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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031965
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】皮膚疾患改善剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/899 20060101AFI20230302BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230302BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230302BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230302BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20230302BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20230302BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230302BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230302BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230302BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
A61K36/899
A61P17/00
A61P17/04
A61P37/08
A61P17/02
A61P17/16
A61K9/08
A61K9/12
A61K9/06
A61K9/70 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137776
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】514082295
【氏名又は名称】マスダ商事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521378303
【氏名又は名称】田中 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(74)【代理人】
【識別番号】100076576
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 公博
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸次
【テーマコード(参考)】
4C076
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA24
4C076AA25
4C076AA72
4C076BB01
4C076BB31
4C076CC07
4C076CC18
4C076CC19
4C088AB74
4C088AC03
4C088AC05
4C088AC11
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA13
4C088MA16
4C088MA22
4C088MA28
4C088MA32
4C088MA52
4C088MA63
4C088NA13
4C088ZA89
4C088ZB13
(57)【要約】
【課題】 安全で長期の使用にも安心して使用できる皮膚疾患改善剤及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の皮膚疾患改善剤は、稲の細胞液を有効成分として含有する皮膚疾患改善剤である。稲の葉、茎、根、及び花から選ばれた少なくとも1種を真空乾燥装置で比較的低温で減圧にし、稲の細胞液を分離採取する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
稲の細胞液を有効成分として含有する皮膚疾患改善剤。
【請求項2】
稲の細胞液が稲の葉、茎、根、及び花から選ばれた少なくとも1種の真空乾燥抽出液状物である請求項1に記載の皮膚疾患改善剤。
【請求項3】
皮膚疾患改善剤が、アトピー性皮膚炎、湿疹、じんましん、痒疹、火傷、虫刺され、あせも、かぶれ、及びカサカサ肌荒れよりなる群から選ばれる1種以上の症状の緩和に用いられる皮膚疾患改善剤である請求項1~2のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤。
【請求項4】
皮膚疾患改善剤が、皮膚外用剤である請求項1~3のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤。
