(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032430
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】血液透析用レーザー血流計
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
A61M1/16 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138557
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000126757
【氏名又は名称】株式会社アドバンス
(72)【発明者】
【氏名】大内 俊治
(72)【発明者】
【氏名】濱田 洋
(72)【発明者】
【氏名】今井 和貞
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077EE01
4C077HH03
4C077HH15
4C077HH21
4C077KK15
4C077KK27
4C077LL05
(57)【要約】
【課題】
透析治療の効率を高めて、透析時間、透析量の適正化が可能な、ダイアライザーの血流測定装置を提案する。
【解決手段】
レーザー光を透過させる手法によるレーザ血流測定により、ダイアライザーの血流情報を可視化可能に得ることで、ダイアライザー内における透析状態を治療時リアルタイムに近い状態で計測可能とする。又、レーザー光を出力するプローブを、ダイアライザの湾曲した側面に安定的に受光可能とする為、透明な油性部材を介在させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を照射する照射部、及び前記照射部から照射したレーザー光のダイアライザー透過光を受光する透過受光部を備えた血液透析用レーザー血流計。
【請求項2】
前記照射部に対し、前記照射部から照射したレーザー光のダイアライザー内で反射した反射光を受光する反射受光部を更に備えた請求項1に記載の血液透析用レーザー血流計。
【請求項3】
前記照射部と前記透過受光部を一対としたプローブユニットをダイアライザーの側面の複数箇所に装着してなる請求項1に記載の血液透析用レーザ血流計。
【請求項4】
前記照射部と前記透過受光部及び反射受光部を一対としたプローブユニットをダイアライザーの側面の複数箇所に装着してなる請求項1に記載の血液透析用レーザ血流計。
【請求項5】
前記照射部と前記反射受光部とダイアライザー表面間には、油性材が配置されている請求項2に記載の血液透析用レーザ血流計。
【請求項6】
前記透過受光部及び反射受光部で受光した受光光の接続遮断を行う受光光用切替器を備えた請求項4に記載の血液透析用レーザー血流計。
【請求項7】
前記照射部と前記透過光受光部は、ダイアライザーの円周方向に沿って回転移動する移動手段及び、前記回転手段により回転移動しながら受光データを測定し連続した血液量データを形成する測定手段を更に備えた請求項1に記載の血液透析用レーザー血流計。
【請求項8】
前記反射受光部には、アバランシェフォトダイオードを光電変換素子と用いる請求項2に記載の血液透析用レーザー血流計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液透析用であって、主にダイアライザー内の血流情報を測定するレーザー血流計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
慢性腎臓病の患者は、動脈硬化等の成人病を原因として現在、国民の8人に1人の割合となっており、国民病の域に達している。又、諸外国も同様に、患者の割合が急増しており、腎移植や透析治療の必要性が高まっている。
慢性腎臓病は、腎臓の機能障害を発症後、加速的に悪化していき、末期になると、腎臓移植か血液透析、腹膜透析等の透析により、尿を外部に取り出す治療を行わなければならなくなる。
【0003】
腹膜透析は、腹膜を介して、尿(尿毒素、水)を取り出すが、腹膜の劣化により、最終的に血液透析を行うことになることが多い。
血液透析は、腎臓が機能しなくなった為に体内に蓄積した尿を血液からとりだす治療であり、患者の腕などに施された内シャントを介したブラッドアクセス部分から、血液を取り出し、血液ポンプ、ダイアライザー(透析器)を繋ぐ血液回路を形成する。
【0004】
この血液回路中のダイアライザーから尿成分である尿毒素等の老廃物、及び水分を取り出して排出し、浄化された血液を再びブラッドアクセス部分を介して人体に戻すことをおよそ4時間(標準透析の場合)繰り返し行うことから、ダイアライザーによる除水、老廃物等の取り出しが主要な構成部分となり、ダイアライザーは事実上人工腎臓の一部となる。
【0005】
ダイアライザーは、1万本の中空糸の束であり、直径200ミクロンの中空糸内部に血液を通過させ、中空糸の外側を逆方向に生理食塩水等で構成される透析液を流すことで、血液と透析液の濃度差を利用して血中の老廃物、及び水分を透析液を介して外部へ取り出し、血液を浄化する仕組みをもつものであるが、1万本の中空糸の中空のサイズは、200ミクロン程度であることからたんぱく質の付着(ファウリング)による目詰まりや、中空糸束と透析液の偏り(チャネリング)が生じ、更には、血球が詰まる場合もあって、透析効率を低下させる要因をもっていたが、これらの現象を臨床的に測定することは、限られていた。
【0006】
特に、中空糸束の内部については、密集している状態の為、未解明な挙動が多いとされており、簡便な臨床上でのデータの取得が希求されている。
実際、血流と透析液が、上述の様な現象等により、理論的に流れているわけではなく、又透析装置の設定通りに、血流が生じているとは限らず、ダイアライザー内の血液の挙動は、臨床上未解明な部分が多い。
