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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003277
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20221228BHJP
【FI】
G06Q50/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104356
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】319004663
【氏名又は名称】株式会社Smart119
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】中田 孝明
(72)【発明者】
【氏名】山尾 恭生
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】
救急隊員による報告書作成を支援するための情報処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
救急隊による救急出動に関する報告書の作成を支援する情報処理システムであって,情報処理システムは,救急隊の活動記録に関する活動記録情報を救急隊が利用する救急隊端末から受け付ける救急隊処理部と,報告書の項目の情報として,報告書の項目に対応する,救急出動に関する情報である救急出動情報の項目の情報および/または活動記録情報の項目の情報を反映させる報告書処理部と,を有する情報処理システムである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
救急隊による救急出動に関する報告書の作成を支援する情報処理システムであって,
前記情報処理システムは,
救急隊の活動記録に関する活動記録情報を救急隊が利用する救急隊端末から受け付ける救急隊処理部と,
前記報告書の項目の情報として,前記報告書の項目に対応する,前記救急出動に関する情報である救急出動情報の項目の情報および/または前記活動記録情報の項目の情報を反映させる報告書処理部と,
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理システムは,
医療機関が利用する医療機関側コンピュータから,前記救急出動で搬送された患者の診断情報を取得し,
前記報告書処理部は,
前記取得した診断情報の一部または全部を,前記報告書の対応する項目の情報として反映させる,
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記報告書処理部は,
前記救急出動情報および/または前記活動記録の項目の情報が反映されていない,前記報告書の項目の情報の入力を受け付ける,
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理システムは,
前記救急出動情報の一部または全部を前記指令センター端末から受け付ける救急出動処理部,
を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記救急隊端末は,
前記救急出動で搬送される被搬送者が利用する被搬送者端末から,被搬送者の属性情報および/または医療に関する情報を取得する,
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記被搬送者端末は,
電話番号の発信を監視しており,所定の電話番号への発信を検出すると,前記被搬送者の属性情報および/または医療に関する情報を前記救急隊端末が取得可能とする,
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記被搬送者端末は,
前記被搬送者の属性情報および/または医療に関する情報をコード化して画面表示をする,
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記被搬送者端末は,
前記被搬送者の属性情報および/または医療に関する情報をコード化して画面表示をすると,前記被搬送者端末の画面表示がオフにならないように制御する,
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータを,
救急隊の活動記録に関する活動記録情報を救急隊が利用する救急隊端末から受け付ける救急隊処理部,
救急隊による救急出動に関する報告書の項目の情報として,前記報告書の項目に対応する,前記救急出動に関する情報である救急出動情報の項目の情報および/または前記活動記録情報の項目の情報を反映させる報告書処理部,
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,救急隊員による報告書作成を支援するための情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
119番通報が入電した場合,消防本部から救急隊に救急出動の指令が出される。この出動指令を受けて,救急隊は救急現場まで出動をし,現場での救命処置や医療機関への搬送を行う。そして搬送が終了すると,救急隊は消防署へ帰署することとなる。
【0003】
救急隊が救急出動をする場合,その救急活動の内容を記録するため,現場活動における活動記録などを作成する必要がある。そして,これらの記録を用いながら,医療機関に申し送りを行うこととなる。
【0004】
さらに,救急出動をして帰署した後,国や地方自治体にその救急活動の内容を報告するための報告書を作成しなければならない。この報告書の作成は,現場活動で作成した活動記録などを参照しながら,手書きで作成をするものである。このような従来の処理の一例を下記非特許文献1に示す。また救急隊の現場活動における活動記録等を電子化して記録するシステムの一例を下記非特許文献2,非特許文献3に示す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】神戸市,”神戸市 電子救急活動記録システム”,[online],インターネット<URL:https://www.city.kobe.lg.jp/safety/fire/firehouse/kita/bessisystem.pdf>
