(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032819
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139139
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山田 匠
(72)【発明者】
【氏名】山下 康弘
(72)【発明者】
【氏名】澤田 剛輝
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA25
3D030DA35
3D030DA45
3D030DA47
3D030DA64
3D030DA69
3D030DB13
3D030DB81
(57)【要約】
【課題】ステアリングホイールの外観性を確保しつつ、ステアリングホイールの製造コストの高騰化を抑制することができる電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法を提供する。
【解決手段】電極構造体20は、車両3に設けられたステアリングホイール1に配置される電極構造体20であって、絶縁体21と、ステアリングホイール1の芯金11と対向する面である絶縁体21の第1面21aに配置される第1電極31と、絶縁体21の第1面21aと反対側の面である第2面21bに配置される第2電極32と、絶縁体21から芯金11へ向かって突出する突出部23と、芯金11に掛合する掛合部22と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられたステアリングホイールに配置される電極構造体であって、
絶縁体と、
前記ステアリングホイールの芯金と対向する面である前記絶縁体の第1面に配置される第1電極と、
前記絶縁体の前記第1面と反対側の面である第2面に配置される第2電極と、
前記絶縁体から前記芯金へ向かって突出する突出部と、
前記芯金に掛合する掛合部と、を備える、
電極構造体。
【請求項2】
前記掛合部は、前記芯金に形成された第1凹部に掛合する第2凹部を有する、
請求項1に記載の電極構造体。
【請求項3】
前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、前記突出部と前記掛合部とが前記芯金を挟み、かつ、前記突出部と前記掛合部とが対向する位置に配置される、
請求項1または2に記載の電極構造体。
【請求項4】
前記芯金は、前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、湾曲状の湾曲部を有し、
前記突出部は、前記湾曲部と対向する位置に配置される、
請求項1または2に記載の電極構造体。
【請求項5】
前記突出部および前記掛合部は、前記絶縁体と一体的に形成される、
請求項1~4の何れか1項に記載の電極構造体。
【請求項6】
前記絶縁体、前記第1電極、および、前記第2電極は、前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、少なくとも前記ステアリングホイールの外周側から前記ステアリングホイールにおける前記車両の後方側までの範囲に配置される、
請求項1~5の何れか1項に記載の電極構造体。
【請求項7】
前記突出部および前記掛合部は、前記突出部および前記掛合部のそれぞれの輪郭の角部を丸めた曲面部分を有する、
請求項1~6の何れか1項に記載の電極構造体。
【請求項8】
前記絶縁体は、樹脂材料で構成され、
前記第1電極は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成され、
前記第2電極は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成される、
請求項1~7の何れか1項に記載の電極構造体。
【請求項9】
前記第1電極には、前記第2電極に印加される交流電圧と同位相の交流電圧が印加される、
請求項1~8の何れか1項に記載の電極構造体。
【請求項10】
車両に設けられたステアリングホイールに配置される電極構造体であって、
硬質プラスチックからなる絶縁体と、
前記ステアリングホイールの芯金と対向する面である前記絶縁体の第1面に配置される第1電極と、
前記絶縁体の前記第1面と反対側の面である第2面に配置される第2電極と、を備える、
電極構造体。
【請求項11】
前記芯金は、円環状をなし、
前記絶縁体は、前記芯金の外周側の面に沿って配置される形状を有する、
請求項10に記載の電極構造体。
【請求項12】
前記第1電極は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成され、
前記第2電極は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成される、
請求項10または11に記載の電極構造体。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1項に記載の電極構造体と、
前記芯金と、
前記電極構造体を覆う発泡体と、を備える、
ステアリングホイール。
【請求項14】
請求項1~9の何れか1項に記載の電極構造体が備える前記掛合部を前記芯金に掛合させ、
前記掛合部を前記芯金に掛合させた状態で、発泡体を用いて前記電極構造体を覆う、
ステアリングホイールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切削工具を用いてステアリングホイールの発泡体に切れ込みを入れ、切れ込みの第1の層および第2の層のそれぞれにセンサの導電体を導入する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報第2018/145868号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ステアリングホイールの発泡体に形成された切れ込みによって外観性が悪化してしまうことがある。また、切れ込み作業およびセンサの導電体を導入するための工数が増加することで、ステアリングホイールの製造コストが高騰化してしまうことがある。
【0005】
