(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031763
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】昇圧接続回路、電力変換システム
(51)【国際特許分類】
G05F 1/67 20060101AFI20230302BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
G05F1/67 A
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137457
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】安藤 隆史
(72)【発明者】
【氏名】石田 真之
(72)【発明者】
【氏名】吉松 昂洋
(72)【発明者】
【氏名】神野 正樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 之広
(72)【発明者】
【氏名】西川 修平
(72)【発明者】
【氏名】森田 聖史
【テーマコード(参考)】
5H420
5H730
【Fターム(参考)】
5H420BB03
5H420BB17
5H420CC03
5H420DD04
5H420EA14
5H420EA39
5H420EA48
5H420EB09
5H420EB26
5H420EB39
5H420FF03
5H420FF04
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5H420KK10
5H730AS04
5H730BB14
5H730BB86
5H730BB98
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD41
5H730FF09
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】後段に接続されている電力変換装置の出力制御に合わせて、適切に出力電力を調整できる昇圧接続回路を実現する。
【解決手段】昇圧回路(11)は、第1の直流電源(PV1)より開放電圧が低い第2の直流電源(PV2)から出力される直流電力の電圧を昇圧できる。合流出力配線(Wb)は、昇圧回路(11)の出力配線(Wb)と、第1の直流電源(PV1)の出力配線(W1)が合流した配線であり、昇圧接続回路(10)から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置(20)に接続される。制御部(12)は、昇圧接続回路(10)または第1の直流電源(PV1)から電力変換装置(20)への出力をもとに、電力変換装置(20)が出力制御中であるか否かを推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の直流電源より開放電圧が低い第2の直流電源から出力される直流電力の電圧を昇圧可能な昇圧回路と、
前記昇圧回路の出力配線と、前記第1の直流電源の出力配線が合流した合流出力配線と、
前記昇圧回路を制御する制御部と、を備え、
前記合流出力配線は、本昇圧接続回路から供給される直流電力を交流電力に変換して電力系統へ出力する電力変換装置に接続され、
前記制御部は、本昇圧接続回路または前記第1の直流電源から前記電力変換装置への出力をもとに、前記電力変換装置が出力制御中であるか否かを推定することを特徴とする昇圧接続回路。
【請求項2】
前記制御部は、本昇圧接続回路の出力電力の推移をもとに、前記電力変換装置が出力制御中であるか否かを推定することを特徴とする請求項1に記載の昇圧接続回路。
【請求項3】
前記昇圧回路の出力配線に流れる電流を検出する第1電流センサと、
前記昇圧回路の出力配線の電圧を検出する第1電圧センサと、
前記合流出力配線に流れる電流を検出する第2電流センサと、
前記合流出力配線の電圧を検出する第2電圧センサと、をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1電流センサで検出された電流と前記第1電圧センサで検出された電圧をもとに前記昇圧回路の出力電力を検出し、前記第2電流センサで検出された電流と前記第2電圧センサで検出された電圧をもとに本昇圧接続回路から前記電力変換装置への出力電力を検出し、
前記電力変換装置が出力制御中であると推定した場合、本昇圧接続回路から前記電力変換装置への出力電力の変化に応じて前記昇圧回路の出力電力が変化するように前記昇圧回路を制御することを特徴とする請求項2に記載の昇圧接続回路。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の直流電源の出力電力の推移をもとに、前記電力変換装置が出力制御中であるか否かを推定することを特徴とする請求項1に記載の昇圧接続回路。
【請求項5】
前記昇圧回路の出力配線に流れる電流を検出する第1電流センサと、
前記昇圧回路の出力配線の電圧を検出する第1電圧センサと、
前記第1の直流電源の出力配線に流れる電流を検出する第2電流センサと、
前記合流出力配線の電圧または前記第1の直流電源の出力配線の電圧を検出する第2電圧センサと、をさらに備え、
前記制御部は、
前記第1電流センサで検出された電流と前記第1電圧センサで検出された電圧をもとに前記昇圧回路の出力電力を検出し、前記第2電流センサで検出された電流と前記第2電圧センサで検出された電圧をもとに前記第1の直流電源の出力電力を検出し、
前記電力変換装置が出力制御中であると推定した場合、前記第1の直流電源の出力電力の変化に応じて前記昇圧回路の出力電力が変化するように前記昇圧回路を制御することを特徴とする請求項4に記載の昇圧接続回路。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の直流電源から電力が出力されていないとき、前記電力変換装置が出力制御中であると判定し、前記昇圧回路を抑制制御することを特徴とする請求項1に記載の昇圧接続回路。
【請求項7】
前記昇圧回路の出力配線の電圧または前記合流出力配線の電圧を検出する第1電圧センサと、
前記第1の直流電源の出力電圧を検出する第2電圧センサと、をさらに備え、
前記制御部は、前記第2電圧センサで検出した電圧が前記第1電圧センサで検出した電圧より低い場合、前記電力変換装置が出力制御中であると判定することを特徴とする請求項6に記載の昇圧接続回路。
【請求項8】
前記昇圧回路の入力配線または出力配線に流れる電流を検出する第1電流センサと、
前記合流出力配線または前記第1の直流電源の出力配線に流れる電流を検出する第2電流センサと、をさらに備え、
前記制御部は、前記第1電流センサで検出された電流と前記第2電流センサで検出された電流をもとに、前記第1の直流電源から電流が流れておらず、前記昇圧回路から電流が流れていると判定できる場合、前記電力変換装置が出力制御中であると判定することを特徴とする請求項6に記載の昇圧接続回路。
【請求項9】
前記制御部は、前記電力変換装置が出力制御中であると判定すると、前記第1電流センサで検出された電流と前記第2電流センサで検出された電流をもとに、前記第1の直流電源の出力電流と前記昇圧回路の出力電流の比率が所定の比率になるように、前記昇圧回路を制御することを特徴とする請求項8に記載の昇圧接続回路。
【請求項10】
前記第1の直流電源および前記第2の直流電源は太陽電池であり、
前記制御部は、前記電力変換装置が出力制御中でないとき、前記昇圧回路をMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の昇圧接続回路。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の昇圧接続回路と、
前記昇圧接続回路から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置と、
