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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032400
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】賞品買取システム及び賞品買取方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
A63F7/02 354
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138519
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 浩章
(72)【発明者】
【氏名】五反田 秀治
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA35
(57)【要約】
【課題】賞品の買取価格に応じた処理に関して使い勝手の向上を図れる賞品買取システム及び賞品買取方法を提供する。
【解決手段】賞品買取システム1は、遊技客が獲得した賞品の買取価格を算出する制御部35と、制御部35によって買取価格が算出された賞品について、当該買取価格に応じた処理を実行する賞品読取機10及び出金機11とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技客が獲得した賞品の買取価格を算出する算出手段と、
前記算出手段によって買取価格が算出された賞品について、当該買取価格に応じた処理を実行する処理手段とを含む、賞品買取システム。
【請求項2】
遊技客についての所定情報を受け付けるための受付手段を含み、
前記算出手段によって算出された買取価格が所定金額未満である場合の前記処理として、前記処理手段は、前記受付手段によって前記所定情報を受け付ける受付処理を省略して、当該買取価格に相当する有価価値を支払う支払処理を実行する、請求項1に記載の賞品買取システム。
【請求項3】
前記算出手段によって算出された買取価格が前記所定金額以上である場合の前記処理として、前記処理手段は、前記受付処理と、前記受付処理後の前記支払処理とを実行し、当該支払処理において、当該買取価格に相当する有価価値を支払う、請求項2に記載の賞品買取システム。
【請求項4】
前記算出手段によって算出された買取価格が前記所定金額以上である場合の前記処理として、前記処理手段は、前記受付処理において受け付けた前記所定情報を保存する保存処理も実行する、請求項3に記載の賞品買取システム。
【請求項5】
前記算出手段によって算出された買取価格が前記所定金額以上である場合の前記処理として、前記処理手段は、前記受付処理を省略して、当該買取価格を前記所定金額未満の複数の小口買取価格に分割して、前記小口買取価格に相当する有価価値を支払う小口の支払処理を複数回実行する、請求項2に記載の賞品買取システム。
【請求項6】
前記算出手段によって算出された買取価格が前記所定金額以上である場合の前記処理として、前記処理手段は、前記受付処理を省略して、当該買取価格を賞品1つずつの個別買取価格に分割して、前記個別買取価格に相当する有価価値を支払う個別の支払処理を複数回実行する、請求項5に記載の賞品買取システム。
【請求項7】
前記算出手段によって算出された買取価格が前記所定金額以上である場合の前記処理として、前記処理手段は、前記所定情報が必要であることを報知する報知処理を、前記支払処理の前に実行する、請求項3~6のいずれか一項に記載の賞品買取システム。
【請求項8】
前記所定情報は、遊技客の本人確認をするための本人確認情報を含む、請求項2~7のいずれか一項に記載の賞品買取システム。
【請求項9】
買取価格に関わらず、前記処理手段は、前記処理における有価価値の支払いについての情報を取引情報として保存する、請求項1~8のいずれか一項に記載の賞品買取システム。
【請求項10】
賞品買取システムにおける賞品買取方法であって、
遊技客が獲得した賞品の買取価格を算出する算出ステップと、
前記算出ステップにて買取価格が算出された賞品について、当該買取価格に応じた処理を実行する処理ステップとを含む、賞品買取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、賞品買取システム及び賞品買取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店等の遊技施設において遊技客によって獲得された賞品を買い取る賞品交換所という施設が、遊技施設とは別に存在する。下記特許文献1で開示された賞品読取機は、賞品交換所内に設置されている。賞品交換所の係員は、遊技客から受け取った賞品を賞品読取機にセットする。すると、セットされた賞品が、賞品読取機内に取り込まれて識別された後に回収される。賞品の識別結果は、賞品読取機に対して通信可能に接続された出金機に出力され、当該賞品の買取価格に相当する現金が、出金機から遊技客に支払われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-39425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