【請求項5】
皮膚疾患改善剤が、経口剤である請求項1~3のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤。
【請求項6】
皮膚疾患改善剤が、液状である請求項1~5のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤。
【請求項7】
前記皮膚外用剤が、ローション剤、乳剤、スプレー剤、軟膏剤、ハップ剤から選ばれたいずれかである請求項4に記載の皮膚疾患改善剤。
【請求項8】
前記経口剤の形態がスプレー剤である請求項4~5のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤。
【請求項9】
稲の葉、茎、根、及び花から選ばれた少なくとも1種を真空乾燥装置で減圧にし、稲の細胞液を分離採取する稲の細胞液を有効成分として含有する皮膚疾患改善剤の製造方法。
【請求項10】
前記真空乾燥装置における抽出温度が30~50℃である請求項9に記載の皮膚疾患改善剤の製造方法。
【請求項11】
前記真空乾燥装置における真空度がゲージ圧でー90kPa~―98kPaである請求項9又は10のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アトピー性皮膚炎、湿疹、じんましん、痒疹、火傷、虫刺され、あせも、かぶれ、カサカサ肌の肌荒れなどの皮膚疾患の改善剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりアトピー性皮膚炎、湿疹、じんましん、痒疹、火傷、虫刺され、あせも、かぶれ、カサカサ肌の肌荒れなどの皮膚疾患の改善剤は種々提案されている。
【0003】
特にアトピー性皮膚疾患の改善剤は、湿疹、じんましん、痒疹、火傷、虫刺され、あせも、かぶれ、カサカサ肌の肌荒れなどの皮膚疾患の改善剤とともにより注目されており(下記特許文献1および2)、ステロイド剤が特に有効であるがステロイド剤は長期使用などの場合に重篤な副作用があることが知られている(下記特許文献1の[0004]および下記特許文献2)の[0003]参照)。本発明は天然植物を原料とすることにより、安全で長期の使用にも安心して使用できる皮膚疾患改善剤及びその製造方法を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-197471号公報
【特許文献2】特許第6590233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は天然植物を原料とすることにより、安全で長期の使用にも安心して使用できる皮膚疾患改善剤及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の皮膚疾患改善剤は、稲の細胞液を有効成分として含有する皮膚疾患改善剤である。
【0007】
(2)前記(1)項に記載の皮膚疾患改善剤においては、稲の細胞液が、稲の葉、茎、根、及び花から選ばれた少なくとも1種の真空乾燥抽出液状物であることが好ましい。
【0008】
(3)前記(1)~(2)項のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤においては、皮膚疾患改善剤が、アトピー性皮膚炎、湿疹、じんましん、痒疹、火傷、虫刺され、あせも、かぶれ、及びカサカサ肌荒れよりなる群から選ばれる1種以上の症状の緩和に用いられる皮膚疾患改善剤であることが好ましい。
【0009】
(4)前記(1)~(3)項のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤においては、皮膚疾患改善剤が、皮膚外用剤であることが好ましい。
【0010】
(5)前記(1)~(3)項のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤においては、皮膚疾患改善剤が、経口剤であることが好ましい。
【0011】
(6)前記(1)~(5)項のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤においては、皮膚疾患改善剤が、液状であることが好ましい。
【0012】
(7)前記(4)項に記載の皮膚疾患改善剤においては、前記皮膚外用剤が、ローション剤、乳剤、スプレー剤、軟膏剤、ハップ剤から選ばれたいずれかであることが好ましい。
【0013】
(8)前記(4)又は(5)項に記載の皮膚疾患改善剤においては、前記経口剤の形態がスプレー剤であることが好ましい。
【0014】
(9)本発明の皮膚疾患改善剤の製造方法は、稲の葉、茎、根、及び花から選ばれた少なくとも1種を真空乾燥装置で減圧にし、稲の細胞液を分離採取することを特徴とする稲の細胞液を有効成分として含有する皮膚疾患改善剤の製造方法である。
【0015】
(10)前記(9)項に記載の皮膚疾患改善剤の製造方法においては、前記真空乾燥装置における細胞液の抽出温度が30~50℃であることが好ましい。
