▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003262
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
F25C 1/00 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
F25C1/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104334
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】植田 毅
(72)【発明者】
【氏名】花井 崇
(72)【発明者】
【氏名】荒井 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】山岡 清史
(72)【発明者】
【氏名】山崎 拓也
【テーマコード(参考)】
3L110
【Fターム(参考)】
3L110AA07
(57)【要約】
【課題】見栄えを低下することなく被供給物の供給を非常停止することができるディスペンサを提供する。
【解決手段】フロントパネル22に、手指等の被検知物を非接触で検知する非接触センサ46が配設される。非接触センサ46の検知状態において、シャッタ装置や給水弁が作動して氷や水の被供給物が外部に放出される。フロントパネル22に、フロントカバー26が着脱自在に配設される。フロントパネル22には、フロントカバー26で覆われる部位に、フロントカバー26がフロントパネル22から取り外されたことを検知する近接スイッチ52が配設される。非接触センサ46の検知状態において、フロントカバー26が取り外されたことを近接スイッチ52が検知した場合に、シャッタ装置や給水弁による被供給物の放出を非常停止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被供給物を供給する供給機構(42,44)が配設された本体(10)に、被検知物を非接触で検知可能な非接触検知手段(46)が設けられ、該非接触検知手段(46)の検知に基づいて供給機構(42,44)を作動して被供給物を供給可能なディスペンサにおいて、
前記本体(10)に着脱自在に配設されたカバー(26)と、
前記カバー(26)で覆われる部位に設けられ、該カバー(26)が本体(10)から取り外れされたことを検知するカバー検知手段(52)と、を備え、
前記供給機構(42,44)が作動した状態において、前記カバー(26)が取り外されたことを前記カバー検知手段(52)が検知した場合に、当該供給機構(42,44)の作動を停止する非常停止状態とするよう構成した
ことを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
被供給物を供給する供給機構(42,44)が配設された本体(10)に、被検知物を非接触で検知可能な非接触検知手段(46)が設けられ、該非接触検知手段(46)の検知に基づいて供給機構(42,44)を作動して被供給物を供給可能なディスペンサにおいて、
使用者が操作可能な操作部(30,32,34)を備え、
前記供給機構(42,44)が作動した状態において、前記操作部(30,32,34)が通常操作態様とは異なる非常停止操作態様で操作された場合に、当該供給機構(42,44)の作動を停止する非常停止状態とするよう構成した
ことを特徴とするディスペンサ。
【請求項3】
使用者が操作可能な操作部(30,32,34)を備え、
前記非常停止状態において、前記操作部(30,32,34)が通常操作態様とは異なる停止解除操作態様で操作された場合に、前記非常停止状態を解除するよう構成した請求項1または2記載のディスペンサ。
【請求項4】
使用者が操作可能な操作部(30,32,34)を備え、
前記操作部(30,32,34)が、通常操作態様とは異なる無効操作態様で操作された場合に、前記非接触検知手段(46)の検知を無効とする無効モードに切り替えるよう構成した請求項1~3の何れか一項に記載のディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被供給物を供給可能なディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
被供給物を供給するディスペンサとして、例えば、特許文献1、2に開示されるように、製氷機を備えて、被供給物としての氷を供給し得るディスペンサが知られている。このディスペンサは、本体前部に、下向きに開口する氷の放出部が設けられると共に、該放出部より下側に、コップ等の容器を非接触で検知する非接触スイッチが設けられている。そして、ディスペンサは、放出部の下方に容器が位置付けられたことを非接触スイッチが検知すると、放出部から氷を放出して容器に供給するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4286028号公報
【特許文献2】特開2003-162766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ディスペンサでは、前記非接触スイッチの検知部表面が汚れたり、該検知部表面に異物が付着したり、あるいは非接触スイッチ自体の故障等の不具合を原因として、放出部の下方に容器がないのにも関わらず非接触スイッチが検知状態となって氷が放出されてしまい、該氷が周囲に飛散してディスペンサの周辺を濡らしたり汚したりしてしまう不都合があった。なお、非接触スイッチを被供給物の供給スイッチとして採用する場合には、非接触スイッチの故障に起因して氷が連続放出される異常が発生したときに対処するため、ディスペンサを非常停止するための非常停止スイッチを別途設ける必要があるが、該非常停止スイッチを本体の外部に露出する状態で設ける構成では見栄えが劣る難点がある。また、非接触スイッチ等に不具合がない正常な状態であるのにも関わらず、使用者が非常停止スイッチを誤って操作してしまうと、ディスペンサが非常停止状態となって氷が放出されなくなるため、故障と誤認識してしまう問題を招く。
