(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032256
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ロールホルダ
(51)【国際特許分類】
B65H 16/06 20060101AFI20230302BHJP
B65H 19/22 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B65H16/06
B65H19/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138270
(22)【出願日】2021-08-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載年月日 令和3年4月15日 掲載アドレス https://www.youtube.com/watch?v=0daFP1M0R_0
(71)【出願人】
【識別番号】500575695
【氏名又は名称】株式会社MonotaRO
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】趙 ▲ちぃ▼
【テーマコード(参考)】
3F052
3F064
【Fターム(参考)】
3F052AA03
3F052BA03
3F052BA05
3F052BA09
3F064AA03
3F064CA04
3F064CB10
(57)【要約】
【課題】異なる長さのロールに取り替える場合の手間が少なく、ロールが不意に外れてしまうことを防止でき、且つ、ロールの芯管の長さが製造誤差によって不均一な場合でも取り付けることのできるロールホルダを提供する。
【解決手段】ロールホルダ1は、ロール100の両端部103,104を支持するための第1および第2支持部材11,12と、ホルダ本体2と、を有している。ホルダ本体2は、第1支持部材11を支持する第1アーム21と、第2支持部材12を移動可能に支持する第2アーム22と、第1アーム21と第2アーム22とを互いに繋ぐ第3アーム23と、を含んでいる。第3アーム23の全長は、変更可能である。弾性部材13は、第2支持部材12を第1支持部材11側に加圧している。ロールホルダ1は、抜け止め部60を有している。抜け止め部60は、ロール100の長手方向両端部103,104と接触可能に構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムが巻かれた構成を有するロールを回転可能に保持するロールホルダであって、
前記ロールの一端部を支持するための第1支持部材と、
前記ロールの他端部を支持するための第2支持部材と、
前記第1支持部材を支持する第1アーム、前記第2支持部材が前記第1支持部材に対して近づく方向および遠ざかる方向に移動可能に前記第2支持部材を支持する第2アーム、および、前記第1アームと前記第2アームとを互いに繋ぐ第3アームを含み、前記第3アームの全長を変更可能なホルダ本体と、
前記第2支持部材を前記第1支持部材側に加圧する弾性部材と、
前記第3アームの全長に応じた長さの前記ロールが前記第1支持部材および前記第2支持部材に取り付けられているときにおいて前記第1支持部材に対する前記第2支持部材の可動位置の全域で前記ロールと接触可能に構成されることで、前記ロールが前記第1支持部材および前記第2支持部材から抜けることを規制するための抜け止め部と、
を備えている、ロールホルダ。
【請求項2】
前記抜け止め部は、前記第1支持部材に形成され前記ロールの一端部に嵌合する抜け止め片と、前記第2支持部材に形成され前記ロールの他端部に嵌合する抜け止め片と、を有している、請求項1に記載のロールホルダ。
【請求項3】
前記第1支持部材には、相対的に直径の小さな抜け止め片と相対的に直径の大きな抜け止め片とが設けられており、
前記第2支持部材には、前記相対的に小さな直径と同じ直径の抜け止め片と、前記相対的に大きな直径と同じ直径の抜け止め片とが設けられている、請求項2に記載のロールホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムが巻かれた構成を有するロールを取り付けるためのロールホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
梱包物にストレッチフィルムを巻き付けるための可搬型のロールホルダが知られている(例えば、特許文献1参照)。ストレッチフィルムは、芯管に巻かれてロールの一部を構成しており、芯管から繰り出されることで梱包物に巻き付けられる。ロールホルダは、芯管からストレッチフィルムが繰り出されるときに芯管がスムーズに回転できるように芯管を支持する。
