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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032709
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】発光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/64 20100101AFI20230302BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20230302BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230302BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20230302BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230302BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230302BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20230302BHJP
【FI】
H01L33/64
H01L33/62
F21S2/00 100
F21V33/00 400
F21V23/00 150
F21Y115:10 300
F21Y105:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138992
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】今井 貞人
(72)【発明者】
【氏名】大森 祐治
【テーマコード(参考)】
3K014
5F142
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014DA08
3K014RB00
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA03
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD13
5F142CF02
5F142CF23
5F142CF42
5F142CG03
5F142DA02
5F142DA12
5F142DA23
5F142DA72
5F142DA73
5F142DB24
5F142DB60
5F142GA26
5F142GA31
5F142GA40
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、発光素子からの発熱を利用して、省エネルギー化を達成することを可能とする発光モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】熱伝導性の基板(10)と、基板に実装された第1の発光素子(41)と、基板上に配置され且つ外部電源からの供給された電力を第1の発光素子へ供給するための第1の端子対(21,22)と、基板に実装された第2の発光素子(42)と、基板と接続された熱電発電モジュール(50)と、第1の端子対とは電気的に絶縁され、基板上に配置され、第1の発光素子が発する熱により熱電発電モジュールで発電された電力を第2の発光素子へ供給するための配線(27,28)と、を有する発光モジュール(1)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性の基板と、
前記基板に実装された第1の発光素子と、
前記基板上に配置され、外部電源からの供給された電力を前記第1の発光素子へ供給するための第1の端子対と、
前記基板に実装された第2の発光素子と、
前記基板と接続された熱電発電モジュールと、
前記第1の端子対とは電気的に絶縁され、前記基板上に配置され、且つ、前記第1の発光素子が発する熱により前記熱電発電モジュールで発電された電力を前記第2の発光素子へ供給するための配線と、
を有することを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
前記基板上に配置され、開口部を有し、且つ、前記第1の端子対及び前記配線を有する回路基板を更に有し、
前記第1の発光素子及び前記第2の発光素子は、前記開口部の内側で前記基板上に実装されている、請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記熱電発電モジュールの前記基板側の表面が、前記開口部の内側全体に対応する前記基板の裏側表面を覆うように配置されている、請求項2に記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記回路基板は、前記配線と接続された第2の端子対を有し、
前記熱電発電モジュールは前記第2の端子対と電気的に接続されている、請求項2又は3に記載の発光モジュール。
【請求項5】
前記第1の発光素子の個数は、前記第2の発光素子の個数より多く、