そこで、本開示は、ステアリングホイールの外観性を確保しつつ、ステアリングホイールの製造コストの高騰化を抑制することができる電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電極構造体は、車両に設けられたステアリングホイールに配置される電極構造体であって、絶縁体と、前記ステアリングホイールの芯金と対向する面である前記絶縁体の第1面に配置される第1電極と、前記絶縁体の前記第1面と反対側の面である第2面に配置される第2電極と、前記絶縁体から前記芯金へ向かって突出する突出部と、前記芯金に掛合する掛合部と、を備える。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な側面は、システム、装置、方法、記録媒体、または、コンピュータプログラムで実現されてもよく、システム、装置、方法、記録媒体、および、コンピュータプログラムの任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電極構造体等は、ステアリングホイールの外観性を確保しつつ、ステアリングホイールの製造コストの高騰化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態におけるステアリングホイールが配置された車両の車室を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線における実施の形態のステアリングホイールを示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態におけるステアリングホイールを示す断面斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態におけるステアリングホイールを示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態におけるステアリングホイールの製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態の変形例1におけるステアリングホイールを示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態の変形例2におけるステアリングホイールを示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例3におけるステアリングホイールを示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例4におけるステアリングホイールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様に係る電極構造体は、車両に設けられたステアリングホイールに配置される電極構造体であって、絶縁体と、前記ステアリングホイールの芯金と対向する面である前記絶縁体の第1面に配置される第1電極と、前記絶縁体の前記第1面と反対側の面である第2面に配置される第2電極と、前記絶縁体から前記芯金へ向かって突出する突出部と、前記芯金に掛合する掛合部と、を備える。
【0011】
これによれば、電極構造体を予め芯金に取付けることができる。これにより、ステアリングホイールを形成する際に電極構造体をステアリングホイールの内部に配置することができる。このため、従来のように、ステアリングホイールを形成してから、ステアリングホイールに切り込みを入れて第1電極および第2電極を配置する必要もない。このため、ステアリングホイールの外観性が悪化したり、ステアリングホイールの製造に関する工数が増加したりし難くなる。
【0012】
したがって、電極構造体は、ステアリングホイールの外観性を確保しつつ、ステアリングホイールの製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0013】
特に、この電極構造体では、絶縁体から芯金へ向かって突出する突出部と、芯金に掛合する掛合部とによって、芯金に対する第1電極および絶縁体の姿勢を確保することができる。このため、突出部および掛合部は第1電極と芯金とが電気的に接続されてしまうことを抑制することができる。その結果、電極構造体をステアリングホイールの把持検知に用いる場合、運転者の手がステアリングホイールを把持することを精度よく検知することができる。
【0014】
また、突出部と掛合部とが芯金に対する第1電極および絶縁体の姿勢を確保することができるため、ステアリングホイールの樹脂成型時において、電極構造体を確実にステアリングホイールに組み込むことができる。
【0015】
また、突出部が芯金と第1電極との距離を保つことができ、かつ、掛合部が絶縁体を芯金に掛合することで、掛合部が芯金に絶縁体を固定することができる。このため、ステアリングホイールの樹脂成型時の圧力によって、絶縁体が芯金に対して位置ズレしたり、ステアリングホイールの周方向に対して回転ズレしたりすることを抑制することができる。
【0016】
また、本開示の一態様に係る電極構造体は、車両に設けられたステアリングホイールに配置される電極構造体であって、硬質プラスチックからなる絶縁体と、前記ステアリングホイールの芯金と対向する面である前記絶縁体の第1面に配置される第1電極と、前記絶縁体の前記第1面と反対側の面である第2面に配置される第2電極と、を備える。
【0017】
この電極構造体においても、第1電極および第2電極が配置された絶縁体が硬質プラスチックで構成されるため、例えば、芯金に対する第1電極および絶縁体の姿勢を確保しつつ、電極構造体を予め芯金に取付けることができる。これにより、上述と同様の作用効果を奏する。
【0018】
また、本開示の一態様に係るステアリングホイールは、電極構造体と、前記芯金と、前記電極構造体を覆う発泡体と、を備える。
【0019】
このステアリングホイールにおいても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0020】
また、本開示の一態様に係るステアリングホイールの製造方法は、電極構造体が備える前記掛合部を前記芯金に掛合させ、前記掛合部を前記芯金に掛合させた状態で、発泡体を用いて前記電極構造体を覆う。
【0021】
このステアリングホイールの製造方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0022】
また、電極構造体において、前記掛合部は、前記芯金に形成された第1凹部に掛合する第2凹部を有する。
【0023】
これによれば、第1凹部と第2凹部とが掛合するため、掛合部は、芯金に絶縁体を固定することができる。このため、ステアリングホイールの樹脂成型時の圧力によって、絶縁体が芯金に対して位置ズレしたり、ステアリングホイールの周方向に対して回転ズレしたりすることを抑制することができる。
【0024】
また、電極構造体では、前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、前記突出部と前記掛合部とが前記芯金を挟み、かつ、前記突出部と前記掛合部とが対向する位置に配置される。
【0025】
これによれば、突出部が絶縁体を支持する位置と対応する個所で、掛合部が絶縁体を支持することができる。このため、突出部および掛合部は、第1電極が芯金に接触しないように、芯金に対して第1電極および絶縁体を離間した状態で配置することができる。
【0026】