賞品交換所での賞品の買取時において、賞品の買取価格によっては所定の処理が必要となる運用が今後想定される。当該所定の処理の一例として、古物品取引での運用のように、買取金額が所定金額以上である場合には売り主の身元を賞品交換所に登録する処理が挙げられる。このような運用が始まった場合には、当該処理に関して使い勝手の向上が望まれる。
【0005】
本発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、賞品の買取価格に応じた処理に関して使い勝手の向上を図れる賞品買取システム及び賞品買取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遊技客が獲得した賞品の買取価格を算出する算出手段と、前記算出手段によって買取価格が算出された賞品について、当該買取価格に応じた処理を実行する処理手段とを含む、賞品買取システムである。
【0007】
また、本発明は、前記賞品買取システムが、遊技客についての所定情報を受け付けるための受付手段を含み、前記算出手段によって算出された買取価格が所定金額未満である場合の前記処理として、前記処理手段が、前記受付手段によって前記所定情報を受け付ける受付処理を省略して、当該買取価格に相当する有価価値を支払う支払処理を実行することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記算出手段によって算出された買取価格が前記所定金額以上である場合の前記処理として、前記処理手段が、前記受付処理と、前記受付処理後の前記支払処理とを実行し、当該支払処理において、当該買取価格に相当する有価価値を支払うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記算出手段によって算出された買取価格が前記所定金額以上である場合の前記処理として、前記処理手段が、前記受付処理において受け付けた前記所定情報を保存する保存処理も実行することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記算出手段によって算出された買取価格が前記所定金額以上である場合の前記処理として、前記処理手段が、前記受付処理を省略して、当該買取価格を前記所定金額未満の複数の小口買取価格に分割して、前記小口買取価格に相当する有価価値を支払う小口の支払処理を複数回実行することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記算出手段によって算出された買取価格が前記所定金額以上である場合の前記処理として、前記処理手段が、前記受付処理を省略して、当該買取価格を賞品1つずつの個別買取価格に分割して、前記個別買取価格に相当する有価価値を支払う個別の支払処理を複数回実行することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記算出手段によって算出された買取価格が前記所定金額以上である場合の前記処理として、前記処理手段が、前記所定情報が必要であることを報知する報知処理を、前記支払処理の前に実行することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記所定情報が、遊技客の本人確認をするための本人確認情報を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、買取価格に関わらず、前記処理手段が、前記処理における有価価値の支払いについての情報を取引情報として保存することを特徴とする。
【0015】
本発明は、賞品買取システムにおける賞品買取方法であって、遊技客が獲得した賞品の買取価格を算出する算出ステップと、前記算出ステップにて買取価格が算出された賞品について、当該買取価格に応じた処理を実行する処理ステップとを含む、賞品買取方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、賞品買取システムでは、買取価格が算出された賞品について、当該買取価格に応じた処理が自動的に実行される。これにより、当該処理に関して、手作業を減らすことができるので、使い勝手の向上を図れる。
【0017】
