(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032413
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】レーザー血流測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/026 20060101AFI20230302BHJP
A61M 1/16 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
A61B5/026 120
A61M1/16 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138535
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000126757
【氏名又は名称】株式会社アドバンス
(72)【発明者】
【氏名】大内 俊治
(72)【発明者】
【氏名】濱田 洋
(72)【発明者】
【氏名】今井 和貞
【テーマコード(参考)】
4C017
4C077
【Fターム(参考)】
4C017AA11
4C017AB10
4C017AC28
4C017BC11
4C017CC02
4C017EE01
4C017FF05
4C077AA05
4C077BB01
4C077BB02
4C077HH10
4C077HH17
4C077KK27
(57)【要約】
【課題】レーザー血流計による計測部位が複数隣接している場合やレーザー光が干渉しやすい状態での測定においても、時系列的に安定した血流データを得る。
【解決手段】レーザー光を出力する光源と、前記光源から出力するレーザー光を集光する集光部及び集光したレーザー光を測定部位へ誘導する導光路、及び前記導光路から被照射部位へレーザー光を照射する照射プローブにおいて、前記導光路内に外部信号に基づいて光路を断続する光スイッチを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を出力する光源と前記レーザー光を測定部位へ誘導する導光路、及び前記導光路から被照射部位へレーザー光を照射する照射プローブにおいて、前記導光路を外部信号に基づいて光路を断続する光スイッチを介して連結するレーザー血流測定装置。
【請求項2】
レーザー光を出力する光源と、前記光源から出力するレーザー光を集光する集光部及び集光したレーザー光を測定部位へ誘導する導光路、及び前記導光路から被照射部位へレーザー光を照射する照射プローブを複数とし、前記各導光路内に外部信号に基づいて光路を断続する光スイッチを備える請求項1に記載のレーザー血流測定装置。
【請求項3】
前記光スイッチの断続動作を制御する制御信号を外部信号として出力する制御回路を設けた請求項1,2に記載のレーザー血流測定装置。
【請求項4】
前記照射プローブと、前記照射プローブから照射したレーザー光を受光する受光用センサとを血液透析用ダイアライザーの長軸方向に沿って一定間隔で複数配置した状態で、前記各照射プローブの光スイッチに断続信号を出力する請求項1,2記載の血液透析用レーザー血流測定装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記光スイッチをそれぞれ順番に断続させる信号を出力する請求項3に記載のレーザー血流装置。
【請求項6】
レーザー光を被測定物に照射する照射手段、、被測定物から反射、透過して得られる反射乃至透過光を受光する受光手段、前記受光手段で得られた受光信号を光電変換して、電気信号に変換した後、血流波形を取り出すろ波器、前記ろ波器から得られた血流波形信号を実効値信号に変換する実効値変換手段よりなるレーザー血流測定装置。
【請求項7】
前記ろ波器かから得られた血流波形信号の振幅値を検出する振幅値検出手段を備えた請求項6に記載のレーザー血流測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー血流測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイアライザーを構成要素とする人工腎臓を評価する従来技術は、水系内部濾過流量測定法がある。 汎用超音波診断装置を用いて血液流路と透析液流路に純水を流した時に、血液流路内の流速を測定し、その流速から内部濾過流量を算出する方法である。
【0003】
人工腎臓は、透析膜を用いて、体外循環している血液中から、重篤な腎不全患者の体内に蓄積している尿(尿毒症の病原物質や水分)を透析により透析液中に排泄した後、浄化され、除水された血液を再び体内に戻すことを目的としている。その構造は、数千本から一万本を超える中空糸膜の束を容器に収めた構造で、中空糸膜の中空部を血液、中空糸膜の表面と容器の空間、即ち、中空糸膜束内を透析液が流れ、中空糸膜を介して血液と透析液間で物質交換が行われる。例えば、特開2005-131123号公報で示されるように、水系内部濾過流量測定法では、透析中の人工腎臓内の評価をすることはできないという欠点があった。 本発明では、透析中の人工腎臓の解析を目的の1つとする。
