(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032599
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】金具ホルダ
(51)【国際特許分類】
B65D 85/00 20060101AFI20230302BHJP
F16B 45/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B65D85/00 P
F16B45/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138833
(22)【出願日】2021-08-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000221568
【氏名又は名称】東都興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】海老原 瑞己
(72)【発明者】
【氏名】小林 達也
【テーマコード(参考)】
3E068
3J038
【Fターム(参考)】
3E068AA40
3E068AB03
3E068AC09
3E068CC30
3E068CE03
3E068DD07
3E068DE01
3E068EE13
3E068EE32
3J038AA01
3J038BA11
3J038BA13
3J038BB04
(57)【要約】
【課題】
本発明では、作業現場における線条金具の持ち運びに便利で線条金具を簡単に一つずつ取り外しできる金具ホルダの提供を目的とする。
【解決手段】
前記課題を解決するための手段は、環状又はC字状の引掛け部分11を有する複数の線条金具10を保持可能な金具ホルダ1において、直線状であって引掛け部分11の内周に挿入可能であって引掛け部分11内から側方への抜けを阻止する幅を持つ平板状の直線部2と、直線部2の上端に設けられたフック3と孔4の少なくとも一方と、直線部2の下端から湾曲しながら延びて線条金具10の直線部2からの下方側への抜けを防止する平板状の曲線部5とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状又はC字状の部分を有する複数の線条金具を保持可能な金具ホルダにおいて、
直線状であって前記部分の内周に挿入可能であって前記部分内から側方への抜けを阻止する幅を持つ平板状の直線部と、
前記直線部の上端に設けられたフックと孔の少なくとも一方と、
前記直線部の下端から湾曲しながら延びて前記線条金具の前記直線部からの下方側への抜けを防止する平板状の曲線部とを備えた
ことを特徴とする金具ホルダ。
【請求項2】
前記直線部又は前記曲線部に厚み方向に折り畳み可能に設けられて、前記直線部または前記曲線部から厚み方向へ突出して前記部分を下方から支持して前記部分の抜けを防止する突出姿勢と前記部分の抜けを許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第1ストッパを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の金具ホルダ。
【請求項3】
前記第1ストッパは、弾性を有し、力が作用していないときは前記突出姿勢をとる
ことを特徴とする請求項2に記載の金具ホルダ。
【請求項4】
前記曲線部と前記直線部との境であって前記曲線部の曲率中心側に前記部分の線条の侵入を許容して前記部分の前記曲線部からの脱落を防止する凹部を備えた
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の金具ホルダ。
【請求項5】
前記フックは、前記直線部の上部に設けられて下衣のベルト通しを挿通可能なベルト通し孔と、前記直線部の前記ベルト通し孔の左右いずれか一方を切断して形成されるスリットとを有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の金具ホルダ。
【請求項6】
前記スリットは前記ベルト通し孔を斜め上方向に切断して形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の金具ホルダ。
【請求項7】
前記直線部に厚み方向に折り畳み可能に設けられて、前記直線部から厚み方向へ突出して前記部分の抜けを防止する突出姿勢と前記部分の通過を許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第2ストッパを備える
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の金具ホルダ。
【請求項8】
前記第2ストッパは、前記直線部にU字状に切れ目を設けることで形成されており、
前記第2ストッパを突出姿勢にすると前記ベルト通し孔が形成される
ことを特徴とする請求項5又は6に従属する請求項7に記載の金具ホルダ。
【請求項9】
合成樹脂製である
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の金具ホルダ。
【請求項10】
前記部分の内周を前記直線部に挿入した状態で出荷用のケースに梱包される
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の金具ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金具ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
金具ホルダとしては、線材を折り曲げて形成されたC字部分を有する複数の線条金具を保持するものがある。
【0003】
従来の金具ホルダは、具体的には、矩形平板状の支持板と、軸方向で支持板の両端近傍にそれぞれ起伏自在に設けられたストッパ片とを備えている。そして、線条金具のC字部分は、支持板の外周であってストッパ片間に装着されることで、金具ホルダに保持される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来の金具ホルダに保持される線条金具は、ビニールハウスにおけるビニールシートのバタつきを抑えるためのバンドをビニールハウスへ取付けるために多数使用される。
