(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032354
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ふろ装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20230302BHJP
F24H 15/196 20220101ALI20230302BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20230302BHJP
【FI】
A47K3/00 M
F24H1/00 602Z
A47K3/00 E
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138431
(22)【出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】平岡 一貴
【テーマコード(参考)】
3L024
4D037
【Fターム(参考)】
3L024CC02
3L024DD17
3L024DD22
3L024DD27
3L024DD34
3L024HH46
4D037AA09
4D037AB03
4D037BA18
4D037BB01
4D037BB02
(57)【要約】
【課題】装置の大型化およびコストの上昇を抑制しつつ、湯水に対して十分な除菌作用を維持することが可能なふろ装置を提供する。
【解決手段】ふろ装置(給湯器11)は、浴槽2内の湯水が循環する追い焚き循環路P10と、浴槽2内の湯水を追い焚き循環路P10に循環させる循環ポンプ225と、追い焚き循環路P10に配置され、循環ポンプ225により循環される湯水に対し、除菌効果を有する波長域の光を照射する発光ダイオード(除菌ユニット113)と、発光ダイオードの発光強度を検出する光検出器(除菌ユニット113)と、循環ポンプ225および発光ダイオードを制御して除菌運転を実行する制御部111と、を備える。制御部111は、光検出器の検出値に基づいて、所期の発光強度からの低下を補正するよう、発光ダイオードの発光強度を変化させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内の湯水が循環する追い焚き循環路と、
前記浴槽内の前記湯水を前記追い焚き循環路に循環させる循環ポンプと、
前記追い焚き循環路に配置され、前記循環ポンプにより循環される前記湯水に対し、除菌効果を有する波長域の光を照射する発光ダイオードと、
前記発光ダイオードの発光強度を検出する光検出器と、
前記循環ポンプおよび前記発光ダイオードを制御して除菌運転を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記光検出器の検出値に基づいて、所期の発光強度からの低下を補正するよう、前記発光ダイオードの発光強度を変化させる、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のふろ装置において、
前記制御部は、前記光検出器の前記検出値を取得して、前記発光ダイオードの発光強度を変化させるマイクロコンピュータを備える、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のふろ装置において、
前記制御部は、前記光検出器の前記検出値に基づいて発光ダイオードの発光強度を変化させるフィードバック回路を備える、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3に記載のふろ装置において、
複数の前記発光ダイオードが前記追い焚き循環路に配置され、
前記発光ダイオードごとに1つの前記光検出器が設けられ、
前記制御部は、前記光検出器の検出値に基づいて、当該光検出器に対応する前記発光ダイオードを制御する、
ことを特徴とするふろ装置。
【請求項5】
請求項1ないし3に記載のふろ装置において、
複数の前記発光ダイオードが配置され、
隣り合う所定数の前記発光ダイオードのグループに対して1つの前記光検出器が設けられ、
前記制御部は、前記光検出器の検出値に基づいて、当該光検出器に対応する前記グループの前記発光ダイオードを制御する、
ことを特徴とするふろ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のふろ機能を実行するふろ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器から浴槽に湯水を供給する方式のふろ装置が知られている。この他、浴槽に溜められた水を燃焼器に循環させて浴槽内の水を暖める方式のふろ装置も知られている。これらのふろ装置では、たとえば、浴室や台所に設置されたリモートコントローラによって、追い焚きや足し湯等の所定のふろ機能が実行される。
【0003】
以下の特許文献1には、浴槽内の湯水を除菌装置により除菌する機能を備えたふろ装置が記載されている。除菌装置は、除菌用の光を湯水に照射して湯水を除菌する。除菌用の光を発する光源として除菌灯が用いられる。除菌灯は、たとえば、紫外線ランプである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成のふろ装置では、除菌用の光源として除菌灯が用いられるため、除菌装置が大型化し、且つ、コストの上昇を招く。また、経年劣化等によって除菌灯の出力が低下すると、湯水に対して十分な除菌作用を付与できない場合がある。
【0006】
かかる課題に鑑み、本発明は、装置の大型化およびコストの上昇を抑制しつつ、湯水に対して十分な除菌作用を維持することが可能なふろ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係るふろ装置は、浴槽内の湯水が循環する追い焚き循環路と、前記浴槽内の前記湯水を前記追い焚き循環路に循環させる循環ポンプと、前記追い焚き循環路に配置され、前記循環ポンプにより循環される前記湯水に対し、除菌効果を有する波長域の光を照射する発光ダイオードと、前記発光ダイオードの発光強度を検出する光検出器と、前記循環ポンプおよび前記発光ダイオードを制御して除菌運転を実行する制御部と、を備える。前記制御部は、前記光検出器の検出値に基づいて、所期の発光強度からの低下を補正するよう、前記発光ダイオードの発光強度を変化させる。
【0008】
本態様に係るふろ装置によれば、除菌用の光源として発光ダイオードが用いられるため、装置の大型化およびコストの上昇を抑制できる。また、光検出器の検出値に基づいて、所期の発光強度からの低下を補正するよう、発光ダイオードの発光強度が制御されるため、経年劣化や環境温度の変化等によって発光ダイオードの出力が低下しても、発光ダイオードの発光強度を所期の発光強度に補正できる。これにより、発光ダイオードに経年劣化等が生じても、湯水に対して十分な強度の光を照射することができる。よって、装置の大型化およびコストの上昇を抑制しつつ、湯水に対して十分な除菌作用を維持することができる。
【0009】
本態様に係るふろ装置において、前記制御部は、前記光検出器の前記検出値を取得して、前記発光ダイオードの発光強度を変化させるマイクロコンピュータを備え得る。
【0010】
