(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032284
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】箱型荷台の昇降装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/07 20060101AFI20230302BHJP
B60P 1/02 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B66F9/07 A
B60P1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138321
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利久
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正雄
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA04
3F333AB07
3F333AD06
3F333AF01
3F333BA03
3F333BD05
(57)【要約】
【課題】荷室の収納空間を狭くさせることなく、荷室を有効に使用可能な箱型荷台の昇降装置を提供する。
【解決手段】箱型荷台1の荷室3の複数段の荷台面の後方に設けられた昇降装置2であって、昇降台10と、昇降台10の昇降をガイドするガイドフレーム20と、ガイドフレーム20内に収容され昇降台10とともに昇降する昇降スライダ30と、昇降スライダ30を昇降させる昇降機構50とを備え、ガイドフレーム20は、荷室3の幅方向両端部に左右一対設けられ、ガイドフレーム20、昇降スライダ30および昇降機構50は、箱型荷台1の壁厚t内に収容されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱型荷台の荷室の複数段の荷台面の後方に設けられた昇降装置であって、
昇降台と、前記昇降台の昇降をガイドするガイドフレームと、前記ガイドフレーム内に収容され前記昇降台とともに昇降する昇降スライダと、前記昇降スライダを昇降させる昇降機構とを備え、
前記ガイドフレームは、前記荷室の幅方向両端部に左右一対設けられ、
前記ガイドフレーム、前記昇降スライダおよび前記昇降機構は、前記箱型荷台の壁厚内に収容されている
ことを特徴とする箱型荷台の昇降装置。
【請求項2】
前記昇降台の上昇を所定の高さで停止させるストッパをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の箱型荷台の昇降装置。
【請求項3】
前記昇降台を所定の高さで支持する支持装置をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の箱型荷台の昇降装置。
【請求項4】
前記昇降台に積載された荷物の上端部が前記荷台の天井付近の所定の高さに達したことを検知する上部センサをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の箱型荷台の昇降装置。
【請求項5】
前記昇降台が上段の荷台面の高さに達したことを検知する上段センサをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の箱型荷台の昇降装置。
【請求項6】
前記荷室内に搬入される荷物の有無を検知する搬入監視センサをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の箱型荷台の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱型荷台の昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやトレーラなどの運搬車両に用いられる箱型荷台として、上下複数段の荷台面を備えた箱型荷台がある。このような箱型荷台によれば、各荷台面に荷物やカートを積載できるため、積み上げ不能な荷物やカートであっても、上下に配置でき、ひいては、荷室に占める荷物やカートの容積を高めることができる。この箱型荷台には、荷物やカートを昇降させる昇降手段が設けられている。昇降手段が設けられた箱型荷台としては、例えば特許文献1に記載されたものがあった。この箱型荷台の昇降装置は、荷台の後端部に設けられた昇降台を備えている。昇降台は、車幅の略半分の幅寸法を備えており、荷台の床面と上方の荷台面との間で昇降する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の箱型荷台の昇降装置は、昇降台の幅寸法が車幅の略半分であるので、昇降台を支持して昇降させるフレームやガイドレールが荷台の中間部に設けられる。