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2023-3258検査装置、学習装置、検査方法、生成モデルの生成方法、検査プログラム、および学習プログラム
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  • -検査装置、学習装置、検査方法、生成モデルの生成方法、検査プログラム、および学習プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003258
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】検査装置、学習装置、検査方法、生成モデルの生成方法、検査プログラム、および学習プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20221228BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221228BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104330
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】森本 晃章
【テーマコード(参考)】
2G051
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AA90
2G051AB01
2G051AB02
2G051AC21
2G051EB01
2G051EB05
5L096AA02
5L096BA03
5L096DA01
5L096FA02
5L096GA08
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】外観が正常部分と類似した不良箇所の検出。
【解決手段】検査装置(2)は、不良箇所を有する対象物の画像を入力画像として、当該不良箇所を強調した生成画像を生成するように構築された生成モデル(113)を用いて、不良箇所の有無が不明の対象物を撮影した検査画像から生成画像を生成する画像生成部(201)と、該生成画像を用いて検査画像に写る対象物の不良箇所の有無を判定する良否判定部(202)を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不良箇所を有する対象物の画像を入力画像として、当該不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより構築された生成モデルを用いて、不良箇所の有無が不明の対象物を撮影した検査画像から前記生成画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部が生成した前記生成画像を用いて、前記検査画像に写る対象物の不良箇所の有無を判定する良否判定部と、を備える検査装置。
【請求項2】
前記生成モデルは、不良箇所を有さない対象物の画像を入力画像として用いることにより、当該入力画像と同様の特徴を有する前記生成画像を生成するように学習して構築されたものである、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記生成モデルは、学習に用いられる前記入力画像の色成分のうち出現頻度が相対的に少ない色成分の色で不良箇所を強調した前記生成画像を生成するように学習して構築されたものである、請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
不良箇所を有する対象物の画像を、機械学習用の入力画像として取得する学習用データ取得部と、
前記入力画像が入力されたときに、前記不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより、生成モデルを構築する学習部と、を備える学習装置。
【請求項5】
不良箇所を有さない対象物の画像の一部分に、不良箇所と類似した外観の部分画像を合成して合成画像を生成する合成画像生成部と、
前記合成画像における前記一部分を強調した強調画像を生成する強調画像生成部と、を備え、
前記学習用データ取得部は、前記合成画像を前記入力画像として取得し、前記強調画像を教師データとして取得する、請求項4に記載の学習装置。
【請求項6】
検査装置が実行する検査方法であって、
不良箇所を有する対象物の画像を入力画像として、当該不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより構築された生成モデルを用いて、不良箇所の有無が不明の対象物を撮影した検査画像から前記生成画像を生成するステップと、
前記ステップで生成した前記生成画像を用いて、前記検査画像に写る対象物の不良箇所の有無を判定するステップと、を含む検査方法。
【請求項7】
学習装置が実行する生成モデルの生成方法であって、
不良箇所を有する対象物の画像を機械学習用の入力画像として取得するステップと、
前記入力画像が入力されたときに、前記不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより、生成モデルを構築するステップと、を含む生成モデルの生成方法。
【請求項8】
請求項1に記載の検査装置としてコンピュータを機能させるための検査プログラムであって、前記画像生成部および前記良否判定部としてコンピュータを機能させるための検査プログラム。
【請求項9】