【0004】
レーザー血流計は、ドップラーシフトを利用したものや、スペックル現象を利用したもの等があり、生体の比較的浅い部分の末梢血管の血流を測定する目的で使用されることが多く、しかもレーザー光を照射し、試料内を通過又は反射した光を受光するプローブを、
ダイアライザー表面に装着するだけで、血流が測定できることから、臨床上ダイアライザー内の血流を測定する測定器として適当であり特開2018-43003号公報にダイアライザー表面にレーザー血流計用プローブを装着して血流を測定する事が記載されている。
現在のレーザー血流計は、波形全体をモニターすることよりはドップラーシフトに基づくビート波形が生じる範囲での測定が中心となっているが、他方で非特許文献2(南山求,微小血管の血流量測定,日本バイオレオロジー学会誌(B&R),第2巻,第1号,(1988),9-22)では、微小血管における血流波形を光電変換の利用により実測することが記載されており、血流波形と血流量、血流速度の関係が示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-357784号公報
【特許文献2】特開2005-131123号公報
【特許文献3】特開2018-43003号公報
【特許文献4】特表2011-519424号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】郷間ら,小型レーザー血流センサーの開発,PIONEER R&D,Vol.21,No.1(2012),30-37
【非特許文献2】南山求,微小血管の血流量測定,日本バイオレオロジー学会誌(B&R),第2巻,第1号,(1988),9-22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、レーザー血流計の場合、レーザー光を照射部と受光部を一対として形成されるプローブでダイアライザー内における内部濾過作用、中空糸へのたんぱく質の付着(ファウリング)、透析液の偏り(チャネリング)等の内部状態をモニターするには、複数点でのプローブによる測定が必要となる。ところが、レーザー光をダイアライザー等の表面に照射すると、指向性はあるものの照射方向に広がりが生じる等して、隣接する部位でレーザー光を受光する場合は、干渉が生じ、正確な受光を妨げることがわかってきた。特に光透過性を備えたダイアライザーでは、多少離れていても、他のチャネルのレーザー光プローブ同士に影響を与えることがわかってきた。
【0008】
他方で、透析治療時の除水による血流の変化は、四肢と頭部で異なることから、一点だけでの血流測定だけではなく、多点での近接した測定が必要となっている。
又、血液透析にかかわらず、医療上、研究上人体での血流測定は、部位による血流の相違から一点ではなく、多点での測定が必要な場合が多い。
【0009】
そこで、複数チャネルの血流計を使用する場合は、チャネル同士での干渉に注意を払う必要があり、同時に複数のレーザー光の照射は避けて断続的な使用することになるが、レーザー光の光源として使用される半導体は、通電後の温度特性の影響を受ける等して、ある程度時間が経たないと正常な出力動作をしない為、連続した異なる部位でのレーザー光による血流情報の収集が困難であった。
又、レーザー出力用半導体の断続的な駆動ができない状態は、多点での計測に限らずレーザー血流計による血流の周期的な断続的計測が制限される場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に鑑み本発明は、レーザー光を出力する光源と、前記光源から出力するレーザー光を集光する集光部及び集光したレーザー光を測定部位へ誘導する導光路、及び前記導光路から被照射部位へレーザー光を照射する照射プローブにおいて、前記導光路内に外部信号に基づいて光路を断続する光スイッチを備えることで、レーザー光の断続的使用を可能とし、各部位での時系列的切替え測定を可能とする他、これらを複数用意し、ダイアライザーの長軸に沿って、複数照射プローブを配置し、複数の光スイッチを順番に時系列的に断続し、これを繰り返すことで、干渉が少ない各部位の血流計を測定可能とする。
【0011】
本発明で使用されるレーザー光の波長は700~800nmで好ましくは775~800nmが例示され、主に生体、人工腎臓へ照射され計測用として用いられる波長を示す。
本発明では、人工腎臓をダイアライザーと呼ぶ場合もある。
