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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031806
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20230302BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20230302BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137524
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 敬之
(72)【発明者】
【氏名】江川 智浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 元紀
(72)【発明者】
【氏名】木村 颯一朗
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005AA06
2K005CA04
2K005CA22
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA01
5C122FB02
5C122FB03
5C122FB11
5C122GE05
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可動体と支持体との間において、光軸方向又は光軸と交差する方向と、それ以外の方向との2つの方向に引力を生じさせることが可能な光学ユニットを提供する。
【解決手段】光学ユニット1は、可動体2と、支持体3と、第1吸引機構210とを有する。可動体は、光学要素10を有する。光学要素は、第1方向の一方側に進行する光を第1方向と交差する第2方向の一方側に反射する。支持体は、揺動軸線を中心として揺動可能に、可動体を支持する。第1吸引機構は、可動体と支持体との間において、吸引力を可動体に生じさせる。第1吸引機構は、第1吸引磁石121及び第1吸引磁性部材123を有する。第1吸引磁石及び第1吸引磁性部材の一方は、可動体に配置される。第1吸引磁石及び第1吸引磁性部材の他方は、支持体に配置される。第1所定方向から見て、第1吸引磁石と第1吸引磁性部材とは重なる。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の一方側に進行する光を前記第1方向と交差する第2方向の一方側に反射する光学要素を有する可動体と、
揺動軸線を中心として揺動可能に、前記可動体を支持する支持体と、
前記可動体と前記支持体との間において、吸引力を前記可動体に生じさせる第1吸引機構と
を有し、
前記第1吸引機構は、第1吸引磁石及び第1吸引磁性部材を有し、
前記第1吸引磁石及び前記第1吸引磁性部材の一方は、前記可動体に配置され、
前記第1吸引磁石及び前記第1吸引磁性部材の他方は、前記支持体に配置され、
第1所定方向から見て、前記第1吸引磁石と前記第1吸引磁性部材とは重なり、
前記第1所定方向は、前記第1方向、前記第2方向及び第3方向のいずれかの方向であり、
前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する方向であり、
前記第1所定方向から見て、前記第1吸引磁石の中心と前記第1吸引磁性部材の中心とは、離隔する、光学ユニット。
【請求項2】
前記可動体と前記支持体との間において、吸引力を前記可動体に生じさせる第2吸引機構をさらに有し、
前記第2吸引機構は、第2吸引磁石及び第2吸引磁性部材を有し、
前記第2吸引磁石及び前記第2吸引磁性部材の一方は、前記可動体に配置され、
前記第2吸引磁石及び前記第2吸引磁性部材の他方は、前記支持体に配置され、
前記第1吸引磁石及び前記第1吸引磁性部材の他方の中心は、前記第1吸引磁石及び前記第1吸引磁性部材の一方の中心に対して、前記第1所定方向と交差する第2所定方向の一方側に配置され、
前記第2吸引磁石及び前記第2吸引磁性部材の他方の中心は、前記第2吸引磁石及び前記第2吸引磁性部材の一方の中心に対して、前記第2所定方向の他方側に配置される、請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記可動体は、前記光学要素を保持するホルダと、前記ホルダを揺動可能に支持する第1支持部とを有し、
前記支持体は、前記第1支持部を揺動可能に支持する第2支持部を有し、
前記第1吸引磁石及び前記第1吸引磁性部材の一方は、前記第1支持部に配置され、
前記第1吸引磁石及び前記第1吸引磁性部材の他方は、前記第2支持部に配置され、
前記第2吸引磁石及び前記第2吸引磁性部材の一方は、前記ホルダに配置され、
前記第2吸引磁石及び前記第2吸引磁性部材の他方は、前記第2支持部に配置される、請求項2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記ホルダを前記第1支持部に対して揺動する第1揺動機構と、
前記第1支持部を前記第2支持部に対して揺動する第2揺動機構と
をさらに有し、
前記第1揺動機構は、前記第1吸引磁石及び前記第2吸引磁石の一方を有し、
前記第2揺動機構は、前記第1吸引磁石及び前記第2吸引磁石の他方を有する、請求項3に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記揺動軸線を中心として前記可動体を前記支持体に対して揺動する揺動機構をさらに有し、
前記揺動機構は、前記第1吸引磁石と前記第1吸引磁石に面するコイルとを有し、
前記第1吸引磁性部材は、前記コイルに対して前記可動体とは反対側に配置され、
前記第1所定方向から見て、前記第1吸引磁性部材の中心は、前記コイルの中心に対して前記第2所定方向の一方側に配置される、請求項2又は請求項3に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記第1吸引磁石、前記第1吸引磁性部材、前記第2吸引磁石及び前記第2吸引磁性部材は、前記第1所定方向及び前記第2所定方向に平行な同一平面上に配置される、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記可動体と前記支持体との間において、前記第1所定方向及び前記第2所定方向と交差する第3所定方向に沿った吸引力を前記可動体に生じさせる第3吸引機構をさらに有する、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記第3吸引機構は、第3吸引磁石及び第3吸引磁性部材を有する、請求項7に記載の光学ユニット。
【請求項9】
前記第1吸引磁石、前記第2吸引磁石及び前記第3吸引磁石の少なくとも1つは、前記第1吸引機構、前記第2吸引機構及び前記第3吸引機構のうちの2つ以上の吸引機構に兼用される、請求項8に記載の光学ユニット。
【請求項10】
前記第1所定方向は、前記第3方向である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項11】
前記揺動軸線は、前記第1方向及び前記第2方向の一方向に沿って延び、
前記支持体は、前記可動体を前記揺動軸線の軸線方向に支持する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラによって静止画又は動画を撮影する際に手振れに起因して像ブレが生じることがある。そして、像ブレを抑制して鮮明な撮影を可能にするための手振れ補正装置が実用化されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、反射モジュールと、反射モジュールを支持する駆動ホルダとを有するカメラモジュールが記載されている。反射モジュールは、反射部材と、反射部材が取り付けられる駆動フレームとを有する。駆動フレームは、駆動ホルダに対して回転軸を中心として回転する。駆動フレームには、引っ張り磁石が配置される。駆動ホルダには、引っ張りヨークが配置される。駆動フレームと駆動ホルダとの間で引力が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0129197号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のようなカメラモジュールでは、通常、磁石とヨークとは、光軸方向又は光軸と交差する方向から見て中心同士が重なるように配置される。
【0006】
