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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031785
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】捩じり曲げ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/04 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
H02K15/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137487
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】399107937
【氏名又は名称】日本電産マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】谷口 諒敏
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP14
5H615QQ03
5H615QQ06
5H615QQ12
5H615SS04
5H615SS10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装置を大型化することなく導体の捩じり曲げに関する性能を向上させることができる捩じり曲げ装置を提供する。
【解決手段】ベース2と、導体の端部を保持する複数の保持部を有する円筒状の複数の保持治具と、固定子100及び前記複数の保持治具との少なくとも一方を他方に対して軸線方向で且つ近づく方向に移動させる軸線方向駆動装置29と、前記軸線方向で且つ前記複数の保持治具及び固定子100を挟んで軸線方向駆動装置29とは反対側に位置し、相対移動する固定子100及び前記複数の保持治具に作用する軸線方向の荷重を受けるとともに前記複数の保持治具を回転可能に支持する第2荷重受け部材4と、第2荷重受け部材4の径方向の外方に位置し、前記複数の保持治具及び載置台27の少なくとも一方を他方に対して周方向に移動させる周方向駆動装置10と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の固定子コア本体部と、前記固定子コア本体部の内周側から径方向内方に延びる複数のティースとを有する固定子コアのスロット内に複数の導体が挿入された固定子において、前記固定子コアの軸線方向に突出した前記複数の導体の端部を捩じり曲げる捩じり曲げ装置であって、
ベースと、
周方向に並んで位置し前記複数の導体の端部を保持する複数の保持部を有する円筒状の複数の保持治具と、
前記ベースによって支持され、前記固定子及び前記複数の保持治具の少なくとも一方を他方に対して前記軸線方向で且つ近づく方向に移動させる軸線方向駆動装置と、
前記ベースによって支持され、前記軸線方向で且つ前記複数の保持治具及び前記固定子を挟んで前記軸線方向駆動装置とは反対側に位置し、前記軸線方向駆動装置によって相対移動する前記固定子及び前記複数の保持治具に作用する前記軸線方向の荷重を受けるとともに前記複数の保持治具を回転可能に支持する荷重受け部材と、
前記ベースによって支持され、前記荷重受け部材の径方向の外方に位置し、前記固定子を載置する載置台及び前記複数の保持治具から前記軸線方向に荷重を受けることなく、前記複数の保持治具及び前記載置台の少なくとも一方を他方に対して周方向に移動させる周方向駆動装置と、を有する、
捩じり曲げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の捩じり曲げ装置において、
前記荷重受け部材は、
支持している前記複数の保持治具の軸線に対して前記固定子の軸線を一致させて前記固定子を位置決めする固定子位置決め部材を有する、
捩じり曲げ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の捩じり曲げ装置において、
前記周方向駆動装置は、
前記径方向または前記軸線方向に突出する凸部、または前記径方向または前記軸線方向にへこむ凹部を含む連結部を有し、
前記被連結部は、
前記連結部が有する凸部が内部に位置する凹部、または前記連結部が有する凹部内に位置する凸部を含む被連結部を有する、
捩じり曲げ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の捩じり曲げ装置において、
前記荷重受け部材は、
前記複数の保持治具を軸線方向に位置決めし、且つ回転可能に支持する軸線方向位置決め部を有する、
捩じり曲げ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の捩じり曲げ装置において、
前記荷重受け部材は、
前記複数の保持治具を径方向に位置決めし、且つ回転可能に支持する径方向位置決め部を有する、
捩じり曲げ装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の捩じり曲げ装置において、
前記複数の保持治具は、
径方向の大きさが異なり、
前記径方向の大きさが異なる複数の保持治具は、同心円状に位置し、前記荷重受け部材によって、それぞれ独立して回転可能に支持されている、
捩じり曲げ装置。
【請求項7】
請求項6に記載の捩じり曲げ装置において、
前記径方向の大きさが異なる複数の保持治具における前記複数の導体が挿入される前記複数の保持部は、それぞれ前記軸線方向に垂直な底面を有し、前記荷重受け部材に対する前記底面の前記軸線方向の位置が、同一である、
捩じり曲げ装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の捩じり曲げ装置において、
前記径方向の大きさが異なる複数の保持治具のうち最も径方向の大きさが小さい保持治具は、前記荷重受け部材によって、径方向に位置決めされ、
前記径方向の大きさが異なる複数の保持治具のうち一の保持治具に対して径方向の外方に隣り合って位置する他の保持治具は、前記一の保持治具によって、径方向に位置決めされる、
捩じり曲げ装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の捩じり曲げ装置において、
前記複数の保持治具は、
滑り軸受によってそれぞれ回転可能に支持されている、
捩じり曲げ装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の捩じり曲げ装置において、
前記周方向駆動装置は、
前記複数の保持治具に対して前記径方向の外方に位置する、
捩じり曲げ装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の捩じり曲げ装置において、
前記周方向駆動装置によって支持され、前記固定子が載置される載置台を有し、
前記載置台は、
前記複数の保持治具と前記軸線方向駆動装置との間に位置し、弾性部材によって前記軸線方向に移動可能に支持されている、
捩じり曲げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捩じり曲げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機の固定子では、複数の電磁鋼板が積層された固定子コアが有する複数のスロット内にそれぞれ固定子コイルを構成する複数の導体が挿入されている。前記複数の導体は、前記複数のスロットにそれぞれ挿入された後、周方向に隣り合う導体同士が接合されることにより、前記固定子コイルを構成する。前記複数のスロット内に挿入された複数の導体では、周方向に隣り合う導体同士が接合されるために、前記複数の導体において前記固定子コアから突出している端部を前記固定子コアの周方向に捩じり曲げる必要がある。
【0003】
このような固定子において、前記複数の導体である複数のセグメントの端部を同時に周方向に捩じり曲げる捩じり曲げ装置が知られている。例えば、特許文献1には、前記複数のセグメントを周方向に捩じり曲げる複数の円筒状のスピンドルを有するステータ製造装置が開示されている。前記ステータ製造装置は、前記複数のセグメントの端部を円筒状の複数のスピンドルにおける受部に挿入した状態で、前記複数のセグメントを前記複数のスピンドルに押し付けながら前記複数のスピンドルを前記周方向に移動させる。前記複数のスピンドルは、前記複数のセグメントに加わる力を前記複数のスピンドルのベアリングで受け止めつつ、モータによって周方向に回転可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/104685号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のステータ製造装置は、前記複数のセグメントに加える力を、前記ベアリングの許容範囲内に制限する必要がある。前記ステータ製造装置としての捩じり曲げ装置において、このように前記複数のセグメントに加える力が制限されることにより、捩じり曲げ可能な前記複数のセグメントの本数、及び前記複数のセグメントを捻じり曲げる速さ等の捩じり曲げに関する性能が低下する。