複数の前記第1の発光素子の周囲に複数の前記第2の発光素子が配置されている、請求項1~4の何れか一項に記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子、例えばLED(light emitting diode)チップを利用した発光モジュールでは、更なる省エネルギー化が求められている。LEDチップは供給される電力の約65%程度が熱として排出されている事から、省エネルギー化を考える上で、どの様に排熱を利用するかが重要である。
【0003】
なお、発光素子の一例である、紫外線を出力するUV(ultra violet)チップでは、LEDチップよりも熱効率が悪く、供給される電力の90%以上が熱として排出される事から、同様に省エネルギー化が求められている。
【0004】
基板上にLEDチップを実装し、基板中にLEDチップによる熱によって発電する熱電発電モジュールを配置して、外部入力電力と熱電発電モジュールによる補助入力電力とをLEDチップに供給するドライバー回路を有する発電機能付き発光装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-113694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される発光装置では、外部入力電力と熱電発電モジュールによる補助入力電力とをLEDチップに供給するドライバー回路が必要な事から、発光装置の大型化、部品点数の増加等が必須であった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、簡単な構成で、発光素子からの発熱を利用して、省エネルギー化を達成することを可能とする発光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光モジュールは、熱伝導性の基板と、基板に実装された第1の発光素子と、基板上に配置され、外部電源からの供給された電力を前記第1の発光素子へ供給するための第1の端子対と、基板に実装された第2の発光素子と、基板と接続された熱電発電モジュールと、第1の端子対とは電気的に絶縁され、基板上に配置され、且つ、第1の発光素子が発する熱により前記熱電発電モジュールで発電された電力を第2の発光素子へ供給するための配線と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記の発光モジュールでは、基板上に配置され、開口部を有し、且つ、第1の端子対及び配線を有する回路基板を更に有し、第1の発光素子及び第2の発光素子は、開口部の内側で前記基板上に実装されている、ことが好ましい。
【0010】
上記の発光モジュールでは、熱電発電モジュールの基板側の表面が、開口部の内側全体に対応する基板の裏側表面を覆うように配置されている、ことが好ましい。
【0011】
上記の発光モジュールでは、回路基板は、配線と接続された第2の端子対を有し、熱電発電モジュールは第2の端子対と電気的に接続されている、ことが好ましい。
【0012】
上記の発光モジュールでは、第1の発光素子の個数は、第2の発光素子の個数より多く、複数の第1の発光素子の周囲に複数の第2の発光素子が配置されている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る発光モジュールは、簡単な構成で、発光素子からの発熱を発光モジュールからの発光に転換可能な発光モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】発光モジュール1の上面図である。
図2】発光モジュール1からソルダーマスク13、ダム材20及び封止材30を取り除いた平面図である。
図3】発光モジュール1の下面図である。
図4図1に示すA-A線に沿う断面図である。
図5】発光モジュール1の回路図である。
図6】熱電発電モジュール50の概要を示した図である。
図7】発光モジュール2の平面図である。
図8】発光モジュール3の斜視図である。
図9】発光モジュール3の上面図である。
図10】発光モジュール3の図9のB-B線における断面図である。
図11】発光モジュール3の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る発光モジュールについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
図1は、本発明の実施形態1に係る発光モジュール1の上面図であり、図2は発光モジュール1からソルダーマスク13、ダム材20及び封止材30を取り除いた平面図であり、図3は発光モジュール1の下面図であり、図4図1のA-A線における断面図である。
【0017】
発光モジュール1は、実装基板10の上に配置された回路基板11、実装基板10上に実装された複数の第1のLEDチップ41、複数の第2のLEDチップ42、ダム材20の内側に配置された封止材30等から構成される。また、実装基板10の裏面には熱電発電モジュール50が配置されている。
【0018】
