(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031778
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ランドセル
(51)【国際特許分類】
A45F 3/04 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
A45F3/04 400D
A45F3/04 400R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137477
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】393000733
【氏名又は名称】フミオ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129104
【弁理士】
【氏名又は名称】舩曵 崇章
(72)【発明者】
【氏名】大友 隆
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA24
3B045CE08
3B045DA42
3B045DA43
3B045DA44
3B045EA03
3B045EA06
3B045EB10
3B045GA03
3B045JA02
3B045JB01
3B045JC05
3B045KA01
3B045KB03
(57)【要約】
【課題】開口を大きく開くことができる副収納部を備えたランドセルを提供する。特に、力の弱い低学年の学童であっても、開口を大きく開いて内部に収納物を出し入れしやすい副収納部を備えたランドセルを提供する。
【解決手段】主収納部1と、この主収納部1の前方に位置する副収納部2と、を備えたランドセルRであって、前記副収納部2は、前方に向かって開口した副収納部本体21と、この副収納部本体21の前方開口を覆うように、副収納部本体21の下縁部25から延びる前蓋26と、この前蓋26を前記副収納部本体21に開閉自在に継ぎ合わせる開閉用ファスナー27と、を備え、前記開閉用ファスナー27の下端は、前記副収納部2の下面に達している、ランドセルRとした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主収納部と、
この主収納部の前方に位置する副収納部と、を備えたランドセルであって、
前記副収納部は、
前方に向かって開口した副収納部本体と、
この副収納部本体の前方開口を覆うように、副収納部本体の下縁部から延びる前蓋と、
この前蓋を前記副収納部本体に開閉自在に継ぎ合わせる開閉用ファスナーと、
を備え、
前記開閉用ファスナーの下端は、前記副収納部の下面に達している、
ランドセル。
【請求項2】
副収納部本体の下縁部は、
副収納部本体の左右幅よりも小さく形成されて先端部が前蓋の下部と連続する下覆片と、
この下覆片の左右両隣に位置する左右の端縁と、を有し、
前記左右の端縁に、開閉用ファスナーの下端が達している、
請求項1に記載のランドセル。
【請求項3】
副収納部の内部に、
副収納部本体と前蓋とを連結する左右の可撓性連結部材と、
この左右の可撓性連結部材に架設された仕切部材と、を有する、
請求項1または請求項2に記載のランドセル。
【請求項4】
可撓性連結部材の下端が、
副収納部本体の内底面に概ね達している、
請求項1~3のいずれか1項に記載のランドセル。
【請求項5】
仕切部材は、
上方に向けて開口自在な袋状である、
請求項1~4のいずれか1項に記載のランドセル。
【請求項6】
仕切部材は、
上方に向けて開口自在な袋状であり、
上縁に設けた縁止めファスナーによって開口自在に構成されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載のランドセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランドセルに関する。詳しくは、ランドセル本体の前方に副収納部を備えたランドセルに関する。特に、力の弱い低学年の学童であっても、開口を大きく開いて内部に収納物を出し入れしやすい副収納部を備えたランドセルに関する。
【背景技術】
【0002】
ランドセルは、一般的に、上方が開口した主収納部を有するランドセル本体と、主収納部の上方開口を概ね覆う蓋部と、ランドセル本体に取り付けた左右の肩ベルトを備えている。ランドセル本体、蓋部および左右の肩ベルトには、通常、皮革または合成皮革などが用いられている。
