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特開2023-31754通信システム、ネットワーク通信装置、端末装置、及びプログラム
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  • 特開-通信システム、ネットワーク通信装置、端末装置、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031754
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】通信システム、ネットワーク通信装置、端末装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20230302BHJP
   H04W 8/18 20090101ALI20230302BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20230302BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W8/18
H04W84/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137437
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】谷川 昌也
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】置き換えの対象となったネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐことを可能にする通信システム、ネットワーク通信装置、端末装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】ネットワーク通信装置10が、複数種類の設定データを記憶しており、当該設定データに基づいて、所定の通信回線を介して、サーバ装置30との間で通信を行い、これらネットワーク通信装置10またはサーバ装置30が、ネットワーク通信装置10が記憶する複数種類の設定データのうち、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式に変換し、サーバ装置30が、当該変換された汎用設定データを保持して、要求に応じて、当該保持した汎用設定データを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク通信装置と、このネットワーク通信装置に対して所定の通信回線を介して通信可能に接続されるサーバ装置とを含む通信システムであって、
前記ネットワーク通信装置が、
複数種類の設定データを記憶する設定記憶手段と、
前記設定記憶手段が記憶する設定データに基づいて、前記所定の通信回線を介して、前記サーバ装置との間で通信を行う通信手段と、
を有し、
前記ネットワーク通信装置または前記サーバ装置が、前記ネットワーク通信装置の前記設定記憶手段が記憶する複数種類の設定データのうち、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式に変換し、
前記サーバ装置が、当該変換された汎用設定データを保持して、要求に応じて、当該保持した汎用設定データを提供する処理に供する通信システム。
【請求項2】
複数種類の設定データを記憶する設定記憶手段と、
前記設定記憶手段が記憶する設定データに基づいて、所定の通信回線を介して、予め定められたサーバ装置との間で通信を行う通信手段と、
前記設定記憶手段が記憶する複数種類の設定データのうち、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式に変換して、前記サーバ装置へ送出する設定データ変換手段と、
を有するネットワーク通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワーク通信装置であって、
さらに、前記設定記憶手段が記憶する複数種類の設定データと、自己の機種を表す機種情報とを、前記サーバ装置へ専用設定データとして送出する専用設定データ送信手段を含むネットワーク通信装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のネットワーク通信装置であって、
前記サーバ装置に保持された汎用設定データを受け入れる受入手段と、
前記受け入れた汎用設定データに基づいて、自己の設定データを生成して前記設定記憶手段に格納する設定復元手段と、
を含むネットワーク通信装置。
【請求項5】
請求項4に記載のネットワーク通信装置であって、
前記受入手段は、前記サーバ装置から、当該サーバ装置に保持された汎用設定データを取得した端末装置から、汎用設定データを受け入れるネットワーク通信装置。
【請求項6】
請求項5に記載のネットワーク通信装置であって、
前記受入手段は、前記サーバ装置から、当該サーバ装置に保持された汎用設定データ及び専用設定データを取得した端末装置に対し、ネットワーク通信装置自身の機種または機能の少なくとも一方に関する情報を送出し、
前記端末装置が当該送出した情報に基づいて選択した専用設定データまたは汎用設定データを受け入れるネットワーク通信装置。
【請求項7】
請求項4または5に記載のネットワーク通信装置であって、
前記受入手段は、前記汎用設定データと、前記サーバ装置に保持された専用設定データとを受け入れ、
前記設定復元手段は、前記受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種情報に一致する場合には、当該専用設定データに基づいて自己の設定データを生成して前記設定記憶手段に格納し、前記受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種情報に一致しない場合に、前記受け入れた汎用設定データに基づいて、自己の設定データを生成して前記設定記憶手段に格納するネットワーク通信装置。
【請求項8】
設定移行元のネットワーク通信装置における設定データを格納するサーバ装置から、当該設定データを取得する手段と、
設定移行先のネットワーク通信装置の機種または機能の少なくとも一方に関する情報を取得する手段と、
前記取得した機種または機能の少なくとも一方に関する情報を参照して、設定移行先のネットワーク通信装置に対して送出する汎用設定データを、前記サーバ装置から取得した設定データに基づいて生成する手段と、
当該生成した汎用設定データを、設定移行先のネットワーク通信装置に対して送出する送出手段と、
を含む端末装置。
【請求項9】
ネットワーク通信装置を、
複数種類の設定データを記憶する設定記憶手段と、