請求項4に記載の学習装置としてコンピュータを機能させるための学習プログラムであって、前記学習用データ取得部および前記学習部としてコンピュータを機能させるための学習プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を撮像した画像を用いて当該対象物の良否判定を行う検査装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オートエンコーダ等のいわゆる生成モデルと呼ばれる機械学習済みモデルを用いた対象物の良否判定が行われている。例えば、下記の特許文献1には、良品と判断された検査対象物を撮像した画像を用いて機械学習したオートエンコーダに検査対象画像を入力して復元画像を生成し、検査対象画像と復元画像の差分から検査対象物の良否を判定することが記載されている。
【0003】
上記のような学習を行ったオートエンコーダに不良箇所のある対象物の検査対象画像を入力した場合、不良箇所は学習されていないため復元されにくいことに起因して、検査対象画像と復元画像の間に差分が生じる。これにより、対象物に不良箇所があると判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-205163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術は、外観が正常部分と大きく異なる不良箇所の検出には有効であるものの、外観が正常部分と類似した不良箇所については検出に十分な差分が生じず、それゆえ検出が難しいという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、外観が正常部分と類似した不良箇所を検出することが可能な検査装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る検査装置は、不良箇所を有する対象物の画像を入力画像として、当該不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより構築された生成モデルを用いて、不良箇所の有無が不明の対象物を撮影した検査画像から前記生成画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部が生成した前記生成画像を用いて、前記検査画像に写る対象物の不良箇所の有無を判定する良否判定部と、を備える。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る学習装置は、不良箇所を有する対象物の画像を、機械学習用の入力画像として取得する学習用データ取得部と、前記入力画像が入力されたときに、前記不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより、生成モデルを構築する学習部と、を備える。
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る検査方法は、検査装置が実行する検査方法であって、不良箇所を有する対象物の画像を入力画像として、当該不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより構築された生成モデルを用いて、不良箇所の有無が不明の対象物を撮影した検査画像から前記生成画像を生成するステップと、前記ステップで生成した前記生成画像を用いて、前記検査画像に写る対象物の不良箇所の有無を判定するステップと、を含む。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る生成モデルの生成方法は、学習装置が実行する生成モデルの生成方法であって、不良箇所を有する対象物の画像を機械学習用の入力画像として取得するステップと、前記入力画像が入力されたときに、前記不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより、生成モデルを構築するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、外観が正常部分と類似した不良箇所を検出することが可能な検査装置等を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る学習装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る検査装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図3】上記検査装置による検査の例を示す図である。
図4】不良品画像と強調画像の例を示す図である。
図5】合成画像と強調画像の生成例を示す図である。
図6】上記学習装置が実行する生成モデルの生成方法の一例を示すフローチャートである。
図7】上記検査装置が実行する検査方法の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔学習装置の構成〕
図1に基づいて本発明の一実施形態に係る学習装置1の構成を説明する。図1は、学習装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。学習装置1は、所定の対象物を撮影した画像を用いて、その対象物が良品であるか不良品であるかを判定するための機械学習モデル(後述する生成モデル)を構築する装置である。
【0013】
上記対象物は、その外観に基づいて良品であるか不良品であるかを判定可能なものであればよい。上記対象物の具体例としては、各種工業製品(完成品であってもよいし、部品や中間生成品であってもよい)や食品などが挙げられる。また、不良品とは、求められる要件を満たしていない対象物であり、例えば、表面にキズ、汚れ、こげ、変色等がある、異物が付着している、良品と形状、印字、刻印などが異なるものなどが不良品とされる。
【0014】