【0006】
一方、前記捩じり曲げ装置では、前記複数のセグメントに加える力を制限せずに捩じり曲げに関する所定の性能を得るためには、前記複数のスピンドルを支持するベアリング及び前記ベアリングを保持するコラム等が、捩じり曲げる前記セグメントの本数及び前記セグメントの剛性等に応じて定まる前記複数のセグメントに加える力に耐えられる剛性を有する必要がある。従って、捩じり曲げに関する所定の性能を得ようとすると、前記捩じり曲げ装置は、前記セグメントの高剛性化によって、大型化する。
【0007】
本発明の目的は、装置を大型化することなく前記導体の捩じり曲げに関する性能を向上させることができる捩じり曲げ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る捩じり曲げ装置は、円筒状の固定子コア本体部と、前記固定子コア本体部の内周側から径方向内方に延びる複数のティースとを有する固定子コアのスロット内に複数の導体が挿入された固定子において、前記固定子コアの軸線方向に突出した前記複数の導体の端部を捩じり曲げる捩じり曲げ装置である。前記捩じり曲げ装置は、ベースと、周方向に並んで位置し前記複数の導体の端部を保持する複数の保持部を有する円筒状の複数の保持治具と、前記ベースによって支持され、前記固定子及び前記複数の保持治具の少なくとも一方を他方に対して前記軸線方向で且つ近づく方向に移動させる軸線方向駆動装置と、前記ベースによって支持され、前記軸線方向で且つ前記複数の保持治具及び前記固定子を挟んで前記軸線方向駆動装置とは反対側に位置し、前記軸線方向駆動装置によって相対移動する前記固定子及び前記複数の保持治具に作用する前記軸線方向の荷重を受けるとともに前記複数の保持治具を回転可能に支持する荷重受け部材と、前記ベースによって支持され、前記荷重受け部材の径方向の外方に位置し、前記固定子を載置する載置台及び前記複数の保持治具から前記軸線方向に荷重を受けることなく、前記複数の保持治具及び前記載置台の少なくとも一方を他方に対して周方向に移動させる周方向駆動装置と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態に係る捩じり曲げ装置によれば、装置を大型化することなく前記導体の捩じり曲げに関する性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、固定子コアと導体との斜視図である。
図2図2は、固定子の軸線方向からみた部分平面図である。
図3図3は、本発明の実施形態1に係る捩じり曲げ装置の縦断面模式図である。
図4図4は、本発明の実施形態1に係る複数の保持治具及び周方向駆動装置が有する複数の連結部材を軸方向に見た平面図である。
図5図5は、本発明の実施形態1に係る複数の保持治具及び周方向駆動装置が有する複数の連結部材を径方向に見た側面図である。
図6図6は、図4におけるB矢視での縦断面図である。
図7図7は、本発明の実施形態1に係る捩じり曲げ装置において、軸線方向駆動装置によって固定子を軸線方向の下方に移動させた状態での縦断面模式図である。
図8図8は、本発明の実施形態1に係る捩じり曲げ装置における軸線方向駆動装置による固定子の軸線方向の移動量と周方向駆動装置による固定子の周方向の移動角度との関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の例示的な実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0012】
なお、以下の本発明の例示的な実施の形態である捩じり曲げ装置1の説明において、固定子100の軸線Pと平行な方向を「軸線方向」、軸線Pに直交する方向を「径方向」、軸線Pを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、捩じり曲げ装置1を設置した状態の鉛直方向を「上下方向」とする。ただし、この方向の定義により、捩じり曲げ装置1の使用時の向きを限定する意図はない。
【0013】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”、“接合”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0014】
また、以下の説明において、固定子100とは、電磁鋼板を厚み方向に積層して構成される枠体である固定子コア101と複数の第1導体105と複数の第2導体106とを有する回転電機の固定側の電機子である。固定子100は、円筒状である。固定子100は、回転子を収容する貫通孔を有している。また、本実施形態において、固定子コア101のスロット104内には、4本の導体が位置しているものとする。
【0015】
(固定子100の構成)
図1図2とを用いて固定子100について説明する。図1は、固定子コア101と第1導体105及び第2導体106との斜視図である。図2は、固定子100の軸線方向に見た部分平面図である。
【0016】
図1図2とに示すように、固定子100は、固定子コア101、複数の第1導体105及び複数の第2導体106を有する。固定子コア101は、所定の形状に形成され且つ厚み方向に積層された複数枚の円環状の電磁鋼板から構成される。積層された複数の電磁鋼板は、外周面の複数個所を板厚方向に互いに溶接されている。固定子コア101は、筒状の固定子コア本体部102と、固定子コア本体部102の内周側から径方向内側に延びる複数のティース103と、複数のティース103のうち、隣り合うティース103の間には、第1導体105及び第2導体106が挿入されるスロット104が構成されている。固定子100は、図示しない回転子を収容する貫通孔103aを有している。
【0017】
第1導体105は、図示しない固定子コイルの一部を構成する部材である。第1導体105は、所定の長さを有する線状部材が中央部分で屈曲されている。第1導体105は、内脚部105aと、外脚部105bと、屈曲部105cとを有する。第1導体105の内脚部105aと外脚部105bとは、略同一の長さを有している直線状の部分である。第1導体105の内脚部105aと外脚部105bとは、互いに略平行に位置している。第1導体105の内脚部105aと外脚部105bとは、周方向に固定子100の磁極数から定まるスロット数の間隔を空けて位置している。第1導体105の屈曲部105cは、第1導体105の内脚部105aと外脚部105bとの間に位置する。第1導体105の屈曲部105cは、第1導体105の内脚部105aと外脚部105bとにおける同一方向の端部にそれぞれ連結されている。
【0018】
第2導体106は、図示しない固定子コイルの一部を構成する部材である。第2導体106は、所定の長さを有する線状部材が中央部分で屈曲されている。第2導体106は、内脚部106aと、外脚部106bと、屈曲部106cとを有する。第2導体106の内脚部106aと外脚部106bとは、略同一の長さを有している直線状の部分である。第2導体106の内脚部106aと外脚部106bとは、互いに略平行に位置している。第2導体106の内脚部106aと外脚部106bとは、周方向に固定子100の磁極数から定まるスロット数の間隔を空けて位置している。また、第2導体106の内脚部106aと外脚部106bとは、長手方向を軸線方向として、径方向に第1導体105の径方向の幅よりも大きい間隔を開けて位置している。第2導体106の屈曲部106cは、第2導体106の内脚部106aと外脚部106bとの間に位置する屈曲された部分である。第2導体106の屈曲部106cは、第2導体106の内脚部106aと外脚部106bとにおける同一方向の端部に連結されている。
【0019】
第1導体105と第2導体106とは、一組の導体として磁極数から定まるスロット数の間隔を空けた2つのスロット104内に絶縁体107を介してそれぞれ挿入されている。第1導体105は、内脚部105a及び外脚部105bの長手方向を軸線方向として、磁極数から定まるスロット数の間隔を空けた2つのスロット104内に内脚部105aと外脚部105bとがそれぞれ位置している。第1導体105の内脚部105aは、第1導体105の外脚部105bよりも径方向の内方に位置している。第2導体106は、内脚部106a及び外脚部106bの長手方向を軸線方向として、磁極数から定まるスロット数の間隔を空けた2つのスロット104内に内脚部106aと外脚部106bとがそれぞれ位置している。第2導体106の内脚部106aは、第2導体106の外脚部106bよりも径方向の内方に位置している。このように、各スロット104内には、径方向の外方から内方に向かって、第2導体106の外脚部106b、第1導体105の外脚部105b、第1導体105の内脚部105a、第2導体106の外脚部106bの順に位置している。
【0020】
第1導体105における内脚部105aの端部及び外脚部105bの端部と、第2導体106における内脚部106aの端部及び外脚部106bの端部とは、固定子コア101から軸線方向の一方に突出している。また、第1導体105における屈曲部105cと第2導体106における屈曲部106cとは、固定子コア101から軸線方向の他方に突出している。第1導体105における内脚部105aの端部及び外脚部105bの端部と、第2導体106における内脚部106aの端部及び外脚部106bの端部とは、後述の捩じり曲げ装置1によって周方向に捩じり曲げられる。
