(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031958
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】被装填物を装填する自動装填装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
B65B 43/36 20060101AFI20230302BHJP
B65B 5/04 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B65B43/36 A
B65B5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137763
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】599105333
【氏名又は名称】西川 吉秀
(71)【出願人】
【識別番号】521378277
【氏名又は名称】黒川 弘康
(71)【出願人】
【識別番号】512244886
【氏名又は名称】猿田 明
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】西川 吉秀
(72)【発明者】
【氏名】黒川 弘康
(72)【発明者】
【氏名】猿田 明
【テーマコード(参考)】
3E003
3E030
【Fターム(参考)】
3E003AA05
3E003AA10
3E003AB02
3E003BA06
3E003BC01
3E003BD05
3E003DA02
3E030AA04
3E030AA10
3E030CA02
3E030CA05
3E030CA07
3E030CA09
3E030EA02
3E030GA04
(57)【要約】
【課題】 一端が封止されており他端が開口しているシールシュリンクフィルム包装体に対して被装填物を装填できる被装填物の自動装填装置を提供する。
【解決手段】 シールシュリンクフィルム220の封止端から所定長両面テープの非貼付箇所260を設け、その一部にスリット270を設けた台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200をシールシュリンクフィルム包装体供給装置110により供給する。ヘッド部121と外表面に向けてエアを噴き出すエア噴き出し口122を備えた挿入ガイド体120を用いる。スライダー装置140の「装填準備動作」によりスリット270を介して挿入ガイド体120をシールシュリンクフィルム220内に挿入しシールシュリンクフィルム220を膨らませる。スライダー装置140の「装填動作」により被装填物300とシールシュリンクフィルム220のいずれかを他方に対して相対的移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が封止されており他端が開口しているシールシュリンクフィルムを膨らませ、その内部に被装填物を装填する被装填物の自動装填装置であって、
前記シールシュリンクフィルムの前記一端側から所定長、前記両面テープに貼付されていない箇所を設け、当該箇所の底面の一部にスリットが設けられた台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を供給するシールシュリンクフィルム包装体供給装置と、
前記スリットに挿入可能なサイズのヘッド部と、前記ヘッド部の内部から外表面に向けてエアを噴き出すエア噴き出し口またはエア噴き出し溝を少なくとも1つ備えた挿入ガイド体と、
前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体に対して前記被装填物を前記他端の開口に対向して直列に並べ、前記挿入ガイド体を前記一端の外側に直列に並べる配置装置と、
前記スリットを介して前記挿入ガイド体を前記シールシュリンクフィルム内に挿入してゆき、前記シールシュリンクフィルムを膨らませつつ前記他端の開口に対向している前記被装填物までアクセスする装填準備動作と、前記挿入ガイド体および前記被装填物または前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体のいずれかを他方に対して相対的移動させ、前記被装填物が前記シールシュリンクフィルム内の所定位置に来るまで牽引または押し込む装填動作を行うスライダー装置を備えたものであることを特徴とする被装填物の自動装填装置。
【請求項2】
前記シールシュリンクフィルム包装体供給装置が、あらかじめ製作された前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を貯留してそれを順次供給するフィーダー装置を備えた構成である請求項1に記載の被装填物の自動装填装置。
【請求項3】
前記シールシュリンクフィルム包装体供給装置が、前記スリットが設けられていないシールシュリンクフィルムに対して前記スリットを所定箇所に開けるスリット切開装置と、 前記台紙側の所定箇所または前記スリット切開装置により前記スリットが切開されたスリット付きシールシュリンクフィルム側の所定箇所に前記両面テープを自動貼付する両面テープ貼付装置と、 前記台紙と前記スリット付きシールシュリンクフィルムとを貼り合わせる貼り合わせ装置と、 製作した前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を供給するフィーダー装置を備えた構成であることを特徴とする請求項1に記載の被装填物の自動装填装置。
【請求項4】
前記スライダー装置の装填動作の前記相対的移動が、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を固定して、前記挿入ガイド体と前記被装填物を相対的に移動させるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の被装填物の自動装填装置。
【請求項5】
前記スライダー装置の装填動作の前記相対的移動が、前記挿入ガイド体と前記被装填物を固定して、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を相対的に移動させるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の被装填物の自動装填装置。
【請求項6】
前記挿入ガイド体が、前記ヘッド部の先端に設けられ前記被装填物を吸着できる被装填物吸着部を備え、
前記スライダー装置の装填準備動作において、先端の前記被装填物吸着部が前記シールシュリンクフィルム内を抜け出て、対向する前記被装填物に当接して前記被装填物を吸着し、
前記スライダー装置の装填動作において、前記被装填物吸着部が前記被装填物を吸着して一体化したまま前記相対的移動が行われることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の被装填物の自動装填装置。
【請求項7】
前記被装填物吸着部がエア吸引機構を備え、
前記スライダー装置の装填動作において、前記被装填物が前記シールシュリンクフィルム内の所定位置に来るまでは前記エア吸引機構が稼働して前記被装填物を吸着しつづけ、前記所定位置に来たら前記エア吸引機構が停止して前記被装填物を解放するよう制御することを特徴とする請求項6に記載の被装填物の自動装填装置。
【請求項8】
前記スライダー装置が前記被装填物を、対向している前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体の他端の前記開口に向けて押し込む押し出し装置を備え、
前記スライダー装置の装填準備動作において、前記挿入ガイド体を前記シールシュリンクフィルムの中に挿入して前記シールシュリンクフィルムを膨らませ、
前記スライダー装置の装填動作において、前記押し出し装置が被装填物を押し出す動きと前記挿入ガイド体が前記シールシュリンクフィルム内を戻る動きを同期させて前記相対的移動が行われることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の被装填物の自動装填装置。
【請求項9】
前記スライダー装置の装填動作において、前記被装填物が前記シールシュリンクフィルム内の所定位置に来るまでは前記押し出し装置が稼働して前記被装填物を押しつづけ、前記所定位置に来たら前記押し出し装置の押し出しが停止して前記被装填物を静止するよう制御することを特徴とする請求項8に記載の被装填物の自動装填装置。
【請求項10】
前記配置装置において前記装填方向に直列に並んだ前記被装填物と前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体の間隔が、前記挿入ガイド体の前記ヘッド部の前記装填方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の被装填物の自動装填装置。
【請求項11】
前記挿入ガイド体に対して前記シールシュリンクフィルムの前記スリットへの挿入を支援する挿入支援装置を備え、
前記挿入支援装置が、前記両面テープに貼付されていない箇所の上面に対してアクセスできる昇降機構と、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体の前記シールシュリンクフィルムの前記開口が開くよう前記開口の上面をエア吸引しつつ上方に支持するフィルム吸着部を備えたことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の被装填物の自動装填装置。
【請求項12】
一端が封止されており他端が開口しているシールシュリンクフィルムを膨らませ、その内部に被装填物を装填する被装填物の自動装填方法であって、