又、日本におけるダイアライザーの利用は1回限りだが、海外では、ほとんどの国で、ダイアライザーをリユースしており、洗浄装置も提供されているが、洗浄結果によっては、ファウリングや、チャネリングの影響は更に複雑に影響していると考えられる。
【0007】
ダイアライザー内の血液は、細い中空糸を通過する為、抵抗を受けると共に外部へ除水が行われていくこと等、正濾過と逆濾過の状態が形成されることが多い。
この逆濾過状態は、透析液の安全性からするとあまり好ましくない場合があることから、逆濾過状態を把握できる血流情報を得ることが求められる。
【0008】
特開2018-043003号公報には、ダイアライザー表面にレーザー血流計のプローブを装着して、患者の血流情報を取得していることが記載されているが、ダイアライザー表面の血流を測定しているものであり、ダイアライザーの持つ透析効率を左右する損失を測定するまでには至っていない。
【0009】
文献(田中ら,血液透析中の循環血液量連続モニタリングと自動除水制御,28(3),人工臓器,339-344(1999))には、ブラッドボリューム計による血液回路中の接続チューブ上で血液濃度を測定する手法が開示され、米国特許第5928180号公報には、リユース等の為のダイアライザー内の洗浄後のフィルター性能の評価について、生理食塩水等のボーラス液の注入によるダイアライザー前後に設けた血流量センサー値や超音波測定値から血流量を得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004-357784号公報
【特許文献2】特開WO2009/081883号公報
【特許文献3】米国特許第5928180号公報
【特許文献4】特開2018-043003号公報
【特許文献5】特開2005-131123号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】大須賀ら,中空糸透析器の流動シミュレーション,Vol.43,No.8 ,情報処理学会論文誌,268-2696,Aug.2002
【非特許文献2】西田ら,ダイアライザー内の流速測定,49(1):生体医光学,50-57,2005
【非特許文献3】峰島, ダイアライザーの過去・現在・未来,55(4):日腎会誌,515-522,2013
【非特許文献4】田中ら,血液透析中の循環血液量連続モニタリングと自動除水制御,28(3),人工臓器,339-344(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ダイアライザー内の血流を測定する試みは、米国特許第5928180号公報や、峰島, ダイアライザーの過去・現在・未来,55(4):日腎会誌,515-522,2013等で示されているようにMRIやX線CT等の大がかりな装置で行われている他、超音波流速測定装置が使用されている。
【0013】
超音波流速測定は、特開2005-131123号公報で示されるようにダイアライザーを水中に沈めて行われているなど、臨床上で用いるには、制約が多く、患者の透析治療時に容易に血流を測定することは困難である。
又、レーザー血流計の使用についても開示はされているが、反射光を利用することから表面に近い血流測定を行う為、ダイアライザーの透析効率に関係する内部状態や、透析液の偏り等を計測する迄には至っていない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記に鑑み本発明は、レーザー光を照射する照射部、及び前記照射部から照射したレーザー光のダイアライザーを透過した透過光を受光する透過受光部を備えることで、今まで未解明だった透析治療時のダイアライザー内の透析液と血流の関係情報を得ることが出来、正確な透析効率や、血流、及び透析液流情報が得られようになる。
更に、本発明は、血流速度情報をダイアライザー表面から得ることで、透過光に基づく情報との比較から血球の目詰まりを検出することなども可能となる。
【0015】
更に本発明は、複数のプローブユニットをダイアライザーの側面に配置することで、血流の状態、透析液の状態が把握できる。
本発明における照射部へ供給されるレーザー光のレーザー光源は、波長が700~800nmで好ましくは、755~800nmで、1mW~10mWで好ましくは4mW前後の出力を行うことが好ましい。
【0016】
尚、このレーザー光源は、光ファイバを介したレーザー光をダイアライザーに照射するものであり、直接ダイアライザーにレーザー光を照射する場合は、光ファイバを要しない場合もある。
本発明におけるダイアライザーは、円柱状の半透明なプラスチック材で形成されたものが例示されるが、透光性のある筐体を用いるものであれば、その他の形状であっても適用可能である。
【0017】
本発明における透過光の測定は、レーザー照射部とダイアライザーを挟んで対向する位置に透過受光部が形成されるが、ダイアライザーを照射したレーザー光は好ましくは、受光量が最大となる点で一致したほうがよい。
又、レーザー光の透過によるダイアライザーの血流測定においては、血液濃度測定や、血流速度、血流量の測定が示される。
血流速度については、いわゆるドップラー法は、boonerの式に基づく測定も例示される他、 生理食塩水等のボーラス液の注入による測定位置における濃度変化から血流速度を算出する場合も例示される。
【0018】
透過光の場合、中空糸束の奧のデータが得られることから、例えば円周上を、透過光プローブで、走査しながら、測定することで、透析液の偏り、目詰まり等も2次元的に測定可能となり、より正確な血流の状態が把握できるようになる。
透過光とは、ダイアライザーの直径に沿って対向(中心を通って180度の関係で、レーザー光照射部と受光部を配置)する位置での透過が好ましいが、中心を通って100度から260度の範囲での対向も含む。
【0019】
又、レーザー光照射部と受光部を対向した状態で形成するセンサユニットを、ダイアライザーの中心軸に沿って回転可動させる構成であってもよく、回動させることで、2次元的なダイアライザーの血流情報が得られる。