具体的には、賞品買取システムでは、算出された買取価格が所定金額未満である場合には、遊技客についての所定情報を受け付ける受付処理が省略されて、当該買取価格に相当する有価価値を支払う支払処理が実行される。所定情報は、遊技客の本人確認をするための本人確認情報を含んでもよい。一方、賞品買取システムでは、算出された買取価格が所定金額以上である場合には、受付処理と、受付処理後の支払処理とが実行され、当該支払処理において、当該買取価格に相当する有価価値が支払われる。つまり、賞品買取システムでは、買取価格が所定金額未満である場合には受付処理が省略されて、買取価格が所定金額以上である場合には受付処理が実行されるように、買取価格に応じた処理が自動的に実行される。買取価格が所定金額以上である場合には、受付処理において受け付けた所定情報を保存する保存処理も実行されてもよい。
【0018】
また、本発明によれば、賞品買取システムでは、算出された買取価格が所定金額以上である場合には、受付処理が省略されて、当該買取価格を所定金額未満の複数の小口買取価格に分割して、小口買取価格に相当する有価価値を支払う小口の支払処理が複数回実行されてもよい。この場合には、遊技客は、受付処理のための手間を省いても、所定金額以上の買取価格に相当する有価価値を最終的に受け取ることができるので、使い勝手の向上を図れる。
【0019】
また、本発明によれば、賞品買取システムでは、算出された買取価格が所定金額以上である場合には、受付処理が省略されて、当該買取価格を賞品1つずつの個別買取価格に分割して、前記個別買取価格に相当する有価価値を支払う個別の支払処理が複数回実行されてもよい。この場合には、遊技客は、受付処理のための手間を省いても、所定金額以上の買取価格に相当する有価価値を最終的に受け取ることができるので、使い勝手の向上を図れる。
【0020】
また、本発明によれば、賞品買取システムでは、買取価格が所定金額以上である場合に、受付処理のための所定情報が必要であることを報知する報知処理が支払処理の前に実行される。そのため、報知を受けた遊技客は、所定情報が必要であることを認識したうえで適切に対応することができるので、使い勝手の向上を図れる。
【0021】
また、本発明によれば、賞品買取システムでは、買取価格に関わらず、有価価値の支払いについての情報が取引情報として保存されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】賞品買取システムを示す概念図である。
図2】賞品買取システムに含まれる賞品取扱装置を正面側から見た斜視図である。
図3】賞品買取システムの電気的な構成を示すブロック図である。
図4】賞品取扱装置の表示部における表示内容の一例を示す図である。
図5】表示部における表示内容の一例を示す図である。
図6】表示部における表示内容の一例を示す図である。
図7】表示部における表示内容の一例を示す図である。
図8】賞品買取システムにおいて記憶されるテーブルの内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下には、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る賞品買取システム1について具体的に説明する。図1は、賞品買取システム1を示す概念図である。賞品買取システム1は、賞品読取機10及び出金機11を少なくとも含む。賞品読取機10は、セットされた賞品を読み取る装置であり、出金機11は、賞品読取機10での読み取りを終えた賞品の買取価格に相当する有価価値を支払う装置である。有価価値は、本実施形態では現金であるが、電子マネー等であってもよい。
【0024】
賞品読取機10と出金機11とは、無線又は有線によるネットワーク12を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク12は、少なくとも一部が公衆回線によって構成されてもよい。賞品買取システム1は、賞品読取機10及び出金機11に対する上位装置としての管理装置13をさらに含んでもよい。管理装置13も、ネットワーク12を介して賞品読取機10及び出金機11のそれぞれと通信可能に接続されている。
【0025】
図2は、賞品読取機10を正面側から見た斜視図である。図2では、賞品読取機10の他に、賞品読取機10にセットされる賞品Cも図示されている。賞品Cの一例として、以下では、パチンコ店等の遊技施設において遊技客によって獲得されたパチンコ玉等の遊技媒体との交換のために当該遊技客に払い出される特殊賞品を挙げる。
【0026】
特殊賞品とは、菓子やジュースといった一般賞品ではなく、所定の金銭価値を有する金等の有価物が内蔵された賞品のことである。本実施形態における特殊賞品は、長方形のカード状である。特殊賞品には、内蔵された有価物の価値に応じて、例えば1000円、2000円、5000円といった金種毎に複数の種類が存在する。以下では、1000円の賞品Cを小賞品といい、2000円の賞品Cを中賞品といい、5000円の賞品Cを大賞品という。特殊賞品の種類を目視で区別できるように、特殊賞品の表面の色が種類毎に異なっていてもよい。特殊賞品には、その種類等を特定するための情報が記憶されたICチップが内蔵されてもよい。
