対するバイパス手術において、患者の内皮細胞により被覆された血栓が形成されにくい合成繊維製の人工血管を使用する外科治療が注目されている。そのような人工血管を多くの人が利用できるようにするために、血管を構成する種々の細胞を効率的に培養することができるような細胞培養装置が用いられる(特許文献1)。
【0003】
細胞培養装置の開発の際に、培養細胞の代わりに細胞サイズの合成樹脂製ビーズからなる模擬細胞を使用する場合がある。
細胞培養装置の開発の際に培養細胞を用い場合、細胞培養に必要な施設、設備を準備し、さらに細胞を培養する時間と細胞培養のための技術を有する者が必要であり、コストと時間がかかるのに対して、模擬細胞を用いる場合、細胞を培養する必要が無いことから、これらのコスト及び時間を大幅に節約することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来使用されているポリスチレン等の合成樹脂製のビーズからなる模擬細胞は、培養対象である細胞と比重、表面特性及び強度が大きく異なっていた。
【0006】
本発明は、細胞に近似した比重、表面特性及び強度を有する細胞培養装置検証用模擬細胞、細胞培養装置検証用模擬細胞分散液及び細胞培養装置検証方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 脂質二重膜と内水相とを有するリポソームからなり、
前記脂質二重膜は少なくとも1種の第1の色素を含み、
前記内水相は前記第1の色素とは異なる少なくとも1種の第2の色素を含む、
細胞培養装置検証用模擬細胞。
[2] 前記リポソームの粒子径が1~100μmである、[1]に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
[3] 前記第1の色素及び前記第2の色素がいずれも蛍光色素である、[1]又は[2]に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
[4] 前記第1の色素及び前記第2の色素の一方の蛍光波長が570~820nmであり、他方の蛍光波長が420~540nmである、[3]に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
[5] 前記第1の色素及び前記第2の色素の一方の励起波長が550~800nmであり、他方の励起波長が400~520nmである、[3]に記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
[6] 前記第1の色素がローダミン又はローダミン誘導体であり、前記第2の色素がFITC又はFITC誘導体である、[1]~[5]のいずれかに記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
[7] 前記脂質二重膜がリン脂質二重膜である、[1]~[6]のいずれかに記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
[8] 前記リポソームが多層小胞型、小型単層小胞型、大型単層小胞型又は渦巻型である、[1]~[7]のいずれかに記載の細胞培養装置検証用模擬細胞。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の細胞培養装置検証用模擬細胞と分散媒とを含む細胞培養装置検証用模擬細胞分散液。
[10] [1]~[8]のいずれかに記載の細胞培養装置検証用模擬細胞を培養対象の細胞の代わりに用いる細胞培養装置検証方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、細胞に近似した比重、表面特性及び強度を有する細胞培養装置検証用模擬細胞、細胞培養装置検証用模擬細胞分散液及び細胞培養装置検証方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態の細胞培養装置検証用模擬細胞に用いるリポソームの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例1の結果を示す顕微鏡写真である。
【
図3】
図3は、実施例1で使用した蛍光色素の蛍光スペクトルである。
【
図4】
図4は、実施例2の結果を示す顕微鏡写真である。
【
図5】
図5は、実施例2で使用した蛍光色素の蛍光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明を実施するための形態を説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能である。