【0016】
(11)前記(9)又は(10)項のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤の製造方法においては、前記真空乾燥装置における真空度がゲージ圧でー90kPa~―98kPaであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
(1)本発明の皮膚疾患改善剤は、稲の細胞液を有効成分として含有する皮膚疾患改善剤であるので、天然植物を原料とすることにより、安全で長期の使用にも安心して使用できる皮膚疾患改善剤を提供できる。
【0018】
(2)そして稲の細胞液が稲の葉、茎、根、及び花から選ばれた少なくとも1種の真空乾燥抽出液状物であることにより、抽出溶媒液などが混入されず好ましい。また稲の穂に形成される稲の籾(米粒)などは、特に使用しなくてもよいので食料としての米を消費せずに、食料として通常使用しない部分のみから良好に稲の細胞液を採取でき経済的である。
【0019】
(3)前記課題を解決するための手段の項の(1)~(2)項のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤はアトピー性皮膚炎、湿疹、じんましん、痒疹、火傷、虫刺され、あせも、かぶれ、及びカサカサ肌荒れよりなる群から選ばれる1種以上の症状の緩和に用いられる皮膚疾患改善剤として使用でき好ましい。
【0020】
(4)前記課題を解決するための手段の項の(1)~(3)項のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤において、皮膚疾患改善剤が、皮膚外用剤である好ましい態様とすることにより、皮膚に塗布して使用でき好ましい。
【0021】
(5)前記課題を解決するための手段の項の(1)~(3)項のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤において、皮膚疾患改善剤が、経口剤である態様とすることにより、服用ないし口腔内の舌下の粘膜などに作用させることにより皮膚疾患の治療に用いることができ、好ましい。
【0022】
(6)前記課題を解決するための手段の項の(1)~(5)項のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤において、皮膚疾患改善剤が、液状であるが好ましい態様とすることにより、皮膚幹部に容易に塗布浸透させることができ好ましい。
【0023】
(7)前記課題を解決するための手段の項の(4)項に記載の皮膚疾患改善剤において、前記皮膚外用剤が、ローション剤、乳剤、スプレー剤、軟膏剤、ハップ剤から選ばれたいずれかであることにより、使用態様を症状や好みに応じて選ぶことができ好ましい。
【0024】
(8)前記課題を解決するための手段の項の(4)項又は(5)項に記載の皮膚疾患改善剤において、前記経口剤の形態がスプレー剤である好ましい態様とすることにより、外用剤の場合には、皮膚にスプレーすることにより患者の皮膚に触れなくても容易に皮膚疾患改善剤を患部の塗布することができ、経口剤の場合には、口腔内の舌下の粘膜などに散布し粘膜から体内に吸収させて皮膚疾患を改善皮することができ好ましい。
【0025】
(9)本発明の皮膚疾患改善剤の製造方法は、稲の葉、茎、根、及び花から選ばれた少なくとも1種を真空乾燥装置で減圧にし、稲の細胞液を分離採取することを特徴とする稲の葉の細胞液を有効成分として含有する皮膚疾患改善剤の製造方法である。この方法によれば稲の上記真空乾燥に用いた葉、茎、根、及び花から選ばれた少なくとも1種から稲の細胞液を固液分離により採取でき、採取された細胞液はそのまま皮膚疾患改善剤として用いることができる。もちろん、製剤形態を特定のものにするため、本来の薬理効果に損傷を与えない限り、慣用的に用いられる成分を添加して、ローション剤、乳剤、スプレー剤、軟膏剤、ハップ剤その他の製剤形態にしてもよい。
【0026】
(10)前記課題を解決するための手段の項の(9)項に記載の皮膚疾患改善剤の製造方法において、前記真空乾燥装置における抽出温度が30~50℃である好ましい態様とすることにより、細胞抽出物の有効成分を分解することなく容易に採取でき好ましい。
【0027】
(11)前記課題を解決するための手段の項の(9)又は(10)項のいずれか1項に記載の皮膚疾患改善剤の製造方法において、前記真空乾燥装置における真空度がゲージ圧でー90kPa~―98kPaである好ましい態様とすることにより、稲の細胞液が固液分離されて容易に採取でき好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】稲の細胞液の採取装置の概略図。
図2】稲の細胞液をエクソソーム採取方法と同様に処理して採取したエクソソーム状の物質と思われる微小の顆粒状物質がみられる顕微鏡写真。
図3】痒疹のひどい炎症がみられる人の足(本発明の稲の細胞液塗布前)の写真