また、ステアリングホイールを形成する際に、第1電極と絶縁体との間に発泡体を充填することができる空間を確保することができる。このため、第1電極と絶縁体との間に発泡体を樹脂成型することができる。
【0027】
また、ステアリングホイールの樹脂成型時の圧力によって、絶縁体が芯金に対して位置ズレしたり、ステアリングホイールの周方向に対して回転ズレしたりすることをより抑制することができる。
【0028】
また、電極構造体において、前記芯金は、前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、湾曲状の湾曲部を有し、前記突出部は、前記湾曲部と対向する位置に配置される。
【0029】
これによれば、芯金が湾曲部を有していても、第1電極が芯金に接触しないように、突出部が湾曲部に対して第1電極および絶縁体を離間した状態で配置することができる。
【0030】
また、電極構造体において、前記突出部および前記掛合部は、前記絶縁体と一体的に形成される。
【0031】
これによれば、絶縁体に、突出部および掛合部を接着等する工程の増加を抑制することができる。
【0032】
また、電極構造体において、前記絶縁体、前記第1電極、および、前記第2電極は、前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、少なくとも前記ステアリングホイールの外周側から前記ステアリングホイールにおける前記車両の後方側までの範囲に配置される。
【0033】
これによれば、運転者の手がステアリングホイールを把持した場合、運転者の手がステアリングホイールの表面に接触し易い個所に電極構造体を配置することができる。このため、運転者の手による把持を確実に検出することができる。
【0034】
また、ステアリングホイールの全体に亘って電極構造体を配置する必要がないため、電極構造体における材料費の高騰化を抑制することができる。
【0035】
また、電極構造体において、前記突出部および前記掛合部は、前記突出部および前記掛合部のそれぞれの輪郭の角部を丸めた曲面部分を有する。
【0036】
これによれば、ステアリングホイールを製造するうえで、例えば、芯金、絶縁体、第1電極、および、第2電極を覆うように発泡体を充填する際に、発泡体を流動させることができる。このため、突出部および掛合部の周囲を発泡体によって確実に充填することができる。
【0037】
また、電極構造体において、前記絶縁体は、樹脂材料で構成され、前記第1電極は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成され、前記第2電極は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成される。
【0038】
これによれば、樹脂材料を用いて、芯金の形状および大きさに応じた絶縁体を形成することができる。また、絶縁体に第1電極および第2電極を配置することができるため、絶縁体、第1電極および第2電極が一体化された部材を芯金に容易に組付けることができる。さらに、絶縁体に一定の強度を確保すれば、絶縁体は、第1電極を芯金から離間した状態で第1電極を配置させることができる。
【0039】
また、電極構造体において、前記第1電極には、前記第2電極に印加される交流電圧と同位相の交流電圧が印加される。
【0040】
これによれば、第1電極と第2電極との間の静電容量を打ち消す、または、小さくすることができる。このため、運転者の手によるステアリングホイールの把持を検出する制御回路を用いれば、制御回路は、この手がステアリングホイールを把持した際に生じる、第2電極と運転者の手との間における静電容量の変化を精度よく検出することができるようになる。
【0041】
また、電極構造体において、前記芯金は、円環状をなし、前記絶縁体は、前記芯金の外周側の面に沿って配置される形状を有する。
【0042】
これによれば、芯金の外形に応じて絶縁体を配置することができる。このため、この電極構造体の汎用性を高めることができる。
【0043】
また、電極構造体において、前記第1電極は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成され、前記第2電極は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成される。
【0044】
これによれば、絶縁体に第1電極および第2電極を配置することができるため、絶縁体、第1電極および第2電極が一体化された部材を芯金に容易に組付けることができる。さらに、絶縁体に一定の強度を確保すれば、絶縁体は、第1電極を芯金から離間した状態で第1電極を配置させることができる。
【0045】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0046】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0047】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0048】
また、以下の実施の形態において、略等間隔またはT字状等の表現を用いている。例えば、略等間隔またはT字状は、完全に等間隔またはT字であることを意味するだけでなく、実質的に等間隔またはT字である、すなわち数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略等間隔またはT字状は、本開示による効果を奏し得る範囲において等間隔またはT字という意味である。他の「略」、「状」を用いた表現についても同様である。
【0049】
(実施の形態)
<構成:ステアリングホイール1>
図1は、実施の形態におけるステアリングホイール1が配置された車両3の車室を示す図である。
【0050】
図1に示すように、ステアリングホイール1は、例えば車両3の操舵輪に対して操舵角を与えることができる。
【0051】
ステアリングホイール1は、リム10を有する。リム10は、リム10の内周面に配置されたT字状のスポーク9と一体的に形成されている。
【0052】
図2および
図3に示すように、リム10は、芯金11と、電極構造体20と、電極構造体20を覆う発泡体12とを備える。ここで、
図2は、
図1のII-II線における実施の形態のステアリングホイール1を示す断面図である。
図3は、実施の形態におけるステアリングホイール1を示す断面斜視図である。また、
図3では、発泡体12の輪郭を破線で示している。
【0053】
[芯金11]
芯金11は、金属製の円環状の芯である。具体的には、芯金11は、円環状の第1部11aと、第1部11aの外周側に配置された円環状の第2部11bとを有する。第1部11aの一端縁と第2部11bの一端縁とは互いに連結されている。つまり、芯金11は、芯金11の周方向と垂直な平面で芯金11を切断した場合の断面(以下、芯金11の断面ということがある。)がU字状、V字状、J字状、C字状等の形状である。