本発明における導光路は、光ファイバーが例示されるが、上述したレーザー光の伝達に支障が無い範囲で適宜選択される。又光ファイバーの場合は、シングルモード、マルチモードが例示され、中心に石英、プラスチック等で形成されるコアと、その長軸上の周囲に同材よりなるが光を透過させないクラッドが被覆形成され、更に、外層として多重の保護用被覆層が形成される。
【0012】
本発明における照射プローブは、レーザー光を生体に接触又は非接触状態で、照射するプローブであって、手持ち型、貼り付け装着型で形成されるものであり、光ファイバーの端面、又は端面に、反射板、プリズム、偏光板、油性材等を設置した構成が例示される。
本発明における光スイッチは、外部電気入力により、オンオフ構成、切り替え構成のものであって、MEMSタイプ、メカニカルタイプの何れでもよく、導光路の種類に対応したシングルモード、マルチモードのものが用いられる。
【0013】
本発明におけるレーザー光源としては、半導体レーザが用いられるが、出力1~10mW、好ましくは4mW前後の出力が例示され、ダイアライザーに装着する場合は、両端及び中央の3カ所から4カ所が例示され、全体の血流を測定する必要が無い場合は、1カ所であってもよく、断続的計測等に好適に使用される。
本発明におけるダイアライザーは、 中空糸1本当たりの内径は約180~200μm前後、 膜厚は5~50μm程度で 長さは100~300mm、が例示され、半透明な筒状体に3000から15000本程度の中空糸(孔径10~50オングストローム前後)が収容されたものが例示され、中空糸の材質としては、セルロース系膜、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエステル系ポリマーアロイ(PEPA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVAL)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリロニトリル共重合体(PAN)が例示される。
【0014】
本発明における光スイッチは、複数の照射プローブへのレーザー光の供給路に設けられることが好ましいが、その際、光スイッチの断続(オンオフ)は、例えばレーザー光をダイアライザーへ照射する照射プローブ、ダイアライザー透過光受光プローブの組み合わせが、ダイアライザーの血液入力部付近、ダイアライザーの中央、及びダイアライザーの血液取出部付記に装着された場合、
a.ダイアライザーの血流入力部付近の照射プローブにのみレーザー光が照射可能に光スイッチを接続状態とし、他の2つの光スイッチを開放状態(遮断状態)とする。
【0015】
b.ダイアライザーの中央の照射プローブにのみレーザー光が照射可能に光スイッチを接続状態とし、他の2つの光スイッチを開放状態(遮断状態)とする。
c.ダイアライザーの血流取出部付近の照射プローブにのみレーザー光が照射可能に光スイッチを接続状態とし、他の2つの光スイッチを開放状態(遮断状態)とする。
a.、b.、c. の順に光スイッチを断続させる際の周期は、10秒 ~10分 が例示され、繰り返し操作を行うことが例示されるが、目的に応じ、その他の周期や順番を変更する等してもよい。
本発明における光スイッチの断続とは、2つの光ファイバ間の接続を電気信号入力により、接続(オン)と遮断(オフ)を意味する。遮断とは、両接点を開放することを意味するが、切替の場合、端子AとBの接続を端子Aと端子Cへ切り替えるようなことを開放という場合もある。
さらに本発明は、血流波形を正確に計測することで、血流波形の実効値を血流量相当量として出力し、血流波形の振幅値を血球数相当量として出力することで、簡易な構成で、しかもリアルタイムに、血流状態を示す値、波形を出力することを可能とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、ダイアライザー表面の多点で血流測定をおこなうことで、ダイアライザー内の血流の状態、生体での各部位での血流状態を測定可能とすると共に、広範囲における断続的な血流測定を迅速に行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図2は本発明の他の実施例を説明する為の図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、レーザー光をダイアライザー又は生体に光源から出力するレーザー光を光ファイバー等の光導路を介してダイアライザ表面に照射し、ダイアライザ内で照射した反射光、又はダイアライザーを透過した透過光を受光して、血流情報を得るレーザー血流測定装置において、前記光導路の途中に光の導通をオンオフさせる光スイッチを接続することで、光源の立ち上がりにおけるウォームアップ時間を考慮しない断続的なレーザー光の照射を行うことを実現するものであり、好ましくは、ダイアライザー内の血流情報の推移を測定する場合など隣接する部位での血流測定の際に生じる出力レーザー光が互いに干渉する状態を解消する。
