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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032209
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/195 20060101AFI20230302BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B60R22/195 104
B01J7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138197
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】井浦 裕介
(72)【発明者】
【氏名】池本 一貴
【テーマコード(参考)】
3D018
4G068
【Fターム(参考)】
3D018GA04
3D018MA05
4G068DA10
4G068DB14
(57)【要約】
【課題】プリテンショナへの取り付け性を向上させることができるガス発生器を提供する。
【解決手段】ガス発生器1は、一端側が開口部となっており、他端側が閉じており、内部にガス発生剤7を収容するカップ2と、前記開口部を閉塞するようにカップ2に取り付けられ、ガス発生剤7を密封するホルダ3と、ホルダ3に保持され、外部からの信号に基づいてガス発生剤7に点火するスクイブ4と、を備える。カップ2は、前記他端側に尖頭部2bを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が開口部となっており、他端側が閉じており、内部にガス発生剤を収容するカップと、
前記開口部を閉塞するように前記カップに取り付けられ、前記ガス発生剤を密封するホルダと、
前記ホルダに保持され、外部からの信号に基づいて前記ガス発生剤に点火するスクイブと、
を備え、
前記カップは、前記他端側に尖頭部を有するガス発生器。
【請求項2】
前記カップは、一端側が前記開口部となっている円筒部を有し、該円筒部の他端側に前記尖頭部が連なることを特徴とする請求項1に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記円筒部の前記他端側の側面に、平行な一対の平坦面が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のガス発生器。
【請求項4】
前記尖頭部は角錐形状であり、側辺部にスリットが形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガス発生器。
【請求項5】
前記尖頭部は円錐形状であり、側面には稜線方向に延びる複数のスリットが形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両シートに付設されているシートベルト装置においては、衝突時等の車両に通常時より大きな減速度が作用した緊急時(以下、単に緊急時という)に、乗員がシートベルトにより拘束される。シートベルト装置として、一般に3点式シートベルト装置が広く知られている。例えば、3点式シートベルト装置では、リトラクタから引き出されたシートベルトがベルトガイドアンカでガイドされ、その先端が車体に固定される。ベルトガイドアンカでガイドされたシートベルトには、タングが摺動可能に支持されている。タングが車体に固定されたバックルに係合されることで、シートベルトが乗員に装着されるようになっている。
【0003】
シートベルトが乗員に装着された状態では、ベルトガイドアンカとタングとの間のシートベルトが乗員の肩および胸に装着されるショルダーベルトとして機能する。また、車体に固定された先端とタングとの間のシートベルトが乗員のラップ(腰)に装着されるラップベルトとして機能する。緊急時には、リトラクタのロック機構が作動してシートベルトの引き出しが阻止されることにより、ショルダーベルトで乗員の肩および胸が拘束され、またラップベルトで乗員の腰が拘束される。
【0004】
リトラクタにプリテンショナを設けたシートベルト装置が知られている。緊急時の初期に、プリテンショナが作動してシートベルトの緩みを迅速に低減し、乗員の拘束効果を向上させている。プリテンショナは、ガス発生器から発生したガスで作動する。従来のガス発生器は、先端が平坦面となった円筒状の筒体にガス発生剤が収納され、筒体の後端開口部に、点火器が一体となったホルダを嵌め込んで、ガス発生剤を密封した構成となっている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
リトラクタ内で、ガス発生器は位置規制用のスプリングの一端に設けられ、スプリングの他端にはピストンリングを介してピストンが配置されている。上述したように、ガス発生器の先端は平坦面となっており、この平坦面にスプリングの一端が当接するため、スプリングの座面を安定させて取り付けることが困難な場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-106017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、プリテンショナへの取り付け性を向上させることができるガス発生器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のガス発生器は、一端側が開口部となっており、他端側が閉じており、内部にガス発生剤を収容するカップと、前記開口部を閉塞するように前記カップに取り付けられ、前記ガス発生剤を密封するホルダと、前記ホルダに保持され、外部からの信号に基づいて前記ガス発生剤に点火するスクイブと、を備え、前記カップは、前記他端側に尖頭部を有するものである。
【0009】
本発明の一態様では、前記カップは、一端側が前記開口部となっている円筒部を有し、該円筒部の他端側に前記尖頭部が連なる。
【0010】
本発明の一態様では、前記円筒部の前記他端側の側面に、平行な一対の平坦面が形成されている。
【0011】
本発明の一態様では、前記尖頭部は角錐形状であり、側辺部にスリットが形成されている。
【0012】