実装基板10は、複数の第1のLEDチップ41及び複数の第2のLEDチップ42が実装される平坦なアルミニウム製の基板であり、図中の右上及び左下に扇状の切かけと、ネジ等で他の基板等に接続するための孔が設けられている。図1に示す実装基板10の外形形状は一例であって、他の形状を有していても良い。実装基板10は、複数の第1のLEDチップ41が発生した熱を、裏面に配置された熱発電モジュールへ伝える必要があるため、熱伝導性を有する事が必要であり、例えば、アルミニウム、銅、セラミック等の熱伝導性が高い材料から構成されることが好ましい。
【0019】
回路基板11は、ガラスエポキシ素材で形成された絶縁性の基板であり、中央に開口部12が形成され、複数の配線パターンが形成されている。配線パターンとしては、不図示の外部電源と接続される第1の一対の端子電極21、22、アノード側の第1の端子電極21と接続された円弧形状の第1の配線電極23、及び、カソード側の第1の端子電極22と接続された円弧形状の第2の配線電極24が、回路基板11の上面に配置されている。また、熱電発電モジュール50と接続される第2の一対の端子電極25、26、アノード側の第2の端子電極25と接続された円弧形状の第3の配線電極27、及び、カソード側の第2の端子電極26と接続された円弧形状の第4の配線電極28が、回路基板11の上面に配置されている。
【0020】
回路基板11上に形成された配線パターンは、例えば、金メッキ層により構成されるが、他の金属等によって構成されても良い。なお、第1及び第2の端子電極21、22、25、26の近傍に形成されている極性マーク(「+」及び「-」)も、配線パターンと同様に、金メッキ層により構成される。図2に示すように、第1の配線電極23及び第2の配線電極24の外側に、第3の配線電極27及び第4の配線電極28が配置されているが、逆に配置しても良い。
【0021】
回路基板11の上面は、第1の一対の端子電極21、22、第2の一対の端子電極25、26、及び、極性パターン、ダム材20以外の表面は、短絡防止等の為に、ソルダーマスク13によって被膜されている(図1参照)。
【0022】
発光モジュール1においては、回路基板11の開口部12の内側に全ての第1のLEDチップ41及び第2のLEDチップ42が実装されているので、開口部12の内側における実装基板10の表面は、LEDチップの実装領域14という事ができる。
【0023】
発光モジュール1において、発光素子の一例として用いられている第1のLEDチップ41及び第2のLEDチップ42は共に、発光波長帯域が450~460nm程度の青色光を発光する青色LED半導体素子を利用している。第1のLEDチップ41及び第2のLEDチップ42の上面には、一対の素子電極が配置され、一対の素子電極間に所定電圧以上の電圧が付与されると、流れる電流に応じた光量の青色光を出射する。
【0024】
第1のLEDチップ41は、第1の配線電極23及び第2の配線電極24の間に、12個ずつ直列且つ3列並列で、計36個が接続されている。第2のLEDチップ42は、第3の配線電極27及び第4の配線電極28の間に、4個ずつ直列且つ3列並列で、計12個が接続されている。なお、第1のLEDチップ41及び第2のLEDチップ42に個数及び配列方法は一例であって、他の方式を採用しても良い。
【0025】
複数の第1のLEDチップ41及び複数の第2のLEDチップ42は、金線のボンディングワイヤ45により相互に、及び、各配線電極と接続されている。また、複数の第1のLEDチップ41及び複数の第2のLEDチップ42は、例えば透明な絶縁性の接着剤(ダイボンド)などにより、実装基板10の上面の実装領域14に直接固定されている。
【0026】
参照符号43で示す部品は、第1の配線電極23と第2の配線電極24の間に過電圧が印加されたときに第1のLEDチップ41を保護するツェナーダイオード素子である。なお、第3の配線電極27と第4の配線電極28の間に他のツェナーダイオード素子を配置しても良い。
【0027】
ダム材20は、充填された封止材30の流出を防ぐ円環状の枠体であり、回路基板11上の第1の配線電極23、第2の配線電極24、第3の配線電極27、第4の配線電極28、及び、ツェナーダイオード素子43と重なる位置に配置される。ダム材20は、また、複数の第1のLEDチップ41及び複数の第2のLEDチップ42を取り囲むように形成されている。ダム材20は、シリコーン樹脂に酸化チタン(又はシリカ)を混合した反射性の白色樹脂で構成されており、複数の第1のLEDチップ41及び複数の第2のLEDチップ42から側方に出射された光を反射させる。発光モジュール1では、複数の第1のLEDチップ41及び複数の第2のLEDチップ42からの出射光が実装基板10およびダム材20によって上方に反射するので、出射効率が高い。
【0028】
図2においては、ダム材20の基部の位置を点線で示している。なお、図1では、ダム材20の幅が、図2に示したダム材20の幅より狭くなっているが、それは封止材30がダム材20の上部まで充填されているからである。図2に示したダム材20の外形形状は一例であって、楕円形上、矩形形状、又は、多角形形状としても良い。
【0029】
