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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031929
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】軸受手段の固定構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20230302BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
E06B9/17 M
E06B9/17 W
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137716
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 秀観
(72)【発明者】
【氏名】横井 直樹
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA05
2E239CA28
2E239CA34
2E239CA55
2E239CA69
(57)【要約】
【課題】軸受手段の固定性を確保しながら、耐火被覆材の設置性を高めることが可能となる、軸受手段の固定構造を提供すること。
【解決手段】軸受手段の固定構造は、巻取軸40を回転可能に支持する軸受手段を、木製の第1梁材2dに対して固定するための構造であって、天井材2bの部分のうち、少なくとも第1梁材2dに対応する部分及びその近傍部分を構成する第1耐火被覆材71と、第1梁材2dの面のうち、少なくとも軸受手段が固定される側の面を覆う第2耐火被覆材72と、上方床材2cの下面のうち、少なくとも軸受手段に対応する部分及びその近傍部分を覆う第3耐火被覆材73と、を備え、第1耐火被覆材71、第2耐火被覆材72、及び第3耐火被覆材73を連続状に構成し、梁材側固定具91によって、軸受手段を第1梁材2dに対して固定した。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体に設けられた開口部を開閉する開閉体を開閉移動させるための巻取軸を回転可能に支持する軸受手段を、前記躯体を構成する部材のうち天井材と木製の床材との間に位置する木製の梁材に対して固定するための固定構造であって、
前記天井材の部分のうち、少なくとも前記木製の梁材に対応する部分又は/及びその近傍部分を構成する第1耐火被覆材と、
前記木製の梁材の面のうち、少なくとも前記軸受手段が固定される側の面を覆う第2耐火被覆材と、
前記木製の床材の下面のうち、少なくとも前記軸受手段に対応する部分及びその近傍部分を覆う第3耐火被覆材と、を備え、
前記第1耐火被覆材、前記第2耐火被覆材、及び前記第3耐火被覆材を、連続状に構成し、
少なくとも前記第2耐火被覆材を貫通するように前記木製の梁材に挿入される固定具によって、前記軸受手段を前記木製の梁材に対して固定した、
軸受手段の固定構造。
【請求項2】
前記躯体を構成する部材のうち、前記木製の梁材とは異なる他の木製の梁材であり、前記木製の梁材と間隔を隔てて対向するように設けられた他の木製の梁材と前記木製の梁材との相互間に設けられる第4耐火被覆材と、
前記天井材の部分のうち、少なくとも前記他の木製の梁材に対応する部分及びその近傍部分を構成する第5耐火被覆材と、を備え、
前記第1耐火被覆材、前記第2耐火被覆材、前記第3耐火被覆材、前記第4耐火被覆材、及び前記第5耐火被覆材を、連続状に構成した、
請求項1に記載の軸受手段の固定構造。
【請求項3】
前記第4耐火被覆材を、前記他の木製の梁材の面のうち、前記木製の梁材側の面を覆うように設けた、
請求項2に記載の軸受手段の固定構造。
【請求項4】
前記第2耐火被覆材を略折り曲げ状にすることで形成される設置空間部であって、前記軸受手段を前記木製の梁材に対して固定する際に用いられる付属部材を前記木製の梁材に設置するための設置空間部を備えた、
請求項1から3のいずれか一項に記載の軸受手段の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受手段の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の開口に設けられたシャッター装置を構成する支持ブラケットであって、シャッターカーテンを巻装する巻取りドラムの左右両端部を支持する支持ブラケットを天井材と床材との間に位置する梁材に対して固定する技術の一つとして、支持ブラケットに取り付けられたアングル材と梁材とを直接当接させた状態で、当該アングル材をボルトを介して躯体に固定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-206815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、所定の耐火性能を有する木造建築物にシャッター装置を設置するニーズが高まっている。ここで、このような木造建築物を構成する部材のうち、木製の床材及び木製の梁材の外表面全体が耐火被覆材で覆うと共に、上記従来の技術を用いて木製の梁材のいずれかに対して耐火被覆材を介して支持ブラケットを固定する場合において、例えば上記木製の梁材が多数設置される場合には、木製の梁材を耐火被覆材で覆う作業に多大な手間と設置コストを要するおそれがあった。よって、支持ブラケットの如き軸受手段の固定性を確保しながら、耐火被覆材の設置性を高める観点からは、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためのものであって、軸受手段の固定性を確保しながら、耐火被覆材の設置性を高めることが可能となる、軸受手段の固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の軸受手段の固定構造は、建物の躯体に設けられた開口部を開閉する開閉体を開閉移動させるための巻取軸を回転可能に支持する軸受手段を、前記躯体を構成する部材のうち天井材と木製の床材との間に位置する木製の梁材に対して固定するための固定構造であって、前記天井材の部分のうち、少なくとも前記木製の梁材に対応する部分又は/及びその近傍部分を構成する第1耐火被覆材と、前記木製の梁材の面のうち、少なくとも前記軸受手段が固定される側の面を覆う第2耐火被覆材と、前記木製の床材の下面のうち、少なくとも前記軸受手段に対応する部分及びその近傍部分を覆う第3耐火被覆材と、を備え、前記第1耐火被覆材、前記第2耐火被覆材、及び前記第3耐火被覆材を、連続状に構成し、少なくとも前記第2耐火被覆材を貫通するように前記木製の梁材に挿入される固定具によって、前記軸受手段を前記木製の梁材に対して固定した。
【0007】
請求項2に記載の軸受手段の固定構造は、請求項1に記載の軸受手段の固定構造において、前記躯体を構成する部材のうち、前記木製の梁材とは異なる他の木製の梁材であり、前記木製の梁材と間隔を隔てて対向するように設けられた他の木製の梁材と前記木製の梁材との相互間に設けられる第4耐火被覆材と、前記天井材の部分のうち、少なくとも前記他の木製の梁材に対応する部分及びその近傍部分を構成する第5耐火被覆材と、を備え、前記第1耐火被覆材、前記第2耐火被覆材、前記第3耐火被覆材、前記第4耐火被覆材、及び前記第5耐火被覆材を、連続状に構成した。
【0008】
請求項3に記載の軸受手段の固定構造は、請求項2に記載の軸受手段の固定構造において、前記第4耐火被覆材を、前記他の木製の梁材の面のうち、前記木製の梁材側の面を覆うように設けた。
【0009】