【0003】
特許文献1に記載のロールホルダは、全体としてコ字状に形成されており、ロールを挟むような形状を有しており、且つ、複数のパイプを組み合わせて構成されている。ロールホルダは、芯管の一端部を支持する第1支持部材と、芯管の他端部を支持する第2支持部材と、第1支持部材が取り付けられる第1端部と、第2支持部材が取り付けられる第2端部と、これら第1端部および第2端部同士を繋ぐ複数のパイプ部材と、を有している。
【0004】
第2支持部材と第2端部との間にはばねが取り付けられており、第2支持部材が第2端部に対して移動可能となっている。これにより、第2支持部材が第1支持部材に近づく方向および第1支持部材から遠ざかる方向に移動可能に構成されている。ロールをロールホルダに取り付ける際には、第2支持部材を第1支持部材に対して遠ざけた状態で、芯管を第1支持部材と第2支持部材との間に配置する。この状態から、第2支持部材から手を離すことによってばねの弾性復元力で第2部材を第1支持部材側に移動させることで、第2支持部材が芯管に接触し、芯管が第2支持部材と第1支持部材とで挟まれる。これにより、芯管が第1支持部材と第2支持部材とによって回転可能に支持される。
【0005】
作業者がストレッチフィルムを梱包物に巻く際には、作業者がロールホルダのパイプ部分を手で持ちながらストレッチフィルムを繰り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ロールホルダは、新品のロールが取り付けられた状態では例えば5kg以上あり、重たい。このため、特許文献1に記載のロールホルダの構成の場合、作業者がロールホルダを動かす向きを変えることに伴い、ロールがロールホルダに対して加速度を生じ、その結果、ロールからの荷重を受けた第2支持部材が、ばねを押してから第1支持部材から遠ざかるように変位することがある。第2支持部材と第1支持部材との距離が一定以上離れると、ロールが第1支持部材と第2支持部材との間から落下してしまい、再度ロールをロールホルダに装着し直す手間がかかる。しかしながら、ロールがロールホルダから落下しないように第2支持部材を第2端部に固定すると、製造誤差によって芯管の長さに個体差がある同一全長のロールについて、第1支持部材と第2支持部材との間に芯管を配置できない場合がある。また、特許文献1に記載のロールホルダの構成の場合、ロールホルダに取り付けるロールを全長の異なるものに変更する場合、パイプ部分をロールの全長に対応する長さの部品に取り替える必要があり、手間がかかる。
【0008】
上記の背景に鑑み、本発明は、異なる長さのロールに取り替える場合の手間が少なく、ロールが不意に外れてしまうことを防止でき、且つ、ロールの芯管の長さが製造誤差によって不均一な場合でも取り付けることのできるロールホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記のロールホルダを要旨とする。
【0010】
(1)フィルムが巻かれた構成を有するロールを回転可能に保持するロールホルダであって、
前記ロールの一端部を支持するための第1支持部材と、
前記ロールの他端部を支持するための第2支持部材と、
前記第1支持部材を支持する第1アーム、前記第2支持部材が前記第1支持部材に対して近づく方向および遠ざかる方向に移動可能に前記第2支持部材を支持する第2アーム、および、前記第1アームと前記第2アームとを互いに繋ぐ第3アームを含み、前記第3アームの全長を変更可能なホルダ本体と、
前記第2支持部材を前記第1支持部材側に加圧する弾性部材と、
前記第3アームの全長に応じた長さの前記ロールが前記第1支持部材および前記第2支持部材に取り付けられているときにおいて前記第1支持部材に対する前記第2支持部材の可動位置の全域で前記ロールと接触可能に構成されることで、前記ロールが前記第1支持部材および前記第2支持部材から抜けることを規制するための抜け止め部と、
を備えている、ロールホルダ。
【0011】
(2)前記抜け止め部は、前記第1支持部材に形成され前記ロールの一端部に嵌合する抜け止め片と、前記第2支持部材に形成され前記ロールの他端部に嵌合する抜け止め片と、を有している、前記(1)に記載のロールホルダ。
【0012】
(3)前記第1支持部材には、相対的に直径の小さな抜け止め片と相対的に直径の大きな抜け止め片とが設けられており、