封止材30は、回路基板11上に配置されたダム材20で囲まれる部分に注入(充填)されて略円板状に硬化され、複数の第1のLEDチップ41及び複数の第2のLEDチップ42を一体に被覆し保護(封止)する。封止材30としてシリコーン樹脂が用いられるが、封止材30として、無色かつ透明で且つ250℃程度の耐熱性を有する他の樹脂、及び、250~350℃程度の耐熱性を有するガラス材を利用しても良い。
【0030】
封止材30には、複数の第1のLEDチップ41及び複数の第2のLEDチップ42からの出射光の波長を変換する蛍光体が混入されている。封止材30は、こうした蛍光体として、YAG(yttrium aluminum garnet)などの黄色蛍光体を含有する。発光モジュール1は、青色LEDからの青色光と、それによって黄色蛍光体を励起させて得られる黄色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。
【0031】
前述した黄色蛍光体は一例であって、封止材30は、他の蛍光体を含有することもできる。例えば、封止材30は、緑色蛍光体と赤色蛍光体の2種類を含有してもよい。この場合、発光モジュール1は、青色LEDからの青色光と、それによって緑色蛍光体および赤色蛍光体を励起させて得られる緑色光および赤色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。緑色蛍光体としては、青色LEDが出射した青色光を吸収して緑色光に波長変換する、(BaSr)2SiO4:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料を用いることができる。赤色蛍光体としては、青色LEDが出射した青色光を吸収して赤色光に波長変換する、CaAlSiN3:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料を用いることができる。
【0032】
前述した緑色蛍光体及び赤色蛍光体は一例であって、封止材30は、前述した黄色蛍光体に少量の緑色蛍光体や少量の赤色蛍光体を添加しても良い。この場合、発光モジュール1は、青色LEDからの青色光と、それによって黄色蛍光体を励起させて得られる黄色光とを混合させることで得られる白色光を基本とし、同じく励起された緑色光や赤色光も混合されることで、前述の組み合わせほどではないが、演色性を高めた白色光を出射することができる。
【0033】
熱電発電モジュール50は、ゼーベック効果を用いた発電モジュールで、モジュールの上下面に温度差が生じると熱電変換材料が起電力を発生し、これに伴う電力を取り出すことができる様に構成されおり、詳細な構造については後述する。なお、熱電発電モジュール50として、異常ネルンストン効果、スピンゼーベック効果、ナローバンドギャップ効果等の他の方式に基づく熱電発電モジュールを用いても良い。
【0034】
熱電発電モジュール50は耐熱性接着材により実装基板10の裏面に接着されており、主に、第1のLEDチップ41が発光時に発生する熱を利用して、第3の一対の端子電極51、52間に起電力を発生する。プラス側の第3の端子電極51は、絶縁被膜を伴った導線53によって、アノード側の第2の端子電極25と接続され、マイナス側の第3の端子電極52は、絶縁被膜を伴った導線54によって、カソード側の第2の端子電極26と接続されている。このような構成によって、熱電発電モジュール50が発電した電力が、第2のLEDチップ42へ供給されることとなる。
【0035】
図3では、熱電発電モジュール50の配置位置を示すために、図2と同様に、ダム材20の基部の位置を点線で示している。全ての複数の第1のLEDチップ41は、開口部12の内側に配置されているので、熱電発電モジュール50の実装基板10側の表面が、開口部12の内側全体に対応する実装基板10の裏側両面を覆うように配置されている。
【0036】
図5は、発光モジュール1の回路図である。
【0037】
発光モジュール1では、外部電源100から、所定の電圧が第1の端子電極21及び22に印加されると、第1の配線電極23及び第2の配線電極24間に接続された複数の第1のLEDチップ41が点灯する。熱電発電モジュール50から所定の電圧が、導線53、54を経由して、第2の端子電極25及び26に印加されると、第3の配線電極27及び第4の配線電極28間に接続された複数の第2のLEDチップ42が点灯する。
【0038】
また、ツェナーダイオード素子43が、第1の配線電極23及び第2の配線電極24との間に配置されている。
【0039】
図6は、熱電発電モジュール50の概要を示した図である。
【0040】
熱電発電モジュール50は、セラミック等で形成された第1基板61及び第2基板62、第1基板61に配置された第1電極63、第1電極63と接続されたp型熱電導体66及びn型熱電導体67、及び、外枠68等を含んで構成されている。また、p型熱電導体66は第2基板62上に配置された第2電極64と接続され、n型熱電導体67は第2基板62上に配置された第3電極65と接続され、第2電極64は端子電極51と接続され、第3電極65は端子電極52と接続されている。
【0041】
第1基板61は高熱側である実装基板10の裏面に配置されている。ゼーベック効果により、第1基板61側が第2基板62側より高熱となると、p型熱電導体66では第1電極63から第2電極64に向けて正孔が移動し、n型熱電導体67では第1電極63から第3電極65に向けて電子が移動して、第3の一対の端子電極51、52間に電流が流れるようになる。