【0003】
また、多くのランドセルは、主収納部の前方に副収納部を備えている。副収納部としては、例えば、ランドセル本体の前方に位置し、ファスナーによって開閉するポケットなどがある。
【0004】
このような、副収納部を有するランドセルは、例えば下記特許文献1に記載されている。
【0005】
特許文献1の
図1には、主収納室2(主収納部に相当)と、主収納室2の前方に設けられ開閉ファスナーによって開閉する前ポケット部4(副収納部に相当)と、を備えたランドセルが開示されている。本図の例では、主収納室2と前ポケット部4(副収納部に相当)の間に、上方が開口した副収納室3(縦長状の収納室)が設けてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3217756号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来の副収納部(前ポケット部4)では、開閉ファスナーを開けたとしても、副収納部の上面開口を大きく開くことができなかった。そのため、ポケット内部に手を差し込みにくかった。特に、力の弱い低学年の学童にとって、開閉ファスナーを開けた後、さらに上面開口を開くようにして副収納部の内部に収納物を入れることは、大人が想像する以上に難しいものであった。
また、ポケットの内部が外から見えにくく、手探り状態でポケット内部の収納物を取り出さなければならない場合があるなど、非常に使い勝手が悪かった。
【0008】
本発明は、上述の事柄に留意してなされたものであって、開口を大きく開くことができる副収納部を備えたランドセルに関するものである。特に、力の弱い低学年の学童であっても、開口を大きく開いて内部に収納物を出し入れしやすい副収納部を備えたランドセルに関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、主収納部と、この主収納部の前方に位置する副収納部と、を備えたランドセルであって、前記副収納部は、前方に向かって開口した副収納部本体と、この副収納部本体の前方開口を覆うように、副収納部本体の下縁部から延びる前蓋と、この前蓋を前記副収納部本体に開閉自在に継ぎ合わせる開閉用ファスナーと、を備え、前記開閉用ファスナーの下端は、前記副収納部の下面に達している、ランドセルとした。
【0010】
このランドセルは、開閉用ファスナーの下端が副収納部の下面に達しているため、ファスナーを開けることで、副収納部の開口を大きく開くことができる。すなわち、開閉用ファスナーを開けきった状態において、前蓋が前方に容易に傾斜するのである。
【0011】
副収納部本体の下縁部は、副収納部本体の左右幅よりも小さく形成されて先端部が前蓋の下部と連続する下覆片と、この下覆片の左右両隣に位置する左右の端縁と、を有し、前記左右の端縁に、開閉用ファスナーの下端が達している、ランドセルとすることができる。
【0012】
このランドセルは、下覆片によって、副収納部の下部を補強することができる。また、下覆片の左右両端が、ファスナー止めとしても機能する。
【0013】
副収納部の内部に、副収納部本体と前蓋とを連結する左右の可撓性連結部材と、この左右の可撓性連結部材に架設された仕切部材と、を有する、ランドセルとすることもできる。収納物は、通常、左右の可撓性連結部材の間に収納される。
【0014】
このランドセルは、可撓性連結部材によって前蓋の傾斜の程度を規制することができる。また、仕切部材によってプリントなどの収納物を整理して収納することができるとともに、中に入れた収納物を、より一層、取り出しやすくなる。
【0015】
可撓性連結部材の下端が、副収納部本体の内底面に達している、ランドセルとすることもできる。
【0016】
このランドセルは、比較的小さな物(小物)を、副収納部に入れた場合でも紛失しにくい。
【0017】
仕切部材は、上方に向けて開口自在な袋状である、ランドセルとすることもできる。
【0018】
このランドセルは、仕切部材に比較的小さな物(小物)を収納することができ、これによって、小物を紛失する可能性が少なくなる。
【0019】
仕切部材は、上方に向けて開口自在な袋状であり、上縁に設けた縁止めファスナーによって開口自在に構成されている、ランドセルとすることもできる。
【0020】