台紙付きシールシュリンクフィルム包装体において、前記シールシュリンクフィルムの前記一端側から所定長前記両面テープに貼付されていない箇所を設け、当該箇所の底面の一部にスリットが設けられた台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を供給し、
前記スリットに挿入可能なサイズのヘッド部と、前記ヘッド部の内部から外表面に向けてエアを噴き出すエア噴き出し口またはエア噴き出し溝を少なくとも1つ備えた挿入ガイド体を用いて、
前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体に対して前記被装填物を前記他端の開口に対向して直列に並べ、前記挿入ガイド体を前記一端の外側に直列に並べる配置準備を行い、
前記挿入ガイド体が前記エアを噴き出しつつ、前記スリットを介して前記挿入ガイド体を前記シールシュリンクフィルム内に挿入してゆき、前記シールシュリンクフィルムを膨らませつつ前記他端の開口に対向している前記被装填物までアクセスし、
前記挿入ガイド体が前記エアを噴き出しつつ、前記挿入ガイド体および前記被装填物、または、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体のいずれかを他方に対して相対的移動させ、前記被装填物が前記シールシュリンクフィルム内の所定位置に来るまで牽引または押し込むことを特徴とする被装填物の自動装填方法。
【請求項13】
前記スライダー装置の装填動作の前記相対的移動が、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を固定して、前記挿入ガイド体と前記被装填物を前記装填方向に沿って移動させるものであることを特徴とする請求項12に記載の被装填物の自動装填方法。
【請求項14】
前記スライダー装置の装填動作の前記相対的移動が、前記挿入ガイド体と前記被装填物を固定して、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を前記装填方向とは逆に移動させるものであることを特徴とする請求項12に記載の被装填物の自動装填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体に被装填物を装填する自動装填装置およびその方法に関する。特に、筒状に膨らんでいない状態のシールシュリンクフィルムを膨らませ、その内部に被装填物を装填する自動装填装置およびその方法に関するものである。
ここで、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体とは、一端が封止されており他端が開口しているシールシュリンクフィルムを台紙に貼付したものである。
【背景技術】
【0002】
商品は個装されて店舗の什器に陳列されるが、同じ用途、同じ機能を提供する多種多様な商品が販売されており、それらが近隣に並べられる。製造販売を行う各メーカーや商社にとって、少しでも顧客の目に止まりやすいようパッケージに工夫を施している。その工夫の一つに吊り下げ展示方法がある。吊り下げ展示法は台紙付きシュリンクフィルム包装体を用いた展示方法であり、化粧品類や文房具類等の各種の家庭用の小物の製品を見せながら収容して店頭等に陳列できるようにする包装形態として普及しつつある。
台紙付きシュリンクフィルム包装体は、フックに吊り下げられる孔を有する厚紙などの台紙と、台紙の表面に配置されて容器を包装する一方向へ長い筒状のシュリンクフィルムとから形成されている。陳列棚において前面にあるフックに吊下されるので、商品が正対した状態で台紙から飛び出るように支持されているのでアイキャッチに優れた陳列方法を採ることができる。
【0003】
ここで問題となるのは、台紙付きシュリンクフィルム包装体への被装填物の装填方法である。
従来技術における第3の台紙付きシュリンクフィルム包装体への被装填物の装填方法として、特開2012-188127号公報(特許文献1)に開示された技術が知られている。
図21は、特開2012-188127号公報(特許文献1)に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への被装填物の装填方法である。
図21(a)のように、カード(台紙1)に粘着剤(接着剤3)を塗布して、熱収縮性チューブ(筒状のシュリンクフィルム2)を接着させ、台紙付きシュリンクフィルム包装体を製造する。この台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して、
図21(b)に示すように、被装填物7を収納し、その後、熱収縮性チューブ(筒状のシュリンクフィルム2)を熱収縮させて、
図21(c)に示すように、被装填物7を筒状のシュリンクフィルムによりカード(台紙1)に支持するものである。
図21(c)に示すように、筒状のシュリンクフィルムの筒をつぶすように折り、折られた筒状のシュリンクフィルムの表側の幅方向中央部に上端開口部から下端開口部の方向に向いた折癖を設けられている。折癖を設けることで、筒状のシュリンクフィルムに被装填物を挿入するときに、シュリンクフィルムの下端開口部の開口が容易で、簡単に被装填物を挿入することができるものとなっている。
【0004】
次に、従来技術における第2の台紙付きシュリンクフィルム包装体への被装填物の装填方法として、特開2015-101406号公報(特許文献2)に開示された技術が知られている。
図22は、特開2015-101406号公報(特許文献2)に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体を示す図である。
特許文献2に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体は、台紙3の表面に接着部を介して接着されたフィルム4により製品22を固定したものである。台紙3には上下方向に延びる曲げ誘導部6が設けられており、台紙3が曲げ誘導部6の位置にて表面側又は裏面側に曲げられているものである。その製造方法は、上下方向に延びる曲げ誘導部6が設けられた台紙3の表面に接着部5を介して筒状のシュリンクフィルム4を接着し、その後、筒状のシュリンクフィルムの内部に製品22を挿入し、その後、筒状のシュリンクフィルム4を加熱収縮させることにより、曲げ誘導部6の位置にて台紙3を表面側に曲げて、収縮された筒状シュリンクフィルム4と台紙3と製品22とを一体に固定する方法にて包装する。
【0005】
次に、従来技術における第3の台紙付きシュリンクフィルム包装体への被装填物の装填方法として、特許第6841936号公報(特許文献3)に開示された技術が知られている。
特許文献3に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置は、現在の公知例としては最も優れたものであり、今後もその普及は期待されるところである。
特許文献3に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置は、台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して被装填物を装填方向に沿って直列に並ぶよう配置する載置装置と、シュリンクフィルムの内径よりも小さな外径のヘッド部と、ヘッド部の内部から外表面に向けてエアを噴き出すエア噴き出し口またはエア噴き出し溝を少なくとも1つ備えた挿入ガイド体と、台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して挿入ガイド体を前記装填方向の逆側に直列に並べ、挿入ガイド体を台紙付きシュリンクフィルム包装体に対してスライド運動させるスライダー装置と、挿入ガイド体が前記ヘッド部の内部から側面の外表面に前記エアを噴き出しつつ、前記挿入ガイド体を前記シュリンクフィルム内に挿入してゆき、前記シュリンクフィルムを膨らませつつ被装填物に対向させる装填準備動作と、挿入ガイド体がエアを噴き出しつつ、挿入ガイド体および被装填物を台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して移動させ、被装填物がシュリンクフィルム内の所定位置に来るまで牽引または押し込む装填動作を備えたものである。
特許文献3に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置には、被装填物の種類や大きさに特に限定がなく、被装填物を確実かつスピーディーに装填することができ、優れた技術である。
【0006】
【特許文献1】特開2012-188127号公報
【特許文献2】特開2015-101406号公報
【特許文献3】特許第6841936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、台紙付きシュリンクフィルム包装体を用いた吊り下げ展示方法は、優れた商品の展示方法であり、包装形態として普及しつつある。
しかし、従来技術の特許文献1および特許文献2の技術において、台紙付きシュリンクフィルム包装体への被装填物の装填方法では解決すべき以下の課題があった。
第1の課題は、台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して、被装填物を装填することが物理的に困難であり、装填作業を自動化した自動装填機による機械装填の品質が不十分であることである。シュリンクフィルムにはたわみや歪みがあるため、被装填物の外径に対して、多少大きめのマージンを持たせた内径を備えたシュリンクフィルムを使用せざるを得なかった。
また、熱収縮前のシュリンクフィルムは柔らかく変形容易な薄手のフィルムであるので、例えば、略円柱体の被装填物であれば、シュリンクフィルムを略円筒形に維持しておいて被装填物を装填しなければならない。シュリンクフィルムの一部の縁に引っかかったり衝突したりするだけでシュリンクフィルムが折れ曲がったり破れたりするおそれがあり、装填状態が不良品となってしまう。