前記第2支持部材には、前記相対的に小さな直径と同じ直径の抜け止め片と、前記相対的に大きな直径と同じ直径の抜け止め片とが設けられている、前記(2)に記載のロールホルダ。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ロールホルダにおいて、異なる長さのロールに取り替える場合の手間が少なく、且つ、ロールが不意に外れてしまうことを防止でき、且つ、ロールの芯管の長さが製造誤差によって不均一な場合でも取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るロールホルダに長尺のロールが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、ロールホルダに長尺のロールが取り付けられた状態を示す側面図である。
【
図5】
図5は、ロールが取り付けられたロールホルダの主要部を拡大した側面図である。
【
図6】
図6は、ロールホルダに短尺のロールが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同様の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るロールホルダ1に長尺のロール100(100L)が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2は、ロールホルダ1に長尺のロール100(100L)が取り付けられた状態を示す側面図である。
図3は、ロールホルダ1単体の斜視図である。
図4は、
図3の一部を拡大した図である。
図5は、ロール100が取り付けられたロールホルダ1の主要部を拡大した側面図である。
図6は、ロールホルダ1に短尺のロール100(100S)が取り付けられた状態を示す斜視図である。以下では、ロールホルダ1が立てられた起立姿勢を基準に説明する。
【0017】
図1~
図6を参照して、ロールホルダ1は、ロール100を回転可能に保持するために用いられる。ロール100は、紙等で円筒状に形成され実質的に剛体である芯管101の外周に伸縮性のフィルムであるストレッチフィルム102が巻かれた構成を有している。ストレッチフィルム102は、例えば、複数の段ボールを積み重ねてなる梱包物に巻かれることで、梱包物の荷崩れを防止する。ストレッチフィルム102は、一般的に幅300mmタイプと幅500mmタイプが使用される。すなわち、ロール100として、短尺のロール100(100S)と長尺のロール100(100L)とが多く利用され、ロールホルダ1は、これら短尺タイプと長尺タイプのそれぞれのロール100S,100Lを取り付けることが可能に構成されている。ロール100S,100Lを総称していう場合は、単にロール100という。なお、芯管101に巻かれるのは、ストレッチフィルム102に限らず、伸縮性を有しないフィルム等の他のフィルムであってもよい。
【0018】
ロール100が取り付けられたロールホルダ1は、作業員の片手または両手によって把持されつつ、梱包物の周囲を移動させられることで、芯管101からストレッチフィルム102を繰り出す。
【0019】
ロールホルダ1は、ホルダ本体2と、ホルダ本体2に取り付けられたハンドル3と、第1支持部材11と、第2支持部材12と、弾性部材13と、を有している。
【0020】
ホルダ本体2は、ロールホルダ1のフレーム部分として設けられている。ホルダ本体2は、側面視において、例えばコ字状に形成されており、ホルダ本体2からハンドル3が突出している。ホルダ本体2は、複数のシャフト状部材が組み合わされて形成されている。
【0021】
ホルダ本体2は、第1支持部材11を支持する第1アーム21と、第2支持部材12を支持する第2アーム22と、第1アーム21と第2アーム22とを互いに繋ぐ第3アーム23と、脚部24と、を含んでいる。
【0022】
本実施形態では、第1アーム21および第2アーム22は、それぞれ、パイプ部材を用いて形成されている。第1アーム21および第2アーム22は、本実施形態では、互いに平行に延びる軸状部分である。なお、第1アーム21と第2アーム22とは、互いに平行でなくてもよい。
【0023】
第1アーム21は、起立姿勢においてロールホルダ1の底側に配置される部分である。本実施形態では、第1アーム21は、T字状に形成されている。第1アーム21に、脚部24が設けられている。
【0024】
脚部24は、ロールホルダ1を起立姿勢に維持するために設けられており、地面に接触する部分である。脚部24は、本実施形態では、第1アーム21の長手方向D1における先端部21aと基端部21bとに配置されている。
【0025】