を備えることを特徴とする電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、出力電圧が異なる複数の直流電源の出力を統合するための昇圧接続回路、電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーへの注目が集まる中、太陽光発電システムの普及が拡大している。複数の太陽電池ストリングが設置される太陽光発電システムにおいて、パワーコンディショナを使用する場合、パワーコンディショナの前段に、複数の太陽電池ストリングで発電された直流電流を統合するための接続箱が設置されることがある。
【0003】
屋根の形状などにより、複数の太陽電池ストリングのそれぞれを構成する太陽電池モジュールの枚数を統一できない場合がある。その場合、パワーコンディショナの前段に昇圧機能付接続箱が設置される。昇圧機能付接続箱は、太陽電池モジュールの直列数が少ない太陽電池ストリングの電圧を、標準の太陽電池ストリングの電圧まで昇圧して各太陽電池ストリングの直流電流を統合する機能を有する(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-10232号公報
【特許文献2】特開2013-218503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昇圧機能付接続箱の後段のパワーコンディショナが出力制御(出力抑制ともいう)する場合、パワーコンディショナは入力電圧を上昇させることで、パワーコンディショナに入力される電力を抑制する。パワーコンディショナの入力電圧の上昇に伴い、標準の第1太陽電池ストリングからの出力電力が抑制される。一方、昇圧機能付接続箱内の昇圧回路は、第1太陽電池ストリングより直列数が少ない第2太陽電池ストリングからの出力電圧を、パワーコンディショナの入力電圧に合わせて昇圧して、第2太陽電池ストリングの出力電力をパワーコンディショナに押し込もうとする。
【0006】
第1太陽電池ストリングの出力電圧が開放電圧まで上昇した時点で、第1太陽電池ストリングの出力は途絶える。この時点で、パワーコンディショナへの入力電力は、昇圧回路で昇圧された第2太陽電池ストリングの出力電力のみとなる。昇圧回路は、第2太陽電池ストリングから最大電力が出力されるように昇圧動作を継続する。
【0007】
パワーコンディショナは、第2太陽電池ストリングからの入力電力を抑制するために、入力電圧をさらに上昇させる。パワーコンディショナの入力電圧の上昇にともない、昇圧回路の出力電圧がリミッタ値まで上昇すると昇圧回路が停止し、パワーコンディショナの入力電力が途絶え、パワーコンディショナも停止する。
【0008】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、後段に接続されている電力変換装置の出力制御に合わせて、適切に出力電力を調整できる昇圧接続回路、電力変換システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の昇圧接続回路は、第1の直流電源より開放電圧が低い第2の直流電源から出力される直流電力の電圧を昇圧可能な昇圧回路と、前記昇圧回路の出力配線と、前記第1の直流電源の出力配線が合流した合流出力配線と、前記昇圧回路を制御する制御部と、を備える。前記合流出力配線は、本昇圧接続回路から供給される直流電力を交流電力に変換して電力系統へ出力する電力変換装置に接続され、前記制御部は、本昇圧接続回路または前記第1の直流電源から前記電力変換装置への出力をもとに、前記電力変換装置が出力制御中であるか否かを推定する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、後段に接続されている電力変換装置の出力制御に合わせて、適切に出力電力を調整できる昇圧接続回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
【
図3】太陽電池モジュールの電力-電圧特性(P-V曲線)を示す図である。
【
図4】電力変換装置の出力制御時の出力電力の推移例を示す図である。
【
図5】電力変換装置の出力制御時の昇圧接続箱の出力電力の推移例を示す図である。
【
図6】実施例1に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
【
図7】実施例1に係る太陽光発電システムにおける、電力変換装置の出力制御時の、昇圧接続箱内の電圧と電力の推移例を示す図である。
【
図8】実施例1の変形例に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
【
図9】実施例2に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
【
図10】実施例2に係る太陽光発電システムにおける、電力変換装置の出力制御時の、昇圧接続箱内の電流と電力の推移例を示す図である。
【
図11】実施例2の変形例に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
【
図12】実施例3に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
【
図13】実施例3の変形例に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
【
図14】実施例4に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、実施の形態に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
図1に示す太陽光発電システムは、複数の太陽電池ストリングPV1、PV2と電力変換システム1を備える。電力変換システム1は、昇圧機能付接続箱(以下適宜、昇圧接続箱または単に昇圧機と呼ぶ)10と電力変換装置20を備える。
【0013】
第1太陽電池ストリングPV1は、直列接続された複数の太陽電池モジュール(太陽光パネル)を含む。第2太陽電池ストリングPV2は、第1太陽電池ストリングPV1より直列数が少ない太陽電池モジュールを含む。例えば、第1太陽電池ストリングPV1は5枚の太陽電池モジュールを含み、第2太陽電池ストリングPV2は3枚の太陽電池モジュールを含んでいてもよい。
【0014】
各太陽電池モジュールは、直列接続された複数の太陽電池セルを含む。太陽電池セルは、光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接、直流電力に変換することができる。太陽電池セルとして、ヘテロ接合太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、単結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、化合物系太陽電池などを使用することができる。
【0015】
昇圧接続箱10は、昇圧回路11、制御部12、操作部13、第1入力端子IN1、第2入力端子IN2、第1開閉器RY1、第2開閉器RY2、逆流防止ダイオードD1、出力端子OUT、入力電圧センサV1、入力電流センサA1、出力電圧センサV2および出力電流センサA2を含む。
【0016】
第2太陽電池ストリングPV2は第1太陽電池ストリングPV1より直列数が少ないため、第1太陽電池ストリングPV1より開放電圧が低い。第1太陽電池ストリングPV1は第1入力端子IN1に接続され、第1入力端子IN1に入力された電力が、出力配線W1に供給される。出力配線W1には、第1開閉器RY1と逆流防止ダイオードD1が接続される。第2太陽電池ストリングPV2は第2入力端子IN2に接続され、第2入力端子IN2に入力された電力が、第2開閉器RY2を介して出力配線W2に供給され、さらに昇圧回路11に接続される。
【0017】
第1太陽電池ストリングPV1の出力配線W1と、昇圧回路11の出力配線Wbは端子台(不図示)で合流され、端子台と電力変換装置20の入力端子との間が合流出力配線Wmで接続される。以下、本明細書では第1太陽電池ストリングPV1と端子台との間の回路を標準回路系、第2太陽電池ストリングPV2と端子台との間の回路を昇圧回路系と呼ぶ。
【0018】