【0005】
本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、見栄えを低下することなく被供給物の供給を非常停止することができるディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係るディスペンサは、
被供給物を供給する供給機構が配設された本体に、被検知物を非接触で検知可能な非接触検知手段が設けられ、該非接触検知手段の検知に基づいて供給機構を作動して被供給物を供給可能なディスペンサにおいて、
前記本体に着脱自在に配設されたカバーと、
前記カバーで覆われる部位に設けられ、該カバーが本体から取り外れされたことを検知するカバー検知手段と、を備え、
前記供給機構が作動した状態において、前記カバーが取り外されたことを前記カバー検知手段が検知した場合に、当該供給機構の作動を停止する非常停止状態とするよう構成したことを要旨とする。
請求項1の発明では、本体にカバーが取り付けられているディスペンサの通常使用状態では、供給機構を非常停止状態として被供給物の供給を停止するためのカバー検知手段はカバーで覆われて外部に露出していないので、ディスペンサの見栄えを低下することなく被供給物の供給を停止することができる。また、ディスペンサの通常使用状態では、カバーで覆われているカバー検知手段に直接アクセスできないので、正常な状態であるのにカバー検知手段を誤って検知状態としてしまい、ディスペンサが非常停止状態となるのを抑制できる。
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項2の発明に係るディスペンサは、
被供給物を供給する供給機構が配設された本体に、被検知物を非接触で検知可能な非接触検知手段が設けられ、該非接触検知手段の検知に基づいて供給機構を作動して被供給物を供給可能なディスペンサにおいて、
使用者が操作可能な操作部を備え、
前記供給機構が作動した状態において、前記操作部が通常操作態様とは異なる非常停止操作態様で操作された場合に、当該供給機構の作動を停止する非常停止状態とするよう構成したことを要旨とする。
請求項2の発明では、操作部を非常停止操作態様で操作することで、供給機構を非常停止状態として被供給物の供給を停止するよう構成したので、非常停止専用の非常停止スイッチを本体外部に露出して設ける必要はなく、ディスペンサの見栄えを低下することなく被供給物の供給を停止することができる。また、供給機構を非常停止状態とするための操作部の非常停止操作態様は通常操作態様とは異なるので、ディスペンサを誤って非常停止状態としてしまうのを抑制できる。更に、非常停止スイッチを別途設けるものではないので、コストアップを抑制することができる。
【0008】
請求項3に係る発明は、
使用者が操作可能な操作部を備え、
前記非常停止状態において、前記操作部が通常操作態様とは異なる停止解除操作態様で操作された場合に、前記非常停止状態を解除するよう構成したことを要旨とする。
請求項3の発明では、操作部を停止解除操作態様で操作した場合に、供給機構の非常停止状態を解除するようにしたので、意図せずに非常停止状態が解除されてしまうのを防ぐことができる。すなわち、非接触検知手段に係る不具合を解消するまでは非常停止状態を維持しておくことができ、不具合が解消しないまま非常停止状態が解除されることで、不具合に起因する被供給物の異常供給が再発するのを防ぐことができる。
【0009】
請求項4に係る発明は、
使用者が操作可能な操作部を備え、
前記操作部が、通常操作態様とは異なる無効操作態様で操作された場合に、前記非接触検知手段の検知を無効とする無効モードに切り替えるよう構成したことを要旨とする。
請求項4の発明では、操作部を無効操作態様で操作した場合に、非接触検知手段の検知を無効とする無効モードに切り替えるようにしたので、ディスペンサの点検や清掃等のメンテナンスを行う前に無効モードに切り替えておけば、非接触検知手段が検知状態となって被供給物が供給されてしまうことを気にせずにメンテナンスを行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るディスペンサによれば、非接触検知手段の不具合等に起因する被供給物の異常供給を、ディスペンサの見栄えを低下することなく非常停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1に係るディスペンサを示す概略斜視図である。
【
図2】実施例1に係るディスペンサを一部破断して示す要部側面図である。
【
図3】実施例1に係るディスペンサの要部概略断面図である。
【
図4】実施例1に係るディスペンサの制御ブロック図である。
【
図5】実施例2に係るディスペンサの運転処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るディスペンサにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例0013】
図1および