前記設定記憶手段が記憶する設定データに基づいて、所定の通信回線を介して、予め定められたサーバ装置との間で通信を行う通信手段と、
前記設定記憶手段が記憶する複数種類の設定データのうち、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式に変換して、前記サーバ装置へ送出する設定データ変換手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項10】
端末装置を、
設定移行元のネットワーク通信装置における設定データを格納するサーバ装置から、当該設定データを取得する手段と、
設定移行先のネットワーク通信装置の機種または機能の少なくとも一方に関する情報を取得する手段と、
前記取得した機種または機能の少なくとも一方に関する情報を参照して、設定移行先のネットワーク通信装置に対して送出する汎用設定データを、前記サーバ装置から取得した設定データに基づいて生成する手段と、
当該生成した汎用設定データを、設定移行先のネットワーク通信装置に対して送出する送出手段と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、ネットワーク通信装置、端末装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
既設のネットワーク通信装置、例えば既設の無線LAN装置から新規の無線LAN装置への置き換える際には、当該新規の無線LAN装置に対し、設定情報を新たに設定する必要がある。
【0003】
この設定の手間を軽減するため、既設の無線LAN装置から新規の無線LAN装置へ設定情報を移設することが考えられている。例えば特許文献1には、当該既設の無線LAN装置に対して通信パラメータを要求し、当該既設の無線LAN装置から通信パラメータをコピーして用いる無線LAN装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-023481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既設の、置き換えの対象となるネットワーク通信装置と新規のネットワーク通信装置との機種は必ずしも同じではない。置き換えの対象となったネットワーク通信装置とは機種が異なるネットワーク通信装置に対しては、置き換えの対象となったネットワーク通信装置から取得した設定情報が必ずしもすべて利用可能であるとは限らない。上記従来例の技術では、このような場合が考慮されておらず、置き換えの対象となったネットワーク通信装置とは機種が異なるネットワーク通信装置に対しては、置き換え元のネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐ処理が考えられていない。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、置き換えの対象となるネットワーク通信装置とは機種が異なるネットワーク通信装置に対しても、置き換えの対象となったネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐことを可能にする通信システム、ネットワーク通信装置、端末装置、及びプログラムを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来例の問題点を解決する本発明の一態様は、ネットワーク通信装置と、このネットワーク通信装置に対して所定の通信回線を介して通信可能に接続されるサーバ装置とを含む通信システムであって、前記ネットワーク通信装置が、複数種類の設定データを記憶する設定記憶手段と、前記設定記憶手段が記憶する設定データに基づいて、前記所定の通信回線を介して、前記サーバ装置との間で通信を行う通信手段と、を有し、前記ネットワーク通信装置または前記サーバ装置が、前記ネットワーク通信装置の前記設定記憶手段が記憶する複数種類の設定データのうち、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式に変換し、前記サーバ装置が、当該変換された汎用設定データを保持して、要求に応じて、当該保持した汎用設定データを提供する処理に供することとしたものである。
【0008】
この通信システムによると、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式として提供するので、置き換えの対象となるネットワーク通信装置とは機種が異なるネットワーク通信装置に対しても、置き換えの対象となったネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐことが可能となる。
【0009】
また本発明のもう一つの態様は、ネットワーク通信装置であって、複数種類の設定データを記憶する設定記憶手段と、前記設定記憶手段が記憶する設定データに基づいて、所定の通信回線を介して、予め定められたサーバ装置との間で通信を行う通信手段と、前記設定記憶手段が記憶する複数種類の設定データのうち、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式に変換して、前記サーバ装置へ送出する設定データ変換手段と、を有することとしたものである。
【0010】
このネットワーク通信装置によれば、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式として提供するので、置き換えの対象となるネットワーク通信装置とは機種が異なるネットワーク通信装置に対しても、置き換えの対象となったネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐことが可能となる。
【0011】
ここでさらに、前記設定記憶手段が記憶する複数種類の設定データと、自己の機種を表す機種情報とを、前記サーバ装置へ専用設定データとして送出する専用設定データ送信手段を含んでもよい。
【0012】
この例では、例えば置き換えの対象となるネットワーク通信装置と同一機種のネットワーク通信装置に対しては、専用設定データを用いた設定を行うことが可能となる。
【0013】
さらに前記サーバ装置に保持された汎用設定データを受け入れる受入手段と、前記受け入れた汎用設定データに基づいて、自己の設定データを生成して前記設定記憶手段に格納する設定復元手段と、を含んでもよい。
【0014】
また前記受入手段は、前記サーバ装置から、当該サーバ装置に保持された汎用設定データを取得した端末装置から、汎用設定データを受け入れてもよい。
【0015】