図示のように、学習装置1は、学習装置1の各部を統括して制御する制御部10、および学習装置1が使用する各種データを記憶する記憶部11を備えている。また、学習装置1は、学習装置1がデータ等の入力を受け付ける入力部12、学習装置1がデータ等を出力するための出力部13、および学習装置1が外部の装置と通信するための通信部14を備えている。
【0015】
制御部10には、合成画像生成部101、強調画像生成部102、学習用データ取得部103、および学習部104が含まれている。また、記憶部11には、良品画像111、不良品画像112、および生成モデル113が記憶されている。
【0016】
合成画像生成部101は、不良箇所を有さない対象物の画像の一部分に、不良箇所と類似した外観の部分画像を合成して合成画像を生成する。具体的には、合成画像生成部101は、不良箇所を有さない対象物の画像である良品画像111に部分画像を合成して合成画像を生成する。合成画像の生成方法の詳細は図5に基づいて後述する。
【0017】
強調画像生成部102は、合成画像生成部101が生成する合成画像における、部分画像が合成された部分を強調した強調画像を生成する。強調画像は、合成画像の元になった良品画像111から生成することもできるし、合成画像から生成することもできる。また、強調画像生成部102は、不良箇所を有する対象物の画像である不良品画像112における不良箇所を強調して強調画像を生成することもできる。
【0018】
学習用データ取得部103は、不良箇所を有する対象物の画像を、機械学習用の入力画像として取得する。より詳細には、学習用データ取得部103は、合成画像生成部101が生成する機械学習用の合成画像を入力画像として取得する。
【0019】
また、学習用データ取得部103は、上記入力画像とペアになる教師データ(正解データあるいは正解画像と呼ぶこともできる)として、強調画像生成部102が生成した強調画像を取得する。入力画像と教師データの組を学習用データと呼ぶ。合成画像とその合成画像から生成された強調画像の組は学習用データである。
【0020】
なお、学習用データ取得部103は、合成画像の代わりに不良品画像112を入力画像として取得してもよい。この場合、強調画像生成部102は、その不良品画像112の不良部分を強調した強調画像を生成し、学習用データ取得部103は、このようにして生成された強調画像を教師データとして取得する。つまり、不良品画像112とその不良部分を強調した強調画像の組も学習用データである。
【0021】
学習部104は、不良箇所を有する対象物の画像が入力画像として入力されたときに、その不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより、生成モデルを構築する。構築した生成モデルは、生成モデル113として記憶部11に記憶される。
【0022】
具体的には、学習部104は、合成画像とその合成画像から生成された強調画像の組を学習用データとして用い、合成画像が入力されたときに、強調画像が生成されるように学習を行う。また、学習部104は、不良品画像112とその不良品画像112から生成された強調画像の組を学習用データとして用い、不良品画像112が入力されたときに、強調画像が生成されるように学習を行ってもよい。
【0023】
また、上記生成モデルの構築の際には、学習部104は、不良箇所を有さない対象物の画像である良品画像111を入力画像として用いることにより、当該入力画像と同様の特徴を有する生成画像を生成するように学習を行ってもよい。この学習に用いる学習用データは良品画像111のみである。詳細は後述するが、良品画像111を学習用データとした学習も行うことにより、汎用性と正確性を両立させた検査を行うことが可能な生成モデル113を構築することができる。
【0024】
良品画像111は、上述のように、不良箇所を有さない対象物の画像である。例えば、良否検査に用いた画像のうち、目視による検査により不良箇所を有さないことが確認されている対象物の画像を良品画像111とすればよい。なお、合成画像の代わりに不良品画像112を学習用データとして使用する場合で、かつ、良品画像111を学習用データとした学習を行わない場合には良品画像111は不要である。
【0025】
不良品画像112は、上述のように、不良箇所を有する対象物の画像である。例えば、良否検査に用いた画像のうち、目視による検査により不良箇所を有することが確認されている対象物の画像を不良品画像112とすればよい。また、不良品画像112については、その画像における不良箇所の位置および範囲を示すデータも合せて記録しておく。なお、不良品画像112を学習用データとして使用しない場合には、不良品画像112は不要である。
【0026】
生成モデル113は、学習部104が学習を行った結果構築された学習済みモデルである。生成モデル113は、機械学習により構築されたものであって、不良箇所を有する対象物の画像が入力されたときに、その不良箇所を強調した生成画像を生成するものであればよい。
【0027】
このような生成モデルとしては、例えば、オートエンコーダ、変分オートエンコーダ、およびU-Net等を適用することができる。オートエンコーダは、エンコーダとデコーダを組み合わせたものであり、エンコーダで入力画像の特徴量の抽出を行い、抽出された特徴量をデコーダでデコードして生成画像を生成する。
【0028】
オートエンコーダで、良品画像111を学習用データとした学習を行う場合、良品画像111をエンコーダに入力して特徴量の抽出を行い、抽出された特徴量をデコーダでデコードして生成画像を生成する。学習は、この生成画像と良品画像111との誤差が小さくなるように、エンコーダとデコーダにおける各重みパラメータの値を調整することにより行われる。
【0029】
