(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032107
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】太陽電池パネル取付架台
(51)【国際特許分類】
E04D 13/18 20180101AFI20230302BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20230302BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/23 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138025
(22)【出願日】2021-08-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】397052000
【氏名又は名称】株式会社栄信
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】川村 拓也
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM01
2E108MM06
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】螺子棒の支持金具からの脱落を防止する。
【解決手段】太陽電池パネルPを載置固定する様に屋根R上に複数平行配置する凹溝状の杆材2と、杆材2の載上固定手段4を設けて屋根R上の適所に設置される支持金具1とから成り、載上固定手段4は、上面が平坦で横幅Dが杆材底板2aの横幅D1と同一に設定された架台載置部13を設け、架台載置部13は、ナット11が螺着される螺子棒12下端に設けた頭部12aと、螺子棒12の付け根部12bをスライド挿入可能に横貫した断面略C形のリップ溝部14を設けて成り、架台載置部13の上面となるリップ溝部14の一対のリップ片14a間に形成されるスリット14bは頭部12aより幅小に設定され、杆材2は、スリット14bより上方突出する螺子棒12を挿通する長穴17を底板2aに設け、底板2aの長手方向両側縁には、架台載置部13上への杆材2の載置状態でスリット14bの両端口14cを閉塞する垂下片18を設ける。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルを載置固定する様に屋根上の桁行方向に複数平行配置する凹溝状の杆材と、該杆材の載上固定手段を設けて屋根上の適所に設置される支持金具とから成り、該支持金具の前記載上固定手段は、上面が平坦で横幅が杆材底板の横幅と同一に設定された架台載置部を設け、該架台載置部は、ナットが螺着される螺子棒の下端に設けた頭部と、該頭部との螺子棒の付け根部をスライド挿入可能に横貫した断面略C形のリップ溝部を設けて成り、架台載置部の上面となるリップ溝部の一対のリップ片間に形成されるスリットは前記頭部より幅小に設定され、杆材は、架台載置部のスリットより上方突出する前記螺子棒を挿通する長穴を前記底板の長手軸線上に所定間隔置きに設けると共に、該底板の長手方向両側縁には、架台載置部上への杆材の載置状態でスリットの両端口を閉塞する垂下片を設けたことを特徴とする太陽電池パネル取付架台。
【請求項2】
支持金具は、載上固定手段を対向支持する一対のフランジ付き脚部を設け、該フランジ付き脚部のフランジ底部に設けた粘着性及び緩衝性を有する止水材と、該止水材を介して屋根材上に設置したフランジを屋根材を通して該屋根材下方の野地板にねじ止めする固定ネジとを備え、前記フランジには固定ネジの螺挿にて雌ねじが螺刻されると共に、固定ネジがフランジに螺着一体化する様に成した固定ネジより小径な貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1記載の太陽電池パネル取付架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルを取付けるための架台を屋根上に設置するための太陽電池パネル取付架台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽電池パネルを載置固定する様に屋根上の桁行方向に複数平行配置する中空四角柱状の杆材と、該杆材の載上固定手段を設けて屋根上の適所に設置される支持金具とから成り、該支持金具の前記載上固定手段は、上面が平坦で横幅が杆材の横幅より若干長く設定されると共に、その上面よりナットが螺着される螺子棒を上方突設した架台載置部を設け、該架台載置部は、ナットが螺着される螺子棒の下端に設けた頭部と、該頭部との螺子棒の付け根部をスライド挿入可能に横貫した断面略C形のリップ溝部を設けて成り、架台載置部の上面となるリップ溝部の一対のリップ片間に形成されるスリットは前記頭部より幅小に設定され、杆材は、上面部の長手軸線上に所定間隔置きに架台載置部のスリットより上方突出する螺子棒を挿通する長穴を設けた太陽電池パネル取付架台が開示されている。