このようなネットワーク通信装置によれば、予め定められた形式で提供された汎用設定データに基づいて自己の設定データを生成するので、置き換えの対象となるネットワーク通信装置とは機種が異なる場合でも、置き換えの対象となったネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐことが可能となる。
【0016】
さらに前記受入手段は、前記サーバ装置から、当該サーバ装置に保持された汎用設定データ及び専用設定データを取得した端末装置に対し、ネットワーク通信装置自身の機種または機能の少なくとも一方に関する情報を送出し、前記端末装置が当該送出した情報に基づいて選択した専用設定データまたは汎用設定データを受け入れるようにしてもよい。
【0017】
この例では、置き換えの対象となるネットワーク通信装置とは機種が異なる場合でも、置き換えの対象となったネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐことが可能となり、また例えば置き換えの対象となるネットワーク通信装置と同一機種のネットワーク通信装置に対しては、専用設定データを用いた設定を行うことが可能となる。
【0018】
さらに前記受入手段は、前記汎用設定データと、前記サーバ装置に保持された専用設定データとを受け入れ、前記設定復元手段は、前記受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種情報に一致する場合には、当該専用設定データに基づいて自己の設定データを生成して前記設定記憶手段に格納し、前記受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種情報に一致しない場合に、前記受け入れた汎用設定データに基づいて、自己の設定データを生成して前記設定記憶手段に格納することとしてもよい。
【0019】
この例でも、置き換えの対象となるネットワーク通信装置とは機種が異なる場合でも、置き換えの対象となったネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐことが可能となり、また例えば置き換えの対象となるネットワーク通信装置と同一機種のネットワーク通信装置に対しては、専用設定データを用いた設定を行うことが可能となる。
【0020】
また本発明のさらにもう一つの態様は、端末装置であって、設定移行元のネットワーク通信装置における設定データを格納するサーバ装置から、当該設定データを取得する手段と、設定移行先のネットワーク通信装置の機種または機能の少なくとも一方に関する情報を取得する手段と、前記取得した機種または機能の少なくとも一方に関する情報を参照して、設定移行先のネットワーク通信装置に対して送出する汎用設定データを、前記サーバ装置から取得した設定データに基づいて生成する手段と、当該生成した汎用設定データを、設定移行先のネットワーク通信装置に対して送出する送出手段と、を含むこととしたものである。
【0021】
この端末装置によると、置き換えの対象となるネットワーク通信装置とは機種が異なるネットワーク通信装置に対しても、置き換えの対象となったネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐことが可能となる。
【0022】
さらに本発明の別の態様は、プログラムであって、ネットワーク通信装置を、複数種類の設定データを記憶する設定記憶手段と、前記設定記憶手段が記憶する設定データに基づいて、所定の通信回線を介して、予め定められたサーバ装置との間で通信を行う通信手段と、前記設定記憶手段が記憶する複数種類の設定データのうち、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式に変換して、前記サーバ装置へ送出する設定データ変換手段と、として機能させることとしたものである。
【0023】
また本発明のもう一つの態様は、プログラムであって、端末装置を、設定移行元のネットワーク通信装置における設定データを格納するサーバ装置から、当該設定データを取得する手段と、設定移行先のネットワーク通信装置の機種または機能の少なくとも一方に関する情報を取得する手段と、前記取得した機種または機能の少なくとも一方に関する情報を参照して、設定移行先のネットワーク通信装置に対して送出する汎用設定データを、前記サーバ装置から取得した設定データに基づいて生成する手段と、当該生成した汎用設定データを、設定移行先のネットワーク通信装置に対して送出する送出手段と、として機能させることとしたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、置き換えの対象となるネットワーク通信装置とは機種が異なるネットワーク通信装置に対しても、置き換えの対象となったネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの構成例を表すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係るネットワーク通信装置の構成例を表すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係るネットワーク通信装置の制御部の例を表す機能ブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る通信システムの動作例を表す流れ図である。
図5】本発明の実施の形態に係る通信システムの動作例を表すもう一つの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る通信システム1は、図1に例示するように、ユーザの宅内に配される第1のネットワーク通信装置10aと、第2のネットワーク通信装置10bと、端末装置20と、インターネット等の広域ネットワークに接続されるサーバ装置30とを含んで構成される。
【0027】
以下の例では、第1のネットワーク通信装置10aが置き換えの対象となるネットワーク通信装置(既設のネットワーク通信装置)に相当し、第2のネットワーク通信装置10bが新規のネットワーク通信装置に相当する。また端末装置20はスマートフォン等の携帯端末装置でよい。
【0028】
また本実施の形態において、サーバ装置30は、ユーザを認証し、認証したユーザがアップロードした設定データ等を、ユーザの情報等に関連付けて記憶する。またこのサーバ装置30は、認証したユーザからの要求に応じて、当該ユーザの情報等に関連付けて記憶している設定データ等を、ユーザ側の端末装置20やネットワーク通信装置10に対して送出する。以下の例ではユーザの認証情報等は予め設定されているものとする。
【0029】
例えばこのサーバ装置30は、端末装置20からの要求を受けて、ユーザを認証し、当該認証したユーザの情報に関連付けて記憶している設定データを、端末装置20に送出する。この例では、端末装置20が一旦、サーバ装置30から設定データを受け入れて保持し、その後、当該保持している設定データをネットワーク通信装置10へ送出することとなる。