一方、オートエンコーダで、合成画像と強調画像の組を学習用データとした学習を行う場合、合成画像をエンコーダに入力して特徴量の抽出を行い、抽出された特徴量をデコーダでデコードして生成画像を生成する。学習は、この生成画像と強調画像との誤差が小さくなるように、エンコーダとデコーダにおける各重みパラメータの値を調整することにより行われる。不良品画像112と強調画像の組を学習用データとした学習を行う場合も同様である。
【0030】
また、変分オートエンコーダの学習も同様である。U-Netは、入力画像からセグメンテーションマップを出力するものであるから、U-Netを用いる場合、セグメンテーションマップではなく画像(生成画像)を生成するように学習すればよい。また、GAN(Generative Adversarial Networks)により生成画像を生成することも可能である。
【0031】
以上のように、学習装置1は、不良箇所を有する対象物の画像を、機械学習用の入力画像として取得する学習用データ取得部103と、該入力画像が入力されたときに、不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより生成モデル113を構築する学習部104と、を備える。
【0032】
上記の構成によれば、不良箇所を有する対象物の画像を入力画像として取得し、これを用いて、不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習して生成モデル113を構築する。この生成モデル113を用いて、不良箇所の有無が不明の対象物を撮影した検査画像から生成した生成画像では、不良箇所が元の検査画像よりも強調される。これにより、外観が正常部分と類似した不良箇所が検出しやすくなっている。よって、上記の構成によれば、外観が正常部分と類似した不良箇所の検出を可能にすることができるという効果を奏する。
【0033】
また、以上のように、学習装置1は、良品画像111の一部分に、不良箇所と類似した外観の部分画像を合成して合成画像を生成する合成画像生成部101と、合成画像における上記一部分を強調した強調画像を生成する強調画像生成部102と、を備える。そして、学習用データ取得部103は、合成画像を入力画像として取得し、強調画像を教師データとして取得する。
【0034】
上記の構成によれば、良品画像111から合成画像と強調画像を生成し、それらを取得する。これにより、学習に必要な、不良品画像112が十分に入手できない場合であっても、判定に十分な精度の生成画像を生成することが可能な生成モデル113を構築することが可能になる。
【0035】
〔検査装置の構成〕
図2に基づいて本発明の一実施形態に係る検査装置2の構成を説明する。図2は、検査装置2の要部構成の一例を示すブロック図である。検査装置2は、対象物を撮影した画像を用いて、その対象物が良品であるか不良品であるかを判定する装置である。
【0036】
図示のように、検査装置2は、制御部20、記憶部21、入力部22、出力部23、および通信部24を備える。制御部20には、画像生成部201および良否判定部202が含まれている。記憶部21には、検査画像211、判定結果データ213、および生成モデル113が記憶されている。
【0037】
画像生成部201は、不良箇所を有する対象物の画像を入力画像として、当該不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより構築された生成モデル113を用いて、不良箇所の有無が不明の対象物を撮影した検査画像211から生成画像を生成する。生成モデル113は、学習装置1が生成したものであり、学習装置1から取得して記憶部21に記憶させたものである。
【0038】
良否判定部202は、画像生成部201が生成した生成画像を用いて、検査画像に写る対象物の不良箇所の有無を判定する。そして、良否判定部202は、検査画像211に係る対象物が良品か不良品かという判定結果を示す判定結果データ213を記憶部21に記憶させる。
【0039】
以上のように、検査装置2は、不良箇所を有する対象物の画像を入力画像として、当該不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより構築された生成モデル113を用いて、不良箇所の有無が不明の対象物を撮影した検査画像211から上記生成画像を生成する画像生成部201と、画像生成部201が生成した生成画像を用いて、検査画像211に写る対象物の不良箇所の有無を判定する良否判定部202と、を備える。
【0040】
上記の構成によれば、不良箇所を有する対象物の画像を入力画像として当該不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより構築された生成モデル113を用いて生成した生成画像を用いて不良箇所の有無を判定する。なお、上述したように、生成モデル113の学習に用いる不良箇所を有する対象物の画像は、不良品画像112であってもよいし、合成画像生成部101が生成する合成画像であってもよい。
【0041】
この生成画像では、不良箇所が検査画像211よりも強調されているから、上記の構成によれば、外観が正常部分と類似した不良箇所を検出することが可能になるという効果を奏する。
【0042】
なお、上述のように、生成モデル113は、良品画像111を入力画像として用いることにより、当該入力画像と同様の特徴を有する生成画像を生成するように学習して構築されたものであってもよい。
【0043】
上記の構成によれば、良品画像111を入力画像として用いることにより、当該入力画像と同様の特徴を有する生成画像を生成するように学習して構築された生成モデル113を用いて検査画像211から生成画像を生成する。そして、その生成画像を用いて不良箇所の有無を判定する。
【0044】