【0042】
上述した熱電発電モジュール50の構成は一例であって、他の熱電発電モジュールを利用しても良い。
【0043】
以下、発光モジュール1の動作について説明する。
【0044】
外部電源100から供給された電力により第1のLEDチップ41が発光し、発光に伴って発生する熱が、実装基板10を介して、熱電発電モジュール50の実装基板10と接合している側の面を加熱する。すると、熱電発電モジュール50が発電し、発電による電力が第2のLEDチップ42に供給されて第2のLEDチップ42が発光する。したがって、これまで、廃棄されていた熱を利用して、第2のLEDチップ42を点灯させているので、発光モジュール1の発光光量が、第2のLEDチップの発光光量分だけ、外部電源からの供給電力のみよりも増加することとなる。
【0045】
熱電発電モジュール50の受熱面である第1基板61は、実装基板10の裏面において、少なくとも、実装領域14全体を覆うように配置されているので、外部電源から供給される電力によって発光する複数の第1のLEDチップ41が発する熱を効率良く利用することが可能となる。
【0046】
発光モジュール1では、外部電源から供給される電力によって発光する複数の第1のLEDチップ41の周囲に、熱電発電モジュール50から供給される電力によって発光する複数の第2のLEDチップ42を配置している。これは、熱電発電モジュール50による起電力が常に一定でなく、その為に複数の第2のLEDチップ42の発光光量が常に一定でない場合にも、発光モジュール1の発光プロファイルに大きな影響を与えない為である。複数の第1のLEDチップ41の個数と複数の第2のLEDチップ42の個数は任意に選択することが可能である。しかしながら、熱電発電モジュール50による起電力が常に一定でない場合を考慮して、第2のLEDチップ42の個数を、第1のLEDチップ41の個数より少なく、例えば、1/3以下とすることが好ましい。
【0047】
発光モジュール1では、熱電発電モジュール50から供給される電力を調整及び/又は蓄電する電子回路を設けていない。例えば、熱電発電モジュール50及び外部電源から供給される電力を合わせて、所定のLEDチップ等に供給するようにするためには、熱電発電モジュール50から供給される電力を昇圧や所定電圧に維持する機能を有するドライバー回路等が必要となり、コストアップ且つモジュールの大型化を招くこととなる。また、LEDチップは、順方向降下電圧(Vf:約3(v))以上の電圧が印加されないと発光しない。そこで、発光モジュール1では、外部電源から供給される電力により第1のLEDチップ41を発光させる系統と、熱電発電モジュール50から供給される電力により第2のLEDチップ42を発光させる系統を分離している。また、発光モジュール1では、熱電発電モジュール50に第2のLEDチップ42を直接接続しており、接続される第2のLEDチップ42に相当するVf以上の起電力(図2の例では、3.0×4=12(v))が熱電発電モジュール50で発生しなければ第2のLEDチップ42は発光しないので、補助的回路を設けなくても問題は生じない。熱電発電モジュール50を利用する場合、温度差に応じて起電力が変動する為、通常は電圧を昇圧や所定電圧に維持する機能を有する補助的回路等が必要となるが、Vf以上の電圧が印加されないと発光しないLEDチップと組み合わせて使用する際には、補助的回路無しでも問題は生じない。
【0048】
図7は、実施形態1の変形例である、発光モジュール2の平面図である。
【0049】
図7では、発光モジュール2から封止材30、ボンディングワイヤ45、不図示の熱電発電モジュール50からの導線53、54を除いて示している。発光モジュール2において、発光モジュールと同じ構成には同じ番号を付している。発光モジュール2では、実装基板10の形状、第1の一対の端子電極21、22及び第2の一対の端子電極25、26の形状、及び、第1のLEDチップ41及び第2のLEDチップ42の個数を除いて、発光モジュール1と同等の構成を有している。
【0050】
図7に示すように、発光モジュール2は、342個の第1のLEDチップ41、及び、38個の第2のLEDチップ42を有しており、第1のLEDチップ41の周囲に第2のLEDチップ42が配置されている。なお、図7において、第2のLEDチップ42と明示していないLEDチップは全て第1のLEDチップである。
【0051】
発光モジュール2においても、不図示の外部電源から電力の供給を受けて複数の第1のLEDチップが点灯し、点灯に伴って発生する熱を利用して熱電発電モジュール50が発電を行う。熱電発電モジュール50から電力の供給を受けて複数の第2のLEDチップ42が点灯する。上述したように、第1のLEDチップ41及び第2のLEDチップ42の個数は任意である。
【0052】
上述した実施形態1及び2では、発光モジュールの発光素子として、発光波長帯域が450~460nm程度の青色光を発光する青色LED半導体素子である第1のLEDチップ及び第2のLEDチップを用いている。しかしながら、発光素子として、可視光領域の光を出射するLEDチップ、紫外線(発光波長帯域:200~460nm)を出射するUVチップ、及び、赤外線(発光波長帯域:700~1000nm)を出射するIR(infra)チップ等を利用することが可能である。