センサユニットが光ファイバーのレーザー光照射部と反射光受光部の一体の場合、フラットなセンサユニット表面に対し、ダイアライザーは円筒状のため、外周に曲率があることから、ダイアライザー表面に対しセンサーユニットのセンシング面を接触させると、隙間が生じるため光の乱反射、分散、減衰が生じ、正確な値が得られなくなる。そこで、ベビーオイルなどの油性材を、センシング面とダイアライザー表面に介在させることで、安定的なダイアライザー内の血流情報が得られることを知見した。
尚、ダイアライザは、全体に光を透過させる透明、半透明の材料で形成される為、照明光等を受光部が拾う可能性があることから、遮光カバーで覆うなどした利用が好ましい場合もある。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、レーザー光を透過させる手法により、ダイアライザーの血流情報を可視化可能に得ることで、ダイアライザー内における透析状態をリアルタイムに近い状態で計測可能とすることで、透析治療を有効に行うことができる。
更に反射光によるレーザー血流情報を得ることで、複数の部位における血流情報が得られ、透析効率の状態が可視化可能となることから、HDFや現行HD治療による週3回、1回4時間の標準仕様を見直して個体差がある透析時間、透析量の設定,長時間透析,短時間頻回透析,隔日透析,深夜透析,連日透析などへ有効適用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図4】本発明の他の実施例を説明する為のフローチャートで表した図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、レーザー光をダイアライザーの短軸方向へ照射してその透過光を測定し、血流量、血流速度、吸収スペクトル等を測定することで、血流状態をより正確に測定でき、透析液の 偏りや、目詰まりなどの状態がリアルタイムで把握可能となる。
【実施例0023】
図1に本発明の一実施例を示し、説明する。
01は、レーザー光出力ユニットであり、レーザー発光ダイオード、集光ユニット等で形成され、例えば波長700~800nm 、出力1~10mWの出力を行う。
011は、レーザー光出力用導光路であり、光ファイバーで形成され、レーザー光出力ユニット01とレーザー光出力部02を光学的に接続する為のものである。
012は、反射光用導光路であり、光ファイバーで形成され、反射光受光部04と反射光用光電変換ユニット07を光学的に接続する為のものである。
013は、透過光用導光路であり、光ファイバーで形成され、透過光受光部03と透過光用光電変換ユニット06を光学的に接続する為のものである。
【0024】
02は、レーザー光出力部であり、光ファイバーの端面、又は、端面と偏光板、反射板、プリズム、又は油性材の組み合わせが例示される。
03は、透過光受光部であり、光ファイバーの端面、又は、端面と偏光板、反射板、プリズムの組み合わせが例示される。
レーザー光出力部02と、透過光受光部03は、間隔を 5~100mmあけて1つのチップに形成される場合もある。
04は、反射光受光部であり、光ファイバーの端面、又は、端面と偏光板、反射板、プリズム、又は油性材の組み合わせが例示される。
【0025】
05は、制御ユニットであり、受光する反射光電気信号、透過光電気信号を入力し、所定の記憶したアルゴリズムに基づいて演算処理を行い血流速度、吸光スペクトル、血流量等の値を出力する他、レーザー光出力ユニットの出力を制御する電気信号を出力する。
051は、電気リード線であり、電気信号を、レーザー光出力ユニット01と制御ユニット05間で双方向に伝達する為のものである。
052は、透過光用電気リード線であり、電気信号を、透過光用光電変換ユニット06と制御ユニット間で双方向に伝達するためのものである。
【0026】
053は、反射光用電気リード線であり、電気信号を、反射光用光電変換ユニット07と制御ユニット05間で双方向に伝達するためのものである。
06は、透過光用光電変換ユニットであり、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード等の光電変換半導体で形成され、透過レーザー光を電気信号に変換する為のものである。 透過光用光電変換ユニット06は、受光光の強度がある程度あるためフォトダイオードで足りる場合がある。
【0027】
07は、反射光用光電変換ユニットであり、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード等の光電変換半導体で形成され、透過レーザー光を電気信号に変換する為のものである。反射光用光電変換ユニット07は、より微弱な反射光を検出する必要があるため、アバランシェフォトダイオードが好適に使用される。
【0028】
次ぎに動作を説明する。
図1で示す実施例は、ダイザライザーD内の血流を測定する為の構成を示すが、Dがダイアライザーではなく人であっても指先、耳朶、腹部等透過光が得られる部位であれば、適用可能である。
この場合、透過光は、指向性があるため、レーザー光は、180度対向する位置にセンサーを設置することが好ましい。
制御ユニット05は、血流測定開始の為の、電気信号を電気リード線051を介してレーザー光出力ユニット01に出力する。レーザー光出力ユニット01は、レーザー光をレーザー光出力用導光路011を介してレーザー光出力部02から、ダイアライザーDの表面に照射する。ダイアライザーDの内部を通過したレーザー光は、透過光受光部03で受光され、透過光用導光路013を介して透過光用光電変換ユニット06で光電変換され、光電変換された電気信号は、透過光用電気リード線052を介して制御ユニット05に入力される。
【0029】
更にレーザー光出力部02から照射されたレーザー光がダイアライザーDで反射した反射光を反射光受光部04で受光し、反射光用導光路012を介して反射光用光電変換ユニット07で電気信号に変換され、制御ユニット05に入力される。