図4】本発明の稲の細胞液をスプレーした後で、痒疹でひどい炎症が改善されていることが認められる図3の患部の状態の写真。
図5】乾式タイプのアトピー性皮膚炎の患者(1歳半)の足(本発明の稲の葉の細胞液塗布前)の写真。
図6図5で示した患部に本発明の稲の葉の細胞液を1日1回、2週間スプレーした後の患部の状態の写真。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、稲の細胞液を有効成分として含有する皮膚疾患改善剤である。
【0030】
本発明の稲の細胞液は、特に稲の葉、茎、根、及び花から選ばれた少なくとも1種を真空乾燥機などを使用して比較的低温で真空にし、排気される細胞液の蒸気(蒸発液)を冷却することにより液状にして採取できる。また稲の穂に形成される稲の種に相当する籾(米粒)は、原料中に入っていてもよいが、使用しなくてもよいので食料としての米を消費せずに、食料として通常使用しない部分のみから良好に稲の細胞液を採取でき経済的である。原料に用いる稲の葉、茎、根、又は花は、かなり乾燥したり枯れてしまっているものは細胞液が採取できない可能性があるので比較的新鮮なものを用いることが好ましい。
【0031】
真空乾燥における温度は30~50℃の比較的低温が好ましく、より好ましくは35~45℃である。真空乾燥装置における真空度は特に限定するものではないが、ゲージ圧でー90kPa~―98kPa、より好ましくはー92kPa~―95kPaであることが好ましい。なお、ゲージ圧とは大気圧を0としそれより低圧の場合がマイナス、大気圧より高い場合がプラスになる。
【0032】
原料となる稲の葉や茎は青い(緑色)状態の葉や茎が好ましく、稲の花や根もなるべく新鮮なものを用いることが好ましいが、枯れたものや、極度に乾燥したものが含まれていることはなるべく新鮮なものが含まれている以上差し支えはないが、細胞液採取効率上からは新鮮なものが多い方が好ましい。用いる稲は、農薬の多いものは避け、なるべく農薬の混入の少ないものを使用することが好ましい。また、特に限定するものではないが、真空乾燥する場合に、用いる稲の葉や茎などは小さめにカットしておくと細胞液の採取がより効率的に採取できる。
【0033】
真空乾燥機の真空ポンプは特に限定するものではないが、水エジェクターポンプが好適なポンプの一つである。
【0034】
細胞液の採取方法は、特に限定するものではないが、例えば、図1に示したように原料となる稲の葉、茎、根、及び花から選ばれた少なくとも1種を真空ポンプ6で減圧にされる原料用容器1に入れて当該容器1と真空ポンプ6をつなぐ配管2,5,7.8等の途中に、すなわち配管2と5の間に冷却部(コンデンサー)3とコンデンサーで凝縮された稲の細胞液を溜める回収槽11を設けておき、回収槽11に稲の細胞液が適宜溜まったときに、配管7と8のあいだの3方バルブ9で配管7と8の連通を遮断し真空吸引を止めて、配管7と配管14を連通させて、回収槽11内を常圧にして、細胞液が溜まった回収槽11の下側にあるバルブ13を開けて細胞液12を採取するなどの方法が挙げられる。冷却部(コンデンサー)3には適宜の冷却媒体が配管4から導入され配管4´から排出される。配管4´から排出された冷却媒体は図示していないが通常、冷却ユニットで再冷却され、配管4から冷却部(コンデンサー)3に繰り返し供給される。10は排気用の配管である。冷却部3の冷却温度は、稲の細胞液の蒸気が液滴になる温度範囲であればよく、真空度にもよるが、例えば5℃~25℃の範囲が好ましい。また、必要に応じ細胞液を溜める回収槽11の周囲に冷却用ジャケット(図示せず)を設けておいて、例えば前記コンデンサー3と同じ程度の温度範囲で冷却しておいてもよい。
【0035】
以上説明したように、本発明の細胞液は、化学薬品や溶剤で抽出したものではなく、細胞液を稲の葉、茎、根、又は花などからから直接採取したものであり、溶剤などの不純物が不必要に残留することがなく好ましい。
【0036】
そして、本発明の稲の細胞液は、いわゆる化学的に合成された薬品と異なり天然物由来であるので、長期間使用しても副作用もなく安心して使用できるばかりでなく、エクソソーム(50~150nm程度の細胞外小胞とも称され、細胞間における情報伝達物質の機能があると言われている)か否かは完全には確認されてはいないが、植物由来ではほとんど例がないエクソソーム状の物質と思われる微小の顆粒状物質の存在が図2などで示すように電子顕微鏡写真(顆粒状物質の平均サイズ101±3.9 nm)で見られているためか、天然物由来の皮膚疾患の改善剤としては、皮膚疾患の改善効果が優れている。また、本発明の稲の葉の細胞液からなる皮膚疾患改善剤は、容器に採取した液を蓋を閉めて常温常圧下で長期間(約2ヶ月間)腐敗しないことを確認している。図2は、ナノ粒子のブラウン運動を可視化する植物細胞水からのエクソソーム単離・精製及びナノサイトと解析法で稲の細胞液を処理して採取したエクソソーム状の物質と思われる微小の顆粒状物質がみられる電子顕微鏡写真である。
