(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003173
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】抗老化用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/706 20060101AFI20221228BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20221228BHJP
A61K 36/15 20060101ALI20221228BHJP
A61K 8/9767 20170101ALI20221228BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20221228BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20221228BHJP
A61K 35/10 20150101ALI20221228BHJP
A61K 8/96 20060101ALI20221228BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20221228BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20221228BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20221228BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221228BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20221228BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221228BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20221228BHJP
A23L 33/13 20160101ALI20221228BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20221228BHJP
C07H 19/048 20060101ALN20221228BHJP
【FI】
A61K31/706
A61K8/60
A61K36/15
A61K8/9767
A61K36/185
A61K8/9789
A61K35/10
A61K8/96
A61P3/00
A61Q19/08
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/10
A23L33/13
A23L33/105
C07H19/048
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104186
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
(72)【発明者】
【氏名】中島 千絵
(72)【発明者】
【氏名】橘 憲司
(72)【発明者】
【氏名】神谷 智康
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【テーマコード(参考)】
4B018
4C057
4C076
4C083
4C086
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4B018MD07
4B018MD44
4B018MD48
4B018ME10
4B018MF01
4C057BB02
4C057DD01
4C057LL05
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC21
4C076FF01
4C083AA021
4C083AA022
4C083AA111
4C083AA112
4C083AD391
4C083AD392
4C083CC02
4C083DD14
4C083DD15
4C083DD16
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE12
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA07
4C086MA16
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA28
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086MA63
4C086NA05
4C086ZC21
4C087AA01
4C087AA02
4C087BA07
4C087MA02
4C087MA16
4C087MA17
4C087MA22
4C087MA28
4C087MA35
4C087MA37
4C087MA41
4C087MA52
4C087MA63
4C087NA05
4C087ZC21
4C088AB03
4C088AB12
4C088AC01
4C088AC05
4C088AC06
4C088MA08
4C088MA16
4C088MA17
4C088MA22
4C088MA28
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA41
4C088MA52
4C088MA63
4C088NA05
4C088ZC21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】優れた抗老化作用を有する組成物を提供する。
【解決手段】NMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする組成物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチンアミドモノヌクレオチドと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする抗老化用組成物。
