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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031830
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】車両処理システム
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137567
(22)【出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】天野 義樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 利明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祐介
(72)【発明者】
【氏名】松村 義郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遥
(72)【発明者】
【氏名】中澤 優介
(72)【発明者】
【氏名】塚田 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】清水 則幸
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA13
3D026AA25
3D026AA34
3D026AA40
3D026AA64
3D026AA75
3D026AA76
(57)【要約】
【課題】車両処理装置へ指示を行うにあたり、その指示決定をサポートすることのできる技術を提供する。
【解決手段】車両処理システム(10)は、ネットワーク(11)に接続された端末装置(12、13)および洗車装置(30)を備える。車両処理システム(10)は、洗車装置(30)の装置データを参照してサポートデータを算出するサポート部(78)を有する。また、車両処理システム(10)は、サポートデータから端末装置(12、13)で選択された指示データをネットワーク(11)を介して洗車装置(30)に実行させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された端末装置および車両処理装置を備える車両処理システムであって、
前記車両処理装置の装置データを参照してサポートデータを算出する機能と、
前記サポートデータから前記端末装置で選択された指示データを前記ネットワークを介して前記車両処理装置に実行させる機能と、を有する、
ことを特徴とする車両処理システム。
【請求項2】
前記車両処理装置とは別の車両処理装置が前記ネットワークに接続され、
前記車両処理装置の装置データの他に、前記別の車両処理装置の装置データも参照して前記サポートデータを算出する、
請求項1記載の車両処理システム。
【請求項3】
前記車両処理装置は、可動部を備える洗車装置であり、
前記装置データは、前記可動部の可動データを含み、
前記可動データを参照して前記可動部を移動させる前記サポートデータを算出する、
請求項1または2記載の車両処理システム。
【請求項4】
前記装置データは、前記車両処理装置を撮影した撮像データを含み、
前記撮像データを参照して前記端末装置で選択された前記指示データを前記車両処理装置に実行させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の車両処理システム。
【請求項5】
前記装置データは、前記車両処理装置の処理項目の金額データを含み、
前記金額データを参照して返金可否の前記サポートデータを算出する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の車両処理システム。
【請求項6】
前記装置データは、処理対象として予め記憶された車両の車両番号および処理項目を含み、
前記車両処理装置で受け付ける車両を撮影した撮像データからの車両番号を参照し、撮影された車両が処理対象であることを認定して、前記処理項目の前記サポートデータを算出する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の車両処理システム。
【請求項7】
前記車両処理装置が異常停止した際に、前記車両処理装置を復帰させるための前記サポートデータを算出し、
前記指示データとして「復帰」が選択されたときに、前記車両処理装置を異常停止から復帰させる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の車両処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
実開平5-62369(以下、「特許文献1」という。)には、無人営業のコイン洗車場に適した洗車機が記載されている。特許文献1の洗車機では、異常発生ルーチンが実行されると、通報により管理者が赴いてリセットするまで受付禁止状態に保持される。通報を受けた管理者は、現地にて異常の原因を確認し、その原因に応じて修理の依頼や液剤の補充等を行っている。
【0003】
特開平10-230821(以下、「特許文献2」という。)には、洗車装置の状況を撮影するカメラ、通話装置などを備え、管理者が利用者に操作方法を案内する洗車装置処理システムが記載されている。特許文献2のシステムによれば、利用者が管理者からの指示に従って操作を行え、また、管理者が洗車装置本体の前進・後進や洗浄ブラシの開閉等の動作の操作を行え、異常停止の解除操作をすることによって洗車を円滑に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-230821(段落[0026])
【特許文献2】特開平10-230821(段落[0008]、[0009])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術のように、洗車装置に異常が発生した場合、管理者(修理者等を含む。)が現地(例えば洗車場)へ赴くこととなるが、復帰処置について安全性を確認した上で、専門的な知識を有する者が対応していた。また、特許文献2の技術のように、洗車装置に異常が発生した場合、現地へ赴かなくても対応可能と考えられるが、操作ボタンが多いと、利用者もわかりずらく、操作ミスも発生してしまう。また、管理者が利用者へ指示する場合であっても、管理者も経験を有する者でなければ指示することは困難な面もあった。
【0006】
本発明の一目的は、車両処理装置へ指示を行うにあたり、その指示決定をサポートすることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一解決手段に係る車両処理システムは、ネットワークに接続された端末装置および車両処理装置を備えることができる。前記車両処理システムは、前記車両処理装置の装置データを参照してサポートデータを算出する機能を有することができる。また、前記車両処理システムは、前記サポートデータから前記端末装置で選択された指示データを前記ネットワークを介して前記車両処理装置に実行させる機能を有することができる。
また、前記車両処理システムは、前記車両処理装置とは別の車両処理装置が前記ネットワークに接続され、前記車両処理装置の装置データの他に、前記別の車両処理装置の装置データも参照して前記サポートデータを算出することができる。
また、前記車両処理システムは、前記車両処理装置が可動部を備える洗車装置であり、前記装置データは、前記可動部の可動データを含み、前記可動データを参照して前記可動部を移動させる前記サポートデータを算出することができる。
また、前記車両処理システムは、前記装置データが前記車両処理装置を撮影した撮像データを含み、前記撮像データを参照して前記端末装置で選択された前記指示データを前記車両処理装置に実行させることができる。
また、前記車両処理システムは、前記装置データが前記車両処理装置の処理項目の金額データを含み、前記金額データを参照して返金可否の前記サポートデータを算出することができる。
また、前記車両処理システムは、前記装置データが処理対象として予め記憶された車両の車両番号および処理項目を含み、前記車両処理装置で受け付ける車両を撮影した撮像データからの車両番号を参照し、撮影された車両が処理対象であることを認定して、前記処理項目の前記サポートデータを算出することができる。
また、前記車両処理システムは、前記車両処理装置が異常停止した際に、前記車両処理装置を復帰させるための前記サポートデータを算出し、前記指示データとして「復帰」が選択されたときに、前記車両処理装置を異常停止から復帰させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一解決手段に係る車両処理システムによれば、車両処理装置へ指示を行うにあたり、その指示決定をサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る車両処理システムの構成図である。
図2図1の車両処理システムが備える処理サーバの構成図である。
図3図1の車両処理システムが備える車両処理装置の模式的側面図である。
図4図3の車両処理装置の模式的正面図である。
図5図3の車両処理装置の構成図である。
図6図1の端末装置の構成図である。
図7図1の車両処理システムの処理フローの一例である。
図8図1の車両処理システムの処理フローの他例である。
図9図2の処理サーバの記憶部に記憶されている情報の一例である。
図10図7の車両処理システムの処理フロー中の画面の一例である
図11図7の車両処理システムの処理フロー中の画面の他例である。
