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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031930
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】軸受手段の固定構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20230302BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
E06B9/17 M
E06B9/17 W
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137717
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 秀観
(72)【発明者】
【氏名】横井 直樹
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA05
2E239CA28
2E239CA34
2E239CA55
2E239CA69
(57)【要約】
【課題】軸受手段の設置性を高めることが可能となる、軸受手段の固定構造を提供すること。
【解決手段】軸受手段の固定構造は、建物の躯体に設けられた開口部を開閉する開閉体30を開閉移動させるための巻取軸40を回転可能に支持する軸受手段を、躯体を構成する部材のうち外表面が支持側耐火被覆材73で覆われた木製の支持部材2dに対して固定するための固定構造であって、軸受手段と支持側耐火被覆材73との間に設けられる下地部材80であり、軸受手段が取り付けられる下地部材80を備え、下地部材80及び支持側耐火被覆材73を貫通するように支持部材2dに挿入される支持側固定具91によって、軸受手段を支持部材2dに対して固定した。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体に設けられた開口部を開閉する開閉体を開閉移動させるための巻取軸を回転可能に支持する軸受手段を、前記躯体を構成する部材のうち外表面が耐火被覆材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造であって、
前記軸受手段と前記耐火被覆材との間に設けられる下地部材であり、前記軸受手段が取り付けられる下地部材を備え、
前記下地部材及び前記耐火被覆材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記軸受手段を前記支持部材に対して固定した、
軸受手段の固定構造。
【請求項2】
前記下地部材を、収容空間を有する枠材を複数組み合わせることで構成し、
前記固定具のヘッド部分が前記収容空間内に収容されるように、当該固定具を設けた、
請求項1に記載の軸受手段の固定構造。
【請求項3】
前記開口部の周辺で火災が発生した際に、当該火災の熱が前記固定具へ伝導することを抑制するための抑制手段を備える、
請求項1又は2に記載の軸受手段の固定構造。
【請求項4】
前記抑制手段によって前記固定具のヘッド部分又は/及びその近傍部分が外部に露出しないように、当該抑制手段を前記下地部材に設けた、
請求項3に記載の軸受手段の固定構造。
【請求項5】
前記下地部材を支持することにより、前記固定具に作用する負荷を軽減するための補強手段を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の軸受手段の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受手段の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の開口に設けられたシャッター装置を構成する支持ブラケットであって、シャッターカーテンを巻装する巻取りドラムの左右両端部を支持する支持ブラケットを躯体に対して固定する技術の一つとして、支持ブラケットに取り付けられたアングル材と躯体とを直接当接させた状態で、当該アングル材をボルトを介して躯体に固定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-206815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、所定の耐火性能を有する木造建築物にシャッター装置を設置するニーズが高まっている。ここで、上記従来の技術を用いて、このような木造建築物を構成する部材のうち外表面が耐火被覆材で覆われた木製の部材に対して支持ブラケットを固定すると、耐火被覆材とアングル材とが直接する当接することになるので、例えば耐火被覆材がアングル材からの支圧等を直接受けることにより、耐火被覆材が損傷しやすくなるおそれがあった。よって、支持ブラケットの如き軸受手段の設置性の観点からは、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためのものであって、軸受手段の設置性を高めることが可能となる、軸受手段の固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の軸受手段の固定構造は、建物の躯体に設けられた開口部を開閉する開閉体を開閉移動させるための巻取軸を回転可能に支持する軸受手段を、前記躯体を構成する部材のうち外表面が耐火被覆材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造であって、前記軸受手段と前記耐火被覆材との間に設けられる下地部材であり、前記軸受手段が取り付けられる下地部材を備え、前記下地部材及び前記耐火被覆材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記軸受手段を前記支持部材に対して固定した。
【0007】
