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特開2023-31820ロータ磁石検査装置及びロータ磁石検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031820
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ロータ磁石検査装置及びロータ磁石検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20230302BHJP
【FI】
G01M99/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137547
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】谷田 正文
(72)【発明者】
【氏名】坂井 秀徳
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD25
2G024AD28
2G024BA08
2G024CA11
2G024CA30
2G024DA03
2G024DA08
2G024FA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】磁石挿入孔内でロータ磁石が固定されているか否かを検査可能なロータ磁石検査装置を提供する。
【解決手段】軸方向に延びる柱状のロータコア2を軸方向に貫通する磁石挿入孔内に挿入されたロータ磁石3を検査する。ロータ磁石検査装置は、ロータコア2が載置される載置面を有する載置台4と、先端がロータ磁石3に接触する接触部材6と接触部材6を載置台4に向かって移動させる移動部とを有する加圧機構と、加圧機構の接触部材がロータ磁石3を軸方向に押した際に受ける、軸方向の荷重を検出する荷重検出部7と、を有する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる柱状のロータコアを前記軸方向に貫通する磁石挿入孔内に挿入されたロータ磁石を検査するロータ磁石検査装置であって、
前記ロータコアが載置される載置面を有する載置台と、
先端が前記ロータ磁石に接触する接触部材と、前記接触部材を前記載置台に向かって移動させる移動部と、を有する加圧機構と、
前記加圧機構の前記接触部材が前記ロータ磁石を前記軸方向に押した際に受ける、前記軸方向の荷重を検出する荷重検出部と、を有する、ロータ磁石検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロータ磁石検査装置において、
前記荷重検出部によって検出された荷重に基づいて、前記挿入孔内で前記ロータ磁石が固定されているかどうかを判定する固定判定部をさらに有する、ロータ磁石検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロータ磁石検査装置において、
前記載置台は、前記載置面側で且つ前記軸方向に見て前記磁石挿入孔と重なる位置に、凹部を有する、ロータ磁石検査装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のロータ磁石検査装置において、
前記ロータコアの軸線を中心として、前記ロータコアが載置された前記載置台を回転させる回転駆動部を有する、ロータ磁石検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のロータ磁石検査装置において、
前記加圧機構を複数有し、
前記加圧機構ごとに前記荷重検出部を有する、ロータ磁石検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載のロータ磁石検査装置において、
複数の前記加圧機構のうち少なくとも一部は、同時に2以上の前記ロータ磁石を押す、ロータ磁石検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のロータ磁石検査装置において、
前記接触部材の位置を前記軸方向と直交する方向に調整する調整機構を有する、ロータ磁石検査装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のロータ磁石検査装置において、
前記接触部材の先端部は、前記磁石挿入孔内に挿入可能な大きさを有する、ロータ磁石検査装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のロータ磁石検査装置において、
前記荷重検出部は、前記接触部材に対して、前記ロータ磁石を押す方向とは反対側に位置する、ロータ磁石検査装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のロータ磁石検査装置において、
前記載置台は、前記ロータコアを位置決めする位置決め部を有する、ロータ磁石検査装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のロータ磁石検査装置において、
前記接触部材は、発泡シートにより前記磁石挿入孔に固定された前記ロータ磁石を押す、ロータ磁石検査装置。
【請求項12】
軸方向に延びる柱状のロータコアを前記軸方向に貫通する磁石挿入孔内に挿入されたロータ磁石を検査するロータ磁石検査方法であって、
前記磁石挿入孔内に前記ロータ磁石が挿入されたロータコアを、載置台の載置面に載置する載置工程と、
先端が前記ロータ磁石に接触する接触部材を前記載置台に向かって移動させる接触部材押し付け工程と、