しかしながら、光軸方向又は光軸と交差する方向から見て、磁石の中心とヨークの中心とが重なって配置されるので、磁石とヨークとの間には、光軸方向又は光軸と交差する方向のみに引力が生じる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動体と支持体との間において、光軸方向又は光軸と交差する方向と、それ以外の方向との2つの方向に引力を生じさせることが可能な光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な光学ユニットは、可動体と、支持体と、第1吸引機構とを有する。前記可動体は、光学要素を有する。前記光学要素は、第1方向の一方側に進行する光を前記第1方向と交差する第2方向の一方側に反射する。前記支持体は、揺動軸線を中心として揺動可能に、前記可動体を支持する。前記第1吸引機構は、前記可動体と前記支持体との間において、吸引力を前記可動体に生じさせる。前記第1吸引機構は、第1吸引磁石及び第1吸引磁性部材を有する。前記第1吸引磁石及び前記第1吸引磁性部材の一方は、前記可動体に配置される。前記第1吸引磁石及び前記第1吸引磁性部材の他方は、前記支持体に配置される。第1所定方向から見て、前記第1吸引磁石と前記第1吸引磁性部材とは重なる。前記第1所定方向は、前記第1方向、前記第2方向及び第3方向のいずれかの方向である。前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向と交差する方向である。前記第1所定方向から見て、前記第1吸引磁石の中心と前記第1吸引磁性部材の中心とは、離隔する。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本発明によれば、光軸方向又は光軸と交差する方向と、それ以外の方向との2つの方向に引力を生じさせることが可能な光学ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る光学ユニットを備えたスマートフォンを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る光学ユニットを示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係る光学ユニットを可動体と支持体とに分解した分解斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係る光学ユニットの可動体の分解斜視図である。
図5A図5Aは、図2のVA-VA線に沿った断面図である。
図5B図5Bは、図2のVB-VB線に沿った断面図である。
図5C図5Cは、図2のVC-VC線に沿った断面図である。
図5D図5Dは、図2のVD-VD線に沿った断面図である。
図6図6は、本実施形態に係る光学ユニットの光学要素及びホルダの分解斜視図である。
図7図7は、本実施形態に係る光学ユニットの光学要素、ホルダ及び予圧部を示す分解斜視図である。
図8図8は、本実施形態に係る光学ユニットの光学要素、ホルダ、予圧部、第1支持部及び第2磁石を示す分解斜視図である。
図9図9は、本実施形態に係る光学ユニットの可動体を示す斜視図である。
図10図10は、本実施形態に係る光学ユニットの第1支持部を第1方向Xの一方側X1から示す図である。
図11図11は、本実施形態に係る光学ユニットの支持体の分解斜視図である。
図12図12は、本実施形態に係る光学ユニットの第2支持部周辺を示す斜視図である。
図13図13は、本実施形態に係る光学ユニットの第2支持部を第1方向Xの他方側X2から示す図である。
図14図14は、本実施形態の変形例に係る光学ユニットの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
本明細書では、理解の容易のため、互いに交差する第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zを適宜記載している。また、本明細書では、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zは互いに直交しているが、直交していなくてもよい。また、第1方向の一方側を第1方向Xの一方側X1と記載し、第1方向の他方側を第1方向Xの他方側X2と記載する。また、第2方向の一方側を第2方向Yの一方側Y1と記載し、第2方向の他方側を第2方向Yの他方側Y2と記載する。また、第3方向の一方側を第3方向Zの一方側Z1と記載し、第3方向の他方側を第3方向Zの他方側Z2と記載する。また、便宜上、第1方向Xを上下方向として説明する場合がある。第1方向Xの一方側X1は下方向を示し、第1方向Xの他方側X2は上方向を示す。ただし、上下方向、上方向、及び下方向は、説明の便宜上定めるものであり、鉛直方向に一致する必要はない。また、あくまで説明の便宜のために上下方向を定義したに過ぎず、本発明に係る光学ユニットの使用時及び組立時の向きを限定しない。
【0013】
まず、図1を参照して、光学ユニット1の用途の一例について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る光学ユニット1を備えたスマートフォン200を模式的に示す斜視図である。スマートフォン200は、光学ユニット1を有する。光学ユニット1は、入射した光を特定の方向に反射する。図1に示すように、光学ユニット1は、例えばスマートフォン200の光学部品として好適に用いられる。なお、光学ユニット1の用途は、スマートフォン200に限定されず、デジタルカメラ及びビデオカメラなどの種々の装置に使用できる。
【0014】
スマートフォン200は、光の入射するレンズ202を有する。スマートフォン200では、光学ユニット1は、レンズ202よりも内側に配置される。光Lがレンズ202を介してスマートフォン200の内部に入射すると、光Lは光学ユニット1によって進行方向が変更される。そして、光Lは、レンズユニット(図示せず)を介して撮像素子(図示せず)で撮像される。
【0015】
次に、図2から図13を参照して、光学ユニット1について説明する。図2は、本実施形態に係る光学ユニット1を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る光学ユニット1を可動体2と支持体3とに分解した分解斜視図である。図2及び図3に示すように、光学ユニット1は、可動体2と、支持体3と、第1吸引機構210とを有する。
【0016】
本明細書では、理解を容易にするために、まず、本実施形態の光学ユニット1の概要を説明する。可動体2は、光学要素10を有する。光学要素10は、第1方向Xの一方側に進行する光L(図2参照)を第1方向Xと交差する第2方向Yの一方側にY1に反射する。支持体3は、第2揺動軸線A2を中心として揺動可能に、可動体2を支持する。なお、第2揺動軸線A2は、本発明の「揺動軸線」の一例である。第1吸引機構210は、可動体2と支持体3との間において、吸引力(以下、引力と記載することがある)を可動体2に生じさせる。なお、本明細書において、吸引力とは、2つの物質の間において互いに引き合う力を意味する。
【0017】
揺動軸線は、第1方向X及び第2方向Yの一方向に沿って延びる。支持体3は、可動体2を揺動軸線の軸線方向に支持する。従って、支持体3は、可動体2を揺動軸線を中心として容易に揺動させることができる。なお、本実施形態では、支持体3が第1方向Xに延びる第2揺動軸線A2の軸線方向に可動体2を支持する例について説明するが、本発明はこれに限らない。例えば、支持体3が第2方向Yに延びる第1揺動軸線A1の軸線方向に可動体2を支持してもよい。
【0018】
第1吸引機構210は、第2磁石121及び磁性部材123を有する。なお、第2磁石121は、本発明の「第1吸引磁石」の一例である。また、磁性部材123は、本発明の「第1吸引磁性部材」の一例である。第2磁石121及び磁性部材123の一方は、可動体2に配置される。第2磁石121及び磁性部材123の他方は、支持体3に配置される。第1所定方向から見て、第2磁石121と磁性部材123とは、重なる。第1所定方向は、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zのいずれかの方向である。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yと交差する方向である。本実施形態では、第1所定方向は、第3方向Zである。従って、可動体2に第3方向Zの引力を生じさせることができる。
【0019】
図5Bに示すように、第1所定方向から見て、第2磁石121の中心O121と磁性部材123の中心O123とは、離隔する。従って、可動体2と支持体3との間において、第1所定方向と、第1所定方向以外の方向との2つの方向に引力を生じさせることができる。本実施形態では、可動体2と支持体3との間において、第3方向Z及び第2方向Yとの2つの方向に引力を生じさせることができる。
【0020】
光学ユニット1は、可動体2と支持体3との間において、吸引力を可動体2に生じさせる第2吸引機構220をさらに有する。第2吸引機構220は、第1磁石111及び磁性部材112を有する。なお、第1磁石111は、本発明の「第2吸引磁石」の一例である。また、磁性部材112は、本発明の「第2吸引磁性部材」の一例である。第1磁石111及び磁性部材112の一方は、可動体2に配置される。第1磁石111及び磁性部材112の他方は、支持体3に配置される。
【0021】
第1吸引機構210の第2磁石121及び磁性部材123の他方(支持体3に配置される部材)の中心は、第2磁石121及び磁性部材123の一方(可動体2に配置される部材)の中心に対して、第1所定方向と交差する第2所定方向の一方側に配置される。本実施形態では、支持体3に配置される磁性部材123の中心O123は、可動体2に配置される第2磁石121の中心O121に対して、第3方向Zと交差する第2方向Yの一方側Y1に配置される。また、第2吸引機構220の第1磁石111及び磁性部材112の他方(支持体3に配置される部材)の中心は、第1磁石111及び磁性部材112の一方(可動体2に配置される部材)の中心に対して、第2所定方向の他方側に配置される。従って、第2吸引機構220により可動体2に作用する力の向きと、第1吸引機構210により可動体2に作用する力の向きとを、第2所定方向において逆方向にできる。よって、第2吸引機構220により可動体2に作用する第2所定方向の力を、第1吸引機構210によって打ち消す又は小さくすることができる。本実施形態では、支持体3に配置される磁性部材112の中心O112は、可動体2に配置される第1磁石111の中心O111に対して、第2方向Yの他方側Y2に配置される。なお、第1磁石111の中心O111、及び、磁性部材112の中心O112は、第3方向Zにおいて、第2揺動軸線A2と同じ位置に配置される。
