(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032612
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】打設管理システムおよび打設管理方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20230302BHJP
E21D 5/12 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
E21D5/12 ESW
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138850
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大小田 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】新藤 綾乃
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA31
2E172CA55
2E172CA63
2E172DB01
2E172DE02
2E172HA03
(57)【要約】
【課題】複数の吐出口を有するコンクリート配管の閉塞を防止する打設管理システムおよび打設管理方法を提案する。
【解決手段】本発明は、コンクリート配管(配管3)が有する複数の吐出口33の各々に対応する複数のバルブ32の閉時間を計測する計測装置(光電センサ34+反射部36)と、前記計測した閉時間が所定時間を経過したことを警告する、および、前記所定時間が経過したバルブ32を開く、の少なくとも何れかを実行する制御装置2とを備える打設管理システム100である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート配管が有する複数の吐出口の各々に対応する複数のバルブの閉時間を計測する計測装置と、
前記計測した閉時間が所定時間を経過したことを警告する、および、前記所定時間が経過したバルブを開く、の少なくとも何れかを実行する制御装置と、を備える打設管理システム。
【請求項2】
前記計測装置は、リフレッシュされた配管部分に対応する前記バルブの閉時間をリセットする請求項1に記載の打設管理システム。
【請求項3】
前記バルブがゲートバルブであり、
前記計測装置は、前記ゲートバルブの開閉に応じて変位する反射部と、前記反射部に照射した光を受光する光電センサとを備える請求項1または請求項2に記載の打設管理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、コンクリート打設の計画情報と、前記コンクリート打設の実施情報と、前記計画情報と前記実施情報との差異情報を、前記コンクリート打設の層単位で表示する表示部を備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載の打設管理システム。
【請求項5】
前記制御装置は、少なくとも前記実施情報が記入された帳票を出力する帳票部を備える請求項4に記載の打設管理システム。
【請求項6】
計測装置が、コンクリート配管が有する複数の吐出口の各々に対応する複数のバルブの閉時間を計測するステップと、
制御装置が、前記計測した閉時間が所定時間を経過したことを警告する、および、前記所定時間が経過したバルブを開く、の少なくとも何れかを実行するステップと、を含む打設管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打設管理システムおよび打設管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地下に立坑を構築する場合、立坑内にコンクリートを打設するために、地上に配置したポンプ車から立坑内に直接ホースを進入させる方法が用いられることがある。しかしながら、立坑内に切梁支保工などが設置されていると、コンクリート打設の進捗に応じて、ホースを進入させたまま大きく横移動させようとしても、支保工に干渉して任意の位置に即時に移動できない場合がある。このため、立坑内の打設区域の上方に予め配管を横引きしておき、この横引き配管を利用してコンクリートを圧送することも多い。