図12図7の車両処理システムの処理フロー中の画面の他例である。
図13】本発明の他の実施形態に係る車両処理システムの処理フローである。
図14】本発明の他の実施形態に係る車両処理システムの処理フローである。
図15図14の車両処理システムの処理フロー中の画面の一例である。
図16図14の車両処理システムの処理フロー中の画面の他例である。
図17】本発明の他の実施形態に係る車両処理システムの処理フローである。
図18図17の車両処理システムの処理フロー中の画面の一例である。
図19】本発明の他の実施形態に係る車両処理システムの処理フローである。
図20図19の車両処理システムの処理フロー中の画面の一例である。
図21図19の車両処理システムの処理フロー中の画面の他例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらはお互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0011】
(第1実施形態)
本発明に係る車両処理システム(以下、単に「処理システム」という場合がある。)の実施形態について図面を参照して説明する。本発明の実施形態では、車両処理サーバ(以下、単に「処理サーバ」という場合がある。)とネットワークを介して接続される車両処理装置として、車両の外部(車体面)を洗浄する機能を有する洗車装置を用いて説明する。
【0012】
(車両処理システム)
図1に処理システム10の構成図を示す。処理システム10は、処理サーバ20と、複数の洗車装置30とを備えている。処理サーバ20および複数の洗車装置30は、IoT(Internet of Things)技術が用いられ、ネットワーク11を介して通信(例えば、HTTP)可能に接続されている。処理サーバ20は、複数の洗車装置30を遠隔制御し、システム全体を管理する機能を有している。洗車装置30は、利用者の車両Cに対して処理を行う機能を有している。複数の洗車装置30は、例えば距離が離れた異なる洗車場25(異なる敷地)に設置されている。ネットワーク11としては、有線通信の伝送路、無線通信の伝送路を含めることができる。例えば、インターネット、P2P(Peer to Peer)ネットワーク、専用回線、電力線通信回線、VPN(Virtual Private Network)、無線パケット通信網、携帯電話回線、無線LAN(Local Area Network)、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)、WiFiが挙げられる。
【0013】
また、処理システム10には、管理者端末13(端末装置)を含めることができる。管理者端末13は、管理者(例えば、洗車場25などの運営事業者)にシステムを管理させるための機能を有する。また、処理システム10には、利用者端末12(端末装置)を含めることができる。利用者端末12は、利用者にシステムを利用させるための機能を有する。また、処理システム10には、決済装置14を含めることができる。決済装置14は、利用者が洗車装置30を使用するために支払いする機能を有する。また、処理システム10には、返金装置26を含めることができる。返金装置26は、例えば、洗車装置30の異常停止が発生した場合などに利用者に返金するための機能を有する。また、処理システム10には、監視カメラ27(撮影装置)を含めることができる。監視カメラ27は、例えば、処理実行中の洗車装置30などを撮影する機能を有する。これら利用者端末12、管理者端末13、決済装置14、返金装置26および監視カメラ27は、それぞれ通信部を有し、ネットワーク11を介して接続されている。例えば、管理者端末13を用いて管理者は、洗車装置30の状況を確認したり、監視カメラ27を通じて洗車場25や洗車装置30の様子を確認したりすることができる。
【0014】
(処理サーバ)
図2に処理サーバ20の構成図を示す。処理サーバ20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23(受信部および送信部から構成されている。)とを備えている。制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成され、記憶部22などの各構成部と接続されている。制御部21は、記憶部22に記憶されているプログラムの実行により与えられた処理を行い、処理サーバ20の機能を発揮させることができる。このため、処理サーバ20は、制御部21による種々の機能を備えている。記憶部22は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、プログラムや各種データを記憶することができる。通信部23は、例えばNIC(Network Interface Controller)から構成され、ネットワーク11を介して各洗車装置30などとの通信を確立することができる。処理サーバ20は、例えば、管理者端末13や洗車装置30などの装置からアクセスされるHTTPサーバであり、その装置からのHTTPリクエストを受信して、HTTPレスポンスを返信する。
【0015】
(決済装置)
決済装置14は、例えばサーバで構成されている。決済装置14は、代金処理として、例えば、オンラインでのクレジット決済を代行サービスする既存のサービスプロバイダのものを利用することができる。サービスプロバイダでは、利用者が使用しようとするクレジットカードの与信限度額の確認や無効カードのチェックをした上で代金処理を行っている。代金処理は、クレジットカードに限らずオンラインで決済できるものであればよく、口座引落契約に基づいて処理することもできる。なお、処理サーバ20自体に決済装置14の機能を持たせるように構成してもよい。
【0016】
(車両処理装置)
図3および図4のそれぞれに洗車装置30の模式的側面図および模式的正面図を示す。本実施形態では、洗車装置30は、本体装置31(洗車機)と、受付装置32と、ゲート装置33とを備えている。なお、図3の右方を本体装置31の前方、図3の左方を本体装置31の後方として説明する。
【0017】
本体装置31は、利用者の車両Cに対して洗浄などの処理を行う機能を有する。また、受付装置32は、利用者が洗車装置30による処理を受け付けるための機能を有する。ゲート装置33は、洗車エリアの入場口を例えば遮断桿33Aを用いて開閉して車両Cの進入を禁止/許可するための機能を有する。
【0018】
このため、洗車装置30では、利用者が受付装置32で受付を行い、進入許可が下りるとゲート装置33が開くので、洗車エリア内へ車両Cを進入させて所定位置で停車させる。そして、車両Cに対して洗浄などの処理が本体装置31により行われる。なお、洗車装置30では、車両Cが前進走行して進入し、洗車後は同じく前進走行して退場するもので、利用者が車両Cに乗ったまま洗車を受けて通り抜ける、いわゆるドライブスルーによる洗車を可能としている。
【0019】
本体装置31のフレーム(筐体)は、処理対象の車両Cを跨ぐような門型で構成されている。本体装置31は、敷設面G(地面)に平行に敷設された2本のレール34上を、走行エンコーダ43および走行モータ44を用いて車輪48を回すことで、往復走行(可動)することができる。走行エンコーダ43は、走行モータ44の出力軸に取り付けられ、本体装置31が単位距離走行するごとにパルス信号を出力し、このパルス信号をカウントすることにより本体装置31の移動距離を検出することができる。例えば、本体装置31は、待機時にレール34で与えられる走行範囲の後端部に停止し、この位置から洗車を開始することができる。
【0020】
また、本体装置31は、ブラシ35、36、36、ノズル37、38、38、スプレー40、41、42などの各装置を備えている。これにより、本体装置31は、走行に伴って、スプレーにより水、シャンプー液、ワックス液などの洗浄液を散布し、ブラシによりブラッシングする洗浄作業や、ノズルにより空気を吹き付ける乾燥作業を行うことができる。
【0021】
トップブラシ35は、本体装置31前側に位置し、本体装置31の移動に伴って車両Cの上面に沿って昇降し同上面をブラッシングすることができる。左右一対のサイドブラシ36は、トップブラシ35の後方に位置しており、本体装置31の移動に伴って車両Cに対して接離(開閉)動作して車両Cの前後面および側面をブラッシングすることができる。
【0022】
トップノズル37は、サイドブラシ36の後方に位置しており、本体装置31の移動に伴って、車両Cの上面に沿って昇降し同上面に空気を吹き付けて乾燥を行うことができる。左右一対のサイドノズル38は、トップノズル37より本体装置31後側に位置し車両Cの側面に空気を吹き付けて乾燥を行うことができる。
【0023】
スプレー40、41、42は、複数の噴射ノズル(不図示)が形成されたパイプによって構成されており、本体装置31の移動に伴って、車両Cに向かって水などの洗浄液を噴射することができる。スプレー40は、トップブラシ35の前方に位置しており、例えば水とシャンプー液とを選択的に噴射することができる。また、スプレー41は、サイドブラシ36の前方に位置しており、例えば水とワックス液とコーティング液(撥水液)とを選択的に噴射することができる。また、スプレー42は、サイドブラシ36の後方に位置しており、例えば水を噴射することができる。
【0024】
車形センサ45は、本体装置31前側に備えられ、複数の発光素子Eを上下に配列した発光部EUと、複数の受光素子Rを上下に配列した受光部RUとを車両Cを幅方向に挟むよう対向させたビームセンサから構成されている。複数の発光素子Eと複数の受光素子Rとの間で光信号(赤外光)の授受を行い、受光素子Rでの受光レベルに応じて車両Cの有無(光軸Bの遮光/通光に対応する。)を検知することで、車両Cの上面位置を検出することができる。