第2の課題は、被装填物の外径に対して、大きめのマージンを持たせた内径を備えたシュリンクフィルムを使用すると熱収縮後のシュリンクフィルムの状態が綺麗でなく、シワやヨレが生じてしまうおそれがあり得ることである。
上記したように、従来技術では、被装填物の外径に対して、多少大きめのマージンを持たせた内径を備えたシュリンクフィルムを使用せざるを得なかったため、シュリンクフィルムに熱を印可した場合の収縮率が大きくなってしまい、どうしても余ったフィルム材が筋状に固まり、シワやヨレとして被装填物の表面を包むフィルムに残ってしまう。このシワやヨレが大きくなると、台紙付きシュリンクフィルム包装体を用いた吊り下げ展示において見栄えを阻害してしまう場合もあり得る。
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、被装填物の外径に対してわずかなマージンのみの内径を備えたシュリンクフィルムが取り付けられた台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して、折れや曲がりが生じることなく正確に、当該被装填物を自動装填できる台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置を提供することを目的とする。
【0009】
一方、従来技術の特許文献3の技術では上記した第1の課題や第2の課題が解決されており、そのような問題はない。
しかし、解決すべき課題として、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体への対応が挙げられる。台紙付きシールシュリンクフィルム包装体とは、一端が封止されており他端が開口しているシールシュリンクフィルムを台紙に貼付したものである。この一端が封止されており他端が開口しているシールシュリンクフィルムは「Rシールシュリンクフィルム」と呼ばれることがある。これは一端が円弧状(R状)に封止(シール)されていることが多いため、Rシールと俗称されている。従来技術の特許文献3の自動装填装置は、筒状に両端が開口されているシュリンクフィルムを前提としており、一端が封止されており他端が開口しているシールシュリンクフィルムを取り扱うことが開示されていない。
上記課題に鑑み、本発明は、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体に対して被装填物を装填できる被装填物の自動装填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。なお、以下に記載の構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0011】
本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置は、一端が封止されており他端が開口しているシールシュリンクフィルムを膨らませ、その内部に被装填物を装填する被装填物の自動装填装置であって、前記シールシュリンクフィルムの前記一端側から所定長、前記両面テープに貼付されていない箇所を設け、当該箇所の底面の一部にスリットが設けられた台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を供給するシールシュリンクフィルム包装体供給装置と、前記スリットに挿入可能なサイズのヘッド部と、前記ヘッド部の内部から外表面に向けてエアを噴き出すエア噴き出し口またはエア噴き出し溝を少なくとも1つ備えた挿入ガイド体と、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体に対して前記被装填物を前記他端の開口に対向して直列に並べ、前記挿入ガイド体を前記一端の外側に直列に並べる配置装置と、前記スリットを介して前記挿入ガイド体を前記シールシュリンクフィルム内に挿入してゆき、前記シールシュリンクフィルムを膨らませつつ前記他端の開口に対向している前記被装填物までアクセスする装填準備動作と、前記挿入ガイド体および前記被装填物または前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体のいずれかを他方に対して相対的移動させ、前記被装填物が前記シールシュリンクフィルム内の所定位置に来るまで牽引または押し込む装填動作を行うスライダー装置を備えたものである。
上記構成において、シールシュリンクフィルムと台紙の間に特別な構造を持つ台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を用いることにより、スライダー装置の装填準備動作において、シールシュリンクフィルムに対して、封止された一端側からスリットを介して挿入ガイド体の挿入を可能とし、シールシュリンクフィルム内に空気を充満させて膨らませ、スライダー装置の装填動作において、被装填物をシールシュリンクフィルムの開口から装填することができる。
【0012】
ここで、上記構成におけるシールシュリンクフィルム包装体供給装置としては、複数通りのタイプがあり得る。
第1のタイプは、いわゆるスタッカ・フィーダーであり、あらかじめ製作された台紙付きシールシュリンクフィルム包装体をスタッカに貯留してそれを供給するフィーダー装置を備えた構成である。特別な構成の台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を前準備として用意しておき、それを供給するタイプである。分業しやすくなり、装置構成が簡単になる。
【0013】
第2のタイプは、特別な構成の台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を自動機として製作するものである。つまり、シールシュリンクフィルム包装体供給装置が、スリットが設けられていないシールシュリンクフィルムに対してスリットを所定箇所に開ける「スリット切開装置」と、台紙の所定箇所、または、スリット切開装置によりスリットが切開されたスリット付きシールシュリンクフィルムの所定箇所に両面テープを自動貼付する「両面テープ貼付装置」と、台紙とスリット付きシールシュリンクフィルムとを貼り合わせる「貼り合わせ装置」と、製作した台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を供給する「フィーダー装置」を備えた構成である。
上記構成により、特別な構成の台紙付きシールシュリンクフィルム包装体自体も製作することにより、資材準備から装填作業まで一貫工程として実行できる。
【0014】
ここで、スライダー装置の装填動作の相対的移動としては、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を固定して、前記挿入ガイド体と前記被装填物を前記装填方向に沿って相対的に移動させるものであっても良い。また、逆に、前記挿入ガイド体と前記被装填物を固定して、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体の方を相対的に移動させるものでも良い。
【0015】
次に、挿入ガイド体についての工夫について述べる。それは、挿入ガイド体がヘッド部の先端に被装填物を吸着できる被装填物吸着部を備えた構成とする工夫である。この被装填物吸着部を備えることにより、スライダー装置の装填準備動作において、先端の被装填物吸着部がシールシュリンクフィルム内を抜け出て、対向する被装填物に当接して被装填物を吸着し、スライダー装置の装填動作において被装填物吸着部が前記被装填物を吸着して一体化したまま相対的移動を行うことができる。
【0016】
ここで、挿入ガイド体の被装填物吸着部がエア吸引機構を備えた構成が好ましい。
被装填物吸着部がエア吸引機構を備え、スライダー装置の装填動作において、被装填物がシールシュリンクフィルム内の所定位置に来るまではエア吸引機構が稼働して被装填物を吸着しつづけ、所定位置に来たらエア吸引機構が停止して被装填物を解放するよう制御することが好ましい。
上記構成により、シールシュリンクフィルム内に空気を充満させて膨らませる役割を果たす挿入ガイド体が、被装填物の装填の役割も兼用することができ、シールシュリンクフィルムの膨出と被装填物の装填を連動させやすくなる。
【0017】
一方、挿入ガイド体のヘッド部の先端に被装填物吸着部を備えない構成も可能である。この場合、スライダー装置には追加の構成要素として、被装填物を対向している台紙付きシールシュリンクフィルム包装体の他端の開口に向けて押し込む押し出し装置を備えることが好ましい。
さらに、スライダー装置の装填準備動作において挿入ガイド体がシールシュリンクフィルムの中に入り前記シールシュリンクフィルムを膨らませ、スライダー装置の装填動作において、押し出し装置が被装填物を押し出す動きと挿入ガイド体がシールシュリンクフィルム内を戻る動きを同期させて相対的移動を実行する。
押し出し装置の制御としては、スライダー装置の装填動作において被装填物がシールシュリンクフィルム内の所定位置に来るまでは押し出し装置が稼働して被装填物を押しつづけ、所定位置に来たら押し出し装置の押し出しが停止して被装填物を静止するよう制御する。
上記構成により、挿入ガイド体によるシールシュリンクフィルムの膨出と、押し出し装置による被装填物を押し出す動きを同期させ、被装填物の装填を滑らかに行うことができる。
【0018】
次に、挿入ガイド体のヘッド部の長さについて述べる。
挿入ガイド体のヘッド部の装填方向の長さは、配置装置において装填方向に直列に並んだ被装填物と台紙付きシールシュリンクフィルム包装体の間隔より長いものとする。つまり、スライダー装置の装填準備動作において挿入ガイド体のヘッド部が被装填物に当接し、装填動作において挿入ガイド体のヘッド部により被装填物を引き込む場合に、挿入ガイド体のヘッド部がシールシュリンクフィルム内を一度抜け出てしまうと、シールシュリンクフィルムへのエアの供給が途切れて膨出できず縮んで畳まれてしまうので、挿入ガイド体のヘッド部が被装填物に当接してもエア供給部がシールシュリンクフィルム内に残っている程度の十分な長さが必要だからである。