請求項4に記載の軸受手段の固定構造は、請求項1から3のいずれか一項に記載の軸受手段の固定構造において、前記第2耐火被覆材を略折り曲げ状にすることで形成される設置空間部であって、前記軸受手段を前記木製の梁材に対して固定する際に用いられる付属部材を前記木製の梁材に設置するための設置空間部を備えた。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の軸受手段の固定構造によれば、第1耐火被覆材、第2耐火被覆材、及び第3耐火被覆材を、連続状に構成するので、例えば木製の梁材が多数設置される場合に、軸受手段が固定される木製の梁材の近傍において上記構成を採用し、その他の梁材の近傍においてメンブレン構造(天井材と木製の床材とを耐火被覆材で覆うものの、梁材を耐火被覆材で覆わない構造)を採用する組み合わせを実行しやすくなる。よって、従来技術(木製の床材及び木製の梁材の外表面全体を耐火被覆材で覆う技術)に比べて、木製の梁材を耐火被覆材で覆う作業に要する手間及び設置コストを低減でき、固定構造の設置性を高めることができる。また、少なくとも第2耐火被覆材を貫通するように木製の梁材に挿入される固定具によって、軸受手段を木製の梁材に対して固定したので、軸受手段を木製の梁材に対して強固に固定しながら、開口部の周辺で火災が発生した場合に、当該火災の炎等で軸受手段の周辺に位置する天井材、木製の床材、及び木製の梁材が燃えることを抑制でき、上記火災の被害を低減できる。以上のことから、固定構造の利用性を高めることが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の軸受手段の固定構造によれば、第1耐火被覆材、第2耐火被覆材、第3耐火被覆材、第4耐火被覆材、及び第5耐火被覆材を、連続状に構成したので、上記構成と上記メンブレン構造を組み合わせる際に、第1耐火被覆材又は第5耐火被覆材のいずれかと上記メンブレン構造の耐火被覆材とを容易に接続でき、固定構造の設置性を一層高めることができる。また、開口部の周辺で火災が発生した場合に、当該火災の炎等で軸受手段の周辺に位置する天井材、木製の床材、木製の梁材、及び他の木製の梁材が燃えることを抑制でき、上記火災の被害を一層低減できる。
【0012】
請求項3に記載の軸受手段の固定構造によれば、第4耐火被覆材を、他の木製の梁材の面のうち、木製の梁材側の面を覆うように設けたので、第4耐火被覆材を強固に支持でき、第4耐火被覆材の設置性を高めることができる。
【0013】
請求項4に記載の軸受手段の固定構造によれば、第2耐火被覆材を略折り曲げ状にすることで形成される設置空間部であって、軸受手段を木製の梁材に対して固定する際に用いられる付属部材を木製の梁材に設置するための設置空間部を備えたので、付属部材を木製の梁材に容易に設置でき、付属部材の設置性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る開閉装置の正面図である。
図2図1のA-A矢視断面図である(一部図示省略)。
図3図2の収納部周辺の拡大図である。
図4図3のB-B矢視断面図である(一部図示省略)。
図5】軸受手段の固定構造の変形例を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。
図6】軸受手段の固定構造の変形例を示す図であって、図2に対応する領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る軸受手段の固定構造の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の躯体に設けられた開口部を開閉する開閉体を開閉移動させるための巻取軸を回転可能に支持する軸受手段を、躯体を構成する部材のうち天井材と木製の床材との間に位置する木製の梁材に対して固定するための固定構造に関するものである。
【0017】
ここで、「建物」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、公共施設、商業施設、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅等を含む概念である。
【0018】
また、「開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁材、床材、天井材等)において出入口や窓を設置するために形成された開口部である。
【0019】
また、「開閉体」とは、全ての形式のシャッター装置(一例として、重量シャッター、軽量シャッター等)用のシャッターカーテンを含む概念である。また、この開閉体を備える開閉装置の開閉方向については、例えば上下方向、左右方向、前後方向等が該当する。また、開閉装置の駆動方式は任意であり、例えば、「手動式の開閉装置」、「電動式の開閉装置」等が該当する。より詳細には、火災感知器や操作装置からの信号に基づいて自重降下可能な「手動式の開閉装置」(いわゆる手動式の防火シャッター)や「電動式の開閉装置」(いわゆる電動式の防火シャッター)等が該当する。
【0020】
また、「開閉体の開閉状態」とは、例えば、「全閉状態」、「全開状態」、及び「半開状態」を含む概念である。このうち、「全閉状態」とは、開閉体によって開口部を全閉した状態であり、実施の形態では、全閉状態における開閉体の位置を「全閉位置」と称する。また、「全開状態」とは、開閉体によって開口部を全開した状態であり、実施の形態では、全開状態における開閉体の位置を「全開位置」と称する。また、「半開状態」とは、開閉体が全閉位置と全開位置との間に位置している状態である。
【0021】
また、「躯体を構成する部材」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、壁材、柱材、梁材、床材、天井材等を含む概念である。
【0022】
以下、実施の形態では、開閉装置が、公共施設(例えば、市役所等)の如き建物の内部の部屋を区画する内壁材に設けられた開口部に設置される上下開閉式且つ電動式の重量シャッター(具体的には、電動式の防火シャッター)である場合について説明する。
【0023】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0024】
(構成)
最初に、実施の形態に係る軸受手段の固定構造が適用される開閉装置の構成について説明する。
【0025】
以下の説明では、図1のX方向を開閉装置の左右方向(-X方向を開閉装置の左方向、+X方向を開閉装置の右方向)、図2のY方向を開閉装置の前後方向(+Y方向を開閉装置の前方向(部屋の室外側の方向)、-Y方向を開閉装置の後方向(部屋の室内側の方向))、図1のZ方向を開閉装置の上下方向(+Z方向を開閉装置の上方向、-Z方向を開閉装置の下方向)と称する。
【0026】
開閉装置1は、図1から図4に示すように、概略的に、収納部10、ガイドレール20、開閉体30、巻取軸40、開閉機60、操作装置(図示省略)、及び制御装置(図示省略)を備えている。ただし、開閉装置1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。
【0027】
なお、開閉装置1を構成する各種部材同士の取付方法(又は接続方法)については任意であるが、例えば、取付側の部材又は取付相手側の部材に形成された取付孔(例えば、リベット孔、ネジ孔、ビス孔等)を介して、取付側の部材を取付相手側の部材に対して固定具(例えば、リベット、取付ネジ(一例として、アンカーネジ等)、ビス等)、溶接、接着剤、両面テープ等によって取り付ける(又は接続する)方法が採用されている。
【0028】
また、この開閉装置1を構成する各装置の接続形態については、具体的には、制御装置は、開閉機60及び操作装置の各々と図示しない配線を介して電気的に接続されている。これにより、制御装置と、開閉機60及び操作装置との相互間で通信又は電力供給を直接的又は間接的に行うことができる。
【0029】
(構成-収納部)