昇圧回路11は、第2太陽電池ストリングPV2から出力される直流電力の電圧を昇圧可能なDC/DCコンバータである。昇圧回路11は、第2太陽電池ストリングPV2の出力電圧を標準回路系の電圧まで昇圧させることにより、第1太陽電池ストリングPV1の出力電力と第2太陽電池ストリングPV2の出力電力を統合して、出力端子OUTを介して電力変換装置20に供給することができる。
【0019】
入力電圧センサV1は、第2太陽電池ストリングPV2の出力配線W2の電圧を検出して制御部12に出力する。入力電流センサA1は、第2太陽電池ストリングPV2の出力配線W2に流れる電流を検出して制御部12に出力する。合流配線電圧センサV5は、合流出力配線Wmの電圧を検出して制御部12に出力する。
【0020】
入力電圧センサV1、合流配線電圧センサV5は例えば、分圧抵抗と差動増幅器を含んで構成される。入力電流センサA1は例えば、CTセンサやホールセンサを含んで構成される。
【0021】
制御部12は、各センサから入力される電圧、電流をもとに昇圧回路11の昇圧動作を制御して、入力電圧センサV1で検出される電圧および入力電流センサA1で検出される電流を制御することで、第2太陽電池ストリングPV2の発電電力を最適化することができる(詳細は後述する)。
【0022】
制御部12は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ素子、マイクロコントローラ、DSP、ROM、RAM、ASIC、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源として、ファームウェアなどのプログラムを利用できる。
【0023】
図2は、昇圧回路11の回路構成例を示す図である。
図2に示す昇圧回路11は、入力コンデンサC1、リアクトルL1、ダイオードD2、スイッチング素子S1および出力コンデンサC2を含む昇圧チョッパである。
【0024】
第2太陽電池ストリングPV2の出力配線W2のプラス配線とマイナス配線間に、入力電圧センサV1と平滑用の入力コンデンサC1が接続される。第2太陽電池ストリングPV2の出力配線W2のプラス配線にリアクトルL1が挿入される。第2太陽電池ストリングPV2の出力配線W2のマイナス配線上に入力電流センサA1が設置される。なお、プラス配線上に設置されてもよい。
【0025】
昇圧回路11の出力配線Wbのプラス配線とマイナス配線間に、スイッチング素子S1と平滑用の出力コンデンサC2が接続される。昇圧回路11のスイッチング素子S1と出力コンデンサC2間のプラス配線にダイオードD2が直列に接続される。スイッチング素子S1とダイオードD2間のノードにリアクトルL1が接続される。ダイオードD2は、昇圧回路11の出力側からの電流の逆流を防止する。
【0026】
スイッチング素子S1には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を使用することができる。リアクトルL1は、スイッチング素子S1のオン/オフに応じて、第2太陽電池ストリングPV2からの出力電流に基づくエネルギーの蓄積および放出を行う。
【0027】
制御部12は、スイッチング素子S1のオン/オフの比率(デューティ比)を制御することにより、昇圧比を制御することができる。制御部12は第2太陽電池ストリングPV2の出力電力(発電電力)が最大になるように昇圧回路11をMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御することができる。
【0028】
図3は、太陽電池モジュールの電力-電圧特性(P-V曲線)を示す図である。太陽電池モジュールの開放電圧Vocと、最大出力電力Pmaxで動作する最大出力動作電圧Vpmとの間の電圧範囲では、動作電圧Vを低下させるほど出力電力Pが増加する。最大出力動作電圧Vpmより下側の電圧範囲では、動作電圧Vを低下させるほど出力電力Pが低下する。MPPT制御では、最大出力電力Pmaxが維持されるように動作電圧Vが制御される。
【0029】
制御部12は、入力電圧センサV1で検出された第2太陽電池ストリングPV2の出力電圧と、入力電流センサA1で検出された第2太陽電池ストリングPV2の出力電流をもとに、第2太陽電池ストリングPV2の出力電力を検出する。制御部12は、第2太陽電池ストリングPV2の出力電圧と出力電力の関係をもとに、第2太陽電池ストリングPV2の出力電力を最大にするための電圧指令値を生成する。
【0030】
制御部12は例えば、山登り法にしたがい動作電圧Vを所定のステップ幅で変化させて最大出力電力Pmaxの動作点を探索する。例えば、
図3の最大出力電力Pmaxの動作点の左側では、現在の動作電圧Vを右側にシフトさせるための電圧指令値を生成し、最大出力電力Pmaxの動作点の右側では、現在の動作電圧Vを左側にシフトさせるための電圧指令値を生成する。制御部12は、最大出力電力Pmaxの動作点を捉えると最大出力電力Pmaxの動作点を維持するように電圧指令値を生成する。昇圧回路11のスイッチング素子S1は、生成された電圧指令値に基づく駆動信号に応じてスイッチング動作する。
【0031】
図1に戻る。電力変換装置20は、太陽光発電システムにおいて直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナである。電力変換装置20は、DC/DCコンバータ21、インバータ22および制御部23を備える。
【0032】
DC/DCコンバータ21は、昇圧接続箱10により統合された直流電力の電圧を調整可能なコンバータである。DC/DCコンバータ21には例えば、
図2に示したような昇圧チョッパを使用することができ、このDC/DCコンバータ21はインバータ22に接続される。
【0033】
インバータ22は、DC/DCコンバータ21から供給される直流電力を交流電力に変換して、変換した交流電力を、分電盤(不図示)を介して商用電力系統(以下、系統と呼ぶ)2に出力することができる。なお、分電盤には宅内の負荷(不図示)が接続されており、インバータ22は変換した交流電力を、分電盤を介して負荷にも供給することができる。
【0034】
制御部23は電力変換装置20全体を統括的に制御する。制御部23は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ素子、マイクロコントローラ、DSP、ROM、RAM、ASIC、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源として、ファームウェアなどのプログラムを利用できる。
【0035】
制御部23は、DC/DCコンバータ21の入力電圧が目標値より低い場合にインバータ22の入力電圧が目標値となるように昇圧するとともに、第1太陽電池ストリングPV1と第2太陽電池ストリングPV2の統合された入力電力が最大になるようDC/DCコンバータ21をMPPT制御する。制御部23は、DC/DCコンバータ21とインバータ22間の電圧が目標値を維持するようにインバータ22を制御する。具体的には制御部23は、インバータ22の入力電圧を目標値に一致させるための電流指令値を生成する。制御部23は、インバータ22の入力電圧が目標値より高い場合はインバータ22の出力電力を増加させるための電流指令値を生成し、インバータ22の入力電圧が目標値より低い場合はインバータ22の出力電力を低下させるための電流指令値を生成する。インバータ22は、生成された電流指令値に基づく駆動信号に応じてスイッチング動作する。
【0036】
日本では、2015年1月の再生エネルギー特別措置法の改正により、一定量を超えて系統連系する再生可能エネルギー発電設備には、電力会社からの出力制御の要請に無制限・無補償で応じる義務があることが規定された。再生エネルギーの固定価格買取制度の拡大に伴い、系統連系される再生可能エネルギー発電設備が増えており、系統2の需給バランスが従来より崩れやすくなっている。系統2への電力供給が電力需要を上回ると、系統2の電圧・周波数が上昇し、系統2への電力供給が電力需要を下回ると、系統2の電圧・周波数が低下する。送配電事業者は、系統2の電圧・周波数を所定の範囲に収めるために、出力制御を利用することができる。