【0027】
特殊賞品である場合の賞品Cは、遊技施設と、遊技客によって獲得された賞品Cを買い取る賞品交換所と、賞品交換所から賞品Cを買い取って遊技施設に卸す問屋と、複数の問屋から賞品Cを引き取ってシャッフルしてから各問屋に分配する互換所とを経由するように、通い箱(図示せず)に収容された状態で流通する。賞品買取システム1のうち、少なくとも賞品読取機10及び出金機11は、賞品交換所内に設置されている。
【0028】
以下では、図2において紙面手前側に相当する正面側から見たときにおける賞品読取機10の左右上下前後の方向を基準として、賞品読取機10及びその構成部品の向きを特定する。ここで、左右方向と賞品読取機10の幅方向とは同じであり、上下方向と垂直方向とは同じである。そして、賞品読取機10の奥行き方向に相当する前後方向と、左右方向つまり幅方向とは、水平方向に含まれる。
【0029】
賞品読取機10は、幅方向にやや長手の直方体形状である。賞品読取機10の外郭をなす部分を本体20ということにする。本体20における右側約3分の2の領域には、賞品交換所の係員等によって操作される操作部21と、レシート等を発行するプリンタ部22と、セットされた賞品Cを搬送する搬送部23と、搬送された賞品Cを識別する識別部24と、様々な情報が表示される表示操作部25とが設けられている。本体20における左側約3分の1の領域には、読み取りを終えた賞品Cを収納する収納部26が設けられている。
【0030】
操作部21は、例えば、本体20の正面における上下方向略中央に設けられている。操作部21は、賞品読取機10の動作を開始させるために押下される開始スイッチ27と、賞品読取機10の動作を停止させるために押下される停止スイッチ28とを含んでおり、開始スイッチ27と停止スイッチ28とは左右方向に並んで配置されている。本体20の上面には、プリンタ部22が発行するレシート等の発行口20Aが設けられている。
【0031】
搬送部23に関し、本体20の正面右上のコーナー部分は、正面側及び上側の両方から切り欠くように凹状にえぐられていて、この凹状部分は、賞品Cが上下方向に積層した状態でセットされるセット部29である。なお、賞品Cの積層方向である上下方向は、各賞品Cの厚さ方向と一致する。また、セット部29にセットされた賞品Cの長手方向は、左右方向と一致する。
【0032】
本体20においてセット部29の左隣に位置する部分は、左右方向における本体20の中央部20Bである。中央部20B内には、左右方向へ水平に延びて1枚の賞品Cを搬送する搬送路20Cが形成されている。搬送路20Cの右端部は、セット部29の下部に対して左側から連通している。中央部20Bの左側面には、搬送路20Cに対して左側から連通する貫通穴20Dが形成されている。貫通穴20Dは、1枚の賞品Cが通過できる大きさを有している。
【0033】
搬送部23は、セット部29にセットされた賞品Cを1枚ずつ繰り出して賞品読取機10内で搬送するための構成である。具体的に、搬送部23は、ゴム等の弾性体で形成された環状のエンドレスベルト30と、エンドレスベルト30を周回移動させるための駆動機構(図示せず)とを含む。駆動機構は、モータ等で構成されている。エンドレスベルト30の一部は、セット部29の下部と、本体20の中央部20B内における搬送路20Cとに跨って配置され、中央部20Bの貫通穴20Dから左側に露出されている。エンドレスベルト30の外周面には、複数の突起(図示せず)がエンドレスベルトの周回移動方向に沿って等間隔で配置されている。
【0034】
駆動機構の駆動に伴ってエンドレスベルト30が周回移動すると、エンドレスベルト30におけるいずれかの突起が、セット部29における最下位の賞品Cに右側から引っ掛かり、この賞品Cを略水平に沿った姿勢で左側へ移動させる。これにより、セット部29内の賞品Cは、最下位の賞品Cから順に1枚ずつ繰り出されて左側へ移動し、中央部20B内の搬送路20Cに取り込まれた後に、貫通穴20Dから左側へ投出される。
【0035】
識別部24は、搬送部23のセット部29から繰り出された賞品Cを識別する部分であって、本体20の中央部20Bに内蔵されている。識別部24は、光を賞品Cに投射した時の反射光によって賞品Cを識別するセンサや、賞品Cに内蔵されたICチップに記憶された情報を非接触で読み取るICリーダ等によって構成されている。
【0036】
表示操作部25は、本体20の正面において、前述した右側約3分の2の領域の略下半分を占めていて、幅方向に長手の長方形状をなす液晶のタッチパネルである。なお、表示操作部25は、外部の表示装置として賞品読取機10とは別に存在して、賞品読取機10に対して通信可能に接続されてもよい。前述した操作部21は、表示操作部25に表示されるタッチキーによって構成されてもよい。また、表示操作部25では、表示部と操作部とが分かれて構成されてもよい。