【0054】
また、芯金11の断面がU字状、V字状、J字状、C字状等の形状であるため、第1部11aと第2部11bとの間には、第1凹部10aが形成されている。第1凹部10aは、円環状をなした凹部である。本実施の形態では、第1凹部10aは、リム10における車両3の前方側(リム10に対する座席側と反対側)に形成されている。
【0055】
また、芯金11は、湾曲状の湾曲部13を有する。具体的には、湾曲部13は、芯金11の断面における芯金11の外周側の面であり、第1部11aと第2部11bとの接続部分に形成されている。
【0056】
[電極構造体20]
電極構造体20は、運転者の手によるステアリングホイール1の把持を検出する装置に用いられる。具体的には、電極構造体20には、運転者の手によってステアリングホイール1の把持を検出することが可能な制御回路40が接続されている。運転者の手によってリム10が把持されると、電極構造体20の電極とその手との間の静電容量が変化する。制御回路40は、電極構造体20の電極から、静電容量が変化した出力信号に基づいて把持を検出する。具体的には、制御回路40は、その電極の静電容量、またはその静電容量に応じた値(変化量)を計測し、その値に基づいて、運転者の手によるリム10の把持を検出する。このような、制御回路40は、専用回路または汎用プロセッサで構成されている。また、制御回路40は、例えば
図1のスポーク9に埋設されている。
【0057】
また、電極構造体20は、車両3に設けられたステアリングホイール1に配置されている。本実施の形態では、電極構造体20は、ステアリングホイール1のリム10に埋設されている。具体的には、電極構造体20は、絶縁体21と、掛合部22と、突出部23と、第1電極31と、第2電極32とを備える。
【0058】
絶縁体21は、芯金11と同様な円環状をなし、芯金11とともに同心円状となるように、芯金11の外周側の面に沿って配置されている。つまり、絶縁体21は、芯金11よりも大径となる。
【0059】
また、絶縁体21における芯金11と対向する面である第1面21aには第1電極31が配置され、絶縁体21における第1面21aとは反対側の面である第2面21bには第2電極32が配置されている。絶縁体21は、第1電極31と第2電極32とが電気的に接続されないように、第1電極31と第2電極32とが重なるように配置することができる。このような、絶縁体21は、例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等の硬質プラスチック等の樹脂材料で構成されている。
【0060】
また、絶縁体21は、一定の板厚が確保されている。一定の板厚とは、例えば、絶縁体21の厚みが数mm程度の厚みである。絶縁体21が一定の板厚を確保しているため、剛性が確保される。このため、ステアリングホイール1の樹脂成型時において、絶縁体21は、変形し難く、姿勢を維持することができる。
【0061】
また、絶縁体21は、掛合部22に支持されることで、芯金11に対して所定距離だけ離間した状態で配置されている。言い換えると、絶縁体21に配置された第1電極31が芯金11に対して所定距離だけ離間した状態で配置される。また、絶縁体21と芯金11との間には、第1電極31および発泡体12が配置されている。
【0062】
掛合部22は、絶縁体21を芯金11に支持することが可能な支持片である。具体的には、掛合部22は、芯金11に形成された第1凹部10aに掛合する第2凹部22aを有する。掛合部22の一部が芯金11の第1凹部10aに挿入されるとともに、第2凹部22aに芯金11の第1部11aの端部が挿入されることで、掛合部22は、芯金11に形成されている第1凹部10aに掛合する。これにより、掛合部22が芯金11に連結される。
【0063】
ここで、芯金11の第1部11aの端部とは、芯金11の断面において、車両3の前方側となる第1部11aの先端部分である。
【0064】
また、掛合部22は、掛合部22の輪郭の角部が丸められた曲面部分22bを有する。具体的には、掛合部22では、掛合部22に形成されている角部が丸みを帯びるように、角部の所定半径のRが付けられている。曲面部分22bは、掛合部22が発泡体12と接触する部分全てに形成されていてもよい。これにより、発泡体12を充填する際に、発泡体12が流動することで、発泡体12によって掛合部22の周囲が確実に充填されるようになる。
【0065】
また、掛合部22は、絶縁体21と一体的に構成され、破壊することなしに絶縁体21と分離不能である。なお、掛合部22は、破壊することなしに絶縁体21と分離可能な別体であってもよい。この場合、例えば、掛合部22に形成された凹部と、絶縁体21に形成された凸部とを連結することで、掛合部22が絶縁体21に連結されてもよい。また、掛合部22が接着剤または連結部材等によって絶縁体21と連結されてもよい。
【0066】
また、掛合部22は、芯金11および絶縁体21に複数配置されている。例えば、4つまたは8つの掛合部22が、芯金11および絶縁体21に配置されていてもよい。なお、本開示で示した掛合部22の数は、あくまでも一例であり、本開示で示した数に限定されない。また、1以上の掛合部22を一組とした複数組が、リム10上に略等間隔に配置されていてもよい。
【0067】
また、掛合部22は、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料で構成されている。
【0068】
突出部23は、芯金11の湾曲部13と対向する位置に配置されている。また、突出部23は、絶縁体21から芯金11へ向かって突出している。突出部23の先端は、芯金11と当接している。つまり、突出部23は、絶縁体21と芯金11との間に配置されている。このため、突出部23は、絶縁体21および第1電極31と芯金11とが接触しないように、芯金11に対する絶縁体21の姿勢を維持することができる。
【0069】
また、突出部23は、突出部23の輪郭の角部を丸められた曲面部分22bを有する。具体的には、突出部23では、突出部23に形成されている角部が丸みを帯びるように、角部の所定半径のRが付けられている。これにより、発泡体12を充填する際に、発泡体12が流動することで、発泡体12によって突出部23の周囲が確実に充填されるようになる。
【0070】
また、突出部23は、絶縁体21と一体的に形成され、破壊することなしに絶縁体21と分離不能である。なお、突出部23は、破壊することなしに絶縁体21と分離可能な別体であってもよい。この場合、例えば、突出部23に形成された凹部と、絶縁体21に形成された凸部とを連結することで、突出部23が絶縁体21に連結されてもよい。また、突出部23が接着剤または連結部材等によって絶縁体21と連結されてもよい。
【0071】