横引きされた配管は、打設区域全体に対応する複数の吐出口を有しており、ポンプ車から配管の入口に圧送されたコンクリートを、吐出口を経由して打設区域全体に吐出できる。なお、特許文献1には、「コンクリートを打設すべき区域を網羅するようこの区域の上方にコンクリート供給管を架設し、このコンクリート供給管に多数形成した吐出口からコンクリートを吐出させ、各吐出口におけるコンクリートの高さが所定値にあるか否かを検出して吐出口から吐出されるコンクリートの量を制御し、コンクリートの高さを均一化することを特徴とするコンクリートの自動打設方法」について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリート配管は吐出口の各々に対応する複数のバルブを備えており、コンクリートの吐出タイミングをバルブごとに調整できる。このため、コンクリート打設の作業中、打設を行わない配管の内部でコンクリートが停滞する時間が発生するが、所定時間が経過すると配管が閉塞する虞がある。従来では、配管内のコンクリートの停滞時間を人手で管理していた。このため、ヒューマンエラーや作業員間の連絡調整ミスなどによって、配管が閉塞するトラブルが発生していた。
このような観点から、本発明は、複数の吐出口を有するコンクリート配管の閉塞を防止する打設管理システムおよび打設管理方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、コンクリート配管が有する複数の吐出口の各々に対応する複数のバルブの閉時間を計測する計測装置と、前記計測した閉時間が所定時間を経過したことを警告する、および、前記所定時間が経過したバルブを開く、の少なくとも何れかを実行する制御装置とを備える打設管理システムである。
また、本発明は、計測装置が、コンクリート配管が有する複数の吐出口の各々に対応する複数のバルブの閉時間を計測するステップと、制御装置が、前記計測した閉時間が所定時間を経過したことを警告する、および、前記所定時間が経過したバルブを開く、の少なくとも何れかを実行するステップと、を含む打設管理方法である。
かかる構成によれば、計測装置は、各バルブに対応する配管部分内に停滞するコンクリートの停滞時間を管理できる。また、制御装置は、バルブの閉時間に基づいて閉塞する可能性がある配管部分を報知できる。報知に気づいた作業員は該当のバルブを開くことができる。また、バルブが所定のアクチュエータを備え、バルブの開閉を自動で行うことができる場合、制御装置は、アクチュエータを制御して閉塞する可能性がある配管部分に対応するバルブを開くことができる。このように、本発明によれば、複数の吐出口を有するコンクリート配管の閉塞を防止することができる。また、バルブの閉時間の管理者を不要とし、コンクリート打設の人員を削減できる。
【0006】
また、前記計測装置は、リフレッシュされた配管部分に対応する前記バルブ(開操作を行ったバルブ)の閉時間をリセットすることが好ましい。
かかる構成によれば、リフレッシュされた配管部分におけるコンクリートの停滞時間が0になるので、バルブの開閉を複数回行う場合であっても、コンクリートの停滞時間を適切に管理することができる。
【0007】
また、前記バルブがゲートバルブであり、前記計測装置は、前記ゲートバルブの開閉に応じて変位する反射部と、前記反射部に照射した光を受光する光電センサとを備えることが好ましい。
かかる構成によれば、バルブの開閉を判定する機構を簡易な構成で実現できる。
【0008】
また、前記制御装置は、コンクリート打設の計画情報と、前記コンクリート打設の実施情報と、前記計画情報と前記実施情報との差異情報を、前記コンクリート打設の層単位で表示する表示部を備えることが好ましい。
かかる構成によれば、コンクリート打設の進捗状況を容易に確認できる。
【0009】
また、前記制御装置は、少なくとも前記実施情報が記入された帳票を出力する帳票部を備えることが好ましい。
かかる構成によれば、コンクリート打設の記録を容易に管理できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の吐出口を有するコンクリート配管の閉塞を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の打設管理システムの機能構成図である。