【0037】
収納部26は、搬送部23での搬送を終えた物品が収納される収納庫31を有している。収納庫31は、本体20の中央部20Bの搬送路20Cを通過して貫通穴20Dから投出された賞品Cを収納する縦長の中空体である。収納庫31の内部空間31Aは、縦長直方体状の空間であって、収納庫31から前側に開放されている。貫通穴20Dは、上下方向における内部空間31Aの略中央部に対して右側から連通している。内部空間31Aには、上下方向に薄い板状のステージ32が、複数(ここでは2つ)設けられている。
【0038】
2つのステージ32は、上下方向に間隔を隔てた状態で内部空間31A内に収容されている。2つのステージ32のうち、下側のステージ32を下ステージ32Aといい、上側のステージ32を上ステージ32Bという。内部空間31Aにおいて下ステージ32Aよりも上側の領域は、下ステージ32A及び上ステージ32Bによって上下2つの収納エリア33に区切られている。具体的には、2つの収納エリア33のうち、一方は、下ステージ32Aと上ステージ32Bとの間の下収納エリア33Aであり、他方は、上ステージ32Bよりも上側に位置する上収納エリア33Bである。なお、図3における上収納エリア33Bは、上下方向において最も狭まった状態にある。
【0039】
収納部26には、上下2つのステージ32を、これらの上下方向の間隔が維持された状態で上昇させたり下降させたりする駆動機構(図示せず)が設けられている。駆動機構は、例えば、モータや、モータの駆動力を受けて周回移動するベルトで構成されている。2つのステージ32は、このベルトに連結されていて、ベルトの周回移動に連動して、上昇したり下降したりする。
【0040】
上下2つのステージ32は、上限の「回収位置」と下限の「リジェクト位置」との間で上下方向に移動可能である。図2に示すように2つのステージ32が回収位置にあるとき、下ステージ32Aの上面が、中央部20Bの貫通穴20Dと上下方向において同じ位置又は貫通穴20Dよりも下側に配置される。2つのステージ32がリジェクト位置(図示せず)にあるとき、上ステージ32Bの上面が、貫通穴20Dと上下方向において同じ位置又は貫通穴20Dよりも下側に配置される。
【0041】
図3は、賞品買取システム1の電気的な構成を示すブロック図である。賞品読取機10は、制御部35を含む。制御部35は、CPUやROMやRAM等によって構成されている。後述する他の制御部についても同様である。賞品読取機10において、制御部35には、前述した操作部21、プリンタ部22、搬送部23、識別部24、表示操作部25及び収納部26のそれぞれと、様々な情報を記憶した記憶部36と、本体20の外に配置されたスキャナ等によって構成された受付部37(図2参照)と、ネットワーク12につながったI/F(インターフェース)部38とが電気的に接続されている。
【0042】
制御部35は、操作部21における開始スイッチ27及び停止スイッチ28のそれぞれについての係員等による操作を受け付ける。制御部35は、プリンタ部22を動作させてレシートを発行する。制御部35は、搬送部23において、駆動機構(図示せず)を駆動させてエンドレスベルト30を周回移動させる。制御部35には、識別部24による賞品Cの識別結果が入力される。
【0043】
制御部35は、表示操作部25における表示内容を制御する。制御部35は、表示操作部25に表示されるタッチキー等についての係員等による操作を受け付ける。制御部35は、収納部26の駆動機構(図示せず)を駆動させて、上下2つのステージ32を回収位置とリジェクト位置との間で上下方向に移動させる。制御部35は、記憶部36に記憶された情報にアクセスしたり、記憶部36に新たな情報を記憶させたり、記憶部36における既存の情報を更新したりする。制御部35には、受付部37が読み取った情報が入力される。制御部35は、I/F部38によって、ネットワーク12を介して出金機11及び管理装置13のそれぞれと通信できる。
【0044】
出金機11は、制御部40と、ネットワーク12につながったI/F部41と、有価媒体処理部42とを含む。制御部40は、I/F部41及び有価媒体処理部42に対して電気的に接続されている。制御部40は、I/F部41によって、ネットワーク12を介して賞品読取機10及び管理装置13のそれぞれと通信できる。有価媒体処理部42は、出金機11内にストックされた現金を出金機11の外に排出する構成等を含む。出金機11が電子マネーを取り扱う場合には、有価媒体処理部42は、必要額の電子マネーを遊技客の記憶媒体等に書き込む構成等を含む。
【0045】
