(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032085
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137983
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【弁理士】
【氏名又は名称】加治 信貴
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 猛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BE01
3L058BK05
(57)【要約】
【課題】生産性を向上し、絞り加工によるフード天板の歪みを抑え、フード天板と本体との間に隙間が生じないレンジフードとする。
【解決手段】フード2と、本体3と、フィルタ27と、送風機6を備え、フード天板20は、絞り加工によって形成されたフィルタ取付部4と、フィルタ取付部4の周囲を囲むように連続して設けられた上向きの凸部5を備え、本体3のフランジ部8の下面と、凸部5が接して本体3がフード天板20に取り付けられ、フード天板20の絞り加工による歪を凸部5で抑えてフード天板20と本体3との間に隙間が生じないようにしたレンジフード。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードと、前記フードのフード天板に取り付けられた本体と、前記フードに取り付けられたフィルタと、前記本体に設けられた送風機を備え、
前記フード天板は、前記送風機の吸い込み部と連通した開口部を有し、
前記送風機を駆動することで加熱調理等で発生した油煙を、前記フード内に捕集し、前記フィルタを通して機外に排出するレンジフードにおいて、
前記フード天板は、前記開口部の周囲に絞り加工によって形成されたフィルタ取付部と、前記フィルタ取付部の周囲を囲むように連続して設けられた上向きの凸部と、本体固定用の固定部を備え、
前記本体は、前記フードと固定される被固定部を有したフランジ部を備え、
前記被固定部と前記固定部を固着部材で固着することで前記本体が前記フード天板に取り付けられ、
前記フランジ部の一部の下面と、前記凸部の一部が接し、
凸部と接していないフランジ部は前記フード天板に接し、かつフランジ部が接していない凸部よりも外側に位置していることを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
フードと、前記フードのフード天板に取り付けられた本体と、前記フードに取り付けられたフィルタと、前記本体に設けられた送風機を備え、
前記フード天板は、前記送風機の吸い込み部と連通した開口部を有し、
前記送風機を駆動することで加熱調理等で発生した油煙を、前記フード内に捕集し、前記フィルタを通して機外に排出するレンジフードにおいて、
前記フード天板は、前記開口部の周囲に絞り加工によって形成されたフィルタ取付部と、前記フィルタ取付部の周囲を囲むように連続して設けられた上向きの凸部と、本体固定用の固定部を備え、
前記本体は、前記フードと固定される被固定部を有したフランジ部を備え、
前記被固定部と前記固定部を固着部材で固着することで前記本体が前記フード天板に取り付けられ、
前記フランジ部の少なくとも一部の下面と、前記凸部の少なくとも一部が接していることを特徴とするレンジフード。
【請求項3】
請求項2記載のレンジフードにおいて、
前記凸部は、前面側凸部と後面側凸部と右面側凸部と左面側凸部を有し、
前記フランジ部は、前面側フランジ部と後面側フランジ部と右面側フランジ部と左面側フランジ部を有し、
少なくとも前記前面側フランジ部の下面と前記前面側凸部の一部分が接しているレンジフード。
【請求項4】
請求項1、2、3いずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記フランジ部の下面と接している凸部は、前記固定部を避ける固定部逃げ部分を有しているレンジフード。
【請求項5】
請求項4記載のレンジフードにおいて、
前記固定部逃げ部分を有している凸部は、前記固定部逃げ部分以外の部分と前記固定部が同一直線状に設けられているレンジフード。
【請求項6】
請求項4または5記載のレンジフードにおいて、
前記固定部逃げ部分は、前記固定部よりもフィルタ取付部と反対側に設けられているレンジフード。
【請求項7】
請求項1から6いずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記フィルタ取付部の前面側部分に配線用孔が形成され、