前記接触部材が前記ロータ磁石を前記軸方向に押した際に受ける、前記軸方向の荷重を検出する荷重検出工程と、を含む、ロータ磁石検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ磁石検査装置及びロータ磁石検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロータコアの磁石挿入孔内に挿入されたロータ磁石は、前記磁石挿入孔内で固定される。このように永久磁石が固定されたロータが、例えば特許文献1に開示されている。具体的には、特許文献1には、積層鋼板により構成され、複数の孔を有し、孔の表面に凹凸が形成されたロータコアと、前記孔に挿入される永久磁石と、前記孔と前記永久磁石との間に介在して、前記孔の表面の凹凸と前記永久磁石とに密着し、前記孔の凹凸を充填する接着シートとを備え、前記接着シートは、接着剤と発泡成分とを含む、ロータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-311782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているロータにおける前記接着シートは、前記孔の表面の凹凸と前記永久磁石とに密着する。このように前記接着シートが前記孔の表面の凹凸に充填されることにより、前記接着シートと前記孔の表面との接触面積が増大する。これにより、前記接着シートと前記孔の表面との密着性が向上する。その結果、前記孔内で永久磁石が強固に固定される。しかし、上述のような接着シートを用いても、ロータコアの磁石挿入孔内で永久磁石が十分に固定されない場合がある。そのため、前記磁石挿入孔内で前記ロータ磁石が固定されているか否かを検査するロータ磁石検査装置が求められている。
【0005】
本発明の目的は、磁石挿入孔内でロータ磁石が固定されているか否かを検査可能なロータ磁石検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な一実施形態に係るロータ磁石検査装置は、軸方向に延びる柱状のロータコアを前記軸方向に貫通する磁石挿入孔内に挿入されたロータ磁石を検査する。前記ロータ磁石検査装置は、前記ロータコアが載置される載置面を有する載置台と、先端が前記ロータ磁石に接触する接触部材と前記接触部材を前記載置台に向かって移動させる移動部とを有する加圧機構と、前記加圧機構の前記接触部材が前記ロータ磁石を前記軸方向に押した際に受ける前記軸方向の荷重を検出する荷重検出部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的な一実施形態に係るロータ磁石検査装置によれば、磁石挿入孔内でロータ磁石が固定されているか否かを検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係るロータ磁石検査装置の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る検査対象物の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態1に係る検査対象物の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態1に係るロータ磁石の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態1に係る接着シートの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態1に係る載置台の一例を示す。
図7図7は、実施形態1に係る載置台の一例を示す。
図8図8は、実施形態1に係る加圧機構の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態1に係る接触部材、接触部材支持部、及び、荷重検出部の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態1に係るロータ磁石検査装置の信号の流れの一例を示す図である。
図11図11は、実施形態1に係るロータ磁石検査装置の検査の流れの一例を示す図である。
図12図12は、実施形態1に係る接触部材による加圧の一例を示す図である。
図13図13は、固定が不十分なロータ磁石の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の例示的な実施の形態を詳しく説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0010】
以下のロータ磁石検査装置1の説明において、載置台4に載置されたロータコア2の中心軸Pと平行な方向を「軸方向」、載置台4に載置された中心軸Pに直交する方向を「径方向」、中心軸Pを中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、と称する。
【0011】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0012】
<実施形態1>
(ロータ磁石検査装置)
図1は、実施形態1に係るロータ磁石検査装置1の一例を示す図である。図1は、水平面に設置したロータ磁石検査装置1を前から見た図である。ロータ磁石検査装置1は、ロータコア2の磁石挿入孔21内に挿入されたロータ磁石3を検査する装置である。
【0013】
(ロータ磁石検査装置の検査対象物)
図2図5を用いて、実施形態1に係るロータ磁石検査装置1の検査対象物の一例を説明する。図2及び図3は、前記検査対象物の一例を示す図である。図4は、実施形態1に係るロータ磁石3の一例を示す図である。図5は、実施形態1に係るロータ磁石3の接着シート31の一例を示す図である。