また、突出部23は、芯金11および絶縁体21に複数配置されている。例えば、4つまたは8つの突出部23が、芯金11および絶縁体21に配置されていてもよい。なお、本開示で示した突出部23の数は、あくまでも一例であり、本開示で示した数に限定されない。また、突出部23は、芯金11および絶縁体21に略等間隔に配置されていてもよい。
【0072】
ここで、絶縁体21と掛合部22と突出部23との関係について説明する。
【0073】
本実施の形態では、掛合部22は、絶縁体21の周方向と垂直な平面で絶縁体21を切断したときの断面(以下、絶縁体21の断面ということがある。)において、絶縁体21の一端部に配置されている。また、突出部23は、絶縁体21の断面における、絶縁体21の他端部に配置されている。このため、絶縁体21の断面を見た場合、絶縁体21の一端部が掛合部22に支持され、絶縁体21の他端部が突出部23に支持される。これにより、突出部23および掛合部22は、絶縁体21および第1電極31を芯金11から離間させた状態となるように、芯金11に対する絶縁体21の姿勢を維持させることができる。
【0074】
また、突出部23は、例えばポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等の樹脂材料で構成されている。
【0075】
ここで、芯金11と掛合部22と突出部23との関係について説明する。
【0076】
本実施の形態では、リム10の周方向と垂直な平面でリム10を切断したときの断面(以下、リム10の断面ということがある。)において、突出部23と掛合部22とが芯金11を挟み、かつ、突出部23と掛合部22とが芯金11を介して対向する位置に配置されている。具体的には、突出部23および掛合部22のそれぞれが絶縁体21に複数配置されているため、複数の突出部23と複数の掛合部22とが一対一、一対多または多対一で対応するように、複数の突出部23および複数の掛合部22は、略等間隔となるように絶縁体21に配置されている。つまり、リム10の断面では、絶縁体21の他端部に配置された突出部23と、絶縁体21の一端部に配置された掛合部22とが芯金11を挟むように配置されている。このため、電極構造体20を強固に芯金11に取付けることができる。
【0077】
第1電極31は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成される。第1電極31が金属シート、または、金属板の場合、金属シート、または、金属板が接着剤等によって絶縁体21の第1面21aに貼り付けられる。第1電極31は、例えば、銅またはアルミニウム等を含んだ金属である。
【0078】
また、第1電極31は、絶縁体21と同様の円環状をなしている。第1電極31は、ステアリングホイール1の芯金11と対向する面である絶縁体21の第1面21aに配置されている。つまり、第1電極31は、発泡体12を介して芯金11と対向する絶縁体21の内周側の面に沿って配置されている。また、第1電極31は芯金11から離間して配置されており、第1電極31と芯金11との間には発泡体12が充填されている。このため、第1電極31は、芯金11と電気的に接続されない。
【0079】
また、第1電極31には、第2電極32に印加される交流電圧と同位相の交流電圧が印加される。第1電極31に印加される交流電圧は、
図4に示すように、制御回路40が電源部41を制御することで、電源部41から印加される交流電圧である。ここで、
図4は、実施の形態におけるステアリングホイール1を示すブロック図である。
【0080】
ここで、
図4の電源部41は、制御回路40に制御されることで、ハーネスを介して第1電極31および第2電極32に交流電圧を印加することができる。
【0081】
図2および
図3に示すように、第1電極31および第2電極32に同位相の交流電圧を印加することで、第1電極31と第2電極32との間の静電容量を打ち消す、または、小さくすることができる。このため、制御回路40は、第2電極32と運転者の手との間に発生した静電容量の変化を検出することができる。
【0082】
第2電極32は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成される。第2電極32が金属シート、または、金属板の場合、金属シート、または、金属板が接着剤等によって絶縁体21の第2面21bに貼り付けられる。第2電極32は、例えば、銅またはアルミニウム等を含んだ金属である。
【0083】
また、第2電極32は、絶縁体21と同様の円環状をなしている。第2電極32は、絶縁体21の第1面21aと反対側の面である第2面21bに配置されている。つまり、第2電極32は、第1電極31とともに絶縁体21を挟むように絶縁体21の外周側の面に沿って配置されている。
【0084】
また、第2電極32には、交流電圧が印加される。第2電極32に印加される交流電圧は、制御回路40が
図4の電源部41を制御することで、電源部41から印加される交流電圧である。ここで、第2電極32は絶縁体21の外周側の面に配置されているため、リム10において第2電極32が配置されている部位が、運転者の手によって把持されると、第2電極32とその手との間に静電容量が形成される。したがって、制御回路40は、その静電容量の変化に応じて、手によるリム10の把持を検出することができる。
【0085】
また、第1電極31および第2電極32において、第1電極31と第2電極32と重ねて見た場合、第1電極31が第2電極32の全てを覆い、かつ、第2電極32が第2面21bに配置される表面積よりも、第1電極31が第1面21aに配置される表面積の方が大きい。このため、第1電極31は、第2電極32と芯金11との間の静電容量が変化を抑制するようにシールドすることができる。
【0086】
また、絶縁体21、第1電極31、および、第2電極32は、ステアリングホイール1のリム10の周方向と垂直な平面でステアリングホイール1を切断した場合の断面(以下、ステアリングホイール1の断面ということがある。)において、少なくともステアリングホイール1のリム10の外周側の部分からリム10における車両3の後方側の部分までの範囲に配置されている。
【0087】
本実施の形態では、絶縁体21、第1電極31、および、第2電極32は、リム10の断面の周方向に沿って、少なくとも1/4周の範囲に亘って配置されている。
図2では、絶縁体21、第1電極31、および、第2電極32は、二点鎖線で示される2つの直線V1、V2の間の範囲Aよりも大きい範囲に亘って配置されている。このように、運転者の手がリム10を把持した場合の手が接触し易い個所に、絶縁体21、第1電極31、および、第2電極32が配置されることで、電極構造体20では、運転者の手による把持を精度よく検出することができる。
【0088】
[発泡体12]