脚部24は、本実施形態では、長手方向D1において第1アーム21の先端部21aに配置された先端側脚部25と、長手方向D1において第1アーム21のうち先端部21aとは反対側の基端部21b(ハンドル側端部)に配置されたハンドル側脚部26と、を含んでいる。
【0026】
先端側脚部25は、左右一対の脚片25a,25bを有している。脚片25a,25bは、起立姿勢のときの長手方向D1に対して水平方向に直交する幅方向D2に離隔して配置されており、第1アーム21に固定されている。脚片25a,25bは、起立姿勢において上下に延びる筒状部分であり、第1アーム21に固定されている。脚片25a,25bの下面は、地面に接する面である。先端側脚部25の幅W1は、幅方向D2における脚片25a,25bの下面(地面に接する部分)の最大幅である。
【0027】
ハンドル側脚部26は、本実施形態では、1つの脚片26aを有している。脚片26aは、第1アーム21に固定されており、起立姿勢において上下に延びる筒状部分である。本実施形態では、ハンドル側脚部26の幅W2は、幅方向D2における脚片26aの下面の幅である。先端側脚部25の幅W1は、ハンドル側脚部26の幅W2よりも大きい(W1>W2)。
【0028】
上記の構成により、脚部24は、3箇所でロールホルダ1を支持している。なお、脚部24は、4点以上の箇所に設けられていてもよいし、連続した1つの脚部として設けられていてもよい。
【0029】
第2アーム22は、起立姿勢においてロールホルダ1の上端側に配置される部分である。
【0030】
第3アーム23は、起立姿勢において上下に延びる部分である。本実施形態では、第3アーム23は、起立姿勢における高さ方向D3(長手方向D1および幅方向D2と直交する方向)に真っ直ぐに延びており、第1アーム21および第2アーム22に対して直交している。第3アーム23は、伸縮可能であることにより全長を変更可能である。
【0031】
第3アーム23は、第1軸23aと第2軸23bと、を有している。
【0032】
第1軸23aは、第1アーム21の基端部21bに固定されており、本実施形態では、脚片26aと一体に形成されている。第1軸23aは、本実施形態では円筒状に形成されている。第2軸23bは、第2アーム22の基端部22bに固定されており、本実施形態では、軸状に形成されている。この構成により、第2軸23bは、第1軸23aに挿入されて第1軸23aに対してスライド可能である。なお、第2軸23bを円筒にして第1軸23aを第2軸23bに挿入可能としてもよい。第1軸23aと第2軸23bとは、固定機構28を用いて取り外し可能に固定されている。固定機構28は、例えば、ナット28aと、ナット28aにねじ結合するねじ部材28bと、を有している。ねじ部材28bは、本実施形態では、作業者の手で回すことが可能な形状に形成されている。
【0033】
一方で、第1軸23aには、ストレッチフィルム102が長尺(例えば500mmタイプ)である場合の第1支持部材11と第2支持部材12との距離に応じた箇所に形成された第1孔部31と、ストレッチフィルム102が短尺(例えば300mmタイプ)である場合の第1支持部材11と第2支持部材12との距離に応じた箇所に形成された第2孔部32と、が形成されている。第1孔部31および第2孔部32は、ナット28aを通すことが可能である。また、第2軸23bには、ねじ部材28bを通すことが可能な貫通孔部(図示せず)が形成されている。
【0034】
ロールホルダ1に対してロール100を着脱する際には、ナット28aをねじ部材28bから外した後にねじ部材28bを第1軸23aの第1孔部31または第2孔部32、および、第2軸23bの貫通孔部から抜き取る。これにより、第1軸23aと第2軸23bとが高さ方向D3に相対移動可能となる。
【0035】
次に、ロール100が長尺のロール100Lの場合には、第1支持部材11と第2支持部材12とで芯管101を挟みつつ、第1軸23aの第1孔部31と第2軸23bの貫通孔部とを向かい合わせた状態で、ねじ部材28bをこれらの孔部に通してねじ部材28bを第3アーム23に貫通させる。この状態でねじ部材28bに対してナット28aを作業員が手で回すことで、ナット28aをねじ部材28bに締結する。これにより、第1軸23aと第2軸23bとが互いに固定される。
【0036】
同様に、ロール100が短尺のロール100Sの場合には、第1支持部材11と第2支持部材12とで芯管101を挟みつつ、第1軸23aの第2孔部32と第2軸23bの貫通孔部とを向かい合わせた状態で、ねじ部材28bをこれらの孔部に通してねじ部材28bを第3アーム23に貫通させる。この状態でねじ部材28bに対してナット28aを作業員が手で回すことで、ナット28aをねじ部材28bに締結する。これにより、第1軸23aと第2軸23bとが互いに固定される。
