(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031959
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】被装填物を装填する自動装填装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
B65B 43/36 20060101AFI20230302BHJP
B65B 5/04 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B65B43/36 A
B65B5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137764
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】599105333
【氏名又は名称】西川 吉秀
(71)【出願人】
【識別番号】521378277
【氏名又は名称】黒川 弘康
(71)【出願人】
【識別番号】512244886
【氏名又は名称】猿田 明
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】西川 吉秀
(72)【発明者】
【氏名】黒川 弘康
(72)【発明者】
【氏名】猿田 明
【テーマコード(参考)】
3E003
3E030
【Fターム(参考)】
3E003AA05
3E003AA10
3E003AB02
3E003BA06
3E003BC01
3E003BD05
3E003DA02
3E030AA04
3E030AA10
3E030CA02
3E030CA07
3E030EA02
3E030GA04
(57)【要約】
【課題】 台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して、折れや曲がりが生じることなく、移動距離を低減しつつ被包装物を自動装填する自動装填装置を提供する。
【解決手段】 入口開口111と出口開口112と壁面113と内部空間114を備えた空洞体110と、内部空間114に空気の流れを作るエア送風装置120と、包装用フィルム200を空洞体110の内部空間114へ供給された状態にする供給機構130と、被装填物300を包装用フィルム200の中へ装填する被装填物装填装置140を備える。
供給機構130により包装用フィルム200が空洞体110へ供給された状態とし、エア送風装置120により入口開口111から出口開口112へ空気の流れを発生させて包装用フィルム200を膨らませ、被装填物装填装置140により被装填物300を包装用フィルム200の開口201から装填する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に膨らんでいない状態の筒状の包装用フィルムを膨らませ、その内部に被装填物を装填する自動装填装置であって、
入口開口と、出口開口と、前記入口開口と前記出口開口の間を結ぶ壁面と、前記壁面に囲まれた内部空間を備えた空洞体と、
前記空洞体の前記入口開口から前記出口開口に向かうよう前記内部空間に空気の流れを作るエア制御装置と、
前記包装用フィルムの開口が前記空洞体の前記入口開口に対向するように、前記包装用フィルムを前記空洞体の前記内部空間へ供給された状態にする供給機構と、
前記被装填物を前記空洞体に供給された前記包装用フィルムの中へ装填する被装填物装填装置を備え、
前記供給機構により前記包装用フィルムが前記空洞体の前記内部空間へ供給された状態とし、前記エア制御装置により前記入口開口から前記出口開口へ空気の流れを発生させて前記包装用フィルムを膨らませ、前記被装填物装填装置により前記被装填物を前記包装用フィルムの開口から装填することを特徴とする自動装填装置。
【請求項2】
前記エア制御装置は、前記空洞体の前記入口開口に向けて空気を送風する送風装置、または前記空洞体の前記出口開口に前記空洞体の前記内部空間内の空気を吸引して排出するエア排出装置のいずれか、またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の自動装填装置。
【請求項3】
先端にフィルム吸引部を備えたフィルム吸引装置を備え、
前記フィルム吸引装置を、前記空洞体の内部に供給された前記包装用フィルムの開口付近の上面側のフィルム面にアクセスできる位置に配設し、
前記包装用フィルムを膨らませる前後において、前記フィルム吸引装置により前記包装用フィルムの開口付近の上面側の前記フィルム面を持ち上げて前記包装用フィルムの膨出を支援することを特徴とする請求項1または2に記載の自動装填装置。
【請求項4】
前記フィルム吸引装置が、先端の前記フィルム吸引部の上下動を操作する操作アームを備え、
前記フィルム吸引装置が前記空洞体の外部に位置し、
前記空洞体の前記壁面において、前記フィルム吸引装置の前記フィルム吸引部および前記操作アームが貫通できる大きさの貫通孔を備え、
前記フィルム吸引部が前記貫通孔を介して前記包装用フィルムの開口付近の上面側の前記フィルム面にアクセスする構成であることを特徴とする請求項3に記載の自動装填装置。
【請求項5】
前記包装用フィルムがシュリンクフィルムであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動装填装置。
【請求項6】
前記包装用フィルムが、被装填物の外径より大きな内径のシュリンクフィルムが設けられた台紙付きシュリンクフィルム包装体であり、
前記供給機構が、前記台紙付きシュリンクフィルムを所定位置に搬送する包装用フィルム搬送部と、前記台紙付きシュリンクフィルムに対して前記空洞体を所定姿勢で被せるように移動する空洞体移動部を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の自動装填装置。
【請求項7】
前記台紙付きシュリンクフィルム包装体の台紙の幅が、前記空洞体の幅より大きく、前記台紙付きシュリンクフィルムに対して前記空洞体を所定姿勢で被せることにより、前記空洞体の底面エッジにより前記台紙付きシュリンクフィルム包装体の前記台紙を押圧して一時的に固定することを特徴とする請求項6に記載の自動装填装置。
【請求項8】
前記被装填物を載置して支持するトレイ体を備え、
前記被装填物装填装置により前記被装填物が装填される際には、前記被装填物が前記トレイ体に載置された状態であり、前記包装用フィルムの開口から装填されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の自動装填装置。
【請求項9】
前記包装用フィルムに装填された前記被装填物と前記トレイ体のうち、前記トレイ体のみを抜去するトレイ体抜去装置を備え、
前記包装用フィルムに前記被装填物とともに装填された前記トレイ体のみを抜去して、前記包装用フィルムに前記被装填物のみが装填された状態とする請求項8に記載の自動装填装置。