【0037】
そして本発明の稲の葉の細胞液からなる皮膚疾患改善剤は、皮膚に塗布した場合に通常の保湿剤より皮膚への浸透性が良好である。
【0038】
本発明の皮膚疾患改善剤はアトピー性皮膚炎、湿疹、じんましん、痒疹、火傷、虫刺され、あせも、かぶれ、及びカサカサ肌荒れなどの症状の緩和に用いることができる。
【0039】
製剤形態としては、特に限定するものではないが、皮膚外用剤の場合、採取したままの液状の細胞液でもよく、ローション剤、乳剤、スプレー剤、軟膏剤、ハップ剤の形態にしてもよい。特に採取した液状の細胞液をポンプ式スプレー容器に入れたスプレータイプにしておくと皮膚に塗布するのに指などに一旦つけてから患部に塗布する必要がなく簡便である。
【0040】
ローション剤、乳剤、軟膏剤、ハップ剤の形態にする場合には、剤形などに応じて、医薬品分野、化粧品分野において、当該剤形にするために用いられている本発明の有効成分の機能を消失させないような添加剤を適宜組み合わせて用いることができる。
【0041】
本発明の皮膚疾患改善剤は、多量に使用しても副作用がないので、塗布量も症状に応じ適宜調整して使用すればよく、特に制限はないが、1日2回程度(症状に応じて1日1回でもよい)、1回につき皮膚面積10cmに対し細胞液量換算で1~6g程度、好ましくは3~5g程度が挙げられる。
【0042】
皮膚外用剤の場合、患部に投与する前に、患部をナノまたはマイクロバブルシャワーで洗ってから本発明の皮膚疾患改善剤を投与するとより有効である。
【0043】
経口剤(経口投与剤)の場合は、イネの細胞液そのままの液状で使用することが好ましく、特にスプレーで口腔内の舌下の粘膜などに散布したり、クチュクチュうがいで使用することが好ましく、その後、吐き出しても、飲んでも構わない。
【0044】
経口投与剤の場合の投与量も症状に応じ適宜使用すればよく、特に制限はないが、1日2回程度、1回につき細胞液量換算で1~6g程度、好ましくは3~5g程度が挙げられる。もちろんこれより多く使用しても副作用の生じる恐れはないが、あまり多く使用しても皮膚疾患改善機能が特に大幅に向上するものでもないのでコストパフォーマンスを考慮して適宜の範囲で使用することが好ましい。
【0045】
なお、本発明の有効成分の機能を消失させない場合には、他の薬剤を適宜組み合わせて用いてもよい。例えばヨモギ、バラ、ムラサキ根、サクラ、黒モジ、サルビア、セイタカアワダチ草、キューリ、ヘチマ、エキナセア、ミント、ハッカ、ローズマリー、チュベローズ、レモン、レモングラス、スイセン、グラジオラス、フリージア、バタフライピー、ハイビスカス、ユリ、ユズ、マタタビ、ジャバラ、サトウキビ、ダリア、ないしはホウセンカなどの細胞水や場合により粉末などが挙げられる。
【実施例0046】
本発明の理解を容易にするために、以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
図1に示したような装置を用い長さ約2cmに切った緑色の稲の葉と茎を密閉し得る容器に入れて35℃で水エジェクター真空ポンプで最高ー95kPa減圧にし当該容器と真空ポンプをつなぐ配管等の途中に存在する冷却部(コンデンサー)で10℃で冷却し、凝縮された稲の細胞液を採取した。採取した稲の細胞液をポンプ式スプレー容器に入れ、虫刺されが原因で発症したと推定される痒疹でひどい炎症がみられる人の足(本発明の稲の細胞液塗布前の写真が図3)に、1日2回で1回分が患部面積10平方センチメートルあたりおよそ3gで5カ月スプレーした後の患部の状態の写真を図4に示した。この図3図4との比較からも明らかなように痒疹のひどい炎症が改善されていることが認められる。
【0048】
(実施例2)
乾式タイプのアトピー性皮膚炎の患者(1歳半)の足(本発明の稲の葉の細胞液塗布前の写真が図5)に実施例1と同様にして採取した稲の細胞液の入っているポンプ式スプレー容器で皮膚炎の患者の足に、1日1回で1回分が患部面積10平方センチメートルあたりおよそ5gで2週間スプレーした後の患部の状態の写真を図6に示した。この図5図6との比較からも明らかなようにアトピー性皮膚炎による皮膚疾患が2週間程度の使用でも比較的改善されていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の稲の細胞液を有効成分として含有する皮膚疾患改善剤は、アトピー性皮膚炎、湿疹、じんましん、痒疹、火傷、虫刺され、あせも、かぶれ、及びカサカサ肌荒れなどの皮膚疾患の改善剤として有用であり、製薬業などに利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 原料用容器
2、5、7、8、14 配管
3 冷却部(コンデンサー)
4、4´ 冷却媒体用配管
6 真空ポンプ
9 3方バルブ
10 排気用の配管
11 細胞液を溜める回収槽
12 細胞液
13 バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6