【0022】
図3及び図5Bに示すように、可動体2は、光学要素10を保持するホルダ20と、ホルダ20を揺動可能に支持する第1支持部30とを有する。支持体3は、第1支持部30を揺動可能に支持する第2支持部60を有する。第1吸引機構210の第2磁石121及び磁性部材123の一方は、第1支持部30に配置される。第2磁石121及び磁性部材123の他方は、第2支持部60に配置される。また、第2吸引機構220の第1磁石111及び磁性部材112の一方は、ホルダ20に配置される。第1磁石111及び磁性部材112の他方は、第2支持部60に配置される。従って、第1支持部30に作用する第2所定方向の力を打ち消す又は小さくしながら、ホルダ20に対しては、第2所定方向の他方側に吸引力を作用させることができる。具体的には、第2吸引機構220によって、ホルダ20に対して第2所定方向の他方側に吸引力が作用する。このとき、ホルダ20を支持する第1支持部30にも第2所定方向の他方側に力が作用する。また、第1吸引機構210によって、第1支持部30に対して第2所定方向の一方側に吸引力が作用する。従って、第1支持部30に対する第2吸引機構220及び第1吸引機構210の第2所定方向の合力を、ゼロ又は小さくできる。その一方、ホルダ20に対しては、第2所定方向の他方側に力を作用させることができる。
【0023】
以下、本実施形態の光学ユニット1の構造を詳細に説明する。
【0024】
図4は、本実施形態に係る光学ユニット1の可動体2の分解斜視図である。図2から図4に示すように、光学ユニット1は、可動体2と、支持体3とを有する。支持体3は、第2揺動軸線A2を中心として揺動可能に、可動体2を支持する。なお、第2揺動軸線A2は、本発明の「揺動軸線」の一例である。
【0025】
可動体2は、光学要素10を有する。また、可動体2は、ホルダ20と、第1支持部30とを有する。また、可動体2は、予圧部40を有する。光学要素10は、光の進行方向を変える。ホルダ20は、光学要素10を保持する。第1支持部30は、第2揺動軸線A2と交差する第1揺動軸線A1を中心として揺動可能に、ホルダ20及び光学要素10を支持する。また、第1支持部30は、第2揺動軸線A2を中心として揺動可能に、支持体3に支持される。より具体的には、第1支持部30は、第2揺動軸線A2を中心として揺動可能に、支持体3の第2支持部60に支持される。
【0026】
つまり、ホルダ20は第1支持部30に対して揺動可能であり、第1支持部30は第2支持部60に対して揺動可能である。従って、第1揺動軸線A1及び第2揺動軸線A2のそれぞれを中心として光学要素10を揺動できるため、第1揺動軸線A1及び第2揺動軸線A2のそれぞれを中心として光学要素10の姿勢を補正できる。よって、2つの方向において像ブレを抑制できる。その結果、1つの揺動軸線のみを中心として光学要素10を揺動させる場合に比べて、補正精度を向上できる。なお、第1揺動軸線A1は、ピッチング軸とも呼ばれる。第2揺動軸線A2は、ロール軸とも呼ばれる。
【0027】
本実施形態では、上述したように、第1支持部30は、ホルダ20及び光学要素10を支持する。また、第1支持部30は、第2支持部60に支持される。すなわち、ホルダ20及び光学要素10は、第1支持部30を介して、間接的に支持体3の第2支持部60に支持される。なお、ホルダ20及び光学要素10は、第1支持部30を介さずに、直接的に支持体3の第2支持部60に支持されてもよい。すなわち、可動体2は、第1支持部30を有しなくてもよい。
【0028】
本実施形態では、上述したように、第1支持部30は、ホルダ20及び光学要素10を支持する。また、第1支持部30は、第2支持部60に支持される。すなわち、ホルダ20及び光学要素10は、第1支持部30を介して、間接的に支持体3の第2支持部60に支持される。なお、ホルダ20及び光学要素10は、第1支持部30を介さずに、直接的に支持体3の第2支持部60に支持されてもよい。すなわち、可動体2は、第1支持部30を有しなくてもよい。
【0029】
第1揺動軸線A1は、第1方向X及び第2方向Yに対して交差する第3方向Zに沿って延びる軸線である。また、第2揺動軸線A2は、第1方向Xに沿って延びる軸線である。従って、第1方向X及び第2方向Yと交差する第1揺動軸線A1を中心として光学要素10を揺動できる。また、第1方向Xに沿って延びる第2揺動軸線A2を中心として光学要素10を揺動できる。よって、光学要素10の姿勢を適切に補正できる。また、第1方向X及び第2方向Yは、光L(図5A)の進行方向に沿った方向である。つまり、光の進行方向である第1方向X及び第2方向Yと交差する第1揺動軸線A1を中心として光学要素10を揺動できる。従って、光学要素10の姿勢をより適切に補正できる。
【0030】
また、第1支持部30は、第3方向Zにホルダ20を支持する。従って、第1支持部30を、第3方向Zに沿って延びる第1揺動軸線A1を中心として容易に揺動できる。具体的には、本実施形態では、第1支持部30は、予圧部40を介して第3方向Zにホルダ20を支持する。
【0031】
図5Aは、図2のVA-VA線に沿った断面図である。図5Bは、図2のVB-VB線に沿った断面図である。図5Cは、図2のVC-VC線に沿った断面図である。図5Dは、図2のVD-VD線に沿った断面図である。図6は、本実施形態に係る光学ユニット1の光学要素10及びホルダ20の分解斜視図である。図5Aから図5D及び図6に示すように、光学要素10は、プリズムからなる。プリズムは、空気よりも屈折率の高い透明な材料から形成される。なお、光学要素10は、例えば、板状の鏡であってもよい。本実施形態では、光学要素10は、略三角柱形状を有する。具体的には、光学要素10は、光入射面11と、光出射面12と、反射面13と、一対の側面14とを有する。光入射面11には、光Lが入射される。光出射面12は、光入射面11に接続する。光出射面12は、光入射面11に対して垂直に配置される。反射面13は、光入射面11及び光出射面12に接続する。反射面13は、光入射面11及び光出射面12のそれぞれに対して約45度傾斜する。反射面13は、第1方向Xの一方側X1に進行する光Lを、第1方向Xと交差する第2方向Yの一方側Y1に反射する。一対の側面14は、光入射面11、光出射面12及び反射面13に接続する。
【0032】
また、光学要素10の光軸L10と第2揺動軸線A2とは、重なって配置される。なお、本明細書において、光学要素10の光軸L10とは、光学要素10の光入射面11に対して垂直で且つ反射面13の中心を通過する軸線、又は光の入射するレンズ202の光軸、又は反射先にあるレンズユニットの光軸と反射面13との交点を通り、レンズユニットの光軸に対して垂直な方向に延びる軸線、又は、撮像素子の中心を通る直線と反射面13との交点を通り、撮像素子の中心を通る直線に対して垂直な方向に延びる軸線の少なくともいずれかと一致する軸線を意味する。典型的には、光学要素10の光入射面11に対して垂直で且つ反射面13の中心を通過する軸線と、光の入射するレンズ202の光軸と、反射先にあるレンズユニットの光軸と反射面13との交点を通り、レンズユニットの光軸に対して垂直な方向に延びる軸線と、撮像素子の中心を通る直線と反射面13との交点を通り、撮像素子の中心を通る直線に対して垂直な方向に延びる軸線とは全て一致する。
【0033】
ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方は、予圧部40とは反対側に窪む凹部、又は、予圧部40に向かって突出する凸部を有する。本実施形態では、ホルダ20は、予圧部40とは反対側に窪む軸上凹部22bを有する。
【0034】
具体的には、ホルダ20は、例えば樹脂からなる。ホルダ20は、ホルダ本体21と、一対の側面部22とを有する。また、ホルダ20は、一対の対向側面22aと、軸上凹部22bとを有する。
【0035】
ホルダ本体21は、第3方向Zに延びる。ホルダ本体21は、支持面21aと、複数の凹部21dとを有する。本実施形態では、ホルダ本体21は、3つの凹部21dを有する。支持面21aは、光学要素10を支持する。支持面21aは、光学要素10の反射面13に面し、一対の側面部22に接続される面である。支持面21aは、光Lの入射方向に対して約45度傾斜した傾斜面であり、傾斜面の略全域にわたって光学要素10の反射面13と接触する。光Lの入射方向は、第1方向Xの一方側X1に向かう方向である。凹部21dは、支持面21aに配置される。凹部21dは、光学要素10とは反対側に窪む。なお、ホルダ本体21は、凹部21dを有しなくてもよい。
【0036】
また、ホルダ本体21は、背面21bと、下面21cとを有する。背面21bは、支持面21aのうち光Lの出射方向とは反対側の端部に接続する。なお、「光Lの出射方向」は、第2方向Yの一方側Y1である。また、「光Lの出射方向とは反対側の端部」は、第2方向Yの他方側Y2の端部である。下面21cは、支持面21a及び背面21bに接続する。
【0037】
