(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032582
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】エンジンおよび発電システム
(51)【国際特許分類】
F01L 3/06 20060101AFI20230302BHJP
F01L 3/20 20060101ALI20230302BHJP
F02D 13/02 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
F01L3/06 G
F01L3/20 Z
F02D13/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138808
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 崇
【テーマコード(参考)】
3G092
【Fターム(参考)】
3G092DA01
3G092DA03
3G092FA01
(57)【要約】
【課題】吸気の流量を増大させる。
【解決手段】エンジン100は、燃焼室103と、燃焼室103と連通する吸気ポート104と、吸気ポート104のうち燃焼室103に臨む開口104aと、開口104aの縁部(バルブシート106)と燃焼室103側から対向する第1部材108aと、第1部材108aに対して回転可能に設けられる第2部材108bとを有する吸気バルブ108と、第2部材108bの外周部に設けられるフィン108fと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室と、
前記燃焼室と連通する吸気ポートと、
前記吸気ポートのうち前記燃焼室に臨む開口と、
前記開口の縁部と前記燃焼室側から対向する第1部材と、前記第1部材に対して回転可能に設けられる第2部材とを有する吸気バルブと、
前記第2部材の外周部に設けられるフィンと、
を備える、
エンジン。
【請求項2】
前記第2部材と接続されるモータを備える、
請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
少なくとも吸気行程において、前記モータを回転させる制御装置を備える、
請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記制御装置は、前記吸気行程に加え、前記吸気行程以外の行程においても、前記モータを回転させる、
請求項3に記載のエンジン。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のエンジンと、
前記エンジンと接続される発電機と、
を備える、
発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジンおよび発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼室と連通する吸気ポートを開閉する吸気弁を備えるエンジンがある(例えば、特許文献1を参照)。このようなエンジンでは、吸気行程において、吸気弁が開弁し、吸気ポートから燃焼室に吸気が吸入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のエンジンの吸気行程において、吸気の流量を増大させることが望まれている。吸気の流量を増大させることによって、エンジンの運転仕様の設定の自由度が向上する。
【0005】
本開示の目的は、吸気の流量を増大させることが可能なエンジンおよび発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のエンジンは、燃焼室と、燃焼室と連通する吸気ポートと、吸気ポートのうち燃焼室に臨む開口と、開口の縁部と燃焼室側から対向する第1部材と、第1部材に対して回転可能に設けられる第2部材とを有する吸気バルブと、第2部材の外周部に設けられるフィンと、を備える。
【0007】
第2部材と接続されるモータを備えてもよい。
【0008】
少なくとも吸気行程において、モータを回転させる制御装置を備えてもよい。
【0009】
制御装置は、吸気行程に加え、吸気行程以外の行程においても、モータを回転させてもよい。
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の発電システムは、上記のエンジンと、エンジンと接続される発電機と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、吸気の流量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る発電システムの構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係るエンジンの構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係る吸気バルブを上側から見た模式図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係るエンジンの吸気行程における様子を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係るエンジンの排気行程における様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、発電システム1の構成を示す模式図である。