【0019】
次に、挿入ガイド体がスリットを通過してシールシュリンクフィルム内に挿入しやすくなる工夫について述べる。
第1には、挿入ガイド体の先端の形状の工夫である。先端に向けて先細りした形状であることが好ましい。挿入ガイド体がスリットを通過してシールシュリンクフィルムに挿入しやすくなるからである。
第2には、スリットを露出させる工夫である。そのため、シールシュリンクフィルムの一端のスリット付近の上面に対してアクセスできる昇降機構と、前記スリットが露出して開くように前記スリット付近の上面を吸着しつつ上方に支持するフィルム吸着部を備えた構成とする。
上記構成により、フィルム吸着部が装填準備に先立ち、昇降機構によりシールシュリンクフィルムの前記両面テープに貼付されていない箇所の上面をフィルム吸着部でエア吸引したのち上方に移動し、スリットが挿入ガイド体に対向して露出して開口するよう支持する。次に、装填準備において、挿入ガイド体がスリットを介してシールシュリンクフィルム内に入るとフィルム吸着部のエア吸引を停止させてシールシュリンクフィルムを解放する。この動きにより、スリットが挿入ガイド体に対して露出され、挿入ガイド体がスリットを通過してシールシュリンクフィルム内に挿入しやすくなる。
【0020】
本発明にかかる被装填物の自動装填方法は、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体において、前記シールシュリンクフィルムの前記一端側から所定長前記両面テープに貼付されていない箇所を設け、当該箇所の底面の一部にスリットが設けられた台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を供給し、前記スリットに挿入可能なサイズのヘッド部と、前記ヘッド部の内部から外表面に向けてエアを噴き出すエア噴き出し口またはエア噴き出し溝を少なくとも1つ備えた挿入ガイド体を用いて、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体に対して前記被装填物を前記他端の開口に対向して直列に並べ、前記挿入ガイド体を前記一端の外側に直列に並べる配置準備を行い、前記挿入ガイド体が前記エアを噴き出しつつ、前記スリットを介して前記挿入ガイド体を前記シールシュリンクフィルム内に挿入してゆき、前記シールシュリンクフィルムを膨らませつつ前記他端の開口に対向している前記被装填物までアクセスし、前記挿入ガイド体が前記エアを噴き出しつつ、前記挿入ガイド体および前記被装填物、または、前記台紙付きシールシュリンクフィルム包装体のいずれかを他方に対して相対的移動させ、前記被装填物が前記シールシュリンクフィルム内の所定位置に来るまで牽引または押し込む被装填物の自動装填方法である。
なお、上記方法において、前記スライダー装置の装填動作における前記相対的移動が、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を固定して、挿入ガイド体と被装填物を前記装填方向に沿って相対的に移動させるものでも良く、逆に、挿入ガイド体と被装填物を固定して、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体の方を相対的に移動させるものでも良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置及びその方法によれば、一端が封止されたシールシュリンクフィルムを取り扱うことができる。シールシュリンクフィルムと台紙の間に特別な構造を持つ台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を用いることにより、スライダー装置の装填準備動作において、シールシュリンクフィルムに対して、封止された一端側からスリットを介して挿入ガイド体の挿入を可能とし、シールシュリンクフィルム内に空気を充満させて膨らませ、スライダー装置の装填動作において、被装填物をシールシュリンクフィルムの開口から装填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施例1にかかる本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置100の構成を簡単に示した図である。
【
図2】台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200の構成例を示す図である。
【
図3】第1のタイプの挿入ガイド体120の構成例を示す図である。
【
図4】第2のタイプの挿入ガイド体120の構成例を示す図である。
【
図5】被装填物の自動装填装置100のストローク0の状態を示す図である。
【
図6】被装填物の自動装填装置100のストローク1の状態を示す図である。
【
図7】被装填物の自動装填装置100のストローク2の状態を示す図である。
【
図8】被装填物の自動装填装置100のストローク3-1の状態を示す図である。
【
図9】被装填物の自動装填装置100のストローク3-2の状態を示す図である。
【
図10】被装填物の自動装填装置100のストローク3-3の状態を示す図である。
【
図11】被装填物の自動装填装置100のストローク4-1Aの状態を示す図である。
【
図12】シュリンクフィルム220の開口240付近に発生する、シュリンクフィルム220の膨らみ効果を説明する図(その1)である。
【
図13】シュリンクフィルム220の開口240付近に発生する、シュリンクフィルム220の膨らみ効果を説明する図(その2)である。
【
図14】被装填物の自動装填装置100のストローク4-2Aの状態を示す図(その1)である。
【
図15】被装填物の自動装填装置100のストローク4-2Aの状態を示す図(その2)である。
【
図16】被装填物の自動装填装置100のストローク4-3Aの状態を示す図である。
【
図17】被装填物の自動装填装置100のストローク4-1Bの状態を示す図である。
【
図18】被装填物の自動装填装置100のストローク4-2Bの状態を示す図である。
【
図19】実施例2にかかるシールシュリンクフィルム包装体供給装置110-2の装置構成を示す図である。
【
図20】シールシュリンクフィルム包装体供給装置110-2を用いた台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200の製造工程を簡単に示す図である。
【
図21】従来技術における特開2012-188127号公報(特許文献1)に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への被装填物の装填方法を示す図である。
【
図22】従来技術における特開2015-101406号公報(特許文献2)に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示したものに限定されるものではないことは言うまでもない。
実施例1にかかる被装填物を装填する自動装填装置として、「シールシュリンクフィルム包装体供給装置」が第1のタイプ、つまり、いわゆるスタッカおよびフィーダー装置であり、あらかじめ製作された台紙付きシールシュリンクフィルム包装体をスタッカに貯留してそれを供給するフィーダー装置を備えた構成例を示す。
実施例2にかかる被装填物を装填する自動装填装置として、「シールシュリンクフィルム包装体供給装置」が第2のタイプ、つまり、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体を自動製作して供給する構成例を示す。
【実施例0024】
本発明の実施例1にかかる被装填物を装填する自動装填装置について説明する。
ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示したものに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0025】
図1は、本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置100の構成を簡単に示した図となっている。
図1(a)は自動装填装置100の構成を側面から見た様子を示す図、
図1(b)は自動装填装置100の構成を上から見た様子を示す図となっている。
図1に示すように、実施例1にかかる自動装填装置100は、シールシュリンクフィルム包装体供給装置110、挿入ガイド体120、配置装置130、スライダー装置140、押し出し装置141、挿入支援装置150を備えた構成例となっている。台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200、被装填物300も必要に応じて図示されている。
なお、図示の関係から、
図1(a)の側面図においてシールシュリンクフィルム包装体供給装置110と配置装置130の図示は省略している。また、
図1(b)の平面図ではシールシュリンクフィルム包装体供給装置110と配置装置130が図示されているが、極めて簡単なブロック図として表示している。
装置各部の大きさや比率や構造などは限定されない。なお、各部材、各装置はその一部を省略して描いており、長さや幅は一例であり限定されるものではない。特に、シールシュリンクフィルム包装体供給装置110は、本来であれば、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200を供給する装置として台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200の大きさより大きいものであるが、ここでは大きさについては実際の比率とはなっていない。