【0006】
ビニールハウスの組立てを行う作業者は多数の線条金具を持ち運びしつつ線条金具の設置個所へ線条金具を取付けていく作業を行う。そのため、作業者からは持ち運びに便利で線条金具を1つずつ簡単に取り外すことが要望される。
【0007】
ところが、従来の金具ホルダは、出荷時のケース内に複数の線条金具を保持した金具ホルダごと収納することで、ケース内で線条金具同士が絡み合うのを防止するものであって、作業者は、ビニールハウスの組立現場における線条金具の持ち運びと線条金具の簡単な取り外しを実現できない。
【0008】
このようなことは、ビニールハウス用の線条金具だけに限ったものではなく、ビニールハウス等の簡易構造物に使用されてC字状又は環状の部分を含む線条金具を保持する金具ホルダに共通した問題である。
【0009】
そこで、本発明は、作業現場における線条金具の持ち運びに便利で線条金具を簡単に一つずつ取り外しできる金具ホルダの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成させるため、本発明の金具ホルダは、環状又はC字状の部分を有する複数の線条金具を保持可能な金具ホルダにおいて、直線状であって前記部分の内周に挿入可能であって前記部分内から側方への抜けを阻止する幅を持つ平板状の直線部と、前記直線部の上端に設けられたフックと孔の少なくとも一方と、前記直線部の下端から湾曲しながら延びて前記線条金具の前記直線部からの下方側への抜けを防止する平板状の曲線部とを備えることを特徴とする。この構成によると、金具ホルダがフック又は孔を利用して作業者の着衣やベルトに取付けられた状態において、線条金具が曲線部によって抜け止めされて支持されるとともに、線条金具を曲線部に沿わせながら下方向にスライドさせて曲線部から取り外すことができる。
【0011】
また、本発明の金具ホルダは、前記直線部又は前記曲線部に厚み方向に折り畳み可能に設けられて、前記直線部または前記曲線部から厚み方向へ突出して前記部分を下方から支持して前記部分の抜けを防止する突出姿勢と前記部分の抜けを許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第1ストッパを備えてもよい。この構成によると、線条金具の金具ホルダからの取り外しを妨げることなく、線条金具の金具ホルダからの意図しない脱落を防止できる。
【0012】
また、本発明の金具ホルダでは、前記第1ストッパは、弾性を有し、力が作用していないときは前記突出姿勢をとるようにしてもよい。この構成によると、直線部の外周に装着された複数の線条金具の内、最下方に配置される線条金具が第1ストッパを押し倒して乗り越えると、第1ストッパは、自身の弾性により自動的に突出姿勢に戻り、残りの線条金具を下方から支持して抜けを防止するため、金具ホルダ1から線条金具を一つずつ取り外しやすくなる。
【0013】
また、本発明の金具ホルダは、前記曲線部と前記直線部との境であって前記曲線部の曲率中心側に前記部分の線条の侵入を許容して前記部分の前記曲線部からの脱落を防止する凹部を備えてもよい。この構成によると、直線部の外周に装着された線条金具の線条が凹部に侵入して嵌り込んで保持されるため、線条金具の曲線部からの意図しない脱落を防止できる。
【0014】
また、本発明の金具ホルダでは、前記フックは、前記直線部の上部に設けられて下衣のベルト通しを挿通可能なベルト通し孔と、前記直線部の前記ベルト通し孔の左右いずれか一方を切断して形成されるスリットとを有してもよい。この構成によると、フックを下衣のベルト通し孔に引掛けた場合に、揺動可能な連結箇所が一箇所になるため、孔に装着したカラビナを工具ホルダ等に取付けて揺動可能な連結個所が二箇所となる場合に比べて、作業者の着衣に取付けられた状態における金具ホルダの揺動を抑制できる。
【0015】
また、本発明の金具ホルダでは、前記スリットは前記ベルト通し孔を斜め上方向に切断して形成されていてもよい。この構成によると、作業中にスリットを通じて金具ホルダが下衣のベルト通しから脱落したり、スリットを通じて線条金具が脱落するのを防止できる。
【0016】
また、本発明の金具ホルダは、前記直線部に厚み方向に折り畳み可能に設けられて、前記直線部から厚み方向へ突出して前記部分の抜けを防止する突出姿勢と前記部分の通過を許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第2ストッパを備えてもよい。この構成によると、直線部に設けられた第2ストッパが、突出姿勢と格納姿勢とに姿勢を変更可能であるため、金具ホルダが作業者の着衣やベルトに取付けられていない状態において、直線部の上端側から線条金具を直線部の外周に装着するのを邪魔することなく、直線部の上端側から線条金具が抜けてしまうのを防止できる。
【0017】
また、本発明の金具ホルダでは、前記第2ストッパは、前記直線部にU字状に切れ目を設けることで形成されており、前記第2ストッパを突出姿勢にすると前記ベルト通し孔が形成されてもよい。この構成によると、フックのベルト通し孔が、第2ストッパを形成する際に直線部にできる孔を利用して形成されているため、直線部にフックと第2ストッパの両方を設けても、製造時の工数の増加を抑制できるので、製造コストを削減できる。
【0018】
また、本発明の金具ホルダは、合成樹脂製であってもよい。この構成によると、金具ホルダを金属製とする場合に比べて、安価で軽量とでき、金具ホルダを厚紙製とする場合に比べて、耐久性を向上でき、ゴム製とする場合に比べて撓みにくく線条金具の取り外しを阻害しない。
【0019】