そのため、荷室の収納空間が狭くなる問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、荷室の収納空間を狭くさせることなく、荷室を有効に使用可能な箱型荷台の昇降装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、箱型荷台の荷室で上下複数段の荷台面の後方に設けられた昇降装置である。かかる箱型荷台の昇降装置は、昇降台と、前記昇降台の昇降をガイドするガイドフレームと、前記ガイドフレーム内に収容され前記昇降台とともに昇降する昇降スライダと、前記昇降スライダを昇降させる昇降機構とを備えている。前記ガイドフレームは、前記荷室の幅方向両端部に左右一対設けられ、前記ガイドフレーム、前記昇降スライダおよび前記昇降機構は、前記箱型荷台の壁厚内に収容されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の箱型荷台の昇降装置によれば、ガイドフレーム、昇降スライダおよび昇降機構が箱型荷台の壁厚内に収容されているので、荷室の収納空間を狭くさせることなく、荷室を有効に使用することができる。また、ガイドフレームを、左右に一つずつとしたので、ガイドフレーム、昇降スライダおよび昇降機構の部品点数を最低限にすることができ、構造を簡略化することができる。
【0008】
本発明の箱型荷台の昇降装置では、前記昇降台の上昇を所定の高さで停止させるストッパをさらに備えたものが好ましい。このような構成によれば、昇降台の上昇高さをコントロールできる。
【0009】
本発明の箱型荷台の昇降装置では、前記昇降台を所定の高さで支持する支持装置をさらに備えたものが好ましい。車両走行時等における昇降機構の未使用時に、昇降台を支持装置で支持すると、昇降機構の負荷を低減することができる。
【0010】
本発明の箱型荷台の昇降装置では、前記昇降台に積載された荷物の上端部が前記荷室の天井付近の所定の高さに達したことを検知する上部センサをさらに備えたものが好ましい。上部センサの検知に応じて昇降台の上昇を停止させれば、荷物および荷台の天井の衝突を防止することができる。
【0011】
本発明の箱型荷台の昇降装置では、前記昇降台が上段の荷台面の高さに達したことを検知する上段センサをさらに備えたものが好ましい。上段センサの検知に応じて昇降台の上昇を停止させれば、昇降台を上段の荷台面の高さで停止させることができる。
【0012】
本発明の箱型荷台の昇降装置では、前記荷室内に搬入される荷物の有無を検知する搬入監視センサをさらに備えたものが好ましい。このような構成によれば、昇降台の下降時に、搬入監視センサの検知に応じて昇降台の下降を停止させれば、昇降台と荷物の衝突を防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の箱型荷台の昇降装置によれば、荷室の収納空間を狭くさせることなく、荷室を有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置を示した側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置を示した平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置の昇降台が上段位置にある状態を示した
図2のA-A線矢視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置の昇降台が下段位置にある状態を示した
図2のA-A線矢視図である。
【
図5】(a)は
図3のB-B線矢視図、(b)はC-C線矢視図、(c)は
図4のD-D線矢視図、(d)はE-E線矢視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置のガイドフレームと昇降スライダと昇降機構を示した要部拡大側面図である。
【
図7】(a)は
図6のF-F線矢視図、(b)はG-G線矢視図である。
【
図8】(a)は本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置の支持装置を示した平面図、(b)は後面図である。
【
図9】(a)は本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置の支持装置の変形例を示した平面図、(b)は後面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置の各種センサを説明するための図であって昇降台が下段位置にある状態を示した側面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置の各種センサを説明するための図であって昇降台が上段位置にある状態を示した側面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置の各種センサを説明するための図であって昇降台が上端位置にある状態を示した側面図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る箱型荷台の昇降装置のストッパと上段センサを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、昇降装置を、後端部に開閉扉が設けられた後面開放型の箱型荷台に設置した場合を例に挙げて説明する。なお、本実施形態において、前後左右の方向は、運転席に座った運転者からみた方向を示す。