前記凸部の前記フィルタ取付部の前面側部分と対向した前面側凸部は、前記配線用孔を避ける孔逃げ部分を有し、前記孔逃げ部分は、前記配線用孔よりも前面側に設けられているレンジフード。
【請求項8】
請求項7記載のレンジフードにおいて、
前記前面側凸部は、前記固定部を避ける固定部逃げ部分と前記配線用孔を避ける孔逃げ部分を有し、前記前面側凸部は、前記固定部逃げ部分と前記孔逃げ部分以外の部分と前記固定部が同一直線状に設けられ、
前記前面側凸部における前記固定部逃げ部分と孔逃げ部分以外の部分と前面フランジ部の下面が接しているレンジフード。
【請求項9】
請求項1から8いずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記凸部は、前後面側方向に対向した2つの凸部と右左側面方向に対向した2つの凸部を有し、右左側面方向に対称であるレンジフード。
【請求項10】
請求項1から9いずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記凸部は、前後面側方向に対向した2つの一方の凸部と右左側面方向に対向した2つの他方の凸部を有し、
少なくとも一方または他方の対向した2つの凸部とフランジ部の下面が接するようにしたレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器により加熱調理することで発生した油煙を屋外などに排出するレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から種々のレンジフードが提案されている。例えば、特許文献1に開示されたように、フードのフード天板に受け部を取り付けてフィルタ取付部とし、フィルタ取付部にフィルタを取り付け、本発明の本体に相当する箱体をフード天板に取り付け、本体内に送風機を設け、送風機を駆動することで加熱調理器により加熱調理することで発生した油煙をフード内に捕集し、フィルタを通して屋外に排出するレンジフードが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレンジフードは、フィルタ取付部をフードとは別に作成し、フード天板に取り付けているので、生産性が悪いとの問題がある。
本発明者等は、この問題を解消するためにフード天板を絞り加工してフィルタ取付部を一体成形し、生産性を向上することを試みた。
しかし、フード天板を絞り加工することでフード天板に歪みが発生し、フード天板と本体の間に隙間ができてしまい、レンジフード運転時に隙間から油煙などを吸い込みしてしまうことがあった。また、フードの清掃時などに隙間からフード内に洗浄液などの液体が浸入してしまうことがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題解決するためになされたものであり、その目的は、フード天板を絞り加工してフィルタ取付部を一体成形して生産性を向上し、絞り加工によるフード天板の歪みを抑え、フード天板と本体との間に隙間が生じないレンジフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1のレンジフードは、フードと、前記フードのフード天板に取り付けられた本体と、前記フードに取り付けられたフィルタと、前記本体に設けられた送風機を備え、前記フード天板は、前記送風機の吸い込み部と連通した開口部を有し、前記送風機を駆動することで加熱調理等で発生した油煙を、前記フード内に捕集し、前記フィルタを通して機外に排出するレンジフードにおいて、前記フード天板は、前記開口部の周囲に絞り加工によって形成されたフィルタ取付部と、前記フィルタ取付部の周囲を囲むように連続して設けられた上向きの凸部と、本体固定用の固定部を備え、前記本体は、前記フードと固定される被固定部を有したフランジ部を備え、前記被固定部と前記固定部を固着部材で固着することで前記本体が前記フード天板に取り付けられ、前記フランジ部の一部の下面と、前記凸部の一部が接し、凸部と接していないフランジ部は前記フード天板に接し、かつフランジ部が接していない凸部よりも外側に位置していることを特徴とするレンジフードである。
【0007】
本発明の第2のレンジフードは、フードと、前記フードのフード天板に取り付けられた本体と、前記フードに取り付けられたフィルタと、前記本体に設けられた送風機を備え、前記フード天板は、前記送風機の吸い込み部と連通した開口部を有し、前記送風機を駆動することで加熱調理等で発生した油煙を、前記フード内に捕集し、前記フィルタを通して機外に排出するレンジフードにおいて、前記フード天板は、前記開口部の周囲に絞り加工によって形成されたフィルタ取付部と、前記フィルタ取付部の周囲を囲むように連続して設けられた上向きの凸部と、本体固定用の固定部を備え、前記本体は、前記フードと固定される被固定部を有したフランジ部を備え、前記被固定部と前記固定部を固着部材で固着することで前記本体が前記フード天板に取り付けられ、前記フランジ部の少なくとも一部の下面と、前記凸部の少なくとも一部が接していることを特徴とするレンジフードである。