また、本発明の金具ホルダは、前記部分の内周を前記直線部に挿入した状態で出荷用のケースに梱包されてもよい。この構成によると、線条金具を保持する金具ホルダがケースに梱包された状態になっているため、作業者自身が、わざわざ線条金具を金具ホルダの直線部の外周に装着する必要がなく、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の金具ホルダによれば、作業現場において複数の線条金具を持ち運びながら、線条金具を簡単に一つずつ取り外すことができるので、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】複数の線条金具が装着された状態の本実施の形態の金具ホルダの正面図である。
【
図3】(A)は線条金具が設置された状態のビニールハウスの一部拡大斜視図である。(B)は(A)の一部拡大斜視図である。
【
図5】本実施の形態の金具ホルダの一部拡大正面図であって、線条金具を取り外すに第1ストッパが格納状態にある状態を示す図である。
【
図6】本実施の形態の金具ホルダのフックが、下衣のベルト通し孔に引掛けられた状態を示す斜視図である。
【
図7】(A)は、スリットを通じて線条金具を直線部の側方から装着する作業を説明する図であって、線条金具を直線部の厚み方向に向けた状態で、線条金具をベルト通し孔内に挿入した状態を示す図である。(B)は、スリットを通じて線条金具を直線部の側方から装着する作業を説明する図であって、(A)の状態の線条金具を横方向に回転させて、線条金具を直線部の外周に装着した状態を示す図である。
【
図8】金具ホルダのフックを構成するスリットの変形例を示す一部拡大正面図である。
【
図9】本実施の形態の金具ホルダの孔にカラビナが装着された状態を示す斜視図である。
【
図10】複数の線条金具が装着された状態の本実施の形態の金具ホルダを出荷用のケースに梱包する作業を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら本実施の形態について説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は同じ部品を示す。
【0023】
本実施の形態の金具ホルダ1は、
図1,
図2に示すように、直線状であって線条金具10の引掛け部分11の内周に挿入可能であって引掛け部分11内から側方への抜けを阻止する幅を持つ平板状の直線部2と、直線部2の下端から湾曲しながら延びて線条金具10の直線部2からの下方側への抜けを防止する平板状の曲線部5とを備えており、C字状の部分(以下、「引掛け部分11」とする。)を有する複数の線条金具10を保持する。
【0024】
以下、詳細に説明すると、本実施の形態の線条金具10は、金属製の線材を折り曲げ加工して形成される金具であって、
図2に示すように、底片11aと底片11aの両端から内向きに湾曲しながら起立する一対の側片11b,11cを有するC字状の引掛け部分11と、引掛け部分11における図中右側の側片11cの上端から図中上向きに延びる波型ばね状の固定部12とを備える。
【0025】
また、本実施の形態の線条金具10は、
図3に示すように、奥行方向に並べて配置される複数のアーチパイプPと、アーチパイプP,P間に架け渡される複数のシート定着フレームFと、各シート定着フレームFの溝に定着されるビニールシートSとで構成されるビニールハウスHの組立てに利用されている。具体的には、線条金具10は、固定部12をシート定着フレームFの溝に挿入することで、シート定着フレームFに取付けられる。そして、シート定着フレームFに取付けられた線条金具10の引掛け部分11にそれぞれバンドBの端部を引っ掛けると、ビニールシートSの上方にバンドBが配置されて、ビニールシートSが風に煽られた際におけるビニールシートSのバタつきを防止できる。このように、本実施の形態の線条金具10は、ビニールハウスHの組立てに利用される。
【0026】
なお、前述した線条金具10の形状や用途は一例であって、線条金具10の形状や用途は前述したものには限定されない。また、引掛け部分11は、環状であってもよい。
【0027】
つづいて、本実施の形態の金具ホルダ1について詳細に説明する。本実施の形態の金具ホルダ1は、合成樹脂製であって、
図4に示すように、図中上下方向に沿って直線状に延びる平板状の直線部2と、直線部2の下端から図中左方向に湾曲しながら延びる曲線部5とを備える。また、直線部2の上端には、孔4とフック3が上下に並べて設けられており、詳しくは後述するが、フック3又は孔4を介して、直線部2の上端を、作業者の着衣やベルト、ベルトに装着された工具ホルダ等に取付けできるようになっている。
【0028】
なお、金具ホルダ1は、合成樹脂製には限定されず、例えば、金属製、厚紙製、ゴム製であってもよいし、複数の材料を利用して形成されてもよい。
【0029】
本実施の形態の直線部2は、
図1,
図4に示すように、上端の角がアール加工された図中上下方向に長い長方形の板材であって、直線部2の横幅は、
図2に示すように、C字状の引掛け部分11の底片11aの幅よりも僅かに狭く、引掛け部分11の側片11b、11c間の開口幅よりも広くなるように設定されている。
【0030】
そのため、
図1,
図2に示すように、線条金具10の引掛け部分11内に直線部2が挿入されると、線条金具10は、直線部2に対して図中上下方向へスライドできるものの横方向へ抜けることはない。
【0031】
また、本実施の形態の曲線部5は、
図1,
図4に示すように、直線部2の下端から図中左方向へ湾曲する円弧状に形成されており、直線部2の外周に装着された線条金具10は、側片11bが曲線部5の内周側に引っ掛り、自然には金具ホルダ1から下方へ落下しないので、曲線部5に保持される。
【0032】
なお、曲線部5の長さと曲率は、少なくとも直線部2が鉛直方向に沿って配置されたときに、直線部2の外周に装着された線条金具10が直線部2の下方側へ抜けずに曲線部5に保持される限りにおいて任意に決定されればよい。また、曲線部5の湾曲方向は、特に限定されず、直線部2の下端から
図4中右方向に湾曲してもよいし、あるいは直線部2の厚み方向に湾曲してもよい。
【0033】
また、本実施の形態では、曲線部5の曲率中心から見て外周側は円弧状に形成されているが、曲線部5の外周側の形状は特に限定されない。
【0034】