図2に示す如く、実施例1のディスペンサは、箱状の本体10の内部に、製氷機12と、該製氷機12で製造された氷(被供給物)を貯留するストッカ14と、製氷機12の製氷部を冷却する冷凍装置(図示せず)が配設される。また、ストッカ14の前面側に、該ストッカ14からの氷を下方へ放出可能な氷放出部(放出部)16と、水(被供給物、飲料水)を下方へ放出可能な水放出部(放出部)18とが位置すると共に、ストッカ14に貯留されている氷を氷放出部16に供給するための後述するシャッタ装置42が配設されている。本体10は、製氷機12やストッカ14等が収容される筐体部20と、該筐体部20の前面上部に着脱自在に配設されて、下方に開放すると共に前方に突出するフロントパネル22とを備え、該フロントパネル22は、氷放出部16および水放出部18の一部と、シャッタ装置42を前側から覆うように筐体部20に配設される。また、筐体部20の前面下部に、コップ等の容器が載置可能な受け台24が前方へ突出するように設けられている。
【0014】
前記フロントパネル22には、該フロントパネル22で覆われていない前記氷放出部16および水放出部18の下部側を前側から覆うフロントカバー(カバー)26が着脱自在に配設されており、該フロントカバー26をフロントパネル22(本体10)から取り外すことで、氷放出部16および水放出部18の下部側の清掃や点検等のメンテナンスを行い得るよう構成される。フロントカバー26は、氷放出部16および水放出部18の放出口からの氷や水の放出を許容するよう下方に開放しており、氷放出部16および水放出部18から放出される氷や水は、前記受け台24に載置された容器に供給されるようになっている。
【0015】
前記フロントカバー26は、前記フロントパネル22に対して複数の係止手段(図示せず)を介して、工具を用いることなく前側から着脱し得るよう構成される。実施例1では、係止手段として、フロントパネル22の壁に開設した係止孔と、フロントカバー26に設けた係止爪とが採用されて、フロントパネル22の各係止孔に、対応する係止爪を挿入して該係止爪をフロントパネル22の壁に係止することで、当該フロントカバー26がフロントパネル22に取り付けられる。また、フロントパネル22の壁に対する係止爪の係止は、使用者の力によって容易に解除し得るよう構成される。また、フロントカバー26の裏面複数箇所に固定用磁石(図示せず)が配設されると共に、フロントパネル22における各固定用磁石と対応する前面の壁に金属板(磁性体)が設けられており、フロントカバー26は、金属板に固定用磁石を吸着することでもフロントパネル22に位置決め保持されるようになっている。
【0016】
図1に示す如く、前記本体10の外側を構成する前記フロントパネル22には、使用者が手動操作可能な各種のボタンを備えたコントロールパネル28が設けられている。コントロールパネル28には、氷のみの放出を選択する氷選択ボタン30と、氷と水の両方の放出を選択する氷水選択ボタン32と、水のみの放出を選択する水選択ボタン34と、選択ボタン30,32,34で選択した種類の被供給物を放出(供給)するための供給ボタン36とが設けられている。
図4に示す如く、コントロールパネル28は、ディスペンサを制御するための制御手段38に電気的に接続されており、供給ボタン36を操作することで、制御手段38は、後述する供給機構42,44を作動制御して、選択ボタン30,32,34で選択されている被供給物を放出部16,18から放出するよう構成される。なお、コントロールパネル28の裏側に配設された基板40に、選択ボタン30,32,34および供給ボタン36の夫々に対応するスイッチが設けられており、該スイッチによって、手動操作されたボタン30,32,34,36の操作が検知される。実施例1では、供給ボタン36が操作されている状態、すなわち対応するスイッチが操作の検知状態を継続している間に亘って被供給物の放出を継続し、スイッチが操作の非検知状態となったときに被供給物の放出を停止するよう、制御手段38が供給機構42,44を作動制御するよう構成されている。
【0017】
図4に示す如く、前記コントロールパネル28には、前記選択ボタン30,32,34および供給ボタン36の夫々に対応してLED等のランプ30a,32a,34a,36aが設けられ、選択ボタン30,32,34に対応する選択ランプ30a,32a,34aの点灯によって、選択されている被供給物の種類を報知するよう構成される。制御手段38は、選択ボタン30,32,34の何れか1つが操作されると、当該操作された選択ボタン30,32,34に対応する選択ランプ30a,32a,34aを点灯すると共に、操作された選択ボタン30,32,34に対応する種類の被供給物が選択されたことを認識する。また、被供給物の種類が選択されている状態で、別の選択ボタン30,32,34が操作されると、制御手段38は、今まで選択されていた種類の被供給物に対応する選択ボタン30,32,34の選択ランプ30a,32a,34aを消灯し、新たに操作された選択ボタン30,32,34に対応する選択ランプ30a,32a,34aを点灯すると共に、新たに操作された選択ボタン30,32,34に対応する種類の被供給物が選択されたことを認識する。前記供給ボタン36に対応する報知手段としての供給ランプ36aは、点灯によって被供給物を供給可能な状態であることを報知するよう構成される。なお、選択ボタン30,32,34の操作によって被供給物の種類が選択されていることについて、以後、選択ボタン30,32,34が選択されていると云う場合がある。
【0018】