【0008】
本発明のレンジフードにおいては、前記凸部は、前面側凸部と後面側凸部と右面側凸部と左面側凸部を有し、前記フランジ部は、前面側フランジ部と後面側フランジ部と右面側フランジ部と左面側フランジ部を有し、少なくとも前記前面側フランジ部の下面と前記前面側凸部の一部分が接しているレンジフードとすることができる。
これによれば、フード天板と本体前面側部との密着性が向上し、前面側から油煙や洗浄液などの液体が本体に向けて流れることが多いレンジフードにおいては大きな効果を得られる。
【0009】
本発明のレンジフードにおいては、前記フランジ部の下面と接している凸部は、前記固定部を避ける固定部逃げ部分を有しているレンジフードとすることができる。
これによれば、フランジ部の下面が凸部に強く接し、フランジ部を強く固定できる。
【0010】
本発明のレンジフードにおいては、前記固定部逃げ部分を有している凸部は、前記固定部逃げ部分以外の部分と前記固定部が同一直線状に設けられているレンジフードとすることができる。
これによれば、フランジ部の下面と凸部の密着性がより向上し、フード天板と本体の間に隙間をなくすことができる。
【0011】
本発明のレンジフードにおいては、前記固定部逃げ部分は、前記固定部よりもフィルタ取付部と反対側に設けられているレンジフードとすることができる。
これによれば、固定部逃げ部分が堤防の役目をし、固定部まで液体が流れ難くなり、固定部から液体がフード内に侵入することを防止できる。
【0012】
本発明のレンジフードにおいては、前記フィルタ取付部の前面側部分に配線用孔が形成され、前記凸部の前記フィルタ取付部の前面側部分と対向した前面側凸部は、前記配線用孔を避ける孔逃げ部分を有し、前記孔逃げ部分は、前記配線用孔よりも前面側に設けられているレンジフードとすることができる。
これによれば、配線用孔を通してフードと本体に亘って配線できる。
また、孔逃げ部分が堤防の役目をし、配線用孔まで液体が流れ難くなり、配線用孔から液体がフード内に侵入することを防止できる。
【0013】
本発明のレンジフードにおいては、前記前面側凸部は、前記固定部を避ける固定部逃げ部分と前記配線用孔を避ける孔逃げ部分を有し、前記前面側凸部は、前記固定部逃げ部分と前記孔逃げ部分以外の部分と前記固定部が同一直線状に設けられ、前記前面側凸部における前記固定部逃げ部分と孔逃げ部分以外の部分と前面フランジ部の下面が接しているレンジフードとすることができる。
これによれば、前面側から油煙や洗浄液などの液体が本体に向けて流れることが多く、フードの前面側に電装品を設けてあるレンジフードにおいては大きな効果を得られる。
【0014】
本発明のレンジフードにおいては、前記凸部は、前後面側方向に対向した2つの凸部と右左側面方向に対向した2つの凸部を有し、右左側面方向に対称であるレンジフードとすることができる。
これによれば、凸部の右左面側方向のバランスが良く、フードに本体を右左側面方向のバランスよく取り付けできる。
【0015】
本発明のレンジフードにおいては、前記凸部は、前後面側方向に対向した2つの一方の凸部と右左側面方向に対向した2つの他方の凸部を有し、少なくとも一方または他方の対向した2つの凸部とフランジ部の下面が接するようにしたレンジフードとすることができる。
これによれば、本体をフード天板にバランスよく取り付けできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1、第2のレンジフードによれば、フード天板を絞り加工することでフィルタ取付部を一体成形し、生産性が向上する。
また、凸部を設けたことで、フード天板を絞り加工してフィルタ取付部を一体成形する際のフード天板の歪みを抑えることができるから、フード天板と本体の間に歪みによる隙間が生じることがない。
また、凸部は上向きであるから液体の流れを止める堤防の役目を有し、フード天板の上面を流れる液体がフィルタ取付部側に流れることを防止できる。
また、フランジ部の下面と凸部の接触部は接触面積が狭い線状の接触であるので、本体をフード天板に固定する力や本体の自重などで、フランジ部の下面と凸部の接触部の密着性が向上し、隙間をなくすことができ、接触部から液体が浸入することがない。