この構成によれば、マイクロコンピュータによる制御により、発光ダイオードの発光強度を所期の強度に補正できる。
【0011】
あるいは、前記制御部は、前記光検出器の前記検出値に基づいて発光ダイオードの発光強度を変化させるフィードバック回路を備え得る。
【0012】
この構成によれば、フィードバック回路の動作により自動で、発光ダイオードの発光強度を所期の強度に補正できる。
【0013】
本態様に係るふろ装置において、複数の前記発光ダイオードが前記追い焚き循環路に配置され、前記発光ダイオードごとに1つの前記光検出器が設けられ、前記制御部は、前記光検出器の検出値に基づいて、当該光検出器に対応する前記発光ダイオードを制御するよう構成され得る。
【0014】
この構成によれば、発光ダイオードが複数配置されるため、追い焚き循環路を循環する湯水に照射される除菌用の光の光量を高めることができ、湯水をより効率的に除菌できる。また、発光ダイオードごとに光検出器を配置して、各々の発光ダイオードが個別に制御されるため、各々の発光ダイオードの発光強度を所期の発光強度に正確に補正できる。よって、湯水に対する除菌を適正に行うことができる。
【0015】
あるいは、複数の前記発光ダイオードが前記追い焚き循環路に配置され、隣り合う所定数の前記発光ダイオードのグループに対して1つの前記光検出器が設けられ、前記制御部は、前記光検出器の検出値に基づいて、当該光検出器に対応する前記グループの前記発光ダイオードを制御するよう構成され得る。
【0016】
この構成においても、上記と同様、発光ダイオードが複数配置されるため、追い焚き循環路を循環する湯水に照射される除菌用の光の光量を高めることができ、湯水をより効率的に除菌できる。また、この構成では、隣り合う所定数の前記発光ダイオードのグループに対して1つの光検出器が配置されるため、上記構成に比べて、光検出器の数を減少させることができ、構成の簡素化およびコストの低減を図ることができる。
【0017】
なお、このように発光ダイオードが複数配置される場合、ふろ装置において、各々の発光ダイオードが使用開始されてから現時点までの総使用時間は、発光ダイオード間で略同じである。このため、各グループの発光ダイオードの経年劣化の程度は互いに略同じであると想定され得る。したがって、上記のように、グループごとに1つの光検出器を配置して各グループの発光ダイオードを一律に制御したとしても、各グループの発光ダイオードの発光強度を所期の強度に補正できる。よって、湯水に対する除菌を適正に行うことができる。
【0018】
なお、この構成では、1つのグループに含まれる発光ダイオードの数は、適宜、設定されてよい。また、追い焚き循環路に配置される全ての発光ダイオードに対して1つだけ光検出器が配置されてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上のとおり、本発明によれば、装置の大型化およびコストの上昇を抑制しつつ、湯水に対して十分な除菌作用を維持することが可能なふろ装置を提供することができる。
【0020】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る、給湯装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る、給湯器と浴槽との間の接続形態を模式的に示す図である。
【
図3】
図3(a)は、実施形態1に係る、除菌ユニットの構成を示す断面図である。
図3(b)は、実施形態1に係る、除菌ユニットの流路に対する発光ダイオードの配置を模式的に示す正面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る、除菌ユニットの回路部の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る、除菌運転時の制御を示すフローチャートである。
【
図6】
図6(a)は、実施形態1の変更例に係る、除菌ユニットの構成を示す断面図である。
図6(b)は、実施形態1の変更例に係る、除菌ユニットの流路に対する発光ダイオードおよび光検出器の配置を模式的に示す正面図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る、除菌ユニットの回路部の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る、フィードバック回路の構成を示す回路図である。
【
図9】
図9は、実施形態2の変更例に係る、フィードバック回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
以下の実施形態では、給湯装置1が、特許請求の範囲に記載の「ふろ装置」に対応する。給湯装置1は、ふろ機能とともに、台所の蛇口や、浴室のカラン等に対する給湯機能も実行する。
【0024】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0025】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係る給湯装置1の構成を示す図である。
【0026】
図1に示すように、給湯装置1は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13とを備える。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。給湯器11により生成された湯は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯が供給される。
【0027】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置1の各機能について種々の設定を行うために用いられる。
【0028】
リモートコントローラ12は、表示部121と、入力部122とを備える。リモートコントローラ12の前面下部には、下端を軸として開閉可能な蓋部12bが設けられている。この蓋部12bの前面に、入力部122を構成する5つの操作スイッチが配置されている。入力部122は、運転スイッチ122aとともに、湯張り(ふろ自動)や追い焚き等のための操作スイッチを含んでいる。蓋部12bが開放されると、他の機能を設定するための操作スイッチが現れる。リモートコントローラ13は、タッチパネルからなる表示入力部131と、運転スイッチ132とを備える。
【0029】
操作者は、表示部121に表示された画面に従って入力部122を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。また、操作者は、表示入力部131を操作することによっても、湯張り等の設定を行える。
【0030】
リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。リモートコントローラ12、13には、音声を入出力するための音声窓12a、13aが設けられている。
【0031】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0032】