【0037】
上述の構成により、第3アーム23の長さをロール100の全長に応じた長さに設定できる。換言すれば、第3アーム23の全長に応じた長さのロール100(100L,100S)を第1支持部材11および第2支持部材12に取り付けることができる。
【0038】
本実施形態では、起立姿勢の第3アーム23の上端に、ハンドル3が設けられている。ハンドル3は、第1アーム21および第2アーム22のうちの第2アーム22側に設けられており、ホルダ本体2から突出している。ハンドル3は、作業員がロールホルダ1を保持するときに手で把持される部分として設けられている。ハンドル3は、第2アーム22および第3アーム23の第2軸23bと一体に形成されており、本実施形態では、丸軸状に形成されている。ハンドル3は、本実施形態では、作業員が片手で掴むことが可能な程度の長さを有しており、第3アーム23の全長よりも短い長さに形成されている。
【0039】
ハンドル3は、本実施形態では、第2アーム22から遠ざかるに従い第3アーム23から遠ざかるように延びている。より具体的には、ハンドル3は、第2アーム22と第3アーム23との接続部(第2アーム22の基端部22b)において側面視で湾曲した形状であることにより、下方に向けて進み、その後、斜め下方向に直線状に延びている。ハンドル3のうち直線状部分は、下方に進むに従い第3アーム23から遠ざかるように、高さ方向D3に対して傾斜している。すなわち、第3アーム23の長手方向(高さ方向D3)とハンドル3の長手方向D4(第2アーム22のうち直線状部分が延びている方向)とが交差している。側面視において、ハンドル3の長手方向D4が高さ方向D3に対してなす角度θは、例えば10~45度(本実施形態では、20度)程度に設定されている。また、ハンドル3は、平面視において、第2アーム22と一直線に並んでいる。
【0040】
なお、ハンドル3の形状は、上述した形状に限定されない。ハンドル3は、第1~第3アーム21,22,23以外の箇所で作業員が把持可能な形状であればよく、具体的な構成は限定されない。
【0041】
第1支持部材11は、ロール100の一端部103を支持するために設けられている。第1支持部材11は、第1アーム21の長手方向D1の中間部に配置されており、本実施形態では、第1アーム21の先端部21a寄りに配置されている。第1支持部材11は、円板状に形成されており、起立姿勢において上向きに配置されている。第1支持部材11は、第1アーム21に取付機構40を用いて取り付けられており、起立姿勢において高さ方向D3に延びる回転軸線(鉛直軸線)回りを第1アーム21に対して回転可能とされている。取付機構40は、例えば、第1アーム21に支持されるねじ部材41と、このねじ部材41に貫通され第1支持部材11を支持するカラー等の軸受と、ねじ部材41に締結されるナット42と、を有している。なお、ねじ部材41およびナット42に代えて、第1アーム21等に雌ねじ部を形成し、この雌ねじ部にねじ結合する雄ねじ部材を用いて取付機構40を形成してもよい。
【0042】
第2支持部材12は、ロール100の他端部104を支持するために設けられている。第2支持部材12は、第2アーム22の長手方向の中間部に配置されており、本実施形態では、第2アーム22の先端部22a寄りに配置されている。第2支持部材12は、円板状に形成されており、起立姿勢において下向きに配置されている。第2支持部材12は、第2アーム22に取付機構50および弾性部材13を用いて取り付けられており、起立姿勢において高さ方向D3に延びる回転軸線(鉛直軸線)回りを第2アーム22に対して回転可能とされ、且つ、第2アーム22に対して高さ方向D3に所定量移動可能である。取付機構50は、第2アーム22と一体に形成され第2アーム22から下方に延びる柱状の台座27に取り付けられている。
【0043】
図5によく示されているように、取付機構50は、例えば、台座27に固定されたねじ部材51と、このねじ部材51が貫通され第2支持部材12を支持するカラー等の軸受(図示せず)と、を有している。ねじ部材51の頭部は、第2支持部材12と接触することで、第2支持部材12がそれ以上第1支持部材11側(下側)に移動することを規制している。一方で、ねじ部材51は、第2アーム22側(上側)への第2支持部材12の移動は許容している。なお、ねじ部材51に代えて台座27の下端に雄ねじを形成し、この雄ねじにねじ結合するとともに第2支持部材12を受けるナットを設けることで、取付機構50を形成してもよい。