制御ユニット05では、反射光から、Boonerの式( R. Bonner R. Nossal,Model for laser Doppler measurements of blood flow in tissue, Vol. 20, Issue 12, pp. 2097-2107 (1981) )に基づく血流速度、血流量等を演算処理出力し、透過光から、血流速度、吸光度、血流量等を演算処理出力する。反射光に比べ透過光は、中空糸を横断して得られた血流量であり、反射光に基づく血流よりは、血流の偏りに関する情報が得られる可能性がある。ダイアライザーへの血流の供給は、所定の速度で行われるが、ダイアライザー内では、除水作用、透析作用が行われる為速度が低下する場合がある。 反射光の場合は、一部の血流速度であるのに対し、透過させた場合は、その部位の血流量、血流速度の総合的な血流量等が得られ、ダイアライザーの透析効率を得られる可能性がある。
【0030】
更に、レーザー光出力部02、透過光受光部03,反射光受光部04をダイアライザーを長軸を中心として回転移動させることにより、
2次元的な透析状態(例えば偏りの有無等)が測定できる。 同時にダイアイライザの表面血流を反射光に基づいて測定できることから、透過光の状態を参照して、正確な血流状態を測定できる。
【0031】
透過光の場合は、血流速度や、吸光度スペクトルを検出することで得られる、血液濃度(血流量)値が、ダイアライザの中間部位の血流状態を示す情報を反射光より多くもつ。
従って、除水透析が実行されている部分は、濃度が高くなるが、濃度が低いところは、除水透析が実行できない状態、即ち、透析液が十分に供給されていない部位が生じていることから、血流速度の変化が少なく、透析効率が低下したことを示す可能性がある。血球量がその他の水分との割合が変化する為、吸光度も変化する。
又、透過による血流速度は、複数の中空糸を通過した結果の値となるため、反射光が、表面近傍の速度を示すことから、その違いは、照射部位での透析効率の違いとなって現れる場合がある。
【0032】
図2に
図1で示した実施例をダイアライザーに適応した際の実施例を示す。
21は、レーザー光出力部であり、レーザー光出力部02と同様の構成を有するが、ダイアライザー表面に接触する他、ベビーオイル等の油性材を介在させたり、非接触使用する場合もある。
22は、透過光受光部であり、透過光受光部03と同様の構成で形成され、光ファイバーの端面、又は、端面と偏光板、反射板、プリズムの組み合わせが例示される。
【0033】
221は、透過光用導光路であり、光ファイバーで構成され、透過光光電変換部252と、透過光受光部22間を連結するためのものである。
23は、ダイアライザーであり、上述したように内部に1万本前後の中空糸束が収容され、中空糸内部を血液が通過し、中空糸の周りを透析液が通過する構成を有する。
23aは、血液入力部であり、血液ポンプ24を通過した血液が入力する部位であり、23bは血液出力部であり、透析、濾過されて浄化された血液を取り出す部分である。
【0034】
23cは、透析液入力部であり、透析液をダイアライザー23の中空糸外側へ供給する為の部分である。
23dは、透析液出力部であり、ダイアライザー内を通過し、血中の老廃物、水を含む透析液を、外部へ取り出す部分である。
231は、動脈側血液チューブであり、血液ポンプ24とダイアライザー間の血液を流すための管状体であり、シリコーン等の生体爲害性の無い材料で形成されている。
【0035】
232は、静脈側血液チューブであり、ダイアライザー23と返血部とを接続する為のも管状体であり、シリコーン等の生体爲害性の無い材料で形成されている。
動脈側とは、動脈と静脈を接続した内シャントの近傍の静脈から取り出した血液であることを示し、静脈側とは、人体の返血部が、静脈であること等に基づくものである。
【0036】
24は、血液ポンプであり、内シャント部近傍の脱血部から取りだした血液に例えば200ml/minの流速とするためのものである。
25は、制御部であり、受光光の光電変換、レーザー光の出力部、及び 信号処理を行う
図1で示す制御ユニット05とレーザー光出力ユニット01を含む部分である。
251は、反射光光電変換部であり、PD、APD等で構成され、反射光を電気信号に変換する部分であり、
図1の反射光用光電変換ユニット07に相当する部分である。
【0037】
252は、透過光光電変換部であり、PD、APD等で構成され、透過光を電気信号に変換する部分であり、
図1の透過光用光電変換ユニット06に相当する部分である。
253は、制御部であり、コンピュータ、ゲートアレイ等で形成され、電気信号に変換された反射光信号及び透過光信号から、血流速度、血流量、血液濃度、等の値を演算して出力する為のものである。
【0038】
254は、表示部であり、液晶モニター、WiFi、ブルートゥース(登録商標)、赤外線出力デバイスで形成され、得られた血流量、血流速度、血液濃度値、等を表示したり、外部表示、記録装置に送信出力するためのものである。
255は、レーザー出力部であり、レーザー発光ダイオード、集光ユニット等で構成されている。
【0039】
256は、レーザー光照射用導光路であり、光ファイバーで構成され、レーザー出力部255とレーザー光出力部21を接続する。
26は、反射光受光部であり、光ファイバーの端面、又は 光ファイバの端面に接続した偏光板、プリズム、反射板等で形成され、ダイアライザー23に照射されたレーザー光が、内部で反射した反射光を受光するためのものである。
261は、反射光用導光路であり、光ファイバで形成され、ダイアライザーからの反射光を受光する反射光受光部262で受光された反射光を伝達するためのものである。
212は、透析液駆動装置であり、蓄積された透析液を、ダイアライザー23に供給するためのものである。
【0040】
213は、透析液回収用チューブであり、シリコーン、等の管状体で形成され、ダイアライザー23で、老廃物、水を含む透析液を透析液駆動装置212へ流すためのものである。