図1に示すように、発電システム1は、エンジン100と、発電機200とを備える。エンジン100は、軽油またはガソリン等の燃料を燃焼させて動力を生成する。発電機200は、エンジン100の出力軸と接続される。発電機200は、エンジン100から伝達される動力を用いて発電する。
【0015】
図2は、エンジン100の構成を示す模式図である。
図2に示すように、エンジン100は、シリンダブロック101と、シリンダヘッド102とを備える。シリンダブロック101には、不図示のピストンが摺動可能に収容される。シリンダヘッド102は、シリンダブロック101の開口を覆う。燃焼室103は、シリンダブロック101、シリンダヘッド102およびピストンにより区画される。以下では、燃焼室103に対するシリンダヘッド102側を上側とし、シリンダヘッド102に対する燃焼室103側を下側として説明する。
【0016】
シリンダヘッド102には、吸気ポート104および排気ポート105が形成される。吸気ポート104および排気ポート105は、燃焼室103と連通する。吸気ポート104および排気ポート105は、シリンダヘッド102の下面に開口する。吸気ポート104のうち燃焼室103に臨む開口104aの縁部には、バルブシート106が設けられている。バルブシート106は、環形状を有する。バルブシート106が、吸気ポート104の開口104aの縁部に相当する。排気ポート105のうち燃焼室103に臨む開口105aの縁部には、バルブシート107が設けられている。バルブシート107は、環形状を有する。バルブシート107が、排気ポート105の開口105aの縁部に相当する。
【0017】
シリンダヘッド102には、吸気バルブ108および排気バルブ109が設けられる。吸気バルブ108は、上下に移動することによって、吸気ポート104の開口104aを開閉する。排気バルブ109は、上下に移動することによって、排気ポート105の開口105aを開閉する。
図2では、吸気バルブ108および排気バルブ109が閉弁している状態が示されている。吸気ポート104には、燃料噴射ノズル110が設けられる。燃料噴射ノズル110は、吸気ポート104内に燃料を噴射する。
【0018】
エンジン100は、例えば、4サイクルエンジンである。吸気行程において、吸気バルブ108が開弁し、排気バルブ109が閉弁した状態になる。ピストンが下死点に向かい、吸気ポート104から燃焼室103に吸気および燃料が吸入される。圧縮行程において、吸気バルブ108および排気バルブ109が閉弁した状態になる。ピストンが上死点に向かい、燃焼室103内の混合気が圧縮される。燃焼行程において、混合気が燃焼し、ピストンが下死点側に押圧される。排気行程において、吸気バルブ108が閉弁し、排気バルブ109が開弁した状態になる。ピストンが上死点に向かい、燃焼後の排気ガスが排気ポート105を通って燃焼室103から排出される。
【0019】
吸気バルブ108は、吸気ポート104の開口104aに挿通される。吸気バルブ108は、開口104aに直交する方向に延在する。つまり、吸気バルブ108は、上下方向に延在する。吸気バルブ108の外径は、上側において一定であり、下側において燃焼室103に近づくにつれて大きくなっている。吸気バルブ108は、第1部材108aと、第2部材108bとを有する。第1部材108aは、吸気バルブ108の下端に配置される。第1部材108aは、吸気バルブ108のうち、外径が燃焼室103に近づくにつれて大きくなっている部分の下部に相当する。第2部材108bは、第1部材108aの上部と接続される。第2部材108bは、吸気バルブ108のうち、外径が一定の部分、および、燃焼室103に近づくにつれて大きくなっている部分の上部に相当する。
【0020】
第1部材108aは、バルブシート106と燃焼室103側から対向する。つまり、第1部材108aは、吸気ポート104の開口104aの縁部と燃焼室103側から対向する。吸気バルブ108が閉弁した状態において、第1部材108aがバルブシート106と当接する。それにより、吸気ポート104の開口104aが閉じられる。吸気バルブ108が開弁した状態において、第1部材108aがバルブシート106と離隔する。それにより、吸気ポート104の開口104aが開かれる。
【0021】
第2部材108bは、第1部材108aに対して回転可能に設けられる。