【0003】
この太陽電池パネル取付架台では、屋根上に設置した支持金具における架台載置部に横貫されたリップ溝部に頭部とこれの螺子棒の付け根部をスライド挿入し、架台載置部の上面のスリットより突出する螺子棒に杆材の長穴を挿通することにより、架台載置部上で杆材を縦横に移動させられ、杆材を適宜位置に配置した状態で螺子棒にナットを螺着固定することにより太陽電池パネルを整然と取付けられる架台を構成する様に成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成の太陽電池パネル取付架台では、支持金具の架台載置部上で杆材をスリットに沿って屋根の桁行方向に動かす時には、リップ溝部から頭部が脱落することがあり、この場合に支持金具から離脱した螺子棒を屋根上から拾い上げられずに付近に見当たらなければ、架台設置作業を一旦停止して螺子棒を見つけなければならず、これが見つけられるまでは螺子棒が屋根上より滑落する危険を招来しており、安全を確保できないといった課題を有している。
【0006】
そこで、本発明では、螺子棒の支持金具からの脱落を防止して安全に組み立て作業できる様にした太陽電池パネル取付架台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明の太陽電池パネル取付架台は、太陽電池パネルを載置固定する様に屋根上の桁行方向に複数平行配置する凹溝状の杆材と、該杆材の載上固定手段を設けて屋根上の適所に設置される支持金具とから成り、該支持金具の前記載上固定手段は、上面が平坦で横幅が杆材底板の横幅と同一に設定された架台載置部を設け、該架台載置部は、ナットが螺着される螺子棒の下端に設けた頭部と、該頭部との螺子棒の付け根部をスライド挿入可能に横貫した断面略C形のリップ溝部を設けて成り、架台載置部の上面となるリップ溝部の一対のリップ片間に形成されるスリットは前記頭部より幅小に設定され、杆材は、架台載置部のスリットより上方突出する前記螺子棒を挿通する長穴を前記底板の長手軸線上に所定間隔置きに設けると共に、該底板の長手方向両側縁には、架台載置部上への杆材の載置状態でスリットの両端口を閉塞する垂下片を設けたことを特徴とする。
また、支持金具は、載上固定手段を対向支持する一対のフランジ付き脚部を設け、該フランジ付き脚部のフランジ底部に設けた粘着性及び緩衝性を有する止水材と、該止水材を介して屋根材上に設置したフランジを屋根材を通して該屋根材下方の野地板にねじ止めする固定ネジとを備え、前記フランジには固定ネジの螺挿にて雌ねじが螺刻されると共に、固定ネジがフランジに螺着一体化する様に成した固定ネジより小径な貫通孔を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
要するに本発明は、太陽電池パネルを載置固定する様に屋根上の桁行方向に複数平行配置する凹溝状の杆材と、該杆材の載上固定手段を設けて屋根上の適所に設置される支持金具とから成り、該支持金具の前記載上固定手段は、上面が平坦で横幅が杆材底板の横幅と同一に設定された架台載置部を設け、該架台載置部は、ナットが螺着される螺子棒の下端に設けた頭部と、該頭部との螺子棒の付け根部をスライド挿入可能に横貫した断面略C形のリップ溝部を設けて成り、架台載置部の上面となるリップ溝部の一対のリップ片間に形成されるスリットは前記頭部より幅小に設定され、杆材は、架台載置部のスリットより上方突出する前記螺子棒を挿通する長穴を前記底板の長手軸線上に所定間隔置きに設けると共に、該底板の長手方向両側縁には、架台載置部上への杆材の載置状態でスリットの両端口を閉塞する垂下片を設けたので、屋根上に設置した支持金具における架台載置部に横貫されたリップ溝部に頭部とこれの螺子棒の付け根部をスライド挿入し、架台載置部の上面のスリットより上方突出する螺子棒に杆材の長穴を挿通して、架台載置部上に杆材底板を夫れの横幅同士を合致させる様に載置することにより、その底板の長手方向両側縁に設けた垂下片がスリットの両端口を閉塞でき、架台載置部からの螺子棒の脱落を未然に防止できる。