【請求項2】
ニコチンアミドモノヌクレオチドと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする経口用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチンアミドモノヌクレオチドと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする抗老化用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
日本では、医療技術の発達によって人々の寿命そのものは延長しているが、その一方で、加齢に伴う心身の機能低下により日常生活に支障が生じたり、様々な疾患に罹患したりする等の問題を抱えている。加齢に伴って生じる機能低下は一般に老化と呼ばれ、例えば、視力、聴力、記憶力、運動能力、免疫機能、臓器機能などの低下が挙げられる。従って、老化を抑制することは生活の質向上の観点から望まれることであり、長期間にわたって安全に使用できる食品や化粧品による予防が重要であると考えられるため、そのような効果を奏する食品や化粧品の開発が期待されている。
【0003】
老化を抑制する食品や化粧品としては、例えば、レスベラトロール(非特許文献1)やユーグレナ(特許文献1)などが知られている。しかし、本発明者らが調べたところによれば、レスベラトロールやユーグレナによる抗老化作用は十分とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Small molecule activators of sirtuins extend Saccharomyces cerevisiae lifespan.Nature,425:191-196,2003.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、長期間安全に使用でき、優れた抗老化作用を発揮する組成物を提供することを課題とする。
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を積み重ねた結果、驚くべきことに、ニコチンアミドモノヌクレオチドと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を組み合わせたところ、優れた抗老化作用が発揮されることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、完成された発明である。
【0008】
本発明の概要は、以下の通りである。
[1]ニコチンアミドモノヌクレオチドと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする抗老化用組成物。
[2]ニコチンアミドモノヌクレオチドと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするサーチュイン遺伝子発現促進用組成物。
[3]ニコチンアミドモノヌクレオチドを有効成分として含有する抗老化用組成物であって、さらに、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする組成物。
[4]ニコチンアミドモノヌクレオチドと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする経口用組成物。
[5]ニコチンアミドモノヌクレオチドと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする外用組成物。
[6]ニコチンアミドモノヌクレオチドと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする皮膚及び/又は毛髪用外用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ニコチンアミドモノヌクレオチドと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することにより、抗老化作用に優れた組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例及び比較例におけるSIRT1遺伝子の発現量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
本発明の組成物は、ニコチンアミドモノヌクレオチドと共に、松樹皮、バナバ及びフルボ酸から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする。ニコチンアミドモノヌクレオチドと共に用いられる松樹皮、バナバ及びフルボ酸から選ばれる成分は、1種単独で用いてもよいし、2種又は3種を組み合わせて用いてもよいが、抗老化作用の点から、2種又は3種を組み合わせて用いることが好ましく、3種を組み合わせて用いることが特に好ましい。
【0013】
以下、本発明の組成物に含まれる各成分について説明する。
[ニコチンアミドモノヌクレオチド]
本発明は、ニコチンアミドモノヌクレオチド(以下、「NMN」とも言う)を必須成分とする。ニコチンアミドモノヌクレオチド(化学式:C11H15N2O8P)は、リボースとニコチンアミドに由来するヌクレオチドであり、NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の生合成に関与する中間代謝物として知られている。本発明において、NMNは酵母を用いた発酵法により製造したものや化学合成したものを使用することができ、特に限定されないが、抗老化作用、長期使用における安全性の点から、酵母を用いた発酵法により製造したものを使用することが好ましい。
【0014】
本発明において、NMNの光学異性体の種類は限定されず、例えば、α体、β体を使用することができるが、抗老化作用の点から、β体(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)を使用することが好ましい。
【0015】