【0019】
又、透過を目的としたレーザー光の照射位置を変化させることで、ダイアライザー内の2次元的な血流速度、血流量、吸収スペクトル等の測定が3カ所でできることから、ダイアライザー内での透析効率の二次元的な分布及び三次元的な分布及びその変化を求めることができる。
断続的測定は、例えば、ダイアライザーにレーザー血流計用プローブを常に装着できない場合等、手持ち型のプローブを使用してダイアライザー内の血流を測定する場合や、生体各部位を移動させながら連続的に計測する場合等を示し、一定時間ごとに特定部位を測定することでもダイアライザー内の血流状態が把握できる。
【0020】
レーザー血流計は、上述した文献等で代表されるドップラー現象に基づくアルゴリズムに基づくものであり、受光信号から得られるビート信号の周波数帯域であって比較的狭い周波数帯域を検出している。
ドップラー方式における血流量(FLOW)は、血管(代表となる血管)の断面に含まれる血球数(MASS)又は血管の断面積と、その血球がもつ速度(角周波数)から求められており、血流波形自体にも含まれる情報である。しかしながら、ドップラー量は、血流波形における低速域が中心となっており、血流波形の全体については未解明な部分が多い。
又、血流速度が上がると、血流量の値に影響する場合がある他、生体の比較的浅い部位での血流量の測定となっている。
【0021】
そこで、この血流波形を歪み無く検出し、得られる血流波形情報から、血流量、血球数に相当する値を得ることで、簡易な構成で且つリアルタイムで血流状態の測定を可能とする。
本発明では、正確に測定した血流波形から血流量に相当する量及び血球数に相当する量を得ることを提案する。血流量に相当する量等は、予め設定した校正データに基づいて構成し、血流量、血球量を求めることも可能である。又、ダイアライザー及び生体において複数の部位で血流波形を測定すると、位相(時間)がずれた同様の血流波形形状を得ることができることから、この位相差を利用して血流速度及び血流量が測定可能となる。
【実施例0022】
図1に本発明の一実施例を示す。1は、レーザー光照射部であり、ダイアライザー3の表面に対し接触乃至非接触で使用されるものであり、光ファイバーの端面又は、光ファイバーの端面とプリズム、反射板、又は偏光板の組み合わせで構成されている。
11は、レーザー光出力用導光路であり、光ファイバーで形成され、光スイッチ6と、レーザー光照射部1とを連結し、光スイッチ6がONした際、レーザー光をレーザー光照射部1へ供給する。
2は、透過光受光部であり、ダイアライザー3の表面に装着されて接触乃至非接触で使用されるものであり、光ファイバーの端面、又は偏光板が装着されている。
21は、透過光伝達用導光路であり、光ファイバーより構成され、透過光を透過光電変換部53へ供給する。
【0023】
3は、ダイアライザーであり、人工腎臓を形成し、光透過性の円筒体で形成されている。
3aは、血液入力部、3bは血液取出部、3cは透析液入力部、3dは透析液取出部である。
31は、脱血側血管用チューブであり、ポリ塩化ビニル等で形成され、ブラッドアクセス部分の脱血部とダイアライザー3の血液入力部3aと接続する。
脱血部は、中空の穿刺針を内シャント(例えば、上腕部の動脈と静脈を接続して形成される)の近傍の静脈に穿刺して形成される。
32は、返血側血管用チューブであり、ポリ塩化ビニル等で形成され、ブラッドアクセス部分の穿刺針で返血部から血液ポンプ4、等を途中に介在させてダイアライザー3の血液取出部3bと接続する。返血部は、例えば上腕の静脈に中空の穿刺針を穿刺した状態で形成される。
【0024】
4は、血液ポンプであり、磁気浮上型、機械ベアリング型の遠心力を用いた磁気伝達型の間接駆動であり、脱血部から体外へ取り出された血液BAに例えば200ml/分の流れを生じさせるためのものである。尚、この速度は、一例であり、国や治療状況によって、調整される場合がある。
5は、制御ユニットであり、反射受光レーザー光を電気信号に変換する受光光電変換部51、透過受光レーザー光を電気信号に変換する透過光電変換部53、レーザー光源及び集光ユニットの組み合わせよりなるレーザー光出力部52、制御部54、表示出力部55で構成される。
【0025】
51は、受光光電変換部であり、反射受光用導光路71の光ファイバー端部と、PD(フォトダイオード)、APD(アバランシェフォトダイオード)等の光半導体で構成され、電気信号を制御部54へ出力する為のものである。
52は、レーザー光出力部であり、波長が700~800nmのレーザー光を出力するダイオード、半導体と集光する為の集光部で形成されている。
【0026】
53は、透過光電変換部であり、ダイアライザー、生体を透過した透過光を光電変換により電気信号に変換して制御部54へ出力するためのものである。