【0021】
(実施形態1)
次に、図3から図6を用いて、本発明に係る捩じり曲げ装置1の例示的な実施形態1について説明する。図3は、捩じり曲げ装置1の縦断面模式図である。図4は、第1保持治具6から第4保持治具9及び周方向駆動装置10が有する複数の第1連結部材15から第4連結部材18を軸方向に見た平面模式図である。図5は、第1保持治具6から第4保持治具9及び周方向駆動装置10が有する複数の第1連結部材15から第4連結部材18を径方向に見た側面模式図である。図4は、第1保持治具6から第4保持治具9及び周方向駆動装置10が有する複数の第1連結部材15から第4連結部材18の縦断面模式図である。
【0022】
図3に示すように、捩じり曲げ装置1は、固定子100の第1導体105の端部と第2導体106の端部とを周方向に捩じり曲げる装置である。捩じり曲げ装置1は、ベース2と、第1荷重受け部材3と、第2荷重受け部材4と、第1滑り軸受5aと、第2滑り軸受5bと、第3滑り軸受5cと、第4滑り軸受5dと、第1保持治具6と、第2保持治具7と、第3保持治具8と、第4保持治具9と、周方向駆動装置10と、載置台27と、軸線方向駆動装置29とを有している。
【0023】
ベース2は、第1荷重受け部材3、周方向駆動装置10及び軸線方向駆動装置29を支持する。ベース2は、上板と下板とを有している。ベース2は、上板と下板とパイプ材との組み合わせで構成されている。ベース2は、図示しない設置面上に位置している。ベース2の略中央には、第1荷重受け部材3が位置している。
【0024】
荷重受け部材である第1荷重受け部材3は、第2荷重受け部材4を支持する部材である。第1荷重受け部材3は、本実施形態において、円柱形状を有している。第1荷重受け部材3は、軸線方向を上下方向としてベース2の略中央に位置している。第1荷重受け部材3の下端は、ベース2に固定されている。第1荷重受け部材3の上端部は、第2荷重受け部材4を載置する載置面を有している。
【0025】
荷重受け部材である第2荷重受け部材4は、軸線方向駆動装置29からの荷重が加わる第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を支持する部材である。本実施形態において第2荷重受け部材4は、円柱形状を有している。第2荷重受け部材4は、軸線方向を上下方向として第1荷重受け部材3の上端部に載置されている。第2荷重受け部材4は、第1荷重受け部材3を介してベース2に支持されている。第2荷重受け部材4は、軸線方向で且つ第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9及び固定子100を挟んで後述する軸線方向駆動装置29とは反対側に位置している。
【0026】
第2荷重受け部材4は、第1保持治具6の径方向の位置を位置決めする円柱状の径方向位置決め部4aを有している。径方向位置決め部4aは、軸線を上下方向にして位置している。また、第2荷重受け部材4は、固定子100の径方向の位置を位置決めする円柱状の固定子位置決め部4cを有している。固定子位置決め部4cは、軸線を上下方向にして径方向位置決め部4aの上方に位置している。第2荷重受け部材4は、第1保持治具6の軸線方向の位置を位置決めする軸線方向位置決め部4bを有する。軸線方向位置決め部4bは、径方向位置決め部4aの軸線に対して垂直な平面である。軸線方向位置決め部4bは、第1保持治具6を載置する載置面である。軸線方向位置決め部4bは、径方向位置決め部4aの下端部に位置している。第2荷重受け部材4は、固定子位置決め部4cによって固定子100の軸線を第2荷重受け部材4の軸線に一致させる。
【0027】
第2荷重受け部材4は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を径方向位置決め部4aによって回転可能に支持する。また、第2荷重受け部材4は、軸線方向駆動装置29によって相対移動する固定子100及び第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に作用する軸線方向の荷重を軸線方向位置決め部4bによって受ける。
【0028】
図6に示すように、滑り軸受である第1滑り軸受5a、第2滑り軸受5b、第3滑り軸受5c及び第4滑り軸受5dは、各保持治具を回転可能に支持する軸受である。第1滑り軸受5a、第2滑り軸受5b、第3滑り軸受5c及び第4滑り軸受5dは、それぞれ直径が異なる円筒部分と、円筒部分の一端部に位置する鍔部分とを有している。第1滑り軸受5aは、第1保持治具6を回転可能に支持する。第2滑り軸受5bは、第2保持治具7を回転可能に支持する。第3滑り軸受5cは、第3保持治具8を回転可能に支持する。第4滑り軸受5dは、第4保持治具9を回転可能に支持する。
【0029】
保持治具である第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、第1導体105の内脚部105a及び外脚部105bと、第2導体106の内脚部106a及び外脚部106bとを保持するものである。
【0030】
第1保持治具6は、固定子100において、最も径方向の内方に位置する第2導体106の内脚部106aを保持する。第1保持治具6は、円筒状の第1径方向位置決め部6aと、第1径方向位置決め部6aの一端部から径方向に突出する第1軸線方向位置決め部6bとを有している。
【0031】
第1径方向位置決め部6a内には、第1滑り軸受5aの円筒部分を介して第2荷重受け部材4の径方向位置決め部4aが位置している。第1軸線方向位置決め部6bは、第1滑り軸受5aの鍔部分を介して第2荷重受け部材4の軸線方向位置決め部4b上に位置している。この際、第1保持治具6の軸線は、径方向位置決め部4aの軸線と一致している。これにより、第1保持治具6は、第2荷重受け部材4によって軸線方向及び径方向に位置決めされる。つまり、第1保持治具6は、第2荷重受け部材4の軸線に対する軸線方向及び径方向の位置が保持されている。
【0032】
第1保持治具6は、第1滑り軸受5aを介して第2荷重受け部材4に回転可能に支持されている。第1径方向位置決め部6aは、軸線方向の上端部に第2導体106の内脚部106aを保持する第1保持部6cを有している。本実施形態において、第1保持部6cは、軸線方向にへこむ凹部である。第1保持部6cにおいて、第2導体106の内脚部106aが接触する軸線方向に垂直な面である第1底面6dは、第2荷重受け部材4の軸線方向位置決め部4bから長さLだけ離れて位置している。第1軸線方向位置決め部6bは、径方向の外端部に周方向駆動装置10の駆動力が伝達される被連結部である第1凹部6eを少なくとも一つ有している。第1凹部6eは、径方向の外端から内方にへこんでいる。本実施形態において、第1保持治具6は、第1凹部6eを等間隔に6つ有している。
【0033】
第2保持治具7は、固定子100において、第2導体106の内脚部106aよりも径方向の外方に隣り合って位置する第1導体105の内脚部105aを保持する。第2保持治具7は、円筒状の第2径方向位置決め部7aと、第2径方向位置決め部7aの一端部から径方向に突出する鍔状の第2軸線方向位置決め部7bとを有している。第2径方向位置決め部7aは、第1径方向位置決め部6aよりも径方向に大きい。第2軸線方向位置決め部7bは、第1軸線方向位置決め部6bよりも径方向に大きい。
【0034】
第2径方向位置決め部7a内には、第2滑り軸受5bの円筒部分を介して第1保持治具6の第1径方向位置決め部6aが位置している。第2軸線方向位置決め部7bは、第2滑り軸受5bの鍔部分を介して第1保持治具6の第1軸線方向位置決め部6b上に位置している。この際、第2保持治具7の軸線は、径方向位置決め部4aの軸線と一致している。これにより、第2保持治具7は、第1保持治具6によって軸線方向及び径方向に位置決めされる。つまり、第2保持治具7は、第2荷重受け部材4の軸線に対する軸線方向及び径方向の位置が保持されている。
【0035】
第2保持治具7は、第2滑り軸受5bを介して第1保持治具6に回転可能に支持されている。第2径方向位置決め部7aは、軸線方向の上端部に内脚部105aを保持する第2保持部7cを有している。本実施形態において、第2保持部7cは、軸線方向にへこむ凹部である。第2保持部7cにおいて、第1導体105の内脚部105aが接触する軸線方向に垂直な面である第2底面7dは、第2荷重受け部材4の軸線方向位置決め部4bから長さLだけ離れて位置している。第2軸線方向位置決め部7bは、径方向の外端部に周方向駆動装置10の駆動力が伝達される被連結部である第2凹部7eを少なくとも一つ有している。第2凹部7eは、径方向の外端から内方にへこんでいる。本実施形態において、第2保持治具7は、第2凹部7eを等間隔に6つ有している。
【0036】
第3保持治具8は、固定子100において、第1導体105の内脚部105aよりも径方向の外方に隣り合って位置する第1導体105の外脚部105bを保持する。第3保持治具8は、円筒状の第3径方向位置決め部8aと、第3径方向位置決め部8aの一端部から径方向に突出する鍔状の第3軸線方向位置決め部8bとを有している。第3径方向位置決め部8aは、第2径方向位置決め部7aよりも径方向に大きい。第3軸線方向位置決め部8bは、第2軸線方向位置決め部7bよりも径方向に大きい。