【0014】
前記検査対象物は、ロータコア2の磁石挿入孔21内に挿入されたロータ磁石3である。図2は、磁石挿入孔21内にロータ磁石3が挿入されたロータコア2の一例を示す。図3は、磁石挿入孔21内にロータ磁石3が挿入される前のロータコア2、及び、ロータ磁石3の一例を示す。
【0015】
ロータコア2は、厚み方向に積層され、所定の形状に形成された複数枚の円盤状のコア板を有する。例えば、コア板は、電磁鋼板である。なお、図2図7、及び、図13以外の図では、コア板による積層の表示が省略されている。ロータコア2は、円筒状である。ロータコア2は、中心軸Pに沿って延びる貫通孔22を有する。貫通孔22にはモータのシャフトが挿入される。
【0016】
ロータコア2は、周方向に所定の間隔で位置する複数の磁石挿入孔21を有する。複数の磁石挿入孔21は、ロータコア2を軸方向に貫通している。ロータコア2は、ロータコア2を軸方向に見て、長手方向がロータコア2の外周に沿う磁石挿入孔21aと、ロータコア2を軸線方向に見て、ロータコア2の径方向に延びる磁石挿入孔21bとを含む。それぞれの磁石挿入孔21内には、ロータ磁石3が挿入される。
【0017】
図3及び図4に示すように、ロータ磁石3は、直方体状である。ロータコア2を軸方向に見て、ロータ磁石3は長方形状である。磁石挿入孔21内に挿入されたロータ磁石3の軸方向の長さは、ロータコア2の軸方向の長さと同じか、それよりも短い。ロータ磁石3は、磁石挿入孔21内に収容された状態で、少なくとも軸方向において、所定の位置に位置付けられる。
【0018】
以下では、説明のため、ロータ磁石3を軸方向に見て、ロータ磁石3の長辺を構成する面をロータ磁石3の長辺側面と呼び、ロータ磁石3の短辺を構成する面をロータ磁石3の短辺側面と呼ぶ。
【0019】
ロータコア2の磁石挿入孔21内に挿入されたロータ磁石3は、接着シート31を発泡させることにより、磁石挿入孔21内に固定される。以下では、磁石挿入孔21内にロータ磁石3を固定する方法について説明する。前記方法は、接着シート31をロータ磁石3に接着する接着工程、接着シート31が接着されたロータ磁石3をロータコア2の磁石挿入孔21に挿入するロータ磁石挿入工程、及び、磁石挿入孔21にロータ磁石3が挿入されているロータコア2を加熱する加熱工程を含む。
【0020】
前記接着工程では、図4に示すように、接着シート31の接着層31aがロータ磁石3の長辺側面に接着される。図5に示すように、接着シート31は、基材シート31b、ロータコア側発泡シート31c、磁石側発泡シート31d、接着層31aの順に、厚み方向に積層されている。基材シート31b、ロータコア側発泡シート31c、磁石側発泡シート31d、接着層31aは、それぞれ、平面視で同じ大きさのシートである。磁石側発泡シート31dにおける基材シート31b側とは反対側の面は、接着層31aである。接着シート31の厚みは、磁石挿入孔21にロータ磁石3を挿入した状態で、ロータ磁石3の長辺側面と磁石挿入孔21の内面との隙間よりも小さい。
【0021】
前記ロータ磁石挿入工程では、図3に示すように、接着シート31が接着されたロータ磁石3は、ロータコア2の磁石挿入孔21内に挿入される。この際、接着シート31がロータ磁石3の径方向内側に位置した状態で、ロータ磁石3は、磁石挿入孔21内に挿入される。
【0022】
前記加熱工程では、ロータ磁石3を磁石挿入孔21内に挿入した状態で、ロータコア2が加熱される。加熱により、ロータコア側発泡シート31c及び磁石側発泡シート31dは、加熱されて発泡し、膨張する。これにより、ロータコア側発泡シート31c及び磁石側発泡シート31dは、それぞれ、ロータコア側発泡層及びロータ磁石側発泡層になる。
前記ロータコア側発泡層及び前記ロータ磁石側発泡層によって、ロータ磁石3を磁石挿入孔21内で保持することができる。これにより、ロータ磁石3は、磁石挿入孔21内で固定される。
【0023】
このように、接着シート31を貼り付けたロータ磁石3は、磁石挿入孔21にて固定される。しかし、磁石挿入孔21への固定が不十分な場合がある。固定が不十分なロータ磁石3は、磁石挿入孔21から抜ける可能性がある。そこで、ロータ磁石検査装置1は、磁石挿入孔21にロータ磁石3が十分な固定されている否かを検査する。具体的に、ロータ磁石検査装置1は、加熱後のロータコア2の磁石挿入孔21に挿入されたロータ磁石3を軸方向に押す。そして、ロータ磁石検査装置1は、ロータ磁石3が固定されているか否かを検査する。
【0024】
(ロータ磁石検査装置の構成)
次に、上述のロータ磁石検査装置1の構成について説明する。以下では、ロータ磁石検査装置1を水平面に設置した際に、上方から下方にロータ磁石3を押すロータ磁石検査装置1を例に挙げて、説明する。
【0025】
図1に示すように、ロータ磁石検査装置1は、ステージ11、載置台4、加圧機構5、接触部材6及び荷重検出部7を有する。ロータ磁石検査装置1は、接触部材6によって磁石挿入孔21内のロータ磁石3を押すことにより、磁石挿入孔21内でロータ磁石3が十分に固定されているか否かを検査する。
【0026】
ロータ磁石検査装置1を水平面に設置した場合、ステージ11の上面は、水平である。上方から下方にロータ磁石3を押すロータ磁石検査装置1では、軸方向は、上下方向と平行である。なお、これらの方向は、説明の便宜のためであり、ロータ磁石検査装置1の使用の向きは限定されない。
【0027】
載置台4及び加圧機構5は、ステージ11上に位置する。ロータ磁石検査装置1は、複数の加圧機構5を有する。ロータ磁石検査装置1を上から見て、複数の加圧機構5は、載置台4の径方向外方に位置する。載置台4には、ロータコア2が載置される。加圧機構5は、載置台4に載置されたロータコア2の磁石挿入孔21内に挿入されているロータ磁石3に対して軸方向に加圧する。