また、本実施の形態の曲線部5には、厚み方向に折り畳み可能であって、曲線部5から厚み方向へ突出して直線部2の外周に装着された線条金具10の引掛け部分11を下方から支持する突出姿勢と、折り畳まれて線条金具10の引掛け部分11の抜けを許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第1ストッパ7が設けられている。
【0035】
詳細には、本実施の形態の第1ストッパ7は、曲線部5に対して開口側が反直線部側を向くU字状の切れ目を入れ、その切れ目に沿って折り曲げる切り起し加工によって形成されている。
【0036】
そして、本実施の形態の金具ホルダ1は、合成樹脂製の平板状であって板厚が薄いため、曲線部5に切り起し加工によって設けられた第1ストッパ7は、弾性を有して、力が作用していない状態では突出姿勢をとるようになっており、上方から押されると倒れて格納姿勢をとるようになっている。ここで、突出姿勢の第1ストッパ7は、線条金具10の自重による力のみでは倒れず、格納姿勢にはならないように設定されているため、第1ストッパ7は、突出姿勢で線条金具10の引掛け部分11を下方から支持できる。
【0037】
また、曲線部5に対して開口側が反直線部側を向くU字状の切れ目を入れて、切り起して形成された第1ストッパ7は、直線部2側から押す力に対しては突出姿勢から倒れにくくなるので、突出姿勢で線条金具10の引掛け部分11を下方から支持できるように設定しやすい。
【0038】
このようにすると、直線部2の外周に装着された線条金具10の引掛け部分11は、曲線部5だけでなく、突出姿勢の第1ストッパ7によっても支持されるので、直線部2を傾けたりしても線条金具10の引掛け部分11が曲線部5から脱落することがない。よって、直線部2の外周に装着された線条金具10が、意図せず脱落するのを確実に防止できる。
【0039】
さらに、
図5に示すように、引掛け部分11を曲線部5に沿わせながら線条金具10を下向きに引っ張ると、第1ストッパ7が線条金具10の引掛け部分11に押し倒されて格納姿勢をとるので、線条金具10の引掛け部分11の通過が許容される。また、線条金具10の引掛け部分11が第1ストッパ7を押し倒して乗り越えると、第1ストッパ7は自身の弾性により自動的に突出姿勢に復帰するので格納姿勢の第1ストッパ7を手動でわざわざ突出姿勢に戻す必要がない。
【0040】
なお、図示しないが、金具ホルダ1の材料が弾性を備えている場合には、曲線部5に線条金具10の引掛け部分11の側片11b,11c間の幅よりも少し幅が広い拡幅部を設けて、当該拡幅部によって線条金具10の引掛け部分11の落下を防止してもよい。このようにすると、拡幅部によって支持された状態の線条金具10の引掛け部分11を下向きに引っ張ると、拡幅部が自身の弾性により撓んで拡幅部の幅が狭くなるので、引掛け部分11が拡幅部の外周を通過することを許容する。よって、このような拡幅部を曲線部5に設けた場合、線条金具10の取り外しを邪魔することなく、線条金具10の意図しない落下を防止できる。
【0041】
また、
図1,
図4に示すように、直線部2と曲線部5の境であって、曲線部5の曲率中心側である図中左側には、下向きに窪んで、線条金具10の引掛け部分11における側片11bの線条の侵入を許容する凹部6が形成されている。
【0042】
すると、
図4に示すように、線条金具10の引掛け部分11を曲線部5に引っ掛ける際に、引掛け部分11の側片11bの線条が凹部6内に侵入して嵌り込み、線条金具10が凹部6に保持されるので、第1ストッパ7を省略したり、曲線部5の長さを短くしたとしても、線条金具10の曲線部5からの意図しない脱落を防止できる。
【0043】
また、本実施の形態の凹部6は、一つの線条金具10の引掛け部分11における側片11bの線条の侵入のみを許容する深さと幅で形成されている。よって、
図1に示すように、直線部2の外周に複数の線条金具10が装着された状態では、最下方に配置された線条金具10の引掛け部分11における一方の側片11bの線条のみが凹部6内に侵入して嵌り込み、最下方に配置された線条金具10は、凹部6に入り込んだ側片11bを支点にして吊下げられた状態となるので、それ以外の他の線条金具10よりも大きな角度で下方向に傾く。すると、最下方に配置された線条金具10と下から二番目に配置された線条金具10との間に隙間が空くので、最下方に配置された線条金具10のみを曲線部5から取り外しやすい。
【0044】
また、最下方に配置された線条金具10を曲線部5から取り外すと下から二番目に配置された線条金具10が自重により凹部6内に嵌り込むので、自動的に最下方に配置された線条金具10のみが凹部6内に侵入して嵌り込む
図5の状態に戻る。よって、本実施の形態によれば、常に最下方に配置された線条金具10のみを曲線部5から取り外しやすい状態となる。
【0045】
また、本実施の形態の第1ストッパ7は、
図1に示すように、凹部6に保持された最下方に配置される線条金具10の引掛け部分11の底片11aが当接する位置に設けられている。したがって、本実施の形態では、最下方に配置された線条金具10のみが、第1ストッパ7に支持される。
【0046】
そのため、直線部2の外周に装着される線条金具10の数がいくつであっても、第1ストッパ7には、一つ分の線条金具10の自重しか作用しない。よって、第1ストッパ7を倒して格納姿勢とする際に必要とする力を最小限にできるので、線条金具10の意図しない脱落を防止するために第1ストッパ7を設けても、線条金具10が取り外し難くなり過ぎるのを防止できる。
【0047】
ただし、第1ストッパ7が設けられる位置は、上述した位置には限定されない。また、本実施の形態では、第1ストッパ7は、曲線部5に設けられているが、例えば、直線部2の下端側近傍に設けられてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、第1ストッパ7は、切り起し加工により形成されているが、この第1ストッパ7の形成方法は、一例であって、例えば、直線部2又は曲線部5に対して垂直に起立するゴム板を取付けて、当該ゴム板を第1ストッパ7としてもよい。ただし、本実施の形態のように、第1ストッパ7を切り起し加工により形成すると、部品点数を削減できるので、製造コストを削減できる。