これにより、学習されていないために強調されなかった不良箇所についても検出することが可能になる。そのような不良箇所は、生成モデルにより検査画像211から生成された生成画像では復元されず、これにより、検査画像211と生成画像との間に差分が生じるためである。
【0045】
〔検査の例〕
検査装置2による検査の例を図3に基づいて説明する。図3は、検査装置2による検査の例を示す図である。より詳細には、図3には、対象物A1~A3の良否検査を行う例を示している。
【0046】
(対象物A1)
対象物A1の良否検査は、対象物A1をその上面側から撮影することにより得られた検査画像B1を用いて行われる。検査画像B1に写る対象物A1の像a1には、変色部a11が含まれており、変色部a11が含まれているために対象物A1は不良品である。
【0047】
なお、ここでは、画像生成部201が使用する生成モデル113の学習時には、変色部a11と類似した変色部を含む不良品画像112が学習用データとして使用されていたことを想定している。つまり、ここで用いる生成モデル113は、変色部a11と類似した変色部を含む不良品画像112を入力画像とし、当該変色部を強調した強調画像を教師データとした学習により構築されたモデルである。
【0048】
この対象物A1の検査において、まず、検査装置2の画像生成部201は、生成モデル113に検査画像B1を入力して、生成画像B1’を生成する。上述のように、ここで使用する生成モデル113は、変色部a11と類似した変色部を含む不良品画像112を用いた学習により生成されたものである。このため、生成画像B1’では、対象物A1の像a1は概ね同様の像a1’となっている一方で、変色部a11は強調されて変色部a11’となっている。
【0049】
次に、良否判定部202が、画像生成部201が生成した生成画像B1’を用いて対象物A1の不良箇所の有無を判定する。具体的には、良否判定部202は、検査画像B1と生成画像B1’の差分画像B1”を生成し、生成した差分画像B1”において、閾値以上の差分が生じている所定数以上の画素からなる連続領域があれば不良箇所あり、なければ不良箇所なしと判定する。
【0050】
なお、差分画像B1”は、検査画像B1の各画素の画素値と、生成画像B1’における対応する各画素の画素値との差を示すものである。図3に示す差分画像B1”は、上記の差が閾値以上の画素を白、閾値未満の画素を黒に二値化している。このように、不良箇所の有無の判定には二値化画像を用いてもよい。二値化画像を用いる場合、良否判定部202は、所定数以上の白色画素からなる連続領域を不良箇所として検出する。
【0051】
上述のように、生成画像B1’では、変色部a11が強調されて変色部a11’となっているため、当該部分における検査画像B1と生成画像B1’の差も強調される。このため、差分画像B1”では、当該部分が不良箇所a11”として正しく検出される。よって、良否判定部202は、対象物A1が不良品であると正しく判定することができる。
【0052】
(対象物A2)
対象物A2の良否検査も、対象物A1の場合と同様に、対象物A2をその上面側から撮影することにより得られた検査画像B2を用いて行われる。検査画像B2に写る対象物A2の像a2には、変色部a21が含まれており、変色部a21が含まれているために対象物A2は不良品である。ここで、変色部a21は、生成モデル113の学習用データに含まれる入力画像の不良箇所の何れとも類似しないことを想定している。
【0053】
この対象物A2の検査においても、まず、画像生成部201が、生成モデル113に検査画像B2を入力して、生成画像B2’を生成する。上述のように、ここで使用する生成モデル113の学習には、変色部a21と類似した不良箇所を含む学習用データは用いられていない。このため、生成画像B2’では変色部a21が強調されていない。
【0054】
また、ここでは、生成モデル113は、良品画像111を入力画像として用いることにより、当該入力画像と同様の特徴を有する生成画像を生成するように学習して構築されていることを想定している。このため、生成画像B2’では変色部a21は復元もされていない。
【0055】
次に、良否判定部202が、画像生成部201が生成した生成画像B2’を用いて対象物A2の不良箇所の有無を判定する。具体的には、良否判定部202は、検査画像B2と生成画像B2’の差分画像B2”を生成し、生成した差分画像B2”において、閾値以上の差分が生じている所定数以上の画素からなる連続領域があれば不良箇所あり、なければ不良箇所なしと判定する。対象物A1の検査の場合と同様、不良箇所の有無の判定には二値化画像を用いてもよい。
【0056】
生成画像B2’では変色部a21が復元されないことにより、差分画像B2”では変色部a21の領域が検査画像B2と生成画像B2’の差分として表れる。よって、良否判定部202は、当該領域を不良箇所a21”として正しく検出し、対象物A2が不良品であると正しく判定することができる。
【0057】
(対象物A3)
対象物A3の良否検査も、対象物A1、A2と同様に、対象物A3をその上面側から撮影することにより得られた検査画像B3を用いて行われる。検査画像B3に写る対象物A3の像a3には、変色部が含まれていない。つまり、対象物A3は良品である。
【0058】
この対象物A3の検査においても、まず、画像生成部201は、生成モデル113に検査画像B3を入力して、生成画像B3’を生成する。検査画像B3には、学習済みの不良箇所と類似する箇所は含まれていないので、検査画像B3に写る像a3と同様の特徴を有する像a3’が写る生成画像B3’が生成される。
【0059】