【0011】
[細胞培養装置評価用模擬細胞]
以下では図面を適宜参照しながら、本実施形態の細胞培養装置検証用模擬細胞を詳細に説明する。
図1に示す本実施形態に係る細胞培養装置検証用模擬細胞は、脂質二重膜1と内水相2とを有するリポソーム100からなる。
脂質二重膜1を構成する脂質は、リポソームの脂質膜を構成しうる脂質であって、脂質二重膜を構成しうる脂質であれば特に限定されない。脂質二重膜を構成し得る脂質としては、例えば、グリセロ糖脂質、スフィンゴ糖脂質、コレステロール及びリン脂質が挙げられる。
【0012】
グリセロ糖脂質としては、例えば、スルホキシリボシルグリセリド、ジグリコシルジグリセリド、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド、及びグリコシルジグリセリド等が挙げられる。スフィンゴ糖脂質としては、例えば、ガラクトシルセレブロシド、ラクトシルセレブロシド及びガングリオシドが挙げられる。
【0013】
リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン及び水素添加リン脂質等の天然又は合成のリン脂質が挙げられる。
【0014】
ホスファチジルコリンとしては、大豆ホスファチジルコリン、卵黄ホスファチジルコリン、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン及びジステアロイルホスファチジルコリン等が挙げられる。
ホスファチジルエタノールアミンとしては、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びジステアロイルホスファチジルエタノールアミン等が挙げられる。
ホスファチジルセリンとしては、ジラウロイルホスファチジルセリン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン及びジステアロイルホスファチジルセリン等が挙げられる。
ホスファチジルグリセロールとしては、ジラウロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、及びジステアロイルホスファチジルグリセロール等が挙げられる。
ホスファチジルイノシトールとしては、ジラウロイルホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルイノシトール、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール及びジステアロイルホスファチジルイノシトール等が挙げられる。
【0015】
脂質二重膜1を構成する脂質としては、リン脂質が好ましい。
【0016】
脂質二重膜1は、脂質の他に、膜安定化剤、酸化防止剤等を必要に応じて含むことができる。酸化防止剤としては、アスコルビン酸、尿酸又はトコフェロール同族体(例えば、ビタミンE)等が挙げられる。トコフェロールには、α、β、γ、δの4種の異性体が存在するが、本実施形態ではいずれも使用できる。
【0017】
脂質二重膜1は外膜1aと内膜1bとで構成されるが、外膜1aを構成する脂質と、内膜1bを構成する脂質とは、同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。通常、リポソーム100の製造の容易さから、脂質二重膜1において、外膜1aと内膜1bとは同じ種類の脂質で構成される。
【0018】
内水相の水系成分(溶媒)は、特に限定されないが、例えば、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)緩衝液、Tris-HCl緩衝液、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、NaCl(塩化ナトリウム)水溶液、炭酸-重炭酸緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、ホウ酸ナトリウム緩衝液、グルコース、ショ糖等の糖類水溶液が挙げられる。
内水相のpHは、特に限定されないが、pH5.5~8.5が好ましく、pH6.0~8.0がより好ましく、pH6.0~7.5がさらに好ましい。内水相のpHが上記範囲内であると、本実施形態の模擬細胞が培養細胞により近似する。
内水相の浸透圧は、特に限定されないが、250~320mOsm/Lが好ましく、260~310mOsm/Lがより好ましく、270~300mOsm/Lがさらに好ましい。内水相の浸透圧が上記範囲内であると、本実施形態の模擬細胞が培養細胞により近似する。