【請求項10】
筒状に膨らんでいない状態の筒状の包装用フィルムを膨らませ、その内部に被装填物を装填する自動装填方法であって、
入口開口と、出口開口と、前記入口開口と前記出口開口の間を結ぶ壁面と、前記壁面に囲まれた内部空間を備えた空洞体を用い、
前記包装用フィルムの開口が前記空洞体の前記入口開口に対向するように、前記包装用フィルムを前記空洞体の前記内部空間に供給された状態とし、
前記空洞体の前記入口開口から前記出口開口に向かうよう前記内部空間に空気の流れを作り、
前記包装用フィルムを膨らませ、前記被装填物装填装置により前記被装填物を前記包装用フィルムの開口から装填する、包装用フィルムの内部に被装填物を装填することを特徴とする自動装填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の包装用フィルムに被装填物を装填する自動装填装置およびその方法に関する。特に、筒状に膨らんでいない状態の筒状の包装用フィルムを膨らませ、その内部に被装填物を装填する自動装填装置およびその方法に関するものである。
例えば、本発明は、販売商品を吊下状態で店頭陳列する台紙付きのシュリンク包装体に対して販売商品を自動的に装填する台紙付きシュリンクフィルム包装体の自動装填装置、および、台紙付きのシュリンク包装体に対して販売商品を自動的に装填する台紙付きシュリンクフィルム包装体への被包装物の装填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品は個装されて店舗の什器に陳列されるが、同じ用途、同じ機能を提供する多種多様な商品が販売されており、それらが近隣に並べられる。製造販売を行う各メーカーや商社にとって、少しでも顧客の目に止まりやすいようパッケージに工夫を施している。その工夫の一つに吊り下げ展示方法がある。吊り下げ展示法は台紙付きシュリンクフィルム包装体を用いた展示方法であり、化粧品類や文房具類等の各種の家庭用の小物の製品を見せながら収容して店頭等に陳列できるようにする包装形態として普及しつつある。
台紙付きシュリンクフィルム包装体は、フックに吊り下げられる孔を有する厚紙などの台紙と、台紙の表面に配置されて容器を包装する一方向へ長い筒状のシュリンクフィルムとから形成されている。陳列棚において前面にあるフックに吊下されるので、商品が正対した状態で台紙から飛び出るように支持されているのでアイキャッチに優れた陳列方法を採ることができる。
【0003】
ここで問題となるのは、台紙付きシュリンクフィルム包装体への被包装物の装填方法である。
従来技術における第3の台紙付きシュリンクフィルム包装体への被包装物の装填方法として、特開2012-188127号公報(特許文献1)に開示された技術が知られている。
図17は、特開2012-188127号公報(特許文献1)に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への被包装物の装填方法である。
図17(a)のように、カード(台紙1)に粘着剤(接着剤3)を塗布して、熱収縮性チューブ(筒状のシュリンクフィルム2)を接着させ、台紙付きシュリンクフィルム包装体を製造する。この台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して、
図17(b)に示すように、被包装物7を収納し、その後、熱収縮性チューブ(筒状のシュリンクフィルム2)を熱収縮させて、
図17(c)に示すように、被包装物7を筒状のシュリンクフィルムによりカード(台紙1)に支持するものである。
図17(c)に示すように、筒状のシュリンクフィルムの筒をつぶすように折り、折られた筒状のシュリンクフィルムの表側の幅方向中央部に上端開口部から下端開口部の方向に向いた折癖を設けられている。折癖を設けることで、筒状のシュリンクフィルムに被包装物を挿入するときに、シュリンクフィルムの下端開口部の開口が容易で、簡単に被包装物を挿入することができるものとなっている。
【0004】
次に、従来技術における第2の台紙付きシュリンクフィルム包装体への被包装物の装填方法として、特開2015-101406号公報(特許文献2)に開示された技術が知られている。
図18は、特開2015-101406号公報(特許文献2)に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体を示す図である。
特許文献2に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体は、台紙3の表面に接着部を介して接着されたフィルム4により製品22を固定したものである。台紙3には上下方向に延びる曲げ誘導部6が設けられており、台紙3が曲げ誘導部6の位置にて表面側又は裏面側に曲げられているものである。その製造方法は、上下方向に延びる曲げ誘導部6が設けられた台紙3の表面に接着部5を介して筒状のシュリンクフィルム4を接着し、その後、筒状のシュリンクフィルムの内部に製品22を挿入し、その後、筒状のシュリンクフィルム4を加熱収縮させることにより、曲げ誘導部6の位置にて台紙3を表面側に曲げて、収縮された筒状シュリンクフィルム4と台紙3と製品22とを一体に固定する方法にて包装する。
【0005】
次に、従来技術における第3の台紙付きシュリンクフィルム包装体への被包装物の装填方法として、特許第6841936号公報(特許文献3)に開示された技術が知られている。
図19は、特許第6841936号公報(特許文献3)に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置を示す図である。
特許文献3に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置は、現在の公知例としては最も優れたものであり、今後もその普及は期待されるところである。
特許文献3に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置は、台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して被装填物を装填方向に沿って直列に並ぶよう配置する載置装置と、シュリンクフィルムの内径よりも小さな外径のヘッド部と、ヘッド部の内部から外表面に向けてエアを噴き出すエア噴き出し口またはエア噴き出し溝を少なくとも1つ備えた挿入ガイド体と、台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して挿入ガイド体を前記装填方向の逆側に直列に並べ、挿入ガイド体を台紙付きシュリンクフィルム包装体に対してスライド運動させるスライダー装置と、挿入ガイド体が前記ヘッド部の内部から側面の外表面に前記エアを噴き出しつつ、前記挿入ガイド体を前記シュリンクフィルム内に挿入してゆき、前記シュリンクフィルムを膨らませつつ被装填物に対向させる装填準備手段と、挿入ガイド体がエアを噴き出しつつ、挿入ガイド体および被装填物を台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して移動させ、被装填物がシュリンクフィルム内の所定位置に来るまで牽引または押し込む装填手段を備えたものである。