このランドセルは、仕切り部材に小物を収納し、ファスナーを閉めておくことで小物を紛失することが殆どなくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、開口を大きく開くことができる副収納部を備えたランドセルを提供することができる。特に、力の弱い低学年の学童であっても、開口を大きく開いて内部に収納物を出し入れしやすい副収納部を備えたランドセルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】
図1のランドセルにおいて副収納部の開閉用ファスナーを開けて前蓋を傾斜させた状態を例示する斜視図(写真)である。
【
図4】
図1のランドセルにおいて副収納部の開閉用ファスナーを開けて前蓋を傾斜させた状態を例示する拡大側面図(写真)である。
【
図5】
図1のランドセルにおいて仕切り部材の縁止めファスナーを開けた状態を例示する拡大斜視図(写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を用いてランドセルを例示説明する。ランドセルは、主収納部と副収納部を備えており、副収納部は、副収納部本体と前蓋と開閉用ファスナーを備えている。
なお、各図において例示するランドセルは、説明の都合上、主収納部などが視認しやすいように、蓋部を大きく開いて装着者(学童)側に垂下させた状態を表示してある。
以下、実施形態を挙げて例示説明するが、本発明およびその構成要素は、以下の説明に限定されるものではない。
【0024】
1.主収納部
主収納部1は、ランドセルRに設けた収納部であり、上方に向けて開口した箱形の収納スペースである。主収納部1には、教科書や筆箱などの物品が収納される。
【0025】
本実施形態では、主収納部1の高さ寸法は概ね29cmであり、幅寸法は概ね24cmである。最近では、A4クリアファイルが入るような大きさ(高さ×幅)の主収納部1とすることが多い。
【0026】
2.副収納部
副収納部2は主収納部1の前方に設けてある。ここで、「前方」とは、ランドセル装着者の背中が向く方向(ランドセルの正面側)をいう。
【0027】
本実施形態において、副収納部2の幅寸法は主収納部1の幅寸法と概ね等しい。そして、本実施形態における副収納部2は、
図1などに例示するように、副収納部本体21と、前蓋26と、開閉用ファスナー27と、を備えている。なお、本実施形態では、副収納部2の上部左右(前蓋26の上部左右)が、正面視においてなだらかな曲線状となっている。
まず、副収納部本体21から例示説明する。
【0028】
[副収納部本体]
副収納部本体21は、
図3に例示するように、前方に向かって開口している。詳細には、副収納部本体21は、壁面22と、壁面22の外周部から前方に向かって延びる縁部(マチ部)23,24,25からなり、前方に向かって開口している。本実施形態において、縁部は、上縁部23、左右の側縁部24および下縁部25で構成されている。そして、上縁部23、左右の側縁部24は、なだらかに連続しており、正面視において緩やかな曲線状となっている。
【0029】
本実施形態において、
図2に例示するように、下縁部25は、下覆片251と左右の端縁252で構成されている。下覆片251は、副収納部本体21の左右幅よりも小さく形成されている。本実施形態では、副収納部本体21の左右幅が概ね24cmであるところ、下覆片251の左右幅が概ね17.5cmであり、下覆片251の左右幅は副収納部本体21の左右幅の概ね73%の左右幅である。下覆片251の左右幅は、好ましくは、副収納部本体21の左右幅の60~80%、より好ましくは副収納部本体21の左右幅の70~80%である。
本実施形態では、概ね横長矩形形状の下覆片251となっている。
【0030】
下覆片251の左右両隣には左右の端縁252が位置している。後述するように、この左右の端縁252に開閉用ファスナー27の下端が達している。
【0031】
[前蓋]
前蓋26は、副収納部本体21の前方開口を覆うように、副収納部本体21の下縁部25から上方に向かって延設されている。
本実施形態では、前蓋26の下部が、下縁部25を構成する下覆片251の先端部(前縁部)に取り付けられている。そして、後述する開閉用ファスナー27を開けきった状態において、前蓋26が前方に容易に傾斜する。
【0032】
[開閉用ファスナー]
開閉用ファスナー27は、前蓋26を副収納部本体21に開閉自在に継ぎ合わせるものである。開閉用ファスナー27の下端は、副収納部2の下面に達している。
本実施形態においては、開閉用ファスナー27として、いわゆる両開きファスナー、詳細には、スライダー二個付きの止製品(両開き止めタイプとも称される)を用いてある。そして、