【0037】
送配電事業者の管理サーバ(不図示)は、天気予報、負荷予測などをもとに系統2の電力需給を予測し、出力制御が必要か否かを判定する。出力制御が必要な場合、送配電事業者の管理サーバは、出力制御のスケジュールと出力上限値を決定する。スケジュールは例えば、30分単位で規定される。出力上限値は例えば、発電設備の定格出力電力に対する割合[%]で規定され、1%単位で指定される。電力変換装置20は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して送配電事業者の管理サーバから出力制御指令を受信する。
【0038】
電力変換装置20の制御部23は、出力制御指令の対象時間帯の開始時刻になると、DC/DCコンバータ21の出力電力を所定の出力変化速度(傾きSs)で低下させる。出力変化速度は、単位時間あたりの抑制量[W/s]で規定され、例えば、1分あたり定格出力の10~20%で低下する速度に設定される。
【0039】
また制御部23は、出力制御指令の対象時間帯の終了時刻になると、DC/DCコンバータ21の出力電力を、所定の出力変化速度(傾きSe)で上昇させる。出力変化速度は、単位時間あたりの抑制解除量[W/s]で規定され、例えば、1分あたり定格出力の10~20%で上昇する速度に設定される。
【0040】
図4は、電力変換装置20の出力制御時の出力電力の推移例を示す図である。
図4に示す例では、入力電力が5.5[kW]であって定格出力=5.5[kW]の電力変換装置20が、出力上限値=50%の出力制御指令を受けた例を示している。
【0041】
出力制御指令の対象時間帯の開始時刻になると、制御部23は、DC/DCコンバータ21のMPPT制御を停止し、所定の出力変化速度(傾きSs)でDC/DCコンバータ21の出力電力が2.75[kW]まで低下するようにDC/DCコンバータ21をデューティ制御する。DC/DCコンバータ21の入力電力に対してDC/DCコンバータ21の出力電力が低下するため、DC/DCコンバータ21の入力電圧が上昇する。これにより、標準回路系の第1太陽電池ストリングPV1の出力電圧が、最大出力動作電圧Vpmから右側にシフトされ、第1太陽電池ストリングPV1の出力電力が低下する(
図3参照)。昇圧回路系の第2太陽電池ストリングPV2の出力電力の挙動については後述する。
【0042】
出力制御指令の対象時間帯の終了時刻になると、制御部23は、所定の出力変化速度(傾きSe)でDC/DCコンバータ21の出力電力が5.5[kW]まで上昇するようにDC/DCコンバータ21をデューティ制御する。DC/DCコンバータ21の入力電力に対してDC/DCコンバータ21の出力電力が上昇するため、DC/DCコンバータ21の入力電圧が低下する。これにより、標準回路系の第1太陽電池ストリングPV1の出力電圧が、最大出力動作電圧Vpmに向かって左側にシフトされ、第1太陽電池ストリングPV1の出力電力が上昇する(
図3参照)。DC/DCコンバータ21の出力電力が目標値の5.5[kW]に到達すると、制御部23は、DC/DCコンバータ21のMPPT制御を再開する。
【0043】
なお
図4には、DC/DCコンバータ21の出力電力を線形に変化させるための電力指令値が生成される例が示されているが、DC/DCコンバータ21の出力電力がステップ状に変化させるための電力指令値が生成されてもよい。
【0044】
図5は、電力変換装置20の出力制御時の昇圧接続箱10の出力電力の推移例を示す図である。標準回路系の第1太陽電池ストリングPV1より昇圧回路系の第2太陽電池ストリングPV2のほうが太陽電池モジュールの直列数が少ないため、定常時には、標準回路系の第1太陽電池ストリングPV1の出力電力のほうが大きくなる。
【0045】
電力変換装置20で出力制御が開始されると、電力変換装置20の入力電圧(≒第1太陽電池ストリングPV1の出力電圧)が上昇し、第1太陽電池ストリングPV1の出力電力が低下する。電力変換装置20の入力電圧が上昇すると、昇圧接続箱10の制御部12は昇圧回路11をMPPT制御しているため、電力変換装置20に電流を流し続けるために、昇圧回路11の出力電圧を電力変換装置20の入力電圧より高く維持しようと昇圧回路11の昇圧比を上昇させる。制御部12は、電流が流れた状態で昇圧回路11から電力変換装置20に最大電力が出力されるように昇圧回路11をMPPT制御するため、第2太陽電池ストリングPV2から電力変換装置20への出力電力は低下せずに維持される。昇圧回路11の出力電圧の上昇に対応して、電力変換装置20へ流れる出力電流が低下していく。
【0046】
電力変換装置20の入力電圧が上昇し、第1太陽電池ストリングPV1の開放電圧Vocに到達すると、第1太陽電池ストリングPV1の出力が停止する。電力変換装置20の入力電圧の上昇にともない昇圧回路11の出力電圧がリミッタ値まで上昇すると、昇圧回路11が過電圧停止し、第2太陽電池ストリングPV2から電力変換装置20への出力も停止する。これにより、電力変換装置20への入力が途絶え、電力変換装置20も一旦停止する。その後、電力変換装置20は動作を再開し、第1太陽電池ストリングPV1から電力変換装置20への出力が再開する。昇圧回路11は、電力変換装置20の動作再開に対して遅れて動作を再開する。
【0047】
電力変換装置20の入力電圧が上昇し、第1太陽電池ストリングPV1の開放電圧Vocに到達すると、第1太陽電池ストリングPV1の出力が再度停止する。昇圧回路11の出力電圧がMPPT制御によりリミッタ値まで上昇すると、昇圧回路11が過電圧停止し、第2太陽電池ストリングPV2から電力変換装置20への出力も再度停止し、電力変換装置20も再度停止する。以上のプロセスが繰り返されると、電力変換装置20からの出力電力が安定しない状態が発生し、所定回数(例えば、8回)停止すると、電力変換装置20の電源のリセットが必要になる場合がある。
【0048】
本実施の形態では、昇圧接続箱10が電力変換装置20が出力制御中であるか否かを推定する機能を搭載することにより、電力変換装置20の出力制御中の昇圧接続箱10の出力電力を適切に制御する。
【0049】
図6は、実施例1に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。実施例1に係る太陽光発電システムは、電力変換装置20が出力制御中であるか否かを電圧から推定する電圧方式のシステムである。
図6に示す実施例1に係る太陽光発電システムは、
図1に示した実施の形態に係る太陽光発電システムの基本構成に、標準回路電圧センサV3が追加された構成である。標準回路電圧センサV3は、第1太陽電池ストリングPV1の出力配線W1の電圧を検出して制御部12に出力する。標準回路電圧センサV3は、第1太陽電池ストリングPV1の出力配線W1の逆流防止ダイオードD1より第1太陽電池ストリングPV1側に接続される。
【0050】
制御部12は、標準回路電圧センサV3で検出された電圧(以下、標準回路入力電圧という)が、合流配線電圧センサV5で検出された電圧(以下、昇圧接続箱10の出力電圧という)より低い場合、第1太陽電池ストリングPV1から電力変換装置20への出力が停止していると推定できるため、電力変換装置20が出力制御中であると判定する。制御部12は、電力変換装置20が出力制御中であると判定すると、昇圧回路11のMPPT制御を停止させ、昇圧回路11の抑制制御を開始する。
【0051】
制御部12は、昇圧接続箱10の出力電圧が、標準回路入力電圧(第1太陽電池ストリングPV1の出力停止時はVocに制御されている)と一致するように、または標準回路入力電圧より所定値低い電圧(Voc-α)まで低下するように昇圧回路11を制御する。具体的には、制御部12は、昇圧回路11の動作電圧を上昇させて、昇圧回路11の出力電力・出力電圧を低下させる。
【0052】
制御部12は、標準回路入力電圧が、昇圧回路11の抑制開始時の電圧より所定値低下した場合(例えば、抑制開始時の電圧×95%の値まで低下した場合)、電力変換装置20の出力制御が解除されたと判定し、昇圧回路11のMPPT制御を再開させる。
【0053】