一対の側面部22は、ホルダ本体21から第3方向Zと交差する交差方向に延びる。交差方向は、例えば、第1方向X及び第2方向Yを含む。一対の側面部22は、ホルダ本体21の第3方向Zの両端に配置される。一対の側面部22は、第3方向Zに互いに対称な形状を有する。一対の対向側面22aは、一対の側面部22のそれぞれに配置される。一対の対向側面22aは、一対の予圧部40にそれぞれ対向する。予圧部40の詳細構造については、後述する。軸上凹部22bは、対向側面22aに配置される。軸上凹部22bは、第1揺動軸線A1上においてホルダ20の内側に向かって窪む。軸上凹部22bは、予圧部40の軸上凸部45の少なくとも一部を収容する。軸上凹部22bは、凹状の球面の少なくとも一部を有する。
【0038】
また、ホルダ20及び第1支持部30の一方は、制限凹部22cを有する。制限凹部22cは、第1揺動軸線A1と交差する方向に予圧部40の突出部46が移動することを制限する。
【0039】
本実施形態では、ホルダ20は、制限凹部22cを有する。具体的には、制限凹部22cは、対向側面22aに配置される。制限凹部22cは、予圧部40が側面部22に沿って所定距離以上移動することを制限する。より具体的には、制限凹部22cは、第3方向Zにおいてホルダ20の内側に向かって窪む。制限凹部22cは、内面22dを有する。例えば、制限凹部22cは、第1方向Xの両側、及び、第2方向Yの両側が閉じた凹部であってもよい。また、例えば、制限凹部22cは、第1方向Xの片側が開放した凹部であってもよいし、第2方向Yの片側が開放した凹部であってもよい。
【0040】
制限凹部22cの内部には、予圧部40の突出部46が配置される。予圧部40の突出部46は、軸上凸部45が軸上凹部22bに嵌った状態で、制限凹部22cの内面22dから所定距離をおいて離隔する。その一方、光学ユニット1に衝撃等が加わってホルダ20が例えば第1方向X及び第2方向Yに所定距離以上移動しそうになった場合、予圧部40の突出部46が制限凹部22cの内面22dに接触する。従って、ホルダ20が予圧部40から外れることを抑制できる。制限凹部22cは、本実施形態では、例えば4つ設けられている。制限凹部22cの数は、1つであってもよいが、複数であることが好ましい。
【0041】
光学ユニット1は、予圧部40を有する。予圧部40は、ホルダ20と第1支持部30とを接続する。予圧部40は、弾性変形可能である。また、予圧部40は、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方に配置される。予圧部40は、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも他方に対して、第1揺動軸線A1の軸線方向に予圧を付与する。従って、ホルダ20が第1支持部30に対して第1揺動軸線A1の軸線方向に位置ズレすることを抑制できる。また、各部材の寸法に製造誤差が生じた場合であっても、第1揺動軸線A1の軸線方向にがたつき等が生じることを抑制できる。言い換えると、例えば、第1揺動軸線A1の軸線方向にホルダ20の位置が変位することを抑制できる。第1揺動軸線A1の軸線方向は、第3方向Zに沿った方向である。なお、本明細書において「予圧を付与する」とは、予め荷重を与えることを意味する。
【0042】
次に、図7及び図8を参照して、予圧部40の詳細構造について説明する。図7は、本実施形態に係る光学ユニット1の光学要素10、ホルダ20及び予圧部40を示す分解斜視図である。図8は、本実施形態に係る光学ユニット1の光学要素10、ホルダ20、予圧部40、第1支持部30及び第2磁石121を示す分解斜視図である。図7及び図8に示すように、予圧部40は、ホルダ20と第1支持部30との間に配置される。予圧部40は、ホルダ20に対して第1揺動軸線A1の軸線方向に予圧を付与する。
【0043】
具体的には、本実施形態では、各予圧部40は、単一の部材である。予圧部40は、1枚の板部材を折り曲げることによって形成されている。予圧部40は、本実施形態では板バネである。予圧部40は、第1支持部30に配置される。
【0044】
予圧部40は、ホルダ20側に位置する第1面部41と、第1支持部30側に位置する第2面部42と、第1面部41及び第2面部42を接続する湾曲部43とを有する。従って、予圧部40を第1揺動軸線A1の軸線方向に容易に変形できる。その結果、湾曲部43のたわみにより弾性力が生じるため、簡素な構成で、ホルダ20に対して軸線方向に容易に予圧を付与できる。
【0045】
具体的には、第1面部41は、第1揺動軸線A1の軸線方向においてホルダ20に対向する。第1面部41は、ホルダ20の側面部22に対向する。第1面部41は、第1方向X及び第2方向Yに沿って延びる。第1面部41は、側面部22に沿って配置される。第2面部42は、第1揺動軸線A1の軸線方向において第1支持部30に対向する。第2面部42は、第1支持部30の側面部32に対向する。第2面部42は、第1方向X及び第2方向Yに沿って延びる。第2面部42は、側面部32に沿って配置される。
【0046】
湾曲部43は、弾性変形可能である。よって、第1面部41及び第2面部42は、互いに接近又は離隔する方向に移動可能である。本実施形態では、予圧部40がホルダ20と第1支持部30との間に配置された状態で、第1面部41及び第2面部42が互いに接近するように、予圧部40は第1揺動軸線A1の軸線方向に圧縮変形される。従って、予圧部40は、変形量に応じた反力によってホルダ20に予圧を付与する。
【0047】
予圧部40は、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方に向かって突出する凸部、又は、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方とは反対側に窪む凹部を有する。予圧部40の凸部又は凹部は、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方の凹部又は凸部に接触する。本実施形態では、予圧部40は、軸上凸部45を有する。軸上凸部45は、ホルダ20に向かって突出する。予圧部40の軸上凸部45は、ホルダ20の軸上凹部22bに接触する。
【0048】
また、本実施形態では、軸上凸部45は、第1面部41に配置される。軸上凸部45は、第1揺動軸線A1上においてホルダ20に向かって突出する。軸上凸部45は、球面の少なくとも一部を有する。軸上凸部45の一部は、軸上凹部22bに収容される。従って、軸上凸部45と軸上凹部22bとが点接触するので、予圧部40によってホルダ20を安定して支持できる。
【0049】
また、本実施形態では、予圧部40は一対設けられている。つまり、光学ユニット1は、予圧部40を一対有する。一対の予圧部40は、ホルダ20に対して第1揺動軸線A1の軸線方向の両側に配置される。従って、予圧部40をホルダ20の片側のみに配置する場合に比べて、ホルダ20をより安定して支持できる。
【0050】
具体的には、一対の予圧部40の軸上凸部45は、ホルダ20の一対の軸上凹部22bにそれぞれ接触する。ホルダ20は、軸上凸部45と接触する2つの接点で予圧部40によって、第1揺動軸線A1の軸線方向の両側から支持される。従って、ホルダ20は、2つの接点を通過する第1揺動軸線A1を中心として揺動可能である。
【0051】
また、予圧部40は、突出部46をさらに有する。突出部46は、第1面部41及び第2面部42の一方に配置されるとともに、ホルダ20及び第1支持部30の一方に向かって突出する。本実施形態では、突出部46は、軸上凸部45と同様、第1面部41に配置される。突出部46は、第1揺動軸線A1に沿った方向において、ホルダ20に向かって突出する。突出部46は、制限凹部22cに対応して設けられる。突出部46は、各予圧部40に例えば4つ設けられる。突出部46の一部は、制限凹部22cに収容される。突出部46は、軸上凸部45を囲うように配置される。言い換えると、軸上凸部45は、4つの突出部46を含む領域の内部に配置される。なお、突出部46の数は、例えば、1つ~3つ、又は、5つ以上であってもよい。また、突出部46は、第1面部41の端部を折り曲げることによって形成されている。
【0052】
予圧部40は、取付部47を有する。取付部47は、例えば第2面部42に配置される。取付部47は、第2面部42の上端に配置される。取付部47は、第1支持部30の側面部32の上端に取り付けられる。取付部47は、例えば、側面部32の上端を第1方向Xに挟み込むことにより、側面部32に取り付けられる。なお、予圧部40は、取付部47を有しなくてもよく、例えば、接着剤等を用いて第1支持部30に固定されてもよい。
【0053】
図9は、本実施形態に係る光学ユニット1の可動体2を示す斜視図である。図10は、本実施形態に係る光学ユニット1の第1支持部30を第1方向Xの一方側X1から示す図である。図11は、本実施形態に係る光学ユニット1の支持体3の分解斜視図である。図12は、本実施形態に係る光学ユニット1の第2支持部60周辺を示す斜視図である。
【0054】