管理装置13は、制御部45と、ネットワーク12につながったI/F部46と、様々な情報を記憶した記憶部47とを含む。制御部45は、I/F部46及び記憶部47に対して電気的に接続されている。制御部45は、I/F部46によって、ネットワーク12を介して賞品読取機10及び出金機11のそれぞれと通信できる。制御部45は、記憶部47に記憶された情報にアクセスしたり、記憶部47に新たな情報を記憶させたり、記憶部47における既存の情報を更新したりする。
【0046】
次に、賞品買取システム1における賞品買取方法について説明する。まず、賞品交換所の係員は、遊技施設で賞品Cを獲得して賞品交換所にやってきた遊技客から受け取った賞品Cを、賞品読取機10のセット部29にセットしてから開始スイッチ27を押下する。遊技客自身が賞品Cをセット部29にセットして開始スイッチ27を押下してもよい。賞品読取機10では、開始スイッチ27の押下に応じて、制御部35が、エンドレスベルト30を周回移動させることによって、セット部29にセットされた賞品Cを1枚ずつ繰り出して搬送路20Cに送り込む。なお、開始スイッチ27の押下がなくても、制御部35は、賞品Cがセット部29にセットされたことに応じて賞品Cの繰り出しを開始してもよい。その場合、賞品読取機10は、セット部29における賞品Cの有無を検出するセンサ(図示せず)を含む。
【0047】
搬送路20Cに送り込まれた賞品Cは、識別部24によって識別され、その識別結果が制御部35に入力される。当該賞品Cが所定の種類の本物であると識別された場合には、制御部35は、ステージ32を回収位置まで移動させるので、当該賞品Cは、現金と交換できる買取可能賞品として下収納エリア33Aに回収される。一方、いずれの種類の本物でないと識別された賞品Cについては、制御部35は、ステージ32をリジェクト位置まで移動させるので、当該賞品Cは、上収納エリア33Bにリジェクトされた後に、遊技客に返却される。
【0048】
このように、制御部35は、セット部29にセットされた全ての賞品Cを下収納エリア33A及び上収納エリア33Bのどちらかに振り分ける。セット部29上の賞品Cが少なくなった場合には、係員や遊技客は、買取対象である残りの賞品Cをセット部29に追加でセットしてもよい。
【0049】
セット部29上の賞品Cが全て無くなったり、係員や遊技客が停止スイッチ28を押下したりすると、制御部35は、図4に示す買取画面50を表示操作部25に表示する。買取画面50には、下収納エリア33Aに収納された賞品Cの全体の買取価格についての買取価格情報50Aと、当該買取価格の内訳についての内訳情報50Bと、買取を望むか否かを遊技客に確認する確認キー51とが表示されている。なお、本実施形態において語尾に「キー」と付く名称のものは、全てタッチキーである。
【0050】
買取価格に関し、制御部35は、下収納エリア33Aに収納された賞品Cの種類毎の総数に、種類毎に異なる個別買取価格を乗じて種類毎の買取価格を算出し、種類毎の買取価格の合計を最終的な買取価格として算出する。なお、制御部35は、賞品Cを下収納エリア33Aに振り分ける度に、賞品Cの個別買取価格を加算することによって買取価格を更新して、最新の買取価格を最終的な買取価格としてもよい。いずれにせよ、この場合の制御部35は、算出手段の一例として機能することによって、賞品Cの買取価格を算出する(賞品買取方法における算出ステップ)。なお、管理装置13の制御部45が算出手段として機能してもよい。個別買取価格は、遊技施設における賞品Cの価値、つまり、前述した1000円、2000円、5000円のいずれかと同じ(等価)であってもよいし、異なってもよい。
【0051】
買取価格には、閾値となる所定金額が設定されている。所定金額の一例は、10000円である。買取価格が所定金額以上である場合には、遊技客は、遊技客自身についての所定情報を賞品交換所に登録する必要がある。所定情報は、遊技客の本人確認をするための本人確認情報(氏名や住所や生年月日等)を含む。
【0052】
買取金額が所定金額未満である場合には、制御部35は、図4に示す買取画面50を表示操作部25に表示する。買取を望む遊技客は、確認キー51におけるYESキー51Aにタッチする。すると、制御部35は、買取価格に相当する有価価値の支払いを出金機11に命令するので、出金機11の制御部40は、当該買取価格に相当する現金を支払う支払処理を実行する。遊技客が出金機11から支払われた現金を受け取ると、今回の買取に係る取引が終了する。
【0053】
買取を望まない遊技客が確認キー51におけるNOキー51Bにタッチすると、制御部35は、待機画面(図示せず)を表示操作部25に切替表示するので、今回の取引がキャンセルされる。係員は、下収納エリア33A内の賞品Cを遊技客に返却する。
【0054】
買取金額が所定金額以上である場合には、制御部35は、図5に示す買取画面52を表示操作部25に表示する。買取画面52には、下収納エリア33Aに収納された賞品Cの全体の買取価格についての買取価格情報52Aと、当該買取価格での買取の場合には遊技客の本人確認情報の提示が必要である旨のメッセージ52Bと、当該買取価格の内訳についての内訳情報52Cとが表示されている。