【0030】
第1,第2のネットワーク通信装置10(これらを区別する必要のない場合は符号10で表す)は、例えば無線LAN装置であり、設定が完了すればルータ装置としても機能して、インターネット上のサーバ装置30との間で通信可能に接続される。
【0031】
第1,第2のネットワーク通信装置10は、図2に例示するように、制御部11と、記憶部12と、操作部13と、表示部14と、通信部15とを含んで構成される。
【0032】
ここで制御部11は、CPU等のプログラム制御デバイスであり、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態の一例では、この制御部11は、記憶部12に格納されている設定データを参照してルータとしての機能を実行する。またこの制御部11は、記憶部12に格納されている設定データに基づき、所定の通信回線を介して、予め定められたサーバ装置30との間で通信を行う。本実施の形態では、記憶部12に格納される設定データは、通信部15に設定するSSID(Service Set Identifier)や暗号化キーのほか、プロバイダへのログイン情報や、DNSアドレス等の、いわゆるインターネット設定など、複数の種類の設定データを含む。またこの制御部11は、記憶部12に格納されている複数の種類の設定データのうち、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式に変換して、サーバ装置30へ送出する。また本実施の形態ではこの制御部11は、設定データの入力を受けて、記憶部12に格納する等の処理を実行する。これらの制御部11の動作については後に詳しく述べる。
【0033】
記憶部12は、メモリデバイス等であり、制御部11によって実行されるプログラムを保持する。このプログラムは、コンピュータ可読かつ非一時的な記録媒体に格納されて提供され、あるいはネットワークを介して受信されてこの記憶部12に格納されることとしてよい。また本実施の形態では、この記憶部12は、設定記憶手段として機能し、制御部11によって利用される各種類の設定データを格納する。さらに記憶部12は制御部11のワークメモリとしても動作する。
【0034】
ここで記憶部12に格納されている設定データのデータ形式は、ネットワーク通信装置10の機種によって異なり得るデータ形式(以下、専用設定データ形式と呼ぶ)となっているものとする。
【0035】
操作部13は、ボタン等であり、ユーザによる操作を受けて、当該操作の内容を制御部11に対して出力する。表示部14は、LED等を含み、制御部11から入力される指示に従って指示された態様でLED等を点灯あるいは消灯するなどの制御を行う。
【0036】
通信部15は、本実施の形態の一例では、有線通信部151と、無線通信部152とを含む。この通信部15は、制御部11から入力される指示に従い、有線通信部151を介してインターネット上のサーバ装置30との間で情報の送受を行う。また、この通信部15は、制御部11から入力される指示に従って、無線通信部152を介して端末装置20等との間で無線にて情報の送受を行う。
【0037】
次に制御部11の動作例について説明する。本実施の形態の制御部11は、既に述べたように、設定データを参照してルータとしての機能を実行する。またこの制御部11は、図3に例示するように、機能的に、通信制御部101と、設定データ変換部102とを含む。さらにこの制御部11は、機能的に、設定受入部103と、設定復元部104とを含んでもよい。
【0038】
通信制御部101と設定データ変換部102とは、記憶部12に設定データが格納されているときに動作する。通信制御部101は、当該記憶部12に格納されている設定データに基づいて、所定の通信回線を介して、予め定められたサーバ装置30との間で通信を行う。
【0039】
本実施の形態では、この通信制御部101は、記憶部12に格納されている設定データを参照してユーザの認証に必要な情報を取得し、サーバ装置30に対して当該情報を送出してユーザの認証を要求する。またサーバ装置30において当該ユーザが認証されると、設定データ変換部102から入力される汎用設定データをサーバ装置30に対して送出(アップロード)する。
【0040】
設定データ変換部102は、記憶部12に格納されている複数種類の設定データのうち、少なくとも一部の種類の設定データを、予め定められた汎用設定データの形式に変換して、通信制御部101に出力し、サーバ装置30へ送出させる。
【0041】
具体的にこの設定データ変換部102は、ネットワーク通信装置10が記憶している、専用設定データ形式の設定データを読み出して、そのうち一部の種類の設定データを抽出する。ここで抽出する設定データは、ネットワーク通信装置10の機種に拠らず、ネットワーク通信装置10であれば設定を要する設定データとする。このような設定データの種類としては例えばSSIDや暗号化キー、プロバイダへのログイン情報や、DNSアドレス等の、いわゆるインターネット設定などがある。
【0042】
設定データ変換部102は、抽出した設定データを、予め汎用設定データの形式として定められたデータ形式の設定データに変換する。例えば抽出した設定データが、専用設定データ形式において、設定データ名とデータの内容とを関連付けた組となっており、汎用設定データの形式がXML(eXtensible Markup Language)であれば、この設定データ変換部102は、次のように変換を行う。
【0043】
一例としてプロバイダへのログイン情報であるユーザ名について、専用設定データ形式では、設定データ名が「User」であり、そのデータの内容が「user0000」であるとき、
User:user0000
などと表されているものとする。設定データ変換部102は、この専用設定データ形式のデータについて、汎用設定データ形式のデータにおいて、予めプロバイダへのログイン情報であるユーザ名を表す設定データ名として設定された名称(例えば「LoginUser」とする)に置き換えて、
<name=LoginUser>
user0000
</name>
などといった汎用設定データ形式のデータ(ここではXML形式のデータとしている)に変換する。本実施の形態では、このように、設定データ変換部102が設定データ名などを予め対応する標準の名称として定められた値に置き換える動作も行うものとする。
【0044】
このような変換の動作は、変換の規則を、予め変換規則を表す情報テーブルとして記述するなどして記憶部12に格納しておき、当該変換規則に従って変換を行うことにより行うことができる。
【0045】