図9から図12に示すように、可動体2及び支持体3の一方は、可動体2及び支持体3の他方に向かって突出する第1凸部71を有する。具体的には、第1支持部30及び第2支持部60の一方は、第1支持部30及び第2支持部60の他方に向かって突出する第1凸部71を有する。可動体2及び支持体3の他方は、第1凸部71に接触する。第1凸部71は、第2揺動軸線A2上に配置される。従って、可動体2は、第1凸部71を中心として揺動する。よって、可動体2と支持体3との接触位置から揺動中心までの長さを小さくできる。可動体2を揺動させる際に必要な力は、接触位置から揺動中心までの長さと摩擦力との積であるので、第1凸部71を第2揺動軸線A2上に配置することによって、可動体2を揺動させる際に必要な力を低減できる。つまり、光学ユニット1の駆動に必要な力を低減できる。なお、第1凸部71の材質は、特に限定されるものではないが、第1凸部71は、例えばセラミック、樹脂又は金属により形成される。
【0055】
また、第1凸部71が第2揺動軸線A2上に配置されることによって、可動体2と支持体3との接触位置は、第1凸部71に対して移動しない。従って、例えば、可動体2が揺動する際に可動体2及び支持体3の他方が第1凸部71に対して摺動する場合に比べて、可動体2及び支持体3の他方と第1凸部71との間の摩擦力を小さくできる。また、光軸L10と第2揺動軸線A2とが重なって配置されるため、可動体2を揺動させた際に光軸L10が第2揺動軸線A2からずれることを抑制できる。
【0056】
また、本実施形態では、支持体3が、第1凸部71を有する。従って、可動体2が揺動する際に第1凸部71が回転することを抑制できる。よって、第1凸部71によって可動体2を安定して支持できる。その結果、可動体2の揺動が安定する。
【0057】
また、可動体2及び支持体3の一方は、可動体2及び支持体3の他方に向かって突出する複数の第2凸部72を有する。具体的には、第1支持部30及び第2支持部60の一方は、第1支持部30及び第2支持部60の他方に向かって突出する複数の第2凸部72を有する。複数の第2凸部72は、第2揺動軸線A2から離隔した位置に配置される。可動体2及び支持体3の他方は、複数の第2凸部72に接触する。第1凸部71及び複数の第2凸部72は、第2揺動軸線A2と交差する同一平面上に配置される。従って、同一平面上に配置される第1凸部71及び複数の第2凸部72によって、可動体2を支持できる。その結果、可動体2を安定して支持できる。なお、第1凸部71及び複数の第2凸部72が配置される同一平面としては、例えば、対向面61aを含む平面、又は、下対向面31eを含む平面が挙げられる。また、第2凸部72の材質は、特に限定されるものではないが、第2凸部72は、例えばセラミック、樹脂又は金属により形成される。
【0058】
また、第2凸部72の位置は、一定である。言い換えると、第2凸部72は、可動体2及び支持体3の一方に対して移動しない。本実施形態では、第2凸部72は、支持体3に対して移動しない。言い換えると、本実施形態では、可動体2が揺動した場合も、支持体3に対する第2凸部72の位置は、一定である。従って、可動体2をより安定して支持できる。
【0059】
また、本実施形態では、第2凸部72の数は、2つである。従って、3つの凸部(第1凸部71及び第2凸部72)で可動体2を支持するため、4つ以上の凸部によって可動体2を支持する場合に比べて、可動体2をより安定して支持できる。また、本実施形態では、3点で可動体2に対して点接触するため、可動体2をさらに安定して支持できる。
【0060】
可動体2及び支持体3の他方は、第1凸部71とは反対方向に窪む第1凹部31fを有する。第1凹部31fは、第1凸部71に接触する。従って、凹状の第1凹部31fで第1凸部71を受けることによって、第1凸部71の中心が第1凹部31fの中心軸からずれることを抑制できる。その結果、回転中心がずれることに起因する像ブレを抑制できる。また、回転中心がずれることに起因して可動体2の揺動が不安定になることを、抑制できる。その結果、例えば、揺動に必要な電流値が変動することを抑制できる。
【0061】
また、本実施形態では、可動体2は第1凹部31fを有し、支持体3は第1凸部71を有する。従って、第1凸部71が球体である場合、球体を第2支持部60に配置した状態で可動体2を支持体3に組み付けることができるため、組立作業を容易にできる。
【0062】
次に、図8及び図9を参照して、第1支持部30周辺の構造について詳細に説明する。図8及び図9に示すように、第1支持部30は、支持本体31と、一対の側面部32とを有する。一対の側面部32は、第1揺動軸線A1の軸線方向においてホルダ20の両側に配置される。支持本体31は、一対の側面部32を接続する。
【0063】
支持本体31は、上対向面31aを有する。上対向面31aは、ホルダ20に対して第1方向Xに対向する。なお、上対向面31aは、ホルダ20の底面に対して離隔する。
【0064】
一対の側面部32は、支持本体31の第3方向Zの両端に配置される。一対の側面部32は、第3方向Zに互いに対称な形状を有する。側面部32は、内側面32aを有する。内側面32aは、ホルダ20に対して第3方向Zに対向する。
【0065】
第1支持部30及びホルダ20の一方は、取付溝32bを有する。取付溝32bは、第1揺動軸線A1上において第1支持部30及びホルダ20の他方とは反対側に窪む。従って、予圧部40を取付溝32bに沿って移動させることによって、ホルダ20及び予圧部40を容易に第1支持部30に取り付けることができる。本実施形態では、第1支持部30は、取付溝32bを有する。取付溝32bは、第1揺動軸線A1上においてホルダ20とは反対側に窪む。取付溝32bは、予圧部40の少なくとも一部を収容するとともに、第1揺動軸線A1と交差する方向に延びる。
【0066】
本実施形態では、取付溝32bは、内側面32aに配置される。取付溝32bは、予圧部40の一部を収容する。取付溝32bは、第1方向Xに延びる。
【0067】
各側面部32は、一対の支柱部32cと、接続部32dとを有する。一対の支柱部32cは、第2方向Yに互いに離隔する。支柱部32cは、第1方向Xに延びる。接続部32dは、支柱部32cの上部同士を接続する。接続部32dの第3方向Zの長さは、支柱部32cの第3方向Zの長さよりも短い。そして、一対の支柱部32cと接続部32dとによって、取付溝32bが構成される。
【0068】
また、予圧部40は、取付溝32bに沿って移動可能である。本実施形態では、予圧部40は、取付溝32bに沿って第1方向Xに移動可能である。予圧部40を取付溝32bに沿って移動させることによって、予圧部40の取付部47が接続部32dを第3方向Zに挟む。よって、予圧部40が第1支持部30に固定される。
【0069】
また、側面部32は、外側面32eと、収容凹部32fとを有する。外側面32eは、第3方向Zの外側を向く。収容凹部32fは、外側面32eに配置される。収容凹部32fは、第2揺動機構120の第2磁石121の少なくとも一部を収容する。また、側面部32は、一対の切欠き部32gを有する。切欠き部32gは、収容凹部32fの第2方向Yの端部に配置される。切欠き部32gには、磁石支持板122の突起122aが配置される。磁石支持板122は、第2磁石121を支持する。切欠き部32gは、磁石支持板122を支持する。磁石支持板122の材質は、特に限定されないが、例えば磁性体を用いてもよい。この場合、磁石支持板122は、バックヨークとも呼ばれる。磁性体からなる磁石支持板122を用いることによって、磁気漏れを抑制できる。
【0070】
また、可動体2及び支持体3の他方は、第2凹部31gを有する。本実施形態では、可動体2は、第2凹部31gを有する。具体的には、支持本体31は、下対向面31eと、第1凹部31fと、第2凹部31gとを有する。下対向面31eは、支持体3に対して第1方向Xに対向する。第1凹部31f及び第2凹部31gは、下対向面31eに配置される。
【0071】
第1凹部31fは、第2揺動軸線A2上に配置される。第1凹部31fは、凹状の球面の一部を有する。従って、凹状の球面によって第1凸部71を受けるため、例えば、第1凸部71が第1凹部31f内で横ずれしにくくなる。その結果、可動体2を安定して支持できる。その一方、例えば、第1凹部31fを断面矩形状にした場合、第1凸部71は第1凹部31fに対して横ずれしやすい。また、本実施形態では、例えば、第1凸部71及び第1凹部31fを断面矩形状にする場合と異なり、第1凸部71と第1凹部31fとを容易に点接触させることができる。
【0072】
第2凹部31gは、第2凸部72とは反対方向に窪む。第2凹部31gは、第1凹部31fから離隔する。すなわち、第2凹部31gは、第2揺動軸線A2から離隔する。第2凹部31gは、複数設けられる。本実施形態では、第2凹部31gは、2つ設けられる。2つの第2凹部31gは、第2揺動軸線A2までの距離が等しい位置に配置される。第2凹部31gは、摺動面31hと、内側面31iとを有する。
【0073】
また、第2凹部31gは、第2凸部72に接触する。具体的には、第2凹部31gの摺動面31hは、第2凸部72に接触する。摺動面31hは、下対向面31eと略平行に配置される。すなわち、第2凹部31gの深さは略一定である。
【0074】
また、図10に示すように、光軸方向から見て、第2凹部31gの輪郭は、第2凸部72の外側に配置される。従って、第2凸部72が第2凹部31gの内側面31iに接触することを抑制できる。その結果、第2凸部72と第2凹部31gとの間の摩擦を抑制できる。具体的には、内側面31iは、摺動面31hを囲う。内側面31iは、第2凸部72から離隔する。すなわち、光軸方向から見て、第2凹部31gの輪郭は、第2凸部72に対して離隔する。また、内側面31iは、第1支持部30が第2揺動軸線A2を中心として第2揺動機構120によって揺動された場合に、第2凸部72が接触しない位置に配置される。
【0075】