【0044】
弾性部材13は、第2支持部材12を第1支持部材11側に弾性的に加圧するために設けられている。弾性部材13は、本実施形態では、コイルばねであるが、他の弾性部材であってもよい。ロール100がロールホルダ1に取り付けられていないときにおいて、弾性部材13は、第2支持部材12をねじ部材51の頭部に押し付けている。第2支持部材12が第2アーム22側に移動すると、弾性部材13は、圧縮されつつ弾性変形する。
【0045】
本実施形態では、第2アーム22に対して第2支持部材12を高さ方向D3に一定の範囲で移動可能に取り付け、且つ、第2支持部材12を第1支持部材11に向けて弾性部材13によって弾性的に加圧している。この構成により、第2アーム22は、第2支持部材12が第1支持部材11に対して近づく方向および遠ざかる方向(高さ方向D3)に移動可能に第2支持部材12を支持している。
【0046】
ロール100が第1支持部材11および第2支持部材12に取り付けられているとき、ロール100は、第2支持部材12を弾性部材13の弾性反発力に抗して移動させることで、第2支持部材12をねじ部材51の頭部に対して第2アーム22側(上側)に変位させている。これにより、第2支持部材12は、ロール100によって第1支持部材11側への移動が規制されている。このとき、第2支持部材12は、第2アーム22側への可動量が小さくされている。第2支持部材12は、弾性部材13がそれ以上圧縮されることが不可能な位置まで第2アーム22側(上側)に移動すると、第2アーム22側への移動が規制される。そして、
図5等に示すように、ロール100が第1支持部材11および第2支持部材12に取り付けられて起立姿勢で且つ静止状態でいるとき、第2支持部材12が高さ方向D3に沿って第2アーム22側に移動可能な量は、後述する抜け止め片61,62,63,64のそれぞれの高さ未満である。なお、抜け止め片61,62の高さとは、第1支持部材11の後述する対向面11aからの抜け止め片61,62の高さをいう。また、抜け止め片63,64の高さとは、第2支持部材12の後述する対向面12aからの抜け止め片63,64の高さをいう。このような構成により、第2支持部材12が第2アーム22側に移動可能な量が、規定されている。
【0047】
第1支持部材11および第2支持部材12は、高さ方向D3に向かい合っており、互いに向かい合う面としての対向面11a,12aを有している。第1支持部材11の対向面11aは、第1支持部材11の上面を含んでいる。第2支持部材12の対向面12aは、第2支持部材12の下面を含んでいる。
【0048】
図4および
図5を参照して、対向面11a,12aには、抜け止め部60が形成されている。抜け止め部60は、第3アーム23の全長に応じた長さのロール100(短尺のロール100Sまたは長尺のロール100L)が第1支持部材11および第2支持部材12に取り付けられているときにおいて、第1支持部材11に対する第2支持部材12の可動位置の全域でロール100の長手方向両端部103,104(芯管101の長手方向両端部)と接触可能に構成されることで、ロール100が第1支持部材11および第2支持部材12から抜けることを規制する。
【0049】
抜け止め部60は、第1支持部材11の対向面11aに形成された抜け止め片61,62と、第2支持部材12の対向面12aに形成された抜け止め片63,64と、を有している。
【0050】
抜け止め片61,62は、第1支持部材11の対向面11aから上方に向けて円筒状に突出している。抜け止め片63,64は、第2支持部材12の対向面12aから下方に向けて円筒状に突出している。本実施形態では、抜け止め片61,63は、高さ方向D3に対称な形状に形成されている。抜け止め片61,63は、高さ方向D3に向かい合っており、互いに同じ外径を有するとともに、概ね同軸に配置されている。抜け止め片61,63は、相対的に小径(例えば、直径2インチ)の芯管101(101H)に嵌合してこの芯管101の内周面を受けるように配置されている。本実施形態では、抜け止め片62,64は、高さ方向D3に対称な形状に形成されている。抜け止め片62,64は、高さ方向D3に向かい合っており、互いに同じ外径を有するとともに、概ね同軸に配置されている。抜け止め片62,64は、相対的に大径(例えば、直径3インチ)の芯管101(101F)に嵌合してこの芯管101の内周面を受けるように配置されている。抜け止め片61,63の直径(外径)は相対的に小径であり、抜け止め片62,64の直径(外径)は相対的に大径である。抜け止め片61,62は、芯管101の一端部に嵌合し、抜け止め片62,64は、芯管101の他端部に嵌合する。