図2に戻り、収納部10は、開閉体30を収納するための収納手段である。この収納部10は、例えば天井納まり式の収納ケースを用いて構成されており(又は露出納まり式の収納ケースであってもよい)、具体的には、鋼製の中空体にて形成されており、図2から図4に示すように、建物の躯体2(具体的には、部屋の内壁材2a)に設けられた開口部3の上端部よりも上方に設置されている。
【0030】
より具体的には、図2図3に示すように、天井材2bと、当該天井材2bよりも上方に位置する木製の床材2c(以下、「上方床材2c」と称する)との相互間に位置する木製の梁材2d(以下、「第1梁材2d」と称する)に設置されている。
【0031】
なお、この第1梁材2dは、Y-Z平面に沿った断面形状が略矩形状の梁材であり、図2に示すように、上方床材2cと接続されていると共に、他の木製の梁材2g(以下、「第2梁材2g」と称する)と間隔を隔てて対向するように配置されている。また、第2梁材2gは、第1梁材2dとは異なる梁材であって、Y-Z平面に沿った断面形状が略矩形状の梁材であり、図2に示すように、当該第1梁材2dよりも後方に設けられており、上方床材2cと接続されている。
【0032】
また、この収納部10の内部には、巻取軸40が収納されていると共に、巻取軸40にて開閉体30が巻上げられた状態では、開閉体30の少なくとも一部も収納部10の内部に収納される。
【0033】
また、図4に示すように、この収納部10は、駆動側軸受板11、駆動側軸受板11、駆動側取付部12、従動側軸受板13、従動側取付部14、及びケース板15を備えている。
【0034】
(構成-収納部-駆動側軸受板、駆動側取付部)
駆動側軸受板11は、収納部10の収納空間の左端部を覆うための板材であり、図4に示すように、上記収納空間の左端部を覆うように略垂直に設けられ、駆動側取付部12に対して固定具等によって接続されている。
【0035】
駆動側取付部12は、後述する下地部材80を介して第1梁材2dに対して駆動側軸受板11を取り付けるためのものである。この駆動側取付部12は、例えば、公知の複数の鋼製の板材を組み合わせたもの(一例として、L字金具と、L字金具と下地部材80とを接続する下地材からなるもの)で構成されており、図3図4に示すように、駆動側軸受板11と下地部材80との相互間に設けられている。なお、上述した「駆動側軸受板11」及び「駆動側取付部12」からなるものは、特許請求の範囲における「軸受手段」に対応する。
【0036】
(構成-収納部-従動側軸受板、従動側取付部)
従動側軸受板13は、上記収納空間の右端部を覆うための板材であり、図4に示すように、上記収納空間の右端部を覆うように略垂直に設けられ、従動側取付部14に対して固定具等によって接続されている。
【0037】
従動側取付部14は、後述する下地部材80を介して第1梁材2dに対して従動側軸受板13を取り付けるためのものである。この従動側取付部14は、例えば、公知の複数の鋼製の板材を組み合わせたもの(一例として、L字金具と、L字金具と下地部材80とを接続する下地材からなるもの)で構成されており、従動側軸受板13と下地部材80との相互間に設けられている。なお、「従動側軸受板13」及び「従動側取付部14」からなるものは、特許請求の範囲における「軸受手段」に対応する。
【0038】
(構成-収納部-ケース板)
図2に戻り、ケース板15は、上記収納空間の後面、上面、及び下面を覆うための湾曲状の板材であり、図2から図4に示すように、上記収納空間の後面、上面、及び下面を覆うように設けられ、後述する下地部材80等に対して固定具等によって接続されている。
【0039】
(構成-収納部-その他の構成)
また、図3に示すように、収納部10の下方側に位置する天井材2bには、開閉体30を中心とする部屋の室外側と部屋の室内側にそれぞれまぐさ10aが設けられている。そして、これらまぐさ10aの相互間には、まぐさ開口10bが、開口部3の左右方向全長にわたって形成されていることで、このまぐさ開口10bを介して開閉体30の出し入れが行われる。
【0040】
(構成-ガイドレール)
図1に戻り、ガイドレール20は、開閉体30を開口部3の開閉方向(上下方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレール20は、例えば横断面形状が略コ字状となるように形成された長尺体であり、図1に示すように、開閉装置1の左右の各端部において、上下方向に略沿う方向で配置されており、柱材2fに対して直接的に固定されており、又は下地材(図示省略)を介して間接的に固定されている。
【0041】
(構成-開閉体)
開閉体30は、開口部3の開閉を行うものであり、具体的には、巻取軸40の回転駆動によって閉鎖移動又は開放移動されることで、開閉体30の開閉状態を全開状態、全閉状態、又は半開状態にすることができる。この開閉体30は、例えば公知のシャッターカーテンを用いて構成されている。具体的には、図1に示すように、複数のスラット31を備えており、各スラット31の上下の両端部に形成された嵌合部(図示省略)を介して複数のスラット31が相互に嵌合接続されている。
【0042】
また、この開閉体30の左右方向の両端部の各々は、ガイドレール20のコ字状の開放端部を介してガイドレール20の内部に挿入されており、上下方向においてはガイドレール20の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール20の外部に脱落しないように規制されている。
【0043】
また、この開閉体30の下端部には、座板32が接続されている。この座板32は、全閉状態において天井材2bよりも下方に位置する床材2e(以下、「下方床材2e」と称する)と近接し、又は接触するように配置されたものであり、開閉体30の下端部の左右方向全長にわたって形成されている。
【0044】
(構成-巻取軸)
巻取軸40は、開閉体30を開閉移動させるためのものである(なお、図2図3では、巻取軸40の最大巻き径Mが想像線で図示されている)。この巻取軸40は、例えば公知の巻取軸等を用いて構成されており、左右方向に沿って設置されている。また、この巻取軸40には開閉体30の上端に連結された連結スラット(図示省略)が接続されており、この巻取軸40を回転させることで、連結スラットを介して開閉体30を開閉移動させることができる。
【0045】
また、図4に示すように、この巻取軸40には、駆動側シャフト部41、巻取軸側スプロケット部42、及び従動側シャフト部43が設けられている。
【0046】
このうち、駆動側シャフト部41は、巻取軸40と駆動側軸受板11とを接続するための接続手段であり、長尺な棒状体にて形成されており、図4に示すように、駆動側シャフト部の軸方向が左右方向に沿うように配置され(図4では、駆動側シャフト部41の先端部が駆動側軸受板11よりも左側に位置するように配置され)、駆動側軸受板11に対して駆動側ベアリング材(図示省略)を介して回転可能に挿入されている。
【0047】
また、巻取軸側スプロケット部42は、開閉機60からの回転駆動力を伝達部材52(例えば、環状のローラチェーン等)を介して駆動側シャフト部41に伝達するためのものである。この巻取軸側スプロケット部42は、例えば公知のスプロケット等を用いて構成されており、図4に示すように、駆動側シャフト部41における先端部又はその近傍に設けられており、駆動側シャフト部41に対して固定具等によって固定されている。
【0048】
また、従動側シャフト部43は、巻取軸40と従動側軸受板13とを接続するための接続手段であり、長尺な棒状体にて形成されており、図4に示すように、従動側シャフト部43の軸方向が左右方向に沿うように配置され(図4では、従動側シャフト部43の先端部が従動側軸受板13よりも右側に位置するように配置され)、従動側軸受板13に対して従動側ベアリング材(図示省略)を介して回転可能に挿入されている。
【0049】