【0019】
脂質二重膜1は少なくとも1種の第1の色素を含み、内水相2は第1の色素とは異なる少なくとも1種の第2の色素を含む。
第1の色素は、脂質二重膜に含みうるものであれば特に限定されないが、脂溶性の色素が好ましい。脂溶性の色素は、色素自体が脂溶性であってもよいし、脂溶性化合物を色素で標識したものであってもよい。
第2の色素は、内水相に含み得るものであれば特に限定されないが、水溶性の色素が好ましい。水溶性の色素は、色素自体が水溶性であってもよいし、水溶性化合物を色素で標識したものであってもよい。
【0020】
第1の色素及び第2の色素としては、蛍光色素又はその誘導体が好ましく、例えば、以下の者が挙げられる。
DyLight 405(励起400nm、蛍光420nm)、DY-405(励起400nm、蛍光420nm)、Alexa Fluor 405(励起401nm、蛍光421nm)、AMCA(励起353nm、蛍光440nm)、AMCA-X(励起347nm、蛍光447nm)、Pacifi c Blue(励起405nm、蛍光455nm)、DY-415(励起418nm、蛍光467nm)、Royal Blue(励起426nm、蛍光480nm)及びATTO 425(励起436nm、蛍光484nm);
【0021】
Cy2(励起489nm、蛍光505nm)、ATTO 465(励起453nm、蛍光508nm)、DY-475XL(励起492nm、蛍光509nm)、NorthernLights 493(励起493nm、蛍光514nm)、DY-490(励起490nm、蛍光516nm)、DyLight 488(励起493nm、蛍光518nm)、Alexa Fluor 488(励起495nm、蛍光519nm)、5-FITC(励起494nm、蛍光519nm)、FAM(5’FAM)(励起495nm、蛍光520nm)、DY-495-X5(励起495nm、蛍光520nm)、DY-495(励起493nm、蛍光521nm)、Fluorescein(励起494nm、蛍光521nm)、FITC(励起498nm、蛍光522nm)、ATTO 488(励起501nm、蛍光523nm)、HiLyte Flour 488(励起499nm、蛍光523nm)、MFP488(励起501nm、蛍光523nm)、ATTO 495(励起495nm、蛍光527nm)、Oyster 500(励起505nm、蛍光530nm)及びSpectrum Green(励起497nm、蛍光538nm);
【0022】
ATTO 520(励起525nm、蛍光545nm)、ATTO 532(励起532nm、蛍光553nm)、DY-500XL(励起505nm、蛍光555nm)、DY-485XL(励起485nm、蛍光560nm)、Alexa Fluor 555(励起555nm、蛍光565nm)、HiLyte Plus 555(励起552nm、蛍光567nm)、DyLight 549(励起550nm、蛍光568nm)、HiLyte Fluor 555(励起553nm、蛍光568nm)、Cy3(励起550nm、蛍光570nm)、DyLight 547(励起557nm、蛍光570nm)、Rhodamine(励起550nm、蛍光570nm)、TRITC(励起550nm、蛍光570nm)、DY-548(励起558nm、蛍光572nm)、DY-554(励起551nm、蛍光572nm)、DY-555(励起547nm、蛍光572nm)、Alexa Fluor 546(励起556nm、蛍光573nm)、DY-556(励起548nm、蛍光573)、NorthernLights 557(励起557nm、蛍光574nm)、Oyster 550(励起555nm、蛍光574nm)、5-TAMRA(励起547nm、蛍光574nm)、DY-505-X5(励起505nm、蛍光574nm)、DY-547(励起557nm、蛍光574nm)、Oyster 556(励起562nm、蛍光575nm)、DY-549(励起560nm、蛍光575nm)、ATTO 550(励起554nm、蛍光576nm)、PE(励起488nm、蛍光578nm)、B-PE(励起545nm、蛍光578nm)、R-PE(励起566nm、蛍光578nm)、DY-560(励起559nm、蛍光578nm)、TAMRA(励起555nm、蛍光580nm)、MFP555(励起560nm、蛍光585nm)、Spectrum Orange(励起559nm、蛍光588nm)及びDY-510XL(励起509nm、蛍光590nm);
【0023】