【非特許文献2】株式会社麻生情報システム,”救急業務相当支援システム(ATAS)”,[online],インターネット<URL:https://www.aso-group.co.jp/ais/solution/emergency_detail.php?business_uuid=3491092445c47d19bb56f10.49191461>
【非特許文献3】株式会社日立社会情報サービス,”(システム導入事例)救急出動ごとに手書きで作成する「救急活動記録表」をデジタルペンで効率的にデータ化”,[online],インターネット<URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000005268.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の非特許文献1では,手書きで救急活動記録を作成し,それを参照しながら,別途,報告書を作成しなければならない。また,非特許文献2,非特許文献3のシステムを用いても,救急活動記録を電子化して作成することができるが,報告書を作成する場合には,電子化した救急活動記録を見ながら,改めて報告書の作成を行う必要がある。
【0007】
この報告書は,記入・入力すべき項目が数十にもわたるものであり,その作成作業は多忙な救急隊員にとっては業務負担が極めて大きい。そして,従来の非特許文献1乃至非特許文献3を用いても,その負担を軽減することはできず,同じような情報を再度入力しなければならない,という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者らは,上記課題に鑑み,救急隊員が国,地方自治体に報告するために作成する報告書の作成を支援する情報処理システムを発明した。
【0009】
第1の発明は,救急隊による救急出動に関する報告書の作成を支援する情報処理システムであって,前記情報処理システムは,救急隊の活動記録に関する活動記録情報を救急隊が利用する救急隊端末から受け付ける救急隊処理部と,前記報告書の項目の情報として,前記報告書の項目に対応する,前記救急出動に関する情報である救急出動情報の項目の情報および/または前記活動記録情報の項目の情報を反映させる報告書処理部と,を有する情報処理システムである。
【0010】
本発明のように構成することで,救急隊が国,地方自治体に報告するための報告書を作成するにあたり,救急出動情報,活動記録情報の情報を反映させることができるので,二重入力の負担が解消される。そのため,救急隊員の報告書作成の負担を軽減することができる。
【0011】
上述の発明において,前記情報処理システムは,医療機関が利用する医療機関側コンピュータから,前記救急出動で搬送された患者の診断情報を取得し,前記報告書処理部は,前記取得した診断情報の一部または全部を,前記報告書の対応する項目の情報として反映させる,情報処理システムのように構成することができる。
【0012】
被搬送者が最終的に診断された病名などの診断情報は,救急搬送後の医療機関の医師によってなされる。そのため,従来,救急隊は,医療機関に電話などで問い合わせをする必要があった。しかし,本発明のように構成することで,その負担を軽減し,自動的に反映することができる。
【0013】
上述の発明において,前記報告書処理部は,前記救急出動情報および/または前記活動記録の項目の情報が反映されていない,前記報告書の項目の情報の入力を受け付ける,情報処理システムのように構成することができる。
【0014】
本発明のように構成することで,自動的に反映をすることができなかった項目の情報のみの入力をすればよいこととなる。
【0015】
上述の発明において,前記情報処理システムは,前記救急出動情報の一部または全部を前記指令センター端末から受け付ける救急出動処理部,を有する情報処理システムのように構成することができる。
【0016】
救急出動情報は,指令センター端末から取得するとよい。
【0017】
上述の発明において,前記救急隊端末は,前記救急出動で搬送される被搬送者が利用する被搬送者端末から,被搬送者の属性情報および/または医療に関する情報を取得する,情報処理システムのように構成することができる。
【0018】
119番通報では必ずしも被搬送者の情報を取得できるとは限らない。そのため,本発明のように構成することで,被搬送者自身の端末から取得できれば,迅速な救急活動に資することができる。
【0019】
上述の発明において,前記被搬送者端末は,電話番号の発信を監視しており,所定の電話番号への発信を検出すると,前記被搬送者の属性情報および/または医療に関する情報を前記救急隊端末が取得可能とする,情報処理システムのように構成することができる。
【0020】
救急隊が現場に到着した場合に,被搬送者がコミュニケーションがとれない場合や,周囲に被搬送者について知らない場合もある。そのため,本発明のように構成することで,被搬送者の情報を取得することができる。
【0021】
上述の発明において,前記被搬送者端末は,前記被搬送者の属性情報および/または医療に関する情報をコード化して画面表示をする,情報処理システムのように構成することができる。
【0022】
本発明のように構成することで,救急隊は,被搬送者端末の画面を救急隊端末で読み取るだけで被搬送者の情報を取得することができる。また,被搬送者の属性情報や医療に関する情報はプライバシー性の高い情報である。そのため,これらの情報をそのまま画面表示にしたままでは,被搬送者の付近にいる無関係の人にもこれらの情報が知られてしまう可能性が高い。そこで,かかる情報をコード化して画面表示をしておけば,救急隊はコードを読み取るだけで必要な情報を取得でき,また被搬送者のプライバシーを守ることもできる。
【0023】
上述の発明において,前記被搬送者端末は,前記被搬送者の属性情報および/または医療に関する情報をコード化して画面表示をすると,前記被搬送者端末の画面表示がオフにならないように制御する,情報処理システムのように構成することができる。
【0024】
119番通報から救急隊が現場に到着するまでの間には早くても数分はかかる。一方,被搬送者端末の画面は,一定時間が経過すると電力の消耗を防止するため,画面表示がオフになるように設定されていることも多い。そのため,被搬送者の端末の属性情報,医療に関する情報を画面に表示しても,その画面がオフになってしまうと救急隊は情報を得ることができない。そこで本発明では,被搬送者端末の画面表示がオフにならないように制御をすることで,救急隊の到着まで画面表示がオフになってしまい,救急隊が情報を取得できなくなることを防止できる。