(構成-開閉機)
開閉機60は、巻取軸40の回転を制御することによって開閉体30を電動で開閉移動させる駆動手段である。この開閉機60は、例えば公知の開閉機等によって構成されており、図3に示すように、収納部10の外部において収納部10よりも部屋の室内側に設けられ、駆動側軸受板11と接続された接続板61に対して固定具等によって固定されている。
【0050】
(構成-操作装置)
操作装置は、開閉体30の閉鎖移動又は開放移動に関する操作入力を受け付ける操作手段であり、例えば、公知のシャッター装置用の操作手段(一例として、有線式又は無線式の操作装置等)を用いて構成されており、収納部10の外部において開口部3の近傍位置に設けられている。
【0051】
(構成-制御装置)
制御装置は、開閉装置1の各部を相互に連動させる装置である。この制御装置は、例えば公知のシャッター用制御装置等を用いて構成され、開閉機60と配線(図示省略)を介して電気的に接続されており、通信部、電源部、制御部、及び記憶部を備えている(いずれも図示省略)。
【0052】
このうち、通信部は、制御装置と操作装置又は外部装置との間で通信するための通信手段である。また、電源部は、図示しない商用電源又は電池(例えば、バッテリ等)から供給された電力を、制御装置の各部に供給すると共に、開閉機60にも供給する電源手段である。制御部は、制御装置の各部を制御する制御手段である。記憶部は、制御装置の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。
【0053】
(構成-軸受手段の固定構造)
図2に戻り、次に、軸受手段の固定構造について説明する。
【0054】
この開閉装置1は、収納部10の軸受手段(具体的には、「駆動側軸受板11」及び「駆動側取付部12」からなるもの、及び「従動側軸受板13」及び「従動側取付部14」からなるもの)を第1梁材2dに対して固定するための固定構造を備えている。この固定構造の特徴については、実施の形態では以下に示す通りとなる。
【0055】
(構成-軸受手段の固定構造-第1の特徴)
最初に、実施の形態に係る固定構造の第1の特徴については、図2に示すように、固定構造は、第1耐火被覆材71、第2耐火被覆材72、及び第3耐火被覆材73を備えている。
【0056】
(構成-軸受手段の固定構造-第1の特徴-第1耐火被覆材)
第1耐火被覆材71は、天井材2b側に位置する耐火被覆材である。この第1耐火被覆材71は、天井材2bの部分のうち、少なくとも第1梁材2dに対応する部分又は/及びその近傍部分を構成している。具体的には、図2に示すように、第1耐火被覆材71は、天井材2bの部分のうち、前端部から第1梁材2dの下面と対向する部分に至る部分を構成している。
【0057】
また、第1耐火被覆材71の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、天井材2bの燃焼を抑制することが可能な燃え止まり部材71aを少なくとも1つ以上含んで構成されている。具体的には、図2に示すように、燃え止まり部材71aを複数積層(図2では、2つ積層)することにより構成されている。ただし、これに限らず、例えば、上記構成に加えて、最下方に位置する燃え止まり部材71aの下面を覆う化粧板(図示省略)をさらに備えてもよい。
【0058】
また、各燃え止まり部材71aの材質については任意であるが、実施の形態では、石膏ボードで形成されているが、これに限らず、例えば、石膏プラスター、ケイ酸カルシウム板、グラスウール材、ウレタン材、又はこれらを組み合わせたもの等で形成されてもよい(なお、他の燃え止まり部材71aの材質についても同様とする)。
【0059】
また、各燃え止まり部材71aの厚さについては任意であるが、実施の形態では、天井材2bの耐火性能に応じた厚さに設定しており、具体的には、耐火構造(火災が終了するまでの間に当該火災による天井材2bの脱落及び延焼を防止するために必要な性能)又は準耐火構造(火災による延焼を抑制するために必要な性能)の性能に応じた厚さに設定している。ただし、これに限らず、例えば、耐火構造又は準耐火構造の性能に応じた厚さよりも厚く設定してもよい(なお、他の燃え止まり部材71aの厚さについても同様とする)。
【0060】
(構成-軸受手段の固定構造-第1の特徴-第2耐火被覆材)
第2耐火被覆材72は、第1梁材2d側に位置する耐火被覆材である。この第2耐火被覆材72は、第1梁材2dの面のうち、少なくとも軸受手段が固定される側の面を覆うように設けられている。具体的には、図2に示すように、第2耐火被覆材72は、第1梁材2dの面のうち後面及び下面の各々の略全体と当接(又は近接)するように配置されると共に、第1梁材2dの下面から第1耐火被覆材71に至るように配置され、第1梁材2dに対して固定具又は接着剤等によって固定されている。
【0061】
なお、以下では、必要に応じて、第2耐火被覆材72の部分のうち、第1梁材2dの後面側に位置する部分72aを「後面側第2耐火被覆部72a」と称し、第1梁材2dの下面側に位置する部分72bを「下面側第2耐火被覆部72b」と称し、第1梁材2dの下面から第1耐火被覆材71に至る部分72cを「第1耐火側第2耐火被覆部72c」と称する。
【0062】
また、第2耐火被覆材72の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、第1梁材2dの燃焼を抑制することが可能な燃え止まり部材71aを少なくとも1つ以上含んで構成されている。具体的には、図2に示すように、燃え止まり部材71aを複数積層(図2では、2つ積層)することにより構成されている。
【0063】
(構成-軸受手段の固定構造-第1の特徴-第3耐火被覆材)
第3耐火被覆材73は、上方床材2c側に位置する耐火被覆材である。この第3耐火被覆材73は、上方床材2cの下面のうち、少なくとも軸受手段に対応する部分及びその近傍部分を覆うように設けられている。具体的には、図2に示すように、第3耐火被覆材73は、上方床材2cの下面のうち、第1梁材2dから第2梁材2gに至る部分の略全体と当接(又は近接)するように配置され、上方床材2cに対して固定具又は接着剤等によって固定されている。
【0064】
また、第3耐火被覆材73の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、上方床材2cの燃焼を抑制することが可能な燃え止まり部材71aを少なくとも1つ以上含んで構成されている。具体的には、図2に示すように、燃え止まり部材71aを複数積層(図2では、2つ積層)することにより構成されている。
【0065】
また、第1耐火被覆材71、第2耐火被覆材72、及び第3耐火被覆材73の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、第1耐火被覆材71、第2耐火被覆材72、及び第3耐火被覆材73が、連続状に構成されている。
【0066】
具体的には、図2に示すように、第1耐火被覆材71、第2耐火被覆材72、及び第3耐火被覆材73の各々における各部分が、一体的に形成されたり、又は、別体に形成され、且つ隣接する部分と当接するように設けられている。さらに、第1耐火被覆材71の後端部と第1耐火側第2耐火被覆部72cの下端部とが当接されていると共に、後面側第2耐火被覆部72aの上端部と第3耐火被覆材73の前端部とが当接されている。
【0067】
これにより、例えば木製の梁材が多数設置される場合に、軸受手段が固定される第1梁材2dの近傍において上記構成を採用し、その他の梁材の近傍においてメンブレン構造(天井材と木製の床材とを耐火被覆材で覆うものの、梁材を耐火被覆材で覆わない構造)を採用する組み合わせを実行しやすくなる。よって、従来技術(木製の床材及び木製の梁材の外表面全体を耐火被覆材で覆う技術)に比べて、木製の梁材を耐火被覆材で覆う作業に要する手間及び設置コストを低減でき、固定構造の設置性を高めることができる。