【0055】
買取画面52には、当該買取価格での買取を望むか否かを遊技客に問い合わせるメッセージ52Dと、当該買取価格を所定金額未満の複数の小口買取価格に分割して複数の小口取引で処理することを遊技客に問い合わせるメッセージ52Eと、選択キー53とが表示されている。メッセージ52Eに関連して、複数の小口取引で処理する場合には本人確認情報の提示が不要である旨のメッセージ(図示せず)も買取画面52に表示されてもよい。
【0056】
買取価格情報52Aの買取価格での買取を望む遊技客は、選択キー53における続行キー53Aにタッチする。すると、制御部35は、図6に示す案内画面54を表示操作部25に表示する。案内画面54には、遊技客の本人確認情報の提示を求める旨のメッセージ54Aが表示されている。案内画面54には、本人確認情報の提示先である受付部37の位置を示すイラスト等が表示されてもよい。
【0057】
遊技客は、本人確認情報が記載された運転免許証等の身分証明証を受付部37に読み取らせる。この場合には、制御部35及び受付部37が受付手段の一例として機能することにより、制御部35は、受付処理として、身分証明証から遊技客についての本人確認情報を受付部37によって受け付ける。本人確認情報は、受付部37による身分証明証のOCR入力によって受け付けられてもよいし、遊技者による手入力によって受け付けられてもよい。遊技者による手入力の場合には、キーボード等の入力装置が、受付手段の一例として設けられるとよい。入力装置として表示操作部25を用いてもよい。
【0058】
受付処理後の制御部35は、買取価格(図5及び図6では12000円)に相当する有価価値の支払いを出金機11に命令するので、出金機11の制御部40は支払処理を実行する。遊技客が出金機11から支払われた現金を受け取ると、今回の買取に係る取引が終了する。
【0059】
買取価格情報52Aの買取価格について複数の小口取引での処理を望む遊技客は、選択キー53における複数取引キー53B(図5参照)にタッチする。すると、制御部35は、図7に示す小口取引画面55を表示操作部25に表示する。小口取引画面55には、1回目の小口取引での小口買取価格についての買取価格情報55Aと、当該小口買取価格の内訳についての内訳情報55Bと、買取を望むか否かを遊技客に確認する確認キー56とが表示されている。遊技客が確認キー56におけるYESキー56Aにタッチすると、制御部35は、小口買取価格(図7では5000円)に相当する有価価値の支払いを出金機11に命令するので、出金機11の制御部40は、1回目の小口取引の支払処理として、当該小口買取価格に相当する現金を遊技客に支払う。
【0060】
1回目の取引の終了に応じて、制御部35は、2回目の取引についての小口取引画面55を表示操作部25に表示する。遊技客が当該小口取引画面55のYESキー56Aにタッチすると、制御部35は、2回目の小口買取価格に相当する有価価値の支払いを出金機11に命令するので、出金機11の制御部40は、2回目の取引の支払処理として、当該小口買取価格に相当する現金を遊技客に支払う。3回目以降の取引があれば、賞品読取機10及び出金機11では2回目の取引と同様の処理が行われる。全ての小口取引が終了すると、遊技客は、当初の買取価格(図5では12000円)に相当する現金を最終的に受け取ることになる。なお、制御部35は、小口取引の回数が最少となるように、小口買取価格を設定することが望ましい。
【0061】
買取を望まない遊技客が確認キー56におけるNOキー56B(図4参照)にタッチすると、制御部35は、待機画面(図示せず)を表示操作部25に切替表示するので、今回の小口取引がキャンセルされる。小口取引がキャンセルされるのでなく、遊技客は、表示操作部25に表示されたテンキー(図示せず)等によって小口買取価格を変更できてもよく、その場合には、変更後の小口買取価格にて小口取引を再開できる。
【0062】
図8は、管理装置13の記憶部47に記憶されるテーブル60の内容を示す図である。取引が完了する度に、賞品読取機10の制御部35は、今回の取引の関する情報を管理装置13に送信する。管理装置13の制御部45は、受信した情報をテーブル60に登録する。テーブル60には、取引が完了した日時等である取引日時と、この取引での買取金額と、本人確認情報と、備考とが、取引日時の順に記憶されている。買取金額は、内訳となる賞品Cの種類及び個数に関する情報も含まれてもよい。取引日時及び買取金額は、有価価値の支払いについての取引情報として、買取価格に関わらず、どの取引でも制御部35によってテーブル60に保存される。
【0063】