【0016】
図1に示すように、箱型荷台1の荷室3には、上下複数段の荷台面が設けられている。本実施形態の荷台面は、上下二段に設けられており、下段の荷台面は床面4にて構成され、上段の荷台面は荷室3の左右両側壁にそれぞれ設けられた棚板5にて構成されている。棚板5は、側壁に回動可能に取り付けられている。棚板5は、使用時には水平となり、収納時には立ち上がって側壁と平行になる。棚板5は、荷室3の前端部から後方に向かって延在している。棚板5の後端は、荷室3の後端部から所定間隔をあけた位置に配置されている。
【0017】
昇降装置2は、荷台面(床面4,棚板5)の後方(箱型荷台1の荷室3の後部)に設けられており、昇降台10と、ガイドフレーム20と、昇降スライダ30と、昇降機構50とを備えている。昇降装置2は、固定手段70(
図2参照)と、センサ手段80(
図10参照)とをさらに備えている。
【0018】
昇降台10は、荷室3の後端の開口部から搬入した荷物または荷台(以下、単に「荷物」と称する)を載せるものである。昇降台10は、水平状態を保持しながら昇降し、荷物を床面4の高さから棚板5の高さまで搬送する。昇降台10は、床面4の後端部に形成された凹部4a上に載置される。
図2乃至
図4に示すように、昇降台10は、台本体11と、前後の回動板部12,13と、左右の側板部14,14とを備えている。台本体11は、矩形平面の板状を呈している。台本体11は、内部に補強フレーム10a(
図5,8,9参照)を備え、所定の強度(荷物を載置可能な強度)を有している。
【0019】
前方の回動板部12は、台本体11の前端部に取り付けられており、台本体11の前端縁部に沿って左右に延在している。前方の回動板部12は、水平状態と立上り状態とで回動可能となっており、水平状態のときに前方に張り出している。昇降台10が床面4または棚板5の高さにあるときは、前方の回動板部12は、台本体11と床面4または棚板5との間で水平状態となり、回動板部12の上面を荷物が移動可能となる。昇降台10の昇降中には、前方の回動板部12は、立上り状態となり、荷物が前方にずれないようになっている。回動板部12の側面には、係止フック(図示せず)が回動可能に設けられている。回動板部12を立ち上げた際に、係止フックを側板部14に形成されたピンに係止することで、回動板部12を固定する。
【0020】
後方の回動板部13は、台本体11の後端部に取り付けられており、台本体11の後端縁部に沿って左右に延在している。後方の回動板部13は、水平状態と立上り状態とで回動可能となっている。昇降台10が床面4の高さにあるときは、後方の回動板部13は、台本体11から後方に向かって張り出して水平状態となる。回動板部13の上面は、後方に向かって下がるように傾斜しており、凹部4aの表面に擦り付けられている。昇降台10の昇降中または昇降台10が上方で停止している際には、後方の回動板部13は、立上り状態となり、荷物が後方にずれないようになっている。回動板部13の側面には、回動板部12の係止フックと同形状の係止フック(図示せず)が回動可能に設けられている。回動板部13を立ち上げた際に、係止フックを側板部14の後端部に形成されたピンに係止することで、回動板部13を固定する。
【0021】
側板部14は、台本体11の左右両側面部にそれぞれ取り付けられており、台本体11の側縁部に沿って前後に延在している。側板部14の下部は、台本体11の側面に固定されている。側板部14の上部は、台本体11の上面よりも上方に突出しており、荷物が側方にずれないようになっている。
【0022】
図3乃至
図6に示すように、ガイドフレーム20は、昇降台10の昇降をガイドするための部位であって、荷室3の幅方向両端部に左右一対設けられている。ガイドフレーム20は、断面C型の溝形鋼にて構成されている。左右のガイドフレーム20,20は、断面C型の開口部21が対向するように配置されている。ガイドフレーム20は、箱型荷台1の壁厚寸法t(
図5参照)以下の厚さ寸法を有し、箱型荷台1の壁厚t内に収容されている。ガイドフレーム20は、荷室3の床面4から天井面に向かって延在している。ガイドフレーム20の前後の内周面には、上下に延在するガイドレール22がそれぞれ敷設されている。
【0023】