【0025】
入車センサ46は、本体装置31前側下部(前面手前)に設けられ、車両Cの入車を検出する機能を有する。退車センサ47は、本体装置31後側下部に取り付けられ、車両Cの退車を検出する機能を有する。センサ46、47は、車両Cの端部を検出可能な高さに取り付けられ、いずれも発光部と受光部を車幅方向に対向させて一本の光軸を形成し、その光軸の遮光/通光によって車両Cの有無を出力するビームセンサからなる。例えば車形センサ45が通光し、入車センサ46が遮光する状態を車両Cが洗浄などの処理を受けるための停車位置にあるものとして判断することができる。
【0026】
受付装置32は、車両検出部50を備えている。車両検出部50は、受付位置にある車両Cを検出するためのものであり、例えば赤外線センサまたは超音波センサから構成されている。受付装置32は、車両検出部50で車両Cを検出すると受付可能な状態となる。
【0027】
また、受付装置32は、表示部51を備えている。表示部51は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイから構成され、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチパネル機能を備えている。このため、表示部51は、利用者に向けて洗車装置50に関するデータを表示したり、入力操作したりすることができる。受付時の表示部51には、例えば「利用者端末で洗車コース等の選択が済んでいる方」と「これから洗車コース等の選択をする方」とに分けて表示される。
【0028】
また、受付装置32は、データ取得部52を備えている。データ取得部52は、利用者端末12から識別データを取得するためのものである。例えば、識別データが二次元コードであれば、データ取得部52としてのリーダに利用者端末12で表示させた二次元コードをかざすことで、識別データが取得される(読み取りされる)。
【0029】
また、受付装置32は、車番取得部53を備えている。車番取得部53は、車両Cの車両番号を取得するためのものであり、例えばカメラ装置(車番取得装置)から構成され、ナンバープレートを含む車両Cを撮影することができる。事前に車両Cの車両番号を登録しておくことで、処理サーバ20は、車番取得部53で取得された車両Cの車両番号が登録したものと相違している旨の表示をするよう受付装置32に指示し、不正に処理を受けないようにすることもできる。なお、車番取得部53は、ゲート装置33に固定して設けられているが、データ取得部52のように受付装置本体に固定して設けてもよい。
【0030】
このような受付装置32では、表示部51で表示された「利用者端末で洗車コース等の選択が済んでいる方」を選択した利用者は、利用者端末12に記憶されている識別データをデータ取得部52で取得させるだけで、処理サーバ20からの指示を受けてゲート装置33が開くので円滑に洗浄などの処理を受けることができる。他方、「これから洗車等コースの選択をする方」を選択した利用者は、表示部51の表示に従い、その場で洗車コースの選択や洗車料金の精算等を済ませることで、洗浄などの処理を受けることができる。
【0031】
ここで、洗車コースの一例として、本体装置31を2.5往復させて車両Cをガラスコート洗車する場合について概略して説明する。まず、利用者は、受付装置32にて洗車受付が認められると、ゲート装置33が開くことにより洗車エリアに進入するよう案内される。その案内に従い、利用者は、本体装置31の手前の入車センサ46を遮光する所定の停車位置まで車両Cを移動、停車させる。
【0032】
第1往工程では、本体装置31の前進に伴い、スプレー40からシャンプー液、スプレー41、42から水をそれぞれ散布し、トップブラシ35とサイドブラシ36を回転させて車体面のシャンプー洗浄を行う。次いで、第1復工程では、本体装置31の後進に伴い、スプレー41からワックス液、スプレー40、42からそれぞれ水を散布し、トップブラシ35とサイドブラシ36を回転させて車体面のワックス掛けを行う。
【0033】
続いて、第2往工程では、本体装置31の前進に伴い、スプレー41からコーティング液を散布し、トップブラシ35とサイドブラシ36を回転して車体面の第1コーティングを行う。次いで、第2復工程では、本体装置31の後進に伴い、スプレー41からコーティング液を散布し、車体面の第2コーティングを行うと共に、スプレー40から水を散布して車体面のすすぎを行う。
【0034】
続いて、第3往工程では、本体装置31の前進に伴い、トップノズル37とサイドノズル38から高圧エアを吹き付けて車体面の乾燥を行う。ノズル37、38から高圧エアを車体面に吹き付けて水滴を飛散除去することでコーティング処理が完了となり、車体面に滑水性・撥水性・光沢・滑り性が付与される。
【0035】
図5に洗車装置30の制御系を含む構成図を示す。本体装置31は、本体制御部54と、本体記憶部55と、本体通信部62とを備えている。本体制御部54は、例えばCPUから構成され、本体記憶部55などの各構成部と接続されている。また、本体記憶部55は、例えばROM、RAM、外部メモリ(USBメモリなど)から構成されている。また、本体通信部62(受信部および送信部を含む。)は、ネットワーク11と接続されるものであり、例えばモバイル通信回路から構成されている。
【0036】
本体制御部54では、本体記憶部55に記憶されているプログラムの実行が行われる。すなわち、本体制御部54は、各構成部などからの信号・テータに基づき、予めプログラムされたシーケンスに従って、本体装置31の機能を発揮させるための種々の手段(機能構成部)を備えている。例えば、本体制御部54は、走行エンコーダ43のパルス信号から本体装置31の走行位置を検出する手段(走行検出部56)を備えている。また、本体制御部54は、走行エンコーダ43のパルス信号をトリガに車形センサ45を駆動して車両Cの高さ位置を検出する手段(車形検出部57)を備えている。また、本体制御部54は、走行検出手段56と車形検出部57の検出結果から車形データを作成する手段(車形データ作成部58)を備えている。この車形データは、本体記憶部55に記憶される。そして、本体制御部54は、本体記憶部55から読み出した車形データなどに基づいてブラシなどの各処理装置を制御する。
【0037】
図5に示すように、受付装置32は、受付制御部60と、受付記憶部61とを備えている。受付制御部60は、例えばCPUから構成されている。また、受付記憶部61は、例えばROM、RAM、外部メモリ(USBメモリなど)から構成されている。受付制御部60は、受付記憶部61などの各構成部と接続され、受付記憶部61に記憶されているプログラムの実行が行われる。受付制御部60は、車両検出部50などからの信号・データに基づき、予めプログラムされたシーケンスに従って、受付装置32の機能を発揮させるための種々の手段(機能構成部)を備えている。なお、受付制御部60と本体制御部54とは、例えば有線により通信可能に構成されている。
【0038】
(利用者端末、管理者端末)
図6に利用者端末12の構成図を示す。利用者端末12は、例えばスマートフォンで構成されている。利用者端末12は、端末制御部15と、表示部16と、端末記憶部17と、端末通信部18とを備えている。管理者端末13も利用者端末12と同様の構成である。なお、利用者端末12および管理者端末13は、スマートフォンに限らず、後述する同様の機能を有するノートパソコン、デスクトップパソコンなどであってもよい。
【0039】
端末制御部15は、例えばCPUから構成されている。また、表示部16は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイから構成されている。この表示部16は、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチパネル機能を備えており、入出力部を構成している。端末記憶部17は、例えば、フラッシュメモリ、RAMなどから構成され、プログラムや各種データを記憶することができる。また、端末通信部18(受信部および送信部を含む。)は、例えば、モバイル通信回路、WiFi通信回路、Bluetooth通信回路などから構成されている。
【0040】
(処理フロー)
図7および図8に処理システム10の処理フローを示す。また、図9に処理サーバ20に登録(記憶部22に記憶)されているデータの一例を示す。ここでは、管理者端末13に処理システム10を管理するための管理者用アプリケーション(Webブラウザ)がインストールされている。また、利用者端末12に処理システム10を利用するための利用者用アプリケーションがインストールされている。また、図9に示すように、処理サーバ20の記憶部22(データベース)には、管理者端末13から送信された管理者データが記憶されている。また、処理サーバ20の記憶部22には、複数の利用者端末12から送信されたそれぞれの利用者データ(処理を受ける車両Cの車両番号を含む。)が記憶されている。また、処理サーバ20の記憶部22には、複数の洗車装置30に関するそれぞれの装置データが記憶されている。なお、それぞれのデータは重複あるいは紐付けて記憶部22内に記憶されてもよい。
【0041】
装置データとして、図9に示すように、洗車装置30の洗車コース(処理項目)およびその金額のデータを含むことができる。より具体的には、コース1:ガラスコート洗車が1500円、コース2:ポリマーコート洗車が1100円、コース3:はっ水洗車が800円、コース4:ワックス洗車が700円、コース5:シャンプー洗車が500円、コース6:水洗い洗車が300円である。