54は、制御部であり、血流量算出アルゴリズム、測定プロセス等のプログラムを記憶し、プログラムに基づいた信号制御を行うコンピュータユニットを含み、受光電気信号から血流量、血流速度、吸収スペクトル等の血流情報を算出して、表示出力部55へ出力すると主に、レーザー出力部位を調整する調整信号を、光スイッチ6等に出力する。
55は、表示出力部であり、液晶パネル、WiFiユニット、赤外線、ブルートゥース(登録商標)等のデータ入出力部より形成され、算出された血流情報を表示したり、血流情報を外部へ送信するためのものである。
56は、電気リード線であり、制御部54と、光スイッチ6の切換え入力部に接続され、制御部54からの電気信号を伝達する為のものである。
【0027】
6は、光スイッチであり、電気信号によって、光の導通を断続または、切り替えるものであり、MEMS、メカニカル型の構成をもち、適宜選択使用される。
本実施例では、断続(オンオフ)する操作を行うスイッチを示しているが、その他、切り替えによる操作を行うことで、他の部位への照射を行うことができる構成を取り得る場合もある。
12は、透析液駆動装置であり、生理食塩水等の透析液を、貯留すると共にダイアライザー内へ透析液入力部3cから供給し、老廃物を多孔質チューブ内を流れる血液から透析作用、濾過作用により取り出し、老廃物と水を透析液の混合状態で透析液取出部3dから取り出すことで取り除く為のものである。
13は、透析液用チューブAであり、生体爲害性のないビニールチューブで形成され、ダイアライザー3の透析液取出口3dと接続し、他端を透析液駆動装置12と接続する。
14は、透析液用チューブBであり、ビニールチューブで形成され、ダイアライザー3の透析液入力部3cと、透析液駆動装置12の間を接続する。
【0028】
7は、反射光受光部であり、ダイアライザー3の表面に装着されて接触乃至非接触で使用されるものであり、光ファイバーの端面、又は光ファイバーの端面と偏光板の組み合わせ等が装着されている。
71は、反射受光用導光路であり、光ファイバーで形成され、反射受光プローブ7と、受光光電変換部51を接続するものである。
反射光受光部7とレーザー光照射プローブ1の距離は、数ミリ以下で短い場合は、一体型のセンサを形成する場合もある。
本実施例では、ダイアライザーを透過する透過光と反射する反射光の2つを受光した構成を示しているが、どちらか一方でも良い場合もある。
【0029】
図1で示す実施例の動作を説明する。
ブラッドアクセス部(図示せず)の脱血部から体外へとりだされた血液BAは、脱血側血管用チューブ31を流れ、途中血流ポンプ4で速度が調整されながら、ダイアライザー3の血液入力部3aからダイアライザー3内の各中空糸に供給され、内部を通る際、中空糸周辺を逆方向に流れる透析液との間で透析、限外濾過等の作用により浄化され、浄化された血液BBは、ダイアライザーの血液取出部3bから、返血側血管用チューブ32を介してブラッドアクセス部の返血部から体内に戻される。
【0030】
透析液駆動装置12は、透析液用チューブB14を介して、ダイアライザー3の透析液供給口から内部へ供給され、中空糸の外側を血液とは逆方向で流れ、その際、中空糸内の血液からその濃度差により、尿成分(不純物、水)が透析液に混ざりながら、透析液出力部から外部へ取り出され、透析液用チューブA13を介して透析液駆動装置12に戻る。透析液駆動装置12で尿成分(水、不純物)が濾過される等して取り出され、再び、ダイアライザー3の透析液入力部3bへ供給される。
【0031】
このような透析治療動作において、
予めレーザー光出力部52は、レーザー発光ダイオードへ通電し、発光可能な状態を形成しておく。
制御ユニット5は、断続的な血流計測において、光スイッチ6へ、ダイアライザー3の表面に装着されたレーザー光照射部1へレーザー光を出力させるための、接続信号(ON信号)を出力すると光スイッチ6は、レーザー光出力部52とレーザー光照射部1間の導光接続を行う。レーザー光出力部52から照射されたレーザー光は、レーザー光照射部1を介してダイアライザー3表面に照射される。
【0032】
レーザー光照射部1が照射したレーザー光は、ダイアライザー3を透過し、透過光受光部2で受光され、透過光伝達用導光路21を介して、透過光電変換部53に供給され、ダイアライザー3内で反射した反射光は反射光受光部7で受光され、反射受光用導光路71を介して受光光電変換部51へ供給される。
受光光電変換部51で受光した反射光は、光電変換され、電気信号となり制御部54に供給される。
透過光電変換部53で受光した透過光は、光電変換され、電気信号となり、制御部54に供給される。
【0033】
制御部54は、入力された電気信号にもとづいて、血流速度、血流量、吸光度値を得て、これを表示出力部55へ出力する。