昇降スライダ30は、昇降台10とともに昇降する部位である。昇降スライダ30は、上下に延在する四角筒状を呈しており、ガイドフレーム20内に昇降可能に収容されている。昇降スライダ30は、昇降台10の側方から上方に向かって立ち上がるように配置されている。昇降スライダ30前後側面にはガイドレール22に向かって突出するガイドローラ31が設けられており、ガイドローラ31がガイドレール22に接しながら回転することで、昇降スライダ30がガイドフレームに沿って昇降する。前方のガイドローラ31は、昇降スライダ30の上端部に設けられ、後方のガイドローラ31は、昇降スライダ30の下端部に設けられている(
図6参照)。なお、前後のガイドローラ31の位置は前記位置に限定されるものではない。昇降スライダ30の上端部には、昇降機構50を接続するための取付部材32(
図6参照)が設けられている。取付部材32は、昇降スライダ30の上端部に固定されたプレート33と、プレート33から立ち上がる立上部34とを備えている。立上部34の先端部(上端部)には、昇降機構50の後記する連結チェーン55の一端が固定されている。
【0024】
昇降スライダ30の下端部には、昇降台10が固定されている。昇降スライダ30の下端部には、昇降台10の側面部に挿通されたボルト35(
図5の(d)参照)を介して、昇降台10が固定されている。ボルト35は、昇降台10と昇降スライダ30を連結するものであり、ガイドフレーム20の開口部21を通過している。昇降台10は、昇降スライダ30およびガイドフレーム20と所定の間隔をあけて固定されている。
【0025】
図3および
図4に示すように、昇降スライダ30の高さ方向中間部には、斜材37が連結されている。斜材37は、昇降台10を保持するための部材であって、一端部(上端部)が昇降スライダ30の側面に連結され、他端部(下端部)が昇降台10の側面部に連結されている。斜材37は、昇降スライダ30から前方に向かって所定角度で配置され、昇降台10を水平状態で保持する。斜材37の上端部は、昇降スライダ30の側面部に挿通されたボルト38(
図5の(c)参照)を介して、昇降スライダ30に固定されている。ボルト38は、ガイドフレーム20の開口部21を通過している。昇降スライダ30と斜材37との間には、スペーサ39が設けられており、斜材37が、昇降スライダ30およびガイドフレーム20と所定の間隔をあけて固定されている。斜材37の下端部は、ボルト40を介して、昇降台10の側面部に連結されている。斜材37の上側には、水平部41が形成されている。水平部41は、後記する上段センサ82の係止ブロック86に下側から当接する部分である。
【0026】
昇降機構50は、昇降スライダ30を昇降台10とともに昇降させるものである。昇降機構50は、駆動アクチュエータ51と、駆動力伝達手段52とを備えている。駆動アクチュエータ51は、例えば油圧式の伸縮シリンダにて構成されている。駆動アクチュエータ51の厚さ寸法はガイドフレーム20の厚さ寸法より小さく、駆動アクチュエータ51は箱型荷台1の壁厚t(
図5の(a)参照)内に収容されている。駆動アクチュエータ51は、ガイドフレーム20の下端部の後方に、上下に延在して配置されている。駆動アクチュエータ51は、シリンダチューブ53が下側に配置され、ロッド54が上方に出没するように構成されている。駆動アクチュエータ51は、シリンダ支持部材23(
図5の(a)参照)および下部支持部材28(
図5の(b)参照)を介してガイドフレーム20に固定されている。シリンダ支持部材23は、シリンダチューブ53の上部を支持する部材であって、断面U字状のブラケット23aと、ブラケット23aの開口部を覆う押え部材23bとを備えている。シリンダ支持部材23は、ブラケット23aに挿入されたシリンダチューブ53を押え部材23bで押さえることで、シリンダ支持部材23の周囲を囲って支持する。下部支持部材28は、駆動アクチュエータ51の下端部を支持する部材であって、左右一対のブラケット28a,28aと支持ピン28bとを備えている。ブラケット28aは、ガイドフレーム20の下端部から後方に張り出しており、先端部に支持ピン28bの挿通孔が形成されている。左右一対のブラケット28a,28aの間には、駆動アクチュエータ51の下端部に設けられた接続部51aが挿入される。接続部51aには支持ピン28bが挿通される挿通孔51bが設けられている。支持ピン28bは、ブラケット28aの先端部の挿通孔と、接続部51aの挿通孔51bに挿通され、駆動アクチュエータ51がガイドフレーム20に接続されている。
【0027】
駆動力伝達手段52は、
図6に示すように、連結チェーン55と、第一スプロケット56と、第二スプロケット57とを備えている。連結チェーン55、第一スプロケット56および第二スプロケット57の厚さ寸法はガイドフレーム20の厚さ寸法より小さく、箱型荷台1の壁厚t(