【0042】
また、装置データとして、洗車装置30で実行可能な各洗車コースを構成する種々の処理(ブラッシング、スプレー、乾燥など)のデータを含むことができる。また、装置データとして、その装置で処理対象の車両および洗車コースのデータを含むことができる。また、装置データとして、洗車装置30の可動部の可動データ(設計仕様、実行時の実績等)、撮像データを含むことができる。また、装置データとして、その装置で実行された実績データを含むことができる。実績データとして、履歴、売上集計、異常発生時の処理などのデータを含むことができる。
【0043】
まず、処理サーバ20では、通信部23を介して利用者端末12からのアクセス(工程S10)を受け付ける。次いで、利用者端末12からの操作によって、処理サーバ20では、複数の洗車装置30および処理項目を含む受付リストRLを作成するための装置データを記憶部22から読み出すよう制御部21が処理し、これら装置データを参照して受付リストRL(サポートデータ)を作成する(工程S11)。次いで、処理サーバ20では、通信部23を介して受付リストRLが利用者端末12へ送信されるよう制御部21が処理する(工程S20)。このように、処理システム10は、利用者の利用者端末12からの操作により、複数の洗車装置30および処理項目を含む受付リストRLを生成する手段(リスト生成部70)を備えている。
【0044】
続いて、利用者端末12では、処理サーバ20から端末通信部18を介して受信した受付リストRLが表示部16に表示され、利用者が所望する洗車装置30と、そこで実施可能な処理項目が選択されるよう端末制御部15が処理する(工程S21)。例えば、所望の「洗車装置」およびその処理項目として「ガラスコート洗車」を選択する。本実施形態では、選択された洗車装置のことをLa、選択された処理項目(洗車コース)のことをLbとし、選択結果(指示データ)をLabと示す場合がある。なお、他に選択されたトッピングメニューや装備品データを含めることもできる。
【0045】
次いで、利用者端末12の端末通信部18から受付リストRLの選択結果Labが処理サーバ20へ送信されるので、処理サーバ20では、通信部23を介して受付リストRLの選択結果Labを受信するよう制御部21が処理する(工程S30)。次いで、処理サーバ20では、通信部23で受信した受付リストRLの選択結果Labを記憶部22に記憶するよう制御部21が処理する(工程S31)。選択結果Labを記憶する際、利用者の登録データ(車両番号を含む。)を紐付けることができる。このように、処理システム10は、受付リストRLの選択結果Labを記憶する手段(選択結果記憶部71)を備えている。
【0046】
続いて、処理サーバ20では、記憶部22で記憶されている選択結果Labに紐付けた識別データDa(例えば、二次元コード)を生成するよう制御部21が処理する(工程S32)。ここで、識別データDaには選択結果Labの処理項目「ガラスコート洗車」は含まれず、処理サーバ20において識別データDaと選択結果Labが紐付けられていればよい。他方、識別データDaには選択結果Labの洗車装置30(La)のデータが含まれている。制御部21により生成された識別データDaは記憶部22に記憶されるよう制御部21が処理する(工程S33)。このように、処理システム10は、処理サーバ20がリストの選択結果Labに紐付けた識別データDaを生成する手段(識別データ生成部72)を備えている。
【0047】
続いて、処理サーバ20では、通信部23を介して識別データDaが利用者端末12へ送信されるよう制御部21が処理する(工程S40)。このように、処理システム10は、処理サーバ20が識別データDaを利用者端末12へ送信する手段(識別データ送信部73)を備えている。
【0048】
続いて、利用者端末12では、端末通信部18を介して識別データDaを受信し、端末記憶部17に記憶するよう端末制御部15が処理する(工程S41)。次いで、例えば、利用者は自宅から利用者端末12を携帯し、所望の洗車装置30が設置されている洗車場25まで車両Cで乗り付け、その洗車装置30の受付装置32で受付を行う。例えば、識別データDaが二次元コードであれば、利用者端末12の表示部16にその二次元コードを表示させ、洗車装置30では、データ取得部52(コードリーダ)を介して二次元コードを読み取らせるよう受付制御部60が処理する(工程S42)。
【0049】
続いて、識別データDaを取得した洗車装置30は、自身を対象としている識別データDaであることの照合を行うよう受付制御部60が処理する(工程S43)。具体的には、複数の洗車装置30には、それぞれ識別番号が振られているため、リーダ(データ取得部52)を介して取得した識別データDaを受付制御部60で解析し、所望の洗車装置30の識別番号が識別データDaに含まれているか照合を行う(工程S43)。このように、処理システム10は、識別データDaを取得した洗車装置30が識別データDaに自身が含まれていることの照合を行う手段(識別データ照合部80)を備えている。
【0050】
また、所望の洗車装置30が車番取得部53としてカメラを備えている場合には、その洗車装置30(受付装置32)では、車番取得部53により車両Cのナンバープレートを撮影し、この撮像データから車両番号を抽出するよう受付制御部60が処理する(工程S44)。このように、処理システム10は、洗車装置30(受付装置32)が車両Cから車両番号を抽出する手段(車番抽出部81)を備えている。
【0051】
次いで、洗車装置30では、本体通信部62を介して処理サーバ20へ識別データDaを送信するよう受付制御部60および本体制御部54が処理する(工程S50)。その際、撮影した車両番号も送信することができる。このように、処理システム10は、利用者端末12から識別データDaを取得した洗車装置30が、識別データDaを含むデータを処理サーバ20へ送信する手段(データ送信部82)を備えている。なお、車両番号の抽出は、処理サーバ20が車両Cの撮像データから行うこともできる。
【0052】
続いて、処理サーバ20では、通信部23を介して洗車装置30から識別データDa、車両番号を含むデータを受信し、この識別データDaに紐付けされた選択結果Lab、車両番号を含むデータを記憶部22から読み出すよう制御部21が処理する(工程S51)。次いで、識別データDaを送信してきた洗車装置30がその識別データDaに紐付けされた選択結果Labの洗車装置30であることの装置照合を行うよう制御部21が処理する(工程S52)。また、洗車装置30により識別データDaと共に送信されてきた車両番号が、識別データDaに紐付けられた車両番号であることの照合を行うよう制御部21が処理する(工程S53)。次いで、これらの照合結果が一致していれば、処理サーバ20では、決済装置14に対して処理項目Lbの内容の実施に係る代金処理を行うよう制御部21が処理する(工程S54)。
【0053】
このように、処理システム10は、識別データDaを送信してきた洗車装置30と、選択結果Labの洗車装置30の装置照合を処理サーバ20が行う手段(装置照合部74)を備えている。これによれば、例えば自宅などで事前に所望の洗車装置30を利用することを選択(仮受付)していた利用者が、実際に所望の洗車装置30のところに車両Cを乗り付けることができているか判定することができる。また、処理システム10は、事前に利用者端末12から送信されている利用者の車両番号と、車番取得部53で取得された車両番号との照合を処理サーバ20が行う手段(車番照合部75)を備えている。これによれば、所望の洗車装置30に乗り付けているか判定することができ、装置照合の信頼性をより向上させることができる。
【0054】
続いて、処理サーバ20では、装置照合が一致している場合、送信されてきた識別データDaが正規のものであるとして、識別データDaを送信してきた洗車装置30(選択済み装置La)に、識別データDaに紐付けられた選択結果の処理項目Lb(「ガラスコート洗車」)を、通信部23を介して送信するよう制御部21が処理する(工程S60)。すなわち、処理サーバ20がその洗車装置30に洗車を開始する(処理を進める)よう指示する。他方、装置照合が一致していない場合、処理サーバ20では、識別データを送信してきた洗車装置30に、処理を受け入れることができない車両Cであることを、通信部23を介して送信するよう制御部21が処理する。すなわち、処理サーバ20が洗車装置30に洗車を開始しないよう指示する。
【0055】
このように、処理システム10は、識別データDaを送信してきた洗車装置30に、識別データDaに紐付けて記憶された選択結果の処理項目Lb「ガラスコート洗車」を処理サーバ20が送信する手段(処理項目送信部76)を備えている。処理システム10では、識別データDaには処理項目Lbを含めず、処理サーバ20から識別データDaに紐付けられた処理項目Lbを送信するよう構成されている。これによれば、識別データDaを改竄して洗車を受けようとしても、処理サーバ20から処理開始の指示(処理項目Lbの送信)がないため、洗車装置30では洗車を開始することはない。したがって、改竄された識別データDaにより洗車装置30で処理を受け付けることを防止することができ、処理システム10の信頼性を向上することができる。
【0056】
続いて、洗車装置30では、本体通信部62を介して処理サーバ20から処理項目Lb(「ガラスコート洗車」)を受信し、「ガラスコート洗車」の開始を本体制御部54へ指示すると共に、ゲート装置33を開くよう受付制御部60が処理する(工程S61)。次いで、車両Cに対して、例えば前述した洗車コースの「ガラスコート洗車」を行うよう本体制御部54が処理する(工程S62)。このように、処理システム10は、選択結果の処理項目Lb(「ガラスコート洗車」であること)を受信した洗車装置30が該処理項目Lb「ガラスコート洗車」を開始する手段(処理開始部83)を備えている。
