(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032040
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】自走式溶接ロボット、溶接方法、プログラム、及び制御マップの作成方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/12 20060101AFI20230302BHJP
B23K 37/02 20060101ALI20230302BHJP
B23K 9/127 20060101ALI20230302BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B23K9/12 331D
B23K9/12 350B
B23K37/02 A
B23K9/127 502C
B25J5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137908
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】菅野 直紀
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS11
3C707CS08
3C707KS36
3C707LT06
3C707LV05
3C707WA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】曲面を有するコーナー部において良好な溶接を実現することが可能な自走式溶接ロボットを提供する。
【解決手段】自走式溶接ロボットは、溶接対象上を走行しながら溶接を行う自走式溶接ロボットであって、車体と、車体に設けられた前輪と、車体に設けられた後輪と、車体に支持された溶接トーチと、溶接トーチを車体の上下方向に昇降させる高さ調整アクチュエータ6と、溶接トーチを車体の前後方向に揺動させる角度調整アクチュエータ7と、前記車体の姿勢を表す姿勢データを取得する姿勢取得部11と、前記自走式溶接ロボットが前記溶接対象のコーナー部を走行するときに、前記車体の姿勢及び前記コーナー部の曲率に応じた前記高さ調整アクチュエータ6の目標値及び前記角度調整アクチュエータ7の目標値を出力する制御部14と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接対象上を走行しながら溶接を行う自走式溶接ロボットであって、
車体と、
前記車体に設けられた前輪と、
前記車体に設けられた後輪と、
前記車体に支持された溶接トーチと、
前記溶接トーチを前記車体の上下方向に昇降させる高さ調整アクチュエータと、
前記溶接トーチを前記車体の前後方向に揺動させる角度調整アクチュエータと、
前記車体の姿勢を表す姿勢データを取得する姿勢取得部と、
前記自走式溶接ロボットが前記溶接対象のコーナー部を走行するときに、前記車体の姿勢及び前記コーナー部の曲率に応じた前記高さ調整アクチュエータの目標値及び前記角度調整アクチュエータの目標値を出力する制御部と、
を備える、自走式溶接ロボット。
【請求項2】
前記制御部は、前記コーナー部において前記溶接トーチの先端と溶接点の距離及び前記溶接トーチの溶接点に対する角度の少なくとも一方を一定に保つように、前記高さ調整アクチュエータ及び前記角度調整アクチュエータを制御する、
請求項1に記載の自走式溶接ロボット。
【請求項3】
前記コーナー部の曲率を表す曲率データを取得する曲率取得部をさらに備える、
請求項1または2に記載の自走式溶接ロボット。
【請求項4】
前記コーナー部の曲率並びに前記前輪及び前記後輪の大きさ及び間隔に基づいて、前記車体の姿勢に応じた前記高さ調整アクチュエータの目標値及び前記角度調整アクチュエータの目標値を含む制御マップを予め作成するマップ作成部をさらに備える、
請求項1ないし3の何れかに記載の自走式溶接ロボット。
【請求項5】
前記マップ作成部は、前記コーナー部において前記溶接トーチの先端と溶接点の距離及び前記溶接トーチの溶接点に対する角度の少なくとも一方が一定に保たれるように、前記車体の姿勢に応じた前記高さ調整アクチュエータの目標値及び前記角度調整アクチュエータの目標値を算出する、
請求項4に記載の自動式溶接ロボット。
【請求項6】
前記前輪及び前記後輪の少なくとも一方を駆動する車輪用アクチュエータを備え、
前記制御部は、前記自走式溶接ロボットの移動速度をさらに制御する、
請求項1ないし5の何れかに記載の自走式溶接ロボット。
【請求項7】