【0051】
抜け止め片61を取り囲むようにして抜け止め片62が配置され、抜け止め片63を取り囲むようにして抜け止め片64が配置されている。芯管101は、第1支持部材11と第2支持部材12のそれぞれの対向面11a,12aによって挟まれつつ、ロール100の内周面を対応する抜け止め片61,62,63,64に受けられることで、ロールホルダ1からの抜けを防止されている。
【0052】
なお、本実施形態では、抜け止め片61,62,63,64は、対応する直径の芯管101H,101Fの内周面と接触することでロール100を抜け止めする構成を説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、抜け止め片61,62,63,64は、対応する直径のロール100の外周面と接触することでロール100を抜け止めしてもよい。
【0053】
ロール100が取り付けられたロールホルダ1が静止状態のとき、起立姿勢において、ロール100は、第1支持部材11の対向面11aに載せられているとともに、抜け止め片61,63または抜け止め片62,64に隣接している。これにより、ロール100は、抜け止め片61,63または抜け止め片62,64によって、第1支持部材11および第2支持部材12に対して高さ方向D3と直交する方向(水平方向)へ移動することが規制されている。一方で、
図5に示すように、ロール100が高さ方向D3の上側(第2アーム22側)に移動することでロール100が可動範囲で最も上方位置P1に移動したしたときでも、芯管101の内周面は、抜け止め片61,63または抜け止め片62,64と水平方向に向かい合っており、第1支持部材11および第2支持部材12から外れないようにされている。
【0054】
ストレッチフィルム102を梱包物における作業者から見て低い位置に巻く際には、作業者は、片手または両手でハンドル3を把持するか、または、片手でハンドル3を把持し、且つ、もう片方の手で第3アーム23等のアームを把持しつつ、芯管101からストレッチフィルム102を繰り出すことで、ストレッチフィルム102を梱包物に巻き付ける。また、ストレッチフィルム102を梱包物における作業者から見て中くらいの高さ位置に巻く際には、作業者は、片手でハンドル3を把持し、且つ、もう片方の手で第3アーム23等のアームを把持しつつ、芯管101からストレッチフィルム102を繰り出すことで、ストレッチフィルム102を梱包物に巻き付ける。また、ストレッチフィルム102を梱包物における作業者から見て高い位置に巻く際には、作業者は、片手で第3アーム23を把持し、且つ、もう片方の手で第2アーム22を把持しつつ、芯管101からストレッチフィルム102を繰り出すことで、ストレッチフィルム102を梱包物に巻き付ける。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によると、ロールホルダ1を起立姿勢に維持するための脚部24が設けられており、さらに、起立姿勢においてロールホルダ1の上側にハンドル3が配置される。これにより、重量物であるロール100が取り付けられたロールホルダ1を作業者が持ち上げる際、作業者は、地面から高い位置にあるハンドル3を把持することができる。よって、地面に横倒しになったロールホルダ1を持ち上げる場合と比べて、腰をかがめる量を少なくできる。その結果、作業者の腰にかける負担を少なくできる。また、作業者は、ロール100からストレッチフィルム102を繰り出す際に、持ちやすいレイアウトのハンドル3を把持することができ、さらに、第1~第3アーム21,22,23の何れかを把持することもできる。さらに、傾斜のある地面においてもロールホルダ1を起立姿勢に維持できるため、ロールホルダ1が勝手に転がってしまうことを防止できる。以上の次第で、作業者が取扱いし易いロールホルダ1が実現されている。
【0056】
また、本実施形態によると、ハンドル3は、第2アーム22から遠ざかるに従い第3アーム23から遠ざかるように延びており、第3アーム23の長手方向D1とハンドル3の長手方向D1とが交差している。この構成により、作業者は、ハンドル3を把持してストレッチフィルム102を芯管101から繰り出す動作を行い易くできる。
【0057】