本発明の組成物に配合されるNMNの配合割合としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその配合割合を適宜設定できる。例えば、本発明の組成物が経口剤かつ固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合、本発明の組成物中におけるNMNの配合割合は0.001~70質量%が好ましく、抗老化作用の点から、0.01~60質量%がより好ましく、0.1~50質量%が特に好ましい。本発明の組成物が経口剤かつ液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合、本発明の組成物中におけるNMNの配合割合は0.0001~30質量%が好ましく、0.001~20質量%がより好ましく、0.01~10質量%が特に好ましい。本発明の組成物が外用剤である場合、本発明の組成物中におけるNMNの配合割合は0.000001~20質量%が好ましく、0.00001~10質量%がより好ましく、0.0001~5質量%が特に好ましい。
【0016】
[松樹皮]
本発明は、NMNと共に松樹皮を使用することができる。本発明で用いられる松樹皮の原料の松としては、フランス海岸松(Pinus maritima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ等を挙げられが、これらに限定されない。これらの中でも、抗老化作用、長期使用における安全性の点から、フランス海岸松が好ましい。
【0017】
本発明においては、松樹皮を加工して用いることができ、松樹皮加工物としては、例えば、チップ状物、粉砕物、搾汁物、抽出物や、これらの乾燥粉末を挙げることができる。本発明において用いられる松樹皮は、製剤性を考慮すると、適用が容易であることから、粉砕物、搾汁物、抽出物又はこれらの乾燥粉末であることが好ましく、抗老化作用の点から、抽出物又はその乾燥粉末であることがより好ましい。松樹皮加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。例えば、株式会社東洋新薬製の松樹皮抽出物を用いることができる。
【0018】
松樹皮抽出物を得る際に使用する抽出溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒(含水エタノールといった含水アルコール)が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び1,1,2-トリクロロエテンが挙げられる。これらの水及び有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいが、抗老化作用の点から、抽出溶媒としては、水を用いることが好ましい。なお、抽出する際の溶媒の温度は、用いる溶媒の沸点以下であれば限定されない。
【0019】
松樹皮抽出物を得る方法については、特に限定はないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法等が挙げられる。また、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0020】
超臨界流体抽出法とは、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)等が用いられるが、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0021】
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤、吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0022】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n-ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2~20W/V%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行うことによって、OPC(Oligomeric proanthocyanidin:オリゴメリック・プロアントシアニジン)、カテキン類等の目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的な松樹皮抽出物を得る方法である。
【0023】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点、抽出流体が残留しないという利点、溶媒の循環利用が可能であるため、脱溶媒工程等が省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0024】
上記の抽出により得られた松樹皮抽出物を、カラム法又はバッチ法により精製することが安全性の面から好ましい。カラム法としては、例えば、ダイヤイオンHP-20、Sephadex-LH20、キチン等の吸着性担体を用いた精製方法が挙げられる。
【0025】
本発明に用いられる松樹皮抽出物は、主な成分の一つとして、プロアントシアニジンを含有する。プロアントシアニジンは、フラバン-3-オール及び/又はフラバン-3,4-ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群である。
【0026】
本発明に用いられる松樹皮抽出物は、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有されていることが好ましい。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましい。重合度の低い縮重合体としては、例えば、重合度が2~30の縮重合体(2~30量体)であり、抗老化作用の点から、重合度が2~10の縮重合体(2~10量体)が好ましく、重合度が2~4の縮重合体(2~4量体)が特に好ましい。本明細書では、重合度が2~4の重合体を、OPC(oligomeric proanthocyanidin;オリゴメトリック・プロアントシアニジン)という。