前記制御部は、前記コーナー部において前記溶接トーチの先端の移動速度が一定となるように、前記車輪用アクチュエータの目標値を出力する、
請求項6に記載の自動溶接ロボット。
【請求項8】
前記姿勢取得部は、前記車体の移動量を検出する移動量検出部を含み、前記車体の移動量を前記姿勢データとして取得する、
請求項1ないし7の何れかに記載の自走式溶接ロボット。
【請求項9】
前記制御部は、前記前輪が前記コーナー部上にあり、且つ溶接点が前記コーナー部の手前にある区間では、前記車体の移動に伴って前記溶接トーチの前進角及び高さが増加するように、前記高さ調整アクチュエータ及び前記角度調整アクチュエータを制御する、
請求項8に記載の自走式溶接ロボット。
【請求項10】
前記制御部は、前記前輪が前記コーナー部上にあり、且つ溶接点も前記コーナー部上にある区間では、前記車体の移動に伴って前記溶接トーチの前進角が減少し、且つ前記溶接トーチの高さが増加するように、前記高さ調整アクチュエータ及び前記角度調整アクチュエータを制御する、
請求項8または9に記載の自走式溶接ロボット。
【請求項11】
前記制御部は、前記前輪が前記コーナー部を過ぎ、溶接点が前記コーナー部上にあり、且つ前記後輪が前記コーナー部の手前にある区間では、前記車体の移動に伴って前記溶接トーチの前進角が減少し、前記コーナー部の中央で0となった後、後進角が増加し、且つ前記車体の移動に伴って前記溶接トーチの高さが増加し、前記コーナー部の中央で極大値となった後、減少するように、前記高さ調整アクチュエータ及び前記角度調整アクチュエータを制御する、
請求項8ないし10の何れかに記載の自走式溶接ロボット。
【請求項12】
前記制御部は、溶接点が前記コーナー部上にあり、且つ前記後輪も前記コーナー部上にある区間では、前記車体の移動に伴って前記溶接トーチの後進角が増加し、且つ前記溶接トーチの高さが減少するように、前記高さ調整アクチュエータ及び前記角度調整アクチュエータを制御する、
請求項8ないし11の何れかに記載の自走式溶接ロボット。
【請求項13】
前記制御部は、溶接点が前記コーナー部を過ぎ、且つ前記後輪が前記コーナー部上にある区間では、前記車体の移動に伴って前記溶接トーチの後進角及び高さが減少するように、前記高さ調整アクチュエータ及び前記角度調整アクチュエータを制御する、
請求項8ないし12の何れかに記載の自走式溶接ロボット。
【請求項14】
前記姿勢取得部は、前記車体の角度を検出する角度検出部を含み、前記車体の角度を前記姿勢データとして取得する、
請求項1ないし7の何れかに記載の自走式溶接ロボット。
【請求項15】
前記姿勢取得部は、前記車体と前記溶接対象の間隔を検出する距離検出部を含み、前記間隔を前記姿勢データとして取得する、
請求項1ないし7の何れかに記載の自走式溶接ロボット。
【請求項16】
車体と、前記車体に設けられた前輪と、前記車体に設けられた後輪と、前記車体に支持された溶接トーチと、前記溶接トーチを前記車体の上下方向に昇降させる高さ調整アクチュエータと、前記溶接トーチを前記車体の前後方向に揺動させる角度調整アクチュエータとを備え、溶接対象上を走行しながら溶接を行う自走式溶接ロボットを用意し、
前記車体の姿勢を表す姿勢データを取得し、
前記自走式溶接ロボットが前記溶接対象のコーナー部を走行するときに、前記車体の姿勢及び前記コーナー部の曲率に応じた前記高さ調整アクチュエータの目標値及び前記角度調整アクチュエータの目標値を出力する、
溶接方法。
【請求項17】
車体と、前記車体に設けられた前輪と、前記車体に設けられた後輪と、前記車体に支持された溶接トーチと、前記溶接トーチを前記車体の上下方向に昇降させる高さ調整アクチュエータと、前記溶接トーチを前記車体の前後方向に揺動させる角度調整アクチュエータとを備え、溶接対象上を走行しながら溶接を行う自走式溶接ロボットのコンピュータに、
前記車体の姿勢を表す姿勢データを取得すること、及び、
前記自走式溶接ロボットが前記溶接対象のコーナー部を走行するときに、前記車体の姿勢及び前記コーナー部の曲率に応じた前記高さ調整アクチュエータの目標値及び前記角度調整アクチュエータの目標値を出力すること、
を実行させるためのプログラム。
【請求項18】
車体と、前記車体に設けられた前輪と、前記車体に設けられた後輪と、前記車体に支持された溶接トーチと、前記溶接トーチを前記車体の上下方向に昇降させる高さ調整アクチュエータと、前記溶接トーチを前記車体の前後方向に揺動させる角度調整アクチュエータとを備え、溶接対象上を走行しながら溶接を行う自走式溶接ロボットが用いる制御マップの作成方法であって、
前記溶接対象のコーナー部の曲率を表す曲率データを取得し、