特許文献3に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置には、被装填物の種類や大きさに特に限定がなく、被装填物を確実かつスピーディーに装填することができ、優れた技術である。
【0006】
【特許文献1】特開2012-188127号公報
【特許文献2】特開2015-101406号公報
【特許文献3】特許第6841936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように、台紙付きシュリンクフィルム包装体を用いた吊り下げ展示方法は、優れた商品の展示方法であり、包装形態として普及しつつある。
しかし、従来技術の特許文献1および特許文献2の技術において、台紙付きシュリンクフィルム包装体への被包装物の装填方法では解決すべき以下の課題があった。
第1の課題は、台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して、被包装物を装填することが物理的に困難であり、装填作業を自動化した自動装填機による機械装填の品質が不十分であることである。シュリンクフィルムにはたわみや歪みがあるため、被包装物の外径に対して、多少大きめのマージンを持たせた内径を備えたシュリンクフィルムを使用せざるを得なかった。
また、熱収縮前のシュリンクフィルムは柔らかく変形容易な薄手のフィルムであるので、例えば、略円柱体の被包装物であれば、シュリンクフィルムを略円筒形に維持しておいて被包装物を装填しなければならない。シュリンクフィルムの一部の縁に引っかかったり衝突したりするだけでシュリンクフィルムが折れ曲がったり破れたりするおそれがあり、装填状態が不良品となってしまう。
第2の課題は、熱収縮後のシュリンクフィルムの状態が綺麗でなく、シワやヨレが生じてしまうおそれがあり得ることである。
上記したように、従来技術では、被包装物の外径に対して、多少大きめのマージンを持たせた内径を備えたシュリンクフィルムを使用せざるを得なかったため、シュリンクフィルムに熱を印可した場合の収縮率が大きくなってしまい、どうしても余ったフィルム材が筋状に固まり、シワやヨレとして被包装物の表面を包むフィルムに残ってしまう。このシワやヨレが大きくなると、台紙付きシュリンクフィルム包装体を用いた吊り下げ展示において見栄えを阻害してしまう場合もあり得る。
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、被包装物の外径に対してわずかなマージンのみの内径を備えたシュリンクフィルムが取り付けられた台紙付きシュリンクフィルム包装体に対して、折れや曲がりが生じることなく正確に、当該被包装物を自動装填できる台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置を提供することを目的とする。
【0009】
一方、従来技術の特許文献3の技術では上記した第1の課題や第2の課題が解決されており、そのような問題はない。
ここで、発明者西川吉秀および黒川弘康は、特許文献3について、「載置装置」「挿入ガイド体」「スライダー装置」「装填準備手段」「装填手段」など構成部材が多い点と、「スライダー装置」を利用した「装填準備手段」「装填手段」における被装填物の前後移動の距離があるために装置が大きくなる可能性がある点などに改善の余地があり得ると考えた。
上記課題に鑑み、本発明は、構成部材の点数を減らし、被装填物の移動距離が少なく、よりコンパクトな被包装物の自動装填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。なお、以下に記載の構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0011】
本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置は、筒状に膨らんでいない状態の筒状の包装用フィルムを膨らませ、その内部に被装填物を装填する自動装填装置であって、入口開口と、出口開口と、前記入口開口と前記出口開口の間を結ぶ壁面と、前記壁面に囲まれた内部空間を備えた空洞体と、前記空洞体の前記入口開口から前記出口開口に向かうよう前記内部空間に空気の流れを作るエア制御装置と、前記包装用フィルムの開口が前記空洞体の前記入口開口に対向するように、前記包装用フィルムを前記空洞体の前記内部空間へ供給された状態にする供給機構と、前記被装填物を前記空洞体に供給された前記包装用フィルムの中へ装填する被装填物装填装置を備えた構成である。
上記構成において、前記供給機構により前記包装用フィルムが前記空洞体の前記内部空間へ供給された状態とし、前記エア制御装置により前記入口開口から前記出口開口へ空気の流れを発生させて前記包装用フィルムを膨らませ、前記被装填物装填装置により前記被装填物を前記包装用フィルムの開口から装填する。
上記構成により、エア制御装置により、空洞体の入口開口から出口開口に向かうよう内部空間に空気の流れが生じ、空洞体の内部空間内に負圧が発生し、負圧により筒状に膨らんでいない状態の包装用フィルムが空洞体の内壁面に向けて膨らみ、その開口が大きく開口し、被装填物を装填しやすくなる。
また、包装用フィルムが空洞体の中で膨らんだ状態になった後も、エア制御装置による空洞内の空気の流れを継続していれば、安定して膨らんだ状態を維持できる。エア制御装置で空洞内に生じた風によりエアが包装用フィルムの内部に吹き込んで内部の圧力が大きくなり、安定して膨らんだ状態を維持できる。
【0012】
なお、前記エア制御装置は、前記空洞体の前記入口開口に向けて空気を送風する送風装置、または前記空洞体の前記出口開口に前記空洞体の前記内部空間内の空気を吸引して排出するエア排出装置のいずれか、またはそれらの組み合わせがあり得る。
上記構成により、エア制御装置による内部空間への空気の流れ、エア排出装置による内部空間に空気の掃引により、空洞体の内部空間内の空圧の変化が大きくなり、その変化により筒状に膨らんでいない状態の包装用フィルムが空洞体の内壁面に向けて膨らみ、開口が大きく開口する。
また、空洞体の出口にエア排出装置を設けて内部の空気を掃引することにより、空洞内の気流の流れが維持され、エアの包装用フィルムの内部への気流が確保され、包装用フィルムは安定して膨らんだ状態を維持できる。
【0013】