【
図4】本実施形態の打設管理方法のフローチャートである。
【
図6】計画情報、実施情報、差異情報の画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施をするための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
[構成]
図1は、本実施形態の打設管理システムの機能構成図である。打設管理システム100は、立坑内の打設区域に対するコンクリートの打設を管理するシステムである。打設管理システム100は、タブレット端末1と、制御装置2とを備えている。タブレット端末1および制御装置2はそれぞれ、入力部、出力部、制御部、および、記憶部といったハードウェアを備える。例えば、制御部がCPU(Central Processing Unit)から構成される場合、その制御部を含むコンピュータによる情報処理は、CPUによるプログラム実行処理で実現される。また、そのコンピュータに含まれる記憶部は、CPUの指令により、そのコンピュータの機能を実現するためのさまざまなプログラムを記憶する。これによりソフトウェアとハードウェアの協働が実現される。前記プログラムは、記録媒体に記録したり、ネットワークを経由したりすることで提供可能となる。出力部は、画面表示をする表示部の機能を含めてもよい。
【0014】
立坑内のコンクリートの打設には、配管3が用いられる。配管3は、コンクリートの打設区域の上方に架設されている横引きのコンクリート配管である。配管3は、供給口31と、複数のバルブ32と、複数の吐出口33とを備えている。
供給口31は、ポンプ車等の圧送ポンプ(図示略)から延びる配管(図示略)と配管3との接続部であり、圧送ポンプから供給されるコンクリート(
図1の白抜き矢印)を配管3に案内する。
バルブ32は、下方にコンクリートを分岐可能なT字管を備える。バルブ32は、配管3内のコンクリートを下方に通流させる状態(開状態)と下方への通流を阻止する状態(閉状態)とを切り替えるものであり、打設区域の部分区域に対応して間隔をあけて配置されている。バルブ32は、例えば、ゲートバルブであることが好ましく、本実施形態では、ゲートバルブであるが、これに限定されない。
吐出口33は、バルブ32の下部に取り付けられている筒状体である。バルブ32において分岐したコンクリートは、吐出口33からバルブ32の下方に位置する部分区域に吐出される。
【0015】
タブレット端末1は、コンクリートの打設の作業現場にいる作業員Mが携帯する情報処理装置である。例えば、タブレット端末1は、作業員Mからの入力に従い、打設の開始時刻と完了時刻をバルブ32ごとに入力し、バルブ32ごとの打設時間を記録できる。
制御装置2は、コンクリートの打設の進捗を管理する管理者が用いる情報処理装置である。制御装置2は、例えば、ノートパソコンであることが好ましいが、これに限定されない。制御装置2は、警告部21と、開閉部22と、表示部23と、帳票部24とを備えている。また、制御装置2は、計画情報25と、実施情報26と、差異情報27とを記憶している。
【0016】
(制御装置2の詳細)
警告部21は、バルブ32の閉時間が所定時間を経過したことを警告する。コンクリート打設中、第1の吐出口33からコンクリートを吐出するために開いていた第1のバルブ32が閉じ、第2のバルブ32が開き、第2の吐出口33からコンクリートが吐出されたとする。この場合、第1のバルブ32およびその周辺の配管3の内部でコンクリートが停滞し、所定時間が経過すると配管3が閉塞する虞がある。警告部21は、バルブ32の閉時間に基づいて閉塞する可能性がある配管部分を報知できる。報知に気づいた作業員Mは第1のバルブ32を開くことができる。バルブ32の閉時間は、バルブ32が閉状態になっている時間である。バルブ32の閉時間の計測方法については、後記する。また、警告部21による報知は、例えば、現場に配置されたランプやタブレット端末1からの視覚的な報知でもよいし、現場に配置されたスピーカやタブレット端末1からの聴覚的な報知でもよいが、これらに限定されない。
【0017】
開閉部22は、バルブ32が所定のアクチュエータ(図示略)を備え、バルブ32の開閉を自動で行うことができる場合、バルブ32の閉時間が所定時間を経過したバルブ32を開く。開閉部22は、アクチュエータを制御して閉塞する可能性がある配管部分に対応するバルブ32を開くことができる。