【0053】
上述した実施形態1及び2では、外部電源から電力の供給を受けて発光する第1の発光素子と、熱電発電モジュール50からの電力の供給を受けて発光する第2の発光素子を同じ発光波長帯域を有する発光素子としていた。しかしながら、第1の発光素子と第2の発光素子の発光波長帯域を異なるように設定しても良い。
【0054】
図8は、本発明の実施形態2に係る発光モジュール3の斜視図であり、図9は発光モジュール3の上面図であり、図10は発光モジュール3の図9のB-B線における断面図であり、図11は発光モジュール3の下面図である。
【0055】
発光モジュール3は、発光素子として、紫外線を出射するUVチップを利用している。UVチップは、防湿性を確保する必要があり、UVチップは枠体及び光学素子によって封止する必要があるが、枠体や封止をするための接着材が樹脂で形成されている場合、UVチップから出射される紫外線により樹脂が劣化する可能性があった。そこで、発光モジュール3では、UVチップを囲むように金属枠体を配置して、紫外線よる劣化を防止している。
【0056】
また、UVチップから出射される紫外線は、可視光とは異なり、人の目には識別がし難い。そこで、発光モジュール3では、UVチップが紫外線を出射しているか否かを表示するインジケータを設け、UVチップが紫外線を出射しているか否かを判別し易くしている。
【0057】
さらに、発光モジュール3では、上述した発光モジュール1及び2と同様に、UVチップから発せられる熱により発電する熱電発電モジュールを有し、熱電発電モジュールから供給される電力によってインジケータを動作させているので、インジケータを駆動するための電極を外部電源から供給する必要がない。
【0058】
発光モジュール3は、基板111と、配線パターン120と、第1電極131と、第2電極132と、UVチップ114と、保護素子115と、金属枠体116と、樹脂枠体117と、密封部材118、インジケータ140、熱電発電モジュール150等を有する。
【0059】
基板111は、窒化アルミ又は酸化アルミ(アルミナ)等の、熱伝導率の高い絶縁性のセラミックにより矩形の平板状に形成される。基板111は、例えば、380μmの厚さを有する。基板111は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はポリエステル樹脂等の絶縁性の樹脂により形成されてもよい。また、図10及び図11に示すように、基板111の裏面には凹部135が形成され、凹部135内に熱電発電モジュール150が配置されている。
【0060】
配線パターン120は、第1配線パターン121及び第2配線パターン122を有する。第1配線パターン121及び第2配線パターン122は、それぞれ導電性の金属により形成され、基板111の上面に相互に離間して配置される。第1配線パターン121及び第2配線パターン122は、複数の金属層を積層されることにより形成され、例えば、約30μmの厚さを有する。複数の金属層の層構成については後述する。
【0061】
第1電極131及び第2電極132は、それぞれ銅、銀、タングステン、アルミニウム等の導電性の金属で形成され、基板111の下面に相互に離間して配置される。第1電極131及び第2電極132は、基板111の上下を貫通する貫通孔を介して、それぞれ第1配線パターン121及び第2配線パターン122と電気的に接続される。
【0062】
UVチップ114は、紫外光を出射するSMD(Surface Mount Device)型の発光素子である。UVチップ114は、第1配線パターン121の上面と第2配線パターン122の上面とにまたがって配置される。UVチップ114の下面にはアノード及びカソードが形成され、アノード及びカソードは、第1配線パターン121及び第2配線パターン122とそれぞれ接合されて導通する。UVチップ114は、第1配線パターン121及び第2配線パターン122から電流を供給されることにより、紫外光を出射する。
【0063】
UVチップ114は、200nm-380nmの波長を有する紫外光を出射する。例えば、UVチップ114は、200nm-280nmの波長を有するUV(Ultra-Violet)-Cの光を出射する。このような例に限られず、UVチップ114は、280nm-315nmの波長を有するUV-B又は315nm-380nmの波長を有するUV-Aの光を出射するものでもよい。また、UVチップ114は、例えば、各辺が650μmの矩形の平面形状を有し、200μmの高さを有する。
【0064】
保護素子115は、ツェナーダイオードである。保護素子115は、第1配線パターン121の上面と第2配線パターン122の上面とにまたがって配置される。保護素子115の下面にはアノード及びカソードが形成され、アノード及びカソードは、第2配線パターン122及び第1配線パターン121とそれぞれ接合されて導通する。これにより、UVチップ114に過電圧が印可されることが防止され、UVチップ114が保護される。なお、保護素子15は、バリスタでもよい。