設定データ変換部102は、このようにして抽出した各種の設定データをそれぞれ汎用設定データの形式のデータに変換して汎用設定データを生成し、通信制御部101に出力してサーバ装置30へ送出させる。
【0046】
また設定受入部103は、通信部15を介して端末装置20との間でデータを送受し、端末装置20から汎用設定データを受け入れる。さらにこの設定受入部103は、端末装置20から専用設定データの形式のデータ(専用設定データ)を受け入れてもよい。
【0047】
設定復元部104は、端末装置20から受け入れた汎用設定データに基づいて、自身の機種に適合した専用設定データの形式のデータを生成し、記憶部12に設定データとして格納する。この処理は、設定データ変換部102による変換の処理と逆の動作であり、設定データ変換部102と同様に、記憶部12に格納された変換規則を表す情報テーブルを参照しつつ、汎用設定データの形式のデータを専用設定データの形式のデータへ変換する処理となる。
【0048】
一例としてプロバイダへのログイン情報であるユーザ名について、汎用設定データ形式では、設定データ名が「LoginUser」であり、そのデータの内容が「user0000」であって、
<name=LoginUser>
user0000
</name>
というようにXML形式で表されているとき、この設定復元部104は、専用設定データ形式において対応する設定データ名が「User」とすると、設定データ名を変換し、またその形式を予め定められた専用設定データ形式に変換して、例えば
User:user0000
といったデータに変換して、記憶部12に格納する。
【0049】
また本実施の形態の制御部11は、ユーザによる設定データの書き換えを受け入れてもよい。この場合、制御部11は例えばウェブサーバとして機能し、現在設定された値を表示するとともに、ユーザから設定データの入力を受け入れて、受け入れた設定データを記憶部12に格納するウェブページを提供する。このようなユーザによる設定データの書き換えを行わせる方法は、広く知られた方法を採用できるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0050】
[汎用設定データに加えて専用設定データをアップロードする例]
また通信制御部101は、例えば設定データ変換部102から汎用設定データが入力されて、当該汎用設定データをサーバ装置30へ送出する際、あるいはユーザから指定された所定のタイミングで、記憶部12に格納されている複数種類の専用設定データ形式の設定データと、自己の機種(自身を実現する制御部11が属するネットワーク通信装置10の機種)を表す機種情報とを、サーバ装置30に対して、専用設定データとして送出することとしてもよい。この例では、この通信制御部101が、専用設定データ送信手段として動作することとなる。
【0051】
またこの例では、サーバ装置30は、汎用設定データとともに、専用設定データ(対応するネットワーク通信装置10の機種を表す情報を含む)を保持することとなる。
【0052】
このように専用設定データがアップロードされている場合、ネットワーク通信装置10の制御部11は、設定受入部103としての動作において、端末装置20から汎用設定データを受け入れるとともに、専用設定データの形式のデータ(専用設定データ)を受け入れる。
【0053】
そして制御部11は、設定復元部104として動作する際には、受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種(自身を実現する制御部11が属するネットワーク通信装置10の機種)の機種情報に一致するか否かを調べる。
【0054】
ここで受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種情報に一致するならば、設定復元部104は、当該専用設定データに基づいて自己の設定データを生成し、記憶部12に格納する。この場合、設定復元部104は、受け入れた専用設定データに含まれる各種の設定データを、そのまま記憶部12に格納することで、設定データを復元できる。
【0055】
また受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種情報に一致しない場合、設定復元部104は、専用設定データとともに受け入れた汎用設定データに基づいて、自己の設定データを生成して、記憶部12に格納する。この処理は既に述べた処理と同様となる。
【0056】
[動作]
本実施の形態の通信システム1は、例えば以上の構成を備えており、次のように動作する。なお、以下の例において第1のネットワーク通信装置10aは、既存のルータとして動作するための設定データが設定された状態にあるものとする。そして、ユーザは、この第1のネットワーク通信装置10aを、第2のネットワーク通信装置10bで置き換えるため、第1のネットワーク通信装置10aの設定データを、第2のネットワーク通信装置10bへ移し替える作業を行うものとする。
【0057】
さらに以下の例では、説明のため、第1のネットワーク通信装置10aの専用設定データの形式では、プロバイダへのログイン情報であるユーザ名の設定データ名は「User」であり、そのデータの内容が「user0000」となっており、専用設定データとして、
User:user0000
といった形式でその記憶部12に格納されているものとする。
【0058】
またここでは汎用設定データ形式では、プロバイダへのログイン情報であるユーザ名の設定データ名が「LoginUser」であり、そのデータの内容が「user0000」であるとき、
<name=LoginUser>
user0000
</name>
というようにXML形式で表されるものとする。
【0059】
この通信システム1では、図4に例示するように、ユーザの指示等により、既設の第1のネットワーク通信装置10aが、記憶部12に格納されている専用設定データ形式の設定データを読み出す(S11:設定データの読み出し)。ここで読み出される複数の種類の設定データは、例えば通信部15に設定するSSID(Service Set Identifier)や暗号化キーのほか、プロバイダへのログイン情報や、DNSアドレス等の、いわゆるインターネット設定など、ネットワーク通信装置10の機種に拠らず、ネットワーク通信装置10であれば設定を要する設定データを含む。さらにここで読み出される設定データには、ネットワーク通信装置10の機種に依存して、一部の機種に固有な設定データ、例えば2つ以上のSSIDが設定できる場合の、第2のSSIDや当該第2のSSIDに対応する暗号化キーなどの情報等の設定データが含まれてもよい。
【0060】
ネットワーク通信装置10aは、読み出した複数種類の設定データのうち、一部の種類の設定データ、具体的にはネットワーク通信装置10の機種に拠らず、ネットワーク通信装置10であれば設定を要する設定データを抽出する(S12:設定データの抽出)。