【0027】
本発明の組成物に配合される松樹皮の配合割合としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその配合割合を適宜設定できる。例えば、本発明の組成物が経口剤かつ固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合、本発明の組成物中における松樹皮の配合割合は0.001~50質量%が好ましく、抗老化作用の点から、0.01~40質量%がより好ましく、0.1~30質量%が特に好ましい。本発明の組成物が経口剤かつ液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合、本発明の組成物中における松樹皮の配合割合は0.0001~30質量%が好ましく、0.001~20質量%がより好ましく、0.01~10質量%が特に好ましい。本発明の組成物が外用剤である場合、本発明の組成物中における松樹皮の配合割合は0.000001~20質量%が好ましく、0.00001~10質量%がより好ましく、0.0001~5質量%が特に好ましい。
【0028】
[バナバ]
本発明は、NMNと共にバナバを使用することができる。バナバ(Lagerstroemia speciosa)は、ミソハギ科サルスベリ属に属する植物で、通称「オオバナサルスベリ」とも呼ばれ、フィリピンを始め、インド、マレーシア、中国南部などの東南アジア、オーストラリアなどに広く生育している植物である。本発明においては、バナバの花、葉、樹皮、根又は種子を用いることができるが、抗老化作用、長期使用における安全性の点から、葉を使用することが好ましい。バナバ葉は茎を含むものであってもよい。バナバ葉は腐食しやすいため、収穫した後に直ちに乾燥させて、乾燥物とするのが好ましい。生葉の乾燥は自然乾燥または風乾のいずれであってもよいが、風乾により、強制的に乾燥させることが好ましい。乾燥物は、微生物による腐食を防止し、バナバの葉中の成分を安定に保持させる点から、水分含量が20質量%以下となることが好ましく、10質量%以下となることがより好ましい。
【0029】
本発明に用いられるバナバとしては、乾燥チップ、粉砕物、搾汁物、抽出物又はこれらの乾燥粉末等が挙げられる。本発明において用いられるバナバは、抗老化作用の点から、粉砕物、搾汁物、抽出物又はこれらの乾燥粉末であることが好ましく、抽出物又はその乾燥粉末であることがより好ましい。バナバは、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。なお、バナバは、バナバの成分であるコロソリン酸を1質量%以上含むものが好ましく、抗老化作用の点から、5質量%以上含むものがより好ましく、7質量%以上含むものがさらに好ましい。
【0030】
バナバの粉砕物を得る方法は特に限定されないが、例えば、洗浄後に天日又は乾燥機を用いて乾燥後、そのままで、又は適当な形状や大きさに裁断して得た処理物を、粉砕装置を用いて粉砕することで得ることができる。粉砕装置としては通常使用されるものが広く使用できるが、例えば、原料ホッパー、粉砕機、分級機、製品ホルダーなどから構成される粉砕機を用いることができる。
【0031】
バナバの搾汁物を得る方法は特に限定されないが、例えば、バナバ又はその細片化物を圧搾する方法、バナバの細片化物を遠心やろ過する方法などを挙げることができる。具体的な搾汁物の製造方法の例としては、ミキサー、ジューサーなどの機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得る方法が挙げられる。搾汁物は、必要に応じて濃縮してもよいし、凍結乾燥や熱風乾燥、噴霧乾燥などの処理を行い、乾燥粉末とすることもできる。
【0032】
バナバの抽出物を得る方法は特に限定されないが、例えば、バナバの葉が含有する成分を、常法に従って溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液や濃縮液、又はそれらの乾燥物やその粉末などが挙げられる。
【0033】
抽出に使用される溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル;アセトン;これらと水との混合溶媒などが挙げられる。本発明においては有機溶媒と水との混合溶媒を使用することができ、混合溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトンと、水との混合溶媒を用いることができ、好ましくはアセトン/水(2/8~8/2、体積比)混合物、エタノール/水(2/8~8/2、体積比)混合物などが挙げられる。抽出溶媒の温度は、使用する溶媒に応じて室温~沸点以下で適宜設定することができる。
【0034】
抽出方法は、例えば、バナバに対して1~20倍質量、好ましくは3~15倍質量、より好ましくは5~10倍質量の水及びエタノールを加え、室温以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは約50~85℃の範囲で、数分~数十時間、好ましくは30分~2時間程度、静置、振盪、撹拌、還流などの任意の条件下にて抽出を行う方法などが挙げられる。高温で抽出する場合は、有機溶媒(例えば、エタノール)が蒸発して抽出効率が落ちる可能性があるため、加熱還流による抽出を行うことが好ましい。抽出作業後、ろ過、遠心分離などの固液分離操作を行い、不溶な固形物を除去することが好ましい。これに、必要に応じて希釈、濃縮などの操作を行うことにより、抽出物を得ることができる。さらに、不溶物についても同じ操作を繰り返して抽出し、その抽出物を先の抽出物と合わせて用いてもよい。これらの抽出物は、当業者が通常用いる精製方法により、さらに精製して使用してもよい。
【0035】