図7参照)内に収容されている。連結チェーン55の一端は、ガイドフレーム20の内部に入り込んで昇降スライダ30の上端部に固定され、連結チェーン55の他端は、ガイドフレーム20の上端部に固定されている。連結チェーン55の他端は、後記する支持部材24の連結チェーン支持部26に取り付けられている。
【0028】
第一スプロケット56は、ガイドフレーム20の後方上端部に設けられた定滑車にて構成されている。第一スプロケット56は、ガイドフレーム20の後方に配置された支持部材24(
図6および
図7の(a)参照)に回転可能に支持されている。支持部材24は、滑車支持部25と連結チェーン支持部26とを備えている。滑車支持部25は、ガイドフレーム20の後方に固定された門型ブラケット25aと、門型ブラケット25aに取り付けられた支持ピン25bとを備えている。支持ピン25bは、左右に延在して第一スプロケット56の中心部に挿通している。第一スプロケット56は、前端部がガイドフレーム20の内側に位置し、後端部がガイドフレーム20の後方に位置している。連結チェーン支持部26は、滑車支持部25の下端部に固定されたプレート26aと、プレート26aから垂れ下がる垂下部26bとを備えている。垂下部26bの先端部(下端部)には、連結チェーン55の他端が固定されている。
【0029】
第二スプロケット57は、駆動アクチュエータ51のロッド54の上端部に設けられた動滑車にて構成されている。第二スプロケット57は、ロッド54の上端部に配置された支持部材58(
図6および
図7の(b)参照)に回転可能に支持されている。支持部材58は、ロッド54の上端部に固定された門型ブラケット58aと、門型ブラケット58aに取り付けられた支持ピン58b(
図7の(b)参照)とを備えている。支持ピン58bは、左右に延在して第二スプロケット57の中心部に挿通している。第二スプロケット57は、ロッド54の出没に応じて昇降する。
【0030】
連結チェーン55は、一端が昇降スライダ30の上端に固定され、昇降スライダ30から上方に延在し、第一スプロケット56に巻き掛けられて、下方に延在する。さらに連結チェーン55は、第二スプロケット57に巻き掛けられて上方に延在し、連結チェーン55の他端が支持部材24の連結チェーン支持部26に固定されている。
【0031】
固定手段70は、昇降台10を所定の高さで支持する支持装置である。本実施形態では、昇降台10の後部(
図2参照)に固定手段70が内蔵されており、固定手段70の両端を荷室の側壁に配置された係止フレーム27に係止することで、昇降台10を上限高さで支持する。上限高さとは、昇降台10上の荷物が荷室3の天井に接触しない高さである(
図12参照)。固定手段70は、昇降台10が上限高さにあるときに、左右外側に係止部(後記する出没ピン77)を突出させて、係止フレーム27に係止する。固定手段70は、
図8および
図9に示すように、回転レバー71と、カム72と、係止部材73とを備えている。
【0032】
回転レバー71は、
図9に示すように、操作レバー74と、回転ロッド75とを有している。操作レバー74は、台本体11の後面の補強フレーム10aに取り付けられており、後方の回動板部13を立ち上げた際に後方に露出されて操作可能となる。操作レバー74は、台本体11の後方から操作可能である。操作レバー74は、係止位置P1と非係止位置P2との間を回転可能になっている(
図9の(b)参照)。操作レバー74と台本体11の後面との間には、ばね部材76が伸長状態で掛け渡されており、操作レバー74を係止位置P1と非係止位置P2とで固定できるようになっている。操作レバー74が係止位置P1のとき、操作レバー74の先端部は台本体11の上面より上方に突出する。操作レバー74が非係止位置P2のときに、操作レバー74は台本体11の高さの範囲に収まる。
【0033】
回転ロッド75は、前後方向に延在し、昇降台10の補強フレーム10aに回転可能に支持されている(
図9の(a)参照)。回転ロッド75は、操作レバー74と一体化されており、操作レバー74と共回りする。回転ロッド75の前端部は、側面視でガイドフレーム20の前方位置まで延在している。ガイドフレーム20の前方には、係止部を備えた係止フレーム27が設けられている。係止部は、昇降台10の上限高さにあるときの係止部材73に相当する高さに形成されており、係止部材73を係止部に係止することで、昇降台10が荷室3の側壁部(係止フレーム27)に支持される。なお、係止部の形成高さは、前記高さに限定されるものではなく、係止孔を所望の高さに複数形成してもよい。
【0034】
カム72は、回転ロッド75の前端部に固定されており、回転ロッド75と共回りする。カム72は、回転ロッド75から両側に広がる長尺形状となっている。カム72の先端部には、左右の係止部材73がそれぞれ連結されている。係止部材73は、左右一対に設けられており、カム72から左右両端に向かってそれぞれ延在している。係止部材73は、出没ピン77と連結ロッド78とを備えている。出没ピン77は、台本体11の外側端部から外側に向かって突出する部材であって、台本体11の補強フレーム10aに固定された筒状の支持部材79に沿って移動可能に保持されている。連結ロッド78は、カム72と出没ピン77とを連結するものであって、一端がカム72の先端部にピン結合され、他端が出没ピン77の内側端部にピン結合されている。カム72が出没ピン77側に傾斜した係止位置にあると、出没ピン77が外側に押し出されて突出する(