発泡体12は、運転者の手が把持する部分であり、ステアリングホイール1におけるリム10の外殻を構成している。発泡体12は、電極構造体20を覆うポリウレタン等のウレタン樹脂の樹脂材料からなる。発泡体12は、絶縁体21、掛合部22、突出部23、第1電極31、第2電極32および芯金11を埋設している。つまり、絶縁体21、掛合部22、突出部23、第1電極31、第2電極32および芯金11は、発泡体12から露出しないように、発泡体12によって覆われている。
【0089】
<ステアリングホイール1の製造方法>
図5は、実施の形態におけるステアリングホイール1の製造方法を示すフローチャートである。
【0090】
まず、
図5に示すように、芯金11と、電極構造体20とを準備する。芯金11の第1凹部10aに電極構造体20における掛合部22の第2凹部22aを掛合させて組付ける(S11:組付け工程)。これにより、電極構造体20が備える掛合部22を芯金11に掛合させた状態である、電極構造体20が芯金11に組付けられた組付け構造体が得られる。
【0091】
次に、組付け構造体を金型のキャビティ内に固定し、金型を型締めする。そして、掛合部22を芯金11に掛合させた状態で、発泡体12を用いて電極構造体20を覆う。つまり、金型に形成されているゲートから射出成形樹脂を金型内のキャビティに流し込む(S12:射出工程)。射出成形樹脂は、例えばポリウレタン等のウレタン樹脂の樹脂材料である。
【0092】
これにより、発泡体12は、掛合部22を芯金11に掛合させた状態で、電極構造体20を覆うことができる。こうして、ステアリングホイール1を得ることができる。
【0093】
<作用効果>
本実施の形態における電極構造体20、ステアリングホイール1およびステアリングホイール1の製造方法の作用効果について説明する。
【0094】
上述したように、本実施の形態の電極構造体20は、車両3に設けられたステアリングホイール1に配置される電極構造体20であって、絶縁体21と、ステアリングホイール1の芯金11と対向する面である絶縁体21の第1面21aに配置される第1電極31と、絶縁体21の第1面21aと反対側の面である第2面21bに配置される第2電極32と、絶縁体21から芯金11へ向かって突出する突出部23と、芯金11に掛合する掛合部22と、を備える。
【0095】
これによれば、電極構造体20を予め芯金11に取付けることができる。これにより、ステアリングホイール1を形成する際に電極構造体20をステアリングホイール1の内部に配置することができる。このため、従来のように、ステアリングホイールを形成してから、ステアリングホイールに切り込みを入れて第1電極および第2電極を配置する必要もない。このため、本実施の形態では、ステアリングホイール1の外観性が悪化したり、ステアリングホイール1の製造に関する工数が増加したりし難くなる。
【0096】
したがって、電極構造体20は、ステアリングホイール1の外観性を確保しつつ、ステアリングホイール1の製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0097】
特に、この電極構造体20では、絶縁体21から芯金11へ向かって突出する突出部23と、芯金11に掛合する掛合部22とによって、芯金11に対する第1電極31および絶縁体21の姿勢を確保することができる。このため、突出部23および掛合部22は第1電極31と芯金11とが電気的に接続されてしまうことを抑制することができる。その結果、電極構造体20をステアリングホイール1の把持検知に用いる場合、運転者の手がステアリングホイール1を把持することを精度よく検知することができる。
【0098】
また、突出部23と掛合部22とが芯金11に対する第1電極31および絶縁体21の姿勢を確保することができるため、ステアリングホイール1の樹脂成型時において、電極構造体20を確実にステアリングホイール1に組み込むことができる。
【0099】
また、突出部23が芯金11と第1電極31との距離を保つことができ、かつ、掛合部22が絶縁体21を芯金11に掛合することで、掛合部22が芯金11に絶縁体21を固定することができる。このため、ステアリングホイール1の樹脂成型時の圧力によって、絶縁体21が芯金11に対して位置ズレしたり、ステアリングホイール1の周方向に対して回転ズレしたりすることを抑制することができる。
【0100】
また、本実施の形態の電極構造体20は、車両3に設けられたステアリングホイール1に配置される電極構造体20であって、硬質プラスチックからなる絶縁体21と、ステアリングホイール1の芯金11と対向する面である絶縁体21の第1面21aに配置される第1電極31と、絶縁体21の第1面21aと反対側の面である第2面21bに配置される第2電極32と、を備える。
【0101】
この電極構造体20においても、第1電極31および第2電極32が配置された絶縁体21が硬質プラスチックで構成されるため、例えば、芯金11に対する第1電極31および絶縁体21の姿勢を確保しつつ、電極構造体20を予め芯金11に取付けることができる。これにより、上述と同様の作用効果を奏する。
【0102】
また、本実施の形態のステアリングホイール1は、電極構造体20と、芯金11と、電極構造体20を覆う発泡体12と、を備える。
【0103】
このステアリングホイール1においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0104】
また、本実施の形態のステアリングホイール1の製造方法は、電極構造体20が備える掛合部22を芯金11に掛合させる。そして、掛合部22を芯金11に掛合させた状態で、発泡体12を用いて電極構造体20を覆う。
【0105】
このステアリングホイール1の製造方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0106】
また、本実施の形態の電極構造体20において、掛合部22は、芯金11に形成された第1凹部10aに掛合する第2凹部22aを有する。
【0107】
これによれば、第1凹部10aと第2凹部22aとが掛合するため、掛合部22は、芯金11に絶縁体21を固定することができる。このため、ステアリングホイール1の樹脂成型時の圧力によって、絶縁体21が芯金11に対して位置ズレしたり、ステアリングホイール1の周方向に対して回転ズレしたりすることをより抑制することができる。
【0108】
また、本実施の形態の電極構造体20において、ステアリングホイール1の周方向と垂直な平面でステアリングホイール1を切断した場合の断面において、突出部23と掛合部22とが芯金11を挟み、かつ、突出部23と掛合部22とが対向する位置に配置される。
【0109】
これによれば、突出部23が絶縁体21を支持する位置と対応する個所で、掛合部22が絶縁体21を支持することができる。このため、突出部23および掛合部22は、第1電極31が芯金11に接触しないように、芯金11に対して第1電極31および絶縁体21を離間した状態で配置することができる。
【0110】