被装填物300は限定されないが、例えば、円筒状のスプレー缶でドーム状の蓋が取り付けられたものとする。もっとも、被装填物300の径(大きさ)は、シールシュリンクフィルム220の内径よりも少し小さいものとする必要がある。
【0026】
装置の各部の構成について説明する。
シールシュリンクフィルム包装体供給装置110は、実施例1では、あらかじめ製作された台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200を貯留するスタッカ装置111と、スタッカ装置111から台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200を順次所定の姿勢で供給するフィーダー装置112を備えた構成となっている。
【0027】
ここで、シールシュリンクフィルム包装体供給装置110が供給する台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200の構成例について説明しておく。
図2は、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200の構成例を示す図である。
図2に示すように、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200は、台紙210とシールシュリンクフィルム220と両者を接合する両面テープ230と、開口されている開口端240、シールされている封止端250、非貼付箇所260、スリット270を備えた構成となっている。
【0028】
台紙210は、特に限定されないが、紙台紙などで良い。印刷が施されていることも多い。
シールシュリンクフィルム220は、その一端が封止され、他端に開口が設けられたものである。シュリンクフィルムであるので、被装填物が装填された後、熱が印加され、収縮して被装填物を密着して包装する。
【0029】
両面テープ230は、基材とその両面に塗布された接着剤からなるものである。
ここで、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200において、台紙210とシールシュリンクフィルム220との接合は両面テープ230が好ましい。なぜならば、台紙付きシュリンクフィルムの場合、シールシュリンクフィルム220の素材と、印刷済み台紙210の双方の接着に適性を有する接着剤が一般にはなく、接着剤を用いるとしっかりと被装填物300の重量を安定して支持することができない。両面テープ230は基剤を挟んで両側に接着面があり、シールシュリンクフィルム220の素材に適性を有する接着剤と、印刷済みの紙台紙210に適性を有する接着剤を選択して表裏それぞれに使い分けて組み合わせることができるからである。
特に、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200を包装容器として用いる場合、被装填物300を装填した後、熱を掛けてシールシュリンクフィルム220をシュリンクさせて被装填物300に密着させるが、もし、接着剤を用いると接着剤が熱変性を受けて劣化し得る点も考慮すると、シールシュリンクフィルム220の素材と、印刷済み台紙210の双方の接着に適性を有するものが一般的にはない。その点、両面テープ230であればそれらの条件に適した両面テープ230を調達することは可能である。
【0030】
なお、シールシュリンクフィルム220は当初は立体的には膨らんでおらず、シールシュリンクフィルム220は台紙210に沿う形で畳まれており、開口を開かないと被装填物300が装填できない状態で供給されるものとする。
開口端240は、外径がR1となっており、被装填物の外径r1よりも少し大きなものとなっている。
【0031】
図2に示すように、シールシュリンクフィルム220の封止端250から所定長、両面テープ230に貼付されていない非貼付箇所260が設けられている。
図2(b)に示すように、この非貼付箇所260は、台紙210に貼付されていないため、台紙210から持ち上げることができる。
【0032】
この非貼付箇所260の底面の一部にスリット270が設けられている。この構成例では、スリット270は、非貼付箇所260と貼付箇所との境界近くに設けられている。そのため、
図2(c)に示すように、非貼付箇所260を持ち上げることにより、スリット270が露出する構造となっている。
図2(d)は非貼付箇所260を持ち上げてスリット270が露出する様子を分かりやすいように大きく示した図である。
スリット270の長さ(径)は限定されないが、後述するガイド挿入体120のヘッドよりも大きなものとし、スリット270を介してガイド挿入体120のヘッドがシールシュリンクフィルム220内に入り込める仕組みとする。つまり、端部が封止端250であってもスリット270を介してガイド挿入体120のヘッドがシールシュリンクフィルム220内に入れることができる。
また、この例では、スリット270は、シールシュリンクフィルム220の幅方向に設けられた例となっているが、限定されず、シールシュリンクフィルム220の長さ方向に設けることも可能である。
【0033】
次に、挿入ガイド体120を説明する。
挿入ガイド体120は、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200のシールシュリンクフィルム220内に入り込み、エアを供給することによりシールシュリンクフィルム220を膨出させる装置である。
挿入ガイド体120は、スライダー装置140の「装填動作」との連動において2つのタイプに分けることができる。
第1のタイプは、挿入ガイド体120のヘッド部121の先端に被装填物吸着部123を備えた構成である。これは、「装填準備動作」において、シールシュリンクフィルム220を膨出させ、さらにその先にある被装填物300まで挿入ガイド体のヘッド部の先端の被装填物吸着部を到達させて吸着しておき、「装填動作」において、挿入ガイド体120が被装填物300を牽引する部材としても兼用するタイプである。
第2のタイプは、挿入ガイド体120のヘッド部121の先端には被装填物吸着部123を備えない構成である。これは、「装填準備動作」において、シールシュリンクフィルム220を膨出させる役割を果たすが、「装填動作」において、挿入ガイド体120は、被装填物300がスライダー装置140の押し出し装置131の動きと連動して、シールシュリンクフィルム220から退出するものである。
なお、スライダー装置140はスリット270を通過する大きさに抑える必要があるので、第2のタイプで部品点数を減らす方が良い場合も想定される。
【0034】
まず、第1のタイプの挿入ガイド体120の構成例を説明する。
図3は、第1のタイプの挿入ガイド体120の構成例を示す図であり、ヘッド部121を中心に大きく示した図である。
図3に示すように、挿入ガイド体120の構成例としては、スリット270に挿入可能なサイズのヘッド部121と、ヘッド部121の内部から外表面に向けてエアを噴き出すエア噴き出し口122、被装填物吸着部123、空気圧ポンプ接続部124、負圧ポンプ接続部125を備えた構成例となっている。
【0035】
ヘッド部121は、筒状の外形を備えており、その外径R2はスリット270の長さ(径)より少し小さい外径を持つものとなっている。スリット270を介してヘッド部121を台紙付きシュリンクフィルム包装体200のシュリンクフィルム220内に先に挿入しておけば、シュリンクフィルム220を略円筒形に膨らませ、被装填物300が挿入されやすいようにできる。
【0036】
エア噴き出し口122は、ヘッド部121の内部から外表面に向けてエアを噴き出すエア噴き出し口であり、ヘッド部121の側面に少なくとも1つ設けられている。エア噴き出し口122には空気圧が適度に印加されて内部からエアが噴き出す仕組みである。なお、エア噴き出し口122は溝状のもの(エア噴き出し溝)でも良い。この構成例ではエア噴き出し口122として説明する。
この構成例では、エア噴き出し口122には、エア送風用の空気圧を与える空気圧ポンプ(図示せず)との接続口である空気圧ポンプ接続部124を介して空気が噴き出す仕組みとなっている。
【0037】
空気圧ポンプ接続部124は、所定の空気圧を印加して送風する空気圧ポンプ(図示せず)との接続口であり、エア噴き出し口122に対して空気を送風するものである。なお、空気圧ポンプ接続部124からエア噴き出し口122までの空気の供給路であるヘッド部121の内部構造は図示していないが、空気圧ポンプ接続部124からエア噴き出し口122まで到達する閉鎖空間があれば良い。
【0038】
図3(b)は、挿入ガイド体120のエア噴き出し口122から空気が供給される様子を示す図である。
図3(b)に示すように、ヘッド部121がスリット270を介してシュリンクフィルム220内に挿入されている状態にあれば、エア噴き出し口122から空気を噴き出すことによりシュリンクフィルム220が空気圧により膨らみピンと張った状態が奏される。
なお、シールシュリンクフィルム220の大きさ、被装填物300の大きさなどに応じてエア噴き出し口122から噴き出す空気量や空気射出速度を調整しても良い。
【0039】
次に、被装填物吸着部123について説明する。
この例の挿入ガイド体120は、先端に被装填物吸着部123を備えた構成となっている。
被装填物吸着部123は、ヘッド部121の先端に設けられた吸着機構であり、被装填物300に接触することで被装填物300を吸着することができるものである。被装填物吸着部123には負圧ポンプ接続部125によりエア吸引用の負圧が与えられており、また先端が吸盤状の部材を備えており、被装填物300をしっかりと吸引できる構造となっている。