【0037】
第3径方向位置決め部8a内には、第3滑り軸受5cの円筒部分を介して第2保持治具7の第2径方向位置決め部7aが位置している。第3軸線方向位置決め部8bは、第3滑り軸受5cの鍔部分を介して第2保持治具7の第2軸線方向位置決め部7b上に位置している。この際、第3保持治具8の軸線は、径方向位置決め部4aの軸線と一致している。これにより、第3保持治具8は、第2保持治具7によって軸線方向及び径方向に位置決めされる。つまり、第3保持治具8は、第2荷重受け部材4の軸線に対する軸線方向及び径方向の位置が保持されている。
【0038】
第3保持治具8は、第3滑り軸受5cを介して第2保持治具7に回転可能に支持されている。第3径方向位置決め部8aは、軸線方向の上端部に外脚部105bを保持する第3保持部8cを有している。本実施形態において、第3保持部8cは、軸線方向にへこむ凹部である。第3保持部8cにおいて、第1導体105の外脚部105bが接触する軸線方向に垂直な面である第3底面8dは、第2荷重受け部材4の軸線方向位置決め部4bから長さLだけ離れて位置している。第3軸線方向位置決め部8bは、径方向の外端部に周方向駆動装置10の駆動力が伝達される被連結部である第3凹部8eを少なくとも一つ有している。第3凹部8eは、径方向の外端から内方にへこんでいる。本実施形態において、第3保持治具8は、第3凹部8eを等間隔に6つ有している。
【0039】
図4から図6に示すように、第4保持治具9は、固定子100において、第1導体105の外脚部105bよりも径方向の外方に隣り合って位置する第2導体106の外脚部106bを保持する。第4保持治具9は、円筒状の第4径方向位置決め部9aと、第4径方向位置決め部9aの一端部から径方向に突出する鍔状の第4軸線方向位置決め部9bとを有している。第4径方向位置決め部9aは、第3径方向位置決め部8aよりも径方向に大きい。第4軸線方向位置決め部9bは、第3軸線方向位置決め部8bよりも径方向に大きい。
【0040】
第4径方向位置決め部9a内には、第4滑り軸受5dの円筒部分を介して第3保持治具8の第3径方向位置決め部8aが位置している。第4軸線方向位置決め部9bは、第4滑り軸受5dの鍔部分を介して第3保持治具8の第3軸線方向位置決め部8b上に位置している。この際、第4保持治具9の軸線は、径方向位置決め部4aの軸線と一致している。これにより、第4保持治具9は、第3保持治具8によって軸線方向及び径方向に位置決めされる。つまり、第4保持治具9は、第2荷重受け部材4の軸線に対する軸線方向及び径方向の位置が保持されている。
【0041】
第4保持治具9は、第4滑り軸受5dを介して第3保持治具8に回転可能に支持されている。第4径方向位置決め部9aは、軸線方向の上端部に外脚部106bを保持する第4保持部9cを有している。本実施形態において、第4保持部9cは、軸線方向にへこむ凹部である。第4保持部9cにおいて、第2導体106の外脚部106bが接触する軸線方向に垂直な面である第4底面9dは、第2荷重受け部材4の軸線方向位置決め部4bから長さLだけ離れて位置している。第4軸線方向位置決め部9bは、径方向の外端部に周方向駆動装置10の駆動力が伝達される被連結部である第4凹部9eを少なくとも一つ有している。第4凹部9eは、径方向の外端から内方にへこんでいる。本実施形態において、第4保持治具9は、第4凹部9eを等間隔に6つ有している。
【0042】
第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9の軸線は、それぞれ第2荷重受け部材4の径方向位置決め部4aの軸線と一致している。つまり、径方向の大きさが異なる第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、同心円状に位置している。第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、第2荷重受け部材4によってそれぞれ独立して回転可能に支持されている。また、第1保持治具6における第1保持部6cの第1底面6d、第2保持治具7における第2保持部7cの第2底面7d、第3保持治具8における第3保持部8cの第3底面8d及び第4保持治具9における第4保持部9cの第4底面9dは、第2荷重受け部材4の軸線方向位置決め部4bから軸線方向に長さLだけ離れている。つまり、各保持治具の底面は、軸線方向位置決め部4bからの軸線方向の距離が同一である。
【0043】
図3に示すように、周方向駆動装置10は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を周方向に移動させる駆動装置である。周方向駆動装置10は、支持柱11と,下支持板12と、上支持板13と、第1転がり軸受14aから第4転がり軸受14dと、第1連結部材15から第4連結部材18と、第1従動ギア23aから第4従動ギア23dと、駆動軸24と、4つの駆動ギア25と、4つのモータ26とを有する。なお、本実施形態において、周方向駆動装置10は、4つの保持治具を同時に移動可能に構成されている。
【0044】
支持柱11は、下支持板12と上支持板13とを支持する。支持柱11は、軸線方向を上下方向としてベース2に固定されている。支持柱11の上端部には、上支持板13が位置している。支持柱11の下方には、下支持板12が位置している。
【0045】
下支持板12は、第1転がり軸受14aと、駆動軸24と、4つのモータ26とを支持している。下支持板12は、支持柱11によってベース2から所定の間隔を空けて支持されている。下支持板12は、略中央に貫通孔12aを有する。貫通孔12a内には、第1荷重受け部材3が位置している。
【0046】
上支持板13は、載置台27を支持する。上支持板13は、支持柱11によって下支持板12から所定の間隔を空けて支持されている。上支持板13は、略中央に貫通孔13aを有する。貫通孔13a内には、第2荷重受け部材4、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9が位置している。
【0047】
第1転がり軸受14aは、第1連結部材15を回転可能に支持する。第1転がり軸受14aは、例えば、クロスローラーベアリングで構成される。第1転がり軸受14aは、下支持板12の上面に位置している。第1転がり軸受14aの内輪の内方には、第1荷重受け部材3が位置している。また、第1転がり軸受14aの軸線は、第2荷重受け部材4における径方向位置決め部4aの軸線と略一致している。第1転がり軸受14aの外輪は、下支持板12に固定されている。
【0048】
第1連結部材15は、モータ26の駆動力を第1保持治具6に伝達する。第1連結部材15は、円筒形状を有している。第1連結部材15の内径は、第1荷重受け部材3の外径よりも大きい。第1連結部材15内には、第1荷重受け部材3が位置している。第1連結部材15の軸線方向の下端部は、第1転がり軸受14aの内輪に回転可能に支持されている。また、第1連結部材15は、第1保持治具6の下方に位置している。第1連結部材15の軸線は、第1転がり軸受14aの軸線と一致している。これにより、第1連結部材15は、第2荷重受け部材4の軸線に対する軸線方向及び径方向の位置が保持されている。第1連結部材15は、上端部から軸線方向の上方に向かって突出する連結部である第1凸部15aを少なくとも一つ有している。本実施形態において、第1連結部材15は、第1凸部15aを周方向に等間隔に6つ有している。
【0049】
6つの第1凸部15aは、第1保持治具6が有する6つの第1凹部6e内にそれぞれ下方から挿入されている。第1連結部材15は、第1保持治具6の第1軸線方向位置決め部6bにおける下面に接触していない。また、第1連結部材15は、第1凹部6eにおける径方向の側面に接触していない。従って、第1連結部材15は、第1保持治具6に対して周方向に移動した場合、第1凸部15aの周方向の側面が第1凹部6eの周方向の側面のみに接触する。一方、第1保持治具6は、第1連結部材15に対して軸線方向に撓んだり移動したりした場合、第1連結部材15に接触しない。つまり、第1連結部材15と第1保持治具6とは、一方が他方に対して周方向に移動した場合のみ接触する。また、第1連結部材15は、第1保持治具6から軸方向の荷重を受けることがない。
【0050】
第1従動ギア23aは、モータ26からの駆動力が伝達される。第1従動ギア23aは、歯部を径方向の外方に向けて、第1連結部材15の下端部であって第1転がり軸受14aの近傍に固定されている。第1従動ギア23aの軸線は、第1連結部材15の軸線と一致している。
【0051】
第2転がり軸受14bは、第2連結部材16を回転可能に支持する。第2転がり軸受14bは、例えば、クロスローラーベアリングで構成される。第2転がり軸受14bは、第1連結部材15の下端部に位置している。また、第2転がり軸受14bの軸線は、第2荷重受け部材4における径方向位置決め部4aの軸線と略一致している。第2転がり軸受14bの外輪は、第1連結部材15に固定されている。
【0052】