【0025】
第1の発明は,本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませることで実行することで実現できる。すなわち,コンピュータを,救急隊の活動記録に関する活動記録情報を救急隊が利用する救急隊端末から受け付ける救急隊処理部,救急隊による救急出動に関する報告書の項目の情報として,前記報告書の項目に対応する,前記救急出動に関する情報である救急出動情報の項目の情報および/または前記活動記録情報の項目の情報を反映させる報告書処理部,として機能させる情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の情報処理システムを用いることによって,救急隊員の報告書の作成の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の情報処理システムの全体の構成の一例を模式的に示す概念図である。
図2】本発明の情報処理システムで用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。
図3】本発明の情報処理システムにおける全体の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
図4】現場情報入力画面の一例を示す図である。
図5】指令情報画面の一例を示す図である。
図6】バイタルサイン画面の一例を示す図である。
図7】被搬送者情報画面の一例を示す図である。
図8】応急処置画面の一例を示す図である。
図9】ノート画面の一例を示す図である。
図10】医療機関選定画面の一例を示す図である。
図11】受入要請画面の一例を示す図である。
図12】受入要請の可否が表示された医療機関選定画面の一例を示す図である。
図13】医療機関詳細画面の一例を示す図である。
図14】打刻画面の一例を示す図である。
図15】報告書画面における救急出動実地報告書の入力画面の一例を示す図である。
図16】報告書画面における救急出動実地報告書の入力画面の一例を示す図である。
図17】報告書画面における救急出動実地報告書の入力画面の一例を示す図である。
図18】報告書画面における救急出動実地報告書の入力画面の一例を示す図である。
図19】報告書画面における救急出動の活動記録の入力画面の一例を示す図である。
図20】報告書画面における救急出動の活動記録の入力画面の一例を示す図である。
図21】報告書画面における救急出動の活動記録の入力画面の一例を示す図である。
図22】報告書画面における救急出動の活動記録の入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の情報処理システム1の全体の構成の一例を図1に示す。また,本発明の情報処理システム1で用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を図2に示す。
【0029】
情報処理システム1は,管理コンピュータ2,指令センター端末3,救急隊端末4,医療機関側コンピュータ5,被搬送者端末6とを用いる。管理コンピュータ2,医療機関側コンピュータ5,被搬送者端末6は,サーバやパーソナルコンピュータ,可搬型通信端末などのコンピュータによって実現される。コンピュータは,プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と,情報を記憶するRAMやROM,ハードディスク,SSDなどの記憶装置71と,ディスプレイなどの表示装置72と,情報の入力を行う入力装置73と,演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報の通信を行う通信装置74とを有している。なお,管理コンピュータ2,医療機関側コンピュータ5,被搬送者端末6がタッチパネルディスプレイを備えている場合には,入力装置73と表示装置72とが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルディスプレイは,タブレット型コンピュータやスマートフォンなどの可搬型通信端末などで利用されることが多いが,それに限定するものではない。
【0030】
タッチパネルディスプレイは,そのディスプレイ上で,直接,所定の入力デバイス(タッチパネル用のペンなど)や指などによって入力が行える点で,表示装置72と入力装置73の機能が一体化した装置である。
【0031】
各コンピュータやシステムは一台でその機能が実現されていてもよいし,その機能が複数台によって実現されていてもよい。その場合,たとえばクラウドサーバであってもよい。
【0032】
さらに,本発明の情報処理システム1における各システムは,その機能が論理的に区別されているのみであって,物理上あるいは事実上は同一の領域を為していてもよい。
【0033】
情報処理システム1は,管理コンピュータ2と指令センター端末3と救急隊端末4と医療機関側コンピュータ5と被搬送者端末6とを利用する。
【0034】
指令センター端末3は,119番通報を受電し,救急隊に対して救急出動を指令する指令センターで利用するコンピュータである。
【0035】
救急隊端末4は,救急出動をする救急隊で利用するコンピュータであり,たとえばタブレット型コンピュータなどの可搬型通信端末がある。
【0036】
医療機関側コンピュータ5は,医療機関において救急搬送を受け入れた(収容した)被搬送者(救急搬送される傷病者)の経過情報,報告書情報などを管理する医療機関処理部50と,電子カルテ処理部51(電子カルテシステム)とを有する。
【0037】
被搬送者の経過情報は,被搬送者の属性,確定した傷病名,当該被搬送者の受入後の容態,医師による指示,レントゲン画像,CT画像,MRI画像などの画像情報などを含む。これらの情報は,電子カルテ処理部51などから取得してもよい。
【0038】
医療機関処理部50は,医療機関側コンピュータ5と他のコンピュータとの間の情報のやりとりを制御する。たとえば電子カルテ処理部51における被搬送者の経過情報を管理コンピュータ2に送る,救急隊端末4から救急出動記録情報,活動記録情報の一部または全部を受け付け,電子カルテ処理部51に反映させるなどの処理を実行する。
【0039】
救急搬送における救急出動記録情報,活動記録情報については,手書きで入力された紙,あるいは救急隊端末4の画面の内容をスキャン,撮像などしてそれらの情報を受け付けるほか,救急隊端末4とセキュアな環境によりオンラインで接続し,情報を受け付けてもよい。