この被装填物吸着部123が、スライダー装置140の「装填動作」における被装填物300のスライド移動において、被装填物300を装填方向に沿って牽引してスライドさせる。つまり、被装填物吸着部123で被装填物300を吸引したまま挿入ガイド体120のスライド移動で牽引することにより被装填物300を装填方向に沿ってスライドさせる。なお、挿入ガイド体120のヘッド部121はスリット270からシールシュリンクフィルム220の外部に抜け出てしまうため、被装填物300がスリット270あたりで移動を停止する。そこで、スライダー装置140は、別途、押し出し装置141を備えており、被装填物300がシールシュリンクフィルム220内の所定位置に来るまで、被装填物300を後方から押し出す。
【0040】
被装填物吸着部123の外径は、挿入ガイド体120のヘッド部121の外径よりも小さく、シュリンクフィルム220の内径よりも小さいことが好ましい。被装填物吸着部123の外径は、挿入ガイド体のヘッド部121の外径よりも小さくなれば、
図2に示すように、挿入ガイド体120が先端に向けて先細りした形状となる。このように挿入ガイド体120が先端に向けて先細りした形状であれば、先端部分である被装填物吸着部123がスリット270を通過してシールシュリンクフィルム220の内部に挿入しやすくなり、その後ヘッド121までスムーズに挿入しやすくなる。
【0041】
エア吸引用の負圧は負圧ポンプ接続部125を介して被装填物吸着部123に与えられている。負圧ポンプ接続部125は、所定の負圧である空気圧を印加してエアを吸引する空気圧ポンプ(図示せず)との接続口であり、被装填物吸着部123から空気を吸引するものである。なお、負圧ポンプ接続部125から被装填物吸着部123までの空気の吸引路であるヘッド部121の内部構造は図示していないが、負圧ポンプ接続部125から被装填物吸着部123まで到達する閉鎖空間があれば良い。
負圧ポンプ接続部125との連通部分の開け閉めの制御により被装填物吸着部123への負圧の印加、負圧の停止を制御することができ、その結果、被装填物吸着部123におけるエア吸引ON,OFFを切り替えることができる。
【0042】
次に、第2のタイプの挿入ガイド体120の構成例を説明する。
図4は、第2のタイプの挿入ガイド体120の構成例を示す図であり、ヘッド部121を中心に大きく示した図である。
図4に示すように、挿入ガイド体120の構成例としては、スリット270に挿入可能なサイズのヘッド部121と、ヘッド部121の内部から外表面に向けてエアを噴き出すエア噴き出し口122、空気圧ポンプ接続部124を備えた構成例となっており、
図3の第1のタイプの挿入ガイド体120の構成例に比べて、被装填物吸着部123と負圧ポンプ接続部125が省略されている。
ヘッド部121、エア噴き出し口122、空気圧ポンプ接続部124については、第1のタイプの挿入ガイド体120の構成例と同じ働きを行うので、ここでの説明は省略する。
【0043】
次に、配置装置130を説明する。
配置装置130は、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200に対して被装填物300を開口に対向して直列に並べ、前記挿入ガイド体120を前記一端の外側に直列に並べる装置である。つまり、被装填物300と台紙付きシュリンクフィルム包装体200を、被装填物300の台紙付きシュリンクフィルム包装体200への装填方向に沿って直列に並べて配置する装置である。
【0044】
配置装置130は、被装填物300と台紙付きシュリンクフィルム包装体200を直列に並ぶよう配置できれば良い。この例では
図1に示したように載置レーン131を備えている。配置装置130において被装填物300を載置する部分と台紙付きシュリンクフィルム包装体200を載置する部分は一体のものでも良く、別体のものでも良い。
例えば、被装填物300をベルトコンベアなどの搬送系(図示せず)により順々に搬送し、台紙付きシュリンクフィルム包装体200もストッカー(図示せず)から次々と繰り出してベルトコンベア(図示せず)などに載置して移動するものであり、両者が配置装置130の載置レーン131の所定位置に到達した場合に、
図1に示すように、被装填物300と台紙付きシュリンクフィルム包装体200がそれぞれ、被装填物300の台紙付きシュリンクフィルム包装体200への装填方向に沿って直列に並べて配置するものでも良い。
【0045】
ここで、配置装置130における被装填物300と台紙付きシュリンクフィルム包装体200の配置の間隔について説明する。配置装置130における被装填物300と台紙付きシュリンクフィルム包装体200の間隔は、挿入ガイド体120のヘッド部121の装填方向における長さよりも狭い間隔とする。本発明の台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置100は、後述するように、被装填物300をシュリンクフィルム220内に引き込んで挿入する前に挿入ガイド体120を先に一度シュリンクフィルム220に通しておいてシュリンクフィルム220を内側からピンと張った状態を作り出してから、そのピンと張った状態のシュリンクフィルム220内に被装填物300を引き込んで挿入する。そのため、挿入ガイド体120の先端が被装填物300に接触した状態において、少なくとも挿入ガイド体120のヘッド121の後端側のエア噴き出し口122がシュリンクフィルム220内にとどまったままで抜け出ないという条件を満たすことが好ましい。
この点は図面を参照しつつ後述する。
【0046】
次に、スライダー装置140を説明する。
スライダー装置140は、少なくとも以下の2つの動作を行う装置である。
第1の動作は「装填準備動作」である。スリット270を介して挿入ガイド体120をシールシュリンクフィルム220内に挿入してゆき、シールシュリンクフィルム220を膨らませつつ開口端240に対向している被装填物300までアクセスする動作である。相対的移動であれば良く、挿入ガイド体120と台紙付きシュリンクフィルム包装体200のいずれかまたは双方を相対的移動によりスライド移動させるが、ここでは、台紙付きシュリンクフィルム包装体200を固定し、挿入ガイド体120を台紙付きシュリンクフィルム包装体200に対して移動するタイプのものとして説明する。
第2の動作は「装填動作」である。挿入ガイド体120および被装填物300、または、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200のいずれかを他方に対して相対的移動させ、被装填物300がシールシュリンクフィルム220内の所定位置に来るまで牽引または押し込む動作である。相対的移動であれば良く、ここでは、台紙付きシュリンクフィルム包装体200を固定し、挿入ガイド体120と被装填物を一体的に台紙付きシュリンクフィルム包装体200に対して移動するタイプのものとして説明する。
【0047】
スライダー装置140の「装填準備動作」により、挿入ガイド体120を押し出し、挿入ガイド体120をその先端のヘッド部121から台紙付きシュリンクフィルム包装体200の封止端250のスリット270を介してシュリンクフィルム220内に挿入してゆき、さらにその先にある被装填部300に到達するまでスライド移動する。この動作は、台紙付きシュリンクフィルム包装体200側がスライドして挿入ガイド体120を封止端250のスリット270から受け入れても同じ結果が得られる。
この動作が後述する「装填準備動作」として実行される。
なお、この例では、「装填準備動作」中にエア噴き出し口122から空気が供給されており、シールシュリンクフィルム220が膨らんだ状態となる。
スライダー装置140の「装填準備動作」は、上記したように、挿入ガイド体120には2つのタイプがあるが、このタイプの違いに応じて、スライダー装置140の「装填準備動作」の細かい点が異なってくる。
【0048】
挿入ガイド体120が上記のタイプ1の構成の場合、スライダー装置140の「装填準備動作」において、挿入ガイド体120のヘッド部121が台紙付きシュリンクフィルム包装体200のスリット270を介してシュリンクフィルム220内に挿入され、シールシュリンクフィルム220を膨らませつつ進入してゆき、さらにその先にある被装填物300に到達するまでスライド移動する。ここで、スライダー装置140の動作自体は完了するが、最後の状態において、挿入ガイド体120が、負圧ポンプ接続部125により被装填物吸着部123に負圧が印加され、被装填物300に吸着する処理も併せて実行する。
【0049】
挿入ガイド体120が上記のタイプ2の構成の場合、スライダー装置140の「装填準備動作」において、挿入ガイド体120のヘッド部121が台紙付きシュリンクフィルム包装体200のスリット270を介してシュリンクフィルム220内に挿入され、シールシュリンクフィルム220を膨らませつつ進入するようスライド移動する。被装填物300に接する必要はない。ここで、スライダー装置140の動作自体は完了し、最後の状態において、挿入ガイド体120には、被装填物吸着部123や負圧ポンプ接続部125がなく、被装填物300を吸着する必要もない。
【0050】
次に、スライダー装置140の「装填動作」は、上記したように、挿入ガイド体120には2つのタイプがあるが、このタイプの違いに応じて、スライダー装置140の「装填動作」の細かい点が異なってくる。
【0051】
挿入ガイド体120が上記のタイプ1の構成の場合、挿入ガイド体120および被装填物300、または、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200のいずれかを他方に対して相対的移動させ、被装填物300がシールシュリンクフィルム220内の所定位置に来るまで相対的移動を行う。
ここで、挿入ガイド体120および被装填物300は被装填物吸着部123の吸着により一体化しており、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200を固定している場合は、挿入ガイド体120が被装填物300をシールシュリンクフィルム220内の所定位置に来るまで牽引する。