HiLyte Fluor TR(励起591nm、蛍光622nm)、ATTO 590(励起594nm、蛍光624nm)、MFP590(励起597nm、蛍光624nm)、DY-610(励起610nm、蛍光630nm)、DY-480XL(励起500nm、蛍光630nm)、ATTO 610(励起615nm、蛍光634nm)、DY-615(励起621nm、蛍光641nm)、C-PC(C-Phycocyanin)(励起616nm、蛍光647nm)、ATTO 620(励起619nm、蛍光643nm)、Phycocyanin(励起620nm、蛍光650nm)、DY-481XL(励起515nm、蛍光650nm)、ATTO 633(励起629nm、蛍光657nm)、DY-630(励起636nm、蛍光657nm)、DY-632(励起637nm、蛍光657nm)、DY-633(励起637nm、蛍光657nm)、MFP631(励起633nm、蛍光658nm)、DyLight 633(励起638nm、蛍光658nm)、NorthernLights 637(励起637nm、蛍光658nm)、DY-631(励起637nm、蛍光658nm)、DY-634(励起635nm、蛍光658nm)、APC(Allophycocyanin)(励起650nm、蛍光660nm)、APC-XL(励起650nm、蛍光662nm)、DY-520XL(励起520nm、蛍光664nm)、Alexa Fluor 647(励起650nm、蛍光665nm)、Cy5(励起643nm、蛍光667nm)、DY-521XL(励起523nm、蛍光668nm)、Oyster 645(励起650nm、蛍光669nm)、Quantum Red(励起488nm、蛍光670nm)、Tri-Color(励起488nm、蛍光670nm)、DY-635(励起647nm、蛍光671nm)、DY-636(励起645nm、蛍光671nm)、DY-647(励起653nm、蛍光672nm)、DyLight 647(励起652nm、蛍光673nm)、HiLyte Fluor 647(励起653nm、蛍光673nm)、DyLight 649(励起646nm、蛍光674nm)、HiLyte Plus 647(励起649nm、蛍光674nm)、Oyster 650(励起655nm、蛍光674nm)、DY-648(励起653nm、蛍光674nm)、DY-650(励起653nm、蛍光674nm)、PerCP(励起488nm、蛍光675nm)、DY-652(励起654nm、蛍光675nm)、DY-649(励起655nm、蛍光676nm)、DY-651(励起656nm、蛍光678nm)、Oyster 656(励起662nm、蛍光679nm)、ATTO 655(励起663nm、蛍光684nm)、Cy5.5(励起675nm、蛍光694nm)、DY-677(励起673nm、蛍光694nm)、DY-678(励起674nm、蛍光698nm)、HiLyte Fluor 680(励起678m、蛍光699nm)、DY-675(励起674nm、蛍光699nm)、DY-676(励起674nm、蛍光699nm)、IRDye700DX(励起689nm、蛍光700nm)、DY-681(励起691nm、蛍光708nm)、DY-680(励起690nm、蛍光709nm)、DY-682(励起690nm、蛍光709nm)、DyLight 680(励起682nm、蛍光715nm)、Alexa Fluor 700(励起702nm、蛍光723nm)、DY-700(励起707nm、蛍光730nm)及びDY-701(励起706nm、蛍光731nm);
【0024】
DY-730(励起732nm、蛍光758nm)、DY-732(励起736nm、蛍光759nm)、DY-734(励起736nm、蛍光759nm)、DY-731(励起736nm、蛍光760nm)、DY-752(励起748nm、蛍光772nm)、DY-750(励起747nm、蛍光776nm)、DyLight 750(励起752nm、蛍光778nm)、HiLyte Fluor 750(励起754nm、蛍光778nm)、DY-749(励起752nm、蛍光778nm)、HiLyte Plus 750(励起751nm、蛍光779nm)、DY-751(励起751nm、蛍光779nm)、DyLight 800(励起770nm、蛍光794nm)、IRDye800CW(励起774nm、蛍光800nm)、DY-780(励起782nm、蛍光800nm)、DY-781(励起783nm、蛍光800nm)、DY-782(励起784nm、蛍光800nm)、DY-776(励起771nm、蛍光801nm)、DY-777(励起771nm、蛍光801nm)及びIRDye800(励起778nm、蛍光806nm);