図2の例では、第1部材108aの上面の中央に、上方に突出する突起部108cが設けられている。第2部材108bの下面の中央に、上方に窪む穴部108dが設けられている。第2部材108bの穴部108dの内周面にはベアリング108eの外輪が嵌合されている。第1部材108aの突起部108cは、ベアリング108eの内輪に嵌合されている。このように、第2部材108bは、ベアリング108eを介して第1部材108aと接続されている。それにより、第1部材108aおよび第2部材108bは、吸気バルブ108の中心軸まわりに相対的に回転可能である。なお、第1部材108aは、下方に抜け落ちないように、第2部材108bに取り付けられている。
【0022】
第2部材108bの外周部には、フィン108fが設けられている。第2部材108bは、後述するモータ112により吸気バルブ108の中心軸まわりに回転駆動される。第2部材108bが回転駆動されることによって、フィン108fも回転する。
図3は、吸気バルブ108を上側から見た模式図である。
図3に示すように、フィン108fは、吸気バルブ108の回転方向RDに間隔を空けて複数設けられる。
図3の例では、フィン108fの数は6個である。ただし、フィン108fの数は6個以外であってもよい。フィン108fは、回転方向RDに対して交差するように延在している。
図2に示すように、フィン108fは、吸気バルブ108の中心軸に直交する方向から見た場合、上下方向に延在している。
図3に示すように、フィン108fは、上側から見た場合、吸気バルブ108の中心側から径方向外側に向かって延在する。
図3の例では、上側から見た場合、フィン108fの中央部が回転方向RDに湾曲している。ただし、フィン108fの形状は、
図2の例および
図3の例に限定されない。
【0023】
図2に示すように、第2部材108bの上部は、シリンダヘッド102に設けられたブッシュ111に挿通される。ブッシュ111は、シリンダヘッド102の上面から吸気ポート104の内面まで貫通する貫通孔に嵌合されている。第2部材108bの上部には、モータ112が接続されている。モータ112は、吸気バルブ108と同軸上に配置される。モータ112の動作は、制御装置113により制御される。制御装置113は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む。制御装置113は、モータ112を回転させ、または、停止させることができる。モータ112が回転すると、モータ112から第2部材108bに回転動力が伝達され、第2部材108bが回転する。それにより、フィン108fが第2部材108bとともに回転する。
【0024】
モータ112の上部は、蓋部材114により覆われる。蓋部材114は、略円柱形状を有する。蓋部材114は、吸気バルブ108と同軸上に配置される。蓋部材114の下面には、穴部114aが形成されている。蓋部材114の穴部114aに、モータ112の上部が嵌合される。蓋部材114の上端部には、径方向外側に張り出す張出部114bが形成されている。蓋部材114の張出部114bとシリンダヘッド102の上面との間には、バネ115が設けられている。バネ115は、蓋部材114を上方に付勢する。吸気バルブ108、モータ112および蓋部材114は、一体的に上下に移動可能である。蓋部材114の上部が不図示のカムにより押下されることによって、吸気バルブ108が下方に移動する。
【0025】
排気バルブ109は、排気ポート105の開口105aに挿通される。排気バルブ109は、開口105aに直交する方向に延在する。つまり、排気バルブ109は、上下方向に延在する。排気バルブ109の外径は、上側において一定であり、下側において燃焼室103に近づくにつれて大きくなっている。排気バルブ109の下部は、バルブシート107と燃焼室103側から対向する。排気バルブ109が閉弁した状態において、排気バルブ109の下部がバルブシート107と当接する。それにより、排気ポート105の開口105aが閉じられる。排気バルブ109が開弁した状態において、排気バルブ109の下部がバルブシート107と離隔する。それにより、排気ポート105の開口105aが開かれる。
【0026】
排気バルブ109の上部は、シリンダヘッド102に設けられたブッシュ116に挿通される。ブッシュ116は、シリンダヘッド102の上面から排気ポート105の内面まで貫通する貫通孔に嵌合されている。排気バルブ109の上部は、蓋部材117により覆われる。蓋部材117は、略円柱形状を有する。蓋部材117は、排気バルブ109と同軸上に配置される。蓋部材117の下面には、穴部117aが形成されている。蓋部材117の穴部117aに、排気バルブ109の上部が嵌合される。蓋部材117の上端部には、径方向外側に張り出す張出部117bが形成されている。蓋部材117の張出部117bとシリンダヘッド102の上面との間には、バネ118が設けられている。バネ118は、蓋部材117を上方に付勢する。排気バルブ109および蓋部材117は、一体的に上下に移動可能である。蓋部材117の上部が不図示のカムにより押下されることによって、排気バルブ109が下方に移動する。