前記本体10の内部に配設される前記製氷機12として、実施例1では公知のオーガ式製氷機12が用いられている。オーガ式製氷機12は、冷凍装置により強制冷却した冷凍ケーシング(製氷部)の内壁面に層状の薄氷を形成し、該薄氷を、冷凍ケーシングの内部に配設したオーガにより削り取りつつ上方に移送する。そして、オーガにより削り取られつつ上方に移送されるフレーク状氷が、押圧頭を通過することで圧縮され、その圧縮された氷が冷凍ケーシングの上部に配設された前記ストッカ14に放出貯留される。また、ストッカ14と前記氷放出部16との間の氷誘導路に、氷供給機構(供給機構)としてのシャッタ装置42が配設されており、前記氷選択ボタン30または氷水選択ボタン32の何れかが選択されている場合に、前記制御手段38は、前記供給ボタン36の操作によって氷誘導路を開放するようにシャッタ装置42を作動制御し、ストッカ14に貯留されている氷は、氷誘導路を介して氷放出部16に誘導され、該氷放出部16から外部に放出される。
【0019】
前記本体10の内部に、水タンクまたは外部水道源に繋がる飲料管(図示せず)が配設されると共に、該飲料管に配設した給水弁44(
図4参照)より下流側に、前記水放出部18が接続されている。そして、前記氷水選択ボタン32または水選択ボタン34の何れかが選択されている場合に、前記制御手段38は、前記供給ボタン36の操作によって給水弁44を開放制御し、水タンクまたは外部水道源からの水が水放出部18から外部に放出される。実施例1では、給水弁44により水供給機構(供給機構)を構成している。水供給機構の給水弁44および前記氷供給機構としてのシャッタ装置42は、前記制御手段38に電気的に接続されている。そして、制御手段38は、前記選択ボタン30,32,34での選択状態に応じてシャッタ装置42や給水弁44を作動制御することで、氷のみ、氷と水、水のみの何れかを放出するよう構成される。すなわち、実施例1のディスペンサは、シャッタ装置42や給水弁44の供給機構によって、複数種類の被供給物(氷のみ、氷と水、水のみ)を選択して供給可能に構成されている。実施例1では、氷誘導路や弁を開放するようシャッタ装置42や給水弁44が作動した状態が、氷や水等の被供給物を供給する状態であり、氷誘導路や弁を閉成するようシャッタ装置42や給水弁44が作動した状態が、氷や水等の被供給物の非供給状態であって、実施例1では、該非供給状態とするべく氷誘導路や弁を閉成するようシャッタ装置42や給水弁44が作動することを、シャッタ装置42や給水弁44の作動を停止するという。
【0020】
図1、
図2に示す如く、前記フロントパネル22に、手指等の被検知物を非接触で検知可能な非接触検知手段としての非接触センサ46が配設されている。実施例1では、非接触センサ46として、反射型の光センサが用いられる。フロントパネル22には、光が透過可能な樹脂板からなるセンサ窓48が設けられ、該センサ窓48の裏側に臨む前記基板40に、センサ窓48に向けて光を照射する非接触センサ46が配設されている。非接触センサ46は、センサ窓48の前方に設定された検知領域に存在する被検知物に反射した光を受光することで、該被検知物の存在を検知する。非接触センサ46は、被検知物の存在を検知すると、前記制御手段38に検知信号を出力するよう構成される。そして、制御手段38は、非接触センサ46から出力される検知信号に基づいて、前記選択ボタン30,32,34での選択状態に応じてシャッタ装置42や給水弁44を作動制御して、氷のみ、氷と水、水のみの何れかを放出するよう構成される。すなわち、実施例1のディスペンサは、供給ボタン36の手動操作および非接触センサ46の検知信号の出力(被検知物の非接触による検知)の何れかに基づいて、被供給物を供給し得るよう構成されている。なお、非接触センサ46の前記検知領域は、センサ窓48の手前約10~50mmの範囲に設定されており、該検知領域において非接触センサ46の手前に手指をかざすことで、非接触センサ46が検知状態となって検知信号を出力するよう構成されている。また、制御手段38は、非接触センサ46が検知信号を出力する状態、すなわち検知状態を継続している間に亘って被供給物の放出を継続し、非接触センサ46が非検知状態となったときに被供給物の放出を停止するよう前記供給機構42,44を作動制御する。
【0021】
図3に示す如く、前記フロントパネル22における前記フロントカバー26で覆われる部位に、前記制御手段38に電気的に接続される電源スイッチ50が設けられており、該電源スイッチ50は、フロントパネル22からフロントカバー26を取り外すことで外部に露出して切替え操作可能となる。電源スイッチ50は、手動操作によりON状態とすることでディスペンサへの通電がONとなり、手動操作によりOFF状態とすることでディスペンサへの通電がOFFとなる。すなわち、電源スイッチ50の切替え操作によって、ディスペンサを、運転可能状態(通電がON)と、運転停止状態(通電がOFF)とに切り替えることができる。
【0022】