したがって、レンジフード運転時にフード天板と本体との間から空気を吸い込むことがなく、フード天板と本体との間から液体がフード内に浸入することもない。
【0017】
本発明の第1のレンジフードによれば、凸部と接していないフランジ部はフード天板に接しているので、本体を安定して取り付けできる。
また、凸部と接していないフランジ部は、フランジ部が接していない凸部よりも外側に位置しているので、本体をフード天板に取り付ける際に位置決め機能を有し、本体の取り付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のレンジフードの実施の形態を示す全体斜視図である。
【
図2】本発明のレンジフードの実施の形態を示す全体正面図である。
【
図3】本発明のレンジフードの実施の形態を示す全体平面図である。
【
図4】本発明のレンジフードの実施の形態を示す全体底面図である。
【
図5】本発明のレンジフードの実施の形態を示すフィルタと整流板を取り外した状態の底面図である。
【
図6】
図2に示すレンジフードのA-A断面図である。
【
図7】
図2に示すレンジフードのB-B断面図である。
【
図8】
図5に示すレンジフードのC部拡大図である。
【
図9】
図6に示すレンジフードのD部拡大図である。
【
図11】
図2に示すレンジフードのE-E顔面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のレンジフードの実施の形態を図に基づいて説明する。
レンジフードの全体構成を
図1から
図7を参照して説明する。
図1はレンジフードの全体斜視図、
図2はレンジフードの全体正面図、
図3はレンジフードの全体平面図、
図4はレンジフードの全体底面図、
図5はフィルタと整流板を取り外した状態のレンジフードの底面図、
図6は
図2に示すレンジフードのA-A断面図、
図7は
図2に示すレンジフードのB-B断面図である。
図1から
図3に示すように、レンジフード1は、フード2と本体3を備えている。フード2は、フード天板20と周面板21とで下面が開口した箱形状で、周面板21は、前面側板22と後面側板23と左面側板24と右面側板25で平面形状が矩形状である。前面側とはレンジフード1を設置した状態で調理する人と対向する側の面で、後面側とは前面側と対向する側の面であり、左面側とはレンジフードを設置した状態で調理する人の左側の面で、右面側とはレンジフードを設置した状態で調理する人の右側の面である。
【0020】
本体3は、上面板30と周面板31とで下面が開口した箱形状で、周面板31は前面側板32と後面側板33と左面側板34と右面側板35を有している。
図5、
図6に示すように、フード天板20の後面側板23寄りに開口部26を有し、その開口部26の周囲にフィルタ取付部4が絞り加工により一体成形してある。
フィルタ取付部4の周囲を囲むように凸部5が連続して設けられ、凸部5はフード天板20の上面20aよりも上方に突出した上向きの凸部である。
フード天板20を絞り加工してフィルタ取付部4を一体成形したことで、生産性が向上する。
凸部5を設けたことで、フード天板20を絞り加工してフィルタ取付部4を一体成形する際のフード天板20の歪みを抑えることができる。
【0021】
これにより、フード天板20と本体3の間に歪みによる隙間が生じることがなく、レンジフード運転時にフード天板20と本体3との間から空気を吸い込むことがなく、フード天板20と本体3との間から液体がフード2内に浸入することもない。
また、凸部5は上向きであるから液体の流れを止める堤防の役目を有し、フード天板20の上面を流れる液体がフィルタ取付部4側に流れることを防止できる。
【0022】
図6に示すように、フィルタ取付部4にフィルタ27が取り付けてあり、フード2内には整流板28が取り付けてある。整流板28はフィルタ27の下方に位置してフィルタ27を覆っている。
図4に示すように、整流板28の外周面28aとフード2の周面板21の内側面21aが離隔し、流入口部29を形成している。
図6に示すように、本体3内に送風機6が設けてある。送風機6は、モータ60とファン61を有し、ファン61が回転することで吸い込み部62から空気を吸い込みする。吸い込み部62は開口部26と連通している。
モータ60でファン61を回転して送風機6を駆動することで、加熱調理などで発生した油煙を流入口部29を通してフード2内に捕集し、フィルタ27を通して送風機6が吸い込み、機外に排出する。例えば、図示しないダクト等を通り屋外に排出する。
【0023】
図6に示すように、フード2内の前面側板22寄りに電装品7が取り付けしてある。電装品7はスイッチなどの操作部70と照明71を有している。