さらに上記構成において、先端にフィルム吸引部を備えたフィルム吸引装置を備え、前記フィルム吸引装置を、前記空洞体の内部に供給された前記包装用フィルムの開口付近の上面側のフィルム面にアクセスできる位置に配設し、前記包装用フィルムを膨らませる前後において、前記フィルム吸引装置により前記包装用フィルムの開口付近の上面側の前記フィルム面を持ち上げて前記包装用フィルムの膨出を支援する構成であることが好ましい。
上記構成により、包装用フィルムの状態が上面側のフィルムと下面側のフィルムが密接に重なっている場合に、内部に空気が入って膨らむきっかけがうまく掴めずに空洞体の内部空間に生じている負圧があっても包装用フィルムが膨らまない場合に、フィルム吸引装置の先端のフィルム吸引部により開口付近の上面側のフィルムを少し持ち上げることで膨らむきっかけが得られ、包装用フィルムの内部に空気が入って膨らむことができる。
【0014】
なお、上記フィルム吸引装置を備えた構成において、フィルム吸引装置が、先端の前記フィルム吸引部の上下動を操作する操作アームを備え、前記フィルム吸引装置が前記空洞体の外部に位置し、前記空洞体の前記壁面において、前記フィルム吸引装置の前記フィルム吸引部および前記操作アームが貫通できる大きさの貫通孔を備え、前記フィルム吸引部が前記貫通孔を介して前記包装用フィルムの開口付近の上面側のフィルム面にアクセスする構成であることが好ましい。
上記構成により、空洞体の内部の内壁面にはフィルム吸引装置の構造物を配置する必要がなくなり、空洞体の内部の内壁面を滑らかなアーチ状として、膨らむ包装用フィルムのフィルム面に沿いやすいようにすることができる。また、装置全体の大きさもコンパクトに抑えることができる。
ここで、例えば、先端のフィルム吸引部はいわゆるゴムやシリコーンの吸盤のようなものでも良く、また、操作アームの内部に先端のフィルム吸引部にまで通じたチューブが配置され、当該チューブに負圧を掛けて先端のフィルム吸引部に負圧が伝達され、上面側のフィルム面を吸着する仕組みでも良い。
【0015】
ここで、包装用フィルムがシュリンクフィルムであることが好ましい。
さらに、包装用フィルムが、被装填物の外径より大きな内径のシュリンクフィルムが設けられた台紙付きシュリンクフィルム包装体であることが好ましい。
また、供給機構が、台紙付きシュリンクフィルムを所定位置に搬送する包装用フィルム搬送部と、台紙付きシュリンクフィルムに対して空洞体を所定姿勢で被せるように移動する空洞体移動部を備えた構成とすることができる。
ここで、前記台紙付きシュリンクフィルム包装体の台紙の幅が、前記空洞体の幅より大きく、前記台紙付きシュリンクフィルムに対して前記空洞体を所定姿勢で被せることにより、前記空洞体の底面エッジにより前記台紙付きシュリンクフィルム包装体の前記台紙を押圧して一時的に固定できることが好ましい。
上記構成により、空洞体を所定姿勢で被せることにより、台紙付きシュリンクフィルム包装体を空洞体の内部空間に収めるとともに、同時に空洞体の底面エッジにより台紙付きシュリンクフィルム包装体の台紙を押圧して一時的に固定することができ、空洞体の内部空間に負圧を発生させてシュリンクフィルム包装体を膨出させる間、台紙付きシュリンクフィルム包装体を安定した状態に保つことができる。
【0016】
さらに上記構成において、前記被装填物を載置して支持するトレイ体を備えた構成も好ましい。トレイ体を用いることにより、被装填物装填装置によって被装填物が装填される際には、被装填物がトレイ体に載置された状態とし、トレイ体ごと包装用フィルムの開口から装填することができる。
なお、トレイ体としては、包装用フィルムの開口から装填しやすいように、装填される先端の形状が、細く角のない膨出形となっていることが好ましい。トレイ体の先端が先に包装用フィルムの開口に入ってゆくことにより、包装用フィルムの開口をくぐりやすくなる。
ここで、トレイ体を用いた場合の工夫として、トレイ体ごと封入するかトレイ体は装填時の補助物であって装填後に抜去するかは運用による。ここで、装填後に抜去する場合は、前記包装用フィルムに装填された前記被装填物と前記トレイ体のうち、前記トレイ体のみを抜去するトレイ体抜去装置を備えた構成が好ましい。
トレイ体抜去装置を用いて、包装用フィルムに被装填物とともに装填されたトレイ体のみを抜去して、包装用フィルムに被装填物のみが装填された状態とすることができる。トレイ体抜去装置としては、先端に挟持機構を持ち、挟持機構でトレイ体の後端を挟持して掴んでトレイ体を抜去すれば良い。
【0017】
本発明にかかる被装填物を装填する自動装填方法は、筒状に膨らんでいない状態の筒状の包装用フィルムを膨らませ、その内部に被装填物を装填する自動装填方法であって、入口開口と、出口開口と、前記入口開口と前記出口開口の間を結ぶ壁面と、前記壁面に囲まれた内部空間を備えた空洞体を用い、前記包装用フィルムの開口が前記空洞体の前記入口開口に対向するように、前記包装用フィルムを前記空洞体の前記内部空間に供給された状態とし、前記空洞体の前記入口開口から前記出口開口に向かうよう前記内部空間に空気の流れを作り、前記包装用フィルムを膨らませ、前記被装填物装填装置により前記被装填物を前記包装用フィルムの開口から装填する、包装用フィルムの内部に被装填物を装填することを特徴とする自動装填方法である。
上記構成により、エア制御装置により、空洞体の入口開口から出口開口に向かうよう内部空間に空気の流れが生じ、空洞体の内部空間内に負圧が発生し、負圧により筒状に膨らんでいない状態の包装用フィルムが空洞体の内壁面に向けて膨らみ、その開口が大きく開口し、被装填物を装填しやすくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置及びその方法によれば、構成部材の点数が減り、被装填物の移動距離が少なく、よりコンパクトな装置構成となる。
空洞体という内部空間のある構造部材で包装用フィルムを被覆し、内部空間内に負圧を発生させて負圧により包装用フィルムを膨らませて開口を大きく開口するものであり、被装填物を装填しやすくなる。
また、包装用フィルムが空洞体の中で膨らんだ状態になった後も、エア制御装置によるエア送風を続けていれば、エア制御装置で送風されたエアが包装用フィルムの内部に吹き込んで内部の圧力が大きくなり、安定して膨らんだ状態を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例1にかかる本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置100の構成を簡単に示した図である。
【
図2】実施例1にかかる本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置100の構成のうち空洞体110を取り出して示した図である。
【
図3】エア送風装置120による送風とエア排出装置150による排気により、空洞体110の内部への作用を簡単に示す図である。
【
図5】ストロークの初期段階、つまり、ストローク0の状態を示す図である。
【