また、図3及び図5Aに示すように、第2凸部72は、第1凹部31fよりも第2方向Yの他方側Y2に配置される。従って、光学要素10の反射面13に第2凸部72が接触することを抑制できる。その結果、光学要素10を配置するスペースを容易に確保できる。また、より大きい光学要素10を搭載することもできる。具体的には、反射面13の一部は、下対向面31eに対して、第1方向Xの一方側X1及び第2方向Yの一方側Y1に突出する。従って、第1支持部30のうち第2凸部72が配置された部分に光学要素10が接触することを抑制できる。その結果、光学要素10を配置するスペースを確保できる。
【0076】
図11及び図12に示すように、支持体3は、第2支持部60と、第1凸部71と、第2凸部72とを有する。支持体3は、対向面61aを有することが好ましい。
【0077】
具体的には、第2支持部60は、第1揺動軸線A1と交差する第2揺動軸線A2を中心として揺動可能に、第1支持部30を支持する。また、第2支持部60は、第1方向Xに第1支持部30を支持する。つまり、第2支持部60は、可動体2を第1方向Xに支持する。従って、光学要素10の第1方向Xの位置が変化することを抑制できるため、反射光(光学要素10から出射する光L)の第1方向Xの位置が変化することを抑制できる。
【0078】
図13は、本実施形態に係る光学ユニット1の第2支持部60を第1方向Xの他方側X2から示す図である。図11から図13に示すように、第2支持部60は、支持本体61と、一対の側面部62と、背面部63とを有する。支持本体61は、対向面61aと、第1収容凹部61bと、少なくとも2つの第2収容凹部61cとを有する。本実施形態では、支持本体61は、1つの第1収容凹部61bと、2つの第2収容凹部61cとを有する。なお、本実施形態では、第2支持部60が第1収容凹部61b及び第2収容凹部61cを有する例について説明するが、可動体2及び支持体3の一方が、可動体2及び支持体3の他方とは反対方向に窪む第1収容凹部及び第2収容凹部を有してもよい。また、例えば、可動体2及び支持体3の一方が第1収容凹部を有し、可動体2及び支持体3の他方が第2収容凹部を有してもよい。
【0079】
対向面61aは、第1支持部30の下対向面31eに対して第1方向Xに対向する。第1収容凹部61b及び第2収容凹部61cは、対向面61aに配置される。第1収容凹部61b及び第2収容凹部61cは、第1方向Xにおいて可動体2とは反対方向に窪む。つまり、第1収容凹部61b及び第2収容凹部61cは、第1方向Xの一方側X1に窪む。第1収容凹部61bは、第1支持部30の第1凹部31fに対して第1方向Xに対向する。第1収容凹部61bは、第2揺動軸線A2を中心とする同一円周C(図13参照)上に配置される。第1収容凹部61bは、第1凸部71の一部を収容する。従って、第1凸部71は、第2揺動軸線A2上に配置される。
【0080】
また、第2収容凹部61cは、第1収容凹部61bから離隔する。従って、第2収容凹部61cは、第2揺動軸線A2から離隔する。また、本実施形態では、第2収容凹部61cは、第1収容凹部61bからの距離を隔てて離隔する。また、第2収容凹部61cは、第2凸部72の一部を収容する。従って、複数の第2凸部72は、第2揺動軸線A2を中心とする同一円周C上に配置される。従って、第1凸部71からの距離が等しい位置で可動体2を支持できる。その結果、可動体2をより安定して支持できる。なお、第2揺動軸線A2の軸線方向は、第1方向Xに沿った方向である。
【0081】
また、2つの第2収容凹部61cは、第3方向Zに並んだ状態で、第1収容凹部61bよりも光学要素10に遠い位置に配置される。
【0082】
第1収容凹部61bは、第1凸部71の一部を保持する。本実施形態では、第1凸部71の下半分が第1収容凹部61b内に配置される。第1凸部71は、球面の少なくとも一部を有する。従って、第1凸部71が可動体2及び支持体3の他方に点接触するため、第1凸部71と可動体2及び支持体3の他方との間の摩擦力をより小さくできる。本実施形態では、第1凸部71が可動体2に点接触するため、第1凸部71と可動体2との間の摩擦力をより小さくできる。
【0083】
また、本実施形態では、第1凸部71は、球体である。従って、第1凸部71と第1凹部31fとの間の摩擦は転がり摩擦になる。その結果、第1凸部71と第1凹部31fとの間の摩擦力が大きくなることを抑制できる。具体的には、第1凸部71は、第1収容凹部61b内で回転可能である。従って、第1凸部71と第1凹部31fとの間の摩擦は、転がり摩擦になる。なお、第1凸部71は、第1凹部31fに対して例えば接着剤を用いて固定されていてもよい。
【0084】
第2収容凹部61cは、第2凸部72の一部を保持する。本実施形態では、第2凸部72の下半分が第2収容凹部61c内に配置される。第2凸部72は、球面の少なくとも一部を有する。従って、第2凸部72が可動体2及び支持体3の他方に点接触するため、第2凸部72と可動体2及び支持体3の他方との間の摩擦力を小さくできる。本実施形態では、第2凸部72が可動体2に対して点接触するため、第2凸部72と可動体2との間の摩擦力を小さくできる。
【0085】
また、本実施形態では、第2凸部72は、球体である。従って、第2凸部72と可動体2及び支持体3の他方との間の摩擦が転がり摩擦になるため、摩擦力を抑制できる。本実施形態では、第2凸部72と可動体2との間の摩擦が転がり摩擦になる。具体的には、第2凸部72は、第2収容凹部61c内で回転可能である。従って、第2凸部72と第1支持部30の第2凹部31gとの間の摩擦は転がり摩擦になる。なお、第2凸部72は、第2凹部31gに対して例えば接着剤を用いて固定されていてもよい。
【0086】
また、図5C及び図13に示すように、第1収容凹部61bは、中心凹部611を有してもよい。中心凹部611は、第1収容凹部61bと同心円状に配置される。中心凹部611の縁に第1凸部71が接触する。中心凹部611の直径は、第1凸部71の直径よりも小さい。従って、例えば、第1凸部71の外周面と第1収容凹部61bの内周面との間に隙間が生じている場合であっても、中心凹部611によって第1凸部71を位置決めできる。すなわち、第1凸部71の中心を中心凹部611の中心軸上に配置できる。その結果、第1凸部71の中心を第1収容凹部61bの中心軸上に容易に配置できる。
【0087】
また、図5D及び図13に示すように、第2収容凹部61cは、中心凹部611を有してもよい。中心凹部611は、第2収容凹部61cと同心円状に配置される。中心凹部611の縁に第2凸部72が接触する。中心凹部611の直径は、第2凸部72の直径よりも小さい。従って、例えば、第2凸部72の外周面と第2収容凹部61cの内周面との間に隙間が生じている場合であっても、中心凹部611によって第2凸部72を位置決めできる。すなわち、第2凸部72の中心を中心凹部611の中心軸上に配置できる。その結果、第2凸部72の中心を第2収容凹部61cの中心軸上に容易に配置できる。
【0088】
また、第1凸部71及び第2凸部72の材質は、セラミックである。従って、第1凸部71及び第2凸部72が摩耗することを抑制できる。なお、第1凸部71及び第2凸部72の材質は、金属であってもよい。この場合も、第1凸部71及び第2凸部72が摩耗することを抑制できる。また、第1凸部71及び第2凸部72の全体が金属によって形成されていてもよいし、例えばメッキ処理により第1凸部71及び第2凸部72の表面のみが金属によって形成されていてもよい。また、第1凸部71及び第2凸部72は、樹脂によって形成されていてもよい。
【0089】
また、第1凸部71は、光学要素10の反射面13(図5A参照)に対して第1方向Xの一方側X1に配置される。従って、光路を遮断することなく、第1凸部71を配置することができる。
【0090】
図5C図8及び図11に示すように、光学ユニット1は、可動体2及び支持体3の一方に配置される第3吸引機構150を有する。本実施形態では、光学ユニット1は、一対の第3吸引機構150を有する。また、本実施形態では、第3吸引機構150は、可動体2及び支持体3の一方に配置される磁石151と、可動体2及び支持体3の他方に配置される磁性部材152とを有する。なお、本実施形態では、磁石151は、本発明の「第3吸引磁石」の一例である。磁性部材152は、本発明の「第3吸引磁性部材」の一例である。磁性部材152は、磁性体からなる板状の部材である。そして、支持体3が可動体2を支持する方向(第1方向X)から見て、磁石151と磁性部材152とは重なる。従って、支持体3が可動体2を支持する方向において、磁石151と磁性部材152との間に吸引力を生じさせることができる。
【0091】
このように、磁石151と磁性部材152は重なるため、可動体2と支持体3との間には、互いに近づく方向に力が作用する。言い換えると、可動体2及び支持体3には、引力が作用する。従って、第1揺動機構110及び第2揺動機構120を駆動しない場合、磁石151と磁性部材152との間の引力によって、可動体2は基準位置に保持される。基準位置は、図5Bに示すように、第1支持部30の側面部32と第2支持部60の側面部62とが平行になる位置である。また、磁石151と磁性部材152との間に引力が生じることによって、第1方向Xの他方側X2に可動体2が移動することを抑制できる。なお、磁石151及び磁性部材152の各々は、第3方向Zにおいて、第2揺動軸線A2を中心として対称に配置される。従って、第2揺動軸線A2を中心として対称に引力が作用するため、可動体2の揺動が安定する。また、磁石151の中心、及び、磁性部材152の中心は、第2方向Yにおいて、第1揺動軸線A1と同じ位置に配置される。