図8の(b)参照)。カム72が出没ピン77から離れた側に傾斜した非係止位置にあると、出没ピン77が内側に引き込まれて没入する(
図8の(b)で仮想線にて図示)。
【0035】
センサ手段80は、
図10乃至
図13に示すように、上部センサ81と、上段センサ82と、搬入監視センサ83と、動滑車位置センサ84と、出没ピンセンサ85とを備えている。
【0036】
上部センサ81は、昇降台10に積載された荷物の上端部が荷室3の天井付近の所定の高さに達したことを検知するセンサである。上部センサ81は、例えば光センサからなり、荷室3の後端部の天井付近に設置されている。上部センサ81は、荷室3の天井と平行な光を面状に照射しており、荷物等が上昇して投光された光が遮られると、これを検知して、荷物が天井付近へ接近したと判定する。上部センサ81は、駆動アクチュエータ51の作動制御部に接続されており、上部センサ81が荷物の接近を検出すると、駆動アクチュエータ51の作動を強制的に停止させて、昇降台10の上昇を停止させるようになっている。
【0037】
上段センサ82は、昇降台10が上段の荷台面(棚板5)の高さに達したことを検知するセンサである。さらに、本実施形態の上段センサ82は、昇降台10の上昇を所定の高さで停止させるストッパの役目も果たす。上段センサ82は、ガイドフレーム20の前方で、棚板5の高さより上方に設けられている。上段センサ82は、
図13に示すように、係止ブロック86と、センサ本体87とを備えている。係止ブロック86は、斜材37の水平部41が下側から当接する部材であって、斜材37が通過する位置に突出する突出位置と、荷室3の壁厚t内に収納される収納位置とで回動可能に設けられている。係止ブロック86は、上下に延在する回転軸88に回転可能且つ昇降可能に取り付けられている。係止ブロック86は、突出位置にあるときに先端部が内側に向かって突出し、斜材37が下側から当接した際に押し上げられる。係止ブロック86の上方には押えばね部材89が設けられており、係止ブロック86は、押えばね部材89のばね力に抗しながら一定距離押し上げられて停止される。係止ブロック86は、収納位置にあるときは、先端部は前方に向かって延在し、全体が壁厚t内に収容されて、斜材37の上昇を阻害しない。これによって、斜材37および昇降台10が、上段センサ82の側部を通過して昇降可能となる。係止ブロック86の基端部は、下方に設けられたセンサ本体87に向かって突出している。
【0038】
センサ本体87は、マイクロスイッチからなり、上方に突出するピン87aを備えている。係止ブロック86の基端部の下方への突出部分86aがピン87aを押えている。昇降台10が所定位置まで上昇して係止ブロック86が押し上げられると、突出部分86aがピン87aから離反する。センサ本体87は、ピン87aの離間により、昇降台10が棚板5の高さに達したことを検知する。センサ本体87は、駆動アクチュエータ51の作動制御部に接続されており、昇降台10の棚板5の高さへの上昇を検出すると、駆動アクチュエータ51の作動を停止させて、昇降台10を棚板5の高さで停止させる。つまり、上段センサ82は、昇降台10が上段の荷台面(棚板5)の高さに達したことを検知するとともに、昇降台10の上昇を所定の高さで停止させるストッパとなる。
【0039】
図10乃至
図12に示す搬入監視センサ83は、荷室3の後端開口部に搬入される荷物の有無を検知するセンサであって、下降する昇降台10の下方への障害物(荷物)の侵入を察知し、昇降台10と障害物との衝突を回避するために昇降台10の動きを停止させることを目的としている。搬入監視センサ83は、例えば光センサからなり、荷室3の後端部の開口縁部に設置されている。搬入監視センサ83は、荷室3の後端開口縁の下端部と棚板5よりも低い高さ位置の二か所に設置されている。搬入監視センサ83は、荷室3の後端開口部において開口部に沿って光を面状に照射しており、荷物等が後端開口部を通過したときに光が遮られると、これを検知して、搬入される荷物が有ると判定する。搬入監視センサ83は、駆動アクチュエータ51の作動制御部に接続されており、荷室3の後端開口部から荷室3への荷物の侵入を検出すると、駆動アクチュエータ51の作動を停止させて、昇降台10の下降を停止させる。搬入監視センサ83を作動させるに際しては、
図11に示すように、昇降台10が棚板5の高さ以上にあるときに、目視により昇降台10の下方に障害物がないことを確認後、搬入監視センサ83を作動させながら昇降台10を下降させる。なお、昇降台10が最下端の床面4上にあるときは、昇降台10の下方に障害物が入り込む心配がないため、搬入監視センサ83による荷室3への荷物の侵入の検知を無視すればよい。