図7は、実施例1に係る太陽光発電システムにおける、電力変換装置20の出力制御時の、昇圧接続箱10内の電圧と電力の推移例を示す図である。
図7に示す例は、昇圧接続箱10の最大出力電力が5.5[kW]、標準回路の最大出力電力が3.5[kW]、昇圧回路11の最大出力電力が2.0[kW]であり、電力変換装置20が1.5[kW]の出力制御指令を受けた例を示している。
【0054】
時刻t0において、電力変換装置20と昇圧接続箱10が運転を開始する。電力変換装置20の制御部23がDC/DCコンバータ21をMPPT制御することにより、標準回路の出力電力が増加する。これに伴い標準回路入力電圧が低下する。昇圧接続箱10の制御部12が昇圧回路11をMPPT制御することにより、昇圧回路11の出力電力が増加する。通常運転時は、標準回路入力電圧と昇圧接続箱10の出力電圧は、一致した状態で推移する。
【0055】
時刻t1において、標準回路入力電圧が第1太陽電池ストリングPV1の最大出力動作電圧Vpmまで低下すると、標準回路入力電力(第1太陽電池ストリングPV1の出力電力)が最大となる。入力電圧センサV1で検出される昇圧回路11の入力電圧(以下、昇圧回路入力電圧という)が第2太陽電池ストリングPV2の最大出力動作電圧Vpmまで低下すると、昇圧回路入力電力(第2太陽電池ストリングPV2の出力電力)が最大となる。このとき、昇圧接続箱10の出力電力が最大となる。
【0056】
時刻t2において、電力変換装置20が出力制御指令を受けると、制御部23は、DC/DCコンバータ21のMPPT制御を停止させ、DC/DCコンバータ21の抑制制御を開始する。制御部23は、DC/DCコンバータ21の動作電圧を上昇させて、電力変換装置20の入力電力を、目標値(1.5[kW])に向けて低下させる。この時点では、昇圧接続箱10は電力変換装置20が出力制御中であることを認識していないため、昇圧回路11の出力電力は、最大出力電力(2.0[kW])を維持する。電力変換装置20の抑制制御により、標準回路入力電圧と昇圧接続箱10の出力電圧は上昇する。
【0057】
時刻t3において、標準回路入力電圧が第1太陽電池ストリングPV1の開放電圧Vocに到達し、標準回路入力電力(第1太陽電池ストリングPV1の出力電力)がゼロになり、電力変換装置20の入力電力が2.0[kW](=昇圧回路11の最大出力電力)になる。電力変換装置20は、入力電力を目標値(1.5[kW])まで低下させる必要があるので、DC/DCコンバータ21の動作電圧をさらに上昇させる。これに追従して、昇圧接続箱10の制御部12は昇圧回路11の昇圧比を上げて、昇圧回路11の出力電圧を上昇させようと制御する。
【0058】
標準回路入力電圧は第1太陽電池ストリングPV1の開放電圧Voc以上には上昇しないため、昇圧回路11の出力電圧のほうが標準回路入力電圧より高くなる。標準回路入力電圧より昇圧回路11の出力電圧が高くなると、昇圧接続箱10の制御部12は、電力変換装置20が出力制御中であると判定する。制御部12は、電力変換装置20が出力制御中であると判定すると、昇圧回路11のMPPT制御を停止させ、昇圧回路11の抑制制御を開始する。
【0059】
制御部12は、昇圧接続箱10の出力電圧が標準回路入力電圧より所定値低い電圧(Voc-α)まで低下するように昇圧回路11を制御する。具体的には、制御部12は、昇圧回路11の動作電圧を上昇させて、昇圧回路11の出力電力・出力電圧を低下させる。昇圧接続箱10の出力電圧を標準回路入力電圧より低下させれば、第1太陽電池ストリングPV1から、より確実に電流を引き出すことができる。
【0060】
時刻t4において、電力変換装置20の入力電力が目標値の1.5[kW]に到達すると、DC/DCコンバータ21の動作電圧の上昇が停止し、昇圧接続箱10の出力電力が一定になる。昇圧回路11の出力電力の低下に伴い、標準回路入力電力(第1太陽電池ストリングPV1の出力電力)がゼロから増加する。時刻t5以降において、第1太陽電池ストリングPV1の出力電力と昇圧回路11の出力電力が一定の比率で推移する。
【0061】
図8は、実施例1の変形例に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
図8に示す実施例1の変形例に係る太陽光発電システムでは、
図6に示した実施例1に係る太陽光発電システムの合流配線電圧センサV5の代わりに、昇圧回路出力電圧センサV2を用いる。昇圧回路出力電圧センサV2は、昇圧回路11の出力配線Wbの電圧を検出して制御部12に出力する。
【0062】
制御部12は、標準回路電圧センサV3で検出された電圧が、昇圧回路出力電圧センサV2で検出された電圧より低い場合、第1太陽電池ストリングPV1から電力変換装置20への出力が停止していると推定できるため、電力変換装置20が出力制御中であると判定する。出力制御中であると判定した後の制御は、上述した電圧方式の制御方法と同様である。
【0063】
図9は、実施例2に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。実施例2に係る太陽光発電システムは、電力変換装置20が出力制御中であるか否かを電流から推定する電流方式のシステムである。
図9に示す実施例2に係る太陽光発電システムは、
図1に示した実施の形態に係る太陽光発電システムの基本構成に、標準回路電流センサA3が追加された構成である。標準回路電流センサA3は、第1太陽電池ストリングPV1の出力配線W1に流れる電流を検出して制御部12に出力する。標準回路電流センサA3は、第1太陽電池ストリングPV1の出力配線W1の逆流防止ダイオードD1より合流出力配線Wm側に接続される。
【0064】
制御部12は、標準回路電流センサA3で検出された電流(以下、標準回路電流という)がゼロで、かつ入力電流センサA1で検出された電流(以下、昇圧回路入力電流という)が正の値(ゼロより大きい)の場合、電力変換装置20が出力制御中であると判定する。制御部12は、電力変換装置20が出力制御中であると判定すると、昇圧回路11のMPPT制御を停止させ、昇圧回路11の抑制制御を開始する。
【0065】
なお、制御部12は、標準回路電流がゼロで、かつ昇圧回路入力電流もゼロの場合、電力変換装置20が停止していると判定し、昇圧回路11の動作を停止させる。
【0066】
制御部12は、標準回路電流と昇圧回路入力電流の比率が所定の比率になるまで、昇圧回路11の動作電圧を上昇させて、昇圧回路11の出力電力・出力電流を低下させる。
【0067】
制御部12は、標準回路電流が予め設定された期間、連続的に上昇した場合、電力変換装置20の出力制御が解除されたと判定し、昇圧回路11のMPPT制御を再開させる。
【0068】
図10は、実施例2に係る太陽光発電システムにおける、電力変換装置20の出力制御時の、昇圧接続箱10内の電流と電力の推移例を示す図である。
図10に示す例は、昇圧接続箱10の最大出力電力が5.5[kW]、標準回路の最大出力電力が3.5[kW]、昇圧回路11の最大出力電力が2.0[kW]であり、電力変換装置20が1.5[kW]の出力制御指令を受けた例を示している。
【0069】
時刻t0において、電力変換装置20と昇圧接続箱10が運転を開始する。電力変換装置20の制御部23がDC/DCコンバータ21をMPPT制御することにより、標準回路の出力電力が増加する。これに伴い標準回路入力電圧が低下する。昇圧接続箱10の制御部12が昇圧回路11をMPPT制御することにより、昇圧回路の出力電力が増加する。通常運転時は、標準回路入力電圧と昇圧接続箱10の出力電圧は、一致した状態で推移し、標準回路電流と昇圧回路入力電流はいずれも正の値を維持する。
【0070】
時刻t1において、標準回路入力電圧が第1太陽電池ストリングPV1の最大出力動作電圧Vpmまで低下すると、標準回路電流が第1太陽電池ストリングPV1の最大出力動作電流Ipmとなり、標準回路入力電力(第1太陽電池ストリングPV1の出力電力)が最大となる。昇圧回路入力電圧が第2太陽電池ストリングPV2の最大出力動作電圧Vpmまで低下すると、昇圧回路入力電流が第2太陽電池ストリングPV2の最大出力動作電流Ipmとなり、昇圧回路入力電力(第2太陽電池ストリングPV2の出力電力)が最大となる。このとき、昇圧接続箱10の出力電力が最大となる。