214は、透析液供給用チューブであり、シリコーン、等の管状体で形成され、ダイアライザー23へ透析液を供給する為のものである。
【0041】
図2の動作について説明する。
予め生体に形成されたブラッドアクセスの脱血部から取りだした血液BAは、血液ポンプ24、動脈側血液チューブ231、血液入力部23aを介してダイアライザー23に入力される。
透析液駆動装置212に貯留されている透析液は、透析液供給用チューブ214、透析液入力部23cを介して、ダイアライザー23内に供給され、中空糸の周辺を流れる。
中空糸内の血液は、空隙を介して透析液と濃度差、内外の圧力差等により、尿成分(尿毒素、水)が透析液に移動し、透析液出力部23d、透析液回収用チューブ213を介して透析液駆動装置212に戻る。
中空糸内を流れる血液は、上述した透析により、尿成分が外部へ移動し、浄化され、血液出力部23b、静脈側血液チューブ232を介して、浄化血液BBとしてブラッドアクセスの返血部より体内に戻る。
【0042】
ダイアライザーの表面に接触又は非接触で装着したレーザー光出力部21は、レーザー光をダイアライザー23の表面に照射する。
照射されたレーザー光は、一部が透過し、一部は反射散乱する。 透過光は、透過光受光部22で受光し、透過光用導光路221を介して透過光光電変換部252に出力し、電気信号に変換された後、制御部253へ供給される。
反射光は、反射光受光部26で受光され、反射光用導光路261を介して、反射光光電変換部251に出力し、反射光光電変換部251で電気信号に変換された後、制御部253へ供給される。
制御部253では、入力された反射光、透過光から、血流量、血液濃度、血流速度が演算算出され、表示部254へ出力され、表示部254は、その演算結果を表示するか、外部へデータを伝送する。
【0043】
次に、
図3に第2の実施例を示す。
図3は、1つのダイアライザーに複数のレーザー光照射部と反射受光部 及び透過受光部の組み合わせからなる測定プローブを設置した場合の実施例を示す図である。
301は、ダイアライザーであり、
図1で示す実施例と同様の構成を有し、人工腎臓を形成するものであって、内部に3000本から15000本の中空糸を収容し、中空糸内部を血液が流れ、中空糸外部を透析液が流れる構成を有する。
ダイアライザー301には、血液入力部301a、浄化血液出力部301b、透析液供給部301c、透析後の透析液を外部へ取り出す透析液出力部301dを備えている。
【0044】
302aは、レーザー光照射プローブA、302bは、レーザー光照射プローブB、302cは、レーザー光照射プローブCである。
何れも光ファイバー端面、又は、光ファイバー端面とプリズム、反射板等が組み合わされている。
【0045】
例えば、レーザー光照射プローブA302aは、ダイアライザー301の血液入力部301a側に配置され、 レーザー光照射プローブB302bは、ダイアライザー301の中央に配置され、レーザー光照射プローブC302cは、ダイアライザー301の浄化血液出力部301b側に配置される。
尚、ダイアライザー301上における特定部位の透析液の偏り等を測定する場合は、配置が透析液供給部301c側に偏って配置される場合もある他、プローブ数も3以上又は3以下に変更される場合もある。
【0046】
303aは、透過光検出プローブA、303bは、透過光検出プローブB、303cは、透過光検出プローブCであり、何れも光ファイバーの端面や、センサーで形成されている。
センサーを用いる場合は、透過光用導光路A315a、透過光用導光路B315b、透過光用導光路C315cは、電気ケーブルに置き換わる。
304は、血液チューブAであり、上腕等の内シャントが形成された近傍の静脈から血液を取りだし(脱血部)、浄化され戻ってきた血液を静脈へ戻す(返血部)ブラッドアクセス部の脱血部(図示せず)から延びており、プラスチック、樹脂で形成された生体親和性のある材料よりなるチューブである。ここで示す生体親和性は、血液凝固等を生じる材料以外のもので、少なくとも、血液成分に反応しない材料を意味する。
【0047】
305は、血液チューブBであり、ブラッドアクセス部の返血部まで延びており、プラスチック、樹脂で形成された上記と同様の親和性のあるチューブである。
306は、透析液チューブAであり、透析液供給部301cに接続し、透析液駆動装置から、透析液をダイアライザーの透析液供給部301cへ供給するための生体親和性のあるプラスチック、樹脂で形成されたチューブである。
【0048】
307は、透析液チューブBであり、透析液出力部301dと接続され、透析、濾過後の尿成分を含む透析液を透析液駆動装置(
図1の透析液駆動装置12)へ供給するための生体親和性のあるプラスチック、樹脂で形成されたチューブである。
【0049】
308aは、導光路Aであり、レーザー光照射プローブA302aと光スイッチA309aの端子309abを接続する光ファイバーにより構成され、308bは、導光路Bであり、レーザー光照射プローブB302bと光スイッチB309bの端子309bbを接続する光ファイバーにより構成され、308cは、導光路Cであり、レーザー光照射プローブC302cと光スイッチC309cの端子309cbを接続する光ファイバーにより構成されている。
【0050】
309aは、光スイッチAであり、光ファイバーと接続する端子309aaと他の光ファイバーと接続する端子309abを有すると共に、電気信号入力部309acを備え、端子309aaと端子309abに接続した光ファイバー間を通過するレーザー光の接続を、前記外部電気信号により遮断(オフ)と接続(オン)する構成を有する。
【0051】
309bは、光スイッチBであり、光ファイバーを接続する端子309baと端子309bbを有すると共に、電気信号入力部309bcを備え、端子309baと端子309bbに接続した光ファイバー間を通過するレーザー光の接続を、前記外部電気信号により遮断(オフ)と接続(オン)する構成を有する。