請求項2に記載の軸受手段の固定構造は、請求項1に記載の軸受手段の固定構造において、前記下地部材を、収容空間を有する枠材を複数組み合わせることで構成し、前記固定具のヘッド部分が前記収容空間内に収容されるように、当該固定具を設けた。
【0008】
請求項3に記載の軸受手段の固定構造は、請求項1又は2に記載の軸受手段の固定構造において、前記開口部の周辺で火災が発生した際に、当該火災の熱が前記固定具へ伝導することを抑制するための抑制手段を備える。
【0009】
請求項4に記載の軸受手段の固定構造は、請求項3に記載の軸受手段の固定構造において、前記抑制手段によって前記固定具のヘッド部分又は/及びその近傍部分が外部に露出しないように、当該抑制手段を前記下地部材に設けた。
【0010】
請求項5に記載の軸受手段の固定構造は、請求項1から4のいずれか一項に記載の軸受手段の固定構造において、前記下地部材を支持することにより、前記固定具に作用する負荷を軽減するための補強手段を備える。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の軸受手段の固定構造によれば、軸受手段と耐火被覆材との間に設けられる下地部材であり、軸受手段が取り付けられる下地部材を備え、下地部材及び耐火被覆材を貫通するように支持部材に挿入される固定具によって、軸受手段を支持部材に対して固定したので、下地部材を用いることなく軸受手段を支持部材に対して固定する場合に比べて、耐火被覆材の損傷の発生(例えば、耐火被覆材のひび割れの発生等)を抑制しながら、軸受手段を支持部材に対して強固に固定でき、軸受手段の設置性を高めることができる。
【0012】
請求項2に記載の軸受手段の固定構造によれば、下地部材を、収容空間を有する枠材を複数組み合わせることで構成し、固定具のヘッド部分が収容空間内に収容されるように、当該固定具を設けたので、固定具が外部に露出することを抑制でき、下地部材周辺の意匠性を維持しながら、開口部の周辺で発生した火災の熱が固定具へ伝達されることを低減できる。
【0013】
請求項3に記載の軸受手段の固定構造によれば、開口部の周辺で火災が発生した際に、当該火災の熱が固定具へ伝導することを抑制するための抑制手段を備えるので、当該火災の熱が固定具へ伝導することを抑制でき、当該火災の熱が支持部材へ伝導することで支持部材が脱落することを回避できる。
【0014】
請求項4に記載の軸受手段の固定構造によれば、抑制手段によって固定具のヘッド部分又は/及びその近傍部分が外部に露出しないように、当該抑制手段を下地部材に設けたので、固定具のヘッド部分又は/及びその近傍部分が外部に露出することを回避でき、上記火災の熱が固定具へ伝導することを抑制できる。
【0015】
請求項5に記載の軸受手段の固定構造によれば、下地部材を支持することにより、固定具に作用する負荷を軽減するための補強手段を備えるので、例えば開閉体及び巻取軸の自重等によって固定具に作用する負荷を軽減できる。よって、固定具が支持部材から引き抜かれることを回避でき、下地部材の設置の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る開閉装置の正面図である。
図2】開閉装置の背面図であって、収納部周辺の拡大図である(一部図示省略、且つ一部断面図)。
図3図2のA-A矢視断面図である(一部図示省略)。
図4図2のB-B矢視断面図である(一部図示省略)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る軸受手段の固定構造の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の躯体に設けられた開口部を開閉する開閉体を開閉移動させるための巻取軸を回転可能に支持する軸受手段を、躯体を構成する部材のうち外表面が耐火被覆材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造に関するものである。
【0019】
ここで、「建物」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、公共施設、商業施設、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅等を含む概念である。
【0020】
また、「開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁材、床材、天井材等)において出入口や窓を設置するために形成された開口部である。
【0021】
また、「開閉体」とは、全ての形式のシャッター装置(一例として、重量シャッター、軽量シャッター等)用のシャッターカーテンを含む概念である。また、この開閉体を備える開閉装置の開閉方向については、例えば上下方向、左右方向、前後方向等が該当する。また、開閉装置の駆動方式は任意であり、例えば、「手動式の開閉装置」、「電動式の開閉装置」等が該当する。より詳細には、火災感知器や操作装置からの信号に基づいて自重降下可能な「手動式の開閉装置」(いわゆる手動式の防火シャッター)や「電動式の開閉装置」(いわゆる電動式の防火シャッター)等が該当する。
【0022】
また、「開閉体の開閉状態」とは、例えば、「全閉状態」、「全開状態」、及び「半開状態」を含む概念である。このうち、「全閉状態」とは、開閉体によって開口部を全閉した状態であり、実施の形態では、全閉状態における開閉体の位置を「全閉位置」と称する。また、「全開状態」とは、開閉体によって開口部を全開した状態であり、実施の形態では、全開状態における開閉体の位置を「全開位置」と称する。また、「半開状態」とは、開閉体が全閉位置と全開位置との間に位置している状態である。
【0023】
また、「躯体を構成する部材」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、壁材、柱材、梁材、床材、天井材等を含む概念である。また、「木製の支持部材」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、木製の梁材、木製の壁材、木製の柱材等を含む概念である。