給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13の回路部は、2芯通信線L1、L2を介して互いに通信可能に接続されている。浴室リモコン12の入力部122または台所リモコン13の表示入力部131を介して入力されたふろ機能の設定情報は、2芯通信線L1、L2を介した通信により、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13の回路部間で共有される。
【0033】
また、後述のように、給湯器11には、浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサ112が配置されている。さらに、浴室リモコン12には、浴室における人の有無を検知する人センサが配置されている。人センサは、たとえば、赤外線を用いた焦電センサである。これら水位センサおよび人センサの検知結果も、随時、2芯通信線L1、L2を介した通信により、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13の回路部間で共有される。
【0034】
この他、給湯器11には、浴槽に貯められている湯水に対して除菌を行う除菌ユニット113が配備されている。除菌ユニット113の構成は、追って、
図3(a)、(b)を参照して説明する。
【0035】
図2は、給湯器11と浴槽2との間の接続形態を模式的に示す図である。
【0036】
図2に示すように、給湯器11は、給湯部210と、追い焚き部220と、バイパス部230とを備える。
【0037】
給湯部210は、給水管路211と、給湯熱交換器212と、給湯管路213と、給湯燃焼器214と、給気ファン215とを含む。給水管路211は、水道管と給湯熱交換器212とに繋がり、給湯管路213は、給湯熱交換器212と浴室水栓3および外部水栓4とに繋がる。給湯燃焼器214には、ガス電磁弁216により開閉される給湯ガス管路217を通じてガス(燃料ガス)が供給される。給湯燃焼器214は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215は、給湯燃焼器214に燃焼用の空気を供給する。
【0038】
追い焚き部220は、上述の水位センサ112の他、戻り管路221と、ふろ熱交換器222と、往き管路223と、ふろ燃焼器224と、循環ポンプ225とを含む。戻り管路221は、浴槽2の循環アダプタ2aとふろ熱交換器222とに繋がり、往き管路223は、ふろ熱交換器222と循環アダプタ2aとに繋がる。戻り管路221と往き管路223とによって、浴槽2とふろ熱交換器222との間で湯水を循環させる追い焚き循環路P10が構成される。
【0039】
追い焚き循環路P10に、上述の除菌ユニット113が配置される。ここでは、戻り管路221に除菌ユニット113が配置されている。循環ポンプ225が駆動されて、浴槽2内の湯水が追い焚き循環路P10を循環すると、戻り管路221を流れる湯水が、除菌ユニット113に流入し、除菌ユニット113により除菌される。除菌された湯水は、除菌ユニット113から下流側の戻り管路221へと流出し、その後、追い焚き循環路P10を循環して、浴槽2へと戻される。これにより、浴槽2内の湯水が除菌される。
【0040】
ふろ燃焼器224には、ガス電磁弁226により開閉されるふろガス管路227を通じてガス(燃料ガス)が供給される。ふろ燃焼器224は、ガスを燃料として燃焼する。給気ファン215が給湯部210と追い焚き部220との間で共用され、給気ファン215からふろ燃焼器224に燃焼用の空気が供給される。戻り管路221に、循環ポンプ225および水位センサ112が配置される。水位センサ112は、戻り管路221内の水圧に基づいて浴槽2内の水位を検出する。
【0041】
バイパス部230は、バイパス管路231と、給湯電磁弁232とを含む。バイパス管路231は、給湯管路213と戻り管路221とに繋がる。給湯電磁弁232は、バイパス管路231を開閉する。
【0042】
制御部111は、マイクロコンピュータ111a(以下、「マイコン111a」という)を備え、マイコン111aに記憶されたファームウエアにより、給湯部210の給湯燃焼器214、給気ファン215およびガス電磁弁216、追い焚き部220のふろ燃焼器224、循環ポンプ225、水位センサ112およびガス電磁弁226、バイパス部230の給湯電磁弁232などを制御する。また、制御部111(マイコン111a)は、除菌運転時に、除菌ユニット113を制御する。除菌運転時の制御については、追って、
図5を参照して説明する。
【0043】
浴室水栓3または外部水栓4が開かれると、給湯機能が実行される。水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入されるとともに、給湯燃焼器214が燃焼して給湯熱交換器212が加熱される。給湯熱交換器212に導入された水が加熱されて湯となり、湯が給湯管路213を通じて浴室水栓3または外部水栓4に供給される。浴室水栓3または外部水栓4が閉じられると、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0044】
また、浴室リモコン12または台所リモコン13から浴槽2への湯張りの指令を受けると、制御部111は、湯張り機能(ふろ自動機能)を実行する。この場合、給湯電磁弁232が開放されるとともに、水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入され、給湯熱交換器212で加熱される。そして、給湯熱交換器212からの湯が給湯管路213およびバイパス管路231を通じて戻り管路221に導入される。
【0045】
戻り管路221に導入された湯の一部は、戻り管路221を循環アダプタ2a側へと流れ、循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。戻り管路221に導入された湯の残りは、戻り管路221をふろ熱交換器222側へと流れ、さらにふろ熱交換器222および往き管路223を流れて循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。
【0046】
給湯が行われて浴槽2内に湯が溜められると、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が水で満たされた状態となる。これにより、水位センサ112での浴槽2内の水位検出が可能となる。浴槽2内の水位が予め設定された水位に到達したことが水位センサ112により検出されると、給湯電磁弁232が閉じられ、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0047】
なお、湯が張られた浴槽2内に人が入ると浴槽2内の水位が上昇する。また、浴槽2内から人が出ると水位が下降する。この浴槽2内への人の出入りに基づく水位変動を、水位センサ112によって検出することができる。これにより、浴槽2に対する人の入退が検知される。
【0048】