【0061】
ネットワーク通信装置10aは、ステップS12で抽出した設定データのそれぞれを、予め定められた汎用設定データの形式の設定データに変換して汎用設定データを生成する(S13)。具体的に上述の例であれば、プロバイダへのログイン情報であるユーザ名について、専用設定データ形式の設定データ:
User:user0000
を、汎用設定データ形式の設定データに次のように変換する。
【0062】
すなわちネットワーク通信装置10aは、この設定データ名を、汎用設定データにおいて対応する設定データ名に置き換えつつ、その形式を汎用設定データ形式として、
<name=LoginUser>
user0000
</name>
といった設定データを得る。
【0063】
ネットワーク通信装置10aは、この例のようにして、ステップS12で抽出した各種の設定データを、それぞれ対応する汎用設定データの形式の設定データに変換して汎用設定データを生成する。そしてネットワーク通信装置10aは、当該生成した汎用設定データを、サーバ装置30へ送出する(S14)。
【0064】
またこのときネットワーク通信装置10aは、自己の機種を表す機種情報とともに、ステップS11で読み出した設定データ(専用設定データ形式の設定データ)を、専用設定データとして、サーバ装置30へ送出する(S15)。ここで機種情報は、同一機種名の機種であってもファームウェア等のソフトウェアのバージョンによっても設定データの内容が異なり得ることを考慮し、機種名のほかにファームウェアのバージョンの情報を含んでもよい。
【0065】
サーバ装置30では、ネットワーク通信装置10a(予めユーザの情報を用いて認証しておくものとする)から汎用設定データと、専用設定データとを受け入れ(ステップS14,S15)、これらを、認証したユーザの情報に関連付けて格納する(S16)。なおサーバ装置30では、格納する設定データを所定の方法で定めた暗号キーで暗号化することとしてもよい。
【0066】
なお、このステップS15におけるサーバ装置30へのデータの送出、またはステップS16でのデータの格納が何らかの原因で失敗する場合は、ステップS15の処理から繰り返して実行してもよい(つまりリトライしてもよい)。この場合、リトライは、前回の失敗の時から所定の時間だけおいてから行うこととしてもよい。
【0067】
次にユーザは、サーバ装置30に保持させた設定データ(汎用設定データまたは専用設定データ)を、第2のネットワーク通信装置10bに設定する。この際、第2のネットワーク通信装置10bは、当初、設定が行われていないため、インターネットを介してサーバ装置30と直接的に通信を行うことはできない。
【0068】
そこで、ここではユーザは、図5に例示するように、第2のネットワーク通信装置10bを操作して、広く知られたWPS(Wi-Fi Protected Setup)などを利用した方法により、端末装置20との間で無線LAN等による通信を設定する(S21)。
【0069】
またユーザは、端末装置20を操作して、サーバ装置30にアクセスし、ユーザの認証を受け、当該認証したユーザの情報に関連付けて記憶している設定データを要求する(S22)。
【0070】
サーバ装置30は、この要求を受けて、認証したユーザの情報に関連付けて記憶している設定データ(図4のステップS16で格納した汎用設定データ及び専用設定データ)を読み出し、要求元の端末装置20に送出する(S23)。端末装置20は、送出された汎用設定データ及び専用設定データを保持する(S24)。
【0071】
さらにユーザは、端末装置20や第2のネットワーク通信装置10bを操作して、端末装置20が保持している汎用設定データ及び専用設定データを第2のネットワーク通信装置10bに送出する(S25)。
【0072】
第2のネットワーク通信装置10bは、端末装置20から汎用設定データを受け入れるとともに、専用設定データを受け入れ(ステップS25)、受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種を表す機種情報に一致するか否かを調べる(S26)。ここで機種情報の比較は、受け入れた専用設定データに含まれる機種名やファームウェアバージョンの情報と、第2のネットワーク通信装置10b自身の機種名やファームウェアのバージョンの情報とを比較することによって行う。なお、機種名等は完全一致である必要はなく、比較用の機種名がいわゆる正規表現を含んで規定されていてもよい。この場合、当該正規表現に、受け入れた専用設定データに含まれる機種名が一致していれば(かつファームウェアバージョンが一致していれば)、受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種を表す機種情報に一致すると判断する。なお、ファームウェアのバージョンについても、メジャーバージョンのみなど、その一部を比較の対象として比較を行ってもよい。
【0073】
第2のネットワーク通信装置10bは、このステップS26での比較により、受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種を表す機種情報に一致すると判断すると(S26:Yes)、当該専用設定データに含まれる各種の設定データを、そのまま記憶部12に格納して(S27)、処理を終了する。
【0074】
また第2のネットワーク通信装置10bは、ステップS26において受け入れた専用設定データに係る機種情報が自己の機種を表す機種情報に一致しないと判断すると(S26:No)、第2のネットワーク通信装置10bは、ステップS25で端末装置20から受け入れた汎用設定データに基づいて、自身の機種に適合した専用設定データの形式のデータを生成する(S28)。
【0075】
例えば第2のネットワーク通信装置10bは、第1のネットワーク通信装置10aとは機種が異なるものであるとし、その専用設定データの形式では、プロバイダへのログイン情報であるユーザ名の設定データ名は「PPP_User」であり、仮にデータの内容が「user0000」であれば、専用設定データとして、
[PPP_User]
user0000
といった形式でその記憶部12に格納されるものとする。
【0076】
この場合、既に例示したように、ステップS25で受け入れる汎用設定データにおいては、一つの種類の設定データとして、プロバイダへのログイン情報であるユーザ名が、
<name=LoginUser>
user0000
</name>
というようにXML形式で表されている。そこでこの第2のネットワーク通信装置10bは、プロバイダへのログイン情報であるユーザ名の設定データ名を自己の専用設定データの形式における対応する設定データ名である「PPP_User」に置き換え、データの形式を変換して、
[PPP_User]
user0000