本発明の一態様では、前記尖頭部は円錐形状であり、側面には稜線方向に延びる複数のスリットが形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プリテンショナへの取り付け性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るガス発生器の斜視図である。
図2】ガス発生器の側面図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4図3のIV-IV線断面図である。
図5】プリテンショナの概略図である。
図6】ガス発生器とスプリングの連結構造を示す図である。
図7】プリテンショナの概略図である。
図8】別の実施形態に係るガス発生器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図4を用いて本発明の実施形態に係るガス発生器について説明する。図1はガス発生器1の斜視図、図2はガス発生器の側面図、図3図2のIII-III線断面図、図4図3のIV-IV線断面図である。
【0016】
ガス発生器1は、ガス発生剤7を収容する金属製のカップ2と、スクイブ4を保持する樹脂製のホルダ3と、自動車の衝突検知手段からの信号を伝達するハーネスが接続されるコネクタ部6とを備える。点火器となるスクイブ4が衝突検知手段からの信号に基づいて発火し、ガス発生剤7が燃焼してガスを発生させる。
【0017】
カップ2の材料は特に限定されず、例えばステンレスやアルミニウム等の金属でもよいし、POMやナイロン等の非金属でもよい。ホルダ3の材料は特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレートである。
【0018】
コネクタ部6は、スクイブ4に接続された電極ピン5等を有する。コネクタ部6には、必要に応じてショーティングクリップ(図示略)を設けてもよい。ショーティングクリップは、静電放電等によるガス発生器1の誤動作を防止するものである。コネクタ部6にハーネスのコネクタが挿し込まれることで、短絡が解除される。
【0019】
カップ7は、筒軸方向の一端(後端)側が開口部となっている円筒部2aと、円筒部2aの他端(先端)側に連なる角錐状の尖頭部2bとを有する。円筒部2aの一端側の開口部にホルダ3が嵌め込まれることで、開口部が閉塞され、ガス発生剤7が密封される。カップ7とホルダ3との取付方法は特に限定されず、カシメなど公知の手法を用いることができる。
【0020】
円筒部2aの内径は1cm~2cm程度、(図2の左右方向の)長さは2cm~4cm程度である。尖頭部2bの長さは0.5cm~1cm程度である。
【0021】
図1図3に示すように、円筒部2aの他端側において、側面の一部が曲面でなく、互いに(ほぼ)平行な一対の平坦面2cになっていてもよい。
【0022】
図4に示すように、角錐状の尖頭部2bの側辺部Hにはスリットが形成されており、尖頭部2bの側面部Sよりも厚みが小さくなっている。この例では、尖頭部2bは六角錐形状になっているが、三角錐、四角錘など他の形状であってもよい。
【0023】
側辺部Hにスリットを形成することで、ガス発生剤7が着火燃焼して多量のガスが発生し、カップ7の内圧が上昇すると、尖頭部2bが側辺部Hで開裂し、それぞれの側面部Sが外側に折れ曲がってガス放出口を形成し、ガスが外部へ放出されるようになる。
【0024】
このガス発生器1は、例えば、図5図6に示すように、シートベルト装置のリトラクタに設けられたプリテンショナ10に使用される。
【0025】
プリテンショナ10は、ガス発生器1と、ガス発生器1で発生したガスで作動して駆動力を発生するピストン12と、ピストン12に装着されるピストンリング13と、ピストン12で発生した駆動力をシートベルトリトラクタのスプールに伝達する多数のボール15と、ピストン12及び多数のボール15をガイドするパイプ11と、ピストン12および多数のボール15をガスによるピストン12の作動方向と同方向に付勢するスプリング14と、を備えている。
【0026】
スプリング14の一端側にガス発生器1が配置され、他端側にピストン12が配置される。図6に示すように、ガス発生器1の尖頭部2bがスプリング14の内部に嵌まる。尖頭部2bがスプリング14の座として利用できるため、スプリング14の位置が安定する。このように、本実施形態に係るガス発生器1を用いることで、プリテンショナへの取り付け性を向上させることができる。
【0027】
シートベルトには、シートベルトをショルダーベルトとラップベルトとに区画するタングが摺動可能に支持され、このタングはバックルに着脱可能となっている。ガス発生器1は、リトラクタから引き出されるシートベルトの先端部を引っ張るプリテンショナや、バックルを引っ張るプリテンショナに設けられていてもよい。図7に、このようなプリテンショナ20の例を示す。
【0028】
プリテンショナ20は、一端がシートベルトに接続されるワイヤ22と、ワイヤ22の他方の端部に接続されるピストン23と、ピストン23を摺動可能に収容するシリンダ21と、ワイヤ22を貫通させると共にシリンダ21を保持するハウジング24と、を備え、ハウジング24に取り付けられたガス発生器1がシリンダ21内にガスを供給すると、ピストン23がワイヤ22を引き込む方向に作動する。
【0029】
ハウジング24において、ガス発生器取付箇所に連なるガス流路24aは、ガス発生器取付箇所よりも狭くなっている。本実施形態に係るガス発生器1を取り付けた場合、尖頭部2bがガス流路24内に入り込む。そのため、先端が平坦面となっておりガス流路24に入り込まない従来のガス発生器と比較して、ガス発生剤の収容量を増やすことができる。
【0030】
上記実施形態では、カップ7が、円筒部2aと角錐状の尖頭部2bとを有する構成について説明したが、図8のガス発生器1Aで示すように、カップ全体が角錐状の尖頭部2Aとなっていてもよい。
【0031】
尖頭部2b、2Aは円錐状であってもよく、側面には稜線方向に延びる複数のスリットが設けられる。
【0032】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 ガス発生器
2 カップ
2a 円筒部
2b 尖頭部
3 ホルダ
4 スクイブ
6 コネクタ部
7 ガス発生剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8