また、浴室リモコン12または台所リモコン13から追い焚きの指令を受けると、制御部111は、追い焚き機能を実行する。追い焚き機能の実行時には、循環ポンプ225が作動するとともにふろ燃焼器224が燃焼する。浴槽2内の湯が、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223からなる追い焚き循環路P10と浴槽2との間で循環し、その間にふろ熱交換器222で加熱される。浴槽2内の湯温が予め設定された上限温度よりも高くなると、循環ポンプ225とふろ燃焼器224が停止する。
【0049】
なお、追い焚き機能は、上述の湯張り機能(ふろ自動機能)により浴槽2に貯められた湯の温度が設定温度より低い場合においても、自動で行われる。この場合、制御部111は、浴槽2内の湯の温度が設定温度に到達するまで、上記と同様の追い焚き機能を実行する。
【0050】
また、浴室リモコン12または台所リモコン13から足し湯または足し水の指令を受けると、制御部111は、足し湯機能または足し水機能を実行する。足し湯機能では、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御により、所定量の湯が浴槽2に注入される。足し水機能の実行時には、給湯燃焼器214およびふろ燃焼器224を停止させた状態で、湯張り機能(ふろ自動機能)と同様の制御が実行され、所定量の水が浴槽2に注入される。
【0051】
図3(a)は、除菌ユニット113の構成を示す断面図である。
図3(b)は、除菌ユニット113の流路P11に対する発光ダイオード(以下、「LED」という)341の配置を模式的に示す正面図である。
【0052】
便宜上、
図3(a)、(b)には、互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。X軸正方向は、除菌ユニット113の奥行き方向であり、Y軸方向およびZ軸方向は、それぞれ、除菌ユニット113の長手方向および短手方向である。
図3(a)には、除菌ユニット113のZ軸方向の中間位置を、X-Y平面に平行な平面で切断したときの断面図が示されている。
【0053】
除菌ユニット113は、枠体310と、光透過板320、330と、回路基板340、350とを備える。
【0054】
枠体310は、正面視において長方形の角が丸められた形状を有する。枠体310は、たとえば樹脂材料により一体形成されている。枠体310が金属材料からなっていてもよい。枠体310の前面には、流入口311と、流出口312が形成されている。枠体310の後面には、流入口311と流出口312とを含む範囲に、開口313が設けられている。また、枠体310の前面には、流入口311と流出口312との間に、開口314が設けられている。
【0055】
光透過板320、330は、LED341から出射される光に対して高い透過率を有する材料からなっている。光透過板320、330は、たとえば、樹脂材料からなっている。光透過板320、330が、ガラス材料からなっていてもよい。光透過板320は、開口313を背面側から気密に塞ぐように、枠体310に接着固定される。また、光透過板330は、開口314を正面側から気密に塞ぐように、枠体310に接着固定される。これにより、光透過板320、330との間に、湯水が流れる流路P11が形成される。
【0056】
流路P11は、流入口311と流出口312に連通している。流入口311には、
図2に示す戻り管路221の上流側の部分(循環ポンプ225側の部分)が接続され、流出口312には、
図2に示す戻り管路221の下流側の部分(ふろ熱交換器222側の部分)が接続される。これにより、浴槽2から追い焚き循環路P10へと循環する湯水は、
図3(a)の流路P11をY軸方向に流れる。
【0057】
回路基板340は、複数のLED341を備える。回路基板340は、LED341が流路P11側を向くように、枠体310の後面に設置される。
図3(b)に示すように、複数のLED341は、Y軸方向に2列に並ぶように配置される。2列に並ぶLED341は、正面視において流路P11の幅の範囲内に含まれるように配置される。
【0058】
正面視において、流路P11の幅は、流入口311からY軸正方向に所定の範囲において徐々に広がっており、また、流出口312からY軸負方向に所定の範囲において徐々に広がっている。Y軸方向の両端を除く流路P11の幅は、正面視において一定である。開口313、314は、流路P11が平面視において
図3(b)の形状となるように形成されている。複数のLED341は、正面視において、流路P11の幅が一定の範囲に配置されている。
【0059】
回路基板350は、複数の光検出器351を備える。回路基板350は、光検出器351が流路P11側を向くように、枠体310の前面に設置される。回路基板350に配置される光検出器351の数は、回路基板340に配置されるLED341の数と同じである。回路基板350が枠体310に設置された状態において、1つの光検出器351が1つのLED341に正対向する。各光検出器351は、対向するLED341から出射された光の強度を検出する。光検出器351は、たとえば、フォトダイオードである。
【0060】
LED341は、除菌効果を有する波長域の光を出射する。LED341が出射する光の波長域は、たとえば、紫外線の波長域に設定され、より好ましくは、UVCの波長域(280~200nm)に設定される。LED341は、除菌効果を有する波長域の光を、流路P11を流れる湯水に照射する。これにより、流路P11を流れる湯水が除菌される。
【0061】
図4は、除菌ユニット113の回路部の構成を示す図である。
図4には、除菌ユニット113の回路部の他、給湯器11のマイコン111aが図示されている。
【0062】
回路基板340には、複数のLED341の他、LED駆動回路342が配置されている。LED駆動回路342は、マイコン111aからの制御により、各LED341を駆動する。LED駆動回路342は、矩形パルス状に一定周期で変化する駆動電流を、各LED341に供給する。駆動電流は、パルス状に変化しない定電流であってもよい。
【0063】
また、LED駆動回路342は、各LED341に供給する駆動電流の電流値を、マイコン111aからの制御信号に応じて変化させる。これにより、各LED341から出射される光の強度が変化する。LED駆動回路342は、たとえば、後述の駆動電流生成回路405(
図8参照)と同様の回路を、LED341ごとに有する。マイコン111aが、この回路に印加される制御信号(
図8の電圧V3に相当)を変化させることにより、LED341に供給される駆動電流(
図8の駆動電流j2に相当)の電流値が変化し、LED341の発光強度が変化する。
【0064】
回路基板350には、複数の光検出器351の他、信号処理回路352が配置されている。信号処理回路352は、光検出器351の検出信号に対しノイズ除去やA/D変換等の処理を施して、検出信号の大きさを示す検出値を生成する。信号処理回路352は、生成した検出値を、マイコン111aからの制御に応じて、マイコン111aに送信する。これにより、各光検出器351が対応するLED341から受光した光の強度が、マイコン111aによって監視される。
【0065】
ところで、上記のように、光により湯水を除菌する構成では、除菌に十分な強度の光を湯水に照射する必要がある。しかしながら、LED341は、所定の駆動電流で駆動されたとしても、経年劣化や環境温度の変化等によって、出射する光の強度が低下する。このようにLED341から出射される光の強度が低下すると、流路P11を流れる湯水に対して十分な強度の光を照射できず、湯水に対して十分な除菌作用を付与することができなくなってしまう。