【0049】
また、本実施の形態の直線部2には、
図1,
図4に示すように、直線部2の厚み方向に折り畳み可能であって、直線部2から厚み方向へ突出して線条金具10の引掛け部分11の抜けを防止する突出姿勢と引掛け部分11の通過を許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第2ストッパ8が設けられている。
【0050】
具体的には、本実施の形態の第2ストッパ8は、直線部2に対して開口側が上を向くU字状の切れ目を入れ、この切れ目に沿って折り曲げる切り起し加工によって形成されている。そして、本実施の形態の金具ホルダ1は、合成樹脂製の薄い平板状であるため、直線部2に切り起し加工によって設けられた第2ストッパ8は、弾性を有しており、力が作用していない状態では突出姿勢をとるようになっている。
【0051】
また、本実施の形態の第2ストッパ8は、直線部2に対して開口側が上を向くU字状の切れ目を入れ、この切れ目に沿って折り曲げることで形成されているため、
図4中上方から下方へ向けて押す力に対しては倒れやすく、反対に
図4中下方から上方へ向けて押す力に対しては倒れにくい。
【0052】
よって、直線部2の上端側から線条金具10の引掛け部分11を直線部2の外周に沿ってスライドさせて行けば、引掛け部分11によって上方から下方へ向けて押された第2ストッパ8は速やかに格納姿勢をとり、引掛け部分11の通過を許容する。そのため、直線部2の上端側から線条金具10の引掛け部分11を直線部2の外周に沿ってスライドさせて行けば、直線部2の外周に線条金具10を容易に装着できる。反対に、第2ストッパ8は、下方から上方へ押されても倒れにくいため、直線部2の外周に装着された線条金具10は、直線部2の上端側から脱落し難くなる。
【0053】
なお、本実施の形態では、第2ストッパ8は、切り起し加工により形成されているが、この第2ストッパ8の形成方法は、一例であって、例えば、直線部2に対して垂直に起立するゴム板を取付けて、当該ゴム板を第2ストッパ8としてもよい。ただし、本実施の形態のように、第2ストッパ8を切り起し加工により形成すると、部品点数を削減できるので、製造コストを削減できる。なお、第2ストッパ8は、省略されてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、
図4に示すように、直線部2にU字状の切れ目を入れて切り起して形成された第2ストッパ8を突出姿勢にした状態で直線部2に形成されたベルト通し孔3aと、ベルト通し孔3aの図中左下端を切断して形成されたスリット3bとで、フック3が形成されている。
【0055】
そして、このフック3は、
図6に示すように、スリット3bを介して、作業者の下衣20のベルト通し21をベルト通し孔3aに挿通することで、ベルト通し21に引っ掛けられる。このように、フック3をベルト通し21に引っ掛ければ、金具ホルダ1を衣服を介して作業者の着衣に取付けることができるので、作業者は、複数の線条金具10を保持する金具ホルダ1を持ち運びながら作業できる。
【0056】
ここで、本実施の形態のスリット3bは、
図4に示すように、線状の切れ目となっているが、直線部2が平板状であって板厚が薄い合成樹脂製であるため、直線部2の上端をねじり方向に回転させると、ベルト通し21を挿通可能な隙間ができる。そのため、スリット3bを線状の切れ目としても、ベルト通し21をスリット3bを介してベルト通し孔3a内に挿通できる。よって、本実施の形態では、スリット3bの幅をベルト通し21の幅以上にする必要がないので、ベルト通し孔3a内に挿通されたベルト通し21がスリット3bを介してベルト通し孔3aから外れる可能性を低減できる。ただし、スリット3bの幅は、ベルト通し21の通過を許容する限りにおいて特に限定されない。
【0057】
また、スリット3bを通じて線条金具10の引掛け部分11を直線部2の外周に対して側方からでも装着できる。具体的には、まず、
図7(A)に示すように、線条金具10の引掛け部分11をスリット3bを通じてベルト通し孔3a内に挿入する。その後、
図7(B)に示すように、線条金具10を横方向に回転させてスリット3bを通して引掛け部分11の底片11aをベルト通し孔3aの外に出すと、線条金具10の引掛け部分11が直線部2の外周に装着される。
【0058】
よって、本実施の形態では、金具ホルダ1が作業者の着衣やベルトに取付けられて、直線部2の上端側から線条金具10を直線部2の外周に装着できない状態であっても、スリット3bを通じて線条金具10の引掛け部分11を直線部2の外周に装着できるので、金具ホルダ1を作業者の着衣やベルトから取り外すことなく、金具ホルダ1に線条金具10を補充できる。
【0059】
なお、スリット3bは、ベルト通し孔3aの左右いずれを切断して形成されていてもよい。また、本実施の形態では、スリット3bは、ベルト通し孔3aの下端に通じているが、ベルト通し孔3aの上端に通じていなければ上下方向で中間に通じていてもよい。ただし、フック3をベルト通し21に引っ掛けて金具ホルダ1を作業者の着衣に取付けた状態では、ベルト通し21は、
図6に示すように、ベルト通し孔3aの上縁に当接する。したがって、本実施の形態のように、スリット3bをベルト通し孔3aの下端に形成すると、スリット3bとベルト通し21が最も遠ざかるので、作業中にスリット3bを通じてベルト通し21が抜ける可能性が最も低くなる。
【0060】
また、
図8に示すように、スリット3bはベルト通し孔3aを斜め上方向に切断して形成されてもよい。この構成によると、ベルト通し21がスリット3bを通じてベルト通し孔3aから抜けるには、斜め上方に向けて移動しなければならなくなる。したがって、作業中にスリット3bを通じて金具ホルダ1が下衣20のベルト通し21から脱落するのを防止できる。さらに、スリット3bがベルト通し孔3aを斜め上方に切断して形成される場合、スリット3bの外側開口端が直線部2の外周に装着される線条金具10から遠ざかるため、スリット3bを通じて線条金具10が金具ホルダ1から脱落するのを確実に防止できる。