【0024】
以下、実施の形態では、開閉装置が、公共施設(例えば、市役所等)の如き建物の内部の部屋を区画する内壁材に設けられた開口部に設置される上下開閉式且つ電動式の重量シャッター(具体的には、電動式の防火シャッター)である場合について説明する。
【0025】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0026】
(構成)
最初に、実施の形態に係る軸受手段の固定構造が適用される開閉装置の構成について説明する。
【0027】
以下の説明では、図1のX方向を開閉装置の左右方向(-X方向を開閉装置の左方向、+X方向を開閉装置の右方向)、図3のY方向を開閉装置の前後方向(+Y方向を開閉装置の前方向(部屋の室外側の方向)、-Y方向を開閉装置の後方向(部屋の室内側の方向))、図1のZ方向を開閉装置の上下方向(+Z方向を開閉装置の上方向、-Z方向を開閉装置の下方向)と称する。
【0028】
開閉装置1は、図1図2に示すように、概略的に、収納部10、ガイドレール20、開閉体30、巻取軸40、開閉機60、操作装置(図示省略)、及び制御装置(図示省略)を備えている。ただし、開閉装置1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。
【0029】
なお、開閉装置1を構成する各種部材同士の取付方法(又は接続方法)については任意であるが、例えば、取付側の部材又は取付相手側の部材に形成された取付孔(例えば、リベット孔、ネジ孔、ビス孔等)を介して、取付側の部材を取付相手側の部材に対して固定具(例えば、リベット、取付ネジ(一例として、アンカーネジ等)、ビス等)、溶接、接着剤、両面テープ等によって取り付ける(又は接続する)方法が採用されている。
【0030】
また、この開閉装置1を構成する各装置の接続形態については、具体的には、制御装置は、開閉機60及び操作装置の各々と図示しない配線を介して電気的に接続されている。これにより、制御装置と、開閉機60及び操作装置との相互間で通信又は電力供給を直接的又は間接的に行うことができる。
【0031】
(構成-収納部)
収納部10は、開閉体30を収納するための収納手段である。この収納部10は、例えば天井納まり式の収納ケースを用いて構成されており(又は露出納まり式の収納ケースであってもよい)、具体的には、鋼製の中空体にて形成されており、図1から図4に示すように、建物の躯体2(具体的には、木製の内壁材2a)に設けられた開口部3の上端部よりも上方に設置されている(図1では、木製の天井材2bと、当該天井材2bよりも上方に位置する木製の床材2c(以下、「上方床材2c」と称する)との相互間に設置されている)。また、この収納部10の内部には、巻取軸40が収納されていると共に、巻取軸40にて開閉体30が巻上げられた状態では、開閉体30の少なくとも一部も収納部10の内部に収納される。
【0032】
また、図2図3に示すように、この収納部10は、駆動側軸受板11、駆動側取付部
12、従動側軸受板13、従動側取付部14、及びケース板15を備えている。
【0033】
ここで、天井材2bの具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、公知の天井用化粧板で構成されている。ただし、これに限らず、例えば、後述の燃え止まり部材71aを複数積層(一例として、2つ積層)することにより構成されてもよい。
【0034】
また、上方床材2cの具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、上方床材2cの上面及び下面に、床側耐火被覆材72がそれぞれ設けられている。具体的には、図2に示すように、床側耐火被覆材72は、上方床材2cの燃焼を抑制することが可能な燃え止まり部材71aを複数積層(図2では、2つ積層)することにより構成されており、上方床材2cの上面及び下面の各々の略全体を覆うように配置され、上方床材2cに対して固定具又は接着剤等によって固定されている。
【0035】
また、各燃え止まり部材71aの材質については任意であるが、実施の形態では、石膏ボードで形成されているが、これに限らず、例えば、石膏プラスター、ケイ酸カルシウム板、グラスウール材、ウレタン材、又はこれらを組み合わせたもの等で形成されてもよい(なお、他の燃え止まり部材71aの材質についても同様とする)。
【0036】
また、各燃え止まり部材71aの厚さについては任意であるが、実施の形態では、天井材2bの耐火性能に応じた厚さに設定しており、具体的には、耐火構造(火災が終了するまでの間に当該火災による支持部材2dの脱落及び延焼を防止するために必要な性能)又は準耐火構造(火災による延焼を抑制するために必要な性能)の性能に応じた厚さに設定している。ただし、これに限らず、例えば、耐火構造又は準耐火構造の性能に応じた厚さよりも厚く設定してもよい(なお、他の燃え止まり部材71aの厚さについても同様とする)。
【0037】
(構成-収納部-駆動側軸受板、駆動側取付部)
駆動側軸受板11は、収納部10の収納空間の左端部を覆うための板材であり、図2図3に示すように、上記収納空間の左端部を覆うように略垂直に設けられ、駆動側取付部12に対して固定具等によって接続されている。
【0038】
駆動側取付部12は、後述する下地部材80を介して支持部材2dに対して駆動側軸受板11を取り付けるためのものである。この駆動側取付部12は、例えば、公知の複数の鋼製の板材を組み合わせたもの(一例として、L字金具と、L字金具と下地部材80とを接続する下地材からなるもの)で構成されており、図3に示すように、駆動側軸受板11と下地部材80との相互間に設けられている。なお、上述した「駆動側軸受板11」及び「駆動側取付部12」からなるものは、特許請求の範囲における「軸受手段」に対応する。
【0039】