次に、良否判定部202が、画像生成部201が生成した生成画像B3’を用いて対象物A3の不良箇所の有無を判定する。具体的には、良否判定部202は、検査画像B3と生成画像B3’の差分画像B3”を生成し、生成した差分画像B3”において、閾値以上の差分が生じている所定数以上の画素からなる連続領域があれば不良箇所あり、なければ不良箇所なしと判定する。対象物A1の検査の場合と同様、不良箇所の有無の判定には二値化画像を用いてもよい。
【0060】
検査画像B3に写る像a3と生成画像B3’に写る像a3’は同様の外観であるから、検査画像B3と生成画像B3’の間に有意な差分は生じていない。このため、良否判定部202は、差分画像B3”から対象物A3が良品であると正しく判定することができる。
【0061】
〔学習用データとして使用される画像について〕
学習装置1の学習部104は、入力画像と教師データ(正解画像)からなる学習用データを用いて、入力画像が入力されたときに、教師データとした正解画像が生成されるように学習することにより、生成モデル113を生成する。
【0062】
このため、上記入力画像としては、図3の検査画像B1のような、不良部分が含まれることが予め分かっている画像、すなわち不良品画像112が用いられる。不良品画像112としては、図3に示したような実際の検査において使用した検査画像B1を用いることもできる。また、不良品画像112の代わりに、あるいは不良品画像に加えて、合成画像生成部101が生成する合成画像を入力画像として用いてもよい。
【0063】
また、教師データとしては、図3の生成画像B1’のような、入力画像の不良箇所を強調した画像である強調画像が用いられる。強調画像は、強調画像生成部102によって生成される。具体的には、強調画像生成部102は、不良品画像112の不良箇所の色を所定の強調色に変更することにより強調画像を生成する。また、強調画像生成部102は、合成における、不良箇所と類似した外観の部分画像が合成された部分の色を所定の強調色に変更することにより強調画像を生成してもよい。
【0064】
また、上述のように、学習部104は、上述した学習用データを用いた学習に加えて、不良箇所を有さない対象物の画像、すなわち良品画像111を入力画像として用いた学習についても行ってもよい。良品画像111としては、図3に示したような実際の検査において使用した検査画像B3を用いることもできる。
【0065】
良品画像111を入力画像とする学習では、入力画像とした良品画像111を教師データ(正解画像)とする。この学習においては、学習部104は、入力画像である良品画像111に対し、当該良品画像111と同様の特徴を有する生成画像が生成されるように学習する。良品画像111、不良品画像112、および合成画像の何れを入力画像とする場合においても、学習の枠組みは同じであるから、各画像を含む教師データをあらかじめ用意しておき、まとめて学習することも可能である。なお、良品画像111を入力画像とする学習は、入力画像と正解画像が同じであることから、教師なし学習に分類されることもある。
【0066】
〔強調色について〕
上述の強調色は、学習に用いられる入力画像の色成分のうち出現頻度が相対的に少ない色成分の色とすることが好ましい。これについて、図4に基づいて説明する。図4は、不良品画像と強調画像の例を示す図である。
【0067】
図4に示す不良品画像Cには、図3の検査画像B1と同様の不良箇所が含まれている。また、図4には、この不良品画像CにおけるR、G、Bの各色成分の平均画素値を棒グラフで示している。この棒グラフに示されるように、不良品画像Cでは、RおよびGの色成分と比べて、Bすなわち青色成分の平均画素値が相対的に小さい。つまり、不良品画像Cでは、青色の出現頻度が相対的に少ない。
【0068】
このような場合、強調画像生成部102は、強調色を青色として、図4に示すような強調画像Dを生成することが好ましい。強調画像Dにおける不良箇所は、同図に棒グラフで示すように、平均画素値が255の青色である。これにより、不良品画像Cと、強調画像Dにおける、不良箇所の差分を際立たせることができる。なお、不良品画像Cの全体での各色成分の平均画素値の代わりに、不良品画像Cのうち対象物が写る領域の各色成分の平均画素値に基づいて強調色を決定してもよい。
【0069】
このように、生成モデル113は、学習に用いられる入力画像の色成分のうち出現頻度が相対的に少ない色成分の色で不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習して構築されたものであってもよい。
【0070】
検査画像は、学習に用いられる入力画像と同じ対象物を撮影した画像であるから、検査画像における各色成分の出現頻度は学習に用いた入力画像の色成分と同様になる。そして、出現頻度が相対的に少ない色成分の色は、画像において際立つ色であり、そのような色の箇所は検出が容易である。よって、上記の構成によれば、生成画像を用いた不良箇所の検出を容易にすることができる。
【0071】
〔合成画像と強調画像の生成例〕
図5は、合成画像と強調画像の生成例を示す図である。図5には、2通りの生成例を示している。1つは、基準形状E1~E3を用いた合成画像と強調画像の生成例であり、もう1つは、不良部分画像F1とマスク画像F2を用いた合成画像と強調画像の生成例である。なお、何れの生成例においても、合成画像の元になる画像は、良品である対象物の像gが写る良品画像Gである。
【0072】
(基準形状を使用する例)
基準形状E1~E3を用いる場合、合成画像生成部101は、まず良品画像Gにおける基準形状E1~E3の合成位置を決定する。この際、合成画像生成部101は、良品画像Gにおける対象物の像gの範囲を特定し、その範囲内に合成位置を設定する。図5の例では、対象物の像gの左下隅付近が合成位置に設定されている。
【0073】