【0057】
このような処理システム10によれば、所望の洗車装置30に乗り付ける前に、希望の処理項目Lbの内容を確認し、例えば「ガラスコート洗車」を選択しておくことができる。そして、利用者端末12から識別データDaを洗車装置30に取得させるだけで、ゲート装置33が開き、円滑に洗車処理が開始される。また、決済装置14を用いて事前に代金処理も済ませておくこともできるので、乗り付けた際には円滑に洗車処理が開始される。
【0058】
洗車装置30では、処理が開始されると、各可動部の可動データ(例えば、本体装置31の走行データ、各ブラシやノズルの可動データ、スプレーからの噴射データなど)を本体記憶部55に記憶するよう本体制御部54が処理する(図8の工程S70)。また、洗車装置30では、洗車処理中である旨の装置データを処理サーバ20へ送信するよう本体制御部54が処理する(工程S71)。このとき、洗車装置30は、処理サーバ20からの遠隔処理を受け付けていない。洗車処理中である旨を受信した処理サーバ20では、その内容を判断し(工程S72)、受信した旨を洗車装置30へ送信するよう制御部21が処理する(工程S73)。このとき、処理サーバ20は、洗車装置30を遠隔制御していない。
【0059】
車両Cに対する洗車処理が終了し、ステータスが待機状態となると、洗車装置30では、待機中である旨の装置データを処理サーバ20へ送信するよう本体制御部54が処理する(工程S74)。このとき、洗車装置30は、処理サーバ20からの遠隔制御を受け付けることができる。待機中である旨を受信した処理サーバ20では、その内容を判断し(工程S75)、受信した旨を洗車装置30へ送信するよう制御部21が処理する(工程S76)。このとき、洗車処理が終了したのであれば、処理サーバ20は、例えば、洗車装置30から洗車処理における可動データを取得(記憶)することができる。なお、これに限らず、処理サーバ20は、洗車処理中のリアルタイムで可動データを取得してもよい。
【0060】
次いで、洗車装置30では、可動データを本体記憶部55から読み出し(工程S77)、処理サーバ20へ送信するよう本体制御部54が処理する(工程S78)。この可動データを受信した処理サーバ20では、通信部23で受信した可動データを洗車装置30の装置データとして記憶部22に記憶するよう制御部21が処理する(工程S79)。このように、装置データとして、洗車装置30の利用履歴(例えば、洗車等の利用の内容、徴収した代金、洗車結果等)の情報を洗車装置30の利用の都度、洗車装置30から処理サーバ20に記憶(アップ)される。洗車装置30は、形状・大きさの異なる種々の車両Cを洗車するため、本体装置31など種々の可動部から構成されており、これらの可動データを記憶部22に記憶しておくことで、適切なサポートデータを算出することができる。また、洗車装置30を撮影した撮像データを含めることで、視覚的なサポートデータを算出することができる。このように、処理システム10は、洗車装置30からの装置データを処理サーバ20が受信し、記憶する手段(装置データ記憶部77)を備えている。なお、管理者端末13から処理サーバ20へのアクセスにより、図10に示すような所定のWeb画面が表示され、管理者は、各洗車場25内の複数の洗車装置30などのそれぞれのステータスの一覧を把握することができる。
【0061】
ところで、車両Cの洗車中において洗車装置30が異常を検出して停止した場合、洗車装置30では、異常停止していることを知らせる旨の装置データを処理サーバ20へ送信するよう本体制御部54が処理する(工程S80)。これを受信した処理サーバ20では、その内容を判断し(工程S81)、例えば、受信した旨を洗車装置30へ送信し(工程S82)、電子メール等にて管理者端末13へその内容を発報(送信)するよう制御部21が処理する(工程S83)。異常停止の一例としては、洗車処理が開始されたにもかかわらず、入車センサ46が遮光から通光となり、車両Cを検出しなくなる場合がある。この原因の一例として、乗車したままの利用者が、洗車処理開始による本体装置31の接近により車両Cを後退させてしまうことが考えられる。
【0062】
発報を受けた管理者は、管理者端末13(表示部16)にて処理サーバ20へアクセスすると(工程S84)、図10に示すWeb画面においてB店の洗車装置30(機種yyy)がステータス「異常停止中」であると確認することができる。処理サーバ20では、例えば、この「異常停止中」が選択されることにより、管理者が異常停止中の洗車装置30(B店の機種yyy)へ指示(対応)できるよう記憶部22から読み出した装置データを含むデータを参照してサポートデータのリストSL1を算出する(工程S85)。処理サーバ20の制御部21は、管理者が管理者端末13(表示部16)からアクセスできるWeb画面(図11参照)を更新し、洗車装置30に関して操作可能なサポートデータ(「自動復帰、「遠隔復帰」、「現地復帰」)を列挙(送信)する(工程S86)。その装置データ(実績データ)としては、例えば、本体装置31(走行検出手段56)の走行データ、ブラシやノズルの可動データや、監視カメラ27から送信されてくる本体装置31の撮像データが含まれる。なお、その他のデータとしては、利用者データが含まれる。
【0063】
このように、制御部21では、装置データを含むデータを参照し、現在の状況を把握し、サポートデータを算出することができる(工程S85)。前述の異常停止の例のように、本体装置31が前進移動した状態だけであれば、制御部21では、本体装置31を後進移動させればよいため洗車装置30による自動復帰が可能であると判断してこれをサポートデータとしてサポートリストSL1に含めておくことができる。また、撮像データから解析した結果(例えば、撮像データからの距離と可動データからの距離との比較)も管理者に提示することで「管理者による遠隔手動操作」も可能であると判断してこれをサポートデータとしてサポートリストSL1に含めておくことができる。
【0064】
このように、処理システム10は、管理者の指示決定をサポートする手段(サポート部78)を備えている。また、処理サーバ20の制御部21は、指示決定対象の洗車装置30の装置データの他に、指示決定対象でない別の洗車装置30の装置データも参照してサポートデータを算出することができる。これによれば、例えば、異常停止があった場合、その洗車装置30特有のものなのか、他の洗車装置30でも発生しているものなのかも算出し、より有用なサポートデータを算出することができる。
【0065】
次いで、管理者端末13では、サポートデータ(「自動復帰」、「遠隔復帰」、「現地復帰」など)が表示部16に表示され、管理者が洗車装置30へ処理を指示するにあたって、そのサポートリストSL1から選択(例えば、画面上のボタンを押下)できるよう端末制御部15が処理する(工程S87)。サポートリストSL1として、図11に示すWeb画面には、本体装置31の可動データを含む装置データを参照して算出された、洗車装置による「自動復帰」、管理者による「遠隔復帰」や「現地復帰」などのサポートデータが含まれる。
【0066】
これにより、管理者は、洗車装置30に対する習熟度に併せてサポートリストSL1の中から選択して指示データDd1を決定することができる(工程S87)。管理者による「遠隔復帰」が指示データDd1の場合、管理者は、Web画面にアップされる監視カメラ27の撮像データを見ながら装置復帰を行うこともできる。なお、図11に示す「洗車機の位置」(数値)については、遠隔操作等で本体装置31が移動にあわせてリアルタイムに更新されるため、遠隔操作も容易となる。次いで、管理者端末13の端末通信部18から指示データDd1とした内容が処理サーバ20へ送信される(工程S88)ので、処理サーバ20では、記憶部22に記憶するよう制御部21が処理する(工程S89)。
【0067】
ところで、洗車装置30では、依然として、異常停止していることを知らせる旨の装置データを処理サーバ20へ送信するよう本体制御部54が処理する(工程S90)。これを受信した処理サーバ20では、指示データDd1が生成されていることを判断し(工程S91)、指示データDd1の内容を洗車装置30へ送信する(工程S92)。洗車装置30では、指示データDd1が例えば「自動復帰」であれば、本体装置31をスタート位置(待機位置)まで戻すよう本体制御部54が処理する(工程S93)。
【0068】
処理システム10では、洗車装置30への指示決定をサポートするサポートデータが処理サーバ20によって列挙されるので、管理者はその中から選択すればよい。これにより、洗車装置30に対する専門的な知識を有しない者であっても管理しやすくなる。仮に、遠隔地にある洗車装置30に異常が発生した場合であっても、遠隔操作を容易に行うことができる。また、洗車装置30が復帰することで、他の洗車待ち利用者も利用がし易くなる。装置復帰できないような場合(例えば、ブラシの回転不良、洗浄液不足など)には、管理者が異常停止している洗車装置30のある洗車場25へ赴いて装置復帰(例えば、ブラシ交換、洗浄液補充など)を行うことができたり、修理やメンテナンスを依頼したりすることができる。また、現地作業者が、洗浄液を補充したにもかかわらず、洗車装置30を待機状態に戻し忘れた場合(例えば、補充しやすいように移動させたブラシを戻さない)に、遠隔操作で装置復帰させることもできる。
【0069】