【0025】
並びに、これらの誘導体。
【0026】
第1の色素及び第2の色素は、いずれも蛍光色素であることが好ましい。
蛍光の波長が異なり、第1の色素と第2の色素とを区別しやすいことから、第1の色素及び第2の色素の一方の蛍光波長は570~820nmが好ましく、他方の蛍光波長は420~540nmが好ましい。
励起光の波長が異なり、第1の色素と第2の色素とを区別しやすいことから、第1の色素及び第2の色素の一方の励起波長は550~800nmが好ましく、他方の励起波長は400~520nmが好ましい。
第1の色素は、ローダミンを疎水化したローダミン誘導体が好ましく、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミンをローダミンBで標識したRhodamine PE(ローダミンB-ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)が特に好ましい。
第2の色素は、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)を親水化したFITC誘導体が好ましく、ヒト血清アルブミンをFITCで標識したFITC-HSA(FITC-ヒト血清アルブミン)が特に好ましい。
【0027】
リポソーム100の粒子径は、特に限定されないが、1~100μmが好ましく、10~100μmがより好ましく、50~100μmがさらに好ましい。リポソーム100の粒子径がこの範囲内であると、本実施形態の模擬細胞が培養細胞により近似する。
ここで、リポソームの粒子径は、レーザー回析/散乱式粒子径分布測定装置により測定した体積基準の粒子径分布から求めた50%粒子径である。
【0028】
リポソーム100は大型単層小胞型であるが、本実施形態の模擬細胞におけるリポソームはこれに限定されず、リポソーム多層小胞型、小型単層小胞型、渦巻型のいずれであってもよい。
【0029】
本実施形態の模擬細胞は、分散媒に分散させて使用することが好ましい。この場合の分散媒は、細胞培養に用いる培養液の代わりとなるものである。分散媒としては、リポソームを形成する際に使用した外相液をそのまま用いてもよいし、外相液を他の適切な分散媒に置換してもよい。
【0030】
<リポソームの作製方法>
本実施形態の模擬細胞に用いるリポソームの作製方法は、特に限定されないが、薄膜法、超音波法、界面活性剤処理法、溶媒注入法、フレンチプレス法、逆相蒸発法、マイクロカプセル化法、コアセルベーション法等が挙げられる。
【0031】
薄膜法はバンガム(Bangham)法ともいい、脂質の薄膜に水溶液を添加し水和することで、脂質が自己組織化を起こしリポソームが形成される方法である。内包したい化合物が脂溶性の場合は予め脂質と一緒に混合しておき、水溶性の場合は水和する水溶液に溶かしておくことで化合物を内包することができる。
薄膜法によるリポソームの調製法の概略は以下のようになる。
(1)脂質を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン等)に溶解する。
(2)脂質溶液を丸底フラスコに入れ、ロータリー・エバポレーターで有機溶媒を除去し、フラスコ底部に脂質の薄膜を形成する。
(3)内水相となる水溶液を脂質薄膜上に注入し、脂質を水和(又は、膨潤)させ、リポソームを形成させる。
まず、(1)では、比較的沸点の低い有機溶媒に脂質を完全に溶解させる。脂質濃度は数十μmo1から数十mmol程度がよい。添加物としての荷電物質(ジセチルリン酸、ステアリルアミン等)及びコレステロール等を用いる場合には、この時点で脂質と同時に低沸点溶媒に均一に溶解させておく。
次に、(2)では、脂質濃度とフラスコの大きさの関係が重要であり、フラスコ底部にできる限りリン脂質の薄い膜が作成できる濃度にする必要がある。さらに、溶媒を完全に除去する必要があるので、減圧デシケーター中で一昼夜乾燥させておくとよい。
(3)では、相転移温度(Tc,脂質が液晶形から結晶形に相変化するときの温度)以上での水和と水和時間が最も重要な因子となる。また、水和する際の水相は、脂質に対して50体積%以上必要である。
【0032】
超音波法はソニケーション(Sonication)法ともいい、脂質を水に懸濁させて超音波を照射すると、光学的にほぼ透明な脂質分散溶液が得られる。
が得られることを発表した。
超音波法によるリポソームの調製法の概略は以下のようになる。
(1)薄膜法により多重層リポソームを調製する。