表示出力部55は、血流速度、血流量等をリアルタイムに表示したり、WiFi等が設定されていれば、他の解析機器へ無線で伝送する。
本実施例によれば、ダイアライザーの血流測定を遅延がなく断続的に継続して行うことができ、血液透析治療時に容易にダイアライザーの状態が把握できる。
【0034】
次ぎに
図1で示した制御ユニット5の一例を
図6に示し説明する。
601は、レーザー光出力器であり、レーザー発光ダイオード、その他のレーザー発光半導体で形成され、波長が700~800nmのレーザー光を出力する。
602aは、透過光用光電変換部であり、PD(フォトダイオード)Cds等、レーザー光受光用半導体で形成され、レーザー光を電気信号に変換する素子及び回路が含まれている場合がある。
602bは、反射光用光電変換部であり、PD(フォトダイオード)、APD(アバランシェフォトダイオード)等、高感度化した受光部で形成され、レーザー光を電気信号に変換する素子及び回路で形成されている。
【0035】
603aは、レーザー光出力用導光路であり、603bは、透過光受光用導光路であり、603cは、反射光受光用導光路である。何れも、例えば、光ファイバーで構成されている。光ファイバーは、それぞれの素子と、皮膚、ダイアライザー等の測定対象部の距離によって、選択使用され、短い場合は、発光部、受光部に透光性部材を被覆して使用したりするなど光ファイバーを用いない場合もある。
604は、第1ろ波器であり、例えば500KHz以下の帯域を検出するものであって、ラティスフィルタ、帯域フィルタ、π型フィルタ等、血流波形を、より減衰の無い波形として検出するためのものである。
605は、第1増幅器であり、得られた電気信号値を増幅するための回路であり、アナログ増幅回路で形成されている。
606は、自動利得制御部であって、自動利得回路(AGC(Auto Gain Control))で形成され、測定対象物600の色等で、増幅量が確保できない場合等、増幅率を上げるための部分である。
【0036】
607は、実効値出力部であり、RMSDCユニット、ADコンバータ等で構成され、入力される血流波形信号をRMS(root mean square)値に変換し、波形信号、実効値を出力するためのものである。実効値出力部607は、周波数、位相値の変化に影響を受けずに、実効値を出力することができる。
608は、第2ろ波器であり、第1ろ波器と同様の構成を有し、帯域フィルタ、等で形成され、正確な血流波形の振幅値を得るためのものである。
609は、第2増幅器であり、第1増幅器と同様の構成を示し、血流波形から振幅値を得るための血流波形を増幅する為の回路である。
【0037】
610は、振幅値出力部であり、A/Dコンバーター等の振幅値をデジタル値に変換する為の振幅抽出回路等で構成されている。
611a、は電気リード線Aであり、基板パターン配線等で構成され、それぞれ、透過光光電変換回路と第1ろ波器604と第2ろ波器608と接続する。
612は、透過光用信号処理部であり、第1ろ波器604から、振幅値出力部610迄で構成され、6aは、血流量相当量を出力する透過光用実効値出力端、6bは、血球量相当量を出力する透過光用振幅値出力端である。
613は、反射光用信号処理部であり、透過光用信号処理部612と同じ構成を示す(内部構成は省略)。6cは、血流量相当量を示す反射光用実効値出力端であり、6dは、血球量相当量を示す反射光用振幅値出力端である。
【0038】
611bは、電気リード線Bであり、基板パターン配線等で構成され、反射光用光電変換部602bと反射光用信号処理部613とを電気的に接続する。
600は、測定対象であり、生体皮膚組織、 指先、耳朶、血液透析で用いられるダイアライザ、血液回路チューブ等を例示する。
尚、測定対象600が、人体、動物の場合、レーザー光が透過する部位は、耳朶、指先、、反射光を用いる場合は、腹部、胸部、腕部、脚部等様々な部位で、血流波形を得ることができる。又、透過光であっても、従来の指先等の他の指等の部位でも血流波形を得ることができる。
【0039】
図6で示す実施例の動作を説明する。
レーザー光出力器601から、出力されたレーザー光は、レーザー光出力用導光路603aを介して、皮膚等の生体組織、又はダイアライザ内の中空糸内の血液に照射され、反射、透過してそれぞれ、透過光受光用導光路603bを介して、透過光用光電変換部602a及び反射光用光電変換部602bにそれぞれ入力受光される。
透過光受光用導光路603bを介して、透過光用光電変換部602aで受光された透過光は、光電変換によって、電気信号に変換され、電気リード線A611aを介して第1ろ波器604で、ノイズを除去し、正確な血流波形を抽出する。
【0040】