第2連結部材16は、モータ26の駆動力を第2保持治具7に伝達する。第2連結部材16は、円筒形状を有している。第2連結部材16の内径は、第1連結部材15の外径よりも大きい。第2連結部材16内には、第1連結部材15が位置している。第2連結部材16の軸線方向の下端部は、第2転がり軸受14bの内輪に回転可能に支持されている。また、第2連結部材16は、第2保持治具7の下方に位置している。つまり、第2連結部材16は、第2転がり軸受14bを介して第1連結部材15に支持されている。第2連結部材16の軸線は、第2転がり軸受14bの軸線と一致している。これにより、第2連結部材16は、第2荷重受け部材4の軸線に対する軸線方向及び径方向の位置が保持されている。第2連結部材16は、上端部から軸線方向の上方に向かって突出する連結部である第2凸部16aを少なくとも一つ有している。本実施形態において、第2連結部材16は、第2凸部16aを等間隔に6つ有している。
【0053】
6つの第2凸部16aは、第2保持治具7が有する6つの第2凹部7e内にそれぞれ下方から挿入されている。また、第2連結部材16は、第2保持治具7の第2軸線方向位置決め部7bにおける下面に接触していない。また、第2連結部材16は、第2凹部7eにおける径方向の側面に接触していない。従って、第1連結部材15と同様に、第2連結部材16は、第2保持治具7に対して、周方向に移動した場合、第2凸部16aの周方向の側面が第2凹部7eの周方向の側面のみに接触する。よって、第1保持治具6は、第2連結部材16に対して軸線方向に撓んだり移動したりした場合、第2連結部材16に接触しない。また、第2連結部材16は、第2保持治具7から軸方向の荷重を受けることがない。
【0054】
第2従動ギア23bは、モータ26からの駆動力が伝達される。第2従動ギア23bは、歯部を径方向外方に向けて、第2連結部材16の下端部であって第2転がり軸受14bの近傍に固定されている。第2従動ギア23bの軸線は、第2連結部材16の軸線と略一致している。
【0055】
第3転がり軸受14cは、第3連結部材17を回転可能に支持する。第3転がり軸受14cは、例えば、クロスローラーベアリングで構成される。第3転がり軸受14cは、第2連結部材16の下端部に位置している。また、第3転がり軸受14cの軸線は、第2荷重受け部材4における径方向位置決め部4aの軸線と略一致している。第3転がり軸受14cの外輪は、第2連結部材16に固定されている。
【0056】
第3連結部材17は、モータ26の駆動力を第3保持治具8に伝達する。第3連結部材17は、円筒形状を有している。第3連結部材17の内径は、第2連結部材16の外径よりも大きい。第3連結部材17内には、第2連結部材16が位置している。また、第3連結部材17は、第3保持治具8の下方に位置している。第3連結部材17の軸線方向の下端部は、第3転がり軸受14cの内輪に回転可能に支持されている。つまり、第3連結部材17は、第3転がり軸受14cを介して第2連結部材16に支持されている。第3連結部材17の軸線は、第3転がり軸受14cの軸線と一致している。これにより、第3連結部材17は、第2荷重受け部材4の軸線に対する軸線方向及び径方向の位置が保持されている。第3連結部材17は、上端部から軸線方向の上方に向かって突出する連結部である第3凸部17aを少なくとも一つ有している。本実施形態において、第3連結部材17は、第3凸部17aを等間隔に6つ有している。
【0057】
6つの第3凸部17aは、第3保持治具8が有する6つの第3凹部8e内にそれぞれ下方から挿入されている。また、第3連結部材17は、第3保持治具8の第3軸線方向位置決め部8bにおける下面に接触していない。また、第3連結部材17は、第3凹部8eにおける径方向の側面に接触していない。従って、第3連結部材17は、第3保持治具8に対して、周方向に移動した場合、第3凸部17aの周方向の側面が第3凹部8eの周方向の側面のみに接触する。よって、第3保持治具8は、第3連結部材17に対して軸線方向に撓んだり移動したりした場合、第3連結部材17に接触しない。また、第3連結部材17は、第3保持治具8から軸方向の荷重を受けることがない。
【0058】
第3従動ギア23cは、モータ26からの駆動力が伝達される。第3従動ギア23cは、歯部を径方向外方に向けて、第3連結部材17の下端部であって第3転がり軸受14cの近傍に固定されている。第3従動ギア23cの軸線は、第3連結部材17の軸線と略一致している。
【0059】
第4転がり軸受14dは、第4連結部材18を回転可能に支持する。第3転がり軸受14cは、例えば、クロスローラーベアリングで構成される。第3転がり軸受14cは、第2連結部材16の下端部に位置している。また、第3転がり軸受14cの軸線は、第2荷重受け部材4における径方向位置決め部4aの軸線と略一致している。第4転がり軸受14dの外輪は、第3連結部材17に固定されている。
【0060】
第4連結部材18は、モータ26の駆動力を第3保持治具8に伝達する。第4連結部材18は、円筒形状を有している。第4連結部材18の内径は、第3連結部材17の外径よりも大きい。第4連結部材18内には、第3連結部材17が位置している。また、第4連結部材18は、第4保持治具9の下方に位置している。第4連結部材18の軸線方向の下端部は、第4転がり軸受14dの内輪に回転可能に支持されている。つまり、第4連結部材18は、第4転がり軸受14dを介して第3連結部材17に支持されている。第4連結部材18の軸線は、第4転がり軸受14dの軸線と一致している。これにより、第4連結部材18は、第2荷重受け部材4の軸線に対する軸線方向及び径方向の位置が保持されている。第4連結部材18は、上端部から軸線方向の上方に向かって突出する連結部である第4凸部18aを少なくとも一つ有している。本実施形態において、第4連結部材18は、第4凸部18aを等間隔に6つ有している。
【0061】
6つの第4凸部18aは、第4保持治具9が有する6つの第4凹部9e内にそれぞれ下方から挿入されている。また、第4連結部材18は、第4保持治具9の第4軸線方向位置決め部9bにおける下面に接触していない。また、第3連結部材17は、第3凹部8eにおける径方向の側面に接触していない。従って、第4連結部材18は、第4保持治具9に対して、周方向に移動した場合、第4凸部18aの周方向の側面が第4凹部9eの周方向の側面のみに接触する。よって、第4保持治具9は、第4連結部材18に対して軸線方向に撓んだり移動したりした場合、第4連結部材18に接触しない。また、第3連結部材17は、第3保持治具8から軸方向の荷重を受けることがない。
【0062】
第4従動ギア23dは、モータ26からの駆動力が伝達される。第4従動ギア23dは、歯部を径方向外方に向けて、第4連結部材18の下端部であって第4転がり軸受14dの近傍に固定されている。第4従動ギア23dの軸線は、第4連結部材18の軸線と略一致している。
【0063】
駆動軸24は、4つのモータ26の駆動力が伝達される4つの駆動ギア25をそれぞれ支持する。駆動軸24は、下支持板12と上支持板13とに回転可能に支持されている。駆動軸24は、第1転がり軸受14aの周囲に位置している。
【0064】
4つの駆動ギア25は、4つのモータ26の駆動力を各従動ギアに伝達する。4つの駆動ギアは、駆動軸24に支持されている。4つの駆動ギア25は、各従動ギアにそれぞれかみ合っている。
【0065】
4つのモータ26は、各保持治具を移動させる。4つのモータ26は、例えば移動量、移動速度、トルク等を制御可能なサーボモータによって構成される。4つのモータ26は、下支持板12に支持されている。4つのモータ26は、第1転がり軸受14aの周囲に位置している。4つのモータ26は、駆動ギア25にそれぞれ連結されている。4つのモータ26は、4つの駆動ギア25をそれぞれ独立して回転させる。
【0066】
このように構成される周方向駆動装置10を構成する支持柱11、下支持板12、上支持板13、第1転がり軸受14aから第4転がり軸受14d、第1連結部材15から第4連結部材18、第1従動ギア23aから第4従動ギア23d、駆動軸24、4つの駆動ギア25及び4つのモータ26は、第2荷重受け部材4、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に対して径方向の外方に位置している。周方向駆動装置10は、固定子100を載置する後述の載置台27及び第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9から軸線方向に荷重を受けることなく、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を載置台27及び載置台27に載置されている固定子100に対して周方向に移動させる。
【0067】
載置台27は、固定子コア101が載置される。載置台27は、板状部材である。載置台27は、弾性部材である圧縮バネ28を介して、上支持板13に支持されている。載置台27は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9の上方であって後述の軸線方向駆動装置29の下方に位置している。載置台27は、圧縮バネ28の伸縮により軸線方向に移動可能に構成されている。移動載置台27は、略中央に貫通孔27aを有する。貫通孔27a内には、第2荷重受け部材4、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9が位置している。