前記コーナー部の曲率並びに前記前輪及び前記後輪の大きさ及び間隔に基づいて、前記車体の姿勢に応じた前記高さ調整アクチュエータの目標値及び前記角度調整アクチュエータの目標値を含む制御マップを作成する、
制御マップの作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式溶接ロボット、溶接方法、プログラム、及び制御マップの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前後左右の車輪をマグネット車として傾斜面を自走して昇降できるようにした台車に、2本の垂直軸を各々別個の駆動装置で上下動自在に備え、上記2本の垂直軸のうち一方の垂直軸にオシレート機能をもたせると共に該軸上部に水平の左右軸を左右方向へ移動自在に保持させ、且つ上記左右軸の一端に、溶接トーチの先端を中心として該溶接トーチを揺動させる回転軸を連結し、更に台車の側方に走行線センサーを、又、上記垂直軸のうち他方の垂直軸の下端に上下センサー、走行面傾きセンサーをそれぞれ備えたことを特徴とする自走式溶接ロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献には、曲面を有するコーナー部における溶接について開示されておらず、曲面を有するコーナー部において良好な溶接を期待することができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、曲面を有するコーナー部において良好な溶接を実現することが可能な自走式溶接ロボット、溶接方法、プログラム、及び制御マップの作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の自走式溶接ロボットは、溶接対象上を走行しながら溶接を行う自走式溶接ロボットであって、車体と、前記車体に設けられた前輪と、前記車体に設けられた後輪と、前記車体に支持された溶接トーチと、前記溶接トーチを前記車体の上下方向に昇降させる高さ調整アクチュエータと、前記溶接トーチを前記車体の前後方向に揺動させる角度調整アクチュエータと、前記車体の姿勢を表す姿勢データを取得する姿勢取得部と、前記自走式溶接ロボットが前記溶接対象のコーナー部を走行するときに、前記車体の姿勢及び前記コーナー部の曲率に応じた前記高さ調整アクチュエータの目標値及び前記角度調整アクチュエータの目標値を出力する制御部と、を備える。
【0007】
また、本発明の他の態様の溶接方法は、車体と、前記車体に設けられた前輪と、前記車体に設けられた後輪と、前記車体に支持された溶接トーチと、前記溶接トーチを前記車体の上下方向に昇降させる高さ調整アクチュエータと、前記溶接トーチを前記車体の前後方向に揺動させる角度調整アクチュエータとを備え、溶接対象上を走行しながら溶接を行う自走式溶接ロボットを用意し、前記車体の姿勢を表す姿勢データを取得し、前記自走式溶接ロボットが前記溶接対象のコーナー部を走行するときに、前記車体の姿勢及び前記コーナー部の曲率に応じた前記高さ調整アクチュエータの目標値及び前記角度調整アクチュエータの目標値を出力する。
【0008】
また、本発明の他の態様のプログラムは、車体と、前記車体に設けられた前輪と、前記車体に設けられた後輪と、前記車体に支持された溶接トーチと、前記溶接トーチを前記車体の上下方向に昇降させる高さ調整アクチュエータと、前記溶接トーチを前記車体の前後方向に揺動させる角度調整アクチュエータとを備え、溶接対象上を走行しながら溶接を行う自走式溶接ロボットのコンピュータに、前記車体の姿勢を表す姿勢データを取得すること、及び、前記自走式溶接ロボットが前記溶接対象のコーナー部を走行するときに、前記車体の姿勢及び前記コーナー部の曲率に応じた前記高さ調整アクチュエータの目標値及び前記角度調整アクチュエータの目標値を出力すること、を実行させる。
【0009】
また、本発明の他の態様の制御マップの作成方法は、車体と、前記車体に設けられた前輪と、前記車体に設けられた後輪と、前記車体に支持された溶接トーチと、前記溶接トーチを前記車体の上下方向に昇降させる高さ調整アクチュエータと、前記溶接トーチを前記車体の前後方向に揺動させる角度調整アクチュエータとを備え、溶接対象上を走行しながら溶接を行う自走式溶接ロボットが用いる制御マップの作成方法であって、前記溶接対象のコーナー部の曲率を表す曲率データを取得し、前記コーナー部の曲率並びに前記前輪及び前記後輪の大きさ及び間隔に基づいて、前記車体の姿勢に応じた前記高さ調整アクチュエータの目標値及び前記角度調整アクチュエータの目標値を含む制御マップを作成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、曲面を有するコーナー部において良好な溶接を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】自走式溶接ロボットの構成例を示す図である。