第1ろ波器604で得られた血流波形は、第1増幅器605で増幅されるが、増幅利得が、例えば測定対象600の表面の色、濃淡等で、減衰する場合があるため、自動利得制御部606により、自動的に安定した利得を維持して、その増幅信号を実効値出力部607に入力される。実効値出力部607は、入力される血流波形の実効値を算出し、透過光用実効値出力端6aへ出力する。この透過光用実効値出力端6aから出力される信号は、血流量相当量であり、予め、基準となる血流測定値との対応表(テーブル)から得られる値により血流量が算出される場合もある。
更に透過光変換電気信号は、第2ろ波器608へ入力され、血流波形値が得られる範囲で、ろ波され、第2増幅器609で増幅された後、振幅値出力部610で振幅値信号に変換され、透過光用振幅値出力端6bへ出力される。
【0041】
尚、第2増幅器609に対して自動利得制御部606と同様の構成を更に接続しても良い。
血流波形値の実効値から血流量相当量を取得し、振幅値から血球量相当量を取得する構成は、比較的シンプルで、複数の部位の血流が測定できることになり、より身近な血流測定が可能となる。
測定対象600内で反射した反射光は、反射光受光用導光路603cを介して反射光用光電変換部602bで受光した後、電気リード線B611bを介して反射光用信号処理部613に供給される。
【0042】
反射光用信号処理部613は、透過光用信号処理部612と同じ構成であるため、反射光用実効値出力端6cへ血流量相当量の実効値出力が行われ、反射光用振幅値出力端6dへ、血球量相当量の振幅値出力が行われる。
例えば、レーザー光照射プローブA102aは、ダイアライザー101の血液入力部101a側に配置され、 レーザー光照射プローブB102bは、ダイアライザー101の中央に配置され、レーザー光照射プローブC102cは、ダイアライザー101の浄化血液出力部101b側に配置される。
尚、ダイアライザー101の特定の部位の透析液の偏り等を測定する場合は、配置が透析液供給部101c側に偏って配置される場合もある他、プローブ数も3以上又は3以下に変更される場合もある。
103aは、透過光検出プローブA、103bは、透過光検出プローブB、103cは、透過光検出プローブCであり、何れも光ファイバーの端面や、センサーで形成されている。
センサーを用いる場合は、115a、115b、115cは、電気ケーブルに置き換わる。
104は、血液チューブAであり、上腕において内シャントが形成された近傍の静脈から血液を取りだし(脱血部)、浄化され戻ってきた血液を静脈へ戻す(返血部)ブラッドアクセス部の脱血部(図示せず)から延びており、プラスチック、樹脂で形成された生体親和性のある材料よりなるチューブである。ここで示す生体親和性は、血液凝固等を生じる材料以外のもので、少なくとも、血液成分に反応しない材料を意味する。
105は、血液チューブBであり、ブラッドアクセス部の返血部まで延びており、プラスチック、樹脂で形成された上記と同様の親和性のあるチューブである。
106は、透析液チューブAであり、透析液供給部101cに接続し、透析液駆動装置から、透析液をダイアライザーの透析液供給部101cへ供給するための生体親和性のあるプラスチック、樹脂で形成されたチューブである。
109aは、光スイッチAであり、光ファイバーと接続する端子109aaと他の光ファイバーと接続する端子109abを有すると共に、電気信号入力部109acを備え、端子109aaと端子109abに接続した光ファイバー間を通過するレーザー光の接続を、前記外部電気信号により遮断(オフ)と接続(オン)する構成を有する。
109bは、光スイッチBであり、光ファイバーを接続する端子109baと端子109bbを有すると共に、電気信号入力部109bcを備え、端子109baと端子109bbに接続した光ファイバー間を通過するレーザー光の接続を、前記外部電気信号により遮断(オフ)と接続(オン)する構成を有する。
109cは、光スイッチCであり、光ファイバーを接続する端子109caと端子109cbを有すると共に、電気信号入力部109ccを備え、端子109caと端子109cbに接続した光ファイバー間を通過するレーザー光の伝達接続を、前記外部電気信号により遮断(オフ)と接続(オン)する構成を有する。
112は、制御部であり、コンピュータで構成され、レーザー光出力ユニットA110a、レーザー光出力ユニットB110b、レーザー光出力ユニットC110cへ、レーザー光出力を開始する為の信号を出力したり、光電変換部A111a,光電変換部B111b、光電変換部C111cからの電気信号を入力し、演算処理をおこなって、血流量、血流速度、等の血流情報を算出して表示部、送信部へ出力するためのものである。
113aは、電気信号伝達路A、113bは、電気信号伝達路B、113cは、電気信号伝達路Cであって、電気リード線、電波、赤外線などで形成され、光スイッチA109aの電気信号入力部109ac、光スイッチB109bの電気信号入力部109bc、光スイッチC109cの電気信号入力部109ccにそれぞれ接続し、光ファイバー間の接続のオンオフ駆動を行うための電気信号を伝達する。