図14】トレイ体170と、装填方向において端部が大きい被装填物300の例を簡単に示した図である。
【
図15】実施例2における実施例1のストローク6相当の様子を示す図である。
【
図16】トレイ体抜去装置180によりトレイ体170を抜去した後の状態を示す図である。
【
図17】従来技術における特開2012-188127号公報(特許文献1)に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への被包装物の装填方法を示す図である。
【
図18】従来技術における特開2015-101406号公報(特許文献2)に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体を示す図である。
【
図19】従来技術における特許第6841936号公報(特許文献3)に開示された台紙付きシュリンクフィルム包装体への自動装填装置を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示したものに限定されるものではないことは言うまでもない。
【実施例0021】
本発明の実施例1にかかる被装填物を装填する自動装填装置について説明する。
ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示したものに限定されるものではないことは言うまでもない。
なお、以下の説明において、包装用フィルムは両端に開口が設けられた筒状のものであり、一端の開口から他端の開口へ向かう方向を『長さ方向』とし、長さ方向に直交する方向を『幅方向』とする。また、空洞体についても断面がアーチ状で両端に開口があり、一端の一口開口から他端の出口開口に向かう方向を『長さ方向』とし、長さ方向に直交する方向を『幅方向』とする。
【0022】
包装用フィルムとして台紙付きシュリンクフィルムを用いる場合、台紙に対して筒状のシュリンクフィルムを貼付するために使用される部材は、両面テープが想定される。なぜならば、台紙付きシュリンクフィルムの場合、シュリンクフィルムの素材と、印刷済み台紙の双方の接着に適性を有する接着剤がなく、接着剤を用いるとしっかりと被装填物の重量を安定して支持することができない。両面テープは基剤を挟んで両側に接着面があり、シュリンクフィルムの素材に適性を有する接着剤と、印刷済みの紙台紙に適性を有する接着剤を選択して表裏それぞれに使い分けて組み合わせることができるからである。
特に、台紙付きシュリンクフィルムを用いる場合、被装填物を装填した後、熱を掛けてシュリンクフィルムをシュリンクさせて被装填物に密着させるが、もし、両面テープではなく接着剤を用いると接着剤が熱変性を受けて劣化し得る点も考慮すると、シュリンクフィルムの素材と、印刷済み台紙の双方の接着に適性を有する接着剤がない。その点、両面テープであればそれらの条件に適した両面テープを製作・調達することは可能である。
なお、以下の例では、包装用フィルムとして、台紙付きシュリンクフィルムを例に取り上げるが、必ずしも台紙付きシュリンクフィルムであるとは限定されない。本発明の適用対象は広く、包装用フィルムに被装填物を装填する自動機として広く適用できる。下記の実施例は、一例として台紙付きシュリンクフィルムを用いた場合を説明している。
なお、用いる台紙付きシュリンクフィルムは、出来合いのものを資材として調達した場合も、本発明の被装填物の自動装填装置の前段階に台紙付きシュリンクフィルム製造装置を設置してその結果物として台紙付きシュリンクフィルムが送られてくる場合も、シュリンクフィルムが立体的には膨らんでおらず、シュリンクフィルムは台紙に沿う形で畳まれており、開口を開かないと被装填物が装填できない状態で供給されるものとする。
【0023】
図1および
図2は、本発明にかかる被装填物を装填する自動装填装置100の構成を簡単に示した図となっている。
図1(a)は自動装填装置100の構成を側面から見た様子を示す図、
図1(b)は自動装填装置100の構成を上から見た様子を示す図となっている。
図2は、空洞体110の構造が分かりやすいように空洞体110を中心として、それらの構成を斜めから見た様子を示す図となっている。
図1および
図2に示すように、実施例1にかかる貼付装置100は、空洞体110、エア送風装置120、供給機構130、被装填物装填装置140、エア排出装置150、フィルム吸引装置160、包装用フィルム搬送部170、空洞体移動部180を備えた構成例となっている。
エア制御装置としては、エア送風装置120のみの構成、エア排出装置150のみの構成もあり得るが、この例では、エア制御装置として、エア送風装置120とエア排出装置150の組み合わせとして搭載されている例となっている。
以下、エア制御装置として、エア送風装置120とエア排出装置150の組み合わせの構成で説明するが、エア送風装置120のみの構成、エア排出装置150のみの構成でも原理的には同じであり、ここでの説明はエア送風装置120とエア排出装置150の組み合わせの構成として説明する。
包装用フィルム200は、台紙210とフィルム220を備えたものとする。
フィルム220としては、一端に開口があり他端が封止された袋状のフィルムがある。封止端は膨らんだ際に角が出ないように曲面状(R状)となっているいわゆるRシールフィルムと呼ばれるものがある。
また、シュリンクフィルム220としては、両端ともに開口があるいわゆる筒状のフィルムがある。
この実施例1では、用いられる包装用フィルム200は、フィルム220がシュリンクフィルムである台紙付きシュリンクフィルム包装体200とし、台紙210とシュリンクフィルム220を備えたものとする。シュリンクフィルム220には、Rシールフィルム220aの場合もあり得るし、筒状フィルム200bの場合もあり得る。図中単に220と付番されているものは、Rシールフィルム220aの場合もあり得るし、筒状フィルム220bの場合もあり得る。
また、被装填物300は限定されないが、円筒状のスプレー缶でドーム状の蓋が取り付けられたものとする。もっとも、被装填物300の径(大きさ)は、シュリンクフィルム220の内径よりも少し小さく、また、空洞体110の内部空間114内に収まる大きさのものとする必要がある。
なお、装置各部の大きさや構造は限定されない。なお、各部材、各装置はその一部を省略して描いており、長さや幅は一例であり限定されるものではない。
【0024】
装置の各部の構成について説明する。
空洞体110は、
図1、
図2に示すように、入口開口111と、出口開口112と、入口開口111と出口開口112の間を結ぶ壁面113と、壁面113に囲まれた内部空間114を備えた構造物である。
図1(a)では長さ方向で断面をとった縦断面で示されている。また、