表示部23は、コンクリート打設の管理情報を表示できる。具体的には、表示部23は、計画情報25と、実施情報26と、差異情報27を表示できる。また、表示部23は、計画情報25と、実施情報26と、差異情報27を、コンクリート打設の層単位で表示できる。
帳票部24は、実施情報26が記入された帳票を出力する。帳票部24は、実施情報26に限らず、計画情報25や差異情報27を出力することもできる。
【0018】
計画情報25は、コンクリート打設の打設計画(例えば、事前に計画した打設開始時刻や打設完了時刻など)を示す情報である。
実施情報26は、コンクリート打設の実施結果(例えば、実際の打設開始時刻や打設完了時刻など)を示す情報である。
差異情報27は、計画情報25と実施情報26との差異を示す情報である。
【0019】
(計測装置)
図1に示すように、バルブ32の各々に対して、反射部36と、光電センサ34が用意されている。
反射部36は、光電センサ34から照射された光を反射する。反射部36は、例えば、シート状であり、バルブ32のシャッタ35の上面に添付されている。反射部36は、バルブ32の開閉に応じて、つまり、シャッタ35の横移動に応じて変位できる。
光電センサ34は、バルブ32の開状態および閉状態を検知するセンサである。光電センサ34は、バルブ32ごとに用意されており、バルブ32の各々の略上方に、治具(図示せず)を用いて固定配置されている。また、光電センサ34の各々は、制御装置2と通信可能に接続されている。
図2は、バルブ32の閉状態の説明図である。
図2に示すように、バルブ32が閉状態である場合、シャッタ35の大部分はバルブ32内に退避している。このため、光電センサ34から照射した光は、反射部36で反射されず、光電センサ34が反射光を受光できない。よって、反射部36および光電センサ34は、バルブ32が閉状態であると検知できる。光電センサ34は、検知結果を示す検知信号を制御装置2に送信する。制御装置2は、光電センサ34からの検知信号により、バルブ32が閉状態であると判定できる。
図3は、バルブ32の開状態の説明図である。
図3に示すように、バルブ32が開状態である場合、シャッタ35の大部分はバルブ32から露出しているしている。このため、光電センサ34から照射した光が反射部36で反射され、光電センサ34は反射光を受光できる。よって、反射部36および光電センサ34は、バルブ32が開状態であると検知できる。光電センサ34は、検知結果を示す検知信号を制御装置2に送信する。制御装置2は、光電センサ34からの検知信号により、バルブ32が開状態であると判定できる。
【0020】
反射部36および光電センサ34は、バルブ32の開状態および閉状態をリアルタイムで検知する。このため、反射部36および光電センサ34は、バルブ32の閉時間、つまり、バルブ32の閉状態が継続する時間を計測できる。バルブ32の開閉状態は、光電センサ34から制御装置2に送信される。このことは、バルブ32の閉時間が、光電センサ34から制御装置2に送信されることに等しい。
なお、反射部36および光電センサ34は、特許請求の範囲の「計測装置」の構成要素である。
【0021】
(リフレッシュ)
リフレッシュとは、配管3内でコンクリートが閉塞しないように、配管3の全体にフレッシュなコンクリートを送る作業である。リフレッシュの手法として、例えば、すべてのバルブ32を開状態にして供給口31からコンクリートを通流させてもよい。また、1つのバルブ32のみ開状態にし、供給口31からコンクリートを通流させるという手順をすべてのバルブ32を対象にして逐次的に行うようにしてもよい。また、局所的なリフレッシュとして、リフレッシュ対象のバルブ32のみを開状態にし、供給口31からコンクリートを通流させてもよい。
例えば、タブレット端末1は、作業員Mの操作に従い、リフレッシュが行われたことを示す制御信号を光電センサ34に送信する。光電センサ34は、制御信号により、対応するバルブ32の閉時間をリセットする。
【0022】
[処理]
本実施形態の打設管理システム100の処理について説明する。
図4は、本実施形態の打設管理方法のフローチャートである。