抽出物から乾燥物を得る方法は特に限定されず、例えば、抽出物やその濃縮物を、噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥、流動乾燥などの当業者が通常用いる乾燥処理に供する方法などが挙げられる。さらに、このようにして得られた乾燥物を、当業者に知られる方法を用いて粉末化して使用することが可能である。例えば、特開2005-263650号公報に記載される方法にしたがって、バナバ抽出物を得ることができる。この方法によれば、バナバの葉を、(a)エタノール水溶液による抽出工程、(b)活性炭による処理工程、(c)濃縮して沈殿物を回収する工程を行うことで、バナバ抽出物を得ることができる。
【0036】
本発明の組成物に配合されるバナバの配合割合としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその配合割合を適宜設定できる。例えば、本発明の組成物が経口剤かつ固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合、本発明の組成物中におけるバナバの配合割合は0.001~50質量%が好ましく、抗老化作用の点から、0.01~40質量%がより好ましく、0.1~30質量%が特に好ましい。本発明の組成物が経口剤かつ液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合、本発明の組成物中におけるバナバの配合割合は0.0001~30質量%が好ましく、0.001~20質量%がより好ましく、0.01~10質量%が特に好ましい。本発明の組成物が外用剤である場合、本発明の組成物中におけるバナバの配合割合は0.000001~20質量%が好ましく、0.00001~10質量%がより好ましく、0.0001~5質量%が特に好ましい。
【0037】
[フルボ酸]
本発明は、NMNと共にフルボ酸を使用することができる。フルボ酸は、腐植に含まれる物質のうち、アルカリ及び酸に可溶な無定形高分子有機酸である。本発明において、フルボ酸は、腐植から抽出したものや合成したものを使用することができ、特に限定されないが、抗老化作用、長期使用における安全性の点から、腐植から抽出したものを使用することが好ましい。
【0038】
フルボ酸の原料となる腐植としては、特に限定されないが、例えば、米国ユタ州エメリー郡にある古代植物堆積層(頁岩層)から得られるヒューミックシェールや、ヒマラヤ山脈の高度1000~5000mの高地で採取されるシラジット、海洋性完熟土、泥炭(ピート)が挙げられ、抗老化作用の点から、ヒューミックシェール又はシラジットが好ましく、シラジットが特に好ましい。
【0039】
腐植からフルボ酸を抽出する方法としては、特に制限されず、各種公知の方法を使用することができる。抽出手段としては、例えば、固-液抽出、液-液抽出、浸漬、浸出、煎出、環流抽出、超臨界流体抽出、マイクロ波抽出、混合攪拌等が挙げられる。抽出手段は1種単独又は2種以上を組み合わせて行うことができる。
【0040】
抽出に使用される溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル;アセトン;これらと水との混合溶媒などが挙げられ、特に限定されないが、抗老化作用の点から、水が好ましい。抽出溶媒の温度は、使用する溶媒に応じて室温~沸点以下で適宜設定することができる。
【0041】
腐植の抽出物は、不要物除去及び除菌のために、ろ過を行ってもよい。ろ過の手段は、特に制限されず、常法により行うことができる。
【0042】
腐植の抽出物は、フルボ酸を単離又は精製する処理を更に行うことができる。そのような単離又は精製処理としては、例えば、濃縮、減圧濃縮、蒸留、分留、転溶、溶媒抽出、結晶化、再結晶、クロマトグラフィーなどが挙げられる。これらの方法は1種単独又は2種以上を組み合わせて行うことができる。
【0043】
本発明の組成物に配合されるフルボ酸の配合割合としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその配合割合を適宜設定できる。例えば、本発明の組成物が経口剤かつ固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合、本発明の組成物中におけるフルボ酸の配合割合は0.0001~30質量%が好ましく、抗老化作用の点から、0.001~20質量%がより好ましく、0.01~10質量%が特に好ましい。本発明の組成物が経口剤かつ液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合、本発明の組成物中におけるフルボ酸の配合割合は0.00001~10質量%が好ましく、0.0001~5質量%がより好ましく、0.001~1質量%が特に好ましい。本発明の組成物が外用剤である場合、本発明の組成物中におけるフルボ酸の配合割合は0.000001~20質量%が好ましく、0.00001~10質量%がより好ましく、0.0001~5質量%が特に好ましい。
【0044】
本発明の組成物に配合されるNMN及び、松樹皮、バナバ、並びにフルボ酸の合計の配合割合としては、特に制限はなく、目的や形状、使用対象等の様々な条件に応じて、広範囲でその配合割合を適宜設定できる。例えば、本発明の組成物が経口剤かつ固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合、本発明の組成物中におけるNMN及び、松樹皮、バナバ、並びにフルボ酸の合計の配合割合は0.02~100質量%が好ましく、抗老化作用の点から、0.1~80質量%がより好ましく、1.0~60質量%が特に好ましい。本発明の組成物が経口剤かつ液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合、本発明の組成物中におけるNMN及び、松樹皮、バナバ、並びにフルボ酸の合計の配合割合は0.0001~30質量%が好ましく、抗老化作用の点から、0.001~20質量%がより好ましく、0.01~10質量%が特に好ましい。本発明の組成物が外用剤である場合、本発明の組成物中におけるNMN及び、松樹皮、バナバ、並びにフルボ酸の合計の配合割合は0.000001~50質量%が好ましく、抗老化作用の点から、0.00001~30質量%がより好ましく、0.0001~10質量%が特に好ましい。
【0045】