(2)この多重層リポソームに対して超音波照射を行なう。この調製法では、多重層リポソームを調製後又はリン脂質を水相に均一に懸濁後、超音波処理すると微細なリポソームを作成することができる。
【0033】
界面活性剤処理法は、界面活性剤の可溶化力を利用してリン脂質とミセル混合物を作成し、透析法により界面活性剤だけを取り除く方法である。調製法の概略は以下となる。
(1)脂質分散溶液とコール酸(又はデオキシコール酸)を水溶液中で撹拌し、混合ミセルをつくる。
(2)透析チューブに混合ミセルを入れ、蒸留水中でコール酸(又はデオキシコール酸)を除去する。
まず(1)では、薄膜法、超音波法の調製法に従って脂質薄膜、多重層リポソーム、一枚膜リポソームに対し、コール酸又はデオキシコール酸(いずれもNa塩が好ましい)を加え、撹拌又は超音波処理し、混合ミセルを調製する。なお、抽出した脂質を直接、上記の界面活性剤とともに混合してもよい。また、コール酸又はデオキシコール酸以外の適当な界面活性剤を使用することもできる。
次に(2)では、透析の他に、超遠心又はゲルろ過等を用いることもできる。例えば、ゲルろ過では、脂質:コール酸ナトリウムのモル比を1:2とし、ゲルろ過によりコール酸ナトリウムを除去することが好ましい。
【0034】
溶媒注入法の概略は次のとおりである。
(1)脂質をエタノール(又はエーテル)に溶解する。
(2)適度に温めた水溶液中へ(1)の脂質-エタノール溶液(又は55~65℃に加温した水溶液中へ脂質-エーテル溶液)を注入する。
まず(1)では、脂質の濃度を変化させることにより、リポソームの粒径を適度にコントロールすることができる。
(2)では、脂質の相転移温度以上に加温した水溶液中へ、脂質-エタノール溶液を注入する。なお、注入速度は、最終的に調製されてくるリポソームの物性に大きな影響を与えない。
エタノール注入法はきわめて簡単であり、リポソームの大きさや形においても再現性に優れている。
一方、エーテル法に関しては、まず(1)では、ジエチルエーテルの代わりにジエチルエーテル-メタノールの混液も利用できる。系の温度が55~65℃であると、ジエチルエーテル(沸点39℃)は水相を介して蒸発していく。
【0035】
フレンチプレス法は、試料を細い間隙に対して高圧で押し出す方法であり、概略は次のとおりである。
(1)薄膜法に従いリポソーム懸濁液を調製する。
(2)(1)で調製したリポソーム懸濁液をフレンチプレスに入れ、温度4℃において20,000lbs/in2の圧力で押し出す。
【0036】
逆相蒸発法の概略は次のとおりである。
(1)脂質を溶解した有機溶媒(ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル等)に水相を加え、超音波処理し、W/0エマルションをつくる。
(2)W/Oエマルション中の有機溶媒を減圧留去する。
(3)ボルテックスミキサーを用いて約20分間撹拌することにより転相をおこさせ、0/Wサスペンションとなったところでリポソームが得られる。
(4)残存する有機溶媒を完全に除去する。
【0037】
マイクロカプセル化法の概略は次のようになる。
(1)高濃度(135mM程度)の脂質を有機溶媒(塩化メチレン、クロロホルム等)に溶解する。
(2)マーカー又は薬物を溶解した水相を(1)の脂質有機溶液と混合乳化し、W/0型エマルションを調製する。
(3)得られたW/0型エマルションを大量の蒸留水又は塩溶液にすばやく添加して分散させ、複合W/0/W型エマルションを形成させる。
(4)さらに撹拌を続け、脂質を溶解した有機溶媒を水相へ徐々に溶解させ、水相母液表面より蒸発させて除去し、リポソーム懸濁液を得る。
【0038】
コアセルベーション法その概略は次のようになる。
(1)メタノール、エタノール、1-プロパノール又は2-プロパノール等のアルコールに脂質を溶解する。
(2)この脂質-アルコール溶液一定量に貧溶媒である水又は塩溶液を徐々に添加して、コアセルベーションを生起させる。
(3)得られたコアセルベート中又は系中に含まれるアルコールを大量の水で透析することにより、アルコールを系外へ除去する。
【0039】
本実施形態の模擬細胞を製造するためのリポソームの形成方法としては、脂質の薄膜に水溶液を添加し水和することで、脂質が自己組織化を起こしリポソームが形成される薄膜法(バンガム法)が簡便であることから好ましい。この方法でリポソームを形成し、目的に応じてエクストルーダーや超音波でリポソームのサイズを調整することで、所望の粒子径のリポソームを容易に得ることができる。
【0040】
[細胞培養装置検証用模擬細胞分散液]