図3に示す如く、前記フロントパネル22には、前記フロントカバー26で覆われる部位に、該フロントカバー26がフロントパネル22から取り外されたことを検知するカバー検知手段52が設けられている。実施例1では、カバー検知手段52として近接スイッチ52が採用され、該近接スイッチ52は、フロントカバー26の裏面に配設された検知用磁石54(磁気)を、フロントパネル22にフロントカバー26を取り付けた状態で検知可能に構成されている。すなわち、実施例1では、近接スイッチ52が検知用磁石54を検知することで、フロントパネル22にフロントカバー26が取り付けられていることを検知し、近接スイッチ52が検知用磁石54を検知しなくなる(非検知となる)ことで、フロントパネル22からフロントカバー26が取り外されたことを検知する。近接スイッチ52は、前記制御手段38に電気的に接続されており、該制御手段38は、近接スイッチ52が検知用磁石54を検知する状態では、前記シャッタ装置42および給水弁44への通電をONし、前記供給ボタン36の操作または非接触センサ46の検知によって被供給物の放出が可能な供給可能状態とするよう構成される。これに対し、近接スイッチ52が検知用磁石54を検知しない状態において制御手段38は、シャッタ装置42および給水弁44への通電をOFFし、供給ボタン36の操作または非接触センサ46の検知によっては被供給物を放出しない非常停止状態とするよう構成される。すなわち、シャッタ装置42は、通電OFFにより氷誘導路を閉成して氷の放出を停止すると共に、給水弁44は、通電OFFにより弁を閉成して水の放出を停止するよう構成される。
【0023】
〔実施例1の作用〕
次に、実施例1に係るディスペンサの作用につき説明する。
図3に示す如く、前記フロントパネル22にフロントカバー26を取り付けた状態では、前記近接スイッチ52が前記検知用磁石54を検知しており、前記シャッタ装置42および給水弁44への通電はONとなっている。例えば、前記氷水選択ボタン32が操作されて氷と水が選択されている状態において、前記受け台24に容器を載置したもとで、使用者が前記非接触センサ46の検知領域において該非接触センサ46の前方に手指をかざすと、非接触センサ46は検知状態となって検知信号を前記制御手段38に出力する。該制御手段38は、非接触センサ46から出力される検知信号に基づいて前記シャッタ装置42および給水弁44を、氷誘導路や弁を開放するよう作動制御し、前記氷放出部16および水放出部18から放出される氷および水が容器に供給される。前記検知領域から手指を離間すると、非接触センサ46は非検知状態となり、制御手段38はシャッタ装置42および給水弁44を、氷誘導路や弁を閉成するよう作動制御し、氷と水の放出を停止する。
【0024】
前記センサ窓48の汚れ、異物の付着、または非接触センサ46自体の故障等の不具合に起因して、非接触センサ46が検知状態になると、前記制御手段38は、前記シャッタ装置42および給水弁44を、氷誘導路や弁を開放するよう作動制御するため、使用者が意図していないのに前記放出口から氷と水が放出される事態が発生する。この場合に、前記フロントカバー26をフロントパネル22から取り外すと、前記近接スイッチ52が検知用磁石54を検知しなくなり、制御手段38は、シャッタ装置42および給水弁44への通電をOFFする(シャッタ装置42および給水弁44の作動を停止する非常停止状態とする)。これにより、非接触センサ46が検知状態であってもシャッタ装置42および給水弁44は、強制的に氷誘導路や弁を閉成するよう作動し、氷と水の放出を非常停止することができるので、氷や水が周囲に飛散してディスペンサの周辺が濡れたり汚れたりするのを抑制することができる。
【0025】
実施例1のディスペンサは、前記フロントカバー26で覆われる部位に設けた前記近接スイッチ52が、前記フロントパネル22からフロントカバー26が取り外されたことを検知することで、作動中(氷誘導路や弁を開放中)のシャッタ装置42および給水弁44の作動を停止(氷誘導路や弁を閉成)して非常停止状態とし、被供給物の放出を非常停止し得るよう構成した。すなわち、フロントパネル22にフロントカバー26が取り付けられている、ディスペンサの通常使用状態では近接スイッチ52はフロントカバー26で覆われて外部に露出していないので、ディスペンサの見栄えを低下することなく被供給物の放出を非常停止することができる。また、近接スイッチ52は、ディスペンサの通常使用状態ではディスペンサの外表面に露出しないので、使用者が誤って近接スイッチ52を、検知用磁石54を検知しない状態(フロントパネル22からフロントカバー26が取り外されたことを検知する状態)としてしまうのを防ぐことができ、ディスペンサが正常であるにも関わらず、被供給物を放出できなくなってしまう事態が発生するのを防止することができる。更に、フロントカバー26は、前記氷放出部16および水放出部18の下部側を覆うように機能するものであるので、近接スイッチ52を、フロントパネル22からフロントカバー26が取り外されたことを検知する状態とする専用の部材を設ける必要はなく、コストアップを抑制できる。
【0026】
ここで、前記電源スイッチ50をOFF状態とすることで、ディスペンサへの通電がOFFとなってシャッタ装置42および給水弁44による被供給物の放出を非常停止することは可能であるが、電源スイッチ50のOFF状態では前記オーガ式製氷機12や冷凍装置等の運転も停止する。しかし、実施例1のディスペンサでは、前記フロントカバー26を取り外して被供給物の放出を非常停止した場合は、シャッタ装置42および給水弁44への通電はOFFとなるが、ディスペンサへの通電はONであるから、非常停止状態であっても前記オーガ製氷機12での製氷運転を継続することができる。従って、被供給物の放出が非接触センサ46の故障に起因するものでなく、前記センサ窓48の汚れや異物の付着等に起因している場合は、清掃後に直ぐにディスペンサを使用できる。
【実施例0027】
次に、実施例2に係るディスペンサについて、実施例1の構成と異なる部分についてのみ説明する。また、実施例1で説明した同一部材には、同じ符号を付すものとする。
【0028】