本発明の組成物において、NMNに対する松樹皮の含有比は特に限定されないが、抗老化作用の点から、NMNに対する松樹皮の含有比は、NMNの質量1に対して0.0001~100倍であることが好ましく、0.001~30倍であることがより好ましく、0.01~10倍であることが特に好ましい。
【0046】
本発明の組成物において、NMNに対するバナバの含有比は特に限定されないが、抗老化作用の点から、NMNに対するバナバの含有比は、NMNの質量1に対して0.0001~100倍であることが好ましく、0.001~30倍であることがより好ましく、0.01~10倍であることが特に好ましい。
【0047】
本発明の組成物において、NMNに対するフルボ酸の含有比は特に限定されないが、抗老化作用の点から、NMNに対するフルボ酸の含有比は、NMNの質量1に対して0.000001~30倍であることが好ましく、0.00001~10倍であることがより好ましく、0.0001~1倍であることが特に好ましい。
【0048】
本発明の組成物において、NMNに対する松樹皮、バナバ及びフルボ酸の合計量の含有比は特に限定されないが、抗老化作用の点から、NMNに対する松樹皮、バナバ及びフルボ酸の合計量の含有比は、NMNの質量1に対して0.000001~230倍であることが好ましく、0.00001~70倍であることがより好ましく、0.0001~21倍であることが特に好ましい。
【0049】
本発明の組成物が経口剤である場合、本発明の組成物の体重当たりの1日の摂取量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定できる。例えば、本発明の組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、使用者の体重を基準として、好ましくは1~1000mg/kgであり、より好ましくは3~200mg/kgであり、抗老化作用の点から、特に好ましくは5~100mg/kgである。また、例えば、本発明の組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、使用者の体重を基準として、好ましくは200~20000mg/kgであり、より好ましくは600~15000mg/kgであり、抗老化作用の点から、特に好ましくは1000~10000mg/kgである。
【0050】
本発明の組成物が経口剤である場合、本発明の組成物の体重当たりの1回の摂取量についても同様に特に限定されない。例えば、本発明の組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、使用者の体重を基準として、好ましくは0.3~1000mg/kgであり、より好ましくは1.0~200mg/kgであり、抗老化作用の点から、特に好ましくは1.6~100mg/kgである。また、例えば、本発明の組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、使用者の体重を基準として、好ましくは66~20000mg/kgであり、より好ましくは200~15000mg/kgであり、抗老化作用の点から、特に好ましくは333~10000mg/kgである。
【0051】
本発明の組成物が経口剤である場合、本発明の組成物の1日の摂取量は特に限定されず、例えば、本発明の組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、好ましくは0.01~50g、より好ましくは0.05~30g、抗老化作用の点から、特に好ましくは0.1~10gとすることができる。また、例えば、本発明の組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、好ましくは10~1000g、より好ましくは30~750g、抗老化作用の点から、特に好ましくは50~500gとすることができる。
【0052】
本発明の組成物が経口剤である場合、本発明の組成物の1回の摂取量は特に限定されず、例えば、本発明の組成物が固形剤(粉末状、粒状、顆粒状、錠状、カプセル状、チュアブル状など)である場合には、好ましくは0.003~50g、より好ましくは0.01~30g、抗老化作用の点から、特に好ましくは0.03~10gとすることができる。また、例えば、本発明の組成物が液剤(液状、ジェル状、ペースト状など)である場合には、好ましくは3.3~1000g、より好ましくは10~750g、抗老化作用の点から、特に好ましくは16~500gとすることができる。
【0053】
本発明の組成物が経口剤である場合、本発明の組成物は食前、食間、食後、食事と同時のいずれにおいて摂取しても良いが、抗老化作用の点から、食前、食後又は食事と同時に摂取することが好ましく、食後に摂取することがより好ましい。
【0054】
本発明の組成物が外用剤である場合、使用量としては特に限定されず、使用対象個体の年齢、体重、体質、使用部位等の様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
【0055】
本発明の組成物が外用剤である場合、対象者に適用する頻度としては特に限定されないが、抗老化作用の点から、1~5回/日が好ましく、1~3回/日がより好ましい。
【0056】
本発明の組成物には、NMNと松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる成分のみを含むものであってもよいし、これらに加えて、その他の成分を含有してもよい。本発明の組成物が経口剤である場合、前記のその他の成分としては、例えば、タンパク質、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維等の食物繊維、NMN以外のビタミン類、ミネラル類、松樹皮とバナバ以外の植物又は植物加工品、藻類、乳酸菌等の微生物等を配合することができる。更に必要に応じて通常食品分野で用いられる、デキストリン、でんぷん等の糖類、オリゴ糖類、甘味料、酸味料、着色料、増粘剤、光沢剤、賦形剤、栄養補助剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。
【0057】