【0028】
(載置台)
まず、載置台4について説明する。図1に示すように、載置台4は、ステージ11上に固定されている。実施形態1に係る載置台4の一例を説明する。図6は、ロータコア2を載置していない載置台4の一例を示す。図7は、ロータコア2を載置している載置台4の一例を示す。
【0029】
図6に示すように、載置台4は、載置部4aと、台座部4bとを有する。載置部4aは、ロータコア2が載置される載置面41を有する。本実施形態では、載置部4aの上面が載置面41である。載置面41上には、ロータコア2が載置される。載置台4は、載置台4を軸方向から見て、載置台4の中心位置に、凸部42を有する。図4に示すように、ロータコア2を載置面41上に載置する際に、凸部42がロータコア2の貫通孔22に挿入される。
【0030】
そして、載置台4は、ロータコア2を位置決めする位置決め部43を有する。位置決め部43によって、載置台4の載置面41上でロータコア2が精度良く位置決めされる。例えば、凸部42は、切り欠きによって構成された位置決め部43を有する。一方、ロータコア2は、貫通孔22の内面に、突出部22aを有する。突出部22aは、径方向に突出する。載置台4上にロータコア2を載置した場合、ロータコア2の突出部22aが位置決め部43内に位置付けられる。これにより、載置台4上でロータコア2を位置決めすることができる。
【0031】
図6に示すように、載置台4は、載置部4aの載置面41側に複数の凹部44を有する。具体的に、複数の凹部44は、載置台4を軸方向に見て、長手方向が載置台4の外周に沿って延びる複数の凹部44aを含む。また、複数の凹部44は、載置台4を軸方向に見て、載置台4の径方向に延びる複数の凹部44bを含む。
【0032】
凹部44の数は、ロータコア2が有する磁石挿入孔21の数と同じである。凹部44は、載置台4に対して位置決めされたロータコア2を軸方向に見て、磁石挿入孔21と重なる位置に位置し、軸方向にみて、凹部44の開口面積は、磁石挿入孔21の開口面積よりも大きい。一方、凹部44の軸方向の長さは、磁石挿入孔21の軸方向の長さよりも短い。
【0033】
台座部4bは、載置部4aの下方に位置する。台座部4bは、軸線Pを中心として載置部4aを回転可能に支持する回転駆動部46を有する。すなわち、ロータ磁石検査装置1は、ロータコア2の軸線Pを中心として、ロータコア2が載置された載置台4を回転させる回転駆動部46を有する(図10参照)。回転駆動部46は、例えばモータである。回転駆動部46は、台座部4b内に収容されている。
【0034】
これにより、回転駆動部46は、載置台4の載置面41上に載置されたロータコア2を、ロータコア2の軸線Pを中心として、回転させる。これにより、ロータ磁石3は、後述する検査位置に容易に位置づけられる。その結果、複数のロータ磁石3の検査を速やかに行うことができる。
【0035】
(加圧機構及び荷重検出部)
次に、図8及び図9を用いて、加圧機構5の一例を説明する。図8は、実施形態1に係る加圧機構5の一例を示す図である。図9は、実施形態1に係る接触部材6、接触部材支持部58、及び、荷重検出部7の一例を示す図である。
【0036】
加圧機構5は、土台部51、支持軸52、第1位置調整部53、第2位置調整部54、第1取付板55、移動部56、第2取付板57、接触部材6、接触部材支持部58を有する。加圧機構5の接触部材支持部58には、荷重検出部7が取り付けられる。
【0037】
土台部51は、ステージ11の上面に固定される。支持軸52は土台部51に固定される。支持軸52は棒状、又は円筒状である。支持軸52は、軸方向に延びる。支持軸52の中心軸線は、軸方向と平行である。
【0038】
第1位置調整部53及び第2位置調整部54は、支持軸52に取り付けられる。第1位置調整部53及び第2位置調整部54は、それぞれ、軸方向に貫通する貫通孔を有する。支持軸52は、第1位置調整部53の貫通孔に挿入される。また、支持軸52は、第2位置調整部54の貫通孔にも挿入される。第1位置調整部53は第2位置調整部54の上方に位置する。つまり、第1位置調整部53及び第2位置調整部54は、軸方向の位置が異なる。具体的に、軸方向において、第1位置調整部53は、載置台4に対し、第2位置調整部54より遠くに位置する。
【0039】
第1取付板55は、第1位置調整部53及び第2位置調整部54に固定される。例えば、第1位置調整部53と第2位置調整部54への第1取付板55の固定には、ボルト及びナットが用いられる。第1取付板55の面のうち、第1位置調整部53及び第2位置調整部54に固定される面とは反対側の面には、移動部56が取り付けられる。すなわち、第1取付板55、第1位置調整部53、第2位置調整部54、支持軸52及び土台部51は、移動部56を支持する。
【0040】
移動部56は、駆動源ケース56a、ベース部56b、スライドテーブル56cを有する。移動部56のうち、ベース部56bが第1取付板55に取り付けられる。スライドテーブル56cは、ベース部56bに対して軸方向と直交する方向に位置する。スライドテーブル56cは、ベース部56bに対して軸方向に移動可能である。駆動源ケース56aは、載置台4に対し、軸方向において、スライドテーブル56cより遠くに位置する。図8の例では、駆動源ケース56aは、ベース部56b及びスライドテーブル56cの上側に位置する。駆動源ケース56aは、ベース部56bに対して軸方向に固定される。
【0041】
駆動源ケース56aは、スライドモータ56dを収容するケースである。スライドモータ56dは、ベース部56bに収容されている図示しないボールねじを回転させる。ボールねじは、軸方向に延びる。スライドテーブル56cは、ベース部56bに向かい合う面に、図示しないナットを有する。ボールねじがナットの孔に挿入される。