といった専用設定データを生成する。
【0077】
第2のネットワーク通信装置10bは、ステップS25で端末装置20から受け入れた汎用設定データに含まれる各種の設定データを、上述の例のようにして、対応する専用設定データの設定データに変換し、当該変換して得た設定データを記憶部12に格納して(S29)、処理を終了する。
【0078】
このステップS29により設定データが格納される場合、第2のネットワーク通信装置10bの機種に固有の設定データは格納されないが、インターネット等に接続するための、機種に拠らない設定データの設定は行われることとなる。ユーザは、この後、第2のネットワーク通信装置10bが提供するウェブインタフェース等を介して、他の必要な設定データを設定する。
【0079】
なお、この図5の処理において、サーバ装置30が、格納している設定データを所定の方法で定めた暗号キーで暗号化している場合には、サーバ装置30がステップS23において当該暗号化された設定データを復号してから端末装置20へ送出することとしてもよい。また、これに代えて、サーバ装置30は暗号化された設定データを端末装置20へ送出し、端末装置20にて復号の処理を行ってもよい。さらに復号の処理は、第2のネットワーク通信装置10bにおいて行われてもよい。
【0080】
[実施形態の効果]
このように本実施の形態によると、置き換えの対象となるネットワーク通信装置とは機種が異なるネットワーク通信装置に対しても、置き換えの対象となったネットワーク通信装置の設定情報を受け継ぐことが可能となる。
【0081】
[変形例1: 端末装置がネットワーク通信装置の機種を判断する例]
また、ここでの例では、端末装置20が、サーバ装置30から受け入れた汎用設定データ及び専用設定データを第2のネットワーク通信装置10bに送出していた。そして第2のネットワーク通信装置10bが自己の機種情報を参照して汎用設定データと専用設定データとのいずれかを選択し、選択された汎用設定データまたは専用設定データを用いて得られた設定データを、その記憶部12に格納することとしていた。
【0082】
しかしながら本実施の形態はこの例に限られない。例えば端末装置20が、汎用設定データと専用設定データとをサーバ装置30から取得するとともに、当該設定データの設定先となる第2のネットワーク通信装置10bの機種情報を取得し、当該機種情報に基づいて専用設定データを送出するか、汎用設定データを送出するかを決定して、決定した汎用設定データまたは専用設定データを、第2のネットワーク通信装置10bに対して送出してもよい。
【0083】
この例では、ネットワーク通信装置10は、端末装置20(つまり無線LAN等で通信を行っている端末装置20等)から機種情報の要求を受けて、自己の機種情報(既に述べたように機種名のほか、ファームウェアのバージョン情報等を含んでよい)を、要求元である端末装置20に対して送出する。
【0084】
端末装置20は、少なくとも専用設定データをサーバ装置30から取得すると、通信中のネットワーク通信装置10(設定情報の提供先)である第2のネットワーク通信装置10bに対して機種情報を要求する。第2のネットワーク通信装置10bがこの要求に応じて機種情報を送出すると、端末装置20は、当該機種情報を受信する。
【0085】
そして端末装置20は、サーバ装置30から受け入れた専用設定データに係る機種情報が、第2のネットワーク通信装置10bから受信した機種情報に一致するか否かを調べる。この例でも、機種情報の比較は、受け入れた専用設定データに含まれる機種名やファームウェアバージョンの情報と、第2のネットワーク通信装置10bの機種名やファームウェアのバージョンの情報とを比較することによって行うもので、既に説明した第2のネットワーク通信装置10bにおける比較の方法と同様の処理を行うものであるので、ここでの繰り返しての説明を省略する。
【0086】
端末装置20は、この比較により、受け入れた専用設定データに係る機種情報が第2のネットワーク通信装置10bから受信した機種情報に一致すると判断すると、第2のネットワーク通信装置10bに対して専用設定データを送出する。この場合、第2のネットワーク通信装置10bは、当該送出された専用設定データを受信して、記憶部12に格納することとなる。
【0087】
一方、端末装置20は、上記の比較により、受け入れた専用設定データに係る機種情報が第2のネットワーク通信装置10bから受信した機種情報に一致しないと判断すると、第2のネットワーク通信装置10bに対して汎用設定データを送出する。そしてこの場合第2のネットワーク通信装置10bは、図5のステップS28以下の処理を実行する。
【0088】
なお端末装置20は、専用設定データとともに汎用設定データをサーバ装置30から取得しておき、ここで取得しておいた汎用設定データを送出するようにしてもよいし、ここでの比較の結果、受け入れた専用設定データに係る機種情報が第2のネットワーク通信装置10bから受信した機種情報に一致しないと判断したときに、サーバ装置30に対して、認証したユーザの情報に関連付けられた汎用設定データを要求してもよい。この例では端末装置20は、当該要求に応じて提供された汎用設定データを取得して、第2のネットワーク通信装置10bへ送出することとなる。
【0089】
また本実施の形態の別の例では、端末装置20は、上記の比較により、受け入れた専用設定データに係る機種情報が第2のネットワーク通信装置10bから受信した機種情報に一致しないと判断したときに、さらに次の処理を行ってもよい。
【0090】
すなわち端末装置20は、サーバ装置30から受け入れた専用設定データに含まれる複数の種類の設定データのうちに、第2のネットワーク通信装置10bから受信した機種情報によって特定される第2のネットワーク通信装置10bの機能に適合しない種類の設定データがあるか否かを判断する。この判断は、機能ごとに予め定められた専用設定データの設定名などがあるか否かを比較することによって行うこととしてよい。
【0091】
例えば端末装置20がサーバ装置30から受け入れた専用設定データが、複数のSSID情報を設定可能な機能がある機種が生成したものであり、第2のSSID情報としての設定名「SSID_2」が含まれるとする。このとき、第2のネットワーク通信装置10bの機種情報で特定される、第2のネットワーク通信装置10bの機能として複数のSSID情報を設定できないと判断すると、端末装置20は、ユーザに対して、設定できない項目がある旨を通知して、ユーザの指示を求めることとしてもよい。
【0092】
ここで、ユーザに求める指示としては、設定を無視して(当該設定できない種類の設定データを除いて)専用設定データを第2のネットワーク通信装置10bへ送出するか、あるいは、汎用設定データを第2のネットワーク通信装置10bへ送出するかのいずれかの指示であってもよい。この例では、端末装置20は、ここでユーザから行われた指示に従って処理を続けることとする。