309cは、光スイッチCであり、光ファイバーを接続する端子309caと端子309cbを有すると共に、電気信号入力部309ccを備え、端子309caと端子309cbに接続した光ファイバー間を通過するレーザー光の伝達接続を、前記外部電気信号により遮断(オフ)と接続(オン)する構成を有する。
【0052】
次ぎに制御ユニット300について説明する。
310aは、レーザー光出力ユニットAであり、310bは、レーザー光出力ユニットBであり、310cは、レーザー光出力ユニットCであって、それぞれ、レーザー出力半導体、集光部で形成され、制御部312からの制御信号により出力の開始、停止を行う。
311aは、光電変換部Aであり、311bは、光電変換部Bであり、311cは、光電変換部Cであり、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード等の光センサとフィルタ増幅器等の電子回路により構成され、それぞれ透過光用導光路A315a、透過光用導光路B315b、透過光用導光路C315c、の他端と接続し、ダイアライザー301からの透過光を電気信号に変換する。
【0053】
312は、制御部であり、コンピューターで構成され、レーザー光出力ユニットA310a、レーザー光出力ユニットB310b、レーザー光出力ユニットC310cへ、レーザー光出力を開始する為の信号を出力したり、光電変換部A311a,光電変換部B311b、光電変換部C311cからの電気信号を入力し、演算処理をおこなって、血流量、血流速度、等の血流情報を算出して表示部、送信部へ出力するためのものである。
【0054】
313aは、電気信号伝達路Aであり、313bは、電気信号伝達路B、313cは、電気信号伝達路Cであって、電気リード線、電波、赤外線等で形成され、光スイッチA309aの電気信号入力部309ac、光スイッチB309bの電気信号入力部309bc、光スイッチC309cの電気信号入力部309ccにそれぞれ接続し、光ファイバー間の接続のオンオフ駆動を行うための電気信号を伝達する。
【0055】
314aは、レーザー光出力用導光路A、314bは、レーザー光出力用導光路B、314cは、レーザー光出力用導光路C、であって、光ファイバーで構成される。
レーザー光出力用導光路A314aは、一端をレーザー光出力ユニットA310aのレーザー光出力部と接続し、他端を光スイッチ309Aの端子309aaと接続する。
レーザー光出力用導光路A314bは、一端をレーザー光出力ユニットB310bのレーザー光出力部と接続し、他端を光スイッチ309Bの端子309baと接続する。
【0056】
レーザー光出力用導光路A314cは、一端をレーザー光出力ユニットC310cのレーザー光出力部と接続し、他端を光スイッチ309Cの端子309caと接続する。
315aは、透過光用導光路Aであり、透過光用導光路B315bは、透過光用導光路Bであり、315cは、透過光用導光路Cであり、何れも光ファイバーで形成され、一端は、それぞれ、透過光検出プローブA303a、透過光検出プローブB303b、透過光検出プローブC303cと接続し、他端は、光電変換部A311a、 光電変換部B311b 、光電変換部C311c とそれぞれ接続する。
【0057】
316aは、反射光用受光部Aであり、316bは、反射光用受光部Bであり、316cは、反射光用受光部Cであって、何れも光ファイバーの端面、プリズム、反射板、偏光板等を目的別で選択的に組み合わせたものである。
317aは、反射光受光用導光路A、317bは、反射光受光用導光路B、317cは、反射光受光用導光路C、であって、光ファイバーで構成され、一端が反射光用受光部A316a、反射光用受光部B316b、反射光用受光部C316cと接続し、他端は、それぞれ、反射受光用光電変換部A318a、反射受光用光電変換部B318b、反射受光用光電変換部C318cとそれぞれ接続する。反射受光用光電変換部A318a、反射受光用光電変換部B318b、反射受光用光電変換部C318cは、いずれもフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード等、レーザー光を電気信号に変換し、制御部312へ入力するためのものである。
【0058】
次に
図4で示すフローチャート、
図5、
図6及び
図7を参照して、実施例2の動作を説明する。
図4において 401は、開始ステップであり、例えば、制御部312で、ダイアライザー401の血流を測定するためのプログラムが起動した状態を示す。
402は、無限ループ開始ステップであり、外部入力があるまで、ループ動作を行なうステップである。
【0059】
403は、光スイッチA109aのオンオフ入力信号の有無を判断するステップであり、
例えば、光スイッチB109aのオンオフの状態を示す値を取得し、ON、OFFの状態に応じて、動作を選択するステップである。
404は、光スイッチA109aがONした後、所定時間後にオフするステップである。
【0060】
405は、光スイッチB109bのオンオフ入力信号の有無を判断するステップであり、例えば、光スイッチB109bのオンオフの状態を示す値を取得し、ON、OFFの状態に応じて、動作を選択するステップである。
406は、光スイッチB109bがONした後、所定時間後にオフするステップである。
【0061】
407は、光スイッチC109cのオンオフ入力信号の有無を判断するステップであり、
例えば、光スイッチB109cのオンオフの状態を示す値を取得し、ON、OFFの状態に応じて、分岐路を選択する。
408は、光スイッチC109cがONした後、所定時間後にオフするステップである。
409は、ループ終了ステップであり、外部入力等により無限ループが終了するステップである。
410は、終了ステップであり、測定が終了する状態を示す。
図4で示すプログラムは、例えば、制御部312で実行される。
【0062】
次に
図4で示すフローチャートの動作について
図3を参照して説明する。