【0066】
そこで、本実施形態では、流路P11を流れる湯水に照射される光の強度が、上記のように、光検出器351によって検出される。そして、光検出器351の検出値に基づいて、所期の発光強度(湯水に除菌作用を適正に付与するための目標強度)からの低下が補正されるよう、LED341の発光強度が制御される。具体的には、光検出器351の検出値が予め設定された目標値となるように、LED341が制御される。
【0067】
ここで、目標値は、除菌に適する所期の発光強度の光がLED341から湯水に照射された場合に、この光を光検出器351が受光して出力する検出信号の大きさである。
【0068】
図5は、除菌運転時の制御を示すフローチャートである。
図5の制御は、マイコン111aによって行われる。
【0069】
マイコン111aは、除菌運転の開始条件が充足されたか否かを判定する(S101)。除菌運転の開始条件は、たとえば、浴室リモコン12または台所リモコン13に対する操作により追い焚き機能が開始されたこと、および、浴室から入浴者が退室したこと等を含み得る。浴室から入浴者が退室したことは、マイコン111aが、浴室リモコン12から随時受信する人センサの検出結果を基づいて判定する。
【0070】
除菌運転の開始条件が充足されると(S101:YES)、マイコン111aは、
図2の循環ポンプ225を駆動して、浴槽2内の湯水を、追い焚き循環路P10に循環させる(S102)。なお、ステップS101における判定が、追い焚き機能の開始によりYESとなった場合、既に、追い焚き機能の開始により循環ポンプ225が駆動されているため、ステップS102の処理はスキップされる。
【0071】
その後、マイコン111aは、除菌ユニット113の各LED341に対して、予め設定された初期電流値の駆動電流が供給されるよう、
図4のLED駆動回路342を制御して、各LED341を発光させる(S103)。これにより、各LED341から出射された光が、流路P11を流れる湯水に照射され、追い焚き循環路P10を循環する湯水が除菌される。
【0072】
ここで、初期電流値は、LED341が通常の動作状態、すなわち、LED341に経年劣化や環境温度の変化(常温の範囲からの逸脱)等が生じていない状態で動作した場合に、除菌に十分な所期の発光強度でLED341を発光させる電流値である。
【0073】
こうして、除菌動作を開始した後、マイコン111aは、除菌運転の終了条件が充足されるまでの間(S107:NO)、LED341と、このLED341に対応付けられた光検出器351との組ごとに、ステップS104~S106の処理を実行する。すなわち、マイコン111aは、
図4の信号処理回路352から、随時、光検出器351の受光強度の検出値を取得し(S104)、取得した検出値が、上述の目標値未満であるか否かを判定する(S105)。
【0074】
検出値が目標値未満でない場合(S105:NO)、マイコン111aは、この検出値を取得した光検出器351と組となるLED341の駆動電流値を、補正することなく、そのまま維持して、処理をステップS107に進める。他方、検出値が目標値未満である場合(S105:YES)、マイコン111aは、この検出値を取得した光検出器351と組となるLED341の駆動電流値を所定の値(たとえば、初期電流値の1/10程度)だけ増加させる(S106)。これにより、この検出値を取得した光検出器351と組となるLED341の発光強度が、駆動電流値の増加分だけ高められる。
【0075】
その後、マイコン111aは、除菌運転の終了条件が充足されるまで、LED341と光検出器351との組ごとに、ステップS104~S106の処理を繰り返し実行する。これにより、各組の光検出器351の検出値が目標値以上となるように、各組のLED341の駆動電流値が補正され、LED341の発光強度が除菌に適する初期の発光強度に維持される。こうして、除菌運転の間、除菌に適する強度の光が、流路P11を流れる湯水に照射され続ける。これにより、湯水が適正に除菌される。
【0076】
その後、除菌運転の終了条件が充足されると(S107:YES)、マイコン111aは、循環ポンプ225を停止させ(S108)、さらに、全てのLED341を消灯させる(S109)。除菌運転の終了条件は、たとえば、追い焚き機能が停止されたこと、および、除菌運転が開始されてから一定期間が経過したことを含み得る。こうして、マイコン111aは、
図5の処理を終了する。
【0077】
<実施形態1の効果>
上記実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0078】
図3(a)に示したように、除菌用の光源としてLED341が用いられるため、装置の大型化およびコストの上昇を抑制できる。また、除菌運転時には、
図5のステップS104~S106の処理により、光検出器351の検出値に基づいて、所期の発光強度(湯水に除菌作用を適正に付与するための目標強度)からの低下が補正されるよう、LED341の発光強度が制御されるため、経年劣化や環境温度の変化等によってLED341の出力が低下しても、LED341の発光強度を所期の発光強度に補正できる。これにより、LED341に経年劣化等が生じても、湯水に対して十分な強度の光を照射することができる。よって、装置の大型化およびコストの上昇を抑制しつつ、湯水に対して十分な除菌作用を維持することができる。
【0079】
図2に示したように、制御部111は、光検出器351の検出値を取得して、LED341の発光強度を変化させるマイコン111aを備える。これにより、マイコン111aによる
図5の制御により、LED341の発光強度を所期の発光強度に補正できる。
【0080】
図3(a)、(b)に示したように、除菌ユニット113は、複数のLED341備え、LED341ごとに1つの光検出器351が設けられ、制御部111(マイコン111a)は、光検出器351の検出値に基づいて、当該光検出器351に対応するLED341を制御する。この構成によれば、LED341が複数配置されるため、追い焚き循環路P10を循環する湯水に照射される除菌用の光の光量を高めることができ、湯水をより効率的に除菌できる。また、LED341ごとに光検出器351を配置して、各々のLED341が個別に制御されるため、各々のLED341の発光強度を所期の発光強度に正確に補正できる。よって、湯水に対する除菌を適正に行うことができる。
【0081】
<変更例>
上記実施形態1では、LED341ごとに1つの光検出器351が配置されたが、本変更例では、隣り合う所定数のLED341のグループに対して1つの光検出器351が配置される。
【0082】
図6(a)は、変更例に係る、除菌ユニット113の構成を示す断面図である。
図6(b)は、変更例に係る、除菌ユニット113の流路P11に対するLED341および光検出器351の配置を模式的に示す正面図である。
図6(b)において、光検出器351は、破線で示されている。
【0083】
本変更例では、隣り合う4つのLED341によってグループG0が構成され、各グループG0に1つの光検出器351が配置されている。ここでは、