【0068】
(構成-軸受手段の固定構造-第1の特徴-その他の構成)
固定構造の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、図3に示すように、固定構造は、下地部材80、抑制部100、及び補強部110をさらに備えている。
【0069】
(構成-軸受手段の固定構造-第1の特徴-その他の構成-下地部材)
下地部材80は、上記軸受手段を支持する部材であり、実施の形態では、複数の収容空間81aを有する枠材81(具体的には、鋼製のパイプ材)を複数組み合わせることで構成されている。
【0070】
具体的には、図4に示すように、下地部材80の正面形状が梯子状になるように、複数の枠材81(図4では、上下方向に長い縦枠材、及び左右方向に長い横枠材)を溶接又は固定具等によって組み合わせることで構成されている(図4では、当該構成に加えて、下地部材80の左右の両端部に、2つの縦枠材が並設されている)。ただし、これに限らず、例えば、下地部材80の正面形状が格子状又は環状(一例として、矩形環状等)になるように、複数の枠材81を組み合わせることで構成されてもよい。
【0071】
なお、以下では、必要に応じて、下地部材80の枠材81(縦枠材)のうち、駆動側取付部12側に位置する縦枠材82を「駆動側縦枠材82」と称し、従動側取付部14側に位置する縦枠材83を「従動側縦枠材83」と称し、駆動側縦枠材82と従動側縦枠材83との間に位置する縦枠材84を「中間縦枠材84」と称する。また、下地部材80の枠材(横枠材)のうち、上方床材2c側に位置する横枠材85を「上方床側横枠材85」と称し、天井材2b側に位置する横枠材86を「天井側横枠材86」と称する。
【0072】
また、この下地部材80は、上記軸受手段と第2耐火被覆材72(具体的には、後面側第2耐火被覆部72a)との間に設けられていると共に、上記軸受手段が当該下地部材80に取り付けられるように設けられている。
【0073】
具体的には、図3に示すように、下地部材80の各枠材81は、後面側第2耐火被覆部72aと当接するように配置されている。また、駆動側縦枠材82は、駆動側取付部12と当接するように配置されており、固定具90(以下、「下地側固定具90」と称する)を介して駆動側取付部12と接続されている(あるいは、下地部材80が工場で事前に組み合される場合には、溶接によって接続されてもよい)。また、従動側縦枠材83は、従動側取付部14と当接するように配置されており、下地側固定具90を介して従動側取付部14と接続されている(あるいは、下地部材80が工場で事前に組み合される場合には、溶接によって接続されてもよい)。
【0074】
この場合において、軸受手段の固定方法については任意であるが、実施の形態では、少なくとも第2耐火被覆材72を貫通するように第1梁材2dに挿入される固定具91(以下、「梁材側固定具91」と称する)によって、軸受手段を第1梁材2dに対して固定している。
【0075】
具体的には、図3図4に示すように、駆動側縦枠材82及び第2耐火被覆材72を貫通するように第1梁材2dに挿入される複数の梁材側固定具91によって、駆動側取付部12を第1梁材2dに対して固定している。また、従動側縦枠材83及び第2耐火被覆材72を貫通するように第1梁材2dに挿入される複数の梁材側固定具91によって、従動側取付部14を第1梁材2dに対して固定している。また、上方床側横枠材85及び第2耐火被覆材72を貫通するように第1梁材2dに挿入される複数の梁材側固定具91によって、上方床側横枠材85を第1梁材2dに対して固定している。また、天井側横枠材86及び第2耐火被覆材72を貫通するように第1梁材2dに挿入される複数の梁材側固定具91によって、天井側横枠材86を第1梁材2dに対して固定している。
【0076】
この場合において、各梁材側固定具91の設置方法については任意であるが、実施の形態では、各梁材側固定具91のヘッド部分91aが下地部材80の各枠材81の収容空間81a内に収容されるように、各梁材側固定具91を設けている。
【0077】
具体的には、図3に示すように、下地部材80の各枠材81に形成された下地側挿通孔(図示省略)を介して各梁材側固定具91を挿通することにより、各梁材側固定具91のヘッド部分91aが上記収容空間81a内に位置させることにより、各梁材側固定具91を設けている。
【0078】
これにより、各梁材側固定具91が外部に露出することを抑制でき、下地部材80周辺の意匠性を維持しながら、開口部3の周辺で発生した火災の熱が各梁材側固定具91へ伝達されることを低減できる。
【0079】
このような下地部材80により、下地部材80を用いることなく上記軸受手段を第1梁材2dに対して固定する場合に比べて、第2耐火被覆材72の損傷の発生(例えば、第2耐火被覆材72のひび割れの発生等)を抑制しながら、上記軸受手段を第1梁材2dに対して強固に固定できる。
【0080】
(構成-軸受手段の固定構造-第1の特徴-その他の構成-抑制部)
抑制部100は、開口部3の周辺で火災が発生した際に、当該火災の熱が梁材側固定具91へ伝導することを抑制するための抑制手段である。この抑制部100は、例えば公知の耐火被覆材(一例として、燃え止まり部材71aを複数積層された耐火被覆材等)を備えて構成されており、下地部材80に設けられている。
【0081】
具体的には、図3に示すように、抑制部100は、当該抑制部100によって各梁材側固定具91のヘッド部分91a又は/及びその近傍部分が外部に露出しないように配置されており、下地部材80に対して固定具又は接着剤等によって接続されている。ただし、これに限らず、例えば、下地部材80の各枠材81の収容空間81a内のうち、少なくとも下地側挿通孔に対応する部分に抑制部100が設けられ(又は充填されて)、下地部材80に対して固定具又は接着剤等によって接続されてもよい。
【0082】
このような抑制部100により、上記火災の熱が梁材側固定具91へ伝導することを抑制でき、当該火災の熱が第1梁材2dへ伝導することで第1梁材2dが脱落することを回避できる。
【0083】
(構成-軸受手段の固定構造-第1の特徴-その他の構成-補強部)
補強部110は、梁材側固定具91が下地部材80を支持することにより、梁材側固定具91に作用する負荷を軽減するための補強手段である。この補強部110は、例えば鋼製の板状体にて形成されている。
【0084】
具体的には、補強部110のY-Z平面に沿った断面形状が略Z字状である板状体にて形成されており、より具体的には、図3に示すように、補強部110は、第1梁材2dの下面側に位置する第1補強片111、第1梁材2dの後面側に位置する第2補強片112、及び下地部材80側に位置する第3補強片113を備えている。
【0085】
また、図3に示すように、補強部110は、下地部材80の下方に設けられ、固定具92(以下、「補強用固定具92」と称する)によって第1梁材2d及び下地部材80(具体的には、天井側横枠材86)に対して固定されている。
【0086】
このような補強部110により、例えば開閉体30及び巻取軸40の自重等によって梁材側固定具91に作用する負荷を軽減できる。よって、梁材側固定具91が第1梁材2dから引き抜かれることを回避でき、下地部材80の設置の安定性を高めることができる。
【0087】
以上のような第1の特徴により、例えば木製の梁材が多数設置される場合に、軸受手段が固定される第1梁材2dの近傍において上記構成を採用し、その他の梁材の近傍においてメンブレン構造を採用する組み合わせを実行しやすくなる。よって、従来技術(木製の床材及び木製の梁材の外表面全体を耐火被覆材で覆う技術)に比べて、木製の梁材を耐火被覆材で覆う作業に要する手間及び設置コストを低減でき、固定構造の設置性を高めることができる。また、軸受手段を第1梁材2dに対して強固に固定しながら、開口部3の周辺で火災が発生した場合に、当該火災の炎等で軸受手段の周辺に位置する天井材2b、上方床材2c、及び第1梁材2dが燃えることを抑制でき、上記火災の被害を低減できる。以上のことから、固定構造の利用性を高めることが可能となる。