なお、ブラシ交換、洗浄液補充については、それらの使用状況(回転回数、液残量)やを洗車処理が実行された日時も含めて装置データ(実績データ)とし、交換、補充時期や「休止」などをサポートデータとして算出することができる。例えば、管理者が指示データとして「休止」を選択すれば、洗車装置30では洗車が行われず、洗車途中に洗浄液不足によって異常停止することを未然に防止することができる。このように管理者は遠隔で洗車装置30を休止させることもできる。
【0070】
また、処理サーバ20の制御部21は、洗車装置30が異常停止していることを踏まえ(工程S80)、金額データ(装置データ)を参照して返金可否のサポートデータを算出することもできる。例えば、洗車処理開始による本体装置31の接近により利用者が車両Cを後退させてしまった場合は「返金非対象」、洗車装置30の洗浄液不足など利用者に落ち度がないような場合は「無料洗車」、「返金(ガラスコート洗車1500円)」がサポートデータとして列挙される。
【0071】
図9に示すように、装置データとして各洗車装置30の洗車コース(処理項目)の金額データが記憶部22に記憶されているので、処理サーバ20は、返金する金額として記憶部22から金額データ等を読み出し、サポートデータを算出することができる(工程S150)。処理サーバ20の制御部21は、管理者が管理者端末13(表示部16)からアクセスできるWeb画面(図12参照)を更新し、洗車装置30に関して操作可能なサポートデータ(「無料洗車」、「返金:1500円」)を列挙する(工程S151)。図12では、利用者に落ち度がないとして、「無料洗車」、「返金」がサポートデータとして列挙されている。管理者端末13では、サポートデータ(「無料洗車」、「返金」など)がその表示部16に表示され、管理者が返金装置26へ処理を指示するにあたって、そのサポートリストSL2から選択できるよう端末制御部15が処理する(工程S152)。サポートリストSL2として、図12に示すWeb画面には、金額データ含む装置データを参照して算出された、洗車装置30による「無料洗車」、返金装置26「返金」などのサポートデータが含まれる。
【0072】
これにより、管理者は、サポートリストSL2の中から選択して指示データDd2を決定することができる(工程S152)。次いで、管理者端末13の端末通信部18から指示データDd2とした内容が処理サーバ20へ送信される(工程S153)ので、処理サーバ20では、記憶部22に記憶するよう制御部21が処理する(工程S154)。
【0073】
ところで、返金装置26では、処理制御可能であることを知らせる旨の装置データを処理サーバ20へ送信するよう本体制御部54が処理する(工程S99)。これを受信した処理サーバ20では、指示データDd2が生成されていることを判断し(工程S156)、指示データDd2の内容を返金装置26へ送信する(工程S157)。返金装置26では、指示データDd2が「返金」であれば、返金処理が行われる(工程S158)。
【0074】
返金については、管理者がその場にいない場合は、例えば後日返金することが考えられる。しかしながら、処理サーバ20で返金に関するサポートデータを算出できれば、返金対象となったそのときに遠隔からでも返金処理を行え、また返金作業を省力化することができる。また、IoT技術を用いた処理システム10において洗車の履歴や売上集計に、返金分を自動的に反映させることもできる。
【0075】
(第2実施形態)
前記第1実施形態では、利用者端末12にインストールされたアプリケーションを用いて、洗車装置30の処理実行を開始する処理システム10について説明した。本実施形態では、利用者がアプリケーションを用いなくとも洗車装置30の処理実行を開始する処理システム10Aについて、主に前記第1実施形態と相違する点を説明する。図13に処理システム10Aの処理フローを示す。
【0076】
本実施形態では、管理者端末13に処理システム10Aを管理するための管理者用アプリケーション(プログラム)がインストールされている。また、図9に示すように、処理サーバ20の記憶部22には、管理者データ、利用者データ、装置データが記憶されている。利用者データとして、定額料金支払い済みとして処理対象の車両Cの車両番号および洗車コースのデータを含むことができる。この利用者データは、予め受付等にて管理者によって記憶部22に記憶されている。また、装置データとして、その洗車装置30で処理対象の車両および洗車コース(処理項目)のデータを含むことができる。
【0077】
利用者は、所望の洗車装置30が設置されている洗車場25まで車両Cで乗り付け、受付装置32で受付を行おうとする(図3参照)。すると、洗車装置30では、車両検出部50で車両Cを検出する(工程S100)。併せて、受付装置32の車番取得部53(カメラ装置)でナンバープレートを含む車両Cが撮影されるので、受付制御部60が撮像データから車両番号を抽出し、車両番号等のデータを受付記憶部61に記憶する。次いで、洗車装置30では、車両Cを検出したことを知らせる旨の装置データを処理サーバ20へ送信するよう本体制御部54が処理する(工程S101)。これを受信した処理サーバ20では、その内容を判断し(工程S102)、例えば、受信した旨を洗車装置30へ送信し(工程S103)、電子メール等にて管理者端末13へその内容を発報(送信)するよう制御部21が処理する(工程S104)。
【0078】
発報を受けた管理者は、管理者端末13(表示部16)にて処理サーバ20へアクセスすると(工程S105)、Web画面において車両Cが洗車装置30(受付装置32)で受付中であると確認することができる。処理サーバ20では、管理者が受付中の洗車装置30へ指示(対応)できるよう記憶部22から読み出した装置データを参照してサポートデータのリストSL3を算出する(工程S106)。具体的には、洗車装置30により送信されてきた車両番号が、利用者データ(図9参照)に記憶された車両番号であることの照合を行うよう制御部21が処理する。照合結果が一致したと認定された場合、処理サーバ20は、サポートデータとして、例えば、「車両番号」、「車種」と共に、定額料金支払い済みの対象コース(例えば「ガラスコート洗車」)や「受け入れ拒否」を算出する。
【0079】
処理サーバ20の制御部21は、管理者が管理者端末13(表示部16)からアクセスできるWeb画面を更新し、洗車装置30に関して操作可能なサポートデータを列挙(送信)する(工程S107)。次いで、管理者端末13では、処理サーバ20から端末通信部18を介して受信したリストSL3が表示部16(Web画面)に表示され、管理者が洗車装置30へ処理を指示決定するにあたって、そのリストSL3から選択できるよう端末制御部15が処理する(工程S108)。サポートリストSL3には、装置データ等を参照して算出された「ガラスコート洗車」や「受け入れ拒否」のサポートデータが含まれる。サポートデータを選択する際、管理者は撮像データを確認し、車両Cの車両番号を参照することができる。なお、サポートリストSL3の他に、管理者は洗車装置30を撮影した撮像データで車種を確認し、仮に処理サーバ20で記憶されている車種と異なるようであれば「受け入れ拒否」とすることができる。
【0080】
これにより、管理者は、リストSL3の中から選択して指示データDd3を決定することができる。次いで、管理者端末13の端末通信部18から指示データDd3が処理サーバ20へ送信される(工程S109)ので、処理サーバ20では、通信部23を介して指示データDd3を受信し、記憶部22に記憶するよう制御部21が処理する(工程S110)。ところで、洗車装置30では、依然として待機中であることを知らせる旨の装置データを処理サーバ20へ送信するよう本体制御部54が処理する(工程S111)。これを受信した処理サーバ20では、指示データDd3が生成されていることを判断し(工程S112)、指示データDd3の内容を洗車装置30へ送信する(工程S113)。洗車装置30では、受信した指示データDd3が「ガラスコート洗車」であれば、車両Cに対してその処理を開始するよう本体制御部54が処理する(工程S114)。
【0081】
本実施形態では、洗車装置30への指示決定をサポートするサポートデータ(リストSL3)が処理サーバ20によって管理者端末13の画面に列挙されるので、管理者はその中から選択すればよい。これにより、経験を有しない者であっても操作しやすくなる。また、仮に、遠隔地にある洗車装置30から車両Cの受け入れ確認を求められた場合であっても、遠隔操作を容易に行うことができる。
【0082】
(第3実施形態)
前記第1実施形態では、種々の処理(ブラッシング、スプレー、乾燥)が予め組み合わされた洗車コースを洗車装置30に実行させる処理システム10について説明した。本実施形態では、利用者が種々の工程から選択して組み合わせ、自由で柔軟なオリジナルの洗車コースを洗車装置30に実行させる処理システム10Bについて、主に前記第1実施形態と相違する点を説明する。図14に処理システム10Bの処理フローを示す。図15および図16に処理システム10Bの処理フロー中のWeb画面の一例を示す。
【0083】
本実施形態では、管理者端末13に処理システム10Bを管理するための管理者用アプリケーションがインストールされている。また、利用者端末12に処理システム10Bを利用するための利用者用アプリケーションがインストールされている。また、図9に示すように、処理サーバ20の記憶部22には、管理者データ、利用者データ、装置データが記憶されている。装置データとして、洗車装置30で実行可能な種々の処理(ブラッシング、スプレー、乾燥)のデータを含むことができる。
【0084】