【0042】
スライドモータ56dの駆動力によって、ボールねじが回転する。これにより、移動部56のスライドテーブル56cは、軸方向に移動可能である。具体的に、スライドテーブル56cは、軸方向において、載置台4に近づく方向に移動可能である。また、スライドテーブル56cは、軸方向において、載置台4から離れる方向に移動可能である。
【0043】
スライドテーブル56cにおけるベース部56bとは反対側の面には、第2取付板57が取り付けられる。第2取付板57は、スライドテーブル56cの軸方向の両端部のうち、ロータ磁石を押す側の端部に固定される。スライドテーブル56cへの第2取付板57の固定には、ボルト及びナットが用いられてもよい。第2取付板57においてスライドテーブル56cと接触する面と反対側の面には、接触部材支持部58が取り付けられる。ボルト及びナットを用いて、接触部材支持部58が第2取付板57に固定されてもよい。
【0044】
接触部材支持部58は、第2取付板57に対し、軸方向と直交する方向に突出する。図8及び図9に示すように、接触部材支持部58は、軸方向に貫通する接触部材貫通孔58aを有する。
【0045】
接触部材6は、接触部材支持部58の接触部材貫通孔58aを貫通して軸方向に延びる。すなわち、接触部材6は、上下方向に延びる円柱状のピンである。接触部材6は、軸方向の一端側である下端部に、先端部6aを有する。先端部6aは、ロータ磁石3を押す部分である。
【0046】
接触部材6は、軸方向の他端側である上端部に頭部6bを有する。頭部6bは、例えば円柱状である。接触部材6を軸方向に見て、頭部6bの直径は、接触部材貫通孔58aの直径よりも大きい。そのため、接触部材貫通孔58aに挿入された接触部材6は、軸方向に移動可能である。荷重検出部7は、接触部材6に作用する荷重を検知するセンサである。例えば、荷重検出部7はロードセルである。荷重検出部7は、入力された荷重に応じて電圧を出力する。荷重検出部7は、軸方向において、接触部材6に対し、載置台4と反対側に位置する。言い換えると、荷重検出部7は、接触部材6の頭部6bの上方に位置する。
【0047】
荷重検出部7は、検出部支持部材59によって支持される。検出部支持部材59は、荷重検出部7に対して、接触部材6と反対側に位置する。検出部支持部材59は、接触部材支持部58に対して、固定される。荷重検出部7は、検出部支持部材59と接触部材6の頭部6bとの間に位置する。荷重検出部7の下面は、接触部材6の頭部6bと接触する。
【0048】
以上の構成により、荷重検出部7は、接触部材6がロータ磁石3を軸方向に押した際に、接触部材6が軸方向に受ける荷重を検出する。言い換えると、ロータ磁石3が接触部材6を押し返す力の大きさを検出する。
【0049】
なお、ロータ磁石検査装置1は、加圧機構5ごとに、荷重検出部7を有する。図1に示すように、本実施形態では、ロータ磁石検査装置1は、3つの加圧機構5を有する。よって、ロータ磁石検査装置1は、3つの荷重検出部7を有する。
【0050】
(ロータ磁石の検査)
次に、図10図13を用いて、ロータ磁石検査装置1での検査の一例を説明する。図10は、実施形態1に係るロータ磁石検査装置1の信号の流れの一例を示す図である。図11は、実施形態1に係るロータ磁石検査装置1の検査の流れの一例を示す図である。図12は、実施形態1に係る接触部材6による加圧の一例を示す図である。図13は、固定が不十分なロータ磁石3の一例を示す図である。
【0051】
図10に示すように、ロータ磁石検査装置1は、制御部8を有する。例えば、制御部8は、制御回路及びメモリを有する。制御回路は、マイクロコンピュータである。制御部8は、固定判定部80を有する。固定判定部80は、前記メモリに記憶されたプログラムを前記制御回路が演算することにより、実現されてもよい。また、固定判定部80は、制御部8にハードウェア回路として搭載されてもよい。
【0052】
制御部8は、回転駆動部46と電気的に接続される。制御部8は、回転駆動部46を制御してもよい。回転駆動部46の駆動力によって、載置台4が回転する。制御部8は、回転駆動部46を制御して、載置台4の回転角度を制御できる。
【0053】
また、制御部8は、それぞれの加圧機構5のスライドモータ56dと電気的に接続される。制御部8は、各スライドモータ56dの回転を制御してもよい。スライドモータ56dの駆動力によって、スライドテーブル56cが軸方向に移動する。これにより、制御部8は、接触部材6を軸方向に移動できる。制御部8は、スライドモータ56dを制御して、接触部材6の軸方向の位置を制御できる。
【0054】
また、それぞれの荷重検出部7の出力は、制御部8に入力される。例えば、荷重検出部7の出力電圧に基づき、荷重検出部7ごとに、制御部8の制御回路81は、荷重検出部7が受けている荷重の大きさを認識する。
【0055】
図11を用いて、ロータ磁石検査装置1による検査方法の一例を説明する。ロータ磁石3の検査の開始前に、ロータコア2が載置台4に載置される。載置台4に載置されたロータコア2のそれぞれの磁石挿入孔21には、ロータ磁石3が挿入されている。載置台4にロータコア2を載置する工程では、ロボットが載置台4にロータコア2を載置してもよい。また、検査者が載置台4にロータコア2を載置してもよい。
【0056】
まず、ステップS1として、制御部8は、検査位置移動工程として、載置台4を回転させ、ロータ磁石3を検査位置に移動させる。制御部8は、未検査のロータ磁石3を検査位置に移動させる。前記検査位置は、加圧機構5が接触部材6を載置台4に向かって移動させた際に、移動した接触部材6とロータ磁石3が接触する位置である。すなわち、前記検査位置は、加圧機構5の接触部材6の下方の位置である。