【
図2】自走式溶接ロボットの構成例を示す図である。
【
図4】姿勢データの取得を説明するための図である。
【
図5】姿勢データの取得を説明するための図である。
【
図6】姿勢データの取得を説明するための図である。
【
図7】姿勢データの取得を説明するための図である。
【
図8】曲率データの取得を説明するための図である。
【
図9】曲率データの取得を説明するための図である。
【
図15】姿勢に応じたトーチ高さ及びトーチ角度の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
[自走式溶接ロボットの概要]
図1及び
図2は、実施形態に係る自走式溶接ロボット1の構成例を示す側面図及び背面図である。図中の上下前後左右は、自走式溶接ロボット1を基準とする上下前後左右を表す。自走式溶接ロボット1は、ガイドレールを必要とせず、溶接対象WB上を自走しながら溶接を行うことが可能である。
【0014】
自走式溶接ロボット1は、車体2と、車体2の前部に設けられた前輪3と、車体2の後部に設けられた後輪4とを備えている。自走式溶接ロボット1は、2つの前輪3と2つの後輪4とを備える四輪車両である。前輪3及び後輪4は、磁性体で形成された溶接対象WBに向かう引力を発生させるための磁石を含んでいる。磁石は、車体2に設けられてもよい。
【0015】
自走式溶接ロボット1は、車体2に支持された溶接トーチ5と、溶接トーチ5を車体2に対して上下方向に昇降させる高さ調整アクチュエータ6と、溶接トーチ5を車体2に対して前後方向に揺動させる角度調整アクチュエータ7とを備えている。溶接トーチ5は、高さ調整アクチュエータ6及び角度調整アクチュエータ7を介して車体2に支持されている。
【0016】
溶接トーチ5は、例えばアーク溶接のための溶接トーチである。溶接トーチ5は、前輪3よりも後方且つ後輪4よりも前方に配置されている。溶接トーチ5は、車体2の側方に先端部51が下方を向いた姿勢で配置されている。図示の例では、溶接トーチ5は、車体2の右方に配置されている。溶接トーチ5の先端部51は、溶接対象WBの表面に接近する。
【0017】
自走式溶接ロボット1は、溶接対象WBに定められた溶接線WL(
図5参照)に沿って走行し、溶接トーチ5の先端部51は、溶接線WLのうちの溶接点WPの近傍に位置決めされる。溶接点WPは、溶接線WLのうちの一点であって、溶接トーチ5による溶接が進行中の点である。
【0018】
高さ調整アクチュエータ6は、車体2と角度調整アクチュエータ7の間に介在し、溶接トーチ5及び角度調整アクチュエータ7を車体2に対して上下方向に昇降させる。高さ調整アクチュエータ6は、例えば電動リニアアクチュエータを含んでいる。高さ調整アクチュエータ6は、溶接トーチ5の車体2に対する高さ(以下、トーチ高さともいう)を制御する。
【0019】
角度調整アクチュエータ7は、高さ調整アクチュエータ6と溶接トーチ5の間に介在し、溶接トーチ5を左右軸回りに回転させる。角度調整アクチュエータ7は、例えば電動モータを含んでいる。角度調整アクチュエータ7は、溶接トーチ5の基端部に連結され、溶接トーチ5の先端部51を車体2に対して前後方向に揺動させる。角度調整アクチュエータ7は、溶接トーチ5の車体2に対する角度(以下、トーチ角度ともいう)を制御する。
【0020】
車輪用アクチュエータ8は、減速機81を介して前輪3に連結されており、前輪3を駆動することで自走式溶接ロボット1を走行させる。車輪用アクチュエータ8は、前輪3に限らず、後輪4を駆動してもよいし、前輪3と後輪4の両方を駆動してもよい。
【0021】
自走式溶接ロボット1は、高さ調整アクチュエータ6、角度調整アクチュエータ7、及び車輪用アクチュエータ8を制御するための制御装置10を備えている。
【0022】
制御装置10は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース等を含むコンピュータである。制御装置10のCPUは、ROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行する。プログラムは、光ディスク又はメモリカード等の情報記憶媒体を介して供給されてもよいし、インターネット又はLAN等の通信ネットワークを介して供給されてもよい。
【0023】