本実施形態の細胞培養装置検証用模擬細胞分散液は、上記細胞培養装置検証用模擬細胞と分散媒とを含む。
上記分散媒としては、特に限定されず、上述した外水相の他、細胞培養用培養液、緩衝液等を使用できる。
【0041】
[細胞培養装評価方法]
本実施形態の模擬細胞は、細胞培養装置検証方法において、培養対象の細胞の代わりに用いることができる。
細胞培養装置の検証のために細胞を培養する必要が無いため、細胞培養のために必要な施設、設備、時間、技能等が不要となる。
【0042】
本実施形態の模擬細胞を用いることで、細胞培養装置が細胞に与えるダメージを視覚化することができ、細胞培養装置の検証をより容易に行うことができる。
【0043】
[作用効果]
本発明の細胞培養装置検証用模擬細胞は、リポソームを基本構造としたことで、細胞に近似した比重、表面特性及び強度を有する。そのため、細胞の代わりに細胞培養装置の検証に用いると、従来必要であった細胞培養用の施設、設備、技術、時間が不要となり、細胞培養装置の検証に要する時間及びコストを低減できる。
また、リポソームの脂質二重膜と内水相に異なる色素を含むため、細胞へのダメージを可視化できる。また、細胞操作への影響の評価が吸光度測定等により可能となる。そのため、本発明の細胞培養装置検証用模擬細胞を用いると、細胞培養装置の検証をより容易に行うことができる。
【実施例0044】
以下では実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は後述する実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能である。
【0045】
[実施例1]
<リポソームの作製>
(1)脂質溶液の調製
POPC(1-パルミトイル-2-オレイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)のクロロホルム溶液(100mg/mL濃度)に流動パラフィンを添加して、POPCの終濃度を5mg/mLに調整した。このPOPC溶液を、ロータリー・エバポレーターを用いて80℃で20分間の処理を行い、POPC溶液からクロロホルムを除去した。POPCの流動パラフィン溶液(以下「脂質溶液A」という。)を得た。
コレステロール(3β-ヒドロキシ-5-コレステン)のクロロホルム溶液(100mg/mL濃度)に流動パラフィンを添加して、コレステロールの終濃度を4.55mg/mLに調整した。このコレステロール溶液を、ロータリー・エバポレーターを用いて80℃で20分間の処理を行い、コレステロール溶液からクロロホルムを除去した。コレステロールの流動パラフィン溶液(以下「脂質溶液B」という。)を得た。
脂質溶液A及び脂質溶液Bのそれぞれを、80℃加温下で20分間撹拌した。
脂質溶液Aと脂質溶液Bとを、POPC:コレステロール=9:1の質量比になるように混合し、37℃で10分間静置して、POPC及びコレステロールを含む流動パラフィン溶液(以下「脂質溶液C」という。)を得た。
【0046】
(2)ジャイアントリポソームの作製
最終濃度が10mg/mLとなるようにFITC-HSA(FITC-ヒト血清アルブミン)を添加した90μLの内水相溶液(組成:100mM HEPES-KOH(pH7.6)、200mMスクロース)に、900μLの脂質溶液Cを添加して激しく撹拌した後、氷上で10分間静置して、脂質を含む内水相溶液(以下「内水相溶液B」という。)を得た。
215μLの外水相溶液(組成:100mM HEPES-KOH(pH7.6)、200 mMグルコース)に10μLのRhodamine PE(ローダミンB-ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)のエタノール溶液(1mg/mL濃度)を混合して、赤色色素を含む外水相溶液(以下「外水相溶液B」という。)を得た。
得られた外水相溶液Bに、250μLの内水相溶液Bを慎重に添加して混合液を得た。
得られた混合液を4℃で45分間の遠心分離を加速度16000×g、8500×g、5900×gの3条件で行った後、上清を廃棄し、沈殿を300μLの外水相溶液で懸濁して、懸濁液(以下、「懸濁液B1」(16000×gで遠心)、「懸濁液B2」(8500×gで遠心)、「懸濁液B3」(5900×gで遠心)という。)を得た。
懸濁液B1、懸濁液B2、懸濁液B3のそれぞれを4℃で10分間の遠心分離(16000×g)を行った後、沈殿を300μLの外水相溶液で懸濁して、懸濁液(以下、それぞれ、「懸濁液C1」、「懸濁液C2」、「懸濁液C3」という。)を得た。