116aは、反射光用受光部Aであり、116bは、反射光用受光部Bであり、116cは、反射光用受光部Cであって、何れも光ファイバーの端面、プリズム、反射板、偏光板等を目的別で選択的に組み合わせたものである。
117aは、反射光受光用導光路A、117bは、反射光受光用導光路B、117cは、反射光受光用導光路C、であって、光ファイバーで構成され、一端が反射光用受光部A116a、反射光用受光部B116b、反射光用受光部C116cと接続し、他端は、それぞれ、反射受光用光電変換部A118a、反射受光用光電変換部B118b、反射受光用光電変換部C118cとそれぞれ接続する。反射受光用光電変換部A118a、反射受光用光電変換部B118b、反射受光用光電変換部C118cは、いずれもフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード等、レーザー光を電気信号に変換し、制御部112へ入力するためのものである。
無限ループ(ステップ302)の状態で、例えば、ダイアライザー内の測定開始信号が制御部112に入力されると、光スイッチA109aの状態を取得し、まずステップ303で光スイッチA109aの状態がOFFである場合は、次のステップ305で光スイッチB109bの状態を検出し、制御部112は、光スイッチA109aをONにする出力を行う。ステップ303は、光スイッチA109aがONである状態を取得し、ONの場合は、所定時間(10秒~10分)継続させた後OFFにする。OFFであった場合は、光スイッチB109bの状態がONかOFFかを取得し、OFFであった場合は、ステップ307で、光スイッチの状態を検出し、オフの場合は、繰り返し光スイッチA109aの状態を取得する。
制御部112に、測定開始の信号が入力されると、光スイッチA109aがONになる。
ステップ303で、光スイッチA109aがONであることを取得すると、所定時間経過後、光スイッチA109aをOFFにする操作を行う(ステップ304)。
調整用ナット418をゆるめる方向に回転させ、支持体404に沿って、挟持体A401と挟持体B402を広げてダイアライザーを挟持する。収容部410Sに油性材410を供給した後、再び調整用ナット418を締め付ける方向に回転させ、支持体404に沿って挟持体A401と挟持体B402でダイアライザーDを挟持固定する。固定箇所は、ダイアライザーDの測定部位である。
レーザー光照射部407、反射光受光部411は、ダイアライザーDに収容部410Sに収容された油性材410を介して接触しており、透過光受光部409は、接触した状態で、固定されている。
レーザー光照射部407、反射光受光部411は1つのセンサを形成され、検出面はフラットな平面に形成されることから、曲率のあるダイアライザの表面と接触させると間隙が形成されるが、油性部材によって、一様な接触状態となる為、ダイアライザに対し、安定したレーザー光の出力と、反射光の受光が形成される。
レーザー光出力ユニットから出力されたレーザー光はレーザー出力用光導路408を介してレーザー光照射部407からダイアライザーD方向に向かって、照射され、ダイアライザーD、中空糸束Tを透過した透過光は、透過光受光部409、透過光用導光路415を介してレーザー血流装置に入力される。他方で、レーザー光照射部407から出力されたレーザ光は、ダイアライザーD及び内部中空糸束Tで反射する。この反射光は反射光受光部411に受光され、反射光用導光路412を介してレーザー血流計に入力される。
レーザー出力用光導路408とレーザー光源間には、光スイッチが介されて外部入力により接続をオンオフする構成を有している場合もある。
504は、血液流入部であり、ブラッドアクセス部から体外へ取り出された血液が供給される部分である。505は、血液流出部であり、透析後の血液を取り出す部分である。
506は、透析液供給部であり、新しい透析液をダイアライザーD内に供給する部分である。
507は、透析液取出部であり、内部の中空糸を介して取り出された水、老廃物を含む透析液を歳出す部分である。
ダイアライザーDが透析装置に設置された状態でダイアライザーD内の血流を血液入力部から流出部まで3カ所、等間隔又は、任意の間隔に固定されることで、透析治療時でも容易に血流及び血流の状態が計測可能となり、しかも断続的にダイアライザーD全体の内部血流状態の計測が可能となることから、透析治療における有効で高効率なダイアライザー内の血流の測定を可能とする。
尚、これら挟持具は1つの支持体に連結固定させ、この支持体を手でもって、ダイアライザーに装着離脱させる構成と制御部を構成する電気回路ユニットを一体的に組み合わせることで、手軽にダイアライザー血流測定装置が、通常の透析治療時でも行うことができるような構成がとれるものである。