なお、その後、負圧ポンプ接続部125のオンオフの切り替えにより、被装填物吸着部123の吸着を停止し、被装填物300をシールシュリンクフィルム220内の所定位置に残したまま、ガイド挿入体120のみをスリット270を介して引き抜く。
その後、被装填物300の後方から押し出し装置141により引き続き被装填物300を押し込んでゆき、シールシュリンクフィルム220内の所定位置に整える。
【0052】
挿入ガイド体120が上記のタイプ2の構成の場合、スライダー装置140の「装填準備動作」の完了時点において、シールシュリンクフィルム220は膨らんでおり、被装填物300は台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200の開口240に対向しているが、スライダー装置140の「装填動作」として、被装填物300と台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200を相対的に移動させ、被装填物300をシールシュリンクフィルム220内の所定位置に来るまで移動させる。
ここで、「装填動作」の相対的移動として台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200に向けて移動させる方法は、挿入ガイド体120により被装填物300を牽引せず、スライダー装置140が押し出し装置141を備え、押し出し装置141により被装填物300を後方から台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200に向けて押し出す。つまり、スライダー装置140の「装填動作」として、押し出し装置141により、被装填物300をシールシュリンクフィルム220内の所定位置に来るまで押し出す。
台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200を被装填物300に対して相対的移動させる場合は、スライダー装置140の「装填動作」として、被装填物300がシールシュリンクフィルム220内の所定位置に来るまで台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200を移動させる。
【0053】
次に、挿入支援装置150を説明する。
挿入支援装置150は先端にエア吸着口を備え、エア吸着口にまで負圧を供給する負圧供給機構(図示せず)を備え、挿入支援装置150のエア吸着口におけるエア吸引力のON,OFFが制御できるものとなっている。
挿入支援装置150は、
図1に示すように、配置装置130のレーンの上方でちょうどシールシュリンクフィルム220の封止端250付近の非貼付箇所260の上方に位置している。挿入支援装置150は上下に昇降する昇降機構(図示せず)を備えており、スライダー装置140による「装填準備手段」に先立ち、シールシュリンクフィルム220の非貼付箇所260に向けて降下し、シールシュリンクフィルム220の非貼付箇所260に接触し、シールシュリンクフィルム220の非貼付箇所260を吸引しつつ上昇して、シールシュリンクフィルム220の非貼付箇所260付近にあるスリット270を露出させ、挿入ガイド体120に対向させて挿入ガイド体120がスリット270に挿入しやすくするよう支援する。
【0054】
後述するスライダー装置140による「装填準備手段」が始まると、挿入ガイド体120がシュリンクフィルム220のスリット270内に入ると挿入支援装置150は吸着口のエア吸引を停止させてシールシュリンクフィルム220の非貼付箇所260を解放する。
【0055】
次に、実施例1にかかる本発明の台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置100の動作の流れについて説明する。
挿入ガイド体120のタイプによって細かい流れが違うので、タイプ別に説明する。各図において、(a)が側面から示した図、(b)が上面から示した図となっている。各ストロークの番号において、添え字表示がないものは、挿入ガイド体120のタイプ1とタイプ2に共通したもの、添え字表示が“A”のものは、挿入ガイド体120のタイプ1の流れ、“B”のものは、挿入ガイド体120のタイプ2の流れを示している。
【0056】
[挿入ガイド体120のタイプ1の場合の流れ]
まず、挿入ガイド体120のタイプ1の流れを
図5~
図11を参照しつつ説明する。
<ストローク0>
図5は、台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置100の動作のストロークの初期状態を示す図である。台紙付きシュリンクフィルム包装体200、被装填物300が載置装置130の上で所定位置に配置されている。
図5(b)に示すように、配置装置130により、台紙付きシュリンクフィルム包装体200と被装填物300が装填方向に沿って直列に並べられている。また、台紙付きシュリンクフィルム包装体200の開口端240と被装填物300の間隔は挿入ガイド体120のヘッド部121の長さよりも狭い間隔となっている。
【0057】
<ストローク1>
まず、
図6に示すように、スライダー装置140の「装填準備動作」の開始に先立ち、挿入支援装置150が昇降機構により台紙付きシュリンクフィルム包装体200のシュリンクフィルム220の非貼付箇所260に向けて下降する。挿入支援装置150の先端の吸着口には負圧がかけられており、シュリンクフィルム220の非貼付箇所260に接触するとシュリンクフィルム220の非貼付箇所260がしっかりと吸着される。
【0058】
<ストローク2>
次に、
図7(a)に示すように、挿入支援装置150が昇降機構により挿入ガイド体120のヘッド部121の高さ(外径)付近にまで上昇する。挿入支援装置150は吸着口のエア吸引は継続しており、シュリンクフィルム220の上側の非貼付箇所260のみを引き上げ、台紙210および台紙210に接着されているシュリンクフィルム220の下側は下方に残る。そのため、シュリンクフィルム220のスリット270が露出した状態となる。
【0059】
<ストローク3-1>
次に、スライダー装置140による「装填準備動作」が開始する。
図8に示すように、スライダー装置140の「装填準備動作」において、挿入ガイド体120がシュリンクフィルム220に向けて移動するが、その間、挿入ガイド体120の空気圧ポンプ接続部124がオン制御となり、エア噴き出し口122からエアを噴き出しつつ移動する。なお、
図8(b)の平面から見た図において、スリット270の位置を示すため、スライダー装置140の図示を省略している。
図8(b)に示すように、挿入ガイド体120がスリット270に対向する位置まで来ている。
【0060】
<ストローク3-2>
次に、
図9に示すように、スライダー装置140による挿入ガイド体120の押し出しが進んでゆくとヘッド部121がシュリンクフィルム220のスリット270から内部に挿入され、エア噴き出し口122もシュリンクフィルム220の内部に位置するようになる。
図9に示すように、エア噴き出し口122もシールシュリンクフィルム220の内部に位置すると、シュリンクフィルム220の内側の気圧が高くなり、シールシュリンクフィルム220がピンと張った状態に膨らんだ形状に維持される。挿入ガイド体120のヘッド部121の周囲とシールシュリンクフィルム220との間はエアが流れ、シュリンクフィルム220がピンと張った状態に膨らみ、エアの流れにより、エアを挟んでヘッド部121とシュリンクフィルム220が接することなく、摩擦力も低減し、ヘッド部121がスムーズにシュリンクフィルム220内を進行してゆく。
【0061】
<ストローク3-3A>
次に、
図10に示すように、スライダー装置140による挿入ガイド体120の移動が進んでゆくとヘッド部121の先端がシュリンクフィルム220を通過し、先端の被装填物吸着部123が被装填物300に到達する。
なお、タイプ1では、被装填物吸着部123には負圧ポンプ接続部125を介して空圧ポンプから負圧がかけられており、エア吸引力が与えられているため、被装填物吸着部123が被装填物300をしっかりと吸引する。
タイプ1では、この段階で挿入ガイド体120の「装填準備動作」が完了する。
【0062】
<ストローク4-1A>
次に、スライダー装置140による「装填動作」が開始する。
被装填物吸着部123により吸着している挿入ガイド体120および被装填物300を一体的に、台紙付きシュリンクフィルム包装体200に対して相対的移動させ、被装填物300がシールシュリンクフィルム220内の所定位置に来るまで牽引する。つまり、この例では、装填動作の相対的移動が、台紙付きシュリンクフィルム包装体200側を固定して、挿入ガイド体120と被装填物300を装填方向に沿って移動させるものである。
図11に示すように、スライダー装置140が挿入ガイド体120の引き戻しを開始すれば、挿入ガイド体120の被装填物吸着部123による吸引が維持されているので、被装填物300が挿入ガイド体120に追従するように移動を開始する。
図11に示すように、被装填物300の先端がシュリンクフィルム220の開口端240に接近し、さらにスライダー装置140が挿入ガイド体120をスライドさせてゆくと、被装填物300がシュリンクフィルム220の開口端240から内部に引き込まれてゆく。
【0063】
ここで、シュリンクフィルム220の開口240付近に発生する、シュリンクフィルム220の膨らみ効果について説明する。
図12(a)→
図12(b)→
図13(a)→
図13(b)の流れは、シュリンクフィルム220の開口240付近に発生するシュリンクフィルム220の膨らみ効果を詳しく説明する図である。
【0064】
図12(a)は、まだ被装填物300の先端がシュリンクフィルム220の開口240に対して十分に接近しておらず、少し距離が残っている状態である。