図1(b)では内部に収めた台紙付きシュリンクフィルム200が破線で描かれている。後述する供給機構130の空洞体移動部132によって、台紙付きシュリンクフィルム200に対して被せることにより、台紙付きシュリンクフィルム200を内部空間114に収める一種の被覆部材である。また、後述するように、エア送風装置120やフィルム吸引装置160により発生させた負圧により圧力を変化させる内部空間114を提供するものであり、筒状体を寝かせてその上半分のような形状であり、ドーム状の円形のものではないが台紙付きシュリンクフィルム200を一時的に被覆して閉じ込めて内部空間114の圧力を操作できるものとなっている。
その形状は限定されないが、この例では、
図1に示すように、入口開口111は大きく開口しており、出口開口112は先細りの形状をしており、入口開口111の径から絞られたものとなっている。壁面113は連続したアーチ状で滑らかである。
【0025】
入口開口111の径(空洞体110の底面の幅)は限定されないが、この構成例では、台紙付きシュリンクフィルム200の台紙210の幅よりも小さく、シュリンクフィルム220の幅よりも少し大きな範囲が好ましい。その範囲であれば、シュリンクフィルム220は全部を空洞体110の内部空間114内に収まり、かつ、後述するように、空洞体110の内部空間の負圧によりシュリンクフィルム220が膨らんだ場合に、シュリンクフィルム220の上面側のフィルムが壁面130に沿うように膨らむ。また、空洞体110の底面の幅が台紙210よりも小さなものであれば、空洞体110を底面方向から台紙付きシュリンクフィルム200に被せれば、空洞体110の底面のエッジが台紙210の上に載ることとなり、台紙210を押さえることができる。
【0026】
図1,
図2に示すように、空洞体110は、入口開口111と、出口開口112の前後2箇所の開口と、底面方向には底面を塞ぐ壁面がなく大きく開口している。しかし、空洞体110を底面方向から台紙付きシュリンクフィルム200に被せれば、底面が台紙付きシュリンクフィルム200の台紙210により封止されることとなり、空洞体110の内部空間への空気の出入りは基本的に入口開口111と出口開口112に限られる。
なお、壁面113の一部には、後述するフィルム吸引装置160のフィルム吸引部161および操作アーム162が貫通できる大きさの貫通孔115が設けられている。この例では、入口開口111付近のアーチの頂点部分に貫通孔115が設けられている。貫通孔115の大きさは特に限定されないが、過度に大きいと内部空間114の圧力調整を乱す可能性もあるので、適度な大きさ、例えば、フィルム吸引部161と操作アーム162が通過できる程度の径であることが好ましい。
【0027】
エア送風装置120は、エア制御装置の1つであり、空洞体110の入口開口111から出口開口112に向かうよう内部空間114に空気の流れを作る装置である。簡単には、空洞体110の入口開口111に向かって送風口が対向しているブロワーのような装置で良い。できるだけ空洞体110の入口開口111に向けて平行な空気流を送風できるものが好ましい。
図1では簡単に矩形のシンボルで描いており、実際の装置外形の図示は省略している。
この例では、エア制御装置は、エア送風装置120とエア排出装置150の組み合わせの構成となっている。
【0028】
供給機構130は、台紙付きシュリンクフィルム包装体200の開口201が空洞体110の入口開口111に対向するように、台紙付きシュリンクフィルム包装体200を空洞体110の内部空間114へ供給された状態にする装置である。つまり、供給機構130は、台紙付きシュリンクフィルム包装体200と空洞体110との相対的位置関係を制御する機構であり、どちらか一方、または両方を移動させるもので良い。
この構成例では、供給機構130としては、台紙付きシュリンクフィルム200を所定位置に搬送する搬送部131と、台紙付きシュリンクフィルム200に対して空洞体110を所定姿勢で被せるように移動する空洞体移動部132を備えた構成となっている。
この構成例では、空洞体110の側方に供給機構130の搬送部131が位置しており、台紙付きシュリンクフィルム包装体200が側方から空洞体110の下方の所定位置に搬送される装置構成となっている。搬送部131の位置は空洞体110の側方には限定されず、他の位置関係は可能である。
また、空洞体移動部132は、空洞体110を移動させる機構であるが、この構成例では空洞体110の壁面113の中央部に棒状の部材が突出しており、この棒状の部材を介して空洞体移動部132が空洞体110を所定位置に動かすものとなっている。
【0029】
この供給機構130としては、大きくは2つのタイプがあり得る。
第1のタイプは、空洞体110は位置としてはその位置のままであり、台紙付きシュリンクフィルム包装体200が搬送部131により空洞体110の下方の所定位置に来るように搬送され、空洞体移動部132により空洞体110が上下動して台紙付きシュリンクフィルム包装体200を被覆するタイプである。
第2のタイプは、搬送部131により複数の台紙付きシュリンクフィルム包装体200がコンベア上を並んで間歇的に搬送されており、空洞体移動部132により空洞体110が処理にかかる1つの台紙付きシュリンクフィルム包装体200の上方に移動したのちに上下動して台紙付きシュリンクフィルム包装体200を被覆するタイプである。
なお、上記の第1のタイプと第2のタイプを組み合わせたタイプもあり得る。つまり、搬送部131により台紙付きシュリンクフィルム包装体200も搬送され、空洞体移動部132により空洞体110も処理にかかる1つの台紙付きシュリンクフィルム包装体200の方へ移動することにより、台紙付きシュリンクフィルム包装体200を被覆するタイプである。
これらのタイプの供給機構130の働きとしては図を参照しつつ後述する。
【0030】
被装填物装填装置140は、被装填物300を空洞体110に供給された台紙付きシュリンクフィルム包装体200の中へ装填する装置である。
被装填物装填装置140の被装填物300を装填する機構は限定されないが、例えば、被装填物300を台紙付きシュリンクフィルム包装体200に向けて押し出すスライダー機構を備えたものがある。被装填物300の押し出しがブレないように被装填物300をスライドさせるレールのようなものがあっても良い。また、被装填物300を把持して机上わずかに浮かせた状態で突出させる突出機構でも良い。
この例では、スライダー機構141とレール142を備えた構成例とする。
【0031】
エア排出装置150は、エア制御装置の1つであり、空洞体110の出口開口112に設けられた排気装置であり、空洞体110の内部空間内114の空気を吸引して外部に排出するものである。この構成例では、排気効率を上げるため、空洞体110の出口開口112が絞られた形状となっており、吸引力を集中しやすい構成となっている。
エア排出装置150は大きな振動などがない排気装置が好ましいが、限定されるものではない。ポンプ吸引により負圧を得るものでも良い。ポンプ吸引により負圧を得るものであれば、ポンプは外部に設けておき、チューブを介して空洞体110の出口開口112に接続するもので良い。チューブの長さに少し余裕を持たせておけば、空洞体110が供給機構130により移動する場合であっても、エア排出装置150のチューブの長さで必要な移動距離を確保することもできる。