【0092】
また、磁石151及び磁性部材152の一方の少なくとも一部は、可動体2及び支持体3の少なくとも一方の内部に配置される。本実施形態では、磁石151は、支持体3に配置される。磁性部材152は、可動体2に配置される。
【0093】
具体的には、可動体2は、磁性部材152が配置される収容部31jを有する。本実施形態では、第1支持部30は、一対の収容部31jを有する。収容部31jは、支持本体31の下対向面31eに配置される。収容部31jは、下対向面31eから第1方向Xの他方側X2に向かって窪む。磁性部材152は、収容部31jに嵌っている。従って、磁性部材152は、収容部31jに固定される。例えば、磁性部材152は、接着剤又は圧入によって、収容部31jに固定される。
【0094】
また、支持体3は、磁石151が配置される第3収容凹部61dを有する。本実施形態では、第2支持部60は、一対の第3収容凹部61dを有する。第3収容凹部61dは、支持本体61の対向面61aに配置される。第3収容凹部61dは、対向面61aから第1方向Xの一方側X1に向かって窪む。磁石151は、第3収容凹部61dに嵌っている。従って、磁石151は、第3収容凹部61dに固定される。例えば、磁石151は、接着剤又は圧入によって、第3収容凹部61dに固定される。
【0095】
図12及び図13に示すように、第2支持部60において、一対の側面部62は、支持本体61の第3方向Zの両端に配置される。一対の側面部62は、第3方向Zに互いに対称な形状を有する。側面部62は、第2揺動機構120の第2コイル125が配置される収容穴62aを有する。収容穴62aは、側面部62を厚み方向に貫通する。つまり、収容穴62aは、側面部62を第3方向Zに貫通する。
【0096】
背面部63は、支持本体61の第2方向Yの他方側Y2の端部に配置される。背面部63は、第1揺動機構110の第1コイル115が配置される収容穴63aを有する。収容穴63aは、背面部63を厚み方向に貫通する。つまり、収容穴63aは、背面部63を第2方向Yに貫通する。
【0097】
FPC(Flexible Printed Circuit)80は、一対の側面部62の外側及び背面部63の外側を覆うように配置される。FPC80は、例えば、半導体素子、接続端子及び配線を有する。FPC80は、第1揺動機構110の第1コイル115及び第2揺動機構120の第2コイル125に対して、所定のタイミングで電力を供給する。
【0098】
具体的には、図11に示すように、FPC80は、基板81、接続端子82及び補強板83を有する。基板81は、例えばポリイミド基板からなる。基板81は、可撓性を有する。基板81は、複数のピン挿入孔81aを有する。ピン挿入孔81aは、第1コイル115に対向する。各ピン挿入孔81aには、第1コイル115のコイルピン(図示せず)が配置される。
【0099】
接続端子82は、基板81に配置される。接続端子82は、第1揺動機構110及び第2揺動機構120に対向する。接続端子82は、図示しないホール素子の端子に電気的に接続される。なお、1つのホール素子に対して例えば4つの接続端子82が配置される。補強板83は、基板81に3つ配置される。補強板83は、第1揺動機構110及び第2揺動機構120に対向する。補強板83は、基板81が撓むことを抑制する。
【0100】
図5A及び図5Bに示すように、光学ユニット1は、第1揺動機構110をさらに有する。第1揺動機構110は、第1揺動軸線A1を中心としてホルダ20を第1支持部30に対して揺動する。従って、2つの揺動軸線(第1揺動軸線A1及び第2揺動軸線A2)のそれぞれを中心として光学要素10を容易に揺動できる。第1揺動機構110は、第1磁石111と、第1コイル115とを有する。第1コイル115は、第1磁石111に対して第2方向Yに対向する。
【0101】
第1磁石111は、ホルダ20及び第2支持部60の一方に配置される。一方、第1コイル115は、ホルダ20及び第2支持部60の他方に配置される。従って、第1コイル115に電流を流した際に生じる磁場に起因して、第1磁石111に力が作用する。そして、ホルダ20は、第1支持部30に対して揺動する。よって、第1磁石111及び第1コイル115を用いた簡素な構成でホルダ20を揺動できる。本実施形態では、第1磁石111は、ホルダ20に配置される。第1コイル115は、第2支持部60に配置される。第1コイル115を第2支持部60に配置することによって、第1コイル115は第2支持部60に対して揺動しない。従って、第1コイル115を例えば第1支持部30に配置する場合と比較して、第1コイル115に対して容易に配線できる。
【0102】
具体的には、第1磁石111は、ホルダ20の背面21bに配置される。すなわち、第1磁石111は、ホルダ20のうち第2方向Yの他方側Y2の端部20aに配置される。第1磁石111は、n極からなるn極部111aと、s極からなるs極部111bとを有する。第1磁石111は、第1方向Xに分極されている。
【0103】
第1コイル115は、第2支持部60の背面部63の収容穴63aに配置される。すなわち、第1コイル115は、第2支持部60のうち第2方向Yの他方側Y2の端部60aに配置される。従って、第1コイル115及び第1磁石111が光路上に配置されることを抑制できる。よって、第1コイル115及び第1磁石111によって光路が遮断されることを抑制できる。
【0104】
第1コイル115に通電することによって、第1コイル115の周辺に磁場が生じる。そして、第1磁石111には磁場に起因する力が作用する。その結果、ホルダ20及び光学要素10は、第1揺動軸線A1を中心として、第1支持部30及び第2支持部60に対して揺動する。
【0105】
光学ユニット1は、第2揺動機構120をさらに有する。第2揺動機構120は、第2揺動軸線A2を中心として可動体2を支持体3に対して揺動する。具体的には、第2揺動機構120は、第2揺動軸線A2を中心として第1支持部30を第2支持部60に対して揺動する。第2揺動機構120は、第2磁石121と、第2磁石121に面する第2コイル125とを有する。なお、第2揺動機構120は、本発明の「第2揺動機構」「揺動機構」の一例である。また、第2コイル125は、本発明の「コイル」の一例である。
【0106】
第2磁石121は、可動体2又は支持体3に配置される。第2コイル125は、支持体3又は可動体2に配置される。本実施形態では、第2磁石121は、第1支持部30及び第2支持部60の一方に配置される。一方、第2コイル125は、第1支持部30及び第2支持部60の他方に配置される。従って、第2コイル125に電流を流した際に生じる磁場により、第1支持部30は第2支持部60に対して揺動する。よって、第2磁石121及び第2コイル125を用いた簡素な構成で第1支持部30を揺動できる。本実施形態では、第2磁石121は、第1支持部30に配置される。第2コイル125は、第2支持部60に配置される。第2コイル125を第2支持部60に配置することによって、第2コイル125は第2支持部60に対して揺動しない。従って、第2コイル125を例えば第1支持部30に配置する場合と比較して、第2コイル125に対して容易に配線できる。
【0107】
具体的には、第2磁石121は、第1支持部30の側面部32の収容凹部32f(図8参照)に配置される。すなわち、第2磁石121は、第1支持部30のうち第1方向Xと交差する方向の端部30aに配置される。本実施形態では、第2磁石121は、第3方向Zの端部30aに配置される。第2磁石121は、n極からなるn極部121aと、s極からなるs極部121bとを有する。第2磁石121は、第1方向Xと交差する第2方向Yに分極されている。従って、光の入射方向に沿った第2揺動軸線A2を中心として、可動体2を揺動できる。
【0108】
第2コイル125は、第2磁石121に対して第3方向Zに対向する。第2コイル125は、第2支持部60の側面部62の収容穴62a(図12参照)に配置される。すなわち、第2コイル125は、第2支持部60のうち第3方向Zの端部60bに配置される。
【0109】
第2コイル125に通電することによって、第2コイル125の周辺に磁場が生じる。そして、第2磁石121には磁場に起因する力が作用する。その結果、第1支持部30、ホルダ20及び光学要素10は、第2揺動軸線A2を中心として、第2支持部60に対して揺動する。
【0110】
上述したように、光学ユニット1は、第1吸引機構210を有する。第1吸引機構210は、第2磁石121及び磁性部材123を有する。磁性部材123は、磁性体からなる板状の部材である。磁性部材123は、基板81に配置される。磁性部材123は、第2磁石121に対向する。第2コイル125に通電しない状態において、第2磁石121と磁性部材123との間には引力が生じる。よって、可動体2は、第2揺動軸線A2を中心とする回転方向において、基準位置に配置される。
【0111】
また、上述したように、光学ユニット1は、第2吸引機構220を有する。第2吸引機構220は、第1磁石111及び磁性部材112を有する。磁性部材112は、磁性体からなる板状の部材である。磁性部材112は、基板81に配置される。磁性部材112は、第1磁石111に対向する。第1コイル115に通電しない状態において、第1磁石111と磁性部材112との間には引力が生じる。よって、可動体2は、第1揺動軸線A1を中心とする回転方向において、基準位置に配置される。