図12(a)に示すように、挿入ガイド体120のヘッド部121のエア噴き出し口122からエアが噴き出ており、その周囲のシュリンクフィルム220はピンと張った状態であるが、シュリンクフィルム220の終端開口はちょうど先細りの形状部分が位置しており、ヘッド部121の側面付近の空気圧よりも急にギャップが広くなるため、終端開口の空気圧が下がる傾向にある。そのため、シュリンクフィルム220がミクロにはヨレたりする可能性がある。
【0065】
次に、
図12(b)に示すように、スライダー装置130により被装填物300の先端がシュリンクフィルム220の開口240に近接すると、シュリンクフィルム220内から溢れ出るエアの流出する面積が減り、その結果、シュリンクフィルム220の終端開口付近の空気圧が上昇し、シュリンクフィルム220の外周方向への圧力が上がり、シュリンクフィルム220が膨らんでピンと張った状態が確保される。この状態になれば、シュリンクフィルム220の終端開口の内径が被装填物300の外径よりもわずかに大きいものとなっている。
【0066】
次に、
図13(a)から
図13(b)に示すように、スライダー装置140により被装填物300が進行してゆく。被装填物300の先端がシュリンクフィルム220内に挿入されるとエアがシュリンクフィルム220と被装填物300の隙間を安定的に流れ、スムーズに被装填物の挿入ができる。
【0067】
<ストローク4-2A>
ストロークに戻って説明を続ける。
図14に示すように、スライダー装置140の「装填動作」における挿入ガイド体120のスライド移動において、挿入ガイド体120の先端がスリット270に到達する。
この
図14の状態に到達すると、負圧ポンプ接続部125を介した負圧の印加を停止し、挿入ガイド体120の被装填物吸着部123による吸引を停止し、被装填物300が解放され、挿入ガイド体120の移動に追従しなくなる。
引き続き
図15に示すように、挿入ガイド体120はスリット270から抜け出てシールシュリンクフィルム220から退出する。また、挿入支援装置150は非貼付箇所260の吸引を停止し、非貼付箇所260を開放する。
【0068】
<ストローク4-3A>
図15の状態では、まだ、被装填物300はスリット270付近にあり、被装填物300を封止端250に到達するように移動を継続する必要がある。被装填物300はすでにシールシュリンクフィルム220の中に入り込んでいるので、あとは被装填物300の後端から前方へ押し出していけば継続して装填できる状態である。
ここで、スライダー装置140は、
図16に示すように、押し出し装置141を稼働させて被装填物300の後端から前方へ押し出してゆく。
この段階でスライダー装置140の「装填動作」の実行が完了する。
【0069】
<ストローク5A>
次に、装填手段におけるスライダー装置140による「装填動作」が終了すれば、挿入ガイド体120が
図5に示すストローク0の初期状態に戻る。
なお、この後、被装填物300が所定位置に装填された台紙付きシュリンクフィルム包装体200が配置装置130から除去され、図示しない搬送系の稼働により、次の台紙付きシュリンクフィルム包装体200と被装填物300が配置装置110に供給され、
図5に示すストロークの初期状態に戻る。
次のストロークとして、ストローク1からストローク5の
図5から
図16の動きが繰り返される。
【0070】
[挿入ガイド体120のタイプ2の場合の流れ]
まず、挿入ガイド体120のタイプ2の流れを
図17~
図18を参照しつつ説明する。
<ストローク0>
台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置100の動作のストロークの初期状態は
図5と同様で良い。台紙付きシュリンクフィルム包装体200、被装填物300、押し出し装置141が載置装置130により装填方向に沿って直列に並べられている。なお、台紙付きシュリンクフィルム包装体200の開口端240と被装填物300の間隔と、挿入ガイド体120のヘッド部121の長さとの関係は特に限定されない点は異なっている。
【0071】
<ストローク1>~<ストローク3-2>
ストローク1、ストローク2、ストローク3―1、ストローク3-2は、挿入ガイド体120のタイプ1の場合の流れで説明したストローク1(
図6)、ストローク2(
図7)、ストローク3-1(
図7)、ストローク3-2(
図8、
図9)と同様であり、ここでの説明は省略する。
なお、挿入ガイド体120がタイプ1の場合は、
図10に示すように、スライダー装置140による挿入ガイド体120の移動が進んでゆき、ヘッド部121が被装填物300に接触する必要があるが、挿入ガイド体120がタイプ2の場合、ストローク3-2(
図9)の状態でシールシュリンクフィルム220内部においてエア噴き出し口122からエアを噴き出し、シールシュリンクフィルム220がピンと膨らんだ状態となれば、この段階で挿入ガイド体120の「装填準備動作」が完了する。つまり、ストローク3-3は不要である。
【0072】
<ストローク4-1B>
次に、スライダー装置140による「装填動作」が開始する。
スライダー装置140が被装填物300を台紙付きシュリンクフィルム包装体200に対して相対的移動させる。ここでは、スライダー装置140が押し出し装置141を稼働し、被装填物300がシールシュリンクフィルム220内の所定位置に来るまで押し出す。つまり、この例では、装填動作の相対的移動が、台紙付きシュリンクフィルム包装体200側を固定して、被装填物300を装填方向に沿って移動させる。
図17に示すように、押し出し装置141の押し出しにより被装填物300の先端がシュリンクフィルム220の開口端240に接近し、さらにスライダー装置140が挿入ガイド体120をスライドさせてゆくと、被装填物300がシュリンクフィルム220の開口端240から内部に引き込まれてゆく。
ここで、
図13から
図14で説明した「シュリンクフィルム220の膨らみ効果」が発揮される点は同じである。
なお、挿入ガイド体120は、ストローク3-2においてシールシュリンクフィルム220内に進入しているが、ストローク4-1Bでは、挿入ガイド体120がそのままシールシュリンクフィルム220内に静止していると被装填物300の装填を邪魔するので、挿入ガイド体120はストローク4-1Bにおいて、押し出し装置141による被装填物300の装填の動きに連動して挿入ガイド体120をシールシュリンクフィルム220から引き抜く方向に移動することが好ましい。
【0073】
<ストローク4-2B>
図18に示すように、スライダー装置140の「装填動作」における押し出し装置141の押し出し移動によって被装填物300がシュリンクフィルム220内において所定位置に到達する。例えば、シールシュリンクフィルム220の封止端250にまで被装填物300がきちんと押し込まれる。
この
図18の状態に到達すると、被装填物300がシールシュリンクフィルム220の当該所定位置に留置される。
この段階でスライダー装置140の「装填動作」の実行が完了する。
【0074】
<ストローク5B>
次に、装填手段におけるスライダー装置140による「装填動作」が終了すれば、挿入ガイド体120、押し出し装置141がそれぞれ
図5に示すストローク0の初期状態に戻る。
なお、この後、被装填物300が所定位置に装填された台紙付きシュリンクフィルム包装体200が配置装置130から除去され、図示しない搬送系の稼働により、次の台紙付きシュリンクフィルム包装体200と被装填物300が配置装置110に供給され、
図5に示すストロークの初期状態に戻る。
次のストロークとして、ストローク1からストローク5の動きが繰り返される。
【0075】
以上が、実施例1にかかる被装填物の自動装填装置100、被装填物の自動装填方法についての概略の説明である。
実施例2の被装填物の自動装填装置100として、シールシュリンクフィルム包装体供給装置が第2のタイプ、つまり、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200を自動製作して供給する構成例を示す。
実施例1のシールシュリンクフィルム包装体供給装置110は、既に製作済みの台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200をスタッカ111からフィーダー装置112を介して供給するものであったが、実施例2にかかるシールシュリンクフィルム包装体供給装置110-2は、被装填物の自動装填装置100の前段として、シールシュリンクフィルム包装体200を製造する機能を備えている。
次に、両面テープ貼付装置115を通過する際に、両面テープ230が貼付される。両面テープ230は、台紙210側の所定箇所に貼付されても良く、または、スリットが切開されたスリット付きシールシュリンクフィルム220側の所定箇所に貼付するものでも良い。なお、所定箇所に所定長の両面テープ230を順々に貼付する技術は、特願2021-537135号(PCT/JP2020/031112号)、特願2021-537136号(PCT/JP2021/006762号)において開示されており、ここでの詳しい説明は省略する。
次に、貼り合わせ装置116を通過する際に、台紙210とスリット付きシールシュリンクフィルム220とが貼り合わせられ、台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200が製造される。台紙210とスリット付きシールシュリンクフィルム220のいずれかに両面テープ230が貼付されているので、単に両者を重ね合わせて適度に押圧するだけで台紙付きシールシュリンクフィルム包装体200が製造される。
以上、本発明の被装填物を装填する自動装填装置およびその方法の好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。