図3において、ブラッドアクセス部の脱血部から取り出された血液BAは、血流ポンプで所定の流速に調整され、血液チューブA304を介してダイアライザー301の血液入力部301aへ供給される。
ダイアライザー301を通過して除水、透析処理が行われて得られた浄化血液は、浄化血液出力部301bから浄化された状態で取り出され、血液チューブB305を介してブラッドアクセス部の返血部から体内に戻される。
【0063】
更に、透析液は透析液チューブA306、透析液供給部301cを介して、ダイアライザー301内を 血流方向と逆方向に流れて、透析液出力部301d、透析液チューブB307を介して透析駆動装置へ戻り、水分、老廃物を運んできて除去する。
【0064】
以上の透析動作を続けるダイアライザー301にレーザー光照射プローブA302a、レーザー光照射プローブB302b、レーザー光照射プローブC302cの組み合わせ、及び透過光検出プローブA303a、透過光検出プローブB303b、透過光検出プローブC303cの組み合わせ、及び反射光用受光部A316a、反射光用受光部B316b、反射光用受光部C316cの組み合わせが、
例えば、ダイアライザー301の血液入力部301a側と、浄化血液出力部301b側 及びダイアライザー301の中央の3カ所に装着された状態で、制御部312は、例えば、
図4で示すアプリケーションを実行する(ステップ401)。
【0065】
無限ループ(ステップ402)の状態で、例えば、ダイアライザー内の測定開始信号が制御部312に入力されると、光スイッチA309aの状態を取得し、まずステップ403で光スイッチA309aの状態がOFFである場合は、次のステップ405で光スイッチB309bの状態を検出し、制御部312は、光スイッチA309aをONにする出力を行う。ステップ403は、光スイッチA309aがONである状態を取得し、ONの場合は、所定時間(10~600sec)継続させた後OFFにする。OFFであった場合は、光スイッチB309bの状態がONかOFFかを取得し、OFFであった場合は、ステップ407で、光スイッチの状態を検出し、オフの場合は、繰り返し光スイッチA309aの状態を取得する。
【0066】
制御部312に、測定開始の信号が入力されると、光スイッチA309aがONになる。
ステップ403で、光スイッチA309aがONであることを取得すると、所定時間経過後、光スイッチA309aをOFFにする操作を行う(ステップ404)。
【0067】
次に光スイッチB309bの動作状態を取得(ステップ405)し、光スイッチB309bがONであれば、所定時間後OFFにする操作を行う(ステップ406)。
次に光スイッチC309cの動作状態を取得(ステップ407)、光スイッチC309cがONであれば、所定時間後OFFにする操作を行う(ステップ408)。
この一連の動作は、光スイッチのON操作を、手動又は、外部入力により行った場合に対応しているが、その他、例えば、一定間隔で、光スイッチA309a→光スイッチB309b→光スイッチC309cのON、OFFを行うモジュールプログラムが組み込まれた状態で又は並列に実行された状態で自動的に行われる場合もある。
終了を示す信号が、制御部312に入力されると、ステップ409のループ処理から抜け終了する(ステップ410)。
【0068】
以上の説明の通り、光スイッチの接続を順次切り替えることで、レーザー照射部位を切り替えて位置を変えながらレーザー光を照射することで、ダイアライザー栓体の血流情報が得られる。
【0069】
次に本発明で使用されるダイアライザーにプローブを固定するプローブ固定具500の一例を
図5に示し説明する。
図5は、プローブ固定具500を上面から見た図であり、一部断面を示す。
501は、挟持体A、502は、挟持体Bでありそれぞれ、ステンレス等の金属及び硬プラスチックで直方状に形成され、ダイアライザーDの装着部位には、ダイアライザーDの筒状部を安定して挟持固定できるような凹部A505、凹部B506が形成されている。
【0070】
503は、挟持用調整体であり、らせん状のねじが形成された棒状体で形成されており、挟持体A501に一端が固定され、挟持体B502が、挟持用調整体503の軸上を図面上、左右に摺動可能であって、蝶ナット状に形成される調整用ナット518が、挟持用調整体503上を回転累合して両者を近接させ挟持固定させる。
【0071】
504は、支持体であり、棒状で形成され、挟持体A501と挟持体B502が累合摺動時、回転移動等で安定した移動を支持する。
505は、凹部であり、縁部近傍が、ダイアライザーDと接触し、凹部中央に、レーザー光照射部507と反射光受光部511が配置されている。
506は、凹部Bであり、縁部がダイアライザー表面と接触し、中央の底部に透過光受光部509が形成されている。
【0072】
凹部A505と、凹部B506は、ダイアライザーの曲率に対応した深さと幅をもっており、ダイアライザーDを挟持する部分である。
507は、レーザー光照射部であり、光ファイバーの一端の端面で形成されており、場合によっては、プリズム、反射板が付加されている場合もある。
508は、レーザー出力用光導路であり、一端は、レーザー出力部であり、光ファイバーで構成され、レーザー光源、集光ユニットの組み合わせに他端が接続されている。
【0073】
509は、透過光受光部であり、光ファイバー端面で構成され、非接触等の場合によっては、偏光板を介した構成を有する。
510は、油性材であり、ベビーオイル等の透光性を有する粘性、非揮発性を有するオイルであれば良く、ミネラルオイル、植物性オイル、シリコーンオイルが例示される。
油性材は、透光性が高く、収容部510Sに留まる程度の粘性を備えたものであればよく、ベビーオイルに限るものではない。
510Sは、収容部であり、凹状を形成し、油性材510を滴下保持する部位である。
515は、透過光用導光路であり、光ファイバーで形成され、透過レーザー光を伝達する為のものである。
511は、反射光受光部であり、光ファイバー端面で形成され、場合によっては、偏光板を介してもよい。