【0061】
また、
図8の実施の形態では、スリット3bの内側開口端の位置をベルト通し孔3aの上下方向で中間位置にしている。このようにすると、スリット3bの外側開口端の位置が直線部2の上端側に近づくので、スリット3bを通じて線条金具10を補充する作業が行いやすくなる。 また、前述したように、本実施の形態のフック3のベルト通し孔3aは、第2ストッパ8を形成する際に直線部2にできる孔を利用して形成されている。そのため、本実施の形態の金具ホルダ1は、フック3と第2ストッパ8を備えても、製造時の工数の増加を抑制できるので、製造コストを削減できる。ただし、フック3と第2ストッパ8とは別々に独立して設けられてもよい。また、フック3の構成は、上述した構成には限定されず、例えば、直線部2の上端をフック状に加工してフック3を設けてもよい。
【0062】
また、本実施の形態では、
図4に示すように、直線部2におけるフック3の上方には、円形の孔4が設けられている。この孔4は、
図9に示すように、作業者のベルトに装着される工具ホルダ(図示せず)等に取付け可能な取付金具としてのカラビナ30を装着可能となっており、カラビナ30と工具ホルダを介して金具ホルダ1を作業者のベルトに取付けできるようになっている。よって、作業者は、複数の線条金具10を保持する金具ホルダ1を持ち運びながら作業できる。
【0063】
以上より、本実施の形態では、直線部2の上端にフック3と孔4の両方が設けられているため、作業者は、金具ホルダ1を自身の着衣やベルトに取付ける際に、フック3を下衣20のベルト通し21に引っ掛けるか、孔4に装着したカラビナ30を工具ホルダ等に取付けるかを任意に選択できる。
【0064】
ただし、孔4に装着したカラビナ30を工具ホルダ等に取付けた場合、直線部2とカラビナ30の連結個所と、カラビナ30と工具ホルダ等の連結個所の二個所でそれぞれ揺動可能に連結されることになるので、作業者のベルトに取付けられた金具ホルダ1が揺動しやすくなる。対して、フック3を下衣20のベルト通し21に引っ掛けた場合、揺動可能な連結個所が一個所になるため、孔4に装着したカラビナ30を工具ホルダ等に取付けた場合に比べて、作業者の着衣に取付けられた金具ホルダ1の揺動を抑制できる。
【0065】
なお、本実施の形態では、直線部2の上端にフック3と孔4の両方が設けられているが、少なくとも一方が設けられていればよい。また、フック3や孔4を利用しての作業者の着衣やベルトへの取付方法は上述したものには限定されず、例えば、フック3を工具ホルダに引っ掛けたり、孔4にロープを通してベルト通し21と結びつけたりしてもよい。
【0066】
前述したように、本実施の形態の金具ホルダ1は、引掛け部分11(環状又はC字状の部分)を有する複数の線条金具10を保持可能であって、直線状であって引掛け部分11の内周に挿入可能であって引掛け部分11内から側方への抜けを阻止する幅を持つ平板状の直線部2と、直線部2の上端に設けられたフック3及び孔4と、直線部2の下端から湾曲しながら延びて線条金具10の直線部2からの下方側への抜けを防止する平板状の曲線部5とを備える。
【0067】
このように構成された本実施の形態の金具ホルダ1は、フック3又は孔4を利用して作業者の着衣やベルトに取付けられた状態において、直線部2の外周に装着される複数の線条金具10の引掛け部分11が、曲線部5によって抜け止めされて支持される。
【0068】
そして、曲線部5によって支持された複数の線条金具10の内、最下方に配置される線条金具10のみを曲線部5に沿わせながら下方向にスライドさせて曲線部5から取り外しても、残りの線条金具10は、曲線部5によって抜け止めされて支持されたままとなる。
【0069】
よって、上記構成を備える金具ホルダ1によれば、作業中に複数の線条金具10を持ち運びながら、線条金具10を簡単に一つずつ取り出すことができるため、作業性が向上する。
【0070】
なお、曲線部5の長さと曲率は、直線部2の外周に装着された線条金具10が直線部2の下方側へ抜けずに曲線部5に保持される限りにおいて任意に決定されればよいが、曲線部5が長過ぎたり、曲線部5の曲率が大き過ぎたりすると、線条金具10が曲線部5から抜けにくくなり過ぎてしまい、線条金具10を曲線部5から取り外すのが難しくなってしまう。そのため、曲線部5の長さと曲率は、直線部2の外周に装着された線条金具10の抜けを防止しつつ、線条金具10の取り外しが困難になり過ぎないように適宜設定されればよい。
【0071】
また、本実施の形態では、直線部2の上端にフック3と孔4が両方設けられているが、少なくともいずれか一方が設けられていればよい。
【0072】
また、本実施の形態の金具ホルダ1は、曲線部5に厚み方向に折り畳み可能に設けられて、曲線部5から厚み方向へ突出して引掛け部分11を下方から支持して引掛け部分11の抜けを防止する突出姿勢と引掛け部分11の抜けを許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第1ストッパ7を備えている。
【0073】
この構成によると、直線部2の外周に装着された線条金具10の引掛け部分11は、曲線部5だけでなく、突出姿勢の第1ストッパ7によっても支持されるので、直線部2が傾いたりしても線条金具10の引掛け部分11が曲線部5から脱落することがない。
【0074】
さらに、線条金具10を曲線部5から取り外す際には、第1ストッパ7は、引掛け部分11によって上方から押し倒されて格納姿勢となるので、線条金具10の引掛け部分11の取り外しを妨げることがない。
【0075】
よって、上記構成を備える金具ホルダ1によれば、線条金具10の引掛け部分11の取り外しを妨げることなく、線条金具10の引掛け部分11の意図しない脱落を防止できる。なお、第1ストッパ7は、直線部2に設けられてもよい。
【0076】
また、本実施の形態の第1ストッパ7は、弾性を有し、力が作用していないときは突出姿勢をとるようになっている。この構成によると、直線部2の外周に装着された複数の線条金具10の内、最下方に配置される線条金具10が第1ストッパ7を押し倒して乗り越えると、第1ストッパ7は、自身の弾性により自動的に突出姿勢に戻り、残りの線条金具10の引掛け部分11を下方から支持して抜けを防止するため、金具ホルダ1から線条金具10を一つずつ取り外しやすくなる。