図6(b)に示すように、各グループG0の左上のLED341に正対向する位置に、光検出器351が配置されている。したがって、光検出器351の検出値によって、各グループG0の左上のLED341からの光の受光強度が監視される。
【0084】
マイコン111aは、
図5のステップS103において、グループG0に含まれる全てのLED341を初期電流値で発光させた後、
図5のステップS104~S106において、各光検出器351から取得した検出値に基づいて、当該光検出器351に対応するグループG0の全てのLED341を一律に制御する。すなわち、マイコン111aは、光検出器351から取得した検出値が目標値未満である場合(S105:YES)、当該光検出器351に対応するグループG0の各LED341に適用される駆動電流値を、一律に、所定の値だけ増加させる。
【0085】
この変更例においても、上記実施形態1と同様、LED341が複数配置されるため、追い焚き循環路P10を循環する湯水に照射される除菌用の光の光量を高めることができ、湯水をより効率的に除菌できる。また、この構成では、隣り合う4つのLED341のグループG0に対して1つの光検出器351が配置されるため、上記実施形態1に比べて、光検出器351の数を減少させることができ、構成の簡素化およびコストの低減を図ることができる。
【0086】
なお、このようにLED341が複数配置される場合、給湯装置1において、各々のLED341が使用開始されてから現時点までの総使用時間は、LED341間で略同じである。このため、各グループG0のLED341の経年劣化の程度は互いに略同じであると想定され得る。したがって、上記のように、グループG0ごとに1つの光検出器351を配置して各グループG0のLED341を一律に制御したとしても、各グループG0のLED341の発光強度を所期の発光強度に補正できる。よって、湯水に対する除菌を適正に行うことができる。
【0087】
なお、1つのグループG0に含まれるLED341の数は、4つに限られるものではなく、適宜、変更可能である。たとえば、除菌ユニット113に配置される全てのLED341に対して1つだけ光検出器351が配置されてもよい。また、各グループG0における光検出器351の配置位置も、
図6(b)に示した位置に限られない。LED341の発光強度を適正に検出可能な限りにおいて、光検出器351の配置位置は、適宜、変更可能である。
【0088】
<実施形態2>
上記実施形態1では、マイコン111aの制御によりLED341の発光強度が補正されたが、実施形態2では、フィードバック回路によってLED341の発光強度が補正される。
【0089】
図7は、実施形態2に係る、除菌ユニット113の回路部の構成を示す図である。
図4の場合と同様、
図7には、除菌ユニット113の回路部の他、給湯器11のマイコン111aが図示されている。
【0090】
図7に示すように、実施形態2に係る除菌ユニット113は、
図4の構成に比べて、LED駆動回路342および信号処理回路352が省略され、フィードバック回路343が追加されている。フィードバック回路343は、光検出器351の検出値に基づいて、当該光検出器351に対応付けられているLED341の発光強度を変化させる。実施形態2では、フィードバック回路343が、特許請求の範囲に記載の「制御部」に対応する。
【0091】
図8は、フィードバック回路343の構成を示す回路図である。
図8には、1つのLED341と1つの光検出器351とが対応付けられた場合のフィードバック回路343の構成が示されている。
【0092】
フィードバック回路343は、IV変換回路401と、増幅回路402と、中点電圧生成回路403と、電圧調整回路404と、駆動電流生成回路405と、利得変更回路406とを備える。
【0093】
図8において、PD1を流れる電流j1は、光検出器351から生じる電流(検出信号)である。電流j1は、光検出器351の受光光量に応じた電流値を持つ。また、LED1は、
図7に示した複数のLED341のうち制御対象とされるLED341である。ここでは、LED341がパルス発光するため、PD1を流れる電流j1もパルス状に変化する。Vc1、Vc2は、電源供給ラインから供給される直流の電源電圧である。Vc2はVc1よりも数段大きい。たとえば、Vc1は5V、Vc2は25Vである。
【0094】
IV変換回路401は、オペアンプIC1および抵抗R1を備え、オペアンプIC1に入力される電流j1を電圧V1に変換する。増幅回路402は、オペアンプIC2および抵抗R2~R5を備え、オペアンプIC2に入力される電圧V1を、抵抗R5の抵抗値により規定される増幅率で増幅して、電圧V2を出力する。中点電圧生成回路403は、オペアンプIC3および抵抗R6、R7を備え、増幅回路402の抵抗R4、R5の接続点に、増幅のための中点電圧を生じさせる。
【0095】
電圧調整回路404は、ダイオードD1、D2を備え、オペアンプIC2から出力される電圧V2を、トランジスタQ1を飽和電圧で動作させるための電圧範囲の電圧V3に調整する。すなわち、増幅回路402のオペアンプIC2は高利得であるため、入力される電圧V1の大きさによっては、出力電圧V2がクリップし、出力電圧V2に正負のリンギングが生じる場合がある。電圧調整回路404は、このような場合に、リンギングを抑制して、後段の回路に、トランジスタQ1を飽和電圧で動作させるための電圧V3を供給する。
【0096】
駆動電流生成回路405は、トランジスタQ1、Q2、抵抗R8~R10、およびキャパシタンスC1を備え、電圧V3の大きさに応じた一定の駆動電流j2を、LED1に流す。トランジスタQ1、Q2およびその周辺回路によって、LED1の駆動電流j2を生成する定電流回路が構成される。駆動電流生成回路405は、電圧調整回路404で調整された電圧V3をトランジスタQ1に印加して、トランジスタQ1を飽和状態で動作させ、印加された電圧V3の大きさに応じた一定電流(駆動電流j2)をトランジスタQ2に流す。これにより、LED1が、駆動電流j2に応じた強度で発光する。
【0097】
利得変更回路406は、IV変換回路401から出力される電圧V1が、閾値電圧Vth1、Vth2、Vth3より低下した場合に、増幅回路402の抵抗R5に抵抗R25、R35、R45を並列接続して、増幅回路402の利得を増加させる。利得変更回路406は、オペアンプIC4、トランジスタQ21および抵抗R21~R25からなる回路部と、オペアンプIC5、トランジスタQ31および抵抗R31~R35からなる回路部と、オペアンプIC6、トランジスタQ41および抵抗R41~R45からなる回路部と、を備える。
【0098】
閾値電圧Vth1は、電源電圧Vc1を抵抗R21、R22で分圧した電圧であり、オペアンプIC4の負の入力端子に入力される。閾値電圧Vth2は、電源電圧Vc1を抵抗R31、R32で分圧した電圧であり、オペアンプIC5の負の入力端子に入力される。閾値電圧Vth3は、電源電圧Vc1を抵抗R41、R42で分圧した電圧であり、オペアンプIC5の負の入力端子に入力される。
【0099】