フード2内の前面側板22寄りに電装品7を覆う電装品カバー72が取り付けられ、フード2内に捕集された油煙が電装品7に当たらないようにしてある。
電装品7と本体3内に亘って電気配線(図示せず)されるので、
図5に示すように、フード天板20の下面20bに配線カバー73を取り付けて電気配線に油煙が当たらないようにしている。
図5と
図7に示すように、配線カバー73の前面側端部は電装品カバー72の孔74を通して電装品7側に突出し、配線カバー73の後面側端部はフィルタ取付部4の前面側部分4aに形成した配線用孔75を通して本体3側に突出している。
【0024】
図8と
図9に基づいてフィルタ取付部4と凸部5を詳細に説明する。
図8は
図5のC部拡大図、
図9は
図6のD部拡大図である。
図8においては配線カバー73の後面側端部を図示せずに配線用孔75を図示している。
図8に示すように、フィルタ取付部4は、前面側板22側の前面側フィルタ取付部40と、後面側板23側の後面側フィルタ取付部41と、左面側板24側の左面側フィルタ取付部42と、右面側板25側の右面側フィルタ取付部43とで平面形状が矩形状である。前面側フィルタ取付部40が前面側部分4aである。
各フィルタ取付部40、41、42、43は、
図9に示すように、フード天板20と連続した下向き部44と、下向き部44と連続した横向き部45と、横向き部45と連続した鈎型のフィルタ支持部46とで略上向きコ字形状で、各フィルタ支持部46によって開口部26を形成している。フィルタ27は各フィルタ支持部46に亘って取り付けられる。
【0025】
図8に示すように、上向きの凸部5は、前面側フィルタ取付部40に沿って設けられた前面側凸部50と、後面側フィルタ取付部41に沿って設けられた後面側凸部51と、左面側フィルタ取付部42に沿って設けられた左面側凸部52と、右面側フィルタ取付部43に沿って設けられた右面側凸部53とで平面形状が矩形状である。各凸部50、51、52、53は直線形状であるが、フィルタ取付部4の平面形状が円形、楕円形などである場合は、各凸部50、51、52、53は円弧状に湾曲した形状とする。つまり、上向きの凸部5は、前後面側方向に対向した2つの凸部と右左面側方向に対抗した2つの凸部を有し、右左面側方向に対称で、フィルタ取付部4に沿って設けられ、フィルタ取付部4と同一の平面形状とすることが望ましい。
これによれば、凸部5の右左面側方向のバランスが良く、フード2に本体3を右左側面方向のバランスよく取り付けできる。
【0026】
フード天板20におけるフィルタ取付部4の周囲に、本体3を固定するための本体固定用の固定部10が設けてある。固定部10はフード天板20を貫通し、ねじなどの固着部材11が通る孔である。固定部10はこれに限ることはなく、例えば固着部材11がねじ込まれるねじ孔とすることもできる。
固定部10は、前面側フィルタ取付部40に沿って設けてある複数の前面側固定部10aと、左面側フィルタ取付部42に沿って設けてある複数の左面側固定部10bと、右面側フィルタ取付部43に沿って設けてある複数の右面側固定部10cを有している。これに限ることはなく、固定部10はフィルタ取付部4の周囲のいずれにも設けることができる。
【0027】
左面側固定部10bは左面側凸部52の左面側フィルタ取付部42と反対側、つまり、外側に設けてあるので、左面側凸部52を左面側固定部10bに関係なく左面側フィルタ取付部42に接近した位置に設けることができる。
右面側固定部10cは右面側凸部53の右面側フィルタ取付部43と反対側、つまり、外側に設けてあるので、右面側凸部53を右面側固定部10cに関係なく右面側フィルタ取付部43に接近した位置に設けることができる。
これによれば、フード天板20を絞り加工してフィルタ取付部4を一体成形した時に、フード天板20の歪みをより一層抑えることができる。
【0028】
前面側凸部50は、前面側固定部10aを避ける固定部逃げ部分50aを有し、前面側固定部分10aにより前面側凸部50が不連続とならないようにしてある。
前面側凸部50における固定部逃げ部分50a以外の部分50bと前面側固定部10aが同一直線状に設けられている。同一直線状とは、同一直線状及び同一直線状から少しずれていることを含む。
固定部逃げ部分50aは前面側固定部10aよりも前面側フィルタ取付部40と反対側に設けてある。つまり、固定部逃げ部分50aは、フード2の前面側板22に向けて円弧形状に湾曲して突出しいる。固定部逃げ部分50aは、円弧形状に限ることはなく、山形状、台形状等とすることもできる。
【0029】
これによれば、固定部逃げ部分50aが前面側固定部10aに液体が流れることを止める堤防の役目を有し、フード天板20の上面20aを流れる液体が前面固定部10aからフード2内に浸入することを防止できる。例えば、フード天板20を清掃する際に洗浄液がフード2内に侵入することを防止できる。