【0071】
時刻t2において、電力変換装置20が出力制御指令を受けると、制御部23は、DC/DCコンバータ21のMPPT制御を停止させ、DC/DCコンバータ21の抑制制御を開始する。制御部23は、DC/DCコンバータ21の動作電圧を上昇させて、電力変換装置20の入力電力を、目標値(1.5[kW])に向けて低下させる。これにより、標準回路電流が低下する。この時点では、昇圧接続箱10は電力変換装置20が出力制御中であることを認識していないため、昇圧回路11の出力電力は、最大出力電力(2.0[kW])を維持する。電力変換装置20の抑制制御により、標準回路入力電圧と昇圧接続箱10の出力電圧は上昇する。
【0072】
時刻t3において、標準回路入力電圧が第1太陽電池ストリングPV1の開放電圧Vocに到達し、標準回路電流がゼロになり、電力変換装置20の入力電力が2.0[kW](=昇圧回路11の最大出力電力)になる。このとき、昇圧回路11は最大出力電力(2.0[kW])を維持しており、最大出力電力に応じた電流が昇圧回路11から電力変換装置20に流れている。標準回路電流がゼロになった時において昇圧回路11から電力変換装置20に電流が流れている場合、昇圧接続箱10の制御部12は、電力変換装置20が出力制御中であると判定する。制御部12は、電力変換装置20が出力制御中であると判定すると、昇圧回路11のMPPT制御を停止させ、昇圧回路11の抑制制御を開始する。
【0073】
制御部12は、標準回路電流と昇圧回路入力電流の比率が所定の比率(
図10では、1:1)になるまで、昇圧回路11の動作電圧を上昇させて、昇圧回路11の出力電力・出力電流を低下させる。なお、所定の比率は1:1に限るものではなく、4:1、標準回路系と昇圧回路系の太陽光モジュールの枚数比などに設定されてもよい。
【0074】
時刻t4において、電力変換装置20の入力電力が目標値の1.5[kW]に到達すると、DC/DCコンバータ21の動作電圧の上昇が停止し、昇圧接続箱10の出力電力が一定になる。時刻t4以降、第1太陽電池ストリングPV1の出力電力と昇圧回路11の出力電力が一定の比率(
図10では、1:1)で推移する。
【0075】
図11は、実施例2の変形例に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
図11に示す実施例2の変形例に係る太陽光発電システムでは、
図1に示した実施の形態に係る太陽光発電システムの基本構成に、昇圧回路出力電流センサA2、合流配線電流センサA5が追加された構成である。昇圧回路出力電流センサA2は、昇圧回路11の出力配線Wbに流れる電流を検出して制御部12に出力する。合流配線電流センサA5は合流出力配線Wmに流れる電流を検出して制御部12に出力する。
【0076】
変形例では、合流配線電流センサA5で検出される電流から昇圧回路出力電流センサA2で検出される電流(昇圧回路出力電流という)を減算することにより、標準回路電流を算出することができる。制御部12は、標準回路電流がゼロで、かつ昇圧回路入力電流または昇圧回路出力電流が正の値(ゼロより大きい)の場合、電力変換装置20が出力制御中であると判定する。出力制御中であると判定した後の制御は、上述した電流方式の制御方法と同様である。なお、昇圧系の電流として、昇圧回路入力電流を使用してもよいし、昇圧回路出力電流を使用してもよい。
【0077】
図12は、実施例3に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。実施例3に係る太陽光発電システムは、電力変換装置20が出力制御中であるか否かを電力から推定する電力方式のシステムである。
図12に示す実施例3に係る太陽光発電システムは、
図1に示した実施の形態に係る太陽光発電システムの基本構成に、昇圧回路出力電圧センサV2、昇圧回路出力電流センサA2および合流配線電流センサA5が追加された構成である。昇圧回路出力電圧センサV2は、昇圧回路11の出力配線Wbの電圧を検出して制御部12に出力する。昇圧回路出力電流センサA2は、昇圧回路11の出力配線Wbに流れる電流を検出して制御部12に出力する。合流配線電流センサA5は、合流出力配線Wmに流れる電流を検出して制御部12に出力する。
【0078】
制御部12は、昇圧回路出力電圧センサV2で検出された電圧と昇圧回路出力電流センサA2で検出された電流をもとに昇圧回路11の出力電力を検出する。制御部12は、合流配線電圧センサV5で検出された電圧と合流配線電流センサA5で検出された電流をもとに昇圧接続箱10の出力電力を検出する。
【0079】
制御部12は、昇圧接続箱10の出力電力の推移をもとに電力変換装置20が出力制御中であるか否かを推定する。制御部12は例えば、所定期間(例えば、3~5分)における昇圧接続箱10の出力電力が略一定の速度で低下した場合、電力変換装置20が出力制御を開始したと判定する。反対に、制御部12は所定期間(例えば、3~5分)における昇圧接続箱10の出力電力が略一定の速度で上昇した場合、電力変換装置20が出力制御を解除したと判定する。なお制御部12は、昇圧接続箱10の出力電力が線形に上昇あるいは低下している場合に限らず、ステップ状に上昇あるいは低下している場合も、出力制御の開始あるいは解除がなされたと判定する。
【0080】
制御部12は、電力変換装置20が出力制御中であると判定すると、昇圧回路11のMPPT制御を停止し、昇圧回路11の出力電力が、昇圧接続箱10の出力電力の変化速度に対応して変化するように、昇圧回路11の出力電力を制御する。昇圧回路11の出力電力の変化速度と、昇圧接続箱10の出力電力の変化速度は一致させてもよいし、昇圧接続箱10の出力電力の変化速度に所定の係数を掛けて両者の変化速度が異なるようにしてもよい。
【0081】
例えば、出力制御の開始時において、昇圧回路11の出力電力の変化速度を、昇圧接続箱10の出力電力の変化速度より速く制御すれば、第1太陽電池ストリングPV1から電力変換装置20への電力出力を、可能な範囲で維持することができる。制御部12は、電力変換装置20の出力制御が解除されたと判定すると、昇圧回路11のMPPT制御を再開する。
【0082】
図13は、実施例3の変形例に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。
図13に示す実施例3の変形例に係る太陽光発電システムでは、
図12に示した実施例3に係る太陽光発電システムの合流配線電流センサA5の代わりに、標準回路電流センサA3を用いる。標準回路電流センサA3は、第1太陽電池ストリングPV1の出力配線W1の電流を検出して制御部12に出力する。制御部12は、合流配線電圧センサV5で検出された電圧と標準回路電流センサA3で検出された電流をもとに標準回路系の出力電力を検出する。
【0083】
制御部12は、標準回路系の出力電力の推移をもとに電力変換装置20が出力制御中であるか否かを推定する。制御部12は例えば、所定期間(例えば、3~5分)における標準回路系の出力電力が略一定の速度で低下した場合、電力変換装置20が出力制御を開始したと判定する。反対に、制御部12は所定期間(例えば、3~5分)における標準回路系の出力電力が略一定の速度で上昇した場合、電力変換装置20が出力制御を解除したと判定する。
【0084】
制御部12は、電力変換装置20が出力制御中であると判定すると、昇圧回路11のMPPT制御を停止し、昇圧回路11の出力電力が、標準回路系の出力電力の変化速度に対応して変化するように、昇圧回路11の出力電力を制御する。昇圧回路11の出力電力の変化速度と、標準回路系の出力電力の変化速度は一致させてもよいし、標準回路系の出力電力の変化速度に所定の係数を掛けて両者の変化速度が異なるようにしてもよい。
【0085】
例えば、出力制御の開始時において、昇圧回路11の出力電力の変化速度を、標準回路系の出力電力の変化速度より速く制御すれば、第1太陽電池ストリングPV1から電力変換装置20への電力出力をできるだけ維持することができる。制御部12は、電力変換装置20の出力制御が解除されたと判定すると、昇圧回路11のMPPT制御を再開する。