【0088】
(構成-軸受手段の固定構造-第2の特徴)
図2に戻り、次に、実施の形態に係る固定構造の第2の特徴については、図2に示すように、固定構造は、第4耐火被覆材74、第5耐火被覆材75、非耐火被覆材76(図2では想像線で示す)、及び第6耐火被覆材77をさらに備えている。
【0089】
(構成-軸受手段の固定構造-第2の特徴-第4耐火被覆材)
第4耐火被覆材74は、第1梁材2dと第2梁材2gとの相互間に位置する耐火被覆材である。この第4耐火被覆材74は、第3耐火被覆材73よりも下方において、第1梁材2dと第2梁材2gとの相互間に設けられている。
【0090】
具体的には、図2に示すように、第4耐火被覆材74は、第2梁材2gの面のうち、第1梁材2d側の面(図2では、前面)を覆うように設けられている。より具体的には、第2梁材2gの前面の略全体と当接(又は近接)すると共に、第2梁材2gの上端部から天井材2bに至るように配置され、第2梁材2gに対して固定具又は接着剤等によって固定されている。これにより、第4耐火被覆材74を強固に支持でき、第4耐火被覆材74の設置性を高めることができる。
【0091】
また、第4耐火被覆材74の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、第2梁材2gの燃焼を抑制することが可能な燃え止まり部材71aを少なくとも1つ以上含んで構成されている。具体的には、図2に示すように、燃え止まり部材71aを複数積層(図2では、2つ積層)することにより構成されている。
【0092】
(構成-軸受手段の固定構造-第2の特徴-第5耐火被覆材)
第5耐火被覆材75は、天井材2b側に位置する耐火被覆材である。この第5耐火被覆材75は、天井材2bの部分のうち、少なくとも第2梁材2gに対応する部分又は/及びその近傍部分を構成している。具体的には、図2に示すように、第5耐火被覆材75は、天井材2bの部分のうち、後端部から第2梁材2gの下面と対向する部分に至る部分を構成している。
【0093】
また、第5耐火被覆材75の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、第1耐火被覆材71と略同一に構成されており、具体的には、図2に示すように、燃え止まり部材71aを複数積層(図2では、2つ積層)することにより構成されている。
【0094】
(構成-軸受手段の固定構造-第2の特徴-非耐火被覆材)
非耐火被覆材76は、天井材2b側に位置する被覆材である。この非耐火被覆材76は、天井材2bの部分のうち、第1梁材2dと第2梁材2gとの間に対応する部分を構成している。具体的には、図2に示すように、非耐火被覆材76は、天井材2bの部分のうち、第1耐火被覆材71の後端部から第5耐火被覆材75の前端部に至る部分を構成している。
【0095】
また、非耐火被覆材76の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、公知の天井用化粧板で構成されている。ただし、これに限らず、例えば、燃え止まり部材71aを複数積層(一例として、2つ積層)することにより、耐火被覆材として構成されてもよい。
【0096】
(構成-軸受手段の固定構造-第2の特徴-第6耐火被覆材)
第6耐火被覆材77は、上方床材2c側に位置する耐火被覆材である。この第6耐火被覆材77は、上方床材2cの上面を覆うように設けられており、具体的には、図2に示すように、上方床材2cの上面の略全体と当接するように配置され、上方床材2cに対して固定具又は接着剤等によって固定されている。
【0097】
また、第6耐火被覆材77の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、上方床材2cの燃焼を抑制することが可能な燃え止まり部材71aを少なくとも1つ以上含んで構成されている。具体的には、図2に示すように、燃え止まり部材71aを複数積層(図2では、2つ積層)することにより構成されている。
【0098】
また、第4耐火被覆材74及び第5耐火被覆材75の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、第1耐火被覆材71、第2耐火被覆材72、第3耐火被覆材73、第4耐火被覆材74、及び第5耐火被覆材75が、連続状に構成されている。
【0099】
具体的には、図2に示すように、第4耐火被覆材74及び第5耐火被覆材75の各々における各部分が、一体的に形成されたり、又は、別体に形成され、且つ隣接する部分と当接するように設けられている。さらに、第4耐火被覆材74の上端部と第3耐火被覆材73の後端部とが当接されていると共に、第4耐火被覆材74の下端部と第5耐火被覆材75の前端部とが当接されている。
【0100】
このような第2の特徴により、上記第2の特徴の構成と上記メンブレン構造を組み合わせる際に、第1耐火被覆材71又は第5耐火被覆材のいずれかと上記メンブレン構造の耐火被覆材とを容易に接続でき、固定構造の設置性を一層高めることができる。また、開口部3の周辺で火災が発生した場合に、当該火災の炎等で軸受手段の周辺に位置する天井材2b、第1梁材2d、第2梁材2g、及び上方床材2cが燃えることを抑制でき、上記火災の被害を一層低減できる。
【0101】
(構成-軸受手段の固定構造-第3の特徴)
次に、実施の形態に係る固定構造の第3の特徴については、図3に示すように、固定構造は、設置空間部120をさらに備えている。
【0102】
設置空間部120は、軸受手段を第1梁材2dに対して固定する際に用いられる付属部材(具体的には、補強部110)を第1梁材2dに設置するための空間部であり、図3に示すように、補強部110の周辺に設けられている。
【0103】
この設置空間部120の具体的な大きさについては、補強部110を容易に設置することができる限り任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0104】
すなわち、設置空間部120の左右方向の長さについては、第1梁材2dの左右方向の長さと略同一に設定している。ただし、これに限らず、例えば、第1梁材2dの左右方向の長さよりも短く設定してもよい。
【0105】
また、設置空間部120の前後方向の長さについては、第1梁材2dの前後方向の長さよりも長く設定している。ただし、これに限らず、例えば、第1梁材2dの前後方向の長さ以下に設定してもよい。
【0106】
また、設置空間部120の上下方向の長さについては、補強部110の上下方向の長さよりも長く、且つ第1梁材2dの上下方向の長さよりも短く設定している。ただし、これに限らず、例えば、第1梁材2dの上下方向の長さ以上に設定してもよい。
【0107】
また、設置空間部120の形成方法については任意であるが、実施の形態では、第2耐火被覆材72を略折り曲げ状にすることで形成している。
【0108】
具体的には、図3に示すように、後面側第2耐火被覆部72a及び第1耐火側第2耐火被覆部72cの各々を上下方向に略沿うように配置すると共に、下面側第2耐火被覆部72bを左右方向に略沿うように配置することにより(すなわち、下面側第2耐火被覆部72bを後面側第2耐火被覆部72a及び第1耐火側第2耐火被覆部72cの各々に対して直交するように配置することにより)、第2耐火被覆材72のY-Z平面に沿った断面形状が段落ち状になるように形成している。
【0109】
このような第3の特徴により、補強部110を第1梁材2dに容易に設置でき、補強部110の設置性を高めることが可能となる。
【0110】