【0093】
あるいは端末装置20は、ユーザに指示を求める代わりに、予め定めた条件(例えば設定不能な設定データの種類の数など)に応じて、設定を無視して(当該設定できない種類の設定データを除いて)専用設定データを第2のネットワーク通信装置10bへ送出するか、あるいは、汎用設定データを第2のネットワーク通信装置10bへ送出するかのいずれかの処理を実行してもよい。
【0094】
[機種情報の他の例]
なお、これまでの例示において機種情報は、機種名や、ファームウェアのバージョンだけでなく、あるいは機種名やファームウェアのバージョンの情報等に代えて、ネットワーク通信装置10の機能を特定する情報(例えば設定可能なSSID数などの情報)であってもよい。
【0095】
[変形例2:端末装置を介さない例]
また、ここまでの説明では、設定データの設定先となるネットワーク通信装置10では、事前に設定データが設定されておらず、従ってインターネットを介してサーバ装置30との間で通信ができないものとしていたが、本実施の形態はこれに限られるものではない。
【0096】
例えば既にされている設定に置き換えて、他の設定データを設定したい場合などにおいて、設定データの設定先となるネットワーク通信装置10がインターネットを介してサーバ装置30との間で通信ができるのであれば、設定データの設定先となるネットワーク通信装置10(上述の例での第2のネットワーク通信装置10b)が、サーバ装置30に対してアクセスし、ユーザの認証を受けた上で、認証されたユーザの情報に関連付けてサーバ装置30が格納している専用設定データまたは汎用設定データの少なくとも一方を取得してもよい。この例では、端末装置20を介さずにネットワーク通信装置10が専用設定データまたは汎用設定データを取得し、図5のステップS26以下の処理を実行する。
【0097】
またこの例でも、設定データの設定先となるネットワーク通信装置10がサーバ装置30に対してアクセスする際に、自己の機種情報を送出し、サーバ装置30が、当該機種情報に基づいて(上述の端末装置20での処理と同様の処理により)、専用設定データを送出するか、汎用設定データを送出するかを決定して、決定した汎用設定データまたは専用設定データを、ネットワーク通信装置10に対して送出してもよい。
【0098】
この例では、汎用設定データまたは専用設定データのいずれかを受け入れた以下のネットワーク通信装置10の動作は、端末装置20から汎用設定データまたは専用設定データのいずれかを受け入れた際と同様であるので、繰り返しての説明は省略する。
【0099】
[変形例3:汎用設定データの生成の他の例]
さらに、上述の例では、汎用設定データを、ネットワーク通信装置10が生成していたが、本実施の形態はこれに限られない。本実施の形態の一例では、汎用設定データの生成は、端末装置20、またはサーバ装置30で行ってもよい。
【0100】
この場合、端末装置20は、サーバ装置30から受け入れた専用設定データに含まれる、設定データの提供元となるネットワーク通信装置10の機種情報を取得する。またサーバ装置30が汎用設定データの生成を行う場合は、設定データを提供するネットワーク通信装置10は、汎用設定データへの変換を行うことなく、記憶部12に格納されている専用データをサーバ装置30へアップロードするとともに、自己の機種情報をサーバ装置30へ送信する。
【0101】
サーバ装置30は、専用設定データを受け入れるとともに、当該専用設定データの提供元であるネットワーク通信装置10から、当該ネットワーク通信装置10の機種情報を取得する。
【0102】
そして汎用設定データの生成を行う端末装置20またはサーバ装置30は、当該取得した機種情報に関連付けて予め設定されている変換規則(既に説明した情報テーブルなど)を参照して、専用設定データを汎用設定データへ変換する。この変換の処理は、ネットワーク通信装置10で行う場合と同様となる。
【0103】
なお、端末装置20において、設定データの設定先となるネットワーク通信装置10の機種情報を取得し、当該機種情報に基づいて専用設定データを送出するか、汎用設定データを送出するかを決定する場合、端末装置20は、汎用設定データを送出すると決定した場合に限って汎用設定データの生成処理を実行してもよい。
【0104】
[サーバが複数の設定データを保持する例]
また本実施の形態のある例では、サーバ装置30は、ネットワーク通信装置10から汎用設定データまたは専用設定データのアップロードを受けるごとに、前回アップロードされた、対応する汎用設定データまたは専用設定データを上書きして格納してもよい。
【0105】
また、サーバ装置30は、ネットワーク通信装置10から汎用設定データまたは専用設定データのアップロードを受けたときに、過去にアップロードされた所定回数分の対応する汎用設定データまたは専用設定データを保持しつつ、新たにアップロードされた汎用設定データまたは専用設定データを格納してもよい。
【0106】
この後者の例のように、過去にアップロードされた複数の汎用設定データまたは専用設定データがある場合には、例えば端末装置20から設定データの要求を受けたときに、サーバ装置30は、複数の汎用設定データまたは専用設定データのリストを要求元である端末装置20等に対して提供してユーザに提示させてもよい。この例では、端末装置20等は、ユーザが上記リストのうちから指定した汎用設定データまたは専用設定データをサーバ装置30に要求し、サーバ装置30は、当該要求された汎用設定データまたは専用設定データを要求元の端末装置20等に送出する。
【0107】
この例によると、複数回分の汎用設定データまたは専用設定データがサーバ装置30に保持されるため、設定を誤った場合などにおいて、過去の設定データへのロールバックを行うことができる。
【0108】
[設定データのアップロードのタイミング]
また、ここまでの説明では、設定データが設定されているネットワーク通信装置10が、設定データをサーバ装置30へアップロードするタイミングは、例えばユーザの指示によるものとしたが、このタイミングは例えば、設定データが変更されたタイミングであってもよい。この場合、ネットワーク通信装置10は、現在の設定データが既にアップロードされたか否かを表す情報を保持し、設定データが更新されたときにこの情報を削除する。そして当該情報がない場合に、設定データをアップロードする処理を実行する。
【符号の説明】
【0109】
1 通信システム、10 ネットワーク通信装置、11 制御部、12 記憶部、13 操作部、14 表示部、15 通信部、20 端末装置、30 サーバ装置、101 通信制御部、102 設定データ変換部、103 設定受入部、104 設定復元部、151 有線通信部、152 無線通信部。
図1
図2
図3
図4
図5