【0032】
フィルム吸引装置160は、先端にフィルム吸引部161を備え、先端のフィルム吸引部161の上下動を操作する操作アーム162を備えたものである。
フィルム吸引装置160は、台紙付きシュリンクフィルム200の状態が上面側のフィルムと下面側のフィルムが密接に重なっている場合に、フィルム吸引装置160の先端のフィルム吸引部161により開口201付近の上面側のシュリンクフィルム220を少し持ち上げることで膨らむきっかけを与えるものである。少し開口201が開くことにより、シュリンクフィルム220の内部に空気が入れば一気に十分に膨らむことができる。
【0033】
フィルム吸引装置160は必須の構成ではないが、シュリンクフィルム220のフィルム同士が密着しやすい素材などの場合に、エア送風装置120からの送風があっても内部に空気が入らずに膨らむきっかけがうまく掴めず、シュリンクフィルム220が膨らまない場合には、強制的に開口201を開いてきっかけを与えるものであり、補助装置としては有効なものである。
フィルム吸引装置160の配設位置としては、空洞体110の外部であって、空洞体110の内部にある台紙付きシュリンクフィルム200のシュリンクフィルム220の開口201付近の上面とすることが好ましい。当該一であれば、フィルム吸引装置160を下降させれば、先端のフィルム吸引部161がシュリンクフィルム220の上面のフィルム面にアクセスできる。
空洞体110の壁面113において貫通孔115が設けられていることは既述したが、フィルム吸引装置160のフィルム吸引部161および操作アーム162が貫通孔115を介してシュリンクフィルム220の上面のフィルム面にアクセスできる。
【0034】
なお、フィルム吸引装置160を稼働させる期間としては、台紙付きシュリンクフィルム200を膨らませる前後の期間で良い。フィルム面203を持ち上げて台紙付きシュリンクフィルム200を膨出させれば、あとはエア送風装置120およびエア排出装置150の空気の流れにより台紙付きシュリンクフィルム200の膨出が維持されるからである。
【0035】
以上が、実施例1にかかる被装填物の自動装填装置100の各構成要素の概略である。
次に、本発明の被装填物の自動装填装置100において、空洞体110の内部において、台紙付きシュリンクフィルム200のフィルム面203が持ち上がる原理と、その後の膨出の原理について簡単に説明しておく。
図3および
図4は、エア送風装置120による空洞体110の入口開口111への送風と、エア排出装置150による空洞体110の出口開口112からの排気により、空洞体110の内部の台紙付きシュリンクフィルム200のフィルム面203への作用を簡単に示す図である。シュリンクフィルム200には、一端が開口されて他端が封止されたRシールフィルム220aの場合もあり得るし、両端とも開口している筒状フィルム220bの場合もあり得る。
【0036】
図3は、フィルム220がRシールフィルム220aの場合における空洞体110の内部でのフィルム面203への作用を簡単に示す図である。
図3(a)に示すように、空洞体110の内部には、入口開口111への送風と出口開口112からの排気により、内部空間114に気流の流れが生じる。つまり、空洞体110の内部は一種の風洞実験のように一方向に流れる平行気流が生じる。風洞実験でも良く知られるように、上面に平行気流が流れていると、下にある平面には揚力が発生し、平面が上方へ引っ張られる。これは気流に面している平面上に負圧が生じるということでも説明できる。
このように、空洞体110の内部で、台紙付きシュリンクフィルム200のRシールフィルム220aのフィルム面203には揚力が発生し、上方へ引っ張られるが、その一方、台紙付きシュリンクフィルム200自体は台紙210に固定されているので、フィルム面203のみが上方へ引っ張られ、その結果、開口201が開く。
次に、
図3(b)に示すように、一度、台紙付きシュリンクフィルム200のRシールフィルム220aの開口201が開くと、その内部に平行気流が入り始め、Rシールフィルム220aでは他端203が閉口しているため、Rシールフィルム220a内に入った空気により内部の気圧が高まり膨出してゆく。
【0037】
図4は、フィルム220が筒状フィルム220bの場合における空洞体110の内部でのフィルム面203への作用を簡単に示す図である。
図4(a)に示すように、
図3(a)と同様に、空洞体110の内部には、入口開口111への送風と出口開口112からの排気により、内部空間114に気流の流れが生じる。つまり、空洞体110の内部は一種の風洞実験のように一方向に流れる平行気流が生じる。風洞実験でも良く知られるように、上面に平行気流が流れていると、下にある平面には揚力が発生し、平面が上方へ引っ張られる。これは気流に面している平面上に負圧が生じるということでも説明できる。このように、空洞体110の内部で、台紙付きシュリンクフィルム200の筒状フィルム200bのフィルム面203には揚力が発生し、上方へ引っ張られるが、その一方、台紙付きシュリンクフィルム200自体は台紙210に固定されているので、フィルム面203のみが上方へ引っ張られ、その結果、開口201が開く。
次に、
図4(b)に示すように、一度、台紙付きシュリンクフィルム200のシュリンクフィルム220の開口201が開くと、その内部に平行気流が入り始め、シュリンクフィルム220の圧力が高まり膨出してゆく。筒状フィルム220であるので、筒状フィルム内に入った空気は平行気流のまま開口している他端202から抜け出るが、風洞実験におけるいわゆる「吹き流し」と同じように、開口が気流に対向している筒状体は内圧の上昇により膨出した筒状体の形状で膨出する。
以上が空洞体110の内部において、台紙付きシュリンクフィルム200のフィルム面203が持ち上がる原理と、その後の膨出の原理の簡単な説明である。
【0038】
次に、被装填物300を台紙付きシュリンクフィルム200に装填するまでの流れを鳥瞰する。
なお、一部の図面においては、空洞体110の内部での操作の流れが分かりやすいように空洞体110については長さ方向の断面で示したものとなっている。
上記したように、供給機構130には、包装用フィルム搬送部131を用いて台紙付きシュリンクフィルム包装体200が移動するタイプ、空洞体移動部132を用いて空洞体110が位置を変えて移動するタイプ、それらを組み合わせたタイプなど様々なタイプがあるが、台紙付きシュリンクフィルム包装体200と空洞体110との相対的位置の変動という点で違うだけであり、空洞体110内部における台紙付きシュリンクフィルム包装体200に対する作用、被装填物の装填などは同様であるので、ここでは、一例として、包装用フィルム搬送部131を用いて台紙付きシュリンクフィルム包装体200が移動し、空洞体移動部132を用いて空洞体110が昇降するという動きの場合を説明する。