【0027】
上記のように、本実施形態では、吸気バルブ108の第2部材108bの外周部に、フィン108fが設けられている。よって、第2部材108bを回転させることによって、フィン108fを回転させることができる。ここで、制御装置113は、例えば、エンジン100の運転中に、モータ112を回転させ続ける。この場合、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程および排気行程の全ての工程において、モータ112が回転し、フィン108fが第2部材108bとともに回転する。ただし、制御装置113は、エンジン100の運転中に、モータ112を回転させ続けなくてもよい。例えば、制御装置113は、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程および排気行程からなる1サイクル中の一部の期間のみにおいて、モータ112を回転させてもよい。
【0028】
図4は、エンジン100の吸気行程における様子を示す図である。
図4に示すように、吸気行程において、吸気バルブ108が開弁し、排気バルブ109が閉弁した状態になる。
図4では、吸気行程において、モータ112が回転し、フィン108fが第2部材108bとともに回転している様子が示されている。吸気行程では、吸気ポート104から燃焼室103に吸入される吸気は、矢印A1により示すように、吸気バルブ108とバルブシート106との隙間を通って、吸気バルブ108の径方向外側に向けて流れる。
【0029】
ここで、吸気行程においてフィン108fが回転すると、吸気ポート104から燃焼室103に吸入される吸気に対して、吸気バルブ108の径方向外側の方向の運動量を付加することができる。それにより、吸気の流量が増大する。また、吸気に対して、吸気バルブ108の径方向外側の方向の運動量が付加されるので、吸気バルブ108とバルブシート106との隙間を通る際の吸気の剥離が抑制される。吸気の剥離が抑制されることによっても、吸気の流量の増大が促進される。ゆえに、エンジン100の運転仕様の設定の自由度が向上する。さらに、エンジン100の各部品の寸法の変更、または、吸気バルブ108のリフト量の変更等を行うことなく吸気の流量を増大させることができる。さらに、吸気ポート104内に燃料が噴射されるので、吸気の流量の増大が促進されることによって、吸気と燃料との混合が促進される。
【0030】
本実施形態では、吸気バルブ108において、第2部材108bは、吸気ポート104の開口104aの縁部と燃焼室103側から対向する第1部材108aに対して回転可能に設けられる。ゆえに、吸気バルブ108の閉弁時において、第2部材108bが回転している場合に、バルブシート106と当接する第1部材108aが回転してしまうことが抑制される。よって、バルブシート106と第1部材108aとが擦れ合うことが抑制される。したがって、バルブシート106および吸気バルブ108の摩耗および破損が抑制される。
【0031】
ところで、吸気行程の開始直後および終了直前では、吸気バルブ108とバルブシート106との隙間が小さいので、吸気の流量が特に少なくなりやすい。ここで、本実施形態では、吸気バルブ108の閉弁時に、バルブシート106および吸気バルブ108の摩耗および破損を抑制しつつ、フィン108fを回転させることができる。ゆえに、例えば、吸気行程の開始前からフィン108fを予め回転させておくことによって、吸気行程の開始直後において吸気の流量の不足を抑制できる。また、例えば、吸気行程の終了後までフィン108fを回転させ続けることによって、吸気行程の終了直前において吸気の流量の不足を抑制できる。よって、吸気の流量を効果的に増大させることができる。さらに、吸気ポート104内に燃料が噴射されるので、吸気の流量が効果的に増大することによって、吸気と燃料との混合が効果的に促進される。
【0032】
エンジン100は、発電システム1の発電機200の動力源として用いられるので、発電以外の他の用途に用いられる場合と比べて大型である。ゆえに、吸気の流量が増大すると、エンジン100の燃焼効率が大きく向上される。よって、発電システム1では、本開示は特に有効である。
【0033】
制御装置113は、上記の例のように、少なくとも吸気行程において、モータ112を回転させることが好ましい。それにより、吸気行程において、フィン108fを回転させることが適切に実現される。ゆえに、吸気の流量を増大させることが適切に実現される。
【0034】