【0086】
図14は、実施例4に係る太陽光発電システムの構成例を示す図である。実施例4に係る太陽光発電システムは、電力変換装置20が出力制御中であるか否かを示す制御情報を通信で取得する通信方式のシステムである。
図14に示す実施例4に係る太陽光発電システムは、
図1に示した実施の形態に係る太陽光発電システムの基本構成に、電力変換装置20の制御部23と昇圧接続箱10の制御部12間で制御情報を送受信するための通信線CLが追加された構成である。
【0087】
通信線CLには例えば、RS-485ケーブルやLANケーブルを使用することができる。なお通信線CLを設置する代わりに、電力変換装置20の制御部23と昇圧接続箱10の制御部12間で無線通信してもよい。
【0088】
電力変換装置20の制御部23は、出力制御の開始前に、昇圧接続箱10の制御部12に対して、出力制御の開始時刻と開始時の出力変化速度(抑制量[W/s])、出力上限値=X%、出力制御の終了時刻と解除時の出力変化速度(抑制解除量[W/s])を送信する。なお、電力変換装置20の制御部23は、昇圧接続箱10の制御部12に対して、出力制御開始時から解除時までの電力指令値を都度送信してもよい。
【0089】
昇圧接続箱10の制御部12は、電力変換装置20から取得した制御情報をもとに、電力変換装置20が出力制御中の期間において、各時刻の電力変換装置20の出力電力の目標値を特定し、昇圧接続箱10の出力電力が電力変換装置20の出力電力の目標値になるように、昇圧回路11をデューティ制御する。
【0090】
その際、標準回路電流センサA3あるいは合流配線電流センサA5と、昇圧回路出力電流センサA2を追加して、電流方式で説明したように制御部12は、標準回路系の出力電流と昇圧回路系の出力電流が所定の比率を維持するように、昇圧回路11をデューティ制御してもよい。
【0091】
以上説明したように実施例1-3によれば、昇圧接続箱10から電力変換装置20への出力をもとに、電力変換装置20が出力制御中であるか否かを推定することにより、電力変換装置20の出力制御に合わせて、昇圧接続箱10から電力変換装置20へ適切な電力を出力することができる。これにより、昇圧回路11の出力電圧がリミッタ値まで上昇することによる昇圧回路11の突然停止を回避することができ、電力変換装置20の意図しない停止を回避することができる。
【0092】
電流方式における第2の制御方法では、電力変換装置20の出力制御中において、可能な範囲で標準回路系からの出力電流を維持することにより、電力変換装置20のDC/DCコンバータ21が制御できる電力を残すことができる。
【0093】
原則として、標準回路系の出力電力は電力変換装置20のDC/DCコンバータ21で制御され、昇圧回路系の出力電力は昇圧接続箱10の昇圧回路11で制御される。したがって、昇圧回路系の出力電流に対する標準回路系の出力電流の比率が高いほど、電力変換装置20側で制御できる電力が多い状態といえる。一般的に、昇圧接続箱10の昇圧回路11より、電力変換装置20のDC/DCコンバータ21のほうが応答性が高く設計されるため、電力変換装置20側で制御できる電力が多いほど、電力変換装置20に入力される電力制御の応答性能が向上する。
【0094】
また実施例1-3によれば、実施例4のように昇圧接続箱10と電力変換装置20間を通信線CLで接続する必要がないため、コストを削減することができる。また、設置の柔軟性を高めることができる。また、通信機能が搭載されていない電力変換装置20に、昇圧接続箱10を後付けすることも容易である。
【0095】
実施例1-3では、複数の太陽電池ストリング(PV1、PV2)を並列に接続する昇圧接続箱10と、電力変換装置20とを、分離した機器とした。これにより、昇圧接続箱10と電力変換装置20の組合せによって、さまざまな太陽電池ストリングの設置構成に応じることができ、少ない機器の種類で様々な設置形態に応じることができる。したがって、昇圧接続箱10と、電力変換装置20を含む機器のコストを低減することができる。
【0096】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0097】
上記実施の形態では、送配電事業者の管理サーバから出力制御指令を受信することに起因して電力変換装置20が出力制御を発動させる例を説明した。この点、出力制御は、インバータ22の出力電圧がリミッタ値を超えて上昇、インバータ22の出力電力がリミッタ値を超えて上昇、電力変換装置20内の温度がリミッタ値を超えて上昇などに起因しても発動される。電力変換装置20の制御部23は、それぞれの出力制御発生事由に応じた出力変化速度で、電力変換装置20の出力電力を制御する。
【0098】
上記実施の形態では、電力変換装置20の制御部23は、電力変換装置20の出力電力を制御するために、DC/DCコンバータ21の出力電力を制御する例を説明した。この点、制御部23は、DC/DCコンバータ21の昇圧比を1に固定し、インバータ22のデューティ制御により、電力変換装置20の出力電力を制御してもよい。この場合も、インバータ22の出力電力に対して、昇圧接続箱10の出力電力が大きくなると電力変換装置20の入力電圧が上昇する。
【0099】
上記実施の形態では説明を単純化するために、標準回路系に一つの第1太陽電池ストリングPV1が接続され、昇圧回路系に一つの第2太陽電池ストリングPV2が接続される例を説明した。この点、標準回路系に、複数の第1太陽電池ストリングPV1が並列に接続されてもよい。この場合、第1開閉器RY1および逆流防止ダイオードD1がそれぞれのストリングに設置される。複数の第1太陽電池ストリングPV1から合流出力配線Wmに出力される電流(電力)は、複数の第1太陽電池ストリングPV1の出力電流(出力電力)の合計となる。
【0100】
同様に、昇圧回路系に、複数の第2太陽電池ストリングPV2が並列に接続されてもよい。この場合、第2開閉器RY2および昇圧回路11がそれぞれのストリングに設置される。複数の昇圧回路11から合流出力配線Wmに出力される電流(電力)は、複数の第2太陽電池ストリングPV2の出力電流(出力電力)の合計となる。
【0101】
制御部12は、並列接続された複数の昇圧回路11の出力電圧が揃うように、並列接続された複数の昇圧回路11をそれぞれデューティ制御する。上述した電力方式では、制御部12は、並列接続された複数の昇圧回路11の合計出力電力が、昇圧接続箱10の出力電力の変化速度に対応して変化するように、並列接続された複数の昇圧回路11のそれぞれの出力電力を制御する。
【0102】
上記実施の形態では、昇圧接続箱10に、第1太陽電池ストリングPV1と、第1太陽電池ストリングPV1より開放電圧が低い第2太陽電池ストリングPV2が接続される例を説明した。この点、昇圧接続箱10には、開放電圧が異なる複数の太陽電池以外の直流電源を接続することもできる。例えば、昇圧接続箱10に、第1蓄電池パックと、第1蓄電池パックより開放電圧が低い第2蓄電池パックが接続されてもよい。第2蓄電池パックは、セルまたはモジュールの直列数が第1蓄電池パックより少ない蓄電池パックである。
【0103】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0104】
[項目1]
第1の直流電源(PV1)より開放電圧が低い第2の直流電源(PV2)から出力される直流電力の電圧を昇圧可能な昇圧回路(11)と、
前記昇圧回路(11)の出力配線(Wb)と、前記第1の直流電源(PV1)の出力配線(W1)が合流した合流出力配線(Wb)と、
前記昇圧回路(11)を制御する制御部(12)と、を備え、
前記合流出力配線(Wb)は、本昇圧接続回路(10)から供給される直流電力を交流電力に変換して電力系統へ出力する電力変換装置(20)に接続され、
前記制御部(12)は、本昇圧接続回路(10)または前記第1の直流電源(PV1)から前記電力変換装置(20)への出力をもとに、前記電力変換装置(20)が出力制御中であるか否かを推定することを特徴とする昇圧接続回路(10)。