また、本実施形態によると、先端側脚部25の幅W1は、ハンドル側脚部26の幅W2よりも大きい。この構成によると、作業者がハンドル3を把持した状態でロールホルダ1を置く際に、ハンドル側脚部26が邪魔になりにくく、ロールホルダ1を置き易い。また、地面に置かれたロールホルダ1を作業者が持ち上げる際、作業者は、ハンドル3を把持しつつロールホルダ1を持ち上げる。このような動作では、先端側脚部25を支点にしてロールホルダ1が傾くことで、ハンドル側脚部26が先に地面から浮き上がり、次に先端側脚部25が次に地面から浮き上がる。このとき、先端側脚部25の幅W1が広いので、ロールホルダ1の安定した箇所を支点にして持ち上げることができる。
【0058】
また、本実施形態によると、抜け止め部60は、第1支持部材11に対する第2支持部材12の可動位置の全域でロール100と接触可能に構成されることで、ロール100が第1支持部材11および第2支持部材12から抜けることを規制している。この構成により、ロールホルダ1を動かして芯管101からストレッチフィルム102を繰り出している最中に、ロール100がロールホルダ1から不意に外れてしまうことを防止できる。よって、ロール100を取り付け直す手間がなくて済む。また、第2支持部材12が第1支持部材11に対して弾性的に移動可能である。よって、芯管101の長さが製造誤差によって個体差がある場合でも、この個体差を、第1支持部材11に対する第2支持部材12の弾性的な移動によって吸収できる。さらに、ロールホルダ1に取り付けるロール100を全長の異なるものに変更する場合、第3アーム23の全長を、部品交換することなく簡単に変更でき、手間がかからない。以上の次第で、異なる長さのロール100に取り替える場合の手間が少なく、ロール100が不意に外れてしまうことを防止でき、且つ、ロール100の芯管101の長さが製造誤差によって不均一な場合でも取り付けることのできるロールホルダ1を実現できる。
【0059】
また、本実施形態によると、抜け止め部60は、第1支持部材11と第2支持部材12に抜け止め片61,62,63,64を形成する簡易な構成で実現できる。
【0060】
また、本実施形態によると、相対的に直径の小さな抜け止め片61,63によって小径の芯管101Hを保持でき、また、相対的に直径の大きな抜け止め片62,64によって大径の芯管101Fを保持できる。これにより、第1支持部材11と第2支持部材12を交換することなく、直径の異なる芯管101をロールホルダ1に取り付けることができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上述の実施形態および変形例に限定されず、特許請求の範囲に記載の範囲内において、種々の変更が可能である。
【0062】
上述の実施形態では、抜け止め部60が抜け止め片61~64を含む形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。抜け止め部60は、取付機構40のうち最上端に位置する部材(例えば、ねじ部材41またはナット42)をさらに含んでいてもよいし、取付機構50のうち最下端に位置する部材(例えば、ねじ部材51)をさらに含んでいてもよい。この場合、ロール100は、取付機構40,50との接触によってもロールホルダ1からの抜けを防止される。
【0063】
上述の実施形態では、ロール100が第2アーム22側に移動して弾性部材13がそれ以上圧縮されることが不可能となることで、第2支持部材12がそれ以上第2アーム22側(上側)に移動することが規制される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、
図5を参照して説明すると、第2支持部材12は、第1支持部材11からの距離が所定値に達すると、すなわち、一定以上第2アーム22側に移動すると、台座27に設けられたストッパ部分(図示せず)と接触する構成であってもよい。この場合、ストッパ部分によって、第2支持部材12が第2アーム22側に移動可能な量が規定される。なお、第2支持部材12が第2アーム22側に移動することを規制する構成は、上記の構成に限定されず、第2支持部材12が一定以上第2アーム22側に移動すると第2支持部材12がそれ以上第2アーム22側に移動することを規制できる構成であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、ロールホルダとして適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 ロールホルダ
2 ホルダ本体
11 第1支持部材
12 第2支持部材
13 弾性部材
21 第1アーム
22 第2アーム
23 第3アーム
60 抜け止め部
61,62,63,64 抜け止め片
100 ロール
102 フィルム
103 ロールの一端部
104 ロールの他端部