図2に例示するように、開閉用ファスナー27の下端(両端)が、下覆片251の左右両隣に位置する左右の端縁252に達している。より詳細には、開閉用ファスナー27の下端(両端)が、下覆片251の左右両隣に近接するように構成されている。このような構成によって、開閉用ファスナー27の下端が、副収納部2の下面に達している状態となる。
このように構成された副収納部2は、開閉用ファスナー27を開けた状態(開けきった状態)において、前蓋26が前方に傾斜自在となっており、本実施形態では、前蓋26が前方に自然に傾斜するようになっている。
【0033】
さらに、本実施形態においては、副収納部2の内部に、左右の可撓性連結部材28と、仕切部材29と、を有する。以下、左右の可撓性連結部材28と仕切部材29を例示説明する。
【0034】
[可撓性連結部材]
左右の可撓性連結部材28は、
図3に例示するように、副収納部本体21と前蓋26とを連結する。左右の可撓性連結部材28は、副収納部2の内部に位置する。
【0035】
本実施形態では、左右の可撓性連結部材28は、副収納部2の内部で、副収納部本体21の内側左右それぞれと前蓋26の内側左右それぞれとを連結している。そして、左右の可撓性連結部材28の大きさは、開閉用ファスナー27を開けた状態において、前蓋26がその下縁を支点にして前方に概ね45~80度傾斜した状態になるような大きさとしてある。
【0036】
また、本実施形態では、
図4に例示するように、可撓性連結部材28は、その下端が、副収納部本体21の内底面20に概ね達するように構成してある。詳細には、可撓性連結部材28の下端と副収納部本体21の内底面20の間隔は、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは5mm以下、最も好ましくは0mm(可撓性連結部材28の下端が副収納部本体21の内底面20に達している)である。
左右の可撓性連結部材28の形状は、上部から下部にしたがって、幅が狭くなるような形状とすることができる。例えば、略逆三角形状、略逆台形状(下底が上底より短い)又は略扇状とすることができる。
【0037】
左右の可撓性連結部材28の材質は、張り出した状態の前蓋26を支える程度の強度があれば特に制限されない。例えば、可撓性連結部材28として合成繊維からなる生地を用いることができる。可撓性連結部材28は、可撓性を有する材料で構成されることが好ましい。
【0038】
[仕切部材]
仕切部材29は、
図3に例示するように、左右の可撓性連結部材28に架設するように設けられる。本実施形態では、仕切部材29は、
図5に例示するように、上方に向けて開口自在な袋状であり、内部に物品を収納することができるように構成してある。また、本実施形態では、仕切部材29の上縁に縁止めファスナー291を設けてある。仕切部材29は、袋状でなく、例えば、任意の布地であってもよい。
本実施形態において、仕切部材29は、副収納部2の内部を前後に区画している。
【0039】
以上、特定の実施形態を参照して本発明を例示説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
【0040】
例えば、副収納部2の内底面20やこれを含んだ内底部を明るい色調とすることができる。例えば、副収納部2の内底面20やこれを含んだ内底部をマンセル表色系による明度が5~10の範囲内の色調(例えば、明るめのオレンジ色)とすることができる。これによって、副収納部2に小物を入れた場合であっても、小物を見付けやすくなる。なお、上記実施形態においては、壁面22、左右の可撓性連結部材28および仕切部材29は、マンセル表色系による明度が5~10の範囲内の色調(明るめのオレンジ色)としてある。
【0041】
また、主収納部1を前後に区画したり、主収納部1の装着者側内壁にベルトを取り付けたりしてもよい。装着者側に重たい物を位置させることで、ランドセルを背負った際の安定感が増し、装着者が軽く感じやすくなる。
【0042】
また、本実施形態では、主収納部1と副収納部2の間に、縦長状収納室5を設けてあるが、これに限定されない。例えば、縦長状収納室5を設けなくてもよいし、縦長状収納室5に替えて縦長状開閉ポケットなどを設けてもよい。
【符号の説明】
【0043】
R ランドセル
1 主収納部
2 副収納部
20 内底面
21 副収納部本体
22 壁面
23 上縁部
24 側縁部
25 下縁部
251 下覆片
252 端縁
26 前蓋
27 開閉用ファスナー
28 可撓性連結部材
29 仕切部材
291 縁止めファスナー
3 肩ベルト
4 蓋部
5 縦長状収納室