懸濁液C1、懸濁液C2、懸濁液C3を、4℃で10分間の遠心分離(16000×g)を行った後、沈殿を300μLの外水相溶液で懸濁して、リポソームの懸濁液(以下、それぞれ、「サンプル1」、「サンプル2」、「サンプル3」という。)を得た。
【0047】
<評価方法及び結果>
機械操作後の液体の顕微鏡観察及び蛍光スペクトル測定により評価した。
図2に顕微鏡写真を、
図3に蛍光スペクトルを、それぞれ示す。
顕微鏡観察は、2倍希釈したサンプル1、サンプル2、サンプル3を、白色光、(Light)又は蛍光を用いて、倍率400倍で観察した。
図2の白色光で確認された円形状の像と同じ個所にRhodamine PE、FITC-HSAが確認できることから、リポソーム外層、内層にそれぞれの蛍光物質が埋包出来ていることが確認された。模擬細胞の損傷が生じた場合は液中に蛍光物質が流出するため、顕微鏡像全体が蛍光色素で染色されるため、撮像に変化が現れる。Rhodamine PE、FITC-HSAの染色範囲と円形形状の多少などから、細胞へのダメージ度合いを判別することができる。
蛍光スペクトル測定は、サンプル1、サンプル2、サンプル3を外水相溶液(100mM HEPES-KOH(pH7.6)、200mMグルコース)で10倍希釈後、分光光度計(RF5300,島津製作所社製)を用いて、励起(FITC:励起波長495nm;Rhodamine:励起波長544nm)し、蛍光スペクトルを測定した。
図3で検出された蛍光強度は、リポソームの存在により確認されたと推察される。模擬細胞の損傷が生じた場合は液中に蛍光物質が流出するため、上清の蛍光スペクトル測定により、強度により、細胞へのダメージ度合いを判別することができる。
【0048】
[実施例2]
<リポソームの作製>
(1)脂質溶液の調製
脂質(DPPC(ジパルミトイルホスファチジルコリン)、DPPG(ジパルミトイルホスファチジルグリセロール))及び赤色蛍光色素(Rhodamine-PE)を秤量し、脂質と等モルのフルクトースとともに、メタノール-クロロホルム混合液(体積比 メタノール:クロロホルム=2.1)に溶解して、脂質及び赤色蛍光色素を含む溶液(以下「脂質溶液D」という。)を得た。
脂質溶液Dを穏やかに混合しながら、50℃、減圧下で溶媒を留去し、さらに、溶媒を完全に除去するために真空乾燥を行って、赤色蛍光色素を含む脂質(以下「脂質B」という。)を得た。
【0049】
(2)ジャイアントリポソームの作製
脂質Bを、FITC-HSA(FITC-ヒト血清アルブミン)溶液をHEPES緩衝液(10mM HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、150mM NaCl,pH7.2)に溶解した水溶液で再水和し、50℃で穏やかにミキシングして脂質混合液(以下「脂質混合液C」という。)を得た。
脂質混合液Cを、4℃で10分間、800rpmで遠心処理し、上清を除去してHEPES緩衝液(同上)を加えた。この操作を2回行って、リポソームの分散液(以下、「サンプル4」(16000×gで遠心)、「サンプル5」(8500×gで遠心)、「サンプル6」(5900×gで遠心)を得た。
【0050】
<評価方法及び結果>
機械操作後の液体の顕微鏡観察及び蛍光スペクトル測定により評価した。
図4に顕微鏡写真を、
図5に蛍光スペクトルを、それぞれ示す。
顕微鏡観察は、2倍希釈したサンプル4を、白色光(Light)又は蛍光を用いて、倍率400倍で観察した。
図4の白色光で確認された円形状の像と同じ個所にRhodamine PE、FITC-HSAが確認できることから、リポソーム外層、内層にそれぞれの蛍光物質が埋包出来ていることが確認された。模擬細胞の損傷が生じた場合は液中に蛍光物質が流出するため、顕微鏡像全体が蛍光色素で染色されるため、撮像に変化が現れる。Rhodamine PE、FITC-HSAの染色範囲と円形形状の多少などから、細胞へのダメージ度合いを判別することができる。
蛍光スペクトル測定は、サンプル4、サンプル5、サンプル6を外水相溶液(100mM HEPES-KOH(pH7.6)、200mMグルコース)で10倍希釈後、分光光度計(RF5300,島津製作所社製)を用いて、励起(FITC:励起波長495nm;Rhodamine:励起波長544nm)し、蛍光スペクトルを測定した。リポソームが懸濁された外水相溶液には色素が含まれていないことから、
図5で検出された蛍光強度は、リポソームの存在により確認されたと推察される。模擬細胞の損傷が生じた場合は液中に蛍光物質が流出するため、上清の蛍光スペクトル測定により、強度により、細胞へのダメージ度合いを判別することができる。