(開閉装置の作用について)
続いて、このように構成された開閉装置1の作用について説明する。開閉装置1の作用は、通常時の作用(以下、「第1作用」と称する)と、部屋の室外側で火災が発生した際の作用(以下、「第2作用」と称する)と、部屋の室内側で火災が発生した際の作用(以下、「第3作用」と称する)とに大別されるので、以下では各作用について説明する。なお、第2作用と第3作用は、それぞれ略同一であるので、第3作用の説明を省略することとする。
【0111】
(開閉装置の作用について-第1作用)
図3に示すように、上記軸受手段は、下地部材80及び第2耐火被覆材72を貫通するように第1梁材2dに挿入される梁材側固定具91によって、第1梁材2dに対して固定されているので、上記軸受手段を第1梁材2dに対して強固に固定することができる。また、下地部材80が、軸受手段と第2耐火被覆材72との間に設けられているので、第2耐火被覆材72と上記軸受手段(具体的には、駆動側取付部12、従動側取付部14)とが直接当接することは回避される。よって、例えば第2耐火被覆材72が上記軸受手段からの支圧等を直接受けないことから、第2耐火被覆材72の損傷の発生(例えば、第2耐火被覆材72のひび割れの発生等)を抑制できる。
【0112】
(開閉装置の作用について-第2作用)
例えば、全閉状態において部屋の室外側で火災が発生した際に、天井材2b、第1梁材2d、第2梁材2g、又は/及び上方床材2cが当該火災の炎に晒されることになる。
【0113】
この場合において、第1耐火被覆材71から第6耐火被覆材77によって天井材2b、第1梁材2d、第2梁材2g、及び上方床材2cが燃焼することが抑制される。これにより、天井材2b、第1梁材2d、第2梁材2g、又は/及び上方床材2cの少なくとも一部が燃焼することで、上記火災が天井材2b、第1梁材2d、第2梁材2g、又は/及び上方床材2cを介して部屋の室外側から室内側へ延焼することを回避できる。
【0114】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、第1耐火被覆材71、第2耐火被覆材72、及び第3耐火被覆材73を、連続状に構成したので、例えば木製の梁材が多数設置される場合に、軸受手段が固定される第1梁材2dの近傍において上記構成を採用し、その他の梁材の近傍においてメンブレン構造(天井材と木製の床材とを耐火被覆材で覆うものの、梁材を耐火被覆材で覆わない構造)を採用する組み合わせを実行しやすくなる。よって、従来技術(木製の床材及び木製の梁材の外表面全体を耐火被覆材で覆う技術)に比べて、木製の梁材を耐火被覆材で覆う作業に要する手間及び設置コストを低減でき、固定構造の設置性を高めることができる。また、少なくとも第2耐火被覆材72を貫通するように第1梁材2dに挿入される梁材側固定具91によって、軸受手段を第1梁材2dに対して固定したので、軸受手段を第1梁材2dに対して強固に固定しながら、開口部3の周辺で火災が発生した場合に、当該火災の炎等で軸受手段の周辺に位置する天井材2b、上方床材2c、及び第1梁材2dが燃えることを抑制でき、上記火災の被害を低減できる。以上のことから、固定構造の利用性を高めることが可能となる。
【0115】
また、第1耐火被覆材71、第2耐火被覆材72、第3耐火被覆材73、第4耐火被覆材74、及び第5耐火被覆材75を、連続状に構成したので、上記構成と上記メンブレン構造を組み合わせる際に、第1耐火被覆材71又は第5耐火被覆材のいずれかと上記メンブレン構造の耐火被覆材とを容易に接続でき、固定構造の設置性を一層高めることができる。また、開口部3の周辺で火災が発生した場合に、当該火災の炎等で軸受手段の周辺に位置する天井材2b、第1梁材2d、第2梁材2g、及び上方床材2cが燃えることを抑制でき、上記火災の被害を一層低減できる。
【0116】
また、第4耐火被覆材74を、第2梁材2gの面のうち、第1梁材2d側の面を覆うように設けたので、第4耐火被覆材74を強固に支持でき、第4耐火被覆材74の設置性を高めることができる。
【0117】
また、第2耐火被覆材72を略折り曲げ状にすることで形成される設置空間部120であって、軸受手段を第1梁材2dに対して固定する際に用いられる付属部材を第1梁材2dに設置するための設置空間部120を備えたので、付属部材を第1梁材2dに容易に設置でき、付属部材の設置性を高めることが可能となる。
【0118】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0119】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0120】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0121】
(軸受手段の固定構造について)
上記実施の形態では、固定構造が、第4耐火被覆材74、第5耐火被覆材75、非耐火被覆材76、及び第6耐火被覆材77を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、これら耐火被覆材以外の耐火手段により、天井材2b、第2梁材2g、又は/及び上方床材2cが燃焼することを回避できる場合には、第4耐火被覆材74、第5耐火被覆材75、非耐火被覆材76、又は第6耐火被覆材77の少なくともいずれか1つを省略してもよい。一例として、第1梁材2dが柱材2f(具体的には、外表面が耐火被覆材で覆われた柱材2f)と対向する場合には、第4耐火被覆材74及び第5耐火被覆材75を省略し、第3耐火被覆材73が、上方床材2cの下面のうち、第1梁材2dから柱材2fに至る部分の略全体と当接(又は近接)するように配置されてもよい。
【0122】
また、上記実施の形態では、梁材側固定具91のヘッド部分91aが下地部材80の各枠材81の収容空間81a内に収容されるように、当該梁材側固定具91が設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、梁材側固定具91のヘッド部分91aが下地部材80の外部に位置するように設けられてもよい。
【0123】
また、上記実施の形態では、固定構造が、抑制部100及び補強部110を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、抑制部100又は補強部110の少なくともいずれか一方を省略してもよい。
【0124】
また、上記実施の形態では、補強部110が、下地部材80の下方に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、下地部材80の上方に設けられてもよい。この場合には、補強部110が、第1梁材2d又は/及び上方床材2cに対して補強用固定具92によって固定されてもよい。あるいは、下地部材80の上方及び下方の両方に設けられてもよい。
【0125】
(各種の耐火被覆材について)
上記実施の形態では、各種の耐火被覆材(具体的には、第1耐火被覆材71から第6耐火被覆材77、抑制部100の耐火被覆材)が、燃え止まり部材71aを複数積層することにより構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、燃え止まり部材71aと、燃え止まり部材71aよりも外側に位置する燃え代部材であって、第1梁材2dの燃焼又は炭化の進行を抑制する燃え代部材(一例として、木製の集成材、木製の積層材、又はこれらを組み合わせたもの等)で構成されてもよい。あるいは、単層の燃え止まり部材71aで構成されてもよい。
【0126】
また、上記実施の形態では、第2耐火被覆材72が、下面側第2耐火被覆部72bを備えていると説明したが、これに限らない。例えば、図5に示すように、補強部110及び設置空間部120が省略される場合には、下面側第2耐火被覆部72bを省略してもよい。
【0127】