本実施形態に係る自走式溶接ロボット1は、制御装置10が溶接トーチ5のトーチ高さ及びトーチ角度を適切に調整・制御することによって、曲面を有するコーナー部CNにおいても良好な溶接を実現することが可能である。以下、制御装置10の具体的な構成及び動作について説明する。
【0024】
[制御装置の構成及び動作]
図3は、制御装置10の構成例を示すブロック図である。制御装置10は、姿勢取得部11、曲率取得部12、マップ作成部13、制御部14、データ保持部15、及びマップ保持部16を備えている。このうち、機能部11~14は、制御装置10のCPUがプログラムに従って情報処理を実行することによって実現される。記憶部15~16は、制御装置10のメモリに確保される。
【0025】
姿勢取得部11及び制御部14は、実施形態に係る溶接方法を実現するための機能部である。曲率取得部12及びマップ作成部13は、実施形態に係る制御マップの作成方法を実現するための機能部である。
【0026】
姿勢取得部11は、車体2の姿勢を表す姿勢データを取得する。姿勢データは、車体2の姿勢を直接的又は間接的に表すデータである。本実施形態では、車体2の移動量が姿勢データとして用いられる。すなわち、コーナー部CNでは車体2の移動量に応じて車体2の姿勢が変化するため、車体2の移動量を姿勢データとして用いることができる。姿勢取得部11については詳細を後述する。
【0027】
曲率取得部12は、コーナー部CNの曲率を表す曲率データを取得する。本実施形態では、曲率データは、例えばユーザの操作入力に応じて取得される。これに限らず、曲率データは、溶接対象WBの構造データから抽出されてもよいし、後述する手法によって実際に測定されてもよい。
【0028】
マップ作成部13は、高さ調整アクチュエータ6及び角度調整アクチュエータ7の制御に用いられる制御マップを予め作成し、マップ保持部16に格納する。マップ作成部13は、車体2の姿勢に応じた高さ調整アクチュエータ6の目標値及び角度調整アクチュエータ7の目標値を算出し、制御マップに含める。
【0029】
具体的には、マップ作成部13は、曲率取得部12により取得されたコーナー部CNの曲率を表す曲率データ、並びにデータ保持部15に記憶された前輪3及び後輪4の大きさ及び間隔などを表す車両形状データに基づいて、車体2の姿勢に応じた高さ調整アクチュエータ6の目標値及び角度調整アクチュエータ7の目標値を算出する。
【0030】
高さ調整アクチュエータ6の目標値及び角度調整アクチュエータ7の目標値は、コーナー部CNにおいて溶接トーチ5の先端部51と溶接点WPの距離及び溶接トーチ5の溶接点WPに対する角度の少なくとも一方が一定に保たれるように算出される。制御マップの作成については詳細を後述する。
【0031】
制御部14は、高さ調整アクチュエータ6、角度調整アクチュエータ7、及び車輪用アクチュエータ8を制御する。制御部14は、自走式溶接ロボット1がコーナー部CNを走行するときに、マップ保持部16に格納された制御マップを参照して、車体2の姿勢に応じた高さ調整アクチュエータ6の目標値及び角度調整アクチュエータ7の目標値を出力する。
【0032】
具体的には、制御部14は、コーナー部CNにおいて溶接トーチ5の先端部51と溶接点WPの距離及び溶接トーチ5の溶接点に対する角度の少なくとも一方を一定に保つように、高さ調整アクチュエータ6及び角度調整アクチュエータ7を制御する。なお、完全に一定である必要はなく、当該制御を行わない場合と比較して変動が抑制されていれば足りる。
【0033】
[姿勢データの取得]
本実施形態では、
図4に示すように、前輪移動量L(車体2の移動量に相当)を姿勢データとして取得する。前輪移動量Lの検出には、車輪用アクチュエータ8(
図2参照)に設けられたエンコーダ又はビジョンセンサ11a(
図5参照)等の移動量検出部が用いられる。移動量検出部は、姿勢取得手段の一例である。
【0034】
コーナー部CN上の前輪移動量Xは、X=L-L0で求められる。L0は、初期位置からコーナー部CNの入口までの移動距離である。L0は、ユーザの操作入力又は構造データから取得されてもよいし、ティーチングにより取得されてもよい。ティーチングでは、溶接前に自走式溶接ロボット1を初期位置から移動させてコーナー部CNの入口で停止させ、その状態の移動量検出値を記憶させる。
【0035】
車体2の姿勢を表す車体姿勢角∠θ2は、コーナー部CN上の前輪移動量Xを検出し、検出された前輪移動量X、コーナー部CNの曲率、及び車両形状に基づいて、幾何学的に算出できる。車両形状は、前輪3及び後輪4の大きさ及び間隔などである。
【0036】
前輪移動量Lの検出にエンコーダを用いる場合、前輪3の回転量をエンコーダで測定し、測定された前輪3の回転量に車輪径を掛けることで、前輪移動量Lを求める。