実施例1では、前記フロントパネル22からフロントカバー26を取り外すことで、被供給物の放出を非常停止(シャッタ装置42および給水弁44の作動を停止)するよう構成したが、実施例2では、前記コントロールパネル28に設けられている既存のボタンを用いて、被供給物の放出を非常停止するよう構成している。すなわち、実施例2では、前記3つの選択ボタン30,32,34の内の2つの選択ボタン30,34(実施例2では氷選択ボタンと水選択ボタン)が、特定時間(実施例2では3秒以上)同時に長押しされる操作態様で操作されたと前記制御手段38が判定した場合に、該制御手段38は、前記シャッタ装置42および給水弁44への通電を強制的にOFF(シャッタ装置42および給水弁44の作動を停止して氷誘導路や弁を閉成)し、被供給物の放出を非常停止するよう構成されている。ここで、3つの選択ボタン30,32,34は、1つの選択ボタン30,32,34を、特定時間(3秒)より短かい時間で一度押圧操作することで、被供給物の種類を選択する状態が切り替わるようになっており、1つの選択ボタン30,32,34を、特定時間より短かい時間で一度押圧操作する操作態様が通常操作態様であって、2つの選択ボタン30,34を、同時に特定時間以上長押しする操作態様が、通常操作態様とは異なる非常停止操作態様として設定されている。なお、制御手段38は、2つの選択ボタン30,34に対応する2つのスイッチからのON信号が3秒間連続した場合に、非常停止操作態様で操作されたと判定する。実施例2では、被供給物の放出(供給)に関連する被供給物の種類を選択する状態が操作によって切り替えられる3つの選択ボタン30,32,34が、操作部である。
【0029】
実施例2のディスペンサは、前記2つの選択ボタン30,34を非常停止操作態様で操作することで被供給物の放出を非常停止した非常停止状態において、前記選択ボタン30,32,34を、前記通常操作態様とは異なる停止解除操作態様で操作した場合に、非常停止状態を解除して被供給物の放出が可能な供給可能状態に復帰するよう構成される。具体的に、前記3つの選択ボタン30,32,34の内、非常停止操作態様での組み合わせとは異なる2つの選択ボタン32,34(実施例2では氷水選択ボタンと水選択ボタン)が、特定時間(実施例では3秒以上)同時に長押しされる停止解除操作態様で操作されたと前記制御手段38が判定した場合に、該制御手段38は、前記シャッタ装置42および給水弁44への通電をONし、該シャッタ装置42および給水弁44による被供給物の供給の非常停止状態を解除して供給可能状態に復帰する。なお、制御手段38は、2つの選択ボタン32,34に対応する2つのスイッチからのON信号が3秒間連続した場合に、停止解除操作態様で操作されたと判定する。
【0030】
また、実施例2のディスペンサは、ディスペンサが正常に被供給物を放出可能な供給可能状態(非接触センサ46による被検知物の検知を有効とする通常モード)において、前記選択ボタン30,32,34を、前記通常操作態様とは異なる無効操作態様で操作した場合に、前記非接触センサ46による被検知物の検知を無効とする無効モードに切り替えるよう構成される。具体的に、前記3つの選択ボタン30,32,34の内、前記非常停止操作態様および停止解除操作態様での組み合わせとは異なる2つの選択ボタン30,32(実施例2では氷選択ボタンと氷水選択ボタン)が、特定時間(実施例では3秒以上)同時に長押しされる無効操作態様で操作されたと前記制御手段38が判定した場合に、該制御手段38は、非接触センサ46による被検知物の検知を無効とする無効モードに、通常モードから切り替える。すなわち、無効モードでは、前記供給ボタン36の操作のみによって、被供給物を放出することが可能となる。また、実施例2のディスペンサは、無効モードにおいて、選択ボタン30,32,34を、通常操作態様、非常停止操作態様、停止解除操作態様および無効操作態様とは異なるモード切替え操作態様で操作した場合に、無効モードから通常モードに切り替えるよう構成される。具体的に、3つの選択ボタン30,32,34が、特定時間(実施例では3秒以上)同時に長押しされるモード切替え操作態様で操作されたと制御手段38が判定した場合に、該制御手段38は、無効モードから通常モードに切り替える。なお、制御手段38は、2つの選択ボタン30,32に対応する2つのスイッチからのON信号が3秒間連続した場合に、無効操作態様で操作されたと判定すると共に、3つの選択ボタン30,32,34に対応する3つのスイッチからのON信号が3秒間連続した場合に、モード切替え操作態様で操作されたと判定する。
【0031】
前記制御手段38は、前記選択ボタン30,34が非常停止操作態様で操作されたことに基づいて非常停止状態とした場合に、前記供給ランプ36aを、被供給物の放出が可能であることを報知する点灯から消灯に状態を切り替えて、被供給物の放出が非常停止されたことを報知するよう構成される。また、制御手段38は、選択ボタン30,32が無効操作態様で操作されたことに基づいて無効モードに切り替えた場合に、供給ランプ36aを点滅するように状態を切り替えることで、無効モード、すなわち非接触センサ46の検知による被検知物の放出が規制されたことを報知するよう構成される。なお、供給ランプ36aによって被供給物の放出が非常停止されたことや無効モードに切り替えられたことを報知する状態の変化としては、消灯や点滅に限らず、点灯色を異ならせること(例えば、通常モードでは青、非常停止状態では赤、無効モードでは黄に切り替える等)等を採用することができる。
【0032】
〔実施例2の作用〕
次に、実施例2に係るディスペンサの前記制御手段38で実行する、前記非接触センサ46に関連する運転処理について、
図5を参照して説明する。