また、前面側凸部50を前面側フィルタ取付部40に接近した位置に設けることができ、フィルタ取付部4と上向きの凸部5における固定部逃げ部分50a以外の間隔を周囲で同一とすることできる。
【0030】
前面側凸部50は、配線用孔75を避ける孔逃げ部分50cを有し、配線用孔75により前面側凸部50が不連続とならないようにしてある。
前面側凸部50における固定部逃げ部分50aと孔逃げ部分50c以外の部分50bと、前面側固定部10aが同一直線状に設けられている。同一直線状とは、同一直線状及び同一直線状から少しずれていることを含む。
孔逃げ部分50cは配線用孔75よりも前面側に設けてある。つまり、孔逃げ部分50cは、フード2の前面側板22に向けて円弧状に湾曲して突出しいる。孔逃げ部分50cは、円弧形状に限ることはなく、山形状、台形状等とすることもできる。
これによれば、孔逃げ部分50cは配線用孔75に液体が流れることを止める堤防の役目を有し、フード天板20の上面20aを流れる液体が配線用孔75aからフード2内に浸入することを防止できる。例えば、フード天板20を清掃する際に洗浄液がフード2内に侵入することを防止できる。
また、配線用孔75を前面側フィルタ取付部40からフード天板20に亘って連続して形成した場合に、前面側凸部50を前面側フィルタ取付部40に接近して設けることができる。なお、配線用孔75の大きさ、形状などによっては前面側凸部50に孔逃げ部分50cを形成しなくともよい。
【0031】
図10に基づいて本体3を詳細に説明する。
図10は
図1に示す本体の拡大底面図である。
本体3の周面板31の下部に取り付け用のフランジ部8が設けてある。
フランジ部8はフード2と固定される被固定部12を有している。
被固定部12は、ねじなどの固着部材11がねじ込まれるねじ孔である。被固定部12はこれに限ることはなく、例えば固着部材11が通る孔とすることもできる。
フード天板20の固定部10を通した固着部材11を被固定部12にねじ込むことで、本体3がフード天板20に取り付けられる。
【0032】
フランジ部8は前面側板32の下部分を折り曲げ加工して設けた前面側フランジ部80と、後面側板33の下部分を折り曲げ加工して設けた後面側フランジ部81と、左面側板34の下部分を折り曲げ加工して設けた左面側フランジ部82と、右面側板35の下部分を折り曲げ加工して設けた右面側フランジ部83により平面形状が矩形状である。
前面側フランジ部80は前面側板32よりも前面側に突き出している。つまり外向きである。後面側フランジ部81は後面側板33よりも前面側に突き出している。つまり内向きである。左面側フランジ部82は左面側板34よりも右面側に突き出している。つまり内向きである。右面側フランジ部83は右面側板35よりも左面側に突き出している。つまり内向きである。
【0033】
前面側フランジ部80は本体3の左右側面方向の寸法よりも長く、
図1、
図2に示すように左面側板34より突き出した左側突き出し部分80aと、右面側板35より突き出した右面側突き出し部分80bを有し、左右面側突き出し部80a、80bをねじなどの固着部材でフード天板20に固定してある。これによりフード天板20を補強することができる。
各フランジ部80、81、82、83は各板32、33、34、35とは別に作成し、各板32、33、34、35の下部にビス、ねじ、溶接などで固着して設けることもできる。
【0034】
被固定部12は前面側フランジ部80に設けた複数の前面側被固定部12aと、左面側フランジ部82に設けた複数の左面側被固定部12bと、右面側フランジ部83に設けた複数の右面側被固定部12cを有している。
前面側被固定部12aがフード天板20の前面側固定部10aと対向し、本体3をフード天板20に接した状態で、前面側固定部10aを通した固着部材11が前面側被固定部12aにねじ込まれる。左面側被固定部12bがフード天板20の左面側固定部10bと対向し、本体3をフード天板20に接した状態で、左面側固定部10bを通した固着部材11が左面側被固定部12bにねじ込みされる。右面側被固定部12cがフード天板20の右面側固定部10cと対向し、本体3をフード天板20に接した状態で、右面側固定部10cを通した固着部材11が右面側被固定部12cにねじ込まれる。
【0035】
図11に基づいて本体の取り付けを説明する。
図11は
図2に示すレンジフードのE-E断面図である。