【0040】
また,救急隊端末4において,救急出動記録情報,活動記録情報の一部または全部の情報を2次元コードに変換して救急隊端末4の表示装置72に表示させ,その2次元コードを医療機関処理部50で読み取り,再変換することで救急出動記録情報,活動記録情報を受け付けてもよい。
【0041】
電子カルテ処理部51は電子カルテシステムの処理機能を実現する。電子カルテ処理部51は,医療機関処理部50を介して,被搬送者の経過情報を管理コンピュータ2に送る。また,救急隊端末4から受け付けた救急搬送における救急出動記録情報,活動記録情報の一部または全部の情報を電子カルテに反映する。すなわち,電子カルテには救急搬送の記録の内容を記載する必要があるため,その救急搬送の記録の内容として,受け付けた救急出動記録情報,活動記録情報の一部または全部の情報を電子カルテの所定の入力欄に反映して記録させる。なお,電子カルテ処理部51は,救急隊端末4から受け付ける救急出動記録情報,活動記録情報は,医療機関処理部50を介して受け付けてもよいし,直接,救急隊端末から受け付けてもよい。
【0042】
被搬送者端末6は,被搬送者が利用する可搬型通信端末であり,被搬送者の氏名,性別,年齢,住所などの属性情報などを記憶している。被搬送者端末6では,救急隊端末4が被搬送者端末6から当該被搬送者の属性情報を取得可能なアプリケーションソフトウェアがインストールされていてもよい。当該アプリケーションソフトウェアには,当該被搬送者の属性情報のほか,血液型,過去の病歴,服薬歴,持病などの医療に関する情報を記憶していてもよい。この場合,管理コンピュータ2が医療に関する情報を被搬送者端末6から取得できてもよい。
【0043】
このアプリケーションソフトウェアでは,たとえば被搬送者端末6において電話番号の発信を監視し,119番通報がされたことを検出すると(電話で119番への発信を検出すると),自動的に当該被搬送者の属性情報,医療に関する情報を2次元コード化して画面表示を行うようにしてもよい。この場合,被搬送者端末6の画面表示が一定時間経過するとオフになる機能は作動しないように制御をしてもよい。これによって,救急隊が現場に到着したときに被搬送者が救急隊員とコミュニケーションがとれず,周囲に被搬送者のことを知る人がいない場合であっても,救急隊員は救急隊端末4で当該被搬送者端末6の2次元コードを読み取ることで,被搬送者の属性情報,医療に関する情報を取得でき,迅速な救急活動につなげることができる。
【0044】
なお,コード化するほか,近距離無線通信で通信可能としてもよいし,あるいは,自動的に指令センター端末3に被搬送者の属性情報,医療に関する情報を送るようにしてもよい。
【0045】
管理コンピュータ2は,消防署などで利用するコンピュータであって,救急出動処理部20と救急隊処理部21と報告書処理部22と記憶部23とを有する。
【0046】
救急出動処理部20は,指令センター端末3,救急隊端末4からの情報の入力を受け付け,記憶部23に記憶させて,救急出動記録情報,救急隊の活動記録情報などの情報の管理をする。救急出動記録情報とは,救急隊の救急出動自体に関する情報であり,救急隊の活動記録情報とは,救急隊が救急出動して活動したときの活動に関する情報である。
【0047】
被搬送者などの119番通報をした通報者からの架電を受電した指令センターにおける指令センター端末3は,指令センターの担当者が,通報者と電話で会話をし,聴取した内容などの入力を受け付ける。この際に,通報者と指令センターの担当者との間の会話を音声情報として入力を受け付け,所定の音声認識サーバにより当該音声情報を逐次,テキスト化してもよい。指令センターの担当者が指令センター端末3に入力する情報としては,たとえば,通報者の氏名,電話番号,出動場所の住所,応急処置の有無及び内容,救急隊が出動するために必要な特記事項(たとえば道路が狭いため家の前まで入れない可能性がある,など),搬送対象者の人数,持病の有無および病名,通院病院,同乗の有無,搬送対象者の状況を示す情報(たとえば事象(怪我なのか病気なのか),意識の有無,呼吸の有無,年齢,発生時期など)がある。これらを聞き取り,逐次,担当者が入力し,その入力を指令センター端末3で受け付ける。
【0048】
救急出動処理部20は,指令センター端末3から担当者が入力した情報,通報者と指令センターの担当者との間の会話をテキスト化した情報などを自動的に取得してもよいし,指令センター端末3の担当者,管理コンピュータ2の操作者などの操作によって取得をしてもよい。また,通報者と指令センターの担当者との間の会話を自動的にテキスト化している場合には,担当者が入力を行わなくても,救急出動処理部20は,テキスト化した情報を対応する項目に自動的に反映してもよい。
【0049】
救急出動処理部20は,指令センター端末3からの情報を受け付け,救急出動記録情報として記憶部23に記憶させる。
【0050】
なお,救急出動処理部20または指令センター端末3では,救急出動を識別するための情報(救急出動識別情報),覚知日時(受け付けた日時)などの情報も,入力を受け付けた救急出動記録情報の一部として記憶部23に記憶させる。
【0051】
担当者が救急隊に救急出動を指令すると,出動を指令した救急隊を識別する情報(救急隊識別情報),たとえば部隊名,隊員名などを,指令センター端末3から受け付け,救急出動処理部20は,救急出動記録情報の一部として記憶部23に記憶させる。
【0052】
救急隊処理部21は,救急出動した救急隊が利用する救急隊端末4と情報の送受信を行う。救急隊処理部21は,記憶部23で記憶する救急出動記録情報の一部または全部の情報を取得して救急隊端末4に送り表示させ,また,救急隊処理部21が救急隊端末4から入力を受け付けた情報(救急隊の活動記録情報)を救急出動処理部20に渡し,救急出動記録情報に対応づけて記憶部23に記憶させる。
【0053】
救急隊が救急出動すると,救急隊処理部21は,救急出動識別情報に基づいて記憶部23に記憶する救急出動記録情報の一部または全部を取得し,出動を指令した救急隊の救急隊識別情報に基づいて,当該救急隊が使用する救急隊処理部21に対して,当該取得した救急出動記録情報を送り,救急隊端末4で表示可能とする。救急隊処理部21が救急隊端末4に救急出動記録情報を送る際には,救急出動識別情報も合わせて送られる。この救急出動識別情報を用いることで,救急隊処理部21で入力された活動記録情報と,救急出動記録情報との紐付けが行える。
【0054】