【0068】
軸線方向駆動装置29は、固定子100を軸線方向に移動する。軸線方向駆動装置29は、例えば油圧シリンダによって構成される。軸線方向駆動装置29は、ベース2の上板に支持されている。軸線方向駆動装置29は、載置台27の上方に位置している。つまり、軸線方向駆動装置29は、軸線方向で且つ第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9及び固定子100を挟んで第2荷重受け部材4とは反対側に位置している。
【0069】
軸線方向駆動装置29は、固定子100を移動させる加圧部材30を有している。軸線方向駆動装置29は、加圧部材30を介して固定子100の固定子コア101と第1導体105及び第2導体106とを軸線方向で且つ第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に近づく方向に移動させる。
【0070】
加圧部材30は、固定子コア101の軸線方向の上方から、固定子コア101における軸線方向の上面と第1導体105及び第2導体106の上端部とに接触可能に構成されている。つまり、加圧部材30は、軸線方向駆動装置29が固定子100を軸線方向に移動させる際、固定子コア101に対する第1導体105及び第2導体106の軸線方向の位置を保持する。
【0071】
次に、図7図8とを用いて捩じり曲げ装置による固定子100の第1導体105及び第2導体106の捩じり曲げについて説明する。図7は、捩じり曲げ装置1において、軸線方向駆動装置29によって固定子100を軸線方向の下方に移動させた状態での縦断面模式図である。図8は、捩じり曲げ装置1における軸線方向駆動装置29による固定子100の軸線方向の移動量と周方向駆動装置10による固定子100の周方向の移動量である角度との関係を表すグラフである。
【0072】
固定子100は、捩じり曲げ装置1の載置台27に載置される。この際、固定子コア101の貫通孔103aには、第2荷重受け部材4の固定子位置決め部4cが挿入さている。捩じり曲げ装置1は、載置台27によって固定子コア101を支持する。同時に、捩じり曲げ装置1は、固定子位置決め部4cによって固定子コア101を径方向に位置決めする。
【0073】
捩じり曲げ装置1は、軸線方向駆動装置29によって、載置台27上の固定子100を軸線方向の下方に移動する。軸線方向駆動装置29は、軸線方向の上方から加圧部材30を介して固定子100に接触する。軸線方向駆動装置29は、加圧部材30によって固定子コア101に対する第1導体105及び第2導体106の軸線方向の位置を維持しながら固定子100を下方に移動する。固定子100が載置されている載置台27は、圧縮バネ28の収縮によって軸線方向の下方に移動する。固定子100は、軸線方向の下方に移動する。つまり、固定子コア101、第1導体105及び第2導体106は、載置台27に対する位置が保持された状態で、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に近づく方向に移動に相対移動する。
【0074】
捩じり曲げ装置1は、固定子100に対して軸線方向駆動装置29による軸線方向の下方への加圧力(図7の矢印Ar1参照)と圧縮バネ28による軸線方向の上方への反力(図7の矢印Ar2参照)とを加える。これにより、捩じり曲げ装置1は、載置台27と加圧部材30とによって固定子コア101を軸線方向の上下から挟み込んで保持する。また、捩じり曲げ装置1は、軸線方向駆動装置29の加圧力と圧縮バネ28の反力のバランスによって固定子100の軸線方向の位置を調整する。
【0075】
捩じり曲げ装置1は、第2荷重受け部材4の軸線方向位置決め部4bから第1保持治具6の第1底面6d、第2保持治具7の第2底面7d、第3保持治具8の第3底面8d及び第4保持治具9の第4底面9dまでの距離である長さLが等しい。従って、捩じり曲げ装置1は、軸線方向駆動装置29によって、各保持治具の保持部における底面までの位置に基づいて固定子100の位置を調整することができる。
【0076】
捩じり曲げ装置1は、固定子100が有する第1導体105及び第2導体106のうち少なくとも一つの端部が各保持治具における保持部の底面に接触する位置まで、軸線方向駆動装置29によって固定子100を軸線方向の下方に移動させる。第1導体105及び第2導体106の端部が接触した第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9には、軸線方向駆動装置29からの加圧力が伝達される。この際、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、第2荷重受け部材4の軸線方向位置決め部4bによって軸線方向に支持されているので、軸線方向に移動しない。
【0077】
捩じり曲げ装置1は、第1導体105及び第2導体106がそれぞれ挿入されている第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を周方向駆動装置10によってそれぞれ周方向に移動する。この際、第1保持治具6及び第3保持治具8は、周方向の一方に回転する。また、第2保持治具7及び第4保持治具9は、周方向の他方に回転する。
【0078】
図8に示すように、第1導体105及び第2導体106は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9の回転によって捩じり曲げられる。第1導体105及び第2導体106の端部は、捩じり曲げ量の増加に伴い、軸線方向の上方に移動する。従って、捩じり曲げ装置1は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9における周方向の移動量に基づいて、軸線方向駆動装置29によって固定子100を軸線方向に移動する。この際、捩じり曲げ装置1は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9をそれぞれ独立して異なる周方向の位置に移動する。
【0079】
捩じり曲げ装置1は、周方向駆動装置10によって、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を所定の位置まで周方向に移動させると、周方向駆動装置10と軸線方向駆動装置29とを停止する。合わせて、捩じり曲げ装置1は、軸線方向駆動装置29によって加圧部材30を軸線方向の上方に移動する。固定子100は、圧縮バネ28の伸びによって軸線方向の上方に移動される。第1導体105及び第2導体106は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9から離れる。
【0080】
本発明の一実施形態に係る捩じり曲げ装置1は、円筒状の固定子コア本体部102と、固定子コア本体部102の内周側から径方向内方に延びる複数のティース103とを有する固定子コア101のスロット104内に第1導体105及び第2導体106が挿入された固定子100において、固定子コア101の軸線方向に突出した第1導体105及び第2導体106の端部を捩じり曲げる。
【0081】
捩じり曲げ装置1は、ベース2と、周方向に並んで位置し第1導体105及び第2導体106の端部を保持する複数の保持部を有する円筒状の第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9と、ベース2によって支持され、固定子100と、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9との少なくとも一方を他方に対して軸線方向で且つ近づく方向に移動させる軸線方向駆動装置29と、ベース2によって支持され、軸線方向で且つ第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9及び固定子100を挟んで軸線方向駆動装置10とは反対側に位置し、軸線方向駆動装置29によって相対移動する固定子100と、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9とに作用する軸線方向の荷重を受けるとともに第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を回転可能に支持する第2荷重受け部材4と、ベース2によって支持され、第2荷重受け部材4の径方向の外方に位置し、固定子100を載置する載置台27及び第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9から軸線方向に荷重を受けることなく、固定子100及び載置台27の少なくとも一方を他方に対して周方向に移動させる周方向駆動装置10と、を有する。
【0082】