本発明の組成物が外用剤である場合、前記のその他の成分としては、種々の薬効成分(活性酸素除去剤、抗酸化剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、NMN以外のビタミン剤、ホルモン剤、これらの作用を有する松樹皮とバナバ以外の動植物由来の抽出物など)、他の油剤(リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、DHA、EPAなどの不飽和脂肪酸およびその誘導体、亜麻仁油、ヤシ油、ホホバ油、オリーブ油、スクワラン、スクワレン、馬油、コメヌカ油、ヒマシ油などの動植物より抽出された油およびその誘導体など)、保湿剤(コラーゲンまたはその分解物、大豆ペプチド、アミノ酸、ヒアルロン酸などのムコ多糖類、コンドロイチンなどのアミノ糖、トレハロースなどの糖類、海藻類など)、増粘剤(アルギン酸又はその塩、セルロース誘導体、アクリル酸系ポリマー又はその誘導体、グルコマンナン、ペクチンなど)、ゲル化剤、界面活性剤(レシチン、ベタイン、脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体;アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤など)、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤(酸化亜鉛、酸化チタンなど)、顔料などを挙げることができる。
【0058】
本発明の組成物は、経口剤や、皮膚や頭皮に適用する外用剤として用いることができ、抗老化作用の点から、経口剤として用いることが好ましい。
【0059】
本発明の組成物は、抗老化に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに抗老化作用の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、化粧品等を挙げることができる。いわゆる健康食品においては、「老化を防ぐ」、「加齢による衰えを予防する」、「若々しくあり続ける」、「若さを維持する」、「若々しくありたい方に」、「エイジングケア」、「アンチエイジング」等を表示したものを例示することができる。
【0060】
本発明の組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。本発明の組成物が経口剤である場合、例えば、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、液状、ジェル状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、ケーキ状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの各形態が挙げられる。本発明の組成物は、抗老化作用の点から、顆粒状、錠状、カプセル状、液状が好ましく、顆粒状、錠状、カプセル状がより好ましい。ここで、顆粒状とは粉末を造粒した組成物のことを言い、直接飲用してもよく、水などの液体に溶かして飲用してもよい。また、ジェル状とは水と増粘剤又はゲル化剤を含有し、粘性又は弾性を有する組成物のことを言う。
【0061】
本発明の組成物が外用剤である場合、その形態としては、例えば、ローション状、乳液状、ゲル状、クリーム状、軟膏状、粉末状、顆粒状等を挙げることができる。具体的には、化粧水、化粧クリーム、乳液、クリーム、パック、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディシャンプー、洗顔剤、石鹸、ファンデーション、白粉、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドー、整髪料、育毛剤、水性軟膏、油性軟膏、目薬、アイウォッシュ、シップ、ジェルなどが挙げられる。
【0062】
本発明の組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック、ストリップ包装、ヒートシール、アルミパウチ、プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装、バイアルなどのガラス容器、アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
【実施例0063】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【0064】
<試験 抗老化作用の評価>
本試験では、SIRT1遺伝子発現量について評価した。SIRT1遺伝子はサーチュイン遺伝子の一つであり、NAD+依存性ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)として機能し、抗酸化酵素の活性化や細胞周期・アポトーシスの調節など、さまざまな経路を介した抗老化作用を持つことが知られており、SIRT1遺伝子の発現が促進されることで抗老化がもたらされると考えられている。従って、SIRT1遺伝子発現量を評価することで、抗老化作用の評価ができる。
【0065】
(1)被験物質
NMNとして酵母を用いた発酵法により製造したβ-NMN、松樹皮としてOPC(重合度2~4のプロアントシアニジン)を含有するフランス海岸松の松樹皮の熱水抽出物、バナバとしてコロソリン酸を9.6%含有するバナバ葉の含水エタノール抽出物、フルボ酸としてフルボ酸を20%含有するシラジット原石の水抽出物を使用した。また、抗老化作用を有することが知られている食品素材として、レスベラトロールを使用した。NMN、松樹皮、バナバ、フルボ酸、レスベラトロールはいずれも市販のものを使用した。これらが表1の割合となるようにEGM-2培地(Lonza製)を用いて調製し、実施例及び比較例の被験物質含有培地を作製した。
【0066】
【0067】
(2)細胞培養
ヒト臍帯静脈内皮細胞(Lonza製)をEGM-2培地(Lonza製)で培養した。コラーゲンコートされた96ウェルプレートに前記の細胞を1×104cells/wellとなるように100μL/wellで播種し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、24時間前培養した。各wellより培地を除去後、表1の被験物質含有培地を100μL/well添加し、24時間培養した。