【0037】
前輪移動量Lの検出にビジョンセンサ11aを用いる場合、
図5に示すように、溶接対象WBの表面に溶接線WLに沿って設けられた距離マーカーMKをビジョンセンサ11aで読み取り、画像処理により前輪移動量Lを求める。ビジョンセンサ11aは、例えば車体2の溶接トーチ5とは反対の側方に配置される。
【0038】
姿勢データは、前輪移動量Lに限らず、例えば車体2の角度であってもよいし、車体2と溶接対象WBの間隔などであってもよい。
【0039】
車体2の角度を検出する角度検出部は、例えばジャイロセンサを含み、検出された角速度から車体2の角度を求める。角度検出部は、姿勢取得手段の一例である。自走式溶接ロボット1がコーナー部CNに入ると、車体2の角度が変化するので、この角度変化をジャイロセンサにより検出して、車体2の角度を取得する。
【0040】
車体2と溶接対象WBの間隔を検出する距離検出部は、
図6に示すように、例えば車体2に設けられたレーザ距離計11bを含む。距離検出部は、姿勢取得手段の一例である。自走式溶接ロボット1がコーナー部CNに入ると、レーザ距離計11bにより検出される距離が変化するので、この距離変化から車体2の姿勢を推定できる。
【0041】
図7の上図は、車体移動量とレーザ距離計11bの測定値との関係例を表すグラフであり、
図7の下図は、車体移動量と車体姿勢角∠θ2との関係例を表すグラフである。
【0042】
レーザ距離計11bの測定値、すなわち車体2と溶接対象WBの間隔は、コーナー部CNの入口までは一定で、コーナー部CNの入口を過ぎると減少を始め、コーナー部CNの中央で最も低くなり、コーナー部CNの中央を過ぎると増加を始め、コーナー部CNの出口を過ぎると再び一定となる。
【0043】
車体姿勢角∠θ2は、レーザ距離計11bの測定値に応じて変化する。車体姿勢角∠θ2は、コーナー部CNの入口までは0度のままで、コーナー部CNの入口を過ぎると増加を始め、コーナー部CNの中央で45度となり、コーナー部CNの中央を過ぎても増加を続け、コーナー部CNの出口で90度になる。
【0044】
レーザ距離計11bの測定値に基づいてコーナー部CN上の位置を取得することも可能である。すなわち、レーザ距離計11bの測定値の減少が始まった点をコーナー部CNの入口とし、測定値が最も低くなった点をコーナー部CNの中央とし、測定値の増加が終わった点をコーナー部CNの出口とする。
【0045】
[曲率データの取得]
上述したように、本実施形態では、コーナー部CNの曲率を表す曲率データは、ユーザの操作入力又は溶接対象WBの構造データから取得されるが、これに限らず、以下に説明するように、コーナー部CNの曲率が実際に測定されてもよい。
【0046】
例えば
図8に示すように、自走式溶接ロボット1にLiDAR(Light Detection and Ranging)等のレーザセンサ12aを設け、コーナー部CNの形状をセンシングして、コーナー部CNの曲率を求めてもよい。レーザセンサ12aに限らず、カメラが用いられてもよい。
【0047】
又は、上記
図6に示したレーザ距離計11bにより検出される距離(車体2と溶接対象WBの間隔)の変化に基づいて、コーナー部CNの曲率を求めてもよい。
図9に示すように、自走式溶接ロボット1にコーナー部CNを走行させたときの、レーザ距離計11bの測定値のコーナー部CNにおける変動幅に応じて、コーナー部CNの曲率を決定する。
【0048】
単位時間ごとの移動量に対するレーザ距離計11bの測定値(以下、変動度ともいう)によりコーナー部CNの形状が把握される。レーザ距離計11bの測定値の減少が始まった点、すなわち変動度が所定値(例えばゼロ)よりも低くなった点が、コーナー部CNの入口と認識される。
【0049】
レーザ距離計11bの測定値が減少し、最小値になる点、すなわち変動度が再び所定値(例えばゼロ)となる点が、コーナー部CNの中央と認識される。その後、レーザ距離計11bの測定値が増加し、増加が終わった点、すなわち変動度が再び所定値(例えばゼロ)となる点が、コーナー部CNの出口と認識される。
【0050】
[制御マップの作成]
以下、制御マップの作成について説明する。
【0051】
トーチ高さ及びトーチ角度の制御を行うには、前もってコーナー部CNの曲率を分かっている必要がある。そこで、溶接を行う前工程として、ユーザの操作入力若しくは溶接対象WBの構造データからコーナー部CNの曲率を取得し、又は自走式溶接ロボット1を走行させてコーナー部CNの曲率を計測して、コーナー部CNの曲率及び車両形状の幾何学的関係から、前輪移動量に対するトーチ高さ及びトーチ角度の制御マップを作成する。