また,救急隊処理部21は,救急隊が救急出動において現場活動をした際に,救急隊端末4で入力した活動記録情報を受け付け,リアルタイムでまたは所定のタイミングで記憶部23に記憶させる。この際に,救急出動識別情報も送られるので,救急隊処理部21では,どの救急出動記録情報に対応する活動記録情報であるかの識別ができ,当該活動記録情報と,記憶部23の救急出動記録情報とを対応づけて記憶することができる。
【0055】
救急隊端末4は,被搬送者端末6から被搬送者の属性情報,医療に関する情報を取得し,それを救急隊処理部21で受け付けてもよい。救急搬送される被搬送者が自らの属性情報などを会話することができず,通報者が被搬送者のことを知らないこともあるため,その場合には,救急隊員が被搬送者が利用する被搬送者端末6を操作し,所定のアプリケーションソフトウェアを起動して,被搬送者の属性情報,医療に関する情報などを被搬送者端末6から取得することで,救急搬送に活用することができる。
【0056】
報告書処理部22は,国または地方自治体に救急出動を報告するための報告書を作成する処理を実行する。報告書処理部22は,救急出動記録情報,救急隊の活動記録情報を記録部から取得する。そして報告書の項目に対応する救急出動記録情報と救急隊の活動記録情報の項目を同定し,報告書の項目の情報として,対応する救急出動記録情報と救急隊の活動記録情報の項目の情報を反映させる。なお,報告書の項目と,救急出動記録情報と活動記録情報の各項目との対応関係は,あらかじめ記憶している。
【0057】
なお,報告書処理部22は,作成した報告書について,あらかじめ定めた者,たとえば上長に対して送信し,その承認または再提出などを求める承認稟議機能を有していてもよい。この場合,作成した報告書について,所定のボタン,たとえば図18図22の「決裁」のボタンを押下することで,上長に対して承認を求める通知が送られるようにする。そして,当該通知を受け付けた上長は,所定の操作をすることで当該報告書を閲覧し,承認する場合にはたとえば図18図22の「承認」,差し戻す場合にはたとえば図18図22の「差戻」を押下することで,報告書に対する稟議機能を実現することができる。なお,承認,差戻などの選択については,誰がいつ行ったかを記録している。
【0058】
また報告書処理部22は,最終的に消防署の責任者が決裁を行った後,所定の操作を行うことで,本部に上記報告書の提出することができる。報告書の提出としては,報告書に記載された情報を本部が利用するコンピュータに送信するほか,本部から記憶部23に記憶した報告書の情報を参照する場合も含まれる。
【0059】
記憶部23は,救急出動記録情報,救急隊の活動記録情報を対応づけて記憶する。これらの情報は,たとえば救急出動識別情報で対応づけられているが,それに限定するものではない。記憶部23としてはデータベースなどを用いることができる。
【0060】
つぎに本発明の情報処理システム1を用いて救急隊の報告書の作成を支援する処理プロセスを,図3のフローチャートを用いて説明する。なお,図3のフローチャートにおける処理プロセスは一例であり,その処理の順序は,必要に応じて,適宜,変更可能である。
【0061】
被搬送者自身(被搬送者自らが通報した場合には被搬送者が通報者となる)または被搬送者を発見した通報者は,救急出動の必要があると判断した場合には,その者が利用する可搬型通信端末などで所定の操作を行うことで,救急出動の要請を行うための電話番号である119番に架電をする。そして,指令センターではこの119番通報を受電して受け付ける(S100)。この際に,指令センター端末3では通報者の電話番号を取得する。
【0062】
通報者と指令センターの担当者は,電話で会話をし,通報者から聴取した通報内容を適宜,指令センター端末3に入力をしていく。たとえば,通報者の氏名,電話番号,出動場所の住所,応急処置の有無及び内容,救急隊が出動するために必要な特記事項(たとえば道路が狭いため家の前まで入れない可能性があるなど),搬送対象者の人数,持病の有無および病名,通院病院,同乗の有無,搬送対象者の状況を示す情報(たとえば事象(怪我なのか病気なのか),意識の有無,呼吸の有無,年齢,発生時期など)があり,これらの聴取した内容を,指令センター端末3に入力をする。
【0063】
また,通報者と指令センターの担当者の会話を,自動的に音声認識する場合には,指令センター端末3で,通報内容(会話の内容)を音声情報として入力を受け付け,所定の音声認識サーバに送信をする。音声認識サーバでは,音声情報を逐次,テキスト化し,指令センター端末3に音声情報に対応するテキスト情報を返し,指令センター端末3はその入力を受け付ける。
【0064】
指令センター端末3で通報内容の入力を受け付けたときの現場情報入力画面の一例を図4に示す。図4の現場情報入力画面の右側の領域では,指令センターの担当者が通報者から聴取した内容を選択入力可能となっており,図4の現場情報入力画面の左側の領域では,通報者と指令センターの担当者の会話を自動的に音声認識したテキスト情報が表示されている状態を示している。図4の現場情報入力画面の右側の選択入力可能な領域は,音声情報に基づいて認識したテキスト情報を用いて,自動的に選択されてもよい。
【0065】
このような処理を実行することで,指令センター端末3で入力を受け付けた119番通報にかかる救急出動記録情報を,指令センター端末3は管理コンピュータ2に送り,管理コンピュータ2の救急出動処理部20ではその入力を受け付けて,記憶部23に記憶する(S110)。すなわち,救急出動処理部20では指令センター端末3から送られた救急出動記録情報を受け付けると,救急出動識別情報を割り当て,救急出動識別情報と受け付けた各情報とを対応づけて救急出動記録情報として記憶部23に記憶させる。
【0066】
また,上記の各処理と並行して,指令センターの担当者は通報者から電話での聴取に基づいて現場を特定すると,その特定した現場に出動可能な救急隊を公知の方法によって決定し,決定した救急隊に対して出動指令を行う(S120)。そして,指令センターの担当者が指令センター端末3に表示する図4の現場情報入力画面における「現場情報を送る」をタップすると,指令センター端末3から管理コンピュータ2に対して,記憶部23に記憶した救急出動記録情報を救急隊端末4に送る指示を送る。
【0067】
この指示を受け付けた救急出動処理部20は,救急隊識別情報に基づいて当該救急隊が使用する救急隊端末4に対して,救急出動記録情報を記憶部23から抽出して送る。救急隊端末4では,この救急出動記録情報を取得する(S130)。