ここで、「支持部材2d」とは、躯体2を構成する部材のうち外表面が耐火被覆材73(以下、「支持側耐火被覆材73」と称する)で覆われた木製の部材である。この支持部材2dは、実施の形態では、上方床材2cに取り付けられ、且つY-Z平面に沿った断面形状が略矩形状である木製の梁材であって、外表面が支持側耐火被覆材73で覆われた梁材として説明する。ただし、これに限らず、例えば、梁材以外の他の部材(一例として、壁材、柱材等)であってもよい。
【0040】
また、支持側耐火被覆材73の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、図3図4に示すように、支持部材2dの燃焼を抑制することが可能な燃え止まり部材71aを複数積層(図3図4では、2つ積層)することにより構成されており、支持部材2dの前面、後面、及び下面の各々の略全体を覆うように配置され、支持部材2dに対して固定具又は接着剤等によって接続されている。
【0041】
(構成-収納部-従動側軸受板、従動側取付部)
図2に戻り、従動側軸受板13は、上記収納空間の右端部を覆うための板材であり、図2図3に示すように、上記収納空間の右端部を覆うように略垂直に設けられ、従動側取付部14に対して固定具等によって接続されている。
【0042】
従動側取付部14は、後述する下地部材80を介して支持部材2dに対して従動側軸受板13を取り付けるためのものである。この従動側取付部14は、例えば、公知の複数の鋼製の板材を組み合わせたもの(一例として、L字金具と、L字金具と下地部材80とを接続する下地材からなるもの)で構成されており、従動側軸受板13と下地部材80との相互間に設けられている。なお、「従動側軸受板13」及び「従動側取付部14」からなるものは、特許請求の範囲における「軸受手段」に対応する。
【0043】
(構成-収納部-ケース板)
図2に戻り、ケース板15は、上記収納空間の後面、上面、及び下面を覆うための湾曲状の板材であり、図2から図4に示すように、上記収納空間の後面、上面、及び下面を覆うように設けられ、後述する下地部材80等に対して固定具等によって接続されている。
【0044】
(構成-収納部-その他の構成)
また、図4に示すように、収納部10の下方側に位置する天井材2bには、開閉体30を中心とする部屋の室外側と部屋の室内側にそれぞれまぐさ10aが設けられている。そして、これらまぐさ10aの相互間には、まぐさ開口10bが、開口部3の左右方向全長にわたって形成されていることで、このまぐさ開口10bを介して開閉体30の出し入れが行われる。
【0045】
(構成-ガイドレール)
図1に戻り、ガイドレール20は、開閉体30を開口部3の開閉方向(上下方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレール20は、例えば横断面形状が略コ字状となるように形成された長尺体であり、図1に示すように、開閉装置1の左右の各端部において、上下方向に略沿う方向で配置されており、柱材2fに対して直接的に固定されており、又は下地材(図示省略)を介して間接的に固定されている。
【0046】
(構成-開閉体)
開閉体30は、開口部3の開閉を行うものであり、具体的には、巻取軸40の回転駆動によって閉鎖移動又は開放移動されることで、開閉体30の開閉状態を全開状態、全閉状態、又は半開状態にすることができる。この開閉体30は、例えば公知のシャッターカーテンを用いて構成されている。具体的には、図1に示すように、複数のスラット31を備えており、各スラット31の上下の両端部に形成された嵌合部(図示省略)を介して複数のスラット31が相互に嵌合接続されている。
【0047】
また、この開閉体30の左右方向の両端部の各々は、ガイドレール20のコ字状の開放端部を介してガイドレール20の内部に挿入されており、上下方向においてはガイドレール20の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール20の外部に脱落しないように規制されている。
【0048】
また、この開閉体30の下端部には、座板32が接続されている。この座板32は、全閉状態において天井材2bよりも下方に位置する木製の床材2e(以下、「下方床材2e」と称する)と近接し、又は接触するように配置されたものであり、開閉体30の下端部の左右方向全長にわたって形成されている。
【0049】
(構成-巻取軸)
巻取軸40は、開閉体30を開閉移動させるためのものである(なお、図4では、巻取軸40の最大巻き径Mが想像線で図示されている)。この巻取軸40は、例えば公知の巻取軸等を用いて構成されており、左右方向に沿って設置されている。また、この巻取軸40には開閉体30の上端に連結された連結スラット(図示省略)が接続されており、この巻取軸40を回転させることで、連結スラットを介して開閉体30を開閉移動させることができる。
【0050】
また、図2図3に示すように、この巻取軸40には、駆動側シャフト部41、巻取軸側スプロケット部42、及び従動側シャフト部43が設けられている。
【0051】
このうち、駆動側シャフト部41は、巻取軸40と駆動側軸受板11とを接続するための接続手段であり、長尺な棒状体にて形成されており、図2図3に示すように、駆動側シャフト部の軸方向が左右方向に沿うように配置され(図3では、駆動側シャフト部41の先端部が駆動側軸受板11よりも左側に位置するように配置され)、駆動側軸受板11に対して駆動側ベアリング材(図示省略)を介して回転可能に挿入されている。
【0052】
また、巻取軸側スプロケット部42は、開閉機60からの回転駆動力を伝達部材52(例えば、環状のローラチェーン等)を介して駆動側シャフト部41に伝達するためのものである。この巻取軸側スプロケット部42は、例えば公知のスプロケット等を用いて構成されており、図3に示すように、駆動側シャフト部41における先端部又はその近傍に設けられており、駆動側シャフト部41に対して固定具等によって固定されている。
【0053】
また、従動側シャフト部43は、巻取軸40と従動側軸受板13とを接続するための接続手段であり、長尺な棒状体にて形成されており、図2図3に示すように、従動側シャフト部43の軸方向が左右方向に沿うように配置され(図3では、従動側シャフト部43の先端部が従動側軸受板13よりも右側に位置するように配置され)、従動側軸受板13に対して従動側ベアリング材(図示省略)を介して回転可能に挿入されている。