【0074】
512は、反射光用導光路であり、光ファイバーで形成されている。
何れの光ファイバーも、コアとクラッドの二重構造であり樹脂カバーで被覆されている。
516は、プローブAであり、先端にレーザー光照射部507と反射光受光部511及び収容部510Sが形成され挟持体A501に挿入固定されている。
517は、プローブBであり、先端に透過光受光部511が配置され、挟持体B502に挿入固定されている。
518は、調整用ナットであり、例えば手動調整容易な蝶ナットで形成され、レーザー光照射部507 反射光受光部511 透過光受光部509をダイアライザーDに装着固定する為のもので、挟持用調整体503上を左右に回転移動し、挟持体A501と挟持体B502でダイアライザーDを挟持固定する為のものである。
【0075】
図7に
図5で示す挟持具による挟持固定の動作を示した。
予めプローブA516は、挟持体A501に挿入固定され、プローブB517は、挟持体B502に挿入固定されている。
プローブA516と挟持体501及びプローブB517と挟持体B502の固定位置は、ダイアライザーDを挟持したとき、透過光受光部509と収容部510SがダイアライザーD表面に接触する位置に固定される。その際、予め収容部510Sに油性材510を供給しておく。
図7(a)でしめすように調整用ナット518をゆるめる方向に回転させ、収容部510Sにベビーオイル等の油性材510を供給保持させ、支持体504に沿って、挟持体A501と挟持体B502を広げてダイアライザーを挟持する。
図7(b)で示すように再び調整用ナット518を締め付ける方向に回転させ、支持体504に沿って挟持体A501と挟持体B502でダイアライザーDを挟持固定する。固定箇所は、ダイアライザーDの測定部位である。
【0076】
レーザー光照射部507、反射光受光部511は、ダイアライザーDに油性材510を介して接触し、透過光受光部509は、接触した状態で、固定されているが、
油性材510は、少なくとも、ダイアライザーとの接触面に介在する程度のものであり、高い透光性と揮発しにくい油性材であればよい。尚、当該油性材は、曲率が大きく、レーザー光照射部と反射等の受光部が、ダイアライザー表面に一様に接触できない部分において、減衰が少なめでありながら、一様な接触が可能であり、レーザー光の照射とレーザー光の受光が安定する。
レーザー光出力ユニットから出力されたレーザー光はレーザー出力用光導路508を介してレーザー光照射部507から油性材510、ダイアライザーD方向に向かって、照射され、ダイアライザーD、中空糸束Tを透過した透過光は、透過光受光部509、透過光用導光路510を介してレーザー血流装置に入力される。他方で、レーザー光照射部507から出力されたレーザ光は、ダイアライザーD及び内部中空糸束Tで反射する。この反射光は反射光受光部511に受光され、反射光用導光路512を介してレーザー血流計に入力される。
【0077】
レーザー出力用光導路508とレーザー光源(図示せず)間には、光スイッチを介して外部入力により接続をオンオフする構成を有している場合もある。
図6は、
図5で示したプローブ固定具500をダイアライザー上の3カ所に何れも同じ構造をしたものを設置固定した状態を示す。
【0078】
601は、プローブ固定具Aであり、ダイアライザーDの血液流入部604側に挟持固定したものである。
プローブ固定具A601は、
図5で示す構成を有するものであり、608aは、挟持体A1、608bは、挟持体B1であり、
図5で示す挟持体A601、挟持体B602に対応する。601aは、光ファイバー束であり、
図5で示すレーザー出力用光導路608と反射光用導光路612の組み合わせと同じ構成を示し、601bは、光ファイバーであり、
図5で示す透過光用導光路610と同じ構成を示す。
【0079】
602は、プローブ固定具Bであり、ダイアライザーDの中央に挟持固定したものである。
プローブ固定具B602は、
図5で示す構成と同様のものを示し、609aは、挟持体A2、609bは、挟持体B2であり、
609aは、
図5で示す挟持体A601、609bは、
図5で示す挟持体B602と同様の構成を示す。
【0080】
603は、プローブ固定具Cであり、ダイアライザーDの血液流出部605側に挟持固定する。
603aは、光ファイバー束であり、
図6で示すレーザー出力用光導路608と反射光用導光路612の束と同様の構成を示し、603bは、光ファイバーであり、透過光用導光路610と同様の構成を示す。
610aは、挟持体A3、610bは、挟持体B3であり、
図5で示す挟持体A601、挟持体B602と同様の構成を有する。
【0081】
604は、血液流入部であり、ブラッドアクセス部から体外へ取り出された血液が供給される部分である。605は、血液流出部であり、透析後の血液を取り出す部分である。
606は、透析液供給部であり、新しい透析液をダイアライザーD内に供給する部分である。
607は、透析液取出部であり、内部の中空糸を介して取り出された水、透廃物を含む透析液を取り出す部分である。
【0082】
ダイアライザーDが透析装置に設置された状態でダイアライザーD内の血流を血液入力部から流出部まで3カ所等間隔で固定されることで、透析治療時でも容易に血流及び血流の状態が計測可能となり、しかも断続的にダイアライザーD全体の内部血流状態の計測が可能となることから、透析治療における有効で高効率なダイアライザーD内の血流の測定を可能とする。
尚、これら挟持具は1つの支持体に連結固定させ、この支持体を手でもって、ダイアライザーに装着離脱させる構成と制御部を構成する電気回路ユニットを一体的に組み合わせることで、手軽にダイアライザー血流測定装置が、通常の透析治療時でも行うことができるような構成がとれるものである。
本発明では、透過光を利用したレーザー血流計をもちいたダイアライザー内の血流情報を取得することができることから、透析治療の効率を向上させる血液透析治療が提案できる。