閾値電圧Vth1、Vth2、Vth3は、たとえば、Vth1>Vth2>Vth3に設定される。また、LED1が初期の発光強度で発光した場合に、その受光強度に応じた電流j1によりIV変換回路401から出力される電圧V1の電圧値を電圧値V10(以下、「基準電圧値V10」という)とすると、閾値電圧Vth1、Vth2、Vth3は、V10>Vth1>Vth2>Vth3となるように設定される。
【0100】
したがって、オペアンプIC1の出力電圧V1が閾値電圧Vth1より低く閾値電圧Vth2以上である場合、オペアンプIC4~IC6のうち、オペアンプIC4の出力のみがLowとなってトランジスタQ21がオンとなり、抵抗R25が抵抗R5に並列接続される。これにより、抵抗R25が接続されたことによる利得の増加分ΔG1だけ、増幅回路402の利得が増加し、オペアンプIC2の出力電圧V2が増加する。
【0101】
また、オペアンプIC1の出力電圧V1が閾値電圧Vth2より低く閾値電圧Vth3以上である場合、オペアンプIC4~IC6のうち、オペアンプIC4、IC5の出力がLowとなってトランジスタQ21、Q31がオンとなり、抵抗R25、R35が抵抗R5に並列接続される。これにより、抵抗R25、R35が接続されたことによる利得の増加分ΔG2だけ、増幅回路402の利得が上昇し、オペアンプIC2の出力電圧V2が増加する。
【0102】
また、オペアンプIC1の出力が閾値電圧Vth3より低い場合、オペアンプIC4、IC5、IC6の出力が全てLowとなってトランジスタQ21、Q31、Q41がオンとなり、抵抗R25、R35、R45が抵抗R5に並列接続される。これにより、抵抗R25、R35、R45が接続されたことによる利得の増加分ΔG3だけ、増幅回路402の利得が上昇し、オペアンプIC2の出力電圧V2が増加する。
【0103】
ここで、上記利得の増加分ΔG1、ΔG2、ΔG3は、ΔG1<ΔG2<ΔG3となるように設定される。抵抗R25、R35、R45の抵抗値は、利得の増加分ΔG1、ΔG2、ΔG3がこの関係を満たすように調整される。これにより、IV変換回路401の出力電圧V1が低下するほど、増幅回路402の利得が増加し、増幅回路402の出力電圧V2が高められる。これに応じて、LED1の駆動電流j2が高められ、LED1の発光強度が高められる。
【0104】
LED1の駆動開始時には、マイコン111aからトランジスタQ1のベース端子に、所期の発光強度でLED1を発光させるためのパルス電圧が一定周期で印加される。このとき、オペアンプIC2からの出力電圧V2が重複してトランジスタQ1のベース端子に印加されないように、図示省略されたスイッチング回路によって、オペアンプIC2とトランジスタQ1との間の信号線が遮断される。これにより、LED1のパルス発光が開始する。また、これに伴い、PD1の電流j1がパルス状に変化し、増幅回路402がパルス状の電圧V2を出力する。
【0105】
その後、マイコン111aは、トランジスタQ1に対するパルス電圧の印加を停止し、同時に、上述のスイッチング回路を制御して、オペアンプIC2とトランジスタQ1との間の信号線を導通させる。これにより、増幅回路402から出力される電圧V2が電圧調整回路404を介して駆動電流生成回路405に供給され、LED1を駆動するための駆動信号が生成される。この駆動信号によりLED1が発光すると、PD1に電流j1が生じ、IV変換回路401以降の回路によって、LED1を駆動するための駆動信号が生成される。こうして、LED1が、パルス発光を繰り返す。
【0106】
ここで、IV変換回路401の出力電圧V1の電圧値が、上述の基準電圧値V10である場合、利得変更回路406は動作せず、抵抗R25、R35、R45は、何れも、増幅回路402の抵抗R5に接続されない。したがって、この場合、増幅回路402の抵抗R5により規定される増幅率で、増幅回路402が動作する。このとき、抵抗R5の抵抗値により規定される増幅率は、電圧V2が、所期の発光強度でLED1が発光する電流値の駆動電流j2を駆動電流生成回路405に生成させる電圧値となるように設定される。
【0107】
したがって、LED1の発光強度が、LED1の劣化や環境温度の変化等によって低下しておらず、所期の発光強度となっている場合は、LED1は、所期の発光強度でパルス発光を繰り返すことになる。
【0108】
これに対し、LED1の劣化や環境温度の変化等により、LED1の発光強度が所期の発光強度より低下した場合、PD1を流れる電流j1は通常時の電流値より減少し、IV変換回路401から出力される電圧V1の電圧値は、基準電圧値V10よりも低くなる。このため、電圧V1の電圧値と基準電圧値V10との差異に応じて、利得変更回路406の3つのオペアンプIC4~IC6の出力のうち1つまたは複数がLowに立ち下がり、抵抗R25、R35、R45の1つまたは複数が抵抗R5に接続される。これにより、増幅回路402の利得が増加して、オペアンプIC2の出力電圧V2が上昇し、駆動電流生成回路405により生成される駆動電流j2の電流値が高められる。こうして、次の発光時におけるLED1の発光強度が、今回の発光時におけるLED1の発光強度よりも高められる。これにより、次の発光時におけるLED1の発光強度が、所期の発光強度より高くなる。
【0109】
しかしながら、こうして次の発光時の発光強度が所期の発光強度を超えると、これに応じてフィードバックされる電流j1の電流値が上昇し、オペアンプIC1から出力される電圧V1の電圧値が基準電圧値V10より高くなる。このため、利得変更回路406は動作せず、抵抗R25、R35、R45は、何れも、増幅回路402の抵抗R5に接続されなくなる。したがって、増幅回路402に利得が前回よりも低下し、電圧V2も前回より低下する。これにより、駆動電流生成回路405により生成される駆動電流j2の電流値が低下し、LED1の発光強度が所期の発光強度よりも低下する。
【0110】
このように、LED1の劣化や環境温度の変化等により、LED1の発光強度が所期の発光強度より低下した場合、LED1の発光強度は、フィードバック回路343の動作により、パルス発光ごとに高低を繰り返す。ここで、上述の利得の増加分ΔG1、ΔG2、ΔG3は、高低を繰り返すLED1の発光強度の平均値が、所期の発光強度付近となるように設定される。すなわち、利得の増加分ΔG1、ΔG2、ΔG3がさらにこのように設定されるように、利得変更回路406の抵抗R25、R35、R45の抵抗値が設定される。これによりLED1に経年劣化等が生じても、湯水に対して十分な強度の光を照射することができる。
【0111】
<実施形態2の効果>
実施形態2においても、実施形態1と同様の効果が奏され得る。また、別途、マイコン111aで判定処理を行うことなく、フィードバック回路343の動作により自動で、発光ダイオードの発光強度を所期の強度に補正できる。
【0112】
<変更例>
上記実施形態1では、LED341ごとに1つの光検出器351が配置される場合のフィードバック回路343が示されたが、本変更例では、隣り合う所定数のLED341のグループに対して1つの光検出器351が配置される場合のフィードバック回路343が示される。
【0113】
図9は、変更例に係る、フィードバック回路343の構成を示す回路図である。
【0114】
図9には、
図6(a)、(b)と同様、隣り合う4つのLED341に対して1つの光検出器351が配置される場合のフィードバック回路343が示されている。