図4の処理は、コンクリートの打設作業中繰り返し実行される。
図4の処理は、バルブ32ごとにステップS2~ステップS4の処理が実行されるループ処理(ステップS1)である。
ループ処理ではまず、計測装置が、管理対象のバルブ32の閉時間を計測する(ステップS2)。計測した閉時間は、計測装置から制御装置2に送信される。次に、制御装置2が、管理対象のバルブ32の閉時間が所定時間を経過したか否かを判定する(ステップS3)。所定時間を経過した場合(ステップS3)、制御装置2は、警告またはバルブ開処理をする(ステップS4)。具体的には、制御装置2の警告部21が、閉塞の可能性を視覚的または聴覚的に報知する。または、バルブ32がアクチュエータを備えている場合、制御装置2の開閉部22がアクチュエータを制御してバルブ32を開く。
なお、打設によりで管理対象のバルブ32が開状態になった場合、ステップS2にて計測装置が管理対象のバルブ32の閉時間をリセットする。
また、リフレッシュがあった場合、ステップS2にて計測装置が管理対象のバルブ32の閉時間をリセットする。
【0023】
本実施形態によれば、計測装置は、各バルブ32に対応する配管部分内に停滞するコンクリートの停滞時間を管理できる。また、制御装置2は、バルブ32の閉時間に基づいて閉塞する可能性がある配管部分を報知できる。報知に気づいた作業員Mは該当のバルブ32を開くことができる。また、バルブ32が所定のアクチュエータを備え、バルブ32の開閉を自動で行うことができる場合、制御装置2は、アクチュエータを制御して閉塞する可能性がある配管部分に対応するバルブ32を開くことができる。このように、本実施形態によれば、複数の吐出口33を有するコンクリート配管の閉塞を防止することができる。また、バルブ32の閉時間の管理者を不要とし、コンクリート打設の人員を削減できる。
また、リフレッシュされた配管部分におけるコンクリートの停滞時間が0になるので、バルブ32の開閉を複数回行う場合であっても、コンクリートの停滞時間を適切に管理することができる。
また、本実施形態によれば、バルブ32の開閉を判定する機構を簡易な構成で実現できる。
【0024】
[打設管理の具体例]
本実施形態の打設管理システム100によるコンクリートの打設管理の具体例について説明する。
図5は、タブレット端末1の画面表示例である。タブレット端末1の画面は、≪層番号≫エリア、≪バルブ開閉≫エリア、≪閉塞防止≫エリアに分けられている。
≪層番号≫エリアの表示欄51には、現在打設中の層の番号が表示される。
≪バルブ開閉≫エリアの「バルブNo」ボタン52は、バルブ32ごとに用意されている。例えば、3番の「バルブNo」ボタン52を作業員Mがタップすると、タブレット端末1は、3番のバルブ32が開状態であり、現在打設中の箇所であることを記憶する。また、タブレット端末1は、「バルブNo」ボタン52がタップされたタイミングを打設開始時刻として記録する。また、タブレット端末1は、それまで開状態であり、閉状態に変わったバルブ32の打設終了時刻を記録する。タブレット端末1は、現在打設中のバルブ32を示す情報と、打設開始時刻を示す情報と、打設終了時刻を示す情報を制御装置2に送信する。
≪バルブ開閉≫エリアの表示欄53には、現在打設中のバルブ32の番号が表示される。
≪バルブ開閉≫エリアの表示欄54には、現在打設中のバルブ32での打設開始の予定時刻が表示される。タブレット端末1は、制御装置2から計画情報25を読み出して、打設開始の予定時刻を取得できる。
≪バルブ開閉≫エリアの表示欄55には、現在打設中のバルブ32での打設開始の実施時刻が表示される。タブレット端末1は、打設開始の実施時刻を制御装置2に送信し、制御装置2は、打設開始の実施時刻で実施情報26を更新できる。
≪閉塞防止≫エリアの表示欄56には、配管3のバルブ32のうち最も先端(最下流)にあるバルブ32の番号が「先端バルブNo.」として表示される。
≪閉塞防止≫エリアの表示欄57には、「先端バルブNo.」に対応するバルブ32における閉状態の継続時間が「閉塞(経過)時間」として表示される。「先端バルブNo.」に対応するバルブ32以外のバルブでの打設が開始した場合に、閉塞(経過)時間がカウントされる。先端バルブNoのバルブ32での打設を開始した場合、閉塞(経過)時間がリセットされる。また、リフレッシュを行った場合にも閉塞(経過)時間がリセットされる。閉塞(経過)時間が30分を超えた場合、制御装置2の警告部21により、閉塞(経過)時間が赤く表示される。