【0068】
(3)SIRT1遺伝子発現量の測定
各wellより培地を除去後、CellAmp Direct RNA Prep Kit for RT-PCR(Takara製)を用いてRNAを回収した。得られたRNAより、One Step TB Green(登録商標) PrimeScript RT-PCR Kit II(Takara製)を用いてリアルタイムPCRを実施した。SIRT1遺伝子のプライマー(QIAGEN製)を用いて、SIRT1遺伝子発現量を測定した。内在性コントロールとして、GAPDHのプライマー(QIAGEN製)を用いて、GAPDHの遺伝子発現量を測定した。
【0069】
(4)SIRT1遺伝子発現量の評価
被験物質を投与しなかった群(コントロール)の発現量を1とした場合の、SIRT1遺伝子発現量の相対値を算出した。結果を
図1に示す。
【0070】
NMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を投与した群(実施例1~3)は、NMNのみを投与した群(比較例1)と比べて、いずれもSIRT1遺伝子発現量の増加が認められた。松樹皮のみを投与した群(比較例2)、バナバのみを投与した群(比較例3)、フルボ酸のみを投与した群(比較例4)はSIRT1遺伝子遺伝子発現量の増加が見られなかったため、NMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を組み合わせることにより、SIRT1遺伝子発現促進作用が発揮されることが分かった。このことから、本発明の組成物はNMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することにより、優れた抗老化作用が発揮されることが分かった。一方で、抗老化作用を有することが知られているレスベラトロールのみを投与した群(比較例5)はコントロールと比較して、SIRT1遺伝子発現量の増加が見られるものの、NMNとレスベラトロールを投与した群(比較例6)は、NMNのみを投与した群(比較例1)に比べて、SIRT1遺伝子発現量の増加が見られず、NMNとレスベラトロールを組み合わせても抗老化作用に優れないことが分かった。
【0071】
(製造例)
実施例の結果に基づいて、以下に本発明の製造例を示す。
【0072】
[製造例1-4:顆粒剤]
表2の配合の通り、NMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種と他の原料を混合後、造粒機を用いて流動層造粒を行い、製造例1-4に記載の顆粒剤を製造した。製造例1-4に記載の顆粒剤は、1日あたり3gを摂取すればよく、100mlの水などの溶媒に溶かして摂取してもよく、溶かさずにそのまま摂取してもよい。製造例1-4のいずれの顆粒剤も、長期間継続的かつ安全に経口摂取でき、抗老化に有効である。
【0073】
【0074】
[製造例5-8:錠剤]
表3の配合の通り、NMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種と他の原料を混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠を行い、製造例5-8の錠剤を製造した。錠剤は、錠径8mmφ、錠厚4.5mm、重量250mg、硬度5kgf以上で製造した。製造例5-8に記載の錠剤は1日あたり1~2粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。製造例5-8のいずれの錠剤も長期間継続的かつ安全に経口摂取でき、抗老化に有効である。
【0075】
【0076】
[製造例9-12:ハードカプセル]
表4の配合の通り、NMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種と他の原料を混合し、ゼラチン又はヒドロキシプロピルセルロースを含む被膜で被包することで、ハードカプセルを製造した。ハードカプセルは1粒300mgで製造した。1日あたり1~2粒摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。また、製造例9-12のいずれのハードカプセルも長期間継続的かつ安全に経口摂取でき、抗老化に有効である。
【0077】
【0078】
[製造例13-16:PET飲料]
表5の配合の通り、NMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種と他の原料を混合した液剤をPET容器に詰め、PET飲料を製造した。PET飲料は1本500mlで製造した。1日あたり1本摂取すればよい。また、製造例13-16のいずれのPET飲料も長期間継続的かつ安全に経口摂取でき、抗老化に有効である。
【0079】
【0080】
[製造例17-20:ローション]
表6の配合の通り、NMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種と他の原料を配合し、ローションを製造した。1日あたり3回適量を外用すればよい。製造例17-21のいずれのローションも長期間継続的かつ安全に使用でき、抗老化に有効である。
【0081】
【0082】
[製造例21-24:クリーム]
表7の配合の通り、NMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種と他の原料を配合し、クリームを製造した。1日あたり2回適量を外用すればよい。製造例21-24のいずれのクリームも長期間継続的かつ安全に使用でき、抗老化に有効である。
【0083】
【0084】
[製造例25-28:乳液]
表8の配合の通り、NMNと、松樹皮、バナバ、フルボ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種と他の原料を配合し、乳液を製造した。1日あたり1回適量を外用すればよい。製造例21-24のいずれの乳液も長期間継続的かつ安全に使用でき、抗老化に有効である。
【0085】