【0040】
動滑車位置センサ84は、動滑車である第二スプロケット57が所定位置にあることを検知するものである。動滑車位置センサ84は、近接センサからなり、第二スプロケット57の移動範囲のうち、下端位置と上端位置と中間位置の三か所の側部近傍でガイドフレーム20の後部に設けられている。
図12に示すように、下端位置の側部にある動滑車位置センサ84aが、第二スプロケット57の存在を検知した際には、昇降台10が最上部に位置している。つまり、下端位置にある動滑車位置センサ84aは、昇降台10が最上部に位置することを検知する台車上限検知センサである。
図10に示すように、上端位置の側部にある動滑車位置センサ84bが、第二スプロケット57の存在を検知した際には、昇降台10が下段(最下部)に位置している。つまり、上端位置にある動滑車位置センサ84bは、昇降台10が下段に位置することを検知する台車下段検知センサである。
図11に示すように、中間位置の側部にある動滑車位置センサ84cが、第二スプロケット57の存在を検知した際には、昇降台10が上段(棚板5の高さ)に位置している。つまり、中間位置にある動滑車位置センサ84cは、昇降台10が上段に位置することを検知する台車上段検知センサである。
【0041】
出没ピンセンサ85は、固定手段70の出没ピン77が係止孔に向かって突出しているか否かを検知するセンサである。出没ピンセンサ85は、近接センサからなり、出没ピン77が外側に突出していることを検知する。出没ピンセンサ85は、駆動アクチュエータ51の作動制御部に接続されており、出没ピン77が突出して係止孔に挿入されていることを検知すると、駆動アクチュエータ51の油圧スイッチを切ることができるように構成されている。
【0042】
以上説明した箱型荷台1の昇降装置2によれば、ガイドフレーム20、昇降スライダ30および昇降機構50が箱型荷台1の壁厚t内に収容されているので、荷室3の収納空間に昇降台10以外の部材が配置されない。したがって、荷室3の収容空間を狭くさせることなく、荷室3を有効に使用することができる。
【0043】
また、ガイドフレーム20は、左右に一つずつ設けられているだけであるので、ガイドフレーム20、昇降スライダ30および昇降機構50の部品点数を最低限にすることができる。これによって、昇降装置2の構造を簡略化することができるとともに、軽量化することができる。
【0044】
本実施形態の箱型荷台1の昇降装置2は、昇降台10が上段の荷台面(棚板5)の高さに達したことを検知するとともに、昇降台10の上昇を上段(棚板5)の位置で停止させる上段センサ82を備えているので、昇降台10が上昇し過ぎるのを防止することができるとともに、昇降台10を上段の荷台面の高さで停止させることができる。
【0045】
また、昇降装置2は、昇降台10を上限高さで支持する固定手段70(支持装置)を備えているので、走行時等の昇降台10の昇降を行わないときに昇降台10を固定手段70で支持すると、昇降機構50の負荷を低減することができる。本実施形態の支持装置は、昇降台10を上限高さで支持するので、走行時に昇降台10の下方の収納空間を大きく確保できる。さらに、操作レバー74は、台本体11の後方から操作可能であるので、操作レバー74の切り替えを行うのに、昇降台10の下方に入らなくて済む。したがって、作業の安全性が高くなる。
【0046】
さらに、昇降装置2は、昇降台10に積載された荷物8の上端部が荷室3の天井付近の所定の高さに達したことを検知する上部センサ81を備え、上部センサ81の検知に応じて昇降台10の上昇を停止させるので、荷物8の天井への衝突を防止することができる。
【0047】
また、昇降装置2は、第二スプロケット57が下端位置と上端位置と中間位置の三か所のいずれかに存在することを検知する動滑車位置センサ84を備えているので、昇降台10の高さ位置を把握することができる。
【0048】
さらに、昇降装置2は、固定手段70の出没ピン77が係止孔に向かって突出しているか否かを検知する出没ピンセンサ85を備えているので、昇降台10が支持されているか否かを確実に検知することができる。
【0049】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。たとえば、前記実施形態では、昇降機構50は、ガイドフレーム20の後方に設けられているが、前方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 箱型荷台
2 昇降装置
3 荷室
4 床面
5 棚板
8 荷物
10 昇降台
20 ガイドフレーム
30 昇降スライダ
50 昇降機構
70 固定手段(支持装置)
81 上部センサ
82 上段センサ
83 搬入監視センサ
t 壁厚