【0025】
図6は、計画情報、実施情報、差異情報の画面表示例である。制御装置2の表示部23は、計画情報25と、実施情報26と、差異情報27をまとめた管理情報を表形式で表示できる。管理情報は、「層番号」欄と、「バルブNo.」欄と、「打設計画」欄と、「実施打設」欄から構成されている。
「層番号」欄には、打設の層の番号が表示される。
「バルブNo.」欄には、バルブ32の各々を識別する番号が表示される。
「打設計画」欄には、打設の予定を示す情報が表示される。「打設計画」欄は、「開始時刻」欄、「完了時刻」欄、「打設時間(分)」欄、「リフレッシュ」欄に分けられる。
「開始時刻」欄には、各バルブ32での打設開始の予定時刻が表示される。
「完了時刻」欄には、各バルブ32での打設完了の予定時刻が表示される。
「打設時間(分)」欄には、対応のバルブ32での打設の所要予定時間が表示される。
「リフレッシュ」欄には、リフレッシュの有無が表示される。
図6の例では、リフレッシュは、1番のバルブ32での打設のとき(1番のバルブ32が開状態のとき)に行われる。
「打設計画」欄の各種情報は、計画情報25を構成する。
【0026】
「実施打設」欄には、打設の結果を示す情報が表示される。「実施打設」欄には、「開始時刻」欄、「完了時刻」欄、「打設時間(分)」欄、「差異(分)」欄に分けられる。
「開始時刻」欄には、各バルブ32での打設開始の実施時刻が表示される。
「完了時刻」欄には、各バルブ32での打設完了の実施時刻が表示される。
「打設時間(分)」欄には、各バルブ32での打設の所要実施時間が表示される。
「差異(分)」欄には、「打設計画」欄の「完了時刻」欄に表示された時間と、「実施打設」欄の「完了時刻」欄に表示された時間との差分が表示される。
「実施打設」欄のうち「開始時刻」欄と、「完了時刻」欄と、「打設時間(分)」欄の各種情報は、実施情報26を構成する。また、「実施打設」欄の「差異(分)」欄の情報は、差異情報27を構成する。
帳票部24は、「実施打設」欄の「開始時刻」欄と、「完了時刻」欄と、「打設時間(分)」欄の各種情報を出力できる。また、帳票部24は、「打設計画」欄の各種情報や、「実施打設」欄の「差異(分)」欄の情報を出力できる。
【0027】
本具体例によれば、コンクリート打設の進捗状況を容易に確認できる。また、コンクリート打設の記録を容易に管理できる。
【0028】
[変形例]
(a):配管3の形状は、T字型のバルブ32が連結した横引きの形状に限らず、例えば、タコ足型のように配管3の1箇所から3以上分岐した形状でもよいし、L字型でもよい。
(b):バルブ32の分岐箇所の付け根の極めて近い位置にシャッタ35が配置されることが好ましい。
図2や
図3の構成のように、シャッタ35がバルブ32の付け根から下方に離間している場合、バルブ32が閉状態であるとき、シャッタ35とバルブ32との間にコンクリートが停滞し易くなる。よって、バルブ32ごとに開状態にした後リフレッシュを行う必要が高まる。バルブ32の分岐箇所の付け根の極めて近い位置にシャッタ35が配置されている場合、シャッタ35の上面と、配管3の内壁面とがほぼ面一になる、このため、他のバルブ32での打設によるコンクリートの搬送により、バルブ32が閉状態であってもバルブ32の内部に(シャッタ35の上面に)コンクリートが停滞することがほとんどない。その結果、リフレッシュの回数を低減でき、打設作業に要する時間を短縮できる。
【0029】
(c):本実施形態で説明した種々の技術を適宜組み合わせた技術を実現することもできる。
(d):本実施形態で説明したソフトウェアをハードウェアとして実現することもでき、ハードウェアをソフトウェアとして実現することもできる。
(e):その他、本発明の構成要素について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
100 打設管理システム
1 タブレット端末
2 制御装置
21 警告部
22 開閉部
23 表示部
24 帳票部
25 計画情報
26 実施情報
27 差異情報
3 配管
31 供給口
32 バルブ
33 吐出口
34 光電センサ
35 シャッタ
36 反射部
M 作業員