また、ステアリングホイール1を形成する際に、第1電極31と絶縁体21との間に発泡体12を充填することができる空間を確保することができる。このため、第1電極31と絶縁体21との間に発泡体12を樹脂成型することができる。
【0111】
また、ステアリングホイール1の樹脂成型時の圧力によって、絶縁体21が芯金11に対して位置ズレしたり、ステアリングホイール1の周方向に対して回転ズレしたりすることをより抑制することができる。
【0112】
また、本実施の形態の電極構造体20において、芯金11は、ステアリングホイール1の周方向と垂直な平面でステアリングホイール1を切断した場合の断面において、湾曲状の湾曲部13を有する。そして、突出部23は、湾曲部13と対向する位置に配置される。
【0113】
これによれば、芯金11が湾曲部13を有していても、第1電極31が芯金11に接触しないように、突出部23が湾曲部13に対して第1電極31および絶縁体21を離間した状態で配置することができる。
【0114】
また、本実施の形態の電極構造体20において、突出部23および掛合部22は、絶縁体21と一体的に形成される。
【0115】
これによれば、絶縁体21に、突出部23および掛合部22を接着等する工程の増加を抑制することができる。
【0116】
また、本実施の形態の電極構造体20において、絶縁体21、第1電極31、および、第2電極32は、ステアリングホイール1の周方向と垂直な平面でステアリングホイール1を切断した場合の断面において、少なくともステアリングホイール1の外周側からステアリングホイール1における車両3の後方側までの範囲に配置される。
【0117】
これによれば、運転者の手がステアリングホイール1を把持した場合、運転者の手がステアリングホイール1の表面に接触し易い個所に電極構造体20を配置することができる。このため、運転者の手による把持を確実に検出することができる。
【0118】
また、ステアリングホイール1の全体に亘って電極構造体20を配置する必要がないため、電極構造体20における材料費の高騰化を抑制することができる。
【0119】
また、本実施の形態の電極構造体20において、突出部23および掛合部22は、突出部23および掛合部22のそれぞれの輪郭の角部を丸めた曲面部分22bを有する。
【0120】
これによれば、ステアリングホイール1を製造するうえで、例えば、芯金11、絶縁体21、第1電極31、および、第2電極32を覆うように発泡体12を充填する際に、発泡体12を流動させることができる。このため、突出部23および掛合部22の周囲を発泡体12によって確実に充填することができる。
【0121】
また、本実施の形態の電極構造体20において、絶縁体21は、樹脂材料で構成される。また、第1電極31は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成される。そして、第2電極32は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成される。
【0122】
これによれば、樹脂材料を用いて、芯金11の形状および大きさに応じた絶縁体21を形成することができる。また、絶縁体21に第1電極31および第2電極32を配置することができるため、絶縁体21、第1電極31および第2電極32が一体化された部材を芯金11に容易に組付けることができる。さらに、絶縁体21に一定の強度を確保すれば、絶縁体21は、第1電極31を芯金11から離間した状態で第1電極31を配置させることができる。
【0123】
また、本実施の形態の電極構造体20において、第1電極31には、第2電極32に印加される交流電圧と同位相の交流電圧が印加される。
【0124】
これによれば、第1電極31と第2電極32との間の静電容量を打ち消す、または、小さくすることができる。このため、運転者の手によるステアリングホイール1の把持を検出する制御回路40を用いれば、制御回路40は、この手がステアリングホイール1を把持した際に生じる第2電極32と運転者の手との間における静電容量の変化を精度よく検出することができるようになる。
【0125】
また、本実施の形態の電極構造体20において、芯金11は、円環状をなしている。そして、絶縁体21は、芯金11の外周側の面に沿って配置される形状を有する。
【0126】
これによれば、芯金11の外形に応じて絶縁体21を配置することができる。このため、この電極構造体20の汎用性を高めることができる。
【0127】
また、本実施の形態の電極構造体20において、第1電極31は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成される。そして、第2電極32は、金属メッキ、金属シート、または、金属板で構成される。
【0128】
これによれば、絶縁体21に第1電極31および第2電極32を配置することができるため、絶縁体21、第1電極31および第2電極32が一体化された部材を芯金11に容易に組付けることができる。さらに、絶縁体21に一定の強度を確保すれば、絶縁体21は、第1電極31を芯金11から離間した状態で第1電極31を配置させることができる。
【0129】
(実施の形態の変形例1)
本変形例の電極構造体20およびステアリングホイール1では、掛合部122aが芯金11と掛合している点で実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールと相違する。本変形例の電極構造体20およびステアリングホイール1の構成および機能は、実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールの構成および機能と同一の構成および機能については同一の符号を付して構成および機能に関する詳細な説明を省略する。
【0130】
図6は、実施の形態の変形例1におけるステアリングホイール1を示す断面図である。
【0131】
本変形例の掛合部122aは、
図6に示すように、芯金11の第1部11aおよび第2部11bに亘って配置されることで、芯金11と掛合している。つまり、掛合部122aの第2凹部22aは、芯金11の第1部11aから第2部11bに亘って芯金11を挟むように芯金11に掛合されている。これにより、掛合部122aと芯金11とがより強固に連結することができる。このため、ステアリングホイール1の樹脂成型時の圧力によって、絶縁体21が芯金11に対して位置ズレしたり、ステアリングホイール1の周方向に対して回転ズレしたりすることを抑制することができる。
【0132】
(実施の形態の変形例2)
本変形例の電極構造体20およびステアリングホイール1では、掛合部122bが芯金11の第2部11bと掛合している点で実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールと相違する。本変形例の電極構造体20およびステアリングホイール1の構成および機能は、実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールの構成および機能と同一の構成および機能については同一の符号を付して構成および機能に関する詳細な説明を省略する。