制御手段38は、ステップS10において、前記選択ボタン30,32が無効操作態様で操作されたか否かを判定し、該ステップS10の判定結果が否定(すなわち、通常モード)の場合は、ステップS11に移行し、前記非接触センサ46が検知状態か否かを判定する。ステップS11の判定結果が否定(すなわち、非接触センサ46が被検知物を検知していない非検知状態)の場合は、制御手段38は運転処理を繰り返す。ステップS11の判定結果が肯定の場合、制御手段38は、前記シャッタ装置42および給水弁44を、氷誘導路や弁を開放するよう作動制御し、被供給物を放出する(ステップS12)。
【0033】
次に、前記制御手段38は、前記選択ボタン30,34が、非常停止操作態様で操作されたか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13の判定結果が否定の場合、制御手段38はステップS14に移行し、前記非接触センサ46が非検知状態となったか否かを判定し、該ステップS14の判定結果が否定の場合、ステップS12に戻って被供給物の放出を継続する。そして、ステップS14の判定結果が肯定の場合、制御手段38は、前記シャッタ装置42および給水弁44を、氷誘導路や弁を閉成するよう作動制御して、被供給物の放出を停止する(ステップS15)。
【0034】
前記被供給物の放出中(シャッタ装置42や給水弁44が氷誘導路や弁を開放する作動中)において、前記ステップS13の判定結果が肯定となった場合、制御手段38は、前記シャッタ装置42および給水弁44への通電を強制的にOFFすることで、該シャッタ装置42および給水弁44を、氷誘導路や弁を閉成するよう作動制御(作動を停止)し、被供給物の放出を非常停止する(ステップS16)。すなわち、前記非接触センサ46等の不具合によって、被供給物が異常放出されている状態で、前記選択ボタン30,34を非常停止操作態様で操作することで、被供給物の放出を非常停止することができる。従って、氷や水が周囲に飛び散って周囲が濡れたり汚れたりするのを抑制することができる。
【0035】
前記制御手段38は、被供給物の非常停止状態において、ステップS17で前記選択ボタン32,34が停止解除操作態様で操作されたか否かを判定し、該ステップS17の判定結果が否定の場合は、当該ステップS17を繰り返す。そして、ステップS17の判定結果が肯定の場合、制御手段38は非常停止状態を解除する(ステップS18)。すなわち、制御手段38は、シャッタ装置42および給水弁44への通電をONし、被供給物を放出可能な供給可能状態に復帰させる。
【0036】
前記ステップS10の判定結果が肯定の場合、すなわち前記選択ボタン30,32が無効操作態様で操作されたと前記制御手段38が判定した場合は、ステップS19に移行して無効モードに切り替える。すなわち、前記非接触センサ46の検知は無効とされ、清掃等のメンテナンスに際して非接触センサ46の検知領域で作業を行っても、前記放出部16,18から氷や水は放出されず、該氷や水が周囲に飛び散って周囲が濡れたり汚れたりするのを防ぐことができる。
【0037】
前記制御手段38は、無効モードにおいて、前記選択ボタン30,32,34が、モード切替え操作態様で操作されたか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20の判定結果が否定の場合、制御手段38はステップS20を繰り返す。ステップS20の判定結果が肯定の場合、制御手段38は無効モードから通常モードに切り替える(ステップS21)。
【0038】
実施例2のディスペンサでは、既存の選択ボタン30,32,34を用いて被供給物の放出を非常停止する(シャッタ装置42や給水弁44を非常停止状態とする)よう構成したので、非常停止専用の非常停止スイッチを本体外部に露出して設ける必要はなく、ディスペンサの見栄えを低下することなく被供給物の供給を非常停止することができる。また、既存の選択ボタン30,32,34を用いることで、コストアップを抑制できる。更に、シャッタ装置42や給水弁44による被供給物の供給を非常停止させるために選択ボタン30,32,34を操作する際の非常停止操作態様は、通常操作態様とは異なるので、ディスペンサを誤って非常停止状態としてしまうのを抑制できる。
【0039】
実施例2のディスペンサでは、前記選択ボタン30,32,34を停止解除操作態様で操作することで、被供給物の放出を非常停止した非常停止状態を解除して、通常の供給可能状態に復帰するよう構成したので、意図せずに非常停止状態が解除されてしまうのを防ぐことができる。すなわち、非接触センサ46に係る不具合を解消するまでは非常停止状態を維持しておくことができ、不具合が解消しないまま非常停止状態が解除されることで、不具合に起因する被供給物の異常放出が再発するのを防ぐことができる。また、既存の選択ボタン30,32,34を用いて供給可能状態に復帰するよう構成したので、専用の復帰ボタン等を設けることによるデザインの変更やコストアップを抑制できる。
【0040】
実施例2のディスペンサでは、前記選択ボタン30,32,34を無効操作態様で操作することで、前記非接触センサ46の検知を無効とする無効モードに切り替えるようにしたので、ディスペンサの点検や清掃等のメンテナンスを行う前に無効モードに切り替えておけば、非接触センサ46が検知状態となって被供給物が放出されてしまうことを気にせずにメンテナンスを行うことができる。また、既存の選択ボタン30,32,34を用いて無効モードに切り替えるよう構成したので、専用のモード切替えボタン等を設けることによるデザインの変更やコストアップを抑制できる。
【0041】