また、フィルム220としては、
図3に示したRシールフィルム220aのものもあれば、
図4に示した筒状フィルム220bのものもあり得る。ここでは、単にフィルム220として説明するが、フィルム220は、Rシールフィルム220a、筒状フィルム220bどちらであっても良く、ストロークや動作は同じである。
【0039】
<ストローク0>
図5は、あるストロークの初期段階、つまり、ストローク0の状態を示している。
図5に示すように、前ストロークの台紙付きシュリンクフィルム包装体200が排出され、まだ、空洞体110の内部には台紙付きシュリンクフィルム包装体200が供給されておらず、空洞体110は上方へ持ち上がった状態である。
【0040】
<ストローク1>
図6に示すように、供給機構130は、包装用フィルム搬送部131を用いて台紙付きシュリンクフィルム包装体200を空洞体110の下方の所定位置に搬送する。
この例では、空洞体110の側方(図中奥側)に供給機構130の搬送部131が位置しており、台紙付きシュリンクフィルム包装体200が側方から空洞体110の下方の所定位置に搬送される装置構成となっている。例えば、コンベア機構を備えたフィーダーとなっている。
図6に示すように、台紙付きシュリンクフィルム包装体200は所定位置に搬送されている。
【0041】
<ストローク2>
次に、
図7に示すように、供給機構130の空洞体移動部132により空洞体110が上方から下降し、空洞体110が台紙付きシュリンクフィルム包装体200のフィルム220を被覆する。ここでは、例えば、Rシールフィルム220aとする。
図7(b)はストローク2の結果を上方から見た様子を示す図である。空洞体110が台紙付きシュリンクフィルム包装体200の上から被され、フィルム220は内部に収められているが、台紙210はその横幅が空洞体110の横幅よりも大きく、台紙210のサイド部分は空洞体110からはみ出ている。なお、このように台紙210は空洞体110の底面エッジにより押圧されて安定した状態となっている。
空洞体110の内部空間114は、
図2の状態のように、入口開口111と出口開口112と貫通孔115以外は封止されている状態となっている。
【0042】
<ストローク3>
次に、
図8に示すように、エア送風装置120により空洞体110の入口開口111から空気が吹き込まれ、さらに、エア排出装置150により空洞体110の出口開口112から空気が掃引され、内部空間114において気圧変化が生じ、フィルム220の上面のフィルム面203には揚力(負圧)が生じる。この揚力(負圧)発生の原理は、フィルム220がRシールフィルム220aであれば、
図3(a)で示した通りであり、フィルム220が筒状フィルム220bの場合は
図4(a)で示した通りである。
【0043】
<ストローク4>
次に、
図9に示すように、フィルム吸引装置160が下降し、貫通孔115を介して空洞体110の内部に進入し、先端のフィルム吸引部161がシュリンクフィルム220の上面のフィルム面に到達して吸引を開始する。
【0044】
<ストローク5>
次に、
図10に示すように、フィルム吸引装置160が上昇し、先端のフィルム吸引部161がシュリンクフィルム220の上面のフィルム面を吸引したまま上昇する。
なお、フィルム吸引装置160は先端のフィルム吸引部161が適度なタイミングで吸引を停止し、シュリンクフィルム220を開放する。
エア送風装置120による空洞体110の入口開口111の空気の吹き込みと、エア排出装置150による空洞体110の出口開口112からの空気の掃引は継続されており、フィルム220がRシールフィルム220aであれば、
図3(b)で示した通り、フィルム220が筒状フィルム220bの場合は
図4(b)で示した通り、フィルム220の内部に空気が吹き込まれ、十分に膨出する。
なお、
図10(b)において、シュリンクフィルム220が平面に畳まれた状態から膨らんだ状態になるために円筒形となり、シュリンクフィルム220の内径が、装填する被装填物300の外径よりやや大きい状態になっている。
【0045】
<ストローク6>
引き続き、
図11に示すように、被装填物装填装置140によりシュリンクフィルム220の開口にめがけて被装填物300を押し出し、シュリンクフィルム220内部に被装填物300の装填を完了する。
【0046】
<ストローク7>
次に、
図12に示すように、空洞体移動部132により、空洞体110を上方へ持ち上げて開放する。
【0047】
<ストローク8>
引き続き、
図13に示すように、台紙付きシュリンクフィルム包装体200への装填が完了した被装填物300を、台紙付きシュリンクフィルム包装体200ごと搬出する。そして被装填物装填装置140は元の位置に戻り、次の被装填物300が供給される。
このストローク7により、
図5のストロークの初期状態<ストローク0>に回帰する。
【0048】
なお、このストローク8のあと、搬出された台紙付きシュリンクフィルム包装体200への装填済みの被装填物300は、熱が印加されてシュリンクフィルム220をシュリンクさせて被装填物300に密着させるシュリンク工程に流れて行く。
これらの
図5から
図13まで示したストローク0からストローク8を繰り返すことにより、連続して台紙付きシュリンクフィルム包装体200の内部に被装填物300を自動装填する処理を実行する。
実施例2として、装填方向において被装填物300の端部が大きく、台紙付きシュリンクフィルム包装体200のシュリンクフィルム220との径の差が小さい場合における工夫について述べる。例えば、スプレーヘッド付のボトルのようなものなどが分かりやすい。
実施例2では、端部が細くなっている容器であるトレイ体170を用いて、被装填物300をトレイ体170に載置し、トレイ体170ごと装填することで、シュリンクフィルム220の開口201を通過しやすいように工夫する。
ここで、実施例2において、包装用フィルム200に装填された被装填物300とトレイ体190のうち、トレイ体170のみを抜去するトレイ体抜去装置180(図示せず)を備えた構成も可能である。トレイ体抜去装置180の構成や図示は省略するが、例えば、先端にトレイ体170の後端を把持する把持機構を備えて、トレイ体170の後端を引き抜く装置が想定される。
この場合、被装填物300がトレイ体170に追随して移動せずに、台紙付きシュリンクフィルム包装体200内に残るよう、トレイ体抜去装置180が被装填物300の移動を制止する押さえ棒のような部材で被装填物300を押さえつつ、把持機構でトレイ体170の後端を把持して抜去する工夫が好ましい。
以上、本発明の被装填物を装填する自動装填装置およびその方法の好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。