そして、かかる状態において、架台載置部上で長穴に沿って杆材を位置調整し、長穴より上方突出した螺子棒にナットを螺着固定すれば、太陽電池パネルを整然と取付けられる架台を安全に組み立てられる。
【0009】
支持金具は、載上固定手段を対向支持する一対のフランジ付き脚部を設け、該フランジ付き脚部のフランジ底部に設けた粘着性及び緩衝性を有する止水材と、該止水材を介して屋根材上に設置したフランジを屋根材を通して該屋根材下方の野地板にねじ止めする固定ネジとを備え、前記フランジには固定ネジの螺挿にて雌ねじが螺刻されると共に、固定ネジがフランジに螺着一体化する様に成した固定ネジより小径な貫通孔を設けたので、止水材を介した屋根材上方で、該屋根材を通して野地板にねじ止めされた固定ネジに螺着固定できる。
よって、支持金具は、これに載上固定される杆材と、該杆材を複数平行配置して構成した架台に取付けられる太陽電池パネルとからの下方への荷重を固定ネジで受承することにより、屋根材への荷重負担を軽減できる。
しかも、フランジの貫通孔に固定ネジを単に螺挿するだけで、支持金具を屋根上に簡単容易に設置できるため、作業手間を要せず、施工コストをも低減できる等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】屋根上に太陽電池パネルを設置した一例を示す斜視図である。
【
図3】一部を破断した支持金具の分解斜視図である。
【
図5】屋根上に設置した支持金具と杆材の斜視図である。
【
図6】支持金具に杆材を載上固定した屋根の側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
この形態例で示す太陽電池パネル取付架台(以下、単に架台とも称する。)は、屋根R上の縦横に適宜間隔を以て支持金具1を点在設置し、屋根Rの流れ方向Y(以下、単に流れ方向Yと称する。)に所定間隔置きに並ぶ支持金具1の各列群上に凹溝状の杆材2を載上固定することにより、該杆材2を屋根R上の桁行方向X(以下、単に桁行方向Xと称する。)に複数平行配置している。
【0012】
杆材2上の適所には、太陽電池パネルPの各部(前端部、前後端部、及び後端部)を夫々に支持固定する所定構造の支持ブラケット3(
図2に前端部を支持固定する支持ブラケット3を示す。)が直交配置され、桁行方向Xで隣接する2本の杆材2上に配置した太陽電池パネルPの各部を支持ブラケット3により架台(杆材2)上に載置固定する様に成している(
図1、2参照)。
【0013】
屋根Rは、本実施例では、和瓦を屋根材Tとして野地板F上に防水シートSを介して葺設した和瓦葺きを示したが、屋根材Tを平板瓦とした平板瓦葺きや屋根材Tをスレートとしたスレート葺きであってもよい。
なお、野地板Fは、桁行方向Xに複数平行配置した垂木Wに支持されている。
【0014】
支持金具1は、各部の横幅(屋根設置状態で桁行方向Xに対応)Dを同長と成した押し出し鍛造品であって、杆材2の載上固定手段4と、該載上固定手段4を横幅方向に直交した前後方向で対向支持する一対のL字板状のフランジ付き脚部5とを設けて成り、該フランジ付き脚部5のフランジ6底部に設けた粘着性及び緩衝性を有する止水材7と、該止水材7を介して屋根材T上に設置したフランジ6を屋根材Tを挿通して該屋根材T下方の野地板Fにねじ止めする固定ネジ8とを備えている。
【0015】
載上固定手段4は、上面が平坦で横幅Dが杆材2底板2aの横幅D1と同一に設定されると共に、その上面よりワッシャ9とバネ座金10を挿通してナット11が螺着される螺子棒12を上方突設した架台載置部13を設け、該架台載置部13は、螺子棒12の下端に設けた頭部12aと、該頭部12aとの螺子棒12の付け根部12bをスライド挿入可能に横貫した断面略C形のリップ溝部14を設けている。
【0016】
このリップ溝部14は、その内底を頭部12aを遊嵌する断面円弧状に形成し、架台載置部13の上面となるリップ溝部14の一対のリップ片14a間に形成されるスリット14bの幅は頭部12aの外径より幅小で螺子棒12の外径より若干幅広に設定している。
【0017】
螺子棒12は、その頭部12aを球欠状に形成した丸頭ボルトの螺子部であって、その付け根部12bは、一辺がスリット14bの幅より若干短い正方形状に形成され、頭部12a及び付け根部12bのリップ溝部14内への挿入状態で、頭部12aはスリット14bを通してリップ溝部14内にスライド自在に抜止め保持され、スリット14bより上方突出する螺子棒12を回転不能と成し、螺子棒12に螺着したナット11を正常に螺進退できる様に成している。