【0057】
次に、ステップS2として、制御部8は、接触部材押し付け工程を開始する。具体的には、制御部8は、初期位置から載置台4に向けて、接触部材6を移動させる。前記初期位置は、接触部材6がロータ磁石3及びロータコア2と接しない位置である。前記初期位置は、予め定められる。
【0058】
具体的に、制御部8は、3つのスライドモータ56dを回転させる。接触部材押し付け工程では、制御部8は、接触部材6がロータ磁石3と接するまで、スライドモータ56dを回転させる。例えば、制御部8は、接触部材6が載置台4に向かう方向に、所定時間、各スライドモータ56dを回転させる。接触部材6がロータ磁石3を押す位置まで移動すると、制御回路81は全てのスライドモータ56dを停止させる。
【0059】
そして、ステップS3として、制御部8は、荷重検出工程を行う。具体的に、各荷重検出部7の出力に基づき、制御部8は、接触部材6がロータ磁石3を軸方向に押した際に受ける、軸方向の荷重を検出する。それぞれの荷重検出部7の出力に基づき、制御部8は、所定期間の間、荷重の検出を周期的に繰り返す。
【0060】
図12は、接触部材6がロータ磁石3を押している状態の一例を示す図である。図12に示すように、接触部材6は、ロータ磁石3のうち軸方向と直交する面を押す。接触部材6は、載置台4の載置面41の方向に、ロータ磁石3を押す。図12の例では、接触部材6は、上方からロータ磁石3を押す。また、図12は、接触部材6がロータ磁石3の軸方向と直交する面の中央を押す例を示す。このように、ロータ磁石3を軸方向に押すことにより、ロータ磁石検査装置1の接触部材6は、ロータ磁石3を加圧する。
【0061】
固定されたロータ磁石3は、接触部材6を押し返す。接触部材6がロータ磁石3から受ける軸方向の荷重が荷重検出部7に印加される。その結果、荷重検出部7は、接触部材6がロータ磁石3を軸方向に押した際に、接触部材6が受ける軸方向の荷重を検出する。十分に固定されているロータ磁石3を押した場合、荷重検出部7は、接触部材6がロータ磁石3を押す力と同じ、又は、ほぼ同じ大きさの力を検出する。
【0062】
図12に示すように、接触部材6の先端部6aは、磁石挿入孔21内に挿入可能な大きさを有する。これにより、接触部材6は、磁石挿入孔21内に進入可能である。接触部材6に押されたロータ磁石3が移動した場合、接触部材6は磁石挿入孔21内部まで進入可能である。固定が弱いロータ磁石3は磁石挿入孔21から接触部材6に押し出される。従って、ロータ磁石3が移動した場合、荷重検出部7に印加される荷重の変化が大きい。そのため、ロータ磁石3が移動したことを容易に検出することができる。
【0063】
一方、ロータ磁石3の固定が不十分な場合、押されたロータ磁石3は移動する。図13の上図は、接触部材6による加圧前のロータ磁石3の一例を示す。図13の下図は、接触部材6に押されたことによって、軸方向に移動したロータ磁石3の一例を示す。
【0064】
荷重検出結果に基づき、ステップS4として、固定判定部80は、判定工程を行う。言い換えると、固定判定部80は、ロータ磁石3が十分に固定されているか否かを判定する。例えば、いずれかの荷重検出部7による荷重の検出値が所定値よりも小さい場合、固定判定部80は、ロータ磁石3の固定が不十分であると判定してもよい。この場合、ステップS4の判定結果は、Noである。一方、いずれの荷重検出部7による荷重の検出値も所定値以上の場合、固定判定部80は、それぞれのロータ磁石3が固定されていると判定してもよい。この場合、ステップS4の判定結果は、Yesである。
【0065】
ステップS4でNoの場合、ステップS5として、固定判定部80は、警告を報知する。例えば、固定判定部80は警告報知部82を点灯させる。例えば、警告報知部82は、ロータ磁石3が固定されていないことを知らせる図示しないランプである。制御回路81は、載置台4上のロータコア2をモータの組み立てに用いられないことを警告する。その後、制御部8は、載置台4に載置されているロータ磁石3の検査を終了する(エンド)。
【0066】
一方、ステップS4でYesの場合、ステップS6として、制御部8は、ロータコア2の磁石挿入孔21に挿入された全てのロータ磁石3の検査が完了したか否かを確認する。ステップS6でNoの判定の場合、制御部8は、ステップS1に戻って、ステップS1を実行する。制御回路81は、未検査のロータ磁石3を検査位置に移動させる。その後、別のロータ磁石3の検査が行われる。
【0067】
ステップS6でYesの場合、ステップS6として、制御部8は、異常なしを報知する。例えば、制御部8は異常無し報知部83を点灯させる。例えば、異常無し報知部83は、ロータコア2の全てのロータ磁石3が十分に固定されていることを知らせる図示しないランプである。
【0068】
(接触部材の位置調整)
次に、図8を用いて、実施形態1に係る接触部材6の位置調整の一例を説明する。ロータコア2の種類により、磁石挿入孔21の位置が異なる場合がある。例えば、複数のロータ磁石3を同時に押す場合、ロータコア2の種類によって、ロータ磁石3の間隔が異なる場合がある。そして、ロータ磁石検査装置1は、接触部材6の位置を調整する調整機構5aを有する。調整機構5aによって、種類の異なるロータコア2に対して、磁石挿入孔21に挿入されたロータ磁石3を検査することができる。
【0069】
図8に示すように、第1位置調整部53及び第2位置調整部54は、支持軸52に取り付けられる。第1位置調整部53及び第2位置調整部54は、支持軸52の軸線を中心に回すことができる。第1位置調整部53及び第2位置調整部54を回すことによって、軸方向と直交する平面上の接触部材6の位置が変わる。ロータコア2の種類にあわせて、接触部材6の位置が調整可能である。なお、第1取付板55、移動部56、第2取付板57、接触部材支持部58、及び、荷重検出部7の位置も変わる。