【0052】
自走式溶接ロボット1は、コーナー部CNを走行するとき、
図10~
図14に示すように5つの姿勢を採る(5つの区間を通る)。トーチ高さ及びトーチ角度は、自走式溶接ロボット1の姿勢に応じて決定される。
図15は、各姿勢におけるトーチ高さ及びトーチ角度の例を示す図である。
図15の上図は、前輪移動量とトーチ角度との関係例を示す図であり、
図15の下図は、前輪移動量とトーチ高さとの関係例を示す図である。
【0053】
図10に示す姿勢1(区間1)は、自走式溶接ロボット1の前輪3がコーナー部CN上にあり、且つ溶接点WPがコーナー部CNの手前にある姿勢(区間)である。
図15に示すように、姿勢1では、前輪移動量の増加に伴ってトーチ角度の前進角及びトーチ高さが増加するように、高さ調整アクチュエータ6の目標値及び角度調整アクチュエータ7の目標値が決定される。
【0054】
図11に示す姿勢2(区間2)は、自走式溶接ロボット1の前輪3がコーナー部CN上にあり、且つ溶接点WPもコーナー部CN上にある姿勢(区間)である。
図15に示すように、姿勢2では、前輪移動量の増加に伴ってトーチ角度の前進角が減少し、トーチ高さが増加するように、高さ調整アクチュエータ6の目標値及び角度調整アクチュエータ7の目標値が決定される。
【0055】
図12に示す姿勢3(区間3)は、自走式溶接ロボット1の前輪3がコーナー部CNを過ぎ、溶接点WPがコーナー部CN上にあり、且つ後輪4がコーナー部CNの手前にある姿勢(区間)である。
図15に示すように、姿勢3では、前輪移動量の増加に伴ってトーチ角度の前進角が減少し、コーナー部CNの中央で0となった後、後進角が増加するように、角度調整アクチュエータ7の目標値が決定される。また、前輪移動量の増加に伴ってトーチ高さが増加し、コーナー部CNの中央で極大値となった後、減少するように、高さ調整アクチュエータ6の目標値が決定される。
【0056】
図13に示す姿勢4(区間4)は、自走式溶接ロボット1の溶接点WPがコーナー部CN上にあり、且つ後輪4もコーナー部CN上にある姿勢(区間)である。
図15に示すように、姿勢4では、前輪移動量の増加に伴ってトーチ角度の後進角が増加し、且つトーチ高さが減少するように、高さ調整アクチュエータ6の目標値及び角度調整アクチュエータ7の目標値が決定される。
【0057】
図14に示す姿勢5(区間5)は、自走式溶接ロボット1の溶接点WPがコーナー部CNを過ぎ、且つ後輪4がコーナー部CN上にある姿勢(区間)である。
図15に示すように、姿勢5では、前輪移動量の増加に伴ってトーチ角度の後進角及びトーチ高さが減少するように、高さ調整アクチュエータ6の目標値及び角度調整アクチュエータ7の目標値が決定される。
【0058】
[姿勢1についての説明]
以下、上記
図10に示した姿勢1(区間1)におけるトーチ高さ及びトーチ角度の決定手法について具体的に説明する。
【0059】
図16に示すように、溶接点WPの位置をA点とし、前輪3の中心をB点とし、後輪4の中心をC点とし、溶接トーチ5の回転中心をD点とし、B-C線の中間点をE点とし、D-B-Eが成す角を∠θDとし、車体2の前傾角を∠θ2とし、コーナー部CNの前輪3の接点と垂直線が成す角を∠θ1とし、B-C間の長さをL1とし、コーナー部CNの大きさをR1とし、車輪半径をR2とする。
【0060】
図17に示すように、コーナー部CNの入口(R開始点)から、前輪3とコーナー部CNとの接点がコーナー部CN上を前輪移動量Xだけ移動した場合、∠θ1=X/R1となる。水平線からの前輪3の落ち込み量ΔLは、ΔL=(R1+R2)×(1-cosθ1)となる。水平線に対する車体2の傾き角度∠θ2は、∠θ2=arcsin(ΔL/L1)となる。
【0061】
溶接トーチ5の回転中心Dは、高さ調整アクチュエータ6の動作によってD-E線上を移動する。高さ調整アクチュエータ6は、溶接トーチ5の回転中心Dと溶接点Aの距離が常に一定距離(=LT)となるように、D-E線上のD点の高さ(トーチ高さ)を制御する。
【0062】
この高さ制御により、
図18に示すように、溶接トーチ5の回転中心Dは、D-E線上であって、D’-A’(A’:溶接点)が一定距離LTとなる条件を満たす点D’(Dの目標点)に移動するように制御される。溶接トーチ5のトーチ角度(ここでは、前進角)∠E-D’-A’は、車体2の傾き角度∠θ2と等しくなるように制御される。
【0063】