利用者は、車両Cの汚れ具合、天気などの状況や好みに応じて、オリジナルの洗車コースで所望の洗車装置30に洗車を実行させたい場合、図15に示すような利用者端末12の表示部16の画面にてコースの作成を行う(工程S200)。画面上側のアイコン欄16Aには、処理項目アイコンとして、例えば、ブラッシングのための「トップブラシ」および「サイドブラシ」、乾燥のための「トップノズル」および「サイドノズル」、スプレーのための「シャンプー」、「はっ水」、「ワックス」、「ジェット水」が表示されている。なお、画面下側のコース欄16Bには、オリジナルの洗車コースが表示されることとなる。
【0085】
まず、コース欄16Bの画面上で指をスライドさせて線の軌跡を描画する。この描画された線が、本体装置31の走行順路となる。ここでは、画面左側から画面右側へ描画した線が往工程に対応し、画面右側から画面左側へ描画した線が復工程に対応することとなる。図15の例では、本体装置31が2往復走行することが選択されている。このように、処理システム10Bは、洗車工程数を自由に選択することができる手段(工程数指定部)を備えている。
【0086】
次いで、図16に示すように、アイコン欄16Aから処理アイコンをコース欄16Bに描画した線上に、ドラッグ&ドロップして配置する。これにより、走行順路にあわせて実行される処理が指定される。コース欄16Bで重なって処理アイコンが配置された処理は同時に行われる。このように、処理システム10Bは、各工程でどのような処理を行うか(どの可動部を用いた洗車を行うか)を指定する手段(工程内容指定部)を備えている。
【0087】
コース作成が終了し、「決定」ボタンが押下されると、作成されたコースデータDcが利用者端末12の端末通信部18から処理サーバ20へ送信される(工程S201)。また、コースデータDcと共にそれを実行したい洗車装置30として選択された旨(装置データ)もあわせて送信することもできる。処理サーバ20では、通信部23で受信したコースデータDcを記憶部22に記憶し(工程S202)、電子メール等にて管理者端末13へその内容を発報(送信)するよう制御部21が処理する(工程S203)。
【0088】
発報を受けた管理者は、管理者端末13(表示部16)にて処理サーバ20へアクセスすると(工程S205)、Web画面において車両Cが洗車装置30(受付装置32)で受付中であると確認することができる。処理サーバ20では、管理者がコースデータDcを認めるか決定できるよう記憶部22から読み出した装置データを参照してサポートデータのリストSL4を算出する(工程S204)。具体的には、処理サーバ20は、装置データ(実績データ)等から、コースデータDcが過去に実施されたことのあるコースであるか、走行順路において実施可能な処理(ブラッシング等)であるか、同様のコースで異常が発生していないか(発生確率はどの程度か)、などの結果を参照してサポートデータを算出する。また、例えば、所望の洗車装置30では実績がないコースであれば、別の洗車装置30で実績がないかも参照される。
【0089】
処理サーバ20の制御部21は、管理者が管理者端末13(表示部16)からアクセスできるWeb画面を更新し、洗車装置30に関して操作可能なサポートデータ(リストSL4)を列挙(送信)する(工程S206)。次いで、管理者端末13では、処理サーバ20から端末通信部18を介して受信したリストSL4が表示部16(Web画面)に表示され、管理者が洗車装置30へ処理許可を指示決定するにあたって、そのリストSL4から選択できるよう端末制御部15が処理する(工程S207)。サポートリストSL4には、装置データ等を参照して算出された「オリジナル洗車コース実行可能(過去異常なし)」、「オリジナル洗車コース実行可能(過去異常あり)」、「実行不可」が含まれる。
【0090】
これにより、管理者は、サポートリストSL4の中から選択して指示データDd4を決定することができる。ここでは、指示データDd4が「オリジナル洗車コース実行可能(過去異常なし)」として決定されたこととする。次いで、管理者端末13の端末通信部18から指示データDd4が処理サーバ20へ送信される(工程S208)ので、処理サーバ20では、通信部23を介して指示データDd4を受信し、記憶部22に記憶するよう制御部21が処理する(工程S209)。管理者によって実行可能と指示決定を受けた処理サーバ20では、記憶部22で記憶されている指示データDd4に紐付けた識別データDa(例えば、二次元コード)を生成するよう制御部21が処理する(工程S210)。
【0091】
その後は、前記第1実施形態で説明した工程S40以下の工程を実行することで、サポートデータ(リストSL4)から管理者端末13で選択された指示データDd4をネットワーク11を介して洗車装置30に実行させる。洗車装置30では、受信した指示データDd4が「オリジナル洗車コース実行」であれば、車両Cに対してその処理を実行することができる(工程S62)。このように、処理システム10Bは、工程数を指定する手段と工程内容を指定する手段とで指定した工程を有するオリジナルの洗車コースを実行する手段(洗車実行指定部)を備えている。
【0092】
本実施形態では、洗車装置30への指示決定をサポートするサポートデータ(リストSL4)が処理サーバ20によって管理者端末13の画面に列挙されるので、管理者はその中から選択すればよい。これにより、経験を有しない者であっても操作しやすくなる。また、仮に、遠隔地にある洗車装置30から車両Cの受け入れ確認を求められた場合であっても、遠隔操作を容易に行うことができる。
【0093】
(第4実施形態)
前記第1実施形態では、種々の処理(ブラッシング、スプレー、乾燥)が予め組み合わされた洗車コースを洗車装置30に実行させる処理システム10について説明した。本実施形態では、洗車装置30が所定の洗車コースを実行している際に、利用者が可動部を操作することができる処理システム10Cについて、主に前記第1実施形態と相違する点を説明する。図17に処理システム10Cの処理フローを示す。図18に処理システム10Cの処理フロー中のWeb画面の一例を示す。
【0094】
本実施形態では、利用者端末12に処理システム10Cを利用するための利用者用アプリケーションがインストールされている。また、図9に示すように、処理サーバ20の記憶部22には、管理者データ、利用者データ、装置データが記憶されている。装置データとして、洗車装置30の可動部(ブラシ、スプレー、ノズル等)に関する可動データを含むことができる。このように、処理システム10Cは、ネットワーク11を介して洗車装置30の可動状態を表す情報を取得する手段(装置状態取得部)を備えている。
【0095】
ところで、利用者は、車両Cに対する洗車装置30の処理中において可動部の調整を行いたい場合、利用者端末12にて処理サーバ20へアクセスする(工程S300)。処理サーバ20では、利用者が洗車装置30へ指示(対応)できるよう記憶部22から読み出した装置データを参照してサポートデータのリストSL5を算出する(工程S301)。具体的には、本体装置31、トップブラシ35、サイドブラシ36、トップノズル37の可動データ(装置データ)から安全な調整範囲を算出し、これをサポートデータ(リストSL5)とする。すなわち、サポートデータにより、安全確保のため、走行速度やブラシの近接距離が制限される。例えば、車形センサ45により車両Cの上面高さを検出され、トップブラシ35や、トップノズル37は車両Cの上面に追随するがこれを優先して、調整範囲とし本体装置31の走行速度や、近接距離の制限が算出される。
【0096】
次いで、処理サーバ20の制御部21は、利用者の判断をサポートするためのサポートデータ(リストSL5)を利用者端末12へ送信する(工程S302)。次いで、管理者端末13では、処理サーバ20から端末通信部18を介して受信したサポートデータが表示部16(Web画面)に表示され、利用者が洗車装置30へ処理を指示するにあたって、そのサポートデータ(リストSL5)から指示データDd5を選択できるよう端末制御部15が処理する(工程S303)。
【0097】
具体的には、図18に示す利用者端末12の表示部16の画面にて可動部の操作を行う。画面上左欄、画面上右欄、画面下欄には、それぞれ正面視、上面視、側面視による洗車装置30の可動部として、本体装置31、トップブラシ35、サイドブラシ36、トップノズル37が表示されている。利用者端末12の表示部16の画面には可動部位置や、状態(可動中/停止中など)を色分けなどビジュアル表示することができる。図18では、3つの欄を設けた二次元表示しているが、本体装置31を三次元表示して、視点を移動できる構成などにしてもよい。このように、処理システム10Cは、利用者端末12の表示部16(画面)に洗車装置30の可動状態をビジュアル的に表示する手段(装置状態表示部)を備えている。
【0098】
図18に表示される可動部は、実際に車両Cに対して処理を行っている洗車装置30の可動部の動きに連動してリアルタイムで表示されている。図18に示す画面において、各可動部をドラッグ等されると、例えば、車両Cからブラシ35、36を回避させる動作や、本体装置31の走行方向や速度の変更などの指示データDd5として利用者端末12の端末通信部18から処理サーバ20へ送信される(工程S304)。このように、処理システム10Cは、表示部16(画面)で表示された各可動部に対する利用者の操作指示を入力する手段(操作入力部)を備えている。
【0099】