ここで、ディスペンサでは、前記電源スイッチ50をOFF状態に切り替えれば、ディスペンサを運転停止状態とすることはできるが、電源スイッチ50を操作するためには、前記フロントカバー26を取り外す作業が必要となり、手間が掛かる。これに対し、実施例2のディスペンサは、フロントカバー26を取り外すことなく、フロントパネル22に設けられた既存の選択ボタン30,32,34を無効操作態様で操作するだけで非接触センサ46の検知を無効とすることができるので、手間がない。なお、清掃作業に限らず、ディスペンサの配置を替える際等においても、手間なく非接触センサ46の検知を無効とすることができるので、使用者(ユーザ)の負担を軽減できる。また、無効モードへの切り替えには、無効操作態様で選択ボタン30,32,34を操作する必要があるので、該無効操作態様を知らない一般の客等が、選択ボタン30,32,34を操作することで、誤って無効モードに切り替わってしまうのを防ぐことができる。
【0042】
〔変更例〕
本発明は実施例1、2の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例1、2に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 実施例1、2において、非接触検知手段は、光センサに限らず、誘導型、静電容量型、超音波型、磁気型等の各種センサやスイッチを採用することができる。
(2) 実施例1、2では、製氷機としてオーガ式製氷機を用いたが、噴射式や流下式等、各種方式の製氷機を採用することができる。
(3) 実施例1、2では、氷と水とを供給可能な構成のディスペンサで説明したが、氷とジュースやコーラ等の飲料を供給可能なディスペンサ、あるいは、氷のみ、または飲料のみを供給するディスペンサであってもよい。また、被供給物としては、氷、水、飲料に限らず、供給機構によって供給可能な味噌原料やスープ原料とお湯とを放出することで、味噌汁やスープを供給し得るディスペンサであってもよい。
(4) 実施例1、2では、筐体部と、該筐体部に対して着脱自在に配設されるフロントパネルとから本体を構成したが、筐体部とフロントパネルとは一体であってもよい。
(5) 実施例1、2では、非接触センサの検知状態が継続する間、被供給物の放出(供給)を継続するよう構成したが、非接触センサが1回検知状態となった場合(非検知状態→検知状態→非検知状態となった場合)に、供給機構が所定時間だけ被供給物を供給するよう作動した後に停止することで、被供給物を所定量だけ供給する構成であってもよい。
【0043】
(6) 実施例1におけるフロントカバーの取り外しによって供給機構の作動を停止する非常停止状態として被供給物を非常停止する構成と、実施例2における既存の選択ボタンを非常停止操作態様で操作することで供給機構の作動を停止する非常停止状態として被供給物を非常停止する構成との両構成を備えるようにしてもよい。
(7) 実施例1において、フロントカバーの着脱状態を検知するカバー検知手段は、磁気型の近接スイッチに限らず、誘導型、静電容量型、超音波型、光電型等の各種センサやスイッチを採用することができる。また、フロントカバーの着脱状態を検知するカバー検知手段は、該カバーに設けた突片の接触によって状態が切り替わる接触型の各種スイッチを採用することができる。
(8) 実施例1において、供給機構に電力を供給する電源供給回路中に、該回路を開状態および閉状態に切り替えるように近接スイッチを設け、フロントパネルにフロントカバーが取り付けられている状態では近接スイッチによって電源供給回路が閉となって供給機構への通電がONとなり、フロントパネルからフロントカバーが取り外されると近接スイッチによって電源供給回路が開となって供給機構への通電がOFFする構成を採用することができる。
(9) 実施例1において、近接スイッチが検知する専用の検知用磁石をフロントカバーに設けたが、該フロントカバーをフロントパネルに位置決めする固定用磁石を、検知用磁石として兼用する構成を採用することができる。
【0044】
(10) 実施例2において、選択ボタンを操作する非常停止操作態様、停止解除操作態様、無効操作態様およびモード切替え操作態様は、複数の選択ボタンを長押しする態様に限らず、複数の選択ボタンを予め設定された順序で操作する態様や、特定の1つの選択ボタンを断続的に複数回操作(押圧操作)する態様等、単に被供給物の種類を選択するために操作する通常操作態様とは異なる態様であればよい。
(11) 実施例2では、非常停止操作態様、停止解除操作態様、無効操作態様およびモード切替え操作態様として、組み合わせが異なる選択ボタンを用いたが、供給ボタンを含めて、組み合わせが異なる複数のボタンを操作する態様とすることもできる。
(12) 実施例2における選択ボタンの停止解除操作態様、無効操作態様およびモード切替え操作態様の操作によって非常停止状態を解除したり、無効モードや通常モードに切り替える構成を、実施例1に採用することができる。
(13) 実施例2において、無効モードにおいてモード切替え操作態様で選択ボタンを操作することで通常モードに切り替わるよう構成したが、無効モードに切り替わってから所定時間(例えば20秒)が経過したと制御手段が判定した場合に、自動で無効モードから通常モードに切り替わる構成を採用することができる。
(14) 実施例2では、非常停止操作態様、停止解除操作態様、無効操作態様における操作する選択ボタンの数が同じ場合で説明したが、各操作態様で選択ボタンの数が異なるものとしてもよい。
(15) 実施例2の変更例として挙げた上記各変更例は、本発明の主旨の範囲内において実施例1に採用することができる。