前面側フランジ部80の下面を、前面側凸部50における固定部逃げ部分50aと孔逃げ部分50c以外の部分50b、つまり一部分に接し、後面側フランジ部81の下面が後面側凸部51に接する。左面側フランジ部82の下面をフード天板20の上面20aに接し、右面側フランジ部83の下面がフード天板20の上面20aに接する。
この状態で各固定部10a、10b、10cから固着部材11を各被固定部12a、12b、12cにねじ込むことで、前面側フランジ部80の下面を前面側凸部50に押しつけ、後面側フランジ部81の下面を後面側凸部51に押しつけ、左面側フランジ部82の下面と右面側フランジ部83の下面をフード天板20の上面20aに押しつけることで、本体3をフード天板20に固定して取り付ける。
【0036】
このように、前後面側フランジ部80、81の下面が前後面側凸部50、51にそれぞれ接するので、本体3をフード天板20に前後面側方向のバランスよく取り付けできる。
しかも、前後面側フランジ部80、81と前後面側凸部50、51の接触部は接触面積が狭い線状の接触であるので、本体3をフード天板20に固定する力や本体3の自重などで、前面側フランジ部80の下面と前面側凸部50の接触部および後面側フランジ部81の下面と後面側凸部51の接触部の密着性が向上し、隙間をなくすことができ、フード天板20と本体3の前後面側部との接触部から液体が浸入することがない。
【0037】
また、左面側フランジ部82の下面がフード天板20の上面20aに接し、右面側フランジ部83の下面がフード天板20の上面20aに接するので、各接触部は接触面積が広い面接触であるから、本体3を安定し、左右面側方向のバランスよくフード天板20に取り付けできる。
しかも、左面側フランジ部82は左面側凸部52よりも外側に位置し、右面側フランジ部83は右面側凸部53より外側に位置するので、本体3をフード天板20に取り付ける際に左右面側方向の位置決め機能を有し、本体3の取り付けが容易である。
【0038】
また、前面側凸部50に固定部逃げ部分50aを設けたことで、前面側固定部10aの周りと前面側凸部50の固定部逃げ部分50aとの間および、前面側固定部10aと前面側フランジ部80との間に隙間ができるため、固着部材11を前面側被固定部12aにねじ込むことにより生じる引き込み力で、前面側フランジ部80を強く固定できる。これにより本体3の前面側部をフード天板20に強固に取り付けできる。
また、前面側凸部50における固定部逃げ部分50a以外の部分50bと前面側固定部10aが同一直線状に設けられていることで、固着部材11のねじ込みにより生じる引き込み力は、前面側フランジ部80における前面側凸部50の固定部逃げ部分50a以外の部分50bと対向した部分に集中して作用し、前面側フランジ部80の下面と前面側凸部50の密着性がより向上する。これにより本体3の前面側部とフード天板20の間に隙間をなくすことができる。
【0039】
実施の形態では、前後面側フランジ部80、81の下面を前後面側凸部50、51に接し、左右面側フランジ部82、83の下面をフード天板20に接したが、これに限ることはなく、前後面側フランジ部80、81の下面をフード天板20に接し、左右面側フランジ部82、83の下面を左右面側凸部52、53に接するようにしてもよいし、一つのフランジ部の下面を一つの凸部に接したり、すべてのフランジ部の下面を凸部に接するようにしてもよい。
また、前面側凸部50に固定部逃げ部分50aを設けたが、これに限ることはなく固定部逃げ部分は他の凸部に設けてもよい。
他の構成も実施の形態に限ることはなく、任意の構成とすることができる。
【符号の説明】
【0040】
1…レンジフード、2…フード、3…本体、4…フィルタ取付部、5…上向きの凸部、6…送風機、7…電装品、8…フランジ部、10…本体固定用の固定部、10a…前面側固定部、10b…左面側固定部、10c…右面側固定部、11…固着部材、12…被固定部、12a…前面側被固定部、12b…左面側被固定部、12c…右面側被固定部、20…フード天板、21…周面板、22…前面側板、23…後面側板、24…左面側板、25…右面側板、26…開口部、27…フィルタ、28…整流板、30…上面板、31…周面板、32…前面側板、33…後面側板、34…左面側板、35…右面側板、40…前面側フィルタ取付部、41…後面側フィルタ取付部、42…左面側フィルタ取付部、43…右面側フィルタ取付部、50…前面側凸部、50a…固定部逃げ部分、50b…固定部逃げ部分以外の部分、50c…孔逃げ部分、51…後面側凸部、52…左面側凸部、53…右面側凸部、60…モータ、61…ファン、62…吸い込み部、70…操作部、71…照明、72…電装品カバー、73…配線カバー、74…孔、75…配線用孔、80…前面側フランジ部、81…後面側フランジ部、82…左面側フランジ部、83…右面側フランジ部。