また、上記実施の形態では、第4耐火被覆材74が、第2梁材2gの前面の略全体と当接するように設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、図6に示すように、第4耐火被覆材74は、第2梁材2gと間隔を隔てて配置されてもよく、一例として、第1梁材2dと第2梁材2gとの相互間の略中間位置(あるいは、それよりも前方又は後方の位置)に設けられてもよい。
【0128】
(下地部材について)
上記実施の形態では、下地部材80が、中間縦枠材84、上方床側横枠材85、及び天井側横枠材86を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、中間縦枠材84、上方床側横枠材85、又は天井側横枠材86の少なくともいずれか1つを省略してもよい。なお、中間縦枠材84、上方床側横枠材85、及び天井側横枠材86を省略した場合には、駆動側縦枠材82と従動側縦枠材83とが接続されることなく、それぞれ個別に設けられてもよい。
【0129】
また、上記実施の形態では、下地部材80の枠材81が、鋼製のパイプ材で構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、H型鋼材又はコ字状の鋼材で構成されてもよい。あるいは、収容空間81aを有さない枠材81(一例として、平板状の鋼材、鋼製のアングル材)で構成されてもよい。
【0130】
また、上記実施の形態では、下地部材80が、上記軸受手段と第2耐火被覆材72との間に設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、下地部材80を省略して、上記軸受手段が、第2耐火被覆材72と直接当接するように設けられてもよい。
【0131】
(付属部材について)
上記実施の形態では、設置空間部120に設置される付属部材が、補強部110であると説明したが、これに限らず、例えば、下地部材80、又は、収納部10の構成要素であってもよい。
【0132】
(付記)
付記1の軸受手段の固定構造は、建物の躯体に設けられた開口部を開閉する開閉体を開閉移動させるための巻取軸を回転可能に支持する軸受手段を、前記躯体を構成する部材のうち天井材と木製の床材との間に位置する木製の梁材に対して固定するための固定構造であって、前記天井材の部分のうち、少なくとも前記木製の梁材に対応する部分又は/及びその近傍部分を構成する第1耐火被覆材と、前記木製の梁材の面のうち、少なくとも前記軸受手段が固定される側の面を覆う第2耐火被覆材と、前記木製の床材の下面のうち、少なくとも前記軸受手段に対応する部分及びその近傍部分を覆う第3耐火被覆材と、を備え、前記第1耐火被覆材、前記第2耐火被覆材、及び前記第3耐火被覆材を、連続状に構成し、少なくとも前記第2耐火被覆材を貫通するように前記木製の梁材に挿入される固定具によって、前記軸受手段を前記木製の梁材に対して固定した。
【0133】
付記2に記載の軸受手段の固定構造は、付記1に記載の軸受手段の固定構造において、前記躯体を構成する部材のうち、前記木製の梁材とは異なる他の木製の梁材であり、前記木製の梁材と間隔を隔てて対向するように設けられた他の木製の梁材と前記木製の梁材との相互間に設けられる第4耐火被覆材と、前記天井材の部分のうち、少なくとも前記他の木製の梁材に対応する部分及びその近傍部分を構成する第5耐火被覆材と、を備え、前記第1耐火被覆材、前記第2耐火被覆材、前記第3耐火被覆材、前記第4耐火被覆材、及び前記第5耐火被覆材を、連続状に構成した。
【0134】
付記3に記載の軸受手段の固定構造は、付記2に記載の軸受手段の固定構造において、前記第4耐火被覆材を、前記他の木製の梁材の面のうち、前記木製の梁材側の面を覆うように設けた。
【0135】
付記4に記載の軸受手段の固定構造は、付記1から3のいずれか一項に記載の軸受手段の固定構造において、前記第2耐火被覆材を略折り曲げ状にすることで形成される設置空間部であって、前記軸受手段を前記木製の梁材に対して固定する際に用いられる付属部材を前記木製の梁材に設置するための設置空間部を備えた。
【0136】
(付記の効果)
付記1に記載の軸受手段の固定構造によれば、第1耐火被覆材、第2耐火被覆材、及び第3耐火被覆材を、連続状に構成するので、例えば木製の梁材が多数設置される場合に、軸受手段が固定される木製の梁材の近傍において上記構成を採用し、その他の梁材の近傍においてメンブレン構造(天井材と木製の床材とを耐火被覆材で覆うものの、梁材を耐火被覆材で覆わない構造)を採用する組み合わせを実行しやすくなる。よって、従来技術(木製の床材及び木製の梁材の外表面全体を耐火被覆材で覆う技術)に比べて、木製の梁材を耐火被覆材で覆う作業に要する手間及び設置コストを低減でき、固定構造の設置性を高めることができる。また、少なくとも第2耐火被覆材を貫通するように木製の梁材に挿入される固定具によって、軸受手段を木製の梁材に対して固定したので、軸受手段を木製の梁材に対して強固に固定しながら、開口部の周辺で火災が発生した場合に、当該火災の炎等で軸受手段の周辺に位置する天井材、木製の床材、及び木製の梁材が燃えることを抑制でき、上記火災の被害を低減できる。以上のことから、固定構造の利用性を高めることが可能となる。
【0137】
付記2の軸受手段の固定構造によれば、第1耐火被覆材、第2耐火被覆材、第3耐火被覆材、第4耐火被覆材、及び第5耐火被覆材を、連続状に構成したので、上記構成と上記メンブレン構造を組み合わせる際に、第1耐火被覆材又は第5耐火被覆材のいずれかと上記メンブレン構造の耐火被覆材とを容易に接続でき、固定構造の設置性を一層高めることができる。また、開口部の周辺で火災が発生した場合に、当該火災の炎等で軸受手段の周辺に位置する天井材、木製の床材、木製の梁材、及び他の木製の梁材が燃えることを抑制でき、上記火災の被害を一層低減できる。
【0138】
付記3の軸受手段の固定構造によれば、第4耐火被覆材を、他の木製の梁材の面のうち、木製の梁材側の面を覆うように設けたので、第4耐火被覆材を強固に支持でき、第4耐火被覆材の設置性を高めることができる。
【0139】
付記4の軸受手段の固定構造によれば、第2耐火被覆材を略折り曲げ状にすることで形成される設置空間部であって、軸受手段を木製の梁材に対して固定する際に用いられる付属部材を木製の梁材に設置するための設置空間部を備えたので、付属部材を木製の梁材に容易に設置でき、付属部材の設置性を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0140】
1 開閉装置
2 躯体
2a 内壁材
2b 天井材
2c 上方床材
2d 第1梁材
2e 下方床材
2f 柱材
2g 第2梁材
3 開口部
10 収納部
10a まぐさ
10b まぐさ開口
11 駆動側軸受板
12 駆動側取付部
13 従動側軸受板
14 従動側取付部
15 ケース板
20 ガイドレール
30 開閉体
31 スラット
32 座板
40 巻取軸
41 駆動側シャフト部
42 巻取軸側スプロケット部
43 従動側シャフト部
52 伝達部材
60 開閉機
61 接続板
71 第1耐火被覆材
71a 燃え止まり部材
72 第2耐火被覆材
72a 後面側第2耐火被覆部
72b 下面側第2耐火被覆部
72c 第1耐火側第2耐火被覆部
73 第3耐火被覆材
74 第4耐火被覆材
75 第5耐火被覆材
76 非耐火被覆材
77 第6耐火被覆材
80 下地部材
81 枠材
81a 収容空間
82 駆動側縦枠材
83 従動側縦枠材
84 中間縦枠材
85 上方床側横枠材
86 天井側横枠材
90 下地側固定具
91 梁材側固定具
91a ヘッド部分
92 補強用固定具
100 抑制部
110 補強部
111 第1補強片
112 第2補強片
113 第3補強片
120 設置空間部
M 最大巻き径
図1
図2
図3
図4
図5
図6