【0054】
(構成-開閉機)
図2に戻り、開閉機60は、巻取軸40の回転を制御することによって開閉体30を電動で開閉移動させる駆動手段である。この開閉機60は、例えば公知の開閉機等によって構成されており、図2から図4に示すように、収納部10の外部において収納部10よりも部屋の室内側に設けられ、駆動側軸受板11と接続された接続板61に対して固定具等によって固定されている。
【0055】
(構成-操作装置)
操作装置は、開閉体30の閉鎖移動又は開放移動に関する操作入力を受け付ける操作手段であり、例えば、公知のシャッター装置用の操作手段(一例として、有線式又は無線式の操作装置等)を用いて構成されており、収納部10の外部において開口部3の近傍位置に設けられている。
【0056】
(構成-制御装置)
制御装置は、開閉装置1の各部を相互に連動させる装置である。この制御装置は、例えば公知のシャッター用制御装置等を用いて構成され、開閉機60と配線(図示省略)を介して電気的に接続されており、通信部、電源部、制御部、及び記憶部を備えている(いずれも図示省略)。
【0057】
このうち、通信部は、制御装置と操作装置又は外部装置との間で通信するための通信手段である。また、電源部は、図示しない商用電源又は電池(例えば、バッテリ等)から供給された電力を、制御装置の各部に供給すると共に、開閉機60にも供給する電源手段である。制御部は、制御装置の各部を制御する制御手段である。記憶部は、制御装置の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。
【0058】
(構成-軸受手段の固定構造)
図2に戻り、次に、軸受手段の固定構造について説明する。
【0059】
この開閉装置1は、収納部10の軸受手段(具体的には、「駆動側軸受板11」及び「駆動側取付部12」からなるもの、及び「従動側軸受板13」及び「従動側取付部14」からなるもの)を支持部材2dに対して固定するための固定構造を備えている。この固定構造の特徴については、実施の形態では以下に示す通りとなる。
【0060】
(構成-軸受手段の固定構造-第1の特徴)
最初に、実施の形態に係る固定構造の第1の特徴については、固定構造は、下地部材80を備えている。
【0061】
下地部材80は、上記軸受手段を支持する部材であり、実施の形態では、複数の収容空間81aを有する枠材81(具体的には、鋼製のパイプ材)を複数組み合わせることで構成されている。
【0062】
具体的には、図2から図4に示すように、下地部材80の正面形状が梯子状になるように、複数の枠材81(図2では、上下方向に長い縦枠材、及び左右方向に長い横枠材)を溶接又は固定具等によって組み合わせることで構成されている(図では、当該構成に加えて、下地部材80の左右の両端部に、2つの縦枠材が並設されている)。ただし、これに限らず、例えば、下地部材80の正面形状が格子状又は環状(一例として、矩形環状等)になるように、複数の枠材81を組み合わせることで構成されてもよい。
【0063】
なお、以下では、必要に応じて、下地部材80の枠材81(縦枠材)のうち、駆動側取付部12側に位置する縦枠材82を「駆動側縦枠材82」と称し、従動側取付部14側に位置する縦枠材83を「従動側縦枠材83」と称し、駆動側縦枠材82と従動側縦枠材83との間に位置する縦枠材84を「中間縦枠材84」と称する。また、下地部材80の枠材(横枠材)のうち、上方床材2c側に位置する横枠材85を「上方床側横枠材85」と称し、天井材2b側に位置する横枠材86を「天井側横枠材86」と称する。
【0064】
また、この下地部材80は、上記軸受手段と支持側耐火被覆材73との間に設けられていると共に、上記軸受手段が当該下地部材80に取り付けられるように設けられている。
【0065】
具体的には、図2から図4に示すように、下地部材80の各枠材81は、支持側耐火被覆材73と当接するように配置されている。また、駆動側縦枠材82は、駆動側取付部12と当接するように配置されており、固定具90(以下、「下地側固定具90」と称する)を介して駆動側取付部12と接続されている(あるいは、下地部材80が工場で事前に組み合される場合には、溶接によって接続されてもよい)。また、従動側縦枠材83は、従動側取付部14と当接するように配置されており、下地側固定具90を介して従動側取付部14と接続されている(あるいは、下地部材80が工場で事前に組み合される場合には、溶接によって接続されてもよい)。
【0066】
また、下地部材80を用いた上記軸受手段の固定方法については任意であるが、実施の形態では、下地部材80及び支持側耐火被覆材73を貫通するように支持部材2dに挿入される固定具91(以下、「支持側固定具91」と称する)によって、上記軸受手段を支持部材2dに対して固定している。
【0067】
具体的には、図2から図4に示すように、駆動側縦枠材82及び支持側耐火被覆材73を貫通するように支持部材2dに挿入される複数の支持側固定具91によって、駆動側取付部12を支持部材2dに対して固定している。また、従動側縦枠材83及び支持側耐火被覆材73を貫通するように支持部材2dに挿入される複数の支持側固定具91によって、従動側取付部14を支持部材2dに対して固定している。また、上方床側横枠材85及び支持側耐火被覆材73を貫通するように支持部材2dに挿入される複数の支持側固定具91によって、上方床側横枠材85を支持部材2dに対して固定している。また、天井側横枠材86及び支持側耐火被覆材73を貫通するように支持部材2dに挿入される複数の支持側固定具91によって、天井側横枠材86を支持部材2dに対して固定している。
【0068】
この場合において、各支持側固定具91の設置方法については任意であるが、実施の形態では、各支持側固定具91のヘッド部分91aが下地部材80の各枠材81の収容空間81a内に収容されるように、各支持側固定具91を設けている。