【0077】
さらに、線条金具10の引掛け部分11が第1ストッパ7を押し倒して乗り越えると、第1ストッパ7は自身の弾性により自動的に突出姿勢に復帰するので格納姿勢の第1ストッパ7を手動でわざわざ突出姿勢に戻す必要がない。
【0078】
ただし、第1ストッパ7は、弾性を有さず、手動で格納姿勢と突出姿勢に変更可能な構造になっていてもよい。なお、線条金具10の引掛け部分11は、曲線部5によっても抜け止めされて支持されているため、第1ストッパ7は省略されてもよい。
【0079】
また、本実施の形態の金具ホルダ1は、曲線部5と直線部2との境であって曲線部5の曲率中心側に引掛け部分11の線条の侵入を許容して引掛け部分11の曲線部5からの脱落を防止する凹部6を備えている。
【0080】
この構成によると、直線部2の外周に装着された線条金具10の引掛け部分11の線条が凹部6に侵入して嵌り込んで保持されるため、第1ストッパ7を省略したり、曲線部5の長さを短くしたとしても、線条金具10の曲線部5からの意図しない脱落を防止できる。
【0081】
また、本実施の形態の凹部6は、一つの線条金具10の引掛け部分11の線条の侵入のみを許容する深さと幅で形成されている。そのため、直線部2の外周に装着された複数の線条金具10の内、最下方に配置された線条金具10の引掛け部分11の線条のみが凹部6内に侵入して嵌り込み、凹部6に入り込んだ側片11bを支点にして、吊下げられた状態となるので、最下方に配置された線条金具10は、それ以外の他の線条金具10よりも大きな角度で下方向に傾く。すると、最下方に配置された線条金具10と下から二番目に配置された線条金具10との間に隙間が空くので、最下方に配置された線条金具10のみを曲線部5から取り外しやすくなる。
【0082】
ただし、線条金具10の引掛け部分11は、曲線部5と第1ストッパ7によっても抜け止めされて支持されているため、凹部6は省略されてもよい。
【0083】
また、本実施の形態のフック3は、直線部2の上部に設けられて下衣20のベルト通し21を挿通可能なベルト通し孔3aと、直線部2のベルト通し孔3aの左側を切断して形成されるスリット3bとを有している。
【0084】
この構成によると、フック3を下衣20のベルト通し21に引っ掛けた場合、揺動可能な連結個所が一個所になるため、孔4に装着したカラビナ30を工具ホルダ等に取付けて揺動可能な連結個所が二個所となる場合に比べて、作業者の着衣に取付けられた状態における金具ホルダ1の揺動を抑制できる。よって、作業者の着衣に取付けられた金具ホルダ1が作業の邪魔になるのを防止できる。なお、本実施の形態のスリット3bは、ベルト通し孔3aの右側を切断して形成されてもよい。
【0085】
また、スリット3bは、
図8に示すように、ベルト通し孔3aを斜め上方向に切断して形成されていてもよい。この構成によると、作業中にスリット3bを通じて金具ホルダ1が下衣20のベルト通し21から脱落したり、スリット3bを通じて線条金具10が脱落するのを防止できる。
【0086】
また、本実施の形態の金具ホルダ1は、直線部2に厚み方向に折り畳み可能に設けられて、直線部2から厚み方向へ突出して引掛け部分11の抜けを防止する突出姿勢と引掛け部分11の通過を許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第2ストッパ8を備えている。
【0087】
この構成によると、直線部2に設けられた第2ストッパ8が、突出姿勢と格納姿勢とに姿勢を変更可能であるため、金具ホルダ1が作業者の着衣やベルトに取付けられていない状態において、直線部2の上端側から線条金具10を直線部2の外周に装着するのを邪魔することなく、直線部2の上端側から線条金具10の引掛け部分11が抜けてしまうのを防止できる。
【0088】
また、本実施の形態の金具ホルダ1では、第2ストッパ8は、直線部2にU字状に切れ目を設けることで形成されており、第2ストッパ8を突出姿勢にするとベルト通し孔3aが形成されるようになっている。
【0089】
この構成によると、フック3のベルト通し孔3aが、第2ストッパ8を形成する際に直線部2にできる孔を利用して形成されているため、直線部2にフック3と第2ストッパ8の両方を設けても、製造時の工数の増加を抑制できるので、製造コストを削減できる。ただし、フック3と第2ストッパ8とは別々に独立して設けられてもよい。
【0090】
また、本実施の形態の金具ホルダ1は、合成樹脂製である。金具ホルダ1を合成樹脂製とすると、金属製とする場合に比べて、金具ホルダ1が安価で軽量となる。また、合成樹脂は、厚紙よりも耐久性に優れるため、合成樹脂製の金具ホルダ1であれば、持ち運びにも耐えうる。さらに、合成樹脂は、ゴムよりも撓みにくいので、合成樹脂製の金具ホルダ1であれば、金具ホルダ1が撓んで線条金具10の取り外しを阻害することもない。加えて、第1ストッパ7及び第2ストッパ8を形成する場合にも、金具ホルダ1が合成樹脂製であれば、直線部2又は曲線部5にU字状の切れ目を入れて、切れ目に沿って立ち上げるだけで、弾性を有して、力が作用しない状態で突出姿勢となる第1ストッパ7及び第2ストッパ8を容易に形成できる。よって、合成樹脂は、本実施の形態の金具ホルダ1の材料として適している。
【0091】
また、本実施の形態の金具ホルダ1は、
図10に示すように、線条金具10の引掛け部分11の内周を直線部2に挿入した状態で、出荷用のケース40に梱包されてもよい。
【0092】
このようにすると、線条金具10を保持する金具ホルダ1がケース40に梱包された状態になっているので、作業者は、ケース40から金具ホルダ1を取り出せば、そのまま金具ホルダ1をフック3又は孔4を利用して着衣やベルトに取付けて作業を行える。よって、作業者自身が、わざわざ線条金具10の引掛け部分11を金具ホルダ1の直線部2の外周に装着する必要がないので、利便性が向上する。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱なく改造、変形及び変更ができるのは当然である。