ベクトルOB(=B点座標)は、((R1+R2)・sinθ1,(R1+R2)・cosθ1-R1)であり、ベクトルBEは、(-(L1/2)・cosθ2,(L1/2)・sinθ2)である。ベクトルOE(E点座標)は、ベクトルOB+ベクトルBEなので、((R1+R2)・sinθ1-(L1/2)・cosθ2,(R1+R2)・cosθ1-R1+(L1/2)・sinθ2)である。
【0064】
上記により得られたE点のX座標をExとし、、Y座標をEyとすると、A’点は(Ex+(LT-Ey)・tanθ2,0)となる。D’点は、(Ex+(LT-Ey)・tanθ2,LT)となる。これを(D’x,D’y)と表す。
【0065】
ベクトルBDは、(-L10×cos(θD+θ2),-R1+L10×sin(θD+θ2)となる。ここで、L10はDB間距離であるので、ベクトルOD(=D点座標)=ベクトルOB+ベクトルBDより、ベクトルOD(=D点座標)は、((R1+R2)・sinθ1-L10×cos(θD+θ2),(R1+R2)・cosθ1-R1+L10×sin(θD+θ2))となる。これを(Dx,Dy)と表す。
【0066】
以上より、トーチ高さ制御量(=D点移動量=D’-D間距離)は、√((D’x-Dx)2+(D’y-Dy)2)となる。
【0067】
姿勢2~姿勢5についても、上記と同様に、コーナー部CNの曲率及び車両形状(車輪半径,前輪-後輪間距離)の幾何学的関係から、前輪移動量に対するトーチ高さ及びトーチ角度を演算することができる。
【0068】
以上に説明した実施形態によれば、コーナー部CNの曲率及び車両形状の幾何学的関係に基づいて前輪移動量に対するトーチ高さ及びトーチ角度の制御マップを作成し、作成された制御マップを用いて、トーチ高さ及びトーチ角度を適切に調整・制御するので、曲面を有するコーナー部CNにおいても良好な溶接を実現することが可能である。
【0069】
[別の実施形態]
以下、別の実施形態について説明する。本実施形態では、以下に説明するように車輪用アクチュエータ8の速度制御が行われる。それ以外の構成及び動作は、上記実施形態と同様である。
【0070】
本実施形態において、マップ作成部13(
図3参照)は、コーナー部CNにおいて溶接トーチ5の先端部51の移動速度が一定となるような車輪用アクチュエータ8の目標値を算出し、制御マップに含める。これにより、制御部14(
図3参照)は、制御マップを参照して、コーナー部CNにおいて溶接トーチ5の先端部51の移動速度が一定となるように車輪用アクチュエータ8の目標値を出力する。
【0071】
図19は、制御マップの作成を説明するための図である。
図19の上図は、時間と前輪移動量Lwとの関係例を表すグラフであり、
図19の下図は、時間と前輪移動速度Vwとの関係例を表すグラフである。溶接点移動量LA及び溶接点移動速度VAは、溶接トーチ5の先端部51の移動量及び移動速度に相当する。
【0072】
前輪移動量Lwと溶接点移動量LAとの関係は、上記実施形態で説明したように求められる。
【0073】
また、溶接点移動量LA=溶接点移動速度VA×時間Tの、溶接点移動速度VAを一定とすることで、溶接点(A点)を一定速度で動かす場合の時間Tに対する溶接点移動量LAも求められる。
【0074】
これらに基づいて、
図19の上図に示すように、溶接点を一定速度で移動させるための時間Tに対する前輪移動量Lwが求められる。溶接点を一定速度で動かす場合、溶接点移動量LAは、時間に対して直線の関係になる。
【0075】
前輪移動量Lwは、姿勢1から姿勢3の途中まで(コーナー部CNの中央まで)は、溶接点移動量LAよりも小さくなり、姿勢3の途中から姿勢5までは、溶接点移動量LAよりも大きくなる。すなわち、トーチ角度(
図15の上図を参照)と反対の関係になる。
【0076】
そして、
図19の下図に示すように、前輪移動量Lwを時間微分することにより、溶接点を一定速度で動かすための時間Tに対する前輪移動速度Vwが求められる。
【0077】
上述したようにトーチ高さ及びトーチ角度を制御するとともに、同図に示すように前輪移動速度Vwを制御することで、トーチ5の先端部51の移動速度を一定にすることができ、コーナー部CNにおいてもより高品質な溶接を実現することが可能となる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0079】
1 自走式溶接ロボット、2 車体、3 前輪、4 後輪、5 溶接トーチ、51 先端部、6 高さ調整アクチュエータ、7 角度調整アクチュエータ、8 車輪用アクチュエータ、81 減速機、10 制御装置、11 姿勢取得部、12 曲率取得部、13 マップ作成部、14 制御部、15 データ保持部、16 マップ保持部、11a ビジョンセンサ、11b レーザ距離計、12a レーザセンサ