【0070】
以上説明したように、実施形態1に係るロータ磁石検査装置1は、軸方向に延びる柱状のロータコア2を軸方向に貫通する磁石挿入孔21内に挿入されたロータ磁石3を検査する。そして、ロータ磁石検査装置1は、ロータコア2が載置される載置面41を有する載置台4と、先端がロータ磁石3に接触する接触部材6と、接触部材6を載置台4に向かって移動させる移動部56と、を有する加圧機構5と、加圧機構5の接触部材6がロータ磁石3を軸方向に押した際に受ける、軸方向の荷重を検出する荷重検出部7と、を有する。
【0071】
一般的に、ロータコア2の磁石挿入孔21内に挿入されたロータ磁石3は、磁石挿入孔21内に位置決めされた状態で固定される。しかし、ロータ磁石3が十分に固定されない場合がある。そのため、磁石挿入孔21内でロータ磁石3が固定されているかどうかを確認する検査装置が求められている。
【0072】
実施形態1に係るロータ検査装置の荷重検出部7は、加圧機構5の接触部材6がロータ磁石3を軸方向に押した状態でロータ磁石3から受ける軸方向の荷重の大きさを検出する。ロータ磁石3が磁石挿入孔21内で軸方向に移動すると、荷重検出部7によって検出される軸方向の荷重が小さくなる。これにより、例えば、荷重検出部7が検出した荷重が所定値よりも小さければ、磁石挿入孔21内でのロータ磁石3の固定が不十分であることを検出することができる。
【0073】
さらに、ロータ磁石検査装置1は、荷重検出部7によって検出された荷重に基づいて、挿入孔内でロータ磁石3が固定されているかどうかを判定する固定判定部80を有する。これにより、荷重検出部7が検出した荷重に基づき、ロータ磁石3が磁石挿入孔21内で固定されているかどうかを判定することができる。
【0074】
載置台4は、載置面41側で且つ軸方向に見て磁石挿入孔21と重なる位置に、凹部44を有する。磁石挿入孔21内で固定が不十分なロータ磁石3は、加圧機構5の接触部材6に軸方向に押されることによって、磁石挿入孔21に対して軸方向の外方に向けて移動する。つまり、ロータ磁石3は、磁石挿入孔21の開口と載置台4の間の隙間に移動する。ロータ磁石3が前記隙間に向かって移動した場合、接触部材6がロータ磁石3から受ける荷重が小さくなる。その結果、荷重検出部7によって検出される荷重が、低下する。従って、ロータ磁石検査装置1は、磁石挿入孔21内で確実に固定されていないロータ磁石3を検出できる。なお、接触部材6によって押されたロータ磁石3は、凹部44の底面で受け止められる。これにより、ロータ磁石3が磁石挿入孔21から抜け出ることが抑制される。なお、凹部44の底面はなくてもよい。言い換えると、凹部44は貫通した孔でもよい。
【0075】
また、ロータ磁石検査装置1は、加圧機構5を複数有する。そして、ロータ磁石検査装置1は、加圧機構5ごとに荷重検出部7を有する。ロータ磁石検査装置1は複数の加圧機構5を有するので、複数の接触部材6が複数のロータ磁石3を軸方向に押す。これにより、1つずつロータ磁石3を検査する場合に比べ、検査時間を短縮することができる。従って、ロータコア2及び複数のロータ磁石3の検査時間が減る。
【0076】
ここで、ロータコア2は、磁石挿入孔21a及び磁石挿入孔21bのように径方向における位置が異なる磁石挿入孔21を有する。そして、ロータ磁石検査装置1は、それぞれの径方向の位置が異なる磁石挿入孔21に対応する複数の加圧機構5を有する。本実施形態のロータ磁石検査装置1は、図12に示すように、1つの磁石挿入孔21a、及び、2つの磁石挿入孔21bに対応する位置に、計3つの加圧機構5を有する。従って、ロータ磁石検査装置1は、初期の加圧機構5の位置調整と、回転駆動部46による周期的なロータコア2の回転のみで、連続的に流れてくるロータコア2に挿入された全てのロータ磁石3を検査することができる。なお、磁石挿入孔21aのみを複数の加圧機構5でまとめて検査し、21bのみを複数の加圧機構5でまとめて検査するという流れで検査が進められる場合、連続的に搬送されるロータコア2に対し、1個のロータコア2の検査ごとに、加圧機構5の位置調整が毎回必要になる。本実施形態では、それぞれの径方向の異なる磁石挿入孔21に対応する位置に加圧機構5が位置するので、1つのロータコア2を検査するごとに、加圧機構5の位置の再調整が不要となる。
【0077】
ところで、ロータコア2の磁石挿入孔21内でロータ磁石3を固定する位置には、ばらつきがある。そのため、接触部材6とロータ磁石3とが接触するタイミングが異なる場合がある。例えば、最も早く接触部材6と接触したロータ磁石3に、最も力がかかる。また、一部のロータ磁石3に接触部材6が接触しない場合もあり得る。よって、複数の接触部材6に対して荷重検出部7が1つだけの場合、各ロータ磁石3から複数の接触部材6が受ける荷重を正確に検出できない可能性がある。これに対し、本実施形態では、それぞれの加圧機構5が荷重検出部7を有する。これにより、ロータ磁石3ごとに、接触部材6を押し返す力を測ることができる。
【0078】
そして、複数の加圧機構5のうち少なくとも一部は、同時に2以上のロータ磁石3を押す。ロータ磁石検査装置1は、複数の加圧機構5を有するので、複数のロータ磁石3を同時に押すことができる。これにより、磁石挿入孔21内でロータ磁石3が固定されているか否かの検査が、複数のロータ磁石3に対して、同時に実行される。よって、1つずつロータ磁石3を検査する場合に比べ、短時間で検査を行うことができる。
【0079】