【0018】
また、フランジ付き脚部5のフランジ6には、固定ネジ8の螺挿にて雌ねじ15aが螺刻されると共に、固定ネジ8がフランジ6に螺着一体化する様に固定ネジ8より若干小径な貫通孔15を適宜数設けている(
図3参照)。
【0019】
止水材7は、粘着性を有する非加硫ブチルゴムにて形成されたブチルテープであり、この止水材7を介して屋根材T上に設置した支持金具1のフランジ6を後述する様にねじ止めした固定ネジ8が挿通する屋根材Tのネジ挿通孔T1からの雨水浸入を確実に防ぐことができる。
【0020】
固定ネジ8は、フランジを有する六角柱の頭部8aを有し、螺子部8bの付け根から尖った先端までの全長にわたって雄ねじが螺刻された六角フランジタッピンねじであり、固定ネジ8のフランジ下部には螺子部8bを挿通した防水用のパッキン16を取付けている。
【0021】
杆材2は、これの底板2aの流れ方向Yに対応する長手軸線上に所定間隔置きに架台載置部13のスリット14より上方突出する螺子棒12を挿通する長穴17を設けると共に、底板2aの長手方向両側縁には、横幅D、D1同士が一致する架台載置部13上への杆材2の載置状態でスリット14bの両端口14cを閉塞する垂下片18を設けている。
【0022】
支持金具1の屋根R上への固定にあたっては、先ず支持金具1を設置する屋根材T上の適所にマーキングしてネジ挿通孔T1を穿孔する。
【0023】
次いで、支持金具1のフランジ6を止水材7を介して屋根材T上に設置し、貫通孔15に固定ネジ8を螺挿する。
【0024】
これにより、固定ネジ8は貫通孔15を拡径しつつ雌ねじ15aを螺刻しながら螺進し、止水材7及びネジ挿通孔T1を通して屋根材T下方の野地板Fに、固定ネジ8に螺着一体化したフランジ6と共にねじ止めされる。
【0025】
このため、支持金具1は、止水材7を介した屋根材T上方で、該屋根材Tを通して野地板Fにねじ止めされた固定ネジ8に螺着固定できる。
【0026】
よって、支持金具1は、これに後述の様に載上固定される杆材2と、該杆材2を複数平行配置して構成した架台に取付けられる太陽電池パネルPとからの下方への荷重を固定ネジ8で受承することにより、屋根材Tへの荷重負担を軽減できる。
【0027】
また、支持金具1は、部品点数が少なく、しかもフランジ6の貫通孔15には予め雌ねじを螺刻することもなく、固定ネジ8を単に螺挿するだけで、支持金具1を屋根R上に簡単容易に設置できるため、作業手間を要せず、製造及び施工コストを低減できる。
【0028】
上記の様にして、支持金具1を屋根R上の縦横に適宜間隔を以て点在設置し、各支持金具1における架台載置部13のリップ溝部14に頭部12aと付け根部12bをスライド挿入し、架台載置部13の上面のスリット14bより螺子棒12を上方突出させる。
【0029】
そして、杆材2を流れ方向Yに並ぶ架台載置部13の各列群上に配置する。
即ち、架台載置部13上より上方突出する螺子棒12に杆材2の長穴17を挿通して、架台載置部13上に杆材底板2aを夫れの横幅D、D1同士を合致させる様に載置する。
【0030】
これにより、杆材底板2aの長手方向両側縁に設けた垂下片18がスリット14bの両端口14cを閉塞できるため、架台載置部13からの螺子棒12の脱落を未然に防止できる。
【0031】
そして、かかる状態において、架台載置部13上で長穴17に沿って杆材2を位置調整し、長穴17より上方突出した螺子棒12にワッシャ9とバネ座金10を挿通してナット11を螺着固定することにより、屋根R上に固定した支持金具1を介して複数の杆材2を桁行方向Xで平行に配置した太陽電池パネル取付架台を安全に組み立てられる(
図5~7参照)。
【0032】
杆材2上の適所には、太陽電池パネルPの前端部、前後端部、及び後端部を夫々に支持固定する支持ブラケット3が位置決め固定され、該支持ブラケット3により太陽電池パネルPが架台(杆材2)上に固定される。
【符号の説明】
【0033】
1 支持金具
2 杆材
2a (杆材)底板
4 載上固定手段
5 フランジ付き脚部
6 フランジ
7 止水材
8 固定ネジ
11 ナット
12 螺子棒
12a 頭部
12b 付け根部
13 架台載置部
14 リップ溝部
14a リップ片
14b スリット
14c 両端口
15 貫通孔
15a 雌ねじ
17 長穴
18 垂下片
D 横幅
D1 横幅
F 野地板
P 太陽電池パネル
R 屋根
T 屋根材
X 桁行方向