【符号の説明】
【0094】
1・・・金具ホルダ、2・・・直線部、3・・・フック、3a・・・ベルト通し孔、3b・・・スリット、4・・・孔、5・・・曲線部、6・・・凹部、7・・・第1ストッパ、8・・・第2ストッパ、10・・・線条金具、11・・・引掛け部分(環状又はC字状の部分)、20・・・下衣、21・・・ベルト通し、40・・・ケース
【手続補正書】
【提出日】2022-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状又はC字状の部分を有する複数の線条金具を保持可能な金具ホルダにおいて、
直線状であって前記部分の内周に挿入可能であって前記部分内から側方への抜けを阻止する幅を持つ平板状の直線部と、
前記直線部の上端に設けられるとともに作業者の着衣又はベルトへの取付けに利用可能なフックと孔の少なくとも一方と、
前記直線部の下端から湾曲しながら延びており、前記部分が引っ掛かることで前記線条金具の前記直線部からの下方側への抜けを防止する平板状の曲線部とを備えた
ことを特徴とする金具ホルダ。
【請求項2】
前記直線部又は前記曲線部に厚み方向に折り畳み可能に設けられて、前記直線部または前記曲線部から厚み方向へ突出して前記部分を下方から支持して前記部分の抜けを防止する突出姿勢と前記部分の抜けを許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第1ストッパを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の金具ホルダ。
【請求項3】
前記第1ストッパは、弾性を有し、力が作用していないときは前記突出姿勢をとる
ことを特徴とする請求項2に記載の金具ホルダ。
【請求項4】
前記曲線部と前記直線部との境であって前記曲線部の曲率中心側に前記部分の線条の侵入を許容して前記部分の前記曲線部からの抜けを防止する凹部を備えた
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の金具ホルダ。
【請求項5】
前記フックは、前記直線部の上部に設けられて下衣のベルト通しを挿通可能なベルト通し孔と、前記直線部の前記ベルト通し孔の左右いずれか一方を切断して形成されるスリットとを有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の金具ホルダ。
【請求項6】
前記スリットは前記ベルト通し孔を斜め上方向に切断して形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の金具ホルダ。
【請求項7】
前記直線部に厚み方向に折り畳み可能に設けられて、前記直線部の上端側から厚み方向へ突出して前記部分が前記直線部の上端側から抜けるのを防止する突出姿勢と前記部分の通過を許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第2ストッパを備える
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の金具ホルダ。
【請求項8】
前記第2ストッパは、前記直線部にU字状に切れ目を設けることで形成されており、
前記第2ストッパを突出姿勢にすると前記ベルト通し孔が形成される
ことを特徴とする請求項5又は6に従属する請求項7に記載の金具ホルダ。
【請求項9】
合成樹脂製である
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の金具ホルダ。
【請求項10】
前記部分の内周を前記直線部に挿入した状態で出荷用のケースに梱包される
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の金具ホルダ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記の目的を達成させるため、本発明の金具ホルダは、環状又はC字状の部分を有する複数の線条金具を保持可能な金具ホルダにおいて、直線状であって前記部分の内周に挿入可能であって前記部分内から側方への抜けを阻止する幅を持つ平板状の直線部と、前記直線部の上端に設けられるとともに作業者の着衣又はベルトへの取付けに利用可能なフックと孔の少なくとも一方と、前記直線部の下端から湾曲しながら延びており、前記部分が引っ掛かることで前記線条金具の前記直線部からの下方側への抜けを防止する平板状の曲線部とを備えることを特徴とする。この構成によると、金具ホルダがフック又は孔を利用して作業者の着衣やベルトに取付けられた状態において、線条金具が曲線部によって抜け止めされて支持されるとともに、線条金具を曲線部に沿わせながら下方向にスライドさせて曲線部から取り外すことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、本発明の金具ホルダは、前記曲線部と前記直線部との境であって前記曲線部の曲率中心側に前記部分の線条の侵入を許容して前記部分の前記曲線部からの抜けを防止する凹部を備えてもよい。この構成によると、直線部の外周に装着された線条金具の線条が凹部に侵入して嵌り込んで保持されるため、線条金具の曲線部からの意図しない脱落を防止できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、本発明の金具ホルダは、前記直線部に厚み方向に折り畳み可能に設けられて、前記直線部の上端側から厚み方向へ突出して前記部分が前記直線部の上端側から抜けるのを防止する突出姿勢と前記部分の通過を許容する格納姿勢とに姿勢を変更可能な第2ストッパを備えてもよい。この構成によると、直線部に設けられた第2ストッパが、突出姿勢と格納姿勢とに姿勢を変更可能であるため、金具ホルダが作業者の着衣やベルトに取付けられていない状態において、直線部の上端側から線条金具を直線部の外周に装着するのを邪魔することなく、直線部の上端側から線条金具が抜けてしまうのを防止できる。