【0133】
図7は、実施の形態の変形例2におけるステアリングホイール1を示す断面図である。
【0134】
本変形例の掛合部122bは、
図7に示すように、芯金11の第2部11bと掛合している。具体的には、掛合部122bは、絶縁体21から芯金11の第2部11bまで延びている。また、芯金11の第1部11aは掛合部122bと当接している。また、掛合部122bの第2凹部22aは、芯金11の第2部11bと掛合している。これにより、掛合部122bが芯金11の第1部11aと当接した状態で第2部11bに連結されることで、掛合部122bと芯金11とがより強固に連結することができる。このため、ステアリングホイール1の樹脂成型時の圧力によって、絶縁体21が芯金11に対して位置ズレしたり、ステアリングホイール1の周方向に対して回転ズレしたりすることを抑制することができる。
【0135】
(実施の形態の変形例3)
本変形例の電極構造体20およびステアリングホイール1では、掛合部122cが芯金11の第1部11aおよび第2部11bと掛合している点で実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールと相違する。本変形例の電極構造体20およびステアリングホイール1の構成および機能は、実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールの構成および機能と同一の構成および機能については同一の符号を付して構成および機能に関する詳細な説明を省略する。
【0136】
図8は、実施の形態の変形例3におけるステアリングホイール1を示す断面図である。
【0137】
本変形例の掛合部122cは、
図8に示すように、芯金11の第1部11aおよび第2部11bと掛合している。具体的には、掛合部122cは、絶縁体21から芯金11の第1部11aを介して第2部11bまで延びている。また、掛合部122cには、2つの第2凹部22aが形成されている。2つの第2凹部22aのうちの一方の第2凹部22aは芯金11の第1部11aと掛合し、2つの第2凹部22aのうちの他方の第2凹部22aは芯金11の第2部11bと掛合している。これにより、一方の第2凹部22aが芯金11の第1部11aに連結され、他方の第2凹部22aが芯金11の第2部11bに連結されることで、掛合部122cと芯金11とがより強固に連結することができる。このため、ステアリングホイール1の樹脂成型時の圧力によって、絶縁体21が芯金11に対して位置ズレしたり、ステアリングホイール1の周方向に対して回転ズレしたりすることを抑制することができる。
【0138】
(実施の形態の変形例4)
本変形例の電極構造体20およびステアリングホイール1aでは、絶縁体21とは別体の絶縁体が設けられている点で実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールと相違する。本変形例の電極構造体20およびステアリングホイール1aの構成および機能は、実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールの構成および機能と同一の構成および機能については同一の符号を付して構成および機能に関する詳細な説明を省略する。また、本変形例では、絶縁体21を第1絶縁体21とよび、絶縁体21とは別体の絶縁体を第2絶縁体29とよぶ。
【0139】
図9は、実施の形態の変形例4におけるステアリングホイール1aを示す断面図である。
【0140】
本変形例では、
図9に示すように、芯金11と第1電極31との間には、第2絶縁体29が配置されている。具体的には、第2絶縁体29は、円環状をなしており、芯金11の外周側の面に沿って、芯金11と第1電極31との間に配置されている。つまり、第2絶縁体29は、芯金11と第1電極31とで挟まれている。これにより、第2絶縁体29は、第2絶縁体29と芯金11との間、かつ、第2絶縁体29と第1電極31との間に発泡体12が侵入しないように、芯金11と第1電極31との間を埋めることができる。
【0141】
また、第2絶縁体29は、電極構造体20の構成要素に含まれていてもよく、ステアリングホイール1aの構成要素に含まれていてもよい。
【0142】
また、第2絶縁体29は、例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等の硬質プラスチック等の樹脂材料で構成されている。
【0143】
これにより、第1電極31と芯金11とが接触しないように、芯金11に対する第1絶縁体21の姿勢を維持することができるため、第1電極31と芯金11との距離をより確実に確保することができる。
【0144】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0145】
例えば、上記実施の形態に係る電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法では、ステアリングホイールの断面において、突出部と掛合部とが対向する位置に配置されていなくてもよい。具体的には、突出部および掛合部が絶縁体に複数配置されている場合、複数の突出部と複数の掛合部とが対応しないように、複数の突出部および複数の掛合部が絶縁体に配置されていてもよい。つまり、リムの断面では、絶縁体の他端部に配置された突出部、および、絶縁体の一端部に配置された掛合部のうちのいずれか一方だけが配置されていてもよい。例えば、4つの掛合部と6つの突出部とが、ステアリングホイールの断面において、突出部と掛合部とが対向する位置に配置されていなくてもよい。この場合、発泡体を樹脂成型する際に、射出成形樹脂の流動性が妨げられてしまうことを抑制することができる。
【0146】
また、上記実施の形態に係る電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法において、ステアリングホイールは、制御回路をさらに備えていてもよい。
【0147】
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本開示の電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法は、例えば車両のステアリングホイール等に適用可能である。
【符号の説明】
【0149】
1、1a ステアリングホイール
3 車両
10a 第1凹部
11 芯金
12 発泡体
13 湾曲部
20 電極構造体
21 絶縁体(第1絶縁体)
21a 第1面
21b 第2面
22、122a、122b、122c 掛合部
22a 第2凹部
22b 曲面部分
23 突出部
31 第1電極
32 第2電極