ただし、エンジン100は、モータ112を備えていなくてもよい。例えば、エンジン100は、第2部材108bを回転させる回転機構としてモータ112以外の回転機構を備えてもよい。その場合、モータ112以外の回転機構が、少なくとも吸気行程において、第2部材108bを回転させてフィン108fを回転させてもよい。例えば、ブッシュ111の内周面に雌ねじが形成され、第2部材108bの外周面に雄ねじが形成され、当該雄ねじが当該雌ねじに螺合されている場合、当該雄ねじおよび当該雌ねじが回転機構に相当する。この場合、吸気バルブ108が上下に移動する際に第2部材108bが回転し、フィン108fが回転する。ゆえに、吸気行程において、フィン108fを回転させることができる。ただし、第2部材108bを回転させる回転機構としてモータ112を用いることによって、フィン108fを回転させるタイミングを制御しやすくなる。また、ブッシュ111および吸気バルブ108等の部品の複雑化を抑制できる。
【0035】
図5は、エンジン100の排気行程における様子を示す図である。
図5に示すように、排気行程において、吸気バルブ108が閉弁し、排気バルブ109が開弁した状態になる。
図5では、排気行程において、モータ112が回転し、フィン108fが第2部材108bとともに回転している様子が示されている。ここで、排気行程等の吸気行程以外の行程では、吸気バルブ108が閉弁した状態となる。吸気バルブ108が閉弁した状態において、燃料噴射ノズル110から噴射された燃料の一部が吸気ポート104内に残留している場合がある。このような場合に、フィン108fが回転すると、矢印A2により示すように、吸気ポート104内で上流側に向かう流れを形成することができる。それにより、吸気ポート104内の燃料を含む空気を上流側に押し出すことができる。ゆえに、吸気ポート104内において、吸気バルブ108の近傍で燃料の濃度が局所的に高くなることが抑制される。
【0036】
ここで、エンジン100の運転中には、吸気バルブ108および排気バルブ109の双方が開弁している状況が生じ得る。例えば、排気行程から吸気行程に切り替わる時点において、吸気バルブ108および排気バルブ109の双方を開弁した状態にする場合がある。吸気バルブ108および排気バルブ109の双方が開弁している状況において、吸気ポート104内に残留している燃料が排気ポート105を通って排出される吹き抜けが生じることがある。ゆえに、吸気行程以外の行程において、フィン108fを回転させて吸気ポート104内の燃料を含む空気を上流側に押し出し、吸気バルブ108の近傍で燃料の濃度が局所的に高くなることを抑制しておくことによって、燃料が排気ポート105を通って排出されることが抑制される。
【0037】
本実施形態では、吸気バルブ108の閉弁時に、バルブシート106および吸気バルブ108の摩耗および破損を抑制しつつ、フィン108fを回転させることができる。ゆえに、吸気バルブ108が閉弁した状態となる排気行程等の吸気行程以外の行程において、バルブシート106および吸気バルブ108の摩耗および破損を抑制しつつ、フィン108fを回転させることができる。よって、バルブシート106および吸気バルブ108の摩耗および破損を抑制しつつ、吸気ポート104内の燃料を含む空気を上流側に押し出しておくことができる。
【0038】
制御装置113は、上記の例のように、吸気行程に加え、吸気行程以外の行程においても、モータ112を回転させることが好ましい。それにより、燃料が排気ポート105を通って排出されることを抑制することが適切に実現される。
【0039】
ただし、上述したように、エンジン100は、第2部材108bを回転させる回転機構としてモータ112以外の回転機構を備えてもよい。その場合、モータ112以外の回転機構が、吸気行程以外の行程において、第2部材108bを回転させてフィン108fを回転させてもよい。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0041】
上記では、エンジン100が発電機200の動力源として用いられる例を説明した。ただし、エンジン100から出力される動力は、発電以外の他の用途に用いられてもよい。
【0042】
上記では、第1部材108aが、吸気バルブ108のうち、外径が燃焼室103に近づくにつれて大きくなっている部分の下部に相当し、第2部材108bが、吸気バルブ108のうち、外径が一定の部分、および、燃焼室103に近づくにつれて大きくなっている部分の上部に相当する例を説明した。ただし、吸気バルブ108のうち第1部材108aが占める部分と、吸気バルブ108のうち第2部材108bが占める部分との境界は、上記の例に限定されない。例えば、吸気バルブ108のうち外径が一定の部分の一部が第1部材108aに含まれていてもよい。
【0043】
上記では、燃料噴射ノズル110が吸気ポート104に設けられる例を説明した。ただし、燃料噴射ノズル110は燃焼室103に臨むように設けられてもよい。この場合、燃料噴射ノズル110から燃焼室103内に直接的に燃料が噴射される。
【符号の説明】
【0044】
1 発電システム
100 エンジン
103 燃焼室
104 吸気ポート
104a 開口
106 バルブシート(縁部)
108 吸気バルブ
108a 第1部材
108b 第2部材
108f フィン
112 モータ
113 制御装置
200 発電機