次に、合成画像生成部101は、基準形状E1~E3の中から使用する1つを選択する。合成画像生成部101は、例えば、使用するものをランダムに選択してもよい。また、不良箇所の形状のパターンが予め決まっている場合、合成画像生成部101は、そのパターンに近いものを選択してもよい。図5の例では、基準形状E1が選択されている。なお、基準形状は1つのみ用意しておいてもよく、この場合選択の必要はない。また、基準形状は任意の形状とすることができ、例えば、円、楕円、矩形、多角形、それらを変形したもの、その組み合わせ等を基準形状とすることができる。また、例えば、不良品画像112から抽出した不良箇所の形状を基準形状としてもよい。
【0074】
次に、合成画像生成部101は、選択した基準形状E1を変形させる。変形の方法は特に限定されない。例えば、基準形状E1の頂点の位置を所定の規則に従ってあるいはランダムにずらしてもよい。また、例えば、基準形状E1に回転変換を施してもよく、この場合の回転角は所定の規則に従って設定してもよいし、ランダムに設定してもよい。また、基準形状E1をアフィン変換等の任意の変形手法により変形させてもよい。
【0075】
最後に、合成画像生成部101は、変形後の基準形状E1内の各画素の値を、不良箇所の色に対応する値に変換する。不良箇所の色は、不良品画像112から抽出した色、またはそれを元に生成した色とすればよい。これにより、良品画像Gの一部分に、不良箇所と類似した外観の不良部分画像hが合成された合成画像Hが生成される。
【0076】
そして、強調画像生成部102は、合成画像Hにおける不良部分画像hが合成された部分を強調して不良部分画像h’とした強調画像H’を生成する。例えば、強調画像生成部102は、不良部分画像hの部分に含まれる各画素を所定の強調色に変更することにより強調画像H’を生成してもよい。上述のように、強調画像H’は、合成画像Hから生成することもできるし、良品画像Gから生成することもできる。
【0077】
(不良部分画像とマスク画像を使用する例)
続いて、不良部分画像F1とマスク画像F2を用いる例について説明する。不良部分画像F1は、不良品画像112の不良部分を切り出したものである。また、マスク画像F2は、不良部分画像F1を良品画像Gに合成する際に、不良品部分画像F1における不良部分の背景領域をマスクするためのものである。マスク画像F2においては、不良部分画像F1における不良部分に対応する領域の画素値が白、他の領域の画素値が黒となっている。
【0078】
不良部分画像F1とマスク画像F2を用いる場合にも、まず、合成画像生成部101は、良品画像Gにおける不良部分画像F1とマスク画像F2の合成位置を決定する。そして、合成画像生成部101は、不良品部分画像F1とマスク画像F2に変換処理を施した上で、良品画像Gの上記合成位置に合成する。変換処理としては、回転変換、形状変換、色変換等様々なものが適用できる。これにより、不良部分画像jを含む合成画像Jが生成される。また、強調画像生成部102は、合成画像Jにおける不良部分画像jを強調して不良部分画像j’とした強調画像J’を生成する。強調画像J’は、合成画像Jから生成することもできるし、良品画像Gから生成することもできる。
【0079】
(強調する範囲について)
図5の例のように、強調画像生成部102は、合成画像における不良箇所のみを強調して強調画像を生成すればよい。これは、不良品画像112から強調画像を生成する場合も同様であり、強調画像生成部102は、不良品画像112における不良箇所のみを強調して強調画像を生成すればよい。
【0080】
言い換えれば、強調画像生成部102は、合成画像の元になる画像を構成する画素のうち、不良箇所を構成する画素の画素値のみを元の画像から変更することにより強調画像を生成すればよい。変更の態様は、変更により当該不良部分の検出精度が向上するようなものであればよく、上述のように強調色への変更であってもよいし、画素値の変更等であってもよい。
【0081】
また、強調画像生成部102は、合成画像または不良品画像112における不良箇所の一部分を強調して強調画像を生成してもよい。例えば、強調画像生成部102は、合成画像または不良品画像112における不良箇所の外縁部を構成する画素の色を強調色に変更する、あるいは当該画素の画素値を変更する等して強調画像としてもよい。
【0082】
〔生成モデルの生成方法〕
図6は、学習装置1が実行する生成モデル113の生成方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、記憶部11に良品画像111が記憶されており、この良品画像111から合成画像と強調画像を生成して、生成した合成画像および強調画像を学習用データとする例を説明する。
【0083】
S11では、合成画像生成部101が、記憶部11から良品画像111を読み出す。そして、S12では、合成画像生成部101は、S11で読み出した良品画像111の一部分に、不良箇所と類似した外観の部分画像を合成して合成画像を生成する。合成画像の生成方法については図5に基づいて説明したとおりであるからここでは説明を繰り返さない。
【0084】
S13では、強調画像生成部102が強調画像を生成する。具体的には、強調画像生成部102は、S11で読み出された良品画像111の画像領域のうち、S12で部分画像が合成された領域を強調して強調画像を生成する。領域の強調は、例えば当該領域の色を予め定めた強調色に変更することにより行われる。
【0085】
なお、S11からS13の処理は、学習に必要な数の合成画像および強調画像が得られるまで繰り返し行われる。そして、S14以下の処理は、学習に必要な数の合成画像および強調画像が得られた後に行われる。
【0086】
S14では、学習用データ取得部103が、学習用データを取得する。具体的には、学習用データ取得部103は、S12で生成された合成画像、すなわち不良箇所を有する対象物の画像を機械学習用の入力画像として取得する。また、学習用データ取得部103は、S13で生成された強調画像を教師データとして取得する。つまり、学習用データ取得部103は、S12で生成された合成画像とS13で生成された強調画像の組を学習用データとして取得する。