【0069】
具体的には、図3図4に示すように、下地部材80の各枠材81に形成された下地側挿通孔(図示省略)を介して各支持側固定具91を挿通することにより、各支持側固定具91のヘッド部分91aが上記収容空間81a内に位置させることにより、各支持側固定具91を設けている。
【0070】
これにより、各支持側固定具91が外部に露出することを抑制でき、下地部材80周辺の意匠性を維持しながら、開口部3の周辺で発生した火災の熱が各支持側固定具91へ伝達されることを低減できる。
【0071】
このような第1の特徴により、下地部材80を用いることなく上記軸受手段を支持部材2dに対して固定する場合に比べて、支持側耐火被覆材73の損傷の発生(例えば、支持側耐火被覆材73のひび割れの発生等)を抑制しながら、上記軸受手段を支持部材2dに対して強固に固定でき、上記軸受手段の設置性を高めることができる。
【0072】
(構成-軸受手段の固定構造-第2の特徴)
次に、実施の形態に係る固定構造の第2の特徴については、固定構造は、抑制部100をさらに備えている。
【0073】
抑制部100は、開口部3の周辺で火災が発生した際に、当該火災の熱が支持側固定具91へ伝導することを抑制するための抑制手段である。この抑制部100は、例えば公知の耐火被覆材(一例として、燃え止まり部材71aを複数積層された耐火被覆材等)を備えて構成されており、下地部材80に設けられ、具体的には、図4に示すように、上方床側横枠材85及び天井側横枠材86に設けられている。
【0074】
なお、以下では、必要に応じて、抑制部100のうち、上方床側横枠材85側に位置する抑制部101を「上側抑制部101」と称し、天井側横枠材86側に位置する抑制部102を「下側抑制部102」と称する。
【0075】
また、抑制部100の設置方法については任意であるが、実施の形態では、抑制部100によって各支持側固定具91のヘッド部分91a又は/及びその近傍部分が外部に露出しないように、抑制部100を下地部材80に設けている。
【0076】
具体的には、図3図4に示すように、上側抑制部101については、上方床側横枠材85の後面に形成された下地側挿通孔を直接塞ぐように、上方床側横枠材85の後面に配置し、上方床側横枠材85に対して固定具又は接着剤等によって接続している。また、下側抑制部102については、天井側横枠材86の後面に形成された下地側挿通孔を直接塞がないものの、下方から天井側横枠材86全体が見えないように、天井側横枠材86の下面に配置し、天井側横枠材86に対して固定具又は接着剤等によって接続している。
【0077】
ただし、これに限らず、例えば、下地部材80の各枠材81の収容空間81a内のうち、少なくとも下地側挿通孔に対応する部分に抑制部100を設けて(又は充填して)、下地部材80に対して固定具又は接着剤等によって接続してもよい。
【0078】
これにより、支持側固定具91のヘッド部分91a又は/及びその近傍部分が外部に露出することを回避でき、上記火災の熱が支持側固定具91へ伝導することを抑制できる。
【0079】
このような第2の特徴により、上記火災の熱が支持側固定具91へ伝導することを抑制でき、当該火災の熱が支持部材2dへ伝導することで支持部材2dが脱落することを回避できる。
【0080】
(構成-軸受手段の固定構造-第3の特徴)
次に、実施の形態に係る固定構造の第3の特徴については、固定構造は、補強部110をさらに備えている。
【0081】
補強部110は、下地部材80を支持することにより、支持側固定具91に作用する負荷を軽減するための補強手段である。この補強部110は、例えば鋼製の板状体にて形成されており、図4に示すように、下地部材80の下方に設けられ、固定具92(以下、「補強用固定具92」と称する)によって支持部材2d及び下地部材80(具体的には、天井側横枠材86)に対して固定されている。
【0082】
また、補強部110の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0083】
すなわち、補強部110のY-Z平面に沿った断面形状については、下地部材80及び支持部材2dに略沿うような形状に設定しており、一例として、略Z字状に設定している。具体的には、図4に示すように、補強部110は、支持部材2dの下面側に位置する第1補強片111、支持部材2dの後面側に位置する第2補強片112、及び下地部材80側に位置する第3補強片113を備えている。
【0084】
また、補強部110の左右方向の長さについては、下地部材80の左右方向の長さと略同一に設定している。ただし、これに限らず、例えば、下地部材80の左右方向の長さよりも短く設定したり、又はそれよりも長く設定してもよい。
【0085】
また、補強部110の前後方向の長さについては、下地部材80の前後方向の長さよりも長く、且つ支持部材2dの前後方向の長さよりも短く設定している。
【0086】
また、補強部110の上下方向の長さについては、下地部材80の上下方向の長さよりも短く設定している。
【0087】
また、補強部110の厚さについては、下地部材80を支持可能な厚さに設定しており、一例として、1mmから3mm程度に設定している。
【0088】
このような第3の特徴により、例えば開閉体30及び巻取軸40の自重等によって支持側固定具91に作用する負荷を軽減できる。よって、支持側固定具91が支持部材2dから引き抜かれることを回避でき、下地部材80の設置の安定性を高めることができる。
【0089】
(開閉装置の作用について)
続いて、このように構成された開閉装置1の作用について説明する。開閉装置1の作用は、通常時の作用(以下、「第1作用」と称する)と、部屋の室外側で火災が発生した際の作用(以下、「第2作用」と称する)と、部屋の室内側で火災が発生した際の作用(以下、「第3作用」と称する)とに大別されるので、以下では各作用について説明する。なお、第2作用と第3作用は、それぞれ略同一であるので、第3作用の説明を省略することとする。
【0090】
(開閉装置の作用について-第1作用)