上述のように構成される捩じり曲げ装置1は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に作用する軸線方向の荷重を第2荷重受け部材4で受ける。また、周方向駆動装置10は、軸方向の荷重をうけることなく第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を周方向に移動させる。従って、捩じり曲げ装置1において第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9加わる軸線方向の荷重は、第1滑り軸受5a、第2滑り軸受5b、第3滑り軸受5c及び第4滑り軸受5dを介して第2荷重受け部材4に伝達されるが、周方向駆動装置10には伝達されない。このため、捩じり曲げ装置1は、軸線方向の力が周方向駆動装置10に与える影響を考慮して第1導体105及び第2導体106に加える力を制限する必要がない。これにより、装置を大型化することなく、第1導体105及び第2導体106を捩じり曲げに関する性能を向上させることができる。
【0083】
他の観点によれば、捩じり曲げ装置1は、以下の構成を含むことが好ましい。第2荷重受け部材4は、支持している第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9の軸線に対して固定子位置決め部4cの軸線を一致させて固定子100を位置決めする固定子位置決め部材である第2荷重受け部材4の固定子位置決め部4cを有する。
【0084】
上述の構成では、第2荷重受け部材4は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9の軸線と固定子100の軸線Pとを一致させる固定子位置決め部4cを有している。捩じり曲げ装置1は、固定子位置決め部4cによって、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9の軸線と固定子100の軸線とを一致させるので、第1導体105及び第2導体106を第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9によって同時に捩じり曲げることができる。これにより、装置を大型化することなく第1導体105及び第2導体106を捩じり曲げに関する性能を向上させることができる。
【0085】
他の観点によれば、捩じり曲げ装置1は、以下の構成を含むことが好ましい。周方向駆動装置10の第1連結部材15、第2連結部材16、第3連結部材17及び第4連結部材18は、連結部材として、それぞれ軸線方向の上方に突出する第1凸部15a、第2凸部16a、第3凸部17a及び第4凸部18aを有する。第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、前記連結部材である第1凸部15a、第2凸部16a、第3凸部17a及び第4凸部18aがそれぞれ内部に位置する第1凹部6e、第2凹部7e、第3凹部8e及び第4凹部9e凹部を含む被連結部を有する。
【0086】
上述の構成では、第1連結部材15の連結部である第1凸部15aは、第1保持治具6の被連結部である第1凹部6e内に位置している。第2連結部材16の連結部である第2凸部16aは、第2保持治具7の被連結部である第2凹部7e内に位置している。第3連結部材17の連結部である第3凸部17aは、第3保持治具8の被連結部である第3凹部8e内に位置している。第4連結部材18の連結部である第4凸部18aは、第4保持治具9の被連結部である第4凹部9e内に位置している。よって、第1連結部材15、第2連結部材16、第3連結部材17及び第4連結部材18は、それぞれの内部に位置する第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を周方向に移動可能である。
【0087】
一方、第1連結部材15、第2連結部材16、第3連結部材17及び第4連結部材18は、それぞれ内部に位置する第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に軸線方向に接触しない。従って、周方向駆動装置10には、軸線方向駆動装置29によって第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に加わる軸線方向の力が伝達されない。このため、捩じり曲げ装置1は、周方向駆動装置10に軸方向から加わる力の影響を考慮して第1導体105及び第2導体106に加える力を制限する必要がない。これにより、装置を大型化することなく第1導体105及び第2導体106を捩じり曲げに関する性能を向上させることができる。
【0088】
他の観点によれば、捩じり曲げ装置1は、以下の構成を含むことが好ましい。第2荷重受け部材4は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を軸線方向に位置決めし、且つ回転可能に支持する軸線方向位置決め部4bを有する。
【0089】
上述の構成では、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、第2荷重受け部材4の軸線方向位置決め部4bによって支持されている。従って、軸線方向駆動装置29によって軸線方向に移動される固定子100及び第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9の少なくとも一方から第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に加わる力は、軸線方向位置決め部4bによって受け止められる。このため、捩じり曲げ装置1は、周方向駆動装置10に軸方向から加わる力の影響を考慮して第1導体105及び第2導体106に加える力を制限する必要がない。これにより、装置を大型化することなく第1導体105及び第2導体106を捩じり曲げに関する性能を向上させることができる。
【0090】
他の観点によれば、捩じり曲げ装置1は、以下の構成を含むことが好ましい。第2荷重受け部材4は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を径方向に位置決めし、且つ回転可能に支持する径方向位置決め部4aを有する。
【0091】
上述の構成では、第2荷重受け部材4は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9の径方向の位置を位置決めした状態で第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を回転可能に支持している。つまり、第2荷重受け部材4は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に加わる力を受け止めながら第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を回転させる。このため、捩じり曲げ装置1は、周方向駆動装置10に軸方向から加わる力の影響を考慮して第1導体105及び第2導体106に加える力を制限する必要がない。これにより、装置を大型化することなく第1導体105及び第2導体106を捩じり曲げに関する性能を向上させることができる。
【0092】
他の観点によれば、捩じり曲げ装置1は、以下の構成を含むことが好ましい。第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、径方向の大きさが異なる。第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、同心円状に位置し、第2荷重受け部材4によって、それぞれ独立して回転可能に支持されている。
【0093】
上述の構成では、径方向の大きさが異なる第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、同心円状に位置し、且つ第2荷重受け部材4によってそれぞれ独立して回転可能に支持されている。従って、捩じり曲げ装置1は、径方向の大きさが異なる第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9によって径方向に並んでいる第1導体105及び第2導体106をそれぞれ同時に捩じり曲げることができる。これにより、第1導体105及び第2導体106を捩じり曲げに関する性能を向上させることができる。
【0094】
他の観点によれば、捩じり曲げ装置1は、以下の構成を含むことが好ましい。径方向の大きさが異なる第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9における第1導体105及び第2導体106が挿入される第1保持部6c、第2保持部7c、第3保持部8c及び第4保持部9cは、それぞれ軸線方向に垂直な底面を有し、第2荷重受け部材4の軸線方向位置決め部4bに対する前記底面の軸線方向の位置は、同一である。
【0095】
上述の構成では、捩じり曲げ装置1は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に対して、第1導体105及び第2導体106を等しい軸線方向の位置に調整することができる。これにより、第1導体105及び第2導体106を捩じり曲げる精度を向上することができる。
【0096】