【0068】
指令センターからの出動指令を受けた救急隊は,S130で取得した救急出動記録情報を救急隊端末4で表示し,救急隊員はそれを見ながら,現場に出動をする。図5に救急隊端末4で表示される指令情報画面の一例を示す。指令情報画面の左側の領域には,指令センターの担当者と通報者の会話のテキスト情報が表示され,中央領域には,指令センターの担当者が通報者から聴取した通報内容の情報(救急出動記録情報)が表示されている。さらに右側の領域には通報内容の情報を表示する「指令情報」ボタン,救急隊の救急出動の覚知から帰署までの時刻を記録する「打刻」ボタン,被搬送者のバイタルサインや所見情報を入力する「バイタル」ボタン,被搬送者の傷病状況の情報を入力するための「被搬送者情報」ボタン,被搬送者の傷病や現場の状況のメモを入力する「ノート」ボタン,搬送する病院を選定する「病院選定」ボタンが設けられている。また,現場に出動する救急隊員は,救急隊端末4と有線または無線で接続する音声入力装置73(ヘッドセットやマイク)を装着しているとよい。
【0069】
救急隊員が現場に到着をすると,救急隊端末4で表示されている指令情報画面における「バイタル」ボタンを押下することで,救急隊端末4ではバイタルサインの入力を行うためのバイタルサイン画面が表示される。図6にバイタルサイン画面の一例を示す。
【0070】
救急隊員は,被搬送者のバイタルサイン画面におけるバイタルサインの情報,たとえば呼吸数,SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度),血圧,脈拍数,JCS(Japan Coma Scale,意識レベルの評価スケール),GCS(Glasgow Coma Scale,意識レベルの評価スケール),体温などを計測し,その値を,各入力欄にタップすることで入力を行う。もしくは,いずれかのマイクアイコンをタップすることで,音声入力により,バイタルサインの各項目の入力を行う。たとえば,救急隊員がいずれかのマイクアイコンをタップし,入力する項目を発話すると,それを音声入力装置73を介して救急隊端末4において認識して当該項目に対応する入力欄にフォーカスをあてる。そして,つぎに数値を発話することでその数値が当該フォーカスされた入力欄に入力される。たとえば救急隊員が「呼吸数」と発話すると,それを音声入力装置73を介して救急隊端末4が認識し,呼吸数に対応する入力欄にフォーカスがあたり,つぎに救急隊員が「12」と発話すると,それを音声入力装置73を介して救急隊端末4が認識し,値として「12」が当該入力欄に入力される。なお,救急隊端末4で行われる音声入力については,上述のように音声認識サーバでテキスト化され,そのテキスト情報を受け取ることで,当該入力欄に入力が行われてもよいが,救急隊端末4の各画面で入力される情報は,ある程度固定化されているので,救急隊端末4に備わっている音声入力の機能を起動し,それを用いて入力できてもよい。
【0071】
さらに救急隊員は,バイタルサイン画面に表示されている「所見」の項目に,所見の情報をテキストまたは音声で入力を行う。このようにバイタルサイン,所見の情報の入力が行われ,「保存」がタップされることで,救急隊端末4から消防側システムにバイタルサイン,所見の情報が送信され,管理コンピュータ2の救急隊処理部21は,救急隊端末4から受け付けたバイタルサイン,所見の情報を,救急隊の活動記録情報として記憶部23に記憶させる。
【0072】
また,救急隊員は上記と並行して,被搬送者の状況を確認し,「被搬送者情報」をタップすることで,図7に示す被搬送者情報画面を救急隊端末4で表示させる。救急隊員は,被搬送者を視認しながら,その状態,表情,顔色,出血,痙攣,失禁,嘔吐,四肢変形,麻痺,熱傷,死亡徴候などを,それぞれタップしながら逐次入力を行う。なお,入力された情報は救急隊端末4において一時的に記憶される。
【0073】
さらに,救急隊員は,上記と並行して,通報者,被搬送者から可能な範囲で傷病の症状等を聴取する。この際に,救急隊員と,通報者,被搬送者との会話の音声情報は,音声入力装置73で救急隊端末4に入力され,救急隊端末4は,会話の音声情報を音声認識サーバに送信してテキスト化させる。音声認識サーバから音声情報がテキスト化されたテキスト情報を受け付けると,救急隊端末4が救急隊の活動記録情報としてそのテキスト情報を管理コンピュータ2に送り,それを受け付けた救急隊処理部21が記憶部23に記憶させる。なお,救急隊端末4ではテキスト情報の全部を表示せずとも一部を表示するのみであってもよい。
【0074】
加えて,救急隊員が被搬送者に応急処置を行う場合には,救急隊端末4で「応急処置」の入力を行うための応急処置画面を表示させるため,「応急処置」をタップし,図8に示す応急処置画面を表示させる。応急処置を行う際には,救急隊員は自ら行う応急処置の内容とその結果とを逐次,発話しながら行い,それを音声入力装置73を介して救急隊端末4が受け付け,救急隊端末4は会話の音声情報を音声認識サーバ3に送信してテキスト化させる。音声認識サーバから音声情報がテキスト化されたテキスト情報を受け付けると,救急隊端末4が救急隊の活動記録情報としてそのテキスト情報を管理コンピュータ2に送り,それを受け付けた救急隊処理部21が記憶部23に記憶させる。
【0075】
図8の応急処置画面の左側の領域には,救急隊員の発話のテキスト情報が表示されるとともに,画面の中央の領域には,救急隊員が行った応急処置の内容がタップにより入力可能となっている。
【0076】
また,救急隊員が図などによって傷病の状況などのメモを残すことを所望する場合には,救急隊端末4において「ノート」ボタンをタップすることで,図9に示すノート画面を救急隊端末4で表示させる。この画面においては,「撮影」を選択することで救急隊端末4の撮像装置を起動して被搬送者やその患部などを撮像したり,人体を模した図に指やデジタルペンなどにより描画をするなどが可能となる。これによって,より視覚的な情報の入力が可能となる。
【0077】
以上のように,バイタルサイン,所見の情報の入力,通報者,被搬送者からの傷病等の聴取,応急処置の内容,ノート画面に入力された情報は,救急隊員が救急隊端末4で所定の操作をすることによって,救急隊端末4から管理コンピュータ2に送信され,管理コンピュータ2の救急隊処理部21は,救急出動の活動記録情報として,救急出動記録情報に対応づけて記憶部23に記憶させる(S140)。この際に,救急隊端末4では,救急隊端末4のGPS装置で現在位置の情報(緯度,経度,高度の情報)を取得し,また所定の気象情報のウェブサイト(たとえば気象庁のウェブサイト)などから,現場地域の気温,湿度,気圧,天候などの気象情報を取得し,あわせて管理コンピュータ2に送信を行い,救急出動の活動記録情報の一部として記憶部23に記憶させてもよい。