【0065】
金属枠体116は、配線パターン120、UVチップ114及び保護素子115の側方を矩形状に切れ目なく囲むように、配線パターン120と離間し且つ絶縁されて基板111の上面に配置される。金属枠体116は、複数の金属層を積層されることにより、その上面がUVチップ114の上面及び保護素子115の上面よりも上に位置するような高さに形成され、例えば、450μmの高さに形成される。複数の金属層の層構成については後述する。
【0066】
樹脂枠体117は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はポリエステル樹脂等の樹脂により形成され、金属枠体116の外周側面を被覆するように、基板111の上面に配置される。すなわち、樹脂枠体117は、金属枠体116とともに、配線パターン120、UVチップ114及び保護素子115の側方を囲むように配置される。樹脂枠体117は、金属枠体116の外周側面が露出して外気に触れないように、金属枠体116の外周側面の全部を被覆する。また、樹脂枠体117は、金属枠体116の外部において基板111の上面が露出しないように、基板111の、金属枠体116の外部の領域の全部にわたって形成される。樹脂枠体117は、金属枠体116と略同一の高さを有する。
【0067】
密封部材118は、石英ガラス等のガラス又は透光性を有する樹脂により形成される平板であり、UVチップ114の上方に配置される。密封部材18は、UVチップ114からの紫外光を透過させ、発光モジュール3の外部に出射させる。また、密封部材118は、金属枠体116の上面と接合されることにより、UVチップ114を気密封止する。密封部材118と金属枠体116とは気密性が高まる金属接合で接合されてもよい。これにより、UVチップ114のアノード及びカソード、UVチップ114と配線パターン120を接合する金錫層等が湿度により劣化することが防止される。密封部材118は、レンズ、拡散板、光学フィルタ等の、UVチップ114からの紫外光に光学的作用を及ぼす光学素子であってもよい。また、密封部材118は、その一部のみが透光性を有するガラス又は樹脂により形成され、他の部分は透光性を有しない部材により形成されてもよい。
【0068】
インジケータ140は、可視光を出射するLEDチップ(不図示)を含み、図11に示すインジケータ140の下部のアノード側電極141及びカソード側電極142間に所定の電圧が印加されると、LEDチップが発光するように構成されている。LEDチップは、例えば、赤色の発光波長帯域を有する発光素子であり、LEDチップが発光すると、インジケータ140の窓部141が赤く点灯する。なお、図8図11では、インジケータ140が、基板111から外へはみ出る様に配置されているが、発光モジュール3の外形形状がインジケータ140を含めても矩形形状となるように、基板111及びインジケータ140の形状を変形させても良い。また、インジケータ140内のLEDチップの発光波長帯域は赤色でなくても、ユーザへ注意喚起が行えるような色であれば、他の色であっても良い。
【0069】
熱電発電モジュール150は、熱電発電モジュール50と同様に、モジュールの上下面に温度差が生じると熱電変換材料が起電力を発生し、これに伴う電力を取り出すことができる様に構成されている。熱電発電モジュール150は耐熱性接着材により基板111の下面に設けられた凹部135内に接着されており、UVチップ114の発光時に発生する熱を利用して、端子電極151、152間に起電力を発生する。プラス側の端子電極151は、絶縁被膜を伴った導線153によって、アノード側電極141と接続され、マイナス側の端子電極152は、絶縁被膜を伴った導線154によって、カソード側電極142と接続されている。このような構成によって、熱電発電モジュール150が発電した電力が、インジケータ140内のLEDチップへ供給されることとなる。なお、図9において、点線150で示した箇所が、熱電発電モジュール150が配置されている箇所である。
【0070】
外部電源(不図示)から所定の電圧が第1電極131及び第2電極132間に供給されると、UVチップ114が発光し、紫外線を密封部材118を介して外部に出射する。UVチップ114が発光し、発光に伴って発生する熱が、基板111を介して、熱電発電モジュール150の基板111と接合している側の面を加熱する。すると、熱電発電モジュール150が発電し、発電による電力がインジケータ140内のLEDチップに供給されて発光する。インジケータ140の窓部141が赤く点灯することによって、ユーザは、確かにUVチップ114から紫外線を出力していることを確認できる。このような構成によって、発光モジュール3では、簡単な構成によって、これまで廃棄されていた熱を利用して、インジケータ140内のLEDチップを点灯させることが可能となった。
【符号の説明】
【0071】
1、2、3 発光モジュール
10 実装基板
20 ダム材
30 封止材
41 第1のLEDチップ
42 第2のLEDチップ
50、150 熱電発電モジュール
114 UVチップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11