画面上の操作としては、図18に示す側面視欄において、トップブラシ35を上方にドラッグすると、車両Cの上面に追随する膨らまし距離を延ばし、車両Cの上面から少し離してトップブラシ35を回転させる(ブラッシングの当たりを弱くする)ことができる。その他、トップブラシ35を下方にドラッグすると、追随する車両Cの上面の膨らまし距離を縮める(ブラッシングの当たりを強くする)ことができる。すなわち、ブラシの当たり強さを調整する操作の入力が可能である。また、トップブラシ35を上方にフリック(払う)と、一旦待機位置まで待避させることができ、その後、下方にフリックすると復帰させることができる。
【0100】
また、本体装置31を進行方向にフリックすると加速させることができる。また、本体装置31を進行方向とは逆方向にフリックすると減速させることができる。また、本体装置31を進行方向とは逆方向にドラッグ&ドロップすると、ドロップした位置まで逆進させることができる。これにより、しっかり洗いたい箇所をリピート洗車させることができる。また、本体装置31をタップし続けると、その間、走行を一時停止させることができる。
【0101】
このように、利用者端末12の表示部16の画面上で可動部をドラッグ等により動かすこと(これにより指示データDd5として決定)となるが、安全な調整範囲内で実行できる場合のみ(すなわちリストSL5内のサポートデータとして提示)可能となる。すなわち、利用者は、サポートデータ(リストSL5)の中から選択して指示データDd5を決定することができる。次いで、利用者端末12の端末通信部18から指示データDd5が処理サーバ20へ送信される(工程S304)ので、処理サーバ20では、通信部23を介して指示データDd3を受信し、記憶部22に記憶するよう制御部21が処理する(工程S305)。
【0102】
次いで、処理サーバ20では、利用者によって選択された洗車装置30への指示テータDd5を通信部23から送信するよう制御部21が処理する(工程S306)。次いで、サポートデータ(リストSL5)から利用者端末12で選択された指示データDd5をネットワーク11を介して洗車装置30に実行させる(工程S307)。洗車装置30では、受信した指示データDd5にしたがって、リアルタイムに車両Cに対して処理を実行することができる。このように、処理システム10Cは、入力された各可動部への操作情報を、ネットワーク11を介して洗車装置30に送信する手段(操作情報送信部)を備えている。
【0103】
本実施形態では、洗車装置30への指示決定をサポートするサポートデータ(リストSL5)が処理サーバ20によって利用者端末12の画面に列挙される(実行できるもの、できないものと区別される)ので、利用者はその中から選択すればよい。具体的には、洗車装置30が実行できるものだけが、画面上で手動操作できるので、多彩な操作であっても直感的に行うことができる。これにより、経験を有しない者であっても操作しやすくなる。また、利用者端末12と同様に管理者端末13も処理システム10Cにて操作することができる。例えば、操作の熟練度が異なる利用者と管理者とにおいて、許容する操作に制限をかけるサポートデータを算出することもできる。
【0104】
(第5実施形態)
前記第1実施形態では、利用者端末12に識別データ(二次元コード)を表示し、それを受付装置32で読み取らせた後、処理サーバ20が洗車装置30に洗車処理を開始するよう指示する場合について説明した。しかしながら、洗車場25へ車両Cを乗り付けて受付装置32で受付する際には、車内から窓を開けて、リーダ(データ取得部52)に利用者端末12で表示の識別データ(二次元コード)を読み取らせる必要がある。
【0105】
そこで、本実施形態では、車内から窓を開けずとも洗車装置30に洗車処理を開始させることのできる処理システム10Dについて、主に前記第1実施形態と相違する点を説明する。図19に処理システム10Dの処理フローを示す。また、図20および図21に処理システム10Dの処理フロー中の画面の一例を示す。なお、本実施形態では、図7に示す工程S31として、処理サーバ20において、通信部23で受信した受付リストRLの選択結果Lab(所望装置Laおよび処理項目Lb)を記憶部22に記憶するよう制御部21が処理した後から説明する。
【0106】
続いて、処理サーバ20では、記憶部22で記憶されている選択結果Labに紐付けた識別データDb(例えば、行列状の文字群)を生成するよう制御部21が処理する(工程S400)。また、識別データDbに基づいて、利用者端末12へ送信されるデータDb1と、洗車装置30へ送信されるデータDb2を生成するよう制御部21が処理する(工程S401)。
【0107】
ところで、利用者は、事前に所望の洗車装置30(所望装置La)および処理項目Lbを選択して仮受付を済ました後、洗車処理を受けるために、自宅から利用者端末12を携帯し、所望の洗車装置30が設置されている洗車場25まで車両Cで乗り付ける。このとき、選択結果Labを送信している利用者端末12は、利用者の操作により洗車装置30で車両Cを受け入れ可否を求めることができる(工程S402)。なお、洗車装置30では、受付装置32で検出されており、その旨を処理サーバ20へ送信することができる(工程S403)。
【0108】
続いて、処理サーバ20の制御部21は、洗車処理(選択結果Lab)を求める利用者端末12へデータDb1を送信し、また、所望の洗車装置30へデータDb2を送信する(工程S404)。これにより、図20に示すように、利用者端末12の表示部16の画面にはデータDb1が表示され、受付装置32の表示部51の画面にはデータDb2が表示される。利用者端末12(表示部16)では、データDb1として行列状の文字群が表示されている。また、受付装置32(表示部51)では、データDb2として行列状内に「*」と、各列の所定の位置がマーキング(図20では円記号)が表示されている。
【0109】
そこで、利用者は、受付装置32(表示部51)で表示されているデータDb2内のマーキング位置に対応する利用者端末12(表示部16)で表示されているデータDb1の文字をタッチし、「決定」ボタンを押下する。その際、利用者は、車内から受付装置32(表示部51)を視認することができるので、車両C内にて窓を開けずとも受付を行うことができる。
【0110】
図20では、利用者端末12にて左列から「5」、「6」、「.」が選択されている。この選択結果(図19では、データDb’と表示する。)を利用者端末12から処理サーバ20へ送信するよう端末制御部15が処理する(工程S404)。また、他例であるが、図21に示すように、利用者端末12にて左列から「3」、「5」、「0」が選択されてもよい。なお、データDb’は、選択結果Labを送信した利用者端末12から送信されるものであり、選択結果Labとは紐付けられている。
【0111】
続いて、処理サーバ20では、通信部23を介して利用者端末12からデータDb’を受信し、これに紐付けられている識別データDbを読み出すよう制御部21が処理する(工程S405)。次いで、利用者端末12から送信されたデータDb’と、処理サーバ20に記憶されている識別データDbとの照合を行うよう制御部21が処理する(工程S406)。次いで、これらのデータ照合が一致していれば、処理サーバ20では、決済装置14に対して処理項目Lbの内容の実施に係る代金処理を行うよう制御部21が処理する(工程S407)。
【0112】
続いて、処理サーバ20では、識別データDbとデータDb’の照合が一致している場合、洗車装置30(所望装置La)に処理項目Lb(例えば「ガラスコート洗車」)を送信するよう制御部21が処理する(工程S408)。洗車装置30では、本体通信部62を介して処理サーバ20から処理項目Lbを受信し、「ガラスコート洗車」の開始を本体制御部54へ指示すると共に、ゲート装置33を開くよう受付制御部60が処理する(工程S409)。次いで、車両Cに対して、「ガラスコート洗車」を行うよう本体制御部54が処理する(工程S410)。
【0113】
このような処理システム10Dによれば、所望の洗車装置30(所望装置La)に乗り付ける前に、希望の処理項目Lbの内容を確認し、例えば「ガラスコート洗車」を選択して仮受付をすることができる。そして、車両Cの窓を開けずに受付をすることができ、円滑に洗車処理が開始される。なお、洗車装置30にデータ取得部52(二次元コードリーダ)や車番取得部53(カメラ装置)を設けなくとも、その洗車装置30での処理を事前に所望した利用者を結びつけることができるので、処理システム10Dを安価に構成することもできる。
【0114】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0115】
前記実施形態では、車両処理装置として敷設面に停車した車両に対して門型の本体装置が移動する洗車装置を適用した場合について説明した。これに限らず、車両処理装置として、例えば、コンベアで車両を搬送しながら洗浄する連続式洗車装置、スプレー銃を操作して車両にスプレーするスプレー装置、車内を清掃、清浄等するためのクリーナ装置、車両処理装置を監視するカメラ装置、車両処理ができなかった場合に返金する返金装置にも適用することができる。
【0116】
また、前記実施形態では、処理サーバの記憶部に複数の洗車装置に関する装置データを記憶させる場合について説明した。これに限らず、洗車装置自身の装置データに関しては自身の本体記憶部に記憶させることもできる。この場合、処理サーバは必要に応じてネットワークを介して個々の洗車装置の装置データを読み出せばよい。また、個々の洗車装置がサポートデータを算出し、それを処理サーバを介して管理者が指示を決定することもできる。
【符号の説明】
【0117】
10:車両処理システム 11:ネットワーク 12、13:端末装置 30:洗車装置 78:サポート部
図1
図2
図3
図4
図5
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