【0078】
このように救急隊員が現場での救急活動を行うのに並行して,所定の方法により,搬送先となる医療機関を選定する。
【0079】
たとえば,救急隊端末4では,救急隊員が救急隊端末4で「病院選定」ボタンをタップすることで,受け付けた医療機関の情報を,図10に示す医療機関選定画面のように表示させ,その中から救急搬送の要請を行う医療機関をチェックボックスをタップすることで選択を行い,「一括要請」をタップすることでそれを送信する。この選択を救急隊端末4で受け付けると,救急隊端末4から管理コンピュータ2に対して,救急搬送の要請を行う医療機関の情報が送信される。
【0080】
管理コンピュータ2の救急隊処理部21は,選択された救急搬送の要請を行う医療機関の電話番号の情報を所定の記憶部23から特定し,医療機関に対して救急搬送の要請があることを自動的に架電する。この架電は好ましくは,候補になった医療機関に対して,同報によって架電が行われるとよいが,それに限定されるものではない。また,架電によるほか,電子メール,メッセージ通知などであってもよい。
【0081】
医療機関が電話を受けると,管理コンピュータ2の救急隊処理部21は,記憶部23に記憶する当該救急出動記録情報および活動記録情報のうち,被搬送者の情報,たとえば年齢,性別,傷病の状況,推定した傷病などの情報を抽出し,抽出した情報を自動音声によって医療機関に伝達する。また,この自動音声による伝達では,医療機関がより詳細な情報を見たい場合には医療機関側コンピュータ5から管理コンピュータ2にアクセスをすること,受入要請に対する回答を入力することなどを伝達してもよい。
【0082】
医療機関側が,より詳細な情報を知りたいと思った場合には,医療機関側コンピュータ5から所定の操作を行うことで管理コンピュータ2にアクセスし,管理コンピュータ2の救急隊処理部21は,記憶部23に記憶する救急出動記録情報,活動記録情報を特定し,特定した情報の一部または全部を医療機関側コンピュータ5において受入要請画面として表示させる。受入要請画面の一例を図11に示す。
【0083】
医療機関の医師や看護師などの医療従事者,その支援員などは,被搬送者の搬送を受け入れる場合には受入要請画面における「可能」を,受け入れない場合には「不能」を,保留する場合には「保留」を選択する。この際に,受け入れない理由が入力可能であってもよい。そしてこれらの情報は,医療機関側コンピュータ5から管理コンピュータ2に送信され,管理コンピュータ2の救急隊処理部21は,医療機関の受入要請の可否の情報を救急隊端末4に送信する。救急隊端末4では管理コンピュータ2の救急隊処理部21から受け付けた受入要請の可否の情報を医療機関選定画面で表示をし,救急隊員は,受入可能の医療機関のなかから搬送先とする医療機関を選択する。図12に受入要請の可否の情報が表示された医療機関選定画面の一例を示す。
【0084】
救急隊員が搬送先の医療機関を選択すると,その情報が管理コンピュータ2に送信され,管理コンピュータ2の救急隊処理部21は,選択された医療機関に対して,被搬送者が搬送されることを通知する。なお,この場合,図12の医療機関選定画面から搬送先として選択した医療機関の行をタップすることで,図13に示す医療機関詳細画面を表示させ,電話のアイコンを選択することで,救急隊端末4から医療機関に対して搬送をすることを電話で,救急隊員が伝えてもよい。
【0085】
この際の医療機関と救急隊員との間の会話は,音声入力装置73を介して救急隊端末4が受け付け,救急隊端末4は音声情報を音声認識サーバ3に送信してテキスト化させる。音声認識サーバから音声情報がテキスト化されたテキスト情報を受け付けると,救急隊端末4は,そのテキスト情報を管理コンピュータ2に送り,救急隊処理部21は,救急出動の活動記録情報に対応付けて記憶部23に記憶させるとともに,当該救急隊端末4において医療機関詳細画面にテキスト情報として表示をさせてもよい。
【0086】
救急隊員は搬送先として選択した医療機関に対して被搬送者の救急搬送を行い,被搬送者は医療機関において医師による診断を受け,治療が行われる。
【0087】
そして治療の終了後,医療機関の医師や看護師などの医療従事者,その支援員などは,医療機関側コンピュータ5の電子カルテシステムで所定の操作をすることによって,その被搬送者に対して最終的に行った傷病の診断結果の入力を行い,医療機関処理部50から管理コンピュータ2に,当該傷病の診断結果の情報など,報告書作成にあたって必要な情報(医療機関から取得すべき情報)が送信される。管理コンピュータ2の救急隊処理部21は,医療機関側コンピュータ5から受け付けた傷病の診断結果の情報を,記憶部23に記憶する当該被搬送者の救急出動記録情報,活動記録情報に対応づけて診断情報として記憶させる(S150)。
【0088】
以上のような処理を実行することで,救急隊の救急出動が行われるが,それと並行して,救急隊員は,救急隊端末4において,救急出動をした時刻,現場に到着した時刻,被搬送者を収容した時刻,医療機関への搬送を開始した時刻,医療機関に到着した時刻,医療機関を引き揚げた時刻,消防署に帰署した時刻などの救急出動において記録が求められるタイミングについての日時情報(時刻など)を,それぞれ入力する。なお覚知時刻は,救急隊端末4において管理コンピュータ2から最初の救急出動記録情報を受け付けた時刻とすることがよい。
【0089】
この入力としては,たとえば救急隊員が救急隊端末4において所定の操作を行うことで,図14に示す打刻画面を表示させ,救急出動をしたとき,現場に到着したときなど,所定の項目の際に,該当する項目をタップすることで,その日時情報を取得し,時刻を打刻画面に表示させればよい。なお,取得した日時情報は,逐次,救急隊端末4から管理コンピュータ2に送信され,管理コンピュータ2の救急隊処理部21で,当該救急出動の活動記録情報として記憶部23に記憶されている。
【0090】