また、ロータ磁石検査装置1は、接触部材6の位置を軸方向と直交する方向に調整する調整機構5aを有する。調整機構5aは、接触部材6の位置を、軸方向と直交する方向に調整できる。ロータコア2が有する磁石挿入孔21の位置に合わせて、調整機構5aは、接触部材6の位置を調整する。これにより、ロータコア2の構成に応じて、接触部材6の位置を調整することができる。従って、ロータ磁石検査装置1は、様々な種類のロータコア2を検査できる。
【0080】
また、荷重検出部7は、接触部材6に対して、ロータ磁石3を押す方向とは反対側に位置する。これにより、ロータ磁石3から接触部材6が受ける荷重は、荷重検出部7により確実に作用する。従って、ロータ磁石3が磁石挿入孔21内で固定されているか否かを容易に検出することができる。
【0081】
そして、載置台4は、ロータコア2を位置決めする位置決め部43を有する。ロータコア2は、位置決め部43によって、載置台4の載置面41上で精度良く位置決めされる。これにより、ロータ磁石3は、検査位置に精度良く位置付けされる。よって、ロータ磁石3の検査を効率良く行うことができる。
【0082】
接触部材6は、発泡シートにより磁石挿入孔21に固定されたロータ磁石3を押す。これにより、発泡シートによって磁石挿入孔21に固定されたロータ磁石3が十分に固定されているか否かを検査することができる。
【0083】
本発明の一実施形態に係るロータ磁石検査方法は、軸方向に延びる柱状のロータコア2を軸方向に貫通する磁石挿入孔21内に挿入されたロータ磁石3を検査する。前記ロータ磁石検査方法は、磁石挿入孔21内にロータ磁石3が挿入されたロータコア2を、載置台4の載置面41に載置する載置工程と、先端がロータ磁石3に接触する接触部材6を載置台4に向かって移動させる接触部材押し付け工程と、加圧機構5の接触部材6がロータ磁石3を軸方向に押した際に受ける、前記軸方向の荷重を検出する荷重検出工程と、を含む。実施形態1に係るロータ磁石検査方法によれば、加圧機構5の接触部材6がロータ磁石3を軸方向に押した際に、ロータ磁石3から受ける軸方向の荷重が検出される。ロータ磁石3が移動すると、検出される軸方向の荷重が小さくなる。これにより、荷重検出部7が検出した荷重が所定値よりも小さければ、磁石挿入孔21内でのロータ磁石3の固定が不十分であることを検出することができる。
【0084】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0085】
前記実施形態では、ロータ磁石検査装置1は3つの加圧機構5を有する。しかし、加圧機構5は1つでもよいし、2つでもよいし、3つより多くてもよい。
【0086】
前記実施形態では、載置台4aの載置面41が凹部44を有する例を説明した。しかし、凹部44の代わりに、載置台4は、載置面41側で且つ軸方向に見て磁石挿入孔21と重なる位置に貫通孔を有してもよい。
【0087】
前記実施形態では、第1位置調整部53及び第2位置調整部54を支持軸52の軸線を中心に回転することによって、接触部材6の位置が調整される。しかし、支持軸52の位置が水平方向に移動可能であってもよい。支持軸52の水平方向の位置を調整することにより、接触部材6の位置が調整されてもよい。
【0088】
前記実施形態では、スライドモータ56d、ボールねじ、ナットを用いることによって、スライドテーブル56cが移動する。これにより、接触部材6が軸方向で移動する。しかし、他の構成によって、スライドテーブル56cが移動してもよい。例えば、スライドテーブル56cの移動には、エアシリンダが用いられてもよい。
【0089】
前記実施形態では、第1取付板55、第1位置調整部53、第2位置調整部54、支持軸52及び土台部51が移動部56を支持する。しかし、移動部56は、他の支持構造によって支持されてもよい。
【0090】
前記実施形態では、警告報知部82及び異常無し報知部83は、ランプである。しかし、警告報知部82及び異常無し報知部83は、ロータ磁石3が固定されていないこと、又は、全てロータ磁石3が十分に固定されていることを知らせるディスプレイでもよい。
【0091】
前記実施形態では、ロータ磁石検査装置1は発泡する接着シート31を用いてロータコア2の磁石挿入孔21に固定されたロータ磁石3を検査する。しかし。ロータ磁石検査装置1は、発泡する接着シート31を用いずにロータコア2の磁石挿入孔21に固定されたロータ磁石3の検査に用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、軸方向に延びる柱状のロータコアを前記軸方向に貫通する磁石挿入孔内に挿入されたロータ磁石を検査するロータ磁石検査装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 ロータ磁石検査装置
11 ステージ
2 ロータコア
21 磁石挿入孔
21a 磁石挿入孔
21b 磁石挿入孔
22 貫通孔
3 ロータ磁石
31 接着シート
31a 接着層
31b 基材シート
31c ロータコア側発泡シート
31d 磁石側発泡シート
4 載置台
4a 載置部
4b 台座部
41 載置面
42 凸部
43 位置決め部
44 凹部
44a 凹部
44b 凹部
46 回転駆動部
5 加圧機構
5a 調整機構
51 土台部
52 支持軸
53 第1位置調整部
54 第2位置調整部
55 第1取付板
56 移動部
56a 駆動源ケース
56b ベース部
56c スライドテーブル
56d スライドモータ
57 第2取付板
58 接触部材支持部
58a 接触部材貫通孔
59 検出部支持部材
6 接触部材
6a 先端部
6b 頭部
7 荷重検出部
8 制御部
80 固定判定部
82 警告報知部
83 異常無し報知部
P 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13