【0087】
なお、学習用データ取得部103が取得する学習用データは、合成画像と強調画像の組に限られない。記憶部11に不良品画像112を記憶させておいた場合、S13では、強調画像生成部102が、不良品画像112から強調画像を生成する。そして、S14では、学習用データ取得部103が、不良品画像112と、その不良品画像112から生成された強調画像の組を学習用データとして取得する。無論、学習用データ取得部103は、合成画像と強調画像の組と、不良品画像112と強調画像の組の両方を学習用データとして取得してもよい。
【0088】
S15では、学習部104が、S14で取得された学習用データを用いて、合成画像が入力されたときに強調画像を生成するように学習することにより、生成モデルを構築する。構築された生成モデルは、生成モデル113として記憶部11に記憶される。
【0089】
また、学習用データ取得部103は、S14において、良品画像111についても学習用データとして取得してもよい。この場合、S15において、学習部104は、上述の学習に加えて、良品画像111が入力されたときには、入力された良品画像111と同様の特徴を有する生成画像を生成するように学習を行う。
【0090】
以上のように、本実施形態に係る生成モデルの生成方法は、学習装置1が実行する生成モデルの生成方法であって、不良箇所を有する対象物の画像を機械学習用の入力画像として取得するステップ(S14)と、上記入力画像が入力されたときに、上記不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより、生成モデル113を構築するステップ(S15)と、を含む。この生成方法により生成された生成モデル113を用いることにより、外観が正常部分と類似した不良箇所の検出が可能になる。
【0091】
〔検査方法〕
図7は、検査装置2が実行する検査方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、不良箇所の有無が不明の対象物が撮影され、撮影された画像が記憶部21に検査画像211が記憶された後の処理を説明する。
【0092】
S21では、画像生成部201が、記憶部21から検査画像211を読み出す。続くS22では、画像生成部201は、生成モデル113を用いて、検査画像211から生成画像を生成する。具体的には、画像生成部201は、生成モデル113に検査画像211を入力して生成画像を生成する。
【0093】
S23では、良否判定部202が、S21で読み出された検査画像211と、S22で生成された生成画像の差分画像を生成する。具体的には、良否判定部202は、検査画像211の各画素における画素値と、生成画像において対応する各画素における画素値との差を算出する。
【0094】
S24では、良否判定部202は、S23で生成した差分画像を用いて不良箇所の有無を判定する。良否判定部202は、この判定結果を判定結果データ213として記憶部21に記憶し、これにより図7の処理は終了する。
【0095】
以上のように、本実施形態に係る検査方法は、検査装置2が実行する検査方法であって、不良箇所を有する対象物の画像を入力画像として、当該不良箇所を強調した生成画像を生成するように学習することにより構築された生成モデル113を用いて、不良箇所の有無が不明の対象物を撮影した検査画像211から生成画像を生成するステップ(S22)と、S22で生成された生成画像を用いて、検査画像211に写る対象物の不良箇所の有無を判定するステップ(S24)と、を含む。この構成によれば、外観が正常部分と類似した不良箇所を検出することが可能になるという効果を奏する。
【0096】
〔変形例〕
上述の各実施形態で説明した各処理の実行主体は任意であり、上述の例に限られない。つまり、上述の各実施形態で説明した各処理を実行可能であれば、装置構成は任意である。例えば、学習装置1が実行する処理のうち、学習用データを生成する処理と、生成された学習用データを用いて学習を行う処理とをそれぞれ別の情報処理装置に分担して実行させてもよい。検査装置2についても同様であり、検査装置2が実行する処理を複数の情報処理装置に分担して実行させてもよい。
【0097】
〔ソフトウェアによる実現例〕
学習装置1および検査装置2(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム(学習プログラム/検査プログラム)であって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10または制御部20に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0098】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0099】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0100】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0101】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1 学習装置
101 合成画像生成部
102 強調画像生成部
103 学習用データ取得部
104 学習部
113 生成モデル
2 検査装置
201 画像生成部
202 良否判定部
211 検査画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7