これによれば、電力変換装置(20)の出力制御により、昇圧接続回路(10)の出力電圧がリミッタ値まで上昇して、突然停止することを回避することができる。
[項目2]
前記制御部(12)は、本昇圧接続回路(10)の出力電力の推移をもとに、前記電力変換装置(20)が出力制御中であるか否かを推定することを特徴とする項目1に記載の昇圧接続回路(10)。
これによれば、電力変換装置(20)から通信で制御信号を受信することなく、電力変換装置(20)が出力制御中であるか否かを判定することができる。
[項目3]
前記昇圧回路(11)の出力配線(Wb)に流れる電流を検出する第1電流センサ(A2)と、
前記昇圧回路(11)の出力配線(Wb)の電圧を検出する第1電圧センサ(V2)と、
前記合流出力配線(Wb)に流れる電流を検出する第2電流センサ(A5)と、
前記合流出力配線(Wb)の電圧を検出する第2電圧センサ(V5)と、をさらに備え、
前記制御部(12)は、
前記第1電流センサ(A2)で検出された電流と前記第1電圧センサ(V2)で検出された電圧をもとに前記昇圧回路(11)の出力電力を検出し、前記第2電流センサ(A5)で検出された電流と前記第2電圧センサ(V5)で検出された電圧をもとに本昇圧接続回路(10)から前記電力変換装置(20)への出力電力を検出し、
前記電力変換装置(20)が出力制御中であると推定した場合、本昇圧接続回路(10)から前記電力変換装置(20)への出力電力の変化に応じて前記昇圧回路(11)の出力電力が変化するように前記昇圧回路(11)を制御することを特徴とする項目2に記載の昇圧接続回路(10)。
これによれば、電力変換装置(20)の出力制御中に、昇圧接続回路(10)から電力変換装置(20)に過剰な電力が出力されることを防止することができる。
[項目4]
前記制御部(12)は、前記第1の直流電源(PV1)の出力電力の推移をもとに、前記電力変換装置(20)が出力制御中であるか否かを推定することを特徴とする項目1に記載の昇圧接続回路(10)。
これによれば、電力変換装置(20)から通信で制御信号を受信することなく、電力変換装置(20)が出力制御中であるか否かを判定することができる。
[項目5]
前記昇圧回路(11)の出力配線(Wb)に流れる電流を検出する第1電流センサ(A2)と、
前記昇圧回路(11)の出力配線(Wb)の電圧を検出する第1電圧センサ(V2)と、
前記第1の直流電源(PV1)の出力配線(W1)に流れる電流を検出する第2電流センサ(A3)と、
前記合流出力配線(Wb)の電圧または前記第1の直流電源(PV1)の出力配線(W1)の電圧を検出する第2電圧センサ(V5またはV3)と、をさらに備え、
前記制御部(12)は、
前記第1電流センサ(A2)で検出された電流と前記第1電圧センサ(V2)で検出された電圧をもとに前記昇圧回路(11)の出力電力を検出し、前記第2電流センサ(A3)で検出された電流と前記第2電圧センサ(V5またはV3)で検出された電圧をもとに前記第1の直流電源(PV1)の出力電力を検出し、
前記電力変換装置(20)が出力制御中であると推定した場合、前記第1の直流電源(PV1)の出力電力の変化に応じて前記昇圧回路(11)の出力電力が変化するように前記昇圧回路(11)を制御することを特徴とする項目4に記載の昇圧接続回路(10)。
これによれば、電力変換装置(20)の出力制御中に、昇圧接続回路(10)から電力変換装置(20)に過剰な電力が出力されることを防止することができる。
[項目6]
前記制御部(12)は、前記第1の直流電源(PV1)から電力が出力されていないとき、前記電力変換装置(20)が出力制御中であると判定し、前記昇圧回路(11)を抑制制御することを特徴とする項目1に記載の昇圧接続回路(10)。
これによれば、第1の直流電源(PV1)から電力が出力されていないことを検出することで、電力変換装置(20)が出力制御中であるか否かを判定することができる。
[項目7]
前記昇圧回路(11)の出力配線(Wb)の電圧または前記合流出力配線(Wb)の電圧を検出する第1電圧センサ(V2またはV5)と、
記第1の直流電源(PV1)の出力電圧を検出する第2電圧センサ(V3)と、をさらに備え、
前記制御部(12)は、前記第2電圧センサ(V3)で検出した電圧が前記第1電圧センサ(V2またはV5)で検出した電圧より低い場合、前記電力変換装置(20)が出力制御中であると判定することを特徴とする項目6に記載の昇圧接続回路(10)。
これによれば、第1の直流電源(PV1)の出力電圧が低く、第1の直流電源(PV1)から電流が出力されていないことを検出することで、電力変換装置(20)が出力制御中であるか否かを判定することができる。
[項目8]
前記昇圧回路(11)の入力配線(W2)または出力配線(Wb)に流れる電流を検出する第1電流センサ(A1またはA2)と、
前記合流出力配線(Wb)または前記第1の直流電源(PV1)の出力配線(W1)に流れる電流を検出する第2電流センサ(A5またはA3)と、をさらに備え、
前記制御部(12)は、前記第1電流センサ(A2)で検出された電流と前記第2電流センサ(A5またはA3)で検出された電流をもとに、前記第1の直流電源(PV1)から電流が流れておらず、前記昇圧回路(11)から電流が流れていると判定できる場合、前記電力変換装置(20)が出力制御中であると判定することを特徴とする項目6に記載の昇圧接続回路(10)。
これによれば、昇圧回路(11)から電流が流れている状態で、第1の直流電源(PV1)から電流が出力されていないことを検出することで、電力変換装置(20)が出力制御中であるか否かを判定することができる。
[項目9]
前記制御部(12)は、前記電力変換装置(20)が出力制御中であると判定すると、前記第1電流センサ(A1またはA2)で検出された電流と前記第2電流センサ(A5またはA3)で検出された電流をもとに、前記第1の直流電源(PV1)の出力電流と前記昇圧回路(11)の出力電流の比率が所定の比率になるように、前記昇圧回路(11)を制御することを特徴とする項目6に記載の昇圧接続回路(10)。
これによれば、電力変換装置(20)が出力制御中に、第1の直流電源(PV1)から電力変換装置(20)への電力出力を、可能な範囲で維持することができる。
[項目10]
前記第1の直流電源(PV1)および前記第2の直流電源(PV2)は太陽電池(PV1、PV2)であり、
前記制御部(12)は、前記電力変換装置(20)が出力制御中でないとき、前記昇圧回路(11)をMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御することを特徴とする項目1から9のいずれか1項に記載の昇圧接続回路(10)。
これによれば、電力変換装置(20)が出力制御中でないとき、昇圧回路(11)に接続されている太陽電池(PV2)で発電される電力を最大化することができる。
[項目11]
項目1から10のいずれか1項に記載の昇圧接続回路(10)と、
前記昇圧接続回路(10)から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置(20)と、
を備えることを特徴とする電力変換システム(1)。
これによれば、電力変換装置(20)の出力制御により、昇圧接続回路(10)の出力電圧がリミッタ値まで上昇して、突然停止することを回避することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 電力変換システム、 2 系統、 10 昇圧接続箱、 11 昇圧回路、 12 制御部、 20 電力変換装置、 21 DC/DCコンバータ、 22 インバータ、 23 制御部、 PV1 第1太陽電池ストリング、 PV2 第2太陽電池ストリング、 RY1 第1開閉器、 RY2 第2開閉器、 D1 逆流防止ダイオード、 V1 入力電圧センサ、 V2 昇圧回路出力電圧センサ、 V3 標準回路電圧センサ、 V5 合流配線電圧センサ、 A1 入力電流センサ、 A2 昇圧回路出力電流センサ、 A3 標準回路電流センサ、 A5 合流配線電流センサ、 W1,W2,Wb 出力配線、 Wm 合流出力配線、 CL 通信線、 L1 リアクトル、 C1 入力コンデンサ、 C2 出力コンデンサ、 D2 ダイオード、 S1 スイッチング素子。