図9の構成では、
図8の構成に比べて、駆動電流生成回路405の構成が相違し、その他の構成は同様である。
【0115】
駆動電流生成回路405は、トランジスタQ2および抵抗R10、R11の他、トランジスタQ3および抵抗R12、R13を備える。トランジスタQ2にLED1、LED2が直列接続され、トランジスタQ3にLED3、LED4が直列接続されている。LED1、LED2は、
図6(b)の1つのグループG0に含まれる4つのLED341のうちの2つであり、LED3、LED4は、このグループG0の他の2つのLED341である。このグループG0に対応付けられた光検出器351に生じる電流が、PD1に流れる電流j1である。他のグループG0についても、
図9と同様のフィードバック回路343が割り当てられる。
【0116】
駆動電流生成回路405は、電圧調整回路404で調整された電圧V3をトランジスタQ1に印加して、トランジスタQ1を飽和状態で動作させ、印加された電圧V3の大きさに応じた一定電流(駆動電流j3、j4)をトランジスタQ2、Q3に流させる。これにより、LED1、LED2が駆動電流j3に応じた強度で発光し、LED3、LED4が駆動電流j4に応じた強度で発光する。駆動電流j3、j4の電流値が同じとなるように、抵抗R11、R13の抵抗値が設定されいる。よって、LED1~LED4の発光強度は同じである。
【0117】
本変更例においても、LED1~LED4の劣化等により発光強度が低下すると、利得変更回路406により増幅回路402の利得が高められ、駆動電流j3、j4が高められる。これにより、LED1~LED4の発光強度が高められる。よって、LED1~LED4に経年劣化等が生じても、湯水に対して十分な強度の光を照射することができる。
【0118】
また、隣り合う4つのLED341のグループに対して1つの光検出器351が配置されるため、光検出器351の数を減少させることができ、フィードバック回路343の構成を簡素にできる。すなわち、
図8の構成では、LEDごとに
図8の回路が必要であったが、
図9の構成では、4つのLEDに対して
図9の回路を1つ設ければよい。よって、除菌ユニット113の構成の簡素化およびコストの低減を図ることができる。
【0119】
<その他の変更例>
上記実施形態1では、除菌ユニット113が
図2に示す位置に配置されたが、除菌ユニット113は、追い焚き循環路P10上の他の位置に配置されてもよい。
【0120】
また、除菌ユニット113の構成は、
図3(a)、(b)に示した構成に限られるものではなく、追い焚き循環路P10を流れる湯水に除菌用の光を照射でき、且つ、照射された光の強度を検出可能な限りにおいて、他の構成であってもよい。
【0121】
たとえば、除菌ユニット113に配置されるLED341の数は、
図3(a)、(b)に示した数に限られるものではなく、より多い数またはより少ない数(1つを含む)のLED341が除菌ユニット113に配置されてもよい。
【0122】
また、
図6(a)、(b)に示した変更例において、グループG0に含まれるLED341の数も、
図6(a)、(b)に示した数(4個)に限られるものではない。グループG0に含まれるLED341の数の変更に応じて、
図9に示した駆動電流生成回路405に配置されるLED、トランジスタおよび抵抗の数が適宜変更され得る。たとえば、グループG0に含まれるLED341の数が2つの場合、
図9の駆動電流生成回路405から、LED3、LED4、トランジスタQ3および抵抗R13からなる回路部が省略される。また、グループG0に含まれるLED341の数が6つの場合、
図9の駆動電流生成回路405に、LED3、LED4、トランジスタQ3および抵抗R13からなる回路部と同様の回路部がさらに並列に接続される。
【0123】
また、
図3(a)、(b)の構成では、流路P11および光透過板330を透過した光が光検出器351により受光されたが、光透過板330が反射板に置き換えられて、反射板で反射された光が光検出器で受光されてもよい。この場合、回路基板350は省略され、光検出器およびその信号処理回路は、回路基板340に配置される。反射板は、光を光検出器に効率的に指向させる作用(散乱作用やレンズ作用、等)を有していてもよい。光検出器は、LEDから流路P11に照射される光の強度を検出可能であればよい。
【0124】
また、上記実施形態1において、除菌運転時にマイコン111aが行う制御は、
図5の制御に限られるものではない。
【0125】
たとえば、ステップS105において、目標値に対し正負の許容範囲を設定し、この許容範囲より検出値が小さくなった場合に、ステップS105の判定がYESとされてもよい。この場合、マイコン111aは、光検出器351の検出値がこの許容範囲を超えた場合に、LED341の駆動電流を所定の値だけ低下させてもよい。これにより、検出値が許容範囲に収束されるように、LED341の駆動電流が制御される。
【0126】
また、ステップS101、S107における除菌運転の開始条件および終了条件は、上記に示した条件に限られるものではない。たとえば、入浴者が浴槽から退出したことが除菌運転の開始条件に含まれてもよく、また、入浴者が浴槽に入ったことが除菌運転の終了条件に含まれてもよい。
【0127】
また、フィードバック回路343の構成も、
図8、9に示した構成に限られるものではなく、LED341の発光強度が所期の発光強度から低下したことを補正するよう、光検出器351の検出値に基づいてLED341の発光強度を変化させる限りにおいて、他の構成であってもよい。
【0128】
たとえば、
図9の構成では、利得変更回路406が、増幅回路402の利得を3段階に変更可能であったが、3段階以外の段数で利得を変更可能であってもよい。たとえば、増幅回路402の利得を4段階に変更する場合、オペアンプIC6、トランジスタQ41および抵抗R43~R45からなる回路部と同様の回路部が、利得変更回路406に追加されればよい。
【0129】
また、給湯装置1は、ガス燃料を用いるものに限らず、オイルを燃料とする給湯装置であってもよい。あるいは、給湯装置1は、貯留タンクを用いた貯留式のものであってもよく、燃料電池等の発電ユニットをさらに備えた構成であってもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、所定のふろ機能を実行するふろ装置として、ふろ機能とともに給湯機能を備えた給湯装置1が例示されたが、ふろ装置は、ふろ機能のみを実行可能な装置であってもよい。たとえば、浴槽2に溜められた水を、熱交換器に循環させて暖める機能のみを有するふろ装置であってもよい。また、給湯器11の構成も、
図2に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。
【0131】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0132】
10 給湯装置(ふろ装置)
111 制御部
111a マイクロコンピュータ
112 除菌ユニット
225 循環ポンプ
341 LED(発光ダイオード)
343 フィードバック回路
351 光検出器
P10 追い焚き循環路
G0 グループ