他の観点によれば、捩じり曲げ装置1は、以下の構成を含むことが好ましい。径方向の大きさが異なる第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9のうち最も径方向の大きさが小さい第1保持治具6は、第2荷重受け部材4によって、径方向に位置決めされる。また、径方向の大きさが異なる第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9のうち一の保持治具に対して径方向の外方に隣り合って位置する他の保持治具は、前記一の保持治具によって、径方向に位置決めされる。
【0097】
上述の構成では、径方向の大きさが異なり、同心円状に位置する第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、径方向の内方に隣り合って位置する保持治具によって径方向に位置決めされる。従って、捩じり曲げ装置1では、径方向の大きさが異なる第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9によって、径方向に隣り合って並んでいる第1導体105及び第2導体106を同心円の周方向にそれぞれ捩じり曲げることができる。これにより、第1導体105及び第2導体106を捩じり曲げる精度を向上することができる。
【0098】
他の観点によれば、捩じり曲げ装置1は、以下の構成を含むことが好ましい。第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、第1滑り軸受5a、第2滑り軸受5b、第3滑り軸受5c及び第4滑り軸受5dによってそれぞれ回転可能に支持されている。
【0099】
上述の構成では、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9は、それぞれ第1滑り軸受5a、第2滑り軸受5b、第3滑り軸受5c及び第4滑り軸受5dによって回転可能に支持されている。従って、捩じり曲げ装置1は、軸線方向駆動装置29によって第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に軸線方向の力を加えた状態で第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を周方向に滑らかに回転することができる。これにより、前記固定子の生産性を向上することができる。
【0100】
他の観点によれば、捩じり曲げ装置1は、以下の構成を含むことが好ましい。周方向駆動装置10は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に対して径方向の外方に位置する。上述の構成では、周方向駆動装置10が、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9に対して径方向外方に位置している。従って、周方向駆動装置10の動作状態を捩じり曲げ装置1の周囲から視認することができる。また、周方向駆動装置10のメンテナンスが容易になる。
【0101】
他の観点によれば、捩じり曲げ装置1は、以下の構成を含むことが好ましい。捩じり曲げ装置1は、周方向駆動装置10によって支持され、固定子100が載置される載置台27を有する。載置台27は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9と軸線方向駆動装置29との間に位置する。また、載置台27は、圧縮バネ28によって軸線方向に移動可能に支持されている。
【0102】
上述の構成では、捩じり曲げ装置1は、固定子100を載置する載置台27を有する。捩じり曲げ装置1には、固定子100のうち固定子コア101が圧縮バネ28で支持した載置台27に載置される。従って、捩じり曲げ装置1は、軸線方向駆動装置29が固定子100に加える軸線方向の下方の加圧力と圧縮バネ28が載置台27に加える軸線方向の上方の力とのバランスで固定子100の軸線方向の位置を調整する。これにより、第1導体105及び第2導体106を精度よく捻じ曲げることができる。
【0103】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0104】
上述の実施形態では、周方向駆動装置10は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を周方向に移動させる。しかしながら、周方向移動装置は、固定子100の軸線と各保持治具の軸線とが一致した状態で固定子100を周方向に移動させてもよい。また、周方向移動装置は、固定子100の軸線と各保持治具の軸線とが一致した状態で固定子100と各保持治具とをそれぞれ周方向に移動させてもよい。つまり、周方向移動装置は、前記固定子の軸線と前記保持治具の軸線とが一致した状態で前記保持治具及び前記固定子の少なくとも一方を他方に対して周方向に移動させる。
【0105】
上述の実施形態では、軸線方向駆動装置29は、固定子100を軸線方向に移動させている。しかしながら、軸線方向駆動装置は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を軸線方向に移動させてもよい。また、軸線方向移動装置は、固定子100と各保持治具とをそれぞれ軸線方向に移動させてもよい。
【0106】
上述の実施形態では、捩じり曲げ装置1は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9を有している。しかしながら、捩じり曲げ装置は、複数の保持治具を有していればよい。
【0107】
上述の実施形態では、捩じり曲げ装置1は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9をそれぞれ第1滑り軸受5a、第2滑り軸受5b、第3滑り軸受5c及び第4滑り軸受5dによって回転可能に支持している。しかしながら、複数の保持治具は、それぞれ転がり軸受によって回転可能に支持してもよい。
【0108】
上述の実施形態では、捩じり曲げ装置1は、第1保持治具6、第2保持治具7、第3保持治具8及び第4保持治具9がそれぞれ有する被連結部である凹部内に第1連結部材15、第2連結部材16、第3連結部材17及び第4連結部材18がそれぞれ有する連結部である凸部が位置している。しかしながら、連結部と被連結部とは、一方が他方に対して周方向に移動した場合のみ接触し、一方が他方に対して軸線方向に移動した場合に接触しない構成であればよい。
【0109】
上述の実施形態では、第1保持治具6が有する被連結部の第1凹部6eに第1連結部材15が有する連結部の第1凸部15aが位置している。第2保持治具7が有する被連結部の第2凹部7eに第2連結部材16が有する連結部の第2凸部16aが位置している。第3保持治具8が有する被連結部の第3凹部8eに第3連結部材17が有する連結部の第3凸部17aが位置している。第4保持治具9が有する被連結部の第4凹部9eに第4連結部材18が有する連結部の第4凸部18aが位置している。しかしながら、各連結部材が連結部として凹部を有し、各保持治具が被連結部として凸部を有する構成でもよい。また、各連結部材が連結部として軸線方向の穴を有し、各保持治具が被連結部として凸部を有する構成でもよい。また、各連結部材が連結部として凸部を有し、各保持治具が被連結部として穴を有する構成でもよい。また、被連結部は、固定子100が載置される載置台27が有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、捩じり曲げ装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 捩じり曲げ装置
2 ベース
3 第1荷重受け部材
4 第2荷重受け部材
4a 径方向位置決め部
4b 軸線方向位置決め部
4c 固定子位置決め部
5a 第1滑り軸受
5b 第2滑り軸受
5c 第3滑り軸受
5d 第4滑り軸受
6 第1保持治具
6a 第1径方向位置決め部
6b 第1軸線方向位置決め部
6c 第1保持部
6d 第1底面
6e 第1凹部
7 第2保持治具
7a 第2径方向位置決め部
7b 第2軸線方向位置決め部
7c 第2保持部
7d 第2底面
7e 第2凹部
8 第3保持治具
8a 第3径方向位置決め部
8b 第3軸線方向位置決め部
8c 第3保持部
8d 第3底面
8e 第3凹部
9 第4保持治具
9a 第4径方向位置決め部
9b 第4軸線方向位置決め部
9c 第4保持部
9d 第4底面
9e 第4凹部
10 周方向駆動装置
11 支持柱
12 下支持板
13 上支持板
14a 第1転がり軸受
14b 第2転がり軸受
14c 第3転がり軸受
14d 第4転がり軸受
15 第1連結部材
16 第2連結部材
17 第3連結部材
18 第4連結部材
23a 第1従動ギア
23b 第2従動ギア
23c 第3従動ギア
23d 第4従動ギア
24 駆動軸
25 駆動ギア
26 モータ
27 載置台
28 圧縮バネ
29 軸線方向駆動装置
30 加圧部材
100 固定子
101 固定子コア
102 固定子コア本体部
103 ティース
103a 貫通孔
104 スロット
105 第1導体
105a 内脚部
105b 外脚部
105c 屈曲部
106 第2導体
106a 内脚部
106b 外脚部
106c 屈曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8