図4に示すように、下地部材80が、軸受手段と支持側耐火被覆材73との間に設けられていると共に、上記軸受手段が、下地部材80及び支持側耐火被覆材73を貫通するように支持部材2dに挿入される支持側固定具91によって、支持部材2dに対して固定されているので、支持側耐火被覆材73と上記軸受手段(具体的には、駆動側取付部12、従動側取付部14)とが直接当接することは回避される。これにより、例えば支持側耐火被覆材73が上記軸受手段からの支圧等を直接受けないことから、支持側耐火被覆材73の損傷の発生(例えば、支持側耐火被覆材73のひび割れの発生等)を抑制しながら、上記軸受手段を支持部材2dに対して強固に固定できる。
【0091】
また、下地部材80は、補強部110によって支持されるので、例えば開閉体30及び巻取軸40の自重等によって支持側固定具91に作用する負荷が軽減される。これにより、支持側固定具91が支持部材2dから引き抜かれることを回避でき、下地部材80の設置の安定性を高めることができる。
【0092】
(開閉装置の作用について-第2作用)
例えば、全閉状態において部屋の室外側で火災が発生した際に、支持部材2dが当該火災の炎に晒されることになる。
【0093】
この場合において、支持側耐火被覆材73によって支持部材2dが燃焼することが抑制される。これにより、支持部材2dの少なくとも一部が燃焼することで、上記火災が支持部材2dを介して部屋の室外側から室内側へ延焼することを回避できる。
【0094】
また、抑制部100によって支持側固定具91のヘッド部分91a又は/及びその近傍部分が外部に露出しないように、当該抑制部100が下地部材80に設けられているので、支持側固定具91のヘッド部分91a又は/及びその近傍部分が外部に露出されることを防止できる。これにより、上記火災の熱が支持側固定具91へ伝導することを抑制でき、当該火災の熱が支持部材2dへ伝導することで支持部材2dが脱落することを回避できる。
【0095】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、軸受手段と支持側耐火被覆材73との間に設けられる下地部材80であり、軸受手段が取り付けられる下地部材80を備え、下地部材80及び支持側耐火被覆材73を貫通するように支持部材2dに挿入される支持側固定具91によって、軸受手段を支持部材2dに対して固定したので、下地部材80を用いることなく軸受手段を支持部材2dに対して固定する場合に比べて、支持側耐火被覆材73の損傷の発生(例えば、支持側耐火被覆材73のひび割れの発生等)を抑制しながら、軸受手段を支持部材2dに対して強固に固定でき、軸受手段の設置性を高めることができる。
【0096】
また、下地部材80を、収容空間81aを有する枠材81を複数組み合わせることで構成し、支持側固定具91のヘッド部分91aが収容空間81a内に収容されるように、当該支持側固定具91を設けたので、支持側固定具91が外部に露出することを抑制でき、下地部材80周辺の意匠性を維持しながら、開口部3の周辺で発生した火災の熱が支持側固定具91へ伝達されることを低減できる。
【0097】
また、開口部3の周辺で火災が発生した際に、当該火災の熱が支持側固定具91へ伝導することを抑制するための抑制部100を備えるので、当該火災の熱が支持側固定具91へ伝導することを抑制でき、当該火災の熱が支持部材2dへ伝導することで支持部材2dが脱落することを回避できる。
【0098】
また、抑制部100によって支持側固定具91のヘッド部分91a又は/及びその近傍部分が外部に露出しないように、当該抑制部100を下地部材80に設けたので、支持側固定具91のヘッド部分91a又は/及びその近傍部分が外部に露出することを回避でき、上記火災の熱が支持側固定具91へ伝導することを抑制できる。
【0099】
また、下地部材80を支持することにより、支持側固定具91に作用する負荷を軽減するための補強部110を備えるので、例えば開閉体30及び巻取軸40の自重等によって支持側固定具91に作用する負荷を軽減できる。よって、支持側固定具91が支持部材2dから引き抜かれることを回避でき、下地部材80の設置の安定性を高めることができる。
【0100】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0101】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0102】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0103】
(各種の耐火被覆材について)
上記実施の形態では、各種の耐火被覆材(具体的には、床側耐火被覆材72、支持側耐火被覆材73、抑制部100の耐火被覆材)が、燃え止まり部材71aを複数積層することにより構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、燃え止まり部材71aと、燃え止まり部材71aよりも外側に位置する燃え代部材であって、支持部材2dの燃焼又は炭化の進行を抑制する燃え代部材(一例として、木製の集成材、木製の積層材、又はこれらを組み合わせたもの等)で構成されてもよい。あるいは、単層の燃え止まり部材71aで構成されてもよい。
【0104】
(下地部材について)
上記実施の形態では、下地部材80が、中間縦枠材84、上方床側横枠材85、及び天井側横枠材86を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、中間縦枠材84、上方床側横枠材85、又は天井側横枠材86の少なくともいずれか1つを省略してもよい。なお、中間縦枠材84、上方床側横枠材85、及び天井側横枠材86を省略した場合には、駆動側縦枠材82と従動側縦枠材83とが接続されることなく、それぞれ個別に設けられてもよい。
【0105】