また,各項目をタップすることで日時情報を取得するほか,救急隊端末4に備えているGPS装置が起動している場合,その位置情報と日時情報とに基づいて,救急出動をした時刻,現場に到着した時刻,医療機関への搬送を開始した時刻,医療機関に到着した時刻,医療機関を引き揚げた時刻,消防署に帰署した時刻を特定してもよい。すなわち,消防署から位置情報が変化した時刻を救急出動をした時刻とし,通報内容における現場の位置情報に到着した時刻を現場に到着した時刻,現場から移動を開始し位置情報が変化した時刻を医療機関への搬送を開始した時刻,医療機関の位置情報に到着した時刻を医療機関に到着した時刻,医療機関から移動を開始し位置情報が変化した時刻を医療機関を引き揚げた時刻,消防署の位置情報に到着した時刻を消防署に帰署した時刻として自動的に設定してもよい。なお,被搬送者を収容した時刻は,救急隊員による入力を受け付けてもよいし,救急隊員の発話のテキスト情報のうち,被搬送者の収容を意味する発話のテキスト情報がある時刻を被搬送者の収容した時刻として自動的に設定してもよい。
【0091】
なお,救急隊端末4に備えているGPS装置を用いるほか,救急車に備えているGPS装置から救急隊端末4が位置情報を取得してもよい。
【0092】
そして,救急隊員は,消防署に帰署後,管理コンピュータ2において所定の操作,たとえば国または地方自治体に提出する報告書を作成するためのボタンを選択することで,報告書の作成処理を実行する(S160)。すなわち報告書を作成するためのボタンの選択を受け付けると,報告書処理部22が,記憶部23に記憶する当該救急出動の救急出動記録情報,活動記録情報を特定し,抽出する。そして救急出動記録情報と救急隊の活動記録情報のうち,報告書の項目に対応する項目の情報を同定し,報告書の項目の情報として反映させ,表示をする。図15乃至図22に報告書画面の一例を示す。
【0093】
図15乃至図18が報告書画面における救急業務実地報告書の画面の一例であり,主として,救急出動に関するそのものに関する報告書である。主に救急出動記録情報に対応する。たとえば,出動番号,出動した救急隊員,事故種別,被搬送者数,覚知種別,受令場所,覚知年月日,要請場所,転院元,大規模イベントか否か,イベント名,概要,受報者,通報者,同乗者,医療機関への連絡事項,医療機関における指示・指導に関する情報,応急手当に関する情報(実施者,講習受講の有無,応急手当の種類,口頭指導の有無,AEDの有無,除細動回数,感謝カードの配布の有無など),備考,基本情報などの項目がある。
【0094】
これらの各入力項目の一部または全部は救急出動記録情報,活動記録情報の各項目と対応しており,たとえば図4の指令センター端末3で通報内容の入力を受け付けたときの画面,図5の救急隊端末4で表示される指令情報画面における各項目が対応する。一例としては,出動番号は救急出動識別情報,出動した救急隊員は部隊名,事故種別は自称,被搬送者数は患者人数といったように,それぞれ救急出動記録情報,活動記録の情報の項目と報告書画面における救急業務実地報告書の入力項目とが対応している。
【0095】
また,図19乃至図22が救急隊の活動記録(救急出動の活動記録情報に関する報告書)の画面の一例であり,主として救急出動の活動記録に関する報告書である。主に救急出動の活動記録情報に対応する。たとえば被搬送者に関する情報(属性,要保護の有無,傷病に関する情報,発生場所など),被搬送者の観察結果に関する情報(バイタルなど),現場到着時の状況に関する情報,応急処置に関する情報,医療機関照会に関する情報,収容した医療機関に関する情報,医療機関における被搬送者に対する処置の情報などの項目がある。
【0096】
これらの各入力項目の一部または全部は,救急出動記録情報,活動記録情報の各項目と対応しており,たとえば被搬送者に関する情報の各項目は,図4の指令センター端末3で通報内容の入力を受け付けたときの画面,図5の救急隊端末4で表示される指令情報画面における各項目が対応し,被搬送者の観察結果に関する情報は図6のバイタルサイン画面の各項目,現場到着時の状況に関する情報は図7の被搬送者情報画面の各項目,応急処置に関する情報は図8の応急処置画面の各項目,医療機関紹介に関する情報および収容した医療機関に関する情報は図10の医療機関選定画面,図11の受入要請画面の各項目がそれぞれ対応している。
【0097】
報告書画面では入力すべき項目が多数あるが,報告処理部によって,報告書画面における各項目に対応する,救急出動記録の項目の情報と,活動記録の項目の情報とが反映して入力されているので,救急隊員は,わずかな情報を入力するだけで済む。
【0098】
このような処理を実行することで,救急隊員は,救急出動後の報告書の作成を容易に行うことが可能となる。また,救急出動記録情報,活動記録情報に基づいて報告書を作成するので,入力される情報の精度も高くなる。
【0099】
このように作成した報告書画面において,たとえば,「Excel出力」などのボタンを押下することで,報告書処理部22は報告書画面の出力処理を行う(S170)。これによって,たとえば報告書が所定のプリンタで印刷され報告書の提出が行える。なお,仮想プリンタで印刷され,たとえばPDF形式で出力されて,電子データとして報告書の提出が行えてもよい。また,報告書画面から所定の操作をすることで,自動的に国や地方自治体にオンラインで報告書の提出が行えてもよい。
【0100】
本発明は,本発明の趣旨を逸脱しない範囲において,適宜,設計変更が可能である。また処理は一例であり,その処理を異なる順番で実行することも可能である。さらに,画面の表示についても適宜,変更可能である。また,すべての機能を備えずとも,一部の機能のみを備えるのであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の情報処理システム1を用いることによって,救急隊員の報告書の作成の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0102】
1:情報処理システム
2:管理コンピュータ
3:指令センター端末
4:救急隊端末
5:医療機関側コンピュータ
6:被搬送者端末
20:救急出動処理部
21:救急隊処理部
22:報告書処理部
23:記憶部
50:医療機関処理部
51:電子カルテ処理部
70:演算装置
71:記憶装置
72:表示装置
73:入力装置
74:通信装置
図1
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図3
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図5
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