【0112】
本実施形態では、第1揺動機構110は、第2磁石121及び第1磁石111の一方を有する。第2揺動機構120は、第2磁石121及び第1磁石111の他方を有する。つまり、第1揺動機構110及び第2揺動機構120は、第1吸引機構210及び第2吸引機構220との間で磁石を兼用(共用)する。従って、磁石の部品点数が増加することを抑制できる。具体的には、第1揺動機構110は、第1磁石111を有する。つまり、第1磁石111は、第2吸引機構220と第1揺動機構110とに兼用される。また、第2揺動機構120は、第2磁石121を有する。つまり、第2磁石121は、第1吸引機構210と第2揺動機構120とに兼用される。
【0113】
本実施形態では、第1所定方向から見て、磁性部材123の中心O123は、第2コイル125の中心O125に対して第2所定方向の一方側に配置される。また、第1吸引機構210の磁性部材123は、第2コイル125に対して可動体2とは反対側に配置される。具体的には、第2コイル125は、FPC80の内面80aに配置される。磁性部材123は、FPC80の外面80bに配置される。内面80aは、可動体2側を向く面である。外面80bは、可動体2とは反対側を向く面である。また、外面80bは、光学ユニット1の外側を向く面である。このように、磁性部材123を、第2コイル125に対して可動体2とは反対側に配置することによって、磁性部材123が第2コイル125に干渉することを抑制できる。従って、第2コイル125の位置又は大きさにかかわらず、磁性部材123の中心O123を第2磁石121の中心O121に対して第2所定方向の一方側に配置できる。なお、本実施形態では、磁性部材123の第2所定方向の大きさは、第2コイル125の中空部の第2所定方向の大きさよりも大きい。
【0114】
本実施形態では、第1吸引機構210の第2磁石121、磁性部材123、第2吸引機構220の第1磁石111及び磁性部材112は、第1所定方向及び第2所定方向に平行な同一平面上に配置される。従って、可動体2に対する第1吸引機構210及び第2吸引機構220の吸引力が、第1所定方向及び第2所定方向と交差する方向に作用することを抑制できる。具体的には、第1所定方向及び第2所定方向に平行な同一平面は、例えば、第1方向Xに直交する平面である。そして、可動体2に対する第1吸引機構210及び第2吸引機構220の吸引力が、第1方向Xに作用することを抑制できる。
【0115】
上述したように、本実施形態では、光学ユニット1は、第3吸引機構150を有する。第3吸引機構150は、第3所定方向に沿った吸引力を可動体2に生じさせる。第3所定方向は、第1所定方向及び第2所定方向と交差する方向である。本実施形態では、第3所定方向は、第1方向Xである。このように、第3所定方向に沿った吸引力を可動体2に生じさせる第3吸引機構150を設けることによって、可動体2が第3所定方向に位置ズレすることを抑制できる。本実施形態では、可動体2が第1方向Xに位置ズレすることを抑制できる。
【0116】
また、上述したように、第3吸引機構150は、磁石151及び磁性部材152を有する。従って、第3吸引機構150を、例えば引っ張りバネ等の弾性部材で構成する場合と異なり、可動体2と支持体3とに簡単に第3吸引機構150を取り付けることができる。
【0117】
なお、図1に示したように光学ユニット1をスマートフォン200に用いる場合、スマートフォン200内のホール素子(図示せず)がスマートフォン200の姿勢を検知する。そして、第1揺動機構110及び第2揺動機構120は、スマートフォン200の姿勢に応じて制御される。また、光学ユニット1は、第2支持部60に対するホルダ20の姿勢を検知可能であることが好ましい。この場合、第2支持部60に対するホルダ20の姿勢を高精度に制御できる。なお、スマートフォン200の姿勢を検知するセンサとして、例えばジャイロセンサを用いてもよい。
【0118】
以下、図14を参照して、本実施形態の変形例について説明する。以下では、図1から図13で示した本実施形態と異なる点を主に説明する。
【0119】
(変形例)
図14を参照して、本発明の実施形態の変形例を説明する。図14は、本実施形態の変形例に係る光学ユニット1の構造を示す断面図である。図14に示す変形例では、図1から図13に示した実施形態とは異なり、第2磁石121(第1吸引磁石)を第3吸引機構150に兼用する例について説明する。
【0120】
図14に示すように、第2磁石121(第1吸引磁石)、第1磁石111(第2吸引磁石)及び磁石151(第3吸引磁石)の少なくとも1つは、第1吸引機構210、第2吸引機構220及び第3吸引機構150のうちの2つ以上の吸引機構に兼用される。従って、磁石の部品点数が増加することを抑制できる。
【0121】
図14に示す変形例では、第2磁石121は、第1吸引機構210及び第3吸引機構150に兼用される。具体的には、第3吸引機構150は、第2磁石121及び磁性部材152を有する。磁性部材152は、支持体3に配置される。磁性部材152は、第2磁石121に対して第1方向Xの一方側X1に配置される。磁性部材152は、第2磁石121に面する。磁性部材152は、第2磁石121の側面121cに面する。側面121cは、第2磁石121のうち第1方向Xの一方側X1の面である。第2磁石121と磁性部材152との間に引力が生じることによって、可動体2には第1方向Xの一方側X1に力が作用する。なお、図14に示す変形例では、磁石151は、設けられていない。
【0122】
また、磁性部材152の中心O152、及び、第2磁石121の中心O121は、第3方向Zにおいて、互いに同じ位置に配置される。また、磁性部材152の中心O152、及び、第2磁石121の中心O121は、第2方向Yにおいて、第1揺動軸線A1と同じ位置に配置される。
【0123】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態(変形例を含む。)について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。例えば、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0124】
例えば、上記した実施形態では、第1所定方向が第3方向Zである例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1所定方向は、第1方向Xであってもよいし、第2方向Yであってもよい。
【0125】
また、上記した実施形態では、可動体2がホルダ20を揺動可能に支持する第1支持部30を有する例について示したが、本発明はこれに限らない。可動体2は、第1支持部30を有しなくてもよい。つまり、第2支持部60が直接的にホルダ20を支持してもよい。
【0126】
また、上記した実施形態では、第2吸引機構220及び第3吸引機構150の各々が磁石及び磁性部材を有する例について示したが、本発明はこれに限らない。第2吸引機構220及び第3吸引機構150の少なくとも一方は、例えば、引っ張りばね等の弾性部材であってもよい。
【0127】
また、上記した実施形態では、光Lが光学要素10に入射する方向に沿った方向(第1方向X)に、支持体3が可動体2を支持する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、光Lが光学要素10から出射する方向に沿った方向(第2方向Y)に、支持体3が可動体2を支持してもよい。また、光Lが光学要素10に入射する方向及び光学要素10から出射する方向に対して交差する方向(第3方向Z)に、支持体3が可動体2を支持してもよい。
【0128】
また、上記した実施形態では、磁性部材123、磁性部材112及び磁性部材152が磁性体からなる例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、磁性部材123、磁性部材112及び磁性部材152は、磁石であってもよい。
【0129】
また、上記した実施形態では、予圧部40によってホルダ20を支持する例について示したが、本発明はこれに限らない。ホルダ20に対して予圧を付与しない支持機構によって、ホルダ20を支持してもよい。例えば、シャフト又は支持ピンによってホルダ20を支持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、例えば、光学ユニットに利用できる。
【符号の説明】
【0131】
1 :光学ユニット
2 :可動体
3 :支持体
10 :光学要素
20 :ホルダ
30 :第1支持部
60 :第2支持部
110 :第1揺動機構
111 :第1磁石(第2吸引磁石)
112 :磁性部材(第2吸引磁性部材)
120 :第2揺動機構(揺動機構)
121 :第2磁石(第1吸引磁石)
123 :磁性部材(第1吸引磁性部材)
125 :第2コイル(コイル)
150 :第3吸引機構
151 :磁石(第3吸引磁石)
152 :磁性部材(第3吸引磁性部材)
210 :第1吸引機構
220 :第2吸引機構
A2 :第2揺動軸線(揺動軸線)
L :光
O111、O112、O121、O123、O125 :中心
X :第1方向
X1 :一方側
Y :第2方向
Y1 :一方側
Z :第3方向
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
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