一方、本人確認情報は、買取金額が所定金額以上であった取引の場合にのみテーブル60に記憶される。つまり、買取価格が所定金額以上である場合には、管理装置13が、賞品読取機10での受付処理において受け付けられた本人確認情報をテーブル60に保存する保存処理を実行する。前述した小口取引の場合には、本人確認情報は、テーブル60に記憶されないが、今回の取引が小口取引であることについての情報が備考としてテーブル60に記憶されてもよい。なお、テーブル60は、賞品読取機10の記憶部36に記憶されてもよく、この場合、取引が完了する度に、賞品読取機10の制御部35が、テーブル60の内容を更新する。
【0064】
以上のように、賞品買取システム1では、賞品読取機10、出金機11及び管理装置13の少なくともいずれか処理手段の一例として機能することにより、買取価格が算出された賞品Cについて、当該買取価格に応じた処理を自動的に実行する(賞品買取方法における処理ステップ)。そのため、当該処理に関して、係員や遊技客の手作業による負担を低減できるので、使い勝手の向上を図れる。なお、賞品読取機10の制御部35、出金機11の制御部40及び管理装置13の制御部45も処理手段の一例とみなしてもよい。
【0065】
具体的には、買取価格が所定金額未満(本実施形態では10000円未満)である場合の当該買取価格に応じた処理として、賞品読取機10において遊技客の本人確認情報を受け付ける受付処理(図6参照)が省略されて、出金機11では、当該買取価格に相当する現金を支払う支払処理が実行される(図4参照)。一方、買取価格が所定金額以上である場合の当該買取価格に応じた処理として、賞品読取機10において受付処理(図6参照)が実行されて、受付処理後には、出金機11において支払処理が実行され、当該支払処理において、当該買取価格に相当する現金が支払われる。買取価格が所定金額以上である場合の当該買取価格に応じた処理として、前述した保存処理も管理装置13によって実行される。
【0066】
つまり、賞品買取システム1では、買取価格が所定金額未満である場合には受付処理が省略されて、買取価格が所定金額以上である場合には受付処理が実行されるように、買取価格に応じた処理が自動的に実行される。賞品買取システム1において受付処理が実行されれば、係員が本人確認情報を帳簿等に手書きする負担から解放されるので、使い勝手の向上を図れるし、取引にかかる時間が長引くことを防止できる。
【0067】
また、算出された買取価格が所定金額以上である場合の当該買取価格に応じた別の処理として、賞品読取機10では、受付処理が省略されて、制御部35が当該買取価格を所定金額未満の複数の小口買取価格に分割して、出金機11において、小口買取価格に相当する有価価値を支払う小口の支払処理が複数回実行される(図7参照)。この場合には、遊技客は、受付処理のための手間を省いても、所定金額以上の買取価格に相当する有価価値を最終的に受け取ることができるので、使い勝手の向上を図れる。
【0068】
また、算出された買取価格が所定金額以上である場合の当該買取価格に応じたさらに別の処理として、賞品読取機10では、受付処理が省略されて、制御部35が当該買取価格を賞品C1つずつの個別買取価格に分割して、出金機11において、個別買取価格に相当する有価価値を支払う個別の支払処理が複数回実行されてもよい。この場合にも、遊技客は、受付処理のための手間を省いても、所定金額以上の買取価格に相当する有価価値を最終的に受け取ることができるので、使い勝手の向上を図れる。なお、個別の支払処理が賞品C毎に何回も繰り返されると遊技客が不便に感じるかもしれないので、賞品Cの数が所定数未満である場合(賞品Cが少数である場合)に個別の支払処理が複数回実行されて、賞品Cの数が前記所定数以上である場合(賞品Cが多数である場合)には、前述した小口の支払処理が複数回実行されてもよい。
【0069】
そして、買取価格が所定金額以上である場合に、賞品読取機10の制御部35は、受付処理のための本人確認情報が必要であることをメッセージ52B(図5参照)等によって報知する報知処理を、支払処理の前に実行する。そのため、報知を受けた遊技客は、本人確認情報が必要であることを認識したうえで適切に対応することができるので、使い勝手の向上を図れる。
【0070】
本発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0071】
例えば、賞品読取機10、出金機11及び管理装置13のうちの2つ以上が、1台の装置に一体化されてもよい。受付部37としてカメラを用いることができ、本人確認情報は、カメラが撮影した遊技客の画像データを含んでもよい。
【0072】
また、以上に説明した様々な特徴は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 賞品買取システム
10 賞品読取機
11 出金機
13 管理装置
35 制御部
37 受付部
40 制御部
45 制御部
C 賞品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8