また、上記実施の形態では、下地部材80の枠材81が、鋼製のパイプ材で構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、H型鋼材又はコ字状の鋼材で構成されてもよい。あるいは、収容空間81aを有さない枠材81(一例として、平板状の鋼材、鋼製のアングル材)で構成されてもよい。
【0106】
(軸受手段の固定構造について)
上記実施の形態では、支持側固定具91のヘッド部分91aが下地部材80の各枠材81の収容空間81a内に収容されるように、当該支持側固定具91が設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、支持側固定具91のヘッド部分91aが下地部材80の外部に位置するように設けられてもよい。
【0107】
また、上記実施の形態では、固定構造が、抑制部100及び補強部110を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、抑制部100又は補強部110の少なくともいずれか一方を省略してもよい。
【0108】
また、上記実施の形態では、補強部110が、下地部材80の下方に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、下地部材80の上方に設けられてもよい。この場合には、補強部110が、支持部材2d又は/及び上方床材2cに対して補強用固定具92によって固定されてもよい。あるいは、下地部材80の上方及び下方の両方に設けられてもよい。
【0109】
(付記)
付記1の軸受手段の固定構造は、建物の躯体に設けられた開口部を開閉する開閉体を開閉移動させるための巻取軸を回転可能に支持する軸受手段を、前記躯体を構成する部材のうち外表面が耐火被覆材で覆われた木製の支持部材に対して固定するための固定構造であって、前記軸受手段と前記耐火被覆材との間に設けられる下地部材であり、前記軸受手段が取り付けられる下地部材を備え、前記下地部材及び前記耐火被覆材を貫通するように前記支持部材に挿入される固定具によって、前記軸受手段を前記支持部材に対して固定した。
【0110】
付記2の軸受手段の固定構造は、付記1に記載の軸受手段の固定構造において、前記下地部材を、収容空間を有する枠材を複数組み合わせることで構成し、前記固定具のヘッド部分が前記収容空間内に収容されるように、当該固定具を設けた。
【0111】
付記3の軸受手段の固定構造は、付記1又は2に記載の軸受手段の固定構造において、前記開口部の周辺で火災が発生した際に、当該火災の熱が前記固定具へ伝導することを抑制するための抑制手段を備える。
【0112】
付記4の軸受手段の固定構造は、付記3に記載の軸受手段の固定構造において、前記抑制手段によって前記固定具のヘッド部分又は/及びその近傍部分が外部に露出しないように、当該抑制手段を前記下地部材に設けた。
【0113】
付記5の軸受手段の固定構造は、付記1から4のいずれか一項に記載の軸受手段の固定構造において、前記下地部材を支持することにより、前記固定具に作用する負荷を軽減するための補強手段を備える。
【0114】
(付記の効果)
付記1に記載の軸受手段の固定構造によれば、軸受手段と耐火被覆材との間に設けられる下地部材であり、軸受手段が取り付けられる下地部材を備え、下地部材及び耐火被覆材を貫通するように支持部材に挿入される固定具によって、軸受手段を支持部材に対して固定したので、下地部材を用いることなく軸受手段を支持部材に対して固定する場合に比べて、耐火被覆材の損傷の発生(例えば、耐火被覆材のひび割れの発生等)を抑制しながら、軸受手段を支持部材に対して強固に固定でき、軸受手段の設置性を高めることができる。
【0115】
付記2に記載の軸受手段の固定構造によれば、下地部材を、収容空間を有する枠材を複数組み合わせることで構成し、固定具のヘッド部分が収容空間内に収容されるように、当該固定具を設けたので、固定具が外部に露出することを抑制でき、下地部材周辺の意匠性を維持しながら、開口部の周辺で発生した火災の熱が固定具へ伝達されることを低減できる。
【0116】
付記3に記載の軸受手段の固定構造によれば、開口部の周辺で火災が発生した際に、当該火災の熱が固定具へ伝導することを抑制するための抑制手段を備えるので、当該火災の熱が固定具へ伝導することを抑制でき、当該火災の熱が支持部材へ伝導することで支持部材が脱落することを回避できる。
【0117】
付記4に記載の軸受手段の固定構造によれば、抑制手段によって固定具のヘッド部分又は/及びその近傍部分が外部に露出しないように、当該抑制手段を下地部材に設けたので、固定具のヘッド部分又は/及びその近傍部分が外部に露出することを回避でき、上記火災の熱が固定具へ伝導することを抑制できる。
【0118】
付記5に記載の軸受手段の固定構造によれば、下地部材を支持することにより、固定具に作用する負荷を軽減するための補強手段を備えるので、例えば開閉体及び巻取軸の自重等によって固定具に作用する負荷を軽減できる。よって、固定具が支持部材から引き抜かれることを回避でき、下地部材の設置の安定性を高めることができる。
【符号の説明】
【0119】
1 開閉装置
2 躯体
2a 内壁
2b 天井材
2c 上方床材
2d 支持部材
2e 下方床材
2f 柱材
3 開口部
10 収納部
10a まぐさ
10b まぐさ開口
11 駆動側軸受板
12 駆動側取付部
13 従動側軸受板
14 従動側取付部
15 ケース板
20 ガイドレール
30 開閉体
31 スラット
32 座板
40 巻取軸
41 駆動側シャフト部
42 巻取軸側スプロケット部
43 従動側シャフト部
52 伝達部材
60 開閉機
61 接続板
71a 燃え止まり部材
72 床側耐火被覆材
73 支持側耐火被覆材
80 下地部材
81 枠材
81a 収容空間
82 駆動側縦枠材
83 従動側縦枠材
84 中間縦枠材
85 上方床側横枠材
86 天井側横枠材
90 下地側固定具
91 支持側固定具
91a ヘッド部分
92 補強用固定具
100 抑制部
101 上側抑制部
102 下側抑制部
110 補強部
111 第1補強片
112 第2